たいして成績もよくなかったぼくは、たまたま手形山高校という県下一のエリート高に入学してしまった。しかも普通科ではなく異常で特殊な変わり者が数多く集まった「クラスJ」。ぼくはここで風変わりな仲間と風変わりな高校三年間を送ることになった。
医者の息子で不良のケンはいつもつっぱっていたが、入学早々なぜか演劇部にぼくを誘うのであった。ケンにはガラに似合わない秘めた思惑があるのだった。
カズミツは軟式野球部に青春を燃やす長老。彼もぼくを部活に誘い汗と笑いにまみれた時代をともに過す。
隼人は複雑な家庭の問題にビミョーに揺れ動きながらも、純粋にうさちゃんへの一筋の恋の炎を燃やしていた。
三上はぼくら落ちこぼれグループとも付き合いながら成績はいつも上位だった。彼には心に秘めた将来の夢があるのだった。
東大は星と山とギターの好きな素朴な純情派だった。彼は「急げ!若者」という歌を歌いそして星になった。
そんな一部の個性的な仲間とは別に、クラスJの大半は「ジュケン」というゲートに向かって黙々と行進を続けていた。ぼくは、そんな彼らの生き方に釈然としないものを感じつつも、燃えきらない自分自身のふがいなさに嫌気がさしていた。
ぼくはただ風に揺れる「蝿とり紙」だった。
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