bed『Indirect Memories』WEB ZINE スペシャルインタビュー
作品曲目
01. 飛距離
02. 通り過ぎたばかり
03. Wall
04. naked
05. ピリオド
06. 言い訳
07. Life
08. 自転車
09. 日々の途中
10. 僕ら
発売日:2013年12月4日
レーベル:3P3B
価格:2,100円(税込)
ASIN:B00FT63X7W
JAN:4525569000453
品番:3P3B-66
映像と試聴
・bed 3rd Album "Indirect Memories" trailer - YouTube
・bed "通り過ぎたばかり"【MV】from "Indirect Memories" dir. 村井智(TYMOTE) - YouTube
購入方法について(特典は無くなり次第終了)
購入可能店舗と通販サイト:TOWER RECORDS(LOSTAGE五味岳久デザインステッカー付[オンライン、京都、広島、札幌ピヴォ、秋葉原、渋谷、新宿、仙台、池袋、梅田Nu、大阪マルビル、名古屋近鉄パッセ]) / disk union(特製Tシャツセット販売あり) / FLAKE RECORDS(CARD清水雅也デザインロゴバッジ付) / stiff slack(特別DVD付) / with one accord / THROAT RECORDS / Amazon / 楽天ブックス / HMV / ライブツアー物販(bed村山によるかわら版付)
bed『Indirect Memories』Release Tour まだまだ日々の途中
2013.12.05 大阪FLAKE RECORDS
2013.12.14 札幌SOUND CRUE
2014.01.18 広島クラブクアトロ
2014.01.26 名古屋spazio rita
2014.02.08 吉祥寺WARP
2014.02.22 金沢メロメロポッチ
2014.03.01 京都Urbanguild
2014.04.19 梅田ハードレイン
bedのライブ情報、音源情報など bed info
新しいことにトライすれば、それは必然的に注目される。人は変化を好むし、外野はそれを評価する。そのような風潮があることは確かである。一方で、ひとつのことに取り組み、それを極める人たちがいる。そうなるためには繰り返すことが必要になる。誘惑というものはいつでも付きまとう。忍耐力も試されるだろう。それらに惑わされず、取り組むことによって「達人」が生まれる。達人とは地味な作業を繰り返し、精度を上げ、洗練した技を持つ匠のことである。
bedの3rdアルバム『Indirect Memories』は「達人」の域に到達した作品だと思っている。一聴して分かるとおり、過去作品と比較すると、目新しさはなく、地味な印象を受ける。しかしながら、その地味さは途轍もない程に「bedの音楽」なのだ。音、BPM、言葉、アートワーク、雰囲気…。全てが山巓にたどり着いている。
このインタビューではbedのメンバーによるアルバム『Indirect Memories』ことはもちろん、ソングライティング、レーベル、京都の音楽事情なども語ってくれている。まさに「bed節」となった今作を知る上で参考になる言葉の数々、じっくりと読んでいただきたい。
インタビュー担当:山田 慎 (sweet music)
・本日はよろしくお願いします。前作『ON OFF』から、今作のアルバム『Indirect Memories』にとりかかった経緯についてお伺いします。
山口将司(以下、山口):『ON OFF』をリリースして、次の作品に取り掛かるまでの時間は結構早かったですね。曲を作っていって、ある程度たまってきたら、「次に行こう」とみんなで話しました。(前作にあたる)7inch EP『Still Dawn EP』の曲を2曲再録して、アルバムに収録することは決まっていました。そこから更に4、5曲が形になってきたときに「そろそろいける」と思いました。
・今作における曲の原形についてお伺いします。収録曲は以前から書きためていた物が多いのでしょうか? それとも新曲でしょうか?
山口:ライブをやりながら作っていきましたね。
・アルバムリリース前ということもありますが、今日のライブ(2013.11.03 at 木屋町アバンギルド)を見ても、昔の曲は演奏しなくなってきていますよね。その辺りはどうでしょう?
山口:(昔の曲ばかり演奏していると)飽きるからやと思う。
村山征希(以下、村山):そうっすねー、新しい曲ができたから。あとリリースツアーに行く前に、新しい曲を演奏することに慣れたいからですね。
山口:僕らはスタジオに頻繁に入れるバンドじゃないんですけど…。ライブのセットリストを練習することはあっても、昔の曲を入念に練習することはないんです。だからスタジオに入ると、新しい曲を作ろうとする。そのサイクルでやってきているから、ライブで同じセットリストばかりやっていると、バンド的にもマンネリ感が生まれちゃって「新曲を入れないと」となってくる。
・アルバム収録曲は最近のライブで披露していますが、まわりの反応は聞きましたか?
ジューシー山本(以下、山本):反応は結構いいですね。今日の最後に演奏した「僕ら」や「通り過ぎたばかり」は、みんながいいって言ってくれる。アルバム3曲目の「Wall」は好きな人は好きなんかなっていう手応えがある。
・『Indirect Memories』を聞いてですね、1曲1曲はシングルカットしてもいいくらいの出来だと感じて。粒が揃っているんですね。なおかつそれらがアルバムとしてうまくまとまっているなと思いました。製作後に自分たちで聞いてみて、どう感じましたか?
長生治彦(以下、長生):今回のアルバムは、「ライブで演奏する感じじゃないな」という曲は無くて。
山口:ふっふっふ…(笑)。
長生:今のところ、どの曲も演奏しているし。
・それは前のアルバムと比較してということですね?
長生:そうです。
山口:アルバム10曲入れるとして、新曲が7つくらいできた時点で「よっしゃ、アルバム作る流れやろ」ってなるんです。残り3曲くらいはアルバムに入れるために作ります。もちろん良い曲だと思って作っているけど、それらはライブの定番では無くなってしまうことが多いんですよ。「アルバムで聴くだけの曲」になってしまうんです。
・ほうほう…。
山口:ライブでまだ1回も演奏していない『Indirect Memories』の曲もあるんですけど、今回はライブ感があるので、今後封印する曲はないな、という感じです。
・「ライブ感」かあ。それは気になりますね。実は今日のライブで、全曲のBPMを測らせてもらったんです。
一同:(笑)
・するとですね、120-130くらいのテンポが多かったんですよ。別に早いってわけじゃないんです。
山口:そうっすね。
・それで「ライブ感」があるっていうのは面白いなと思って。bedの曲の印象ですが、最初はスロースターター。次第に熱量を高めていく曲が多いですね。あと初期に持っていたD.C.(Dischord Records)感は無くなりましたね。
村山:D.C.は意識しなくなりましたね。
山口:1枚目のアルバム『Response』くらいまでは「D.C.っぽさ」を曲作りのときに話していた気がする。
山本:ちょっと枯れた感じとか。でも、それを意識していると、それ以上あまり進まへんというか。結局そういうバンドってアルバム1-2枚で終わってしまうし。(D.C.っぽくとかは)意識せずに作るように、自然となっていきましたね。
山口:D.C.のバンドって大半はアルバム1-2枚とかで解散しちゃうんですよ。
山本:1つの方向性だけでやっていると息詰まるって言うか。
山口:中ではFUGAZIは奇跡的な例として、アルバムをいっぱい残していて、しかも全部かっこいいんですけどね。僕らも1stの頃は対バンもそういう(D.C.だったり激情~emoに連なる)バンドが多かったし、D.C.のバンド的な雰囲気を自分たちも出していたところはあると思うんです。ただbedはそういう引き出しは最初のEP~アルバム1枚のみで絞り切っちゃったということですね。そこから「もっと自分ら感、自分達らしさ」を出していった結果がBPMの話につながると思います。
山本:レコーディングのときにエンジニアの原さんが「君らのBPMはだいたい135くらいかな」と言ってて。「Wall」という曲は1発録りなんですけど、僕らの中で一番気持ちいいテンポ感なんですよね。大したことをしている曲ではないんですけど、気分が高まるんです。他のメンバーも演奏しているときに湧き上がってくるもんがあるんじゃないかと。
・面白い話ですね〜!
山本:僕らはセッションで曲を作っているから、その辺り(BPM135近辺)のテンポに落ち着いている。「僕らのBPM感」なんです。
・では、あえて速い曲を作ろう、という話はするんですか?
山本:たまに村山が言いますね。
村山:最初は個人の趣味とか嗜好って分からないから、意見を出すんです。でも、結局「自分達らしくない」ということになったりで。それから次第にお互いの好きな部分が分かってきますね。意見を出さずとも、自然に曲が生まれてくる感じが今のbedかな。
・なるほど。
村山:先日、mooolsのRyo Hamamotoさんに「bedは8ビート・ハードコアだ」って言われたんです。それは各々が自分達なりにbedを理解してきた結果じゃないかと。今回のアルバムでは「Wall」は僕らの中で真骨頂的な曲だと思うんです。ちなみにX JAPANの「Stab Me In The Back」という曲はBPMが200なんですけど。
一同:(苦笑)
村山:速い曲もやってみたいんですけど、らしくないなって。
山口:今回はBPM120-130くらいで、「bed節」じゃないけど、突き詰めようかなって。とことん「bed節」を入れ込んだ3rdアルバムを作って、それができたら次はまた新しい面白いものにトライできるかなと思いました。だから、これが現時点での僕らの「代名詞」です。
・『Indirect Memories』は言わば「bedクラシカル」という印象がありますね。特に4曲目「naked」のリズムの刻み方とかで感じました。また、「僕ら」ではbedを取り巻く友人らが参加していますよね。
山口:今までよりも時間やお金をかけて、エンジニアの原さんと密に打ち合わせをしながら作っていく中で、今回のような録音作業は、今しかできないことなんじゃないかなと思ったんです。メンバーも仕事や家族があって、忙しくなってきている。特にもう3枚目やし、このアルバムをまずはbedの代表作にしたいという思いもあったから、昔からの友達にも参加してもらったアルバムを作ることにしました。「みんなと一緒にバンドやっている」というか…。友達がいなかったらここまで続かなかっただろうし。本当はアルバムのクレジットにも一人一人いろんな友達の名前を入れたかったんですけどね。
村山:ハイスタとか聴いてきているので、一回はサンクス欄に沢山名前を入れたい。メロコアを通ってきていると余計に。
山本:バンドの名前をいっぱい入れるやつね。
村山:僕は1stの時にそう思って入れすぎて、サンクス欄が溢れ返りすぎて怒られました(笑)。
一同:(笑)
山口:今回もめっちゃ沢山入れようと思って一度リストアップしたんすよ。企画に呼んだことのあるバンド、bedを呼んでくれたことのあるバンド…。でも、とんでもない数になっちゃったんでやめといたんですけどね…。できるならやりたかったですね。
長生:そもそもbed4人の共通点はメロコアだから。
山口:間違いない。
・『ON OFF』と同様に3P3Bからのリリースですね。経緯を教えてください。
山口:元々はレーベルオーナーの曽根さんが、僕らのことをmyspaceで発見してくれて。その時は若いバンドを探しているということで、連絡をくれました。東京在住なのに積極的にライブに来てくれて。bedのメンバーは、それこそSHERBET、REACH、CAPTAIN HEDGE HOG、THUMB、SHORT CIRCUITなどを聞いていたので、バンドカラーとしては少し違うのかもしれないけれど、自分達のルーツだし、これも何かの縁だなと思いました。『ON OFF』のリリース経緯はそんな感じです。
・次の作品である7inch『Still Dawn EP』は名古屋のstiff slackからリリースしましたよね。
山口:そのリリースの流れがあったから、新作もstiff slackからリリースすると思っていた人が結構いたらしくて。CARD、Climb The Mind、Hello Hawkなどの親しいバンドがstiff slackから出していることもあったし…。でも僕らとしてはEPはあくまで企画物として捉えていました。新川さん(stiff slack主宰)もそういうノリがすごく分かる人だったし、曽根さんが「アルバムはまた3P3Bから出してね」という話をしてくれたこともあって、3P3Bから絶対リリースしようと決めてました。
・ほうほう。曽根さんはどういう方でしょうか?
山口:曽根さんは何も言わずに好きなことやらせてくれるんですよ。「オイッスー、おつかれ!」とか軽い感じでいつも声をかけてくれるんですけど、そういうノリも好きで。東京でライブをするときに普通に遊びに来てくれるおじさんですね。僕らのことを理解してくれているし、やりやすいです。今回は前の作品よりも制作費がかかっているんですけど、その環境もレーベルが快諾してくれたので、いい作品が出せたと思います。
・曽根さんは今作を聞いて、何か言ってましたか?
山口:うーん…、一言くらいしか言ってないですね。
一同:ふふっ…。
山口:「ジワジワ来るわぁ…」と。
一同:(爆笑)
山口:あと「Wall」がお気に入りって言ってました(笑)。曽根さんは言葉とかにエモさが皆無で。でもそれもいいんですよ。レーベルオーナーって「君ら最高っしょ!」みたいな人が多い気が勝手にしてるんですけど、そういうことはなくて。
村山:他のバンドに話を聞いてても、僕らはいいレーベルからリリースさせてもらっていると感じています。
・作曲について。山口君はJ-POPやアイドルなども好んで聞いていると思いますが、その辺りの音楽って、今作に反映されていたりするものなのでしょうか? 一聴すると、それは感じませんでしたが。
山口:潜在意識レベルでは反映させているつもりなんですよ。メロディラインとかは、その時に好きなアイドルソングなどをモジっていたりします。ただ、自分の中だけというレベルなので、気が付く人は少ないと思います。
・具体的に言うと?
山口:たとえば『ON OFF』の曲での言葉運びにはPerfumeの影響がありますね。今作で言うと、制作期間には、例えばtofubeatsやハロプロ界隈だったり、Tomato n' Pineだったりという、最近のJ-POPフィールドでもメロディーが評価されていたり、ひっかかりのある音楽を好んで聴いていたので、メロディーの雰囲気などはそれを研究したりして。なんとなく「それっぽく乗せるにはどうしたら良いのかな?」と考えてみたりはしましたね。あくまで自分の中だけですけど。
・山本君は何かあります?
山本:ん〜…、ないっすね。
一同:(爆笑)
山本:歌の乗せ方はあまり変わってないかなあと。エモい感じを意識する以外は自然体で曲を作りますね。ベースはある?
村山:昔は人の曲をコピーしたりもしていたし、無数にフレーズのストックがあると豪語していたんですけど、今は全くないですね。フレーズは自然に弾いている感じになりました。はるちゃんは何かある?
長生:同じことしかしてないです。
一同:(笑)
・曲を作るときって、誰かがアコギで原曲を持ってくるんでしょうか?
山口:いやいや、全く逆です。スタジオ入って、みんなで「せーの」で合わせて作ります。リフですね。最初にリフをずーっと繰り返し弾き続けて、それがよかったら次に進みます。曲構成は「A-間奏-A-B-C」というものが多いです。今作の曲構成は実は全部それなんですよ。
村山:ハハハハハハッ。
山本:え、そうなん?
山口:次作はその構成からちょっと脱したいんですけどね。今回はそれでいいかなって。基本はセッションベースの曲作りなので。最後にメロディが乗って、細かいところのアレンジをやるくらい。リフが大事ですね。
・アルバムジャケットとタイトルの話をお伺いします。
山口:ずっとTYMOTEの村井君にお願いしてきたんですけど、TYMOTEも大きな仕事をするようになってきていて、忙しいだろうから頼みづらかったんですけど…、快く引き受けてくれました。イメージとしては7inchからの地続きというか色合いで。そしてタイトル『Indirect Memories』からの連想です。"間接的な記憶"という意味合いです。今作はコーラスで友達が参加してくれていたりもするし。また、今まで共演してきたバンドなどがいてくれなかったら、僕らも続いていなかったと思います。これまでの出会い、そこからのインスピレーションが大きいです。それがアルバムタイトルにつながっています。なので色んな色を集めて、ジャケットに落としこんでもらいました。
・日々とバンドについてお伺いします。
村山:個々人で色々とやっていると思うんですけどね。例えばはるちゃんだったらライブ以外はずっと将棋やってるし。メンバーの仲はいいと思うんですけど、4人で飲みに行くことは殆どないです。練習かライブで会うくらいで、各々のことを話すこともありませんね。ここまで干渉し合わないというのは、僕が聞いている限りではあまりないのかと。でも、それも8年間続いている理由になるんかもなあ、と。
山口:今となってはそうでしょうね。ただ他のバンドだと最近はCARDやmy ex、OUTATBEROとかと飲みに行ったりするんですけど。最近のそういう集まり(バンド関係の友人での飲み会等)は意図して作ったんです。バンドで折角出会ったのに、ライブの打ち上げで飲むだけでは勿体ない気がして。みんなのバンド関係ないとこでの顔も知りたいし。なので集まっています。
・僕も夏にビアガーデンの飲み会に参加しましたが、TwitterやFacebookを見ていても、他のバンドと交流を楽しんでいますね。京都のバンドを中心に交流を深めてきたと思いますが、京都の音楽についてはどうでしょう?
山口:京都のバンドはジワジワ来ていると思います。今年の夏にBALLOONSの藤本さんが主宰しているレーベル「SAY HELLO TO NEVER RECORDINGS」が招聘したPSWINGSETというアメリカのバンドの来日ツアー京都編を企画して、bed、zirconium、my ex、odd eyesが出たんです。その打ち上げ時に藤本さんが「今日出た地元のバンドはみんな全国流通でちゃんとプレスした音源をリリースしている。これはすごいことだね」と言ってくれたんです。東京だとデモをバンバン出してそのレコ発をやっちゃえる環境があると思うんですけど、関西だとデモ音源だけで活動していくのはそれなりに難しくて。でも今はちゃんとした作品をリリースして先に進むバンドが京都でも中心になって活動していて、それが評価されているんじゃないかと。東京の人は「京都にいいバンドがたくさんあるね」ってすごく言うし、こんなに密度が高い地域は、東京以外は京都だけかもしれません。
・そして交流の幅も広がったのでは? 最近の対バンを見ていてそう思います。
村山:一例を挙げるとLOW-PASSやnim等のバンドは近い年齢だし近い場所で活動していたのに、今まで対バンをほとんどしていなかったんですけど、最近は企画に呼んでもらえるようになったり、と交流が出来てきました。
山口:僕らの出自的に最初の頃は、激っぽいというかemo、ポストロック…みたいな色合いのイベントに呼ばれることが多かったんですよね。もちろんそれが嫌いなわけではなく、そういう音楽も好んで聞きますが、それだけではないし。それこそ好きなバンドにはMOD LUNGやWE ARE! もいるし、toddleやmooolsもいる。でもそういったバンドの人達が、bedのことを好きになってくれるのかという不安は持っていたんですよね。ブッチャーズとか…。でもやっていくなかで、ブッチャーズやWE ARE! に「bedいいね」って言ってもらえて、自信が出てきたし、純粋に自分らが一緒にライブをやりたいなと思うバンドを企画に呼べるようになりました。この1-2年は自主企画が増えてきているんですよ。
・確かに来来来チーム、Doit Science、herpianoなど様々なアーティストを呼んでいますよね。
山口:企画にmooolsやDoit Scienceを呼んで、また一方ではkillieやheaven in her armsと対バンしているバンドって実はあまりいないんじゃないかと思うんです。
・交流の幅が広がることによって得たものはありますか?
村山:僕は活動の仕方に関してはマイペースを崩さないですが、モチベーションは上がりますよね。東京や色々な場所に行って、対バンなどで出会って、それがモチベーションに繋がる。長く続けていないとこういう機会はなかなかないですね。僕らが結成2-3年目でmooolsやブッチャーズと対バンしても、ポイントが付いてこなかったと思うんですよ。3年目に対バンしていいと思ってもらえなくても、7年目にいいって言ってもらえることもある。続けてきて人の輪が広がってきたからこそだと思います。
・では、若いバンドを見ていて思うことは?
山口:bedの中では僕が一番自分達より若いバンド等のライブを見ていると思うんですけど、彼らはやっぱりすごいっすね。自分らとはやり方も、そもそも音楽の聞き方も違います。例えばodd eyes、Homecomings、Hi, how are you? や、感染ライブに出ている子たちを見ても、世代感というか、音楽への感覚が違うしもっと新しい。だからこの子らは別にbedのことなんて好きじゃないと思うんですよ。正直。
・え、そうなんですか?
村山、山本、長生:ふはははは(笑)。
山口:(よく共演している)odd eyesやmy exは別かもしれないんですけど。bedなんて興味ないんちゃうの? と思うくらい、自分らは自分らでバシっとやってる。あこがれのバンドを企画に呼ぶわけでもなく、フラットにやっている感じがするんですよ。ただただ自分達が好きな音楽をやっていて、しかもそれがセンスがあってポピュラリティーもある。機会があればbedのこともいいと思ってもらえるように頑張りたい。
一同:(笑)
山口:彼らと一緒にライブとかやりたいんですよ。近いとこにはいるのでやれないことはないんだろうとは思うんですけど…。
・曲のタイトルについてお伺いします。割と短くスパッとしたタイトルが多いですね。te'みたいなのはないというか。
一同:(爆笑)
山口:te'みたいなやつもやってみたいですけどね(笑)。前作も短かったです。
村山:なんでやろ。僕はその辺りのことは知らないですね。
山本:僕が歌っている曲に関していうと、歌詞の一部を使うんです。タイトルは最後に付けます。
山口:ジューシーの場合はscrollのときから英語1単語とか多いもんな。
村山:「地図」とか。
山口:「Past」「Future」「火葬場」。例外が「The man has gone (scroll demo tape収録曲)」やな。
一同:(爆笑)
村山:ギリギリで「cherry boy」も。
一同:(爆笑)
山口:メロコア時代のscrollの名曲なんですけど。僕もジューシーに引っ張られて、短くなっているところはあると思います。
山本:グッティー(山口)の曲タイトルは、歌詞の中のフレーズとかではないことも多いよな。
山口:僕はタイトルを最後に考えます。歌詞を全部思いついたあとに、全体で意味を持ってくれるタイトルを付けるんです。ギリッギリまで「一番いいタイトルは何かな」と悩んで全体を表してくれる言葉を探します。でも次のアルバム曲にはストレートに「ずっと好きだったんだぜ」くらいのタイトルも付けてみたいですね。
・歌詞はどう作っていますか?
山本:セッションのときにたまたま出てきた単語をつなげたり、情景を思い浮かべたり。やるせない気持ち…。
一同:(爆笑)
山本:それしかない(笑)。それはずっと一貫してますね。
山口:結婚して変わるかなと思ったら全く変わらなかった。
村山:日々やるせないみたいなんはある?
山本:それはあるやろなー。結婚したとか30歳になったとかを考えると「僕ら」の歌詞"僕らは僕らでやってる それなりに楽しくやってる"というのは、自分の中で変わったところかなと思います。こじつけかもしれないんですけど、一年から二年前くらいに山口瞳『江分利満氏の優雅な生活』を読んで。それは30代のサラリーマンが主人公で、結婚して子どももできて、自分の才能の限界もわかって、だけどそれでもやっていかなあかん、というフレーズにグッときて。それが歌詞に反映されているかもしれないですね。20代のときは30代になったら、もっとギターのテクニックもすごくなっている予定やったけど、それもなくて、けどまあエエか、みたいに最近は思ってできるようになってきたというか。
山口:僕も基本はやるせなさを歌う感じなんですけど。今回のアルバムは直接的な誰かを思い浮かべるような歌詞になりました。それこそブッチャーズの吉村さんもそうなんですけど、自分らが活動してきた中でいろんな人に出会ってきて、そういう人たちのことを考えましたね。歌詞を書くときは頭の中で具体的な情景イメージして、そしてリズムを意識して少し韻を踏む感じで作っています。
・では今後の展望とアルバムを聞いてくれる人たちへ向けて一言お願いします。
山本:いつまでやれるか分からないので、早く曲を作って、4枚目を出したいですね。このアルバムを聞いてくれる人たちへ向けては、そうっすね…、特に無いですね。
一同:(爆笑)
山本:やるせなさを感じてくれたらそれでいいと思います。
一同:(笑)
山口:ずっとやっていきたいですけど、バンドのバランスなので、今後もこうした活動や作品が出来るかはわからんし、作れるときに作りたい。このアルバムは今までよりも手応えがあるし、作品を通して聴いて、今後も頑張れるなと思うんです。このバンド以外で音楽をやることは考えていないので、次のアルバムを作りたいですね。聞いてくれる人に対しては、これを聞いて気に入ってくれなかったら、「次頑張ります」という感じなんですけど(笑)。でも「これいいよ…!」って感じです。
長生:マイペースに続けていけるように活動したいですね。今作はbedらしさが全て出たので、次は新しいこと、例えば新しいリズムパターンとかに取り組めたらと思います。
・それではドラムの聞き所などを教えてください。
長生:曲で言うとそうですね、「Wall」が好きですが、ドラムの聞き所ですか…。
山口:ドラムサウンドはマスタリングのときにエンジニア(Alan Douches)が「Drum Sound is Good!」と一言メッセージを添付してきてた…。
一同:(笑)
山本:ホンマに?
山口:いや、これマジ、マジ。
山本:はるちゃん自身、自分のドラムでいいって思うところあるの?
長生:いや、全然。
一同:(爆笑)
山本:最近、みんなからドラムめっちゃいいねって言われるんですよ。
山口:特にバンドやっている人から。
長生:僕自身は全然あかんと思っていて。リズムの安定感とかテクニック。
山本:はるちゃんのドラムはオカズが少ないんですよ。だから逆にオカズを入れてきたときのインパクトがすごい(笑)。例えば「naked」とか。
村山:レコーディングで急に今までなかったオカズ入れてきて焦った、ということがありましたね。
一同:(笑)
山口:はるちゃんのドラムが僕らっぽさの大きな要素なんだと思います。特にリズム隊はそうなんじゃないですかね。
村山:先ほども言ってたんですけどmooolsのRyo Hamamotoさんが「bedの音楽って、"bed"っていうジャンルだよね」って言ってくれたことがすごく嬉しくて。僕は、どこかで聴いたことのある音を積み上げていくようなバンドよりも、個性的なバンドが好きなんです。そういう意味では8年目にしてbedらしさ、個性が少しずつ出てきたんじゃないかなと思います。今後の展望も、ただbedらしくやっていきたいです。来年4枚目が出るんですけど…。
山口:(遮って)来年絶対出えへんやん(笑)。
村山:聞いてくれる人へは…、メロコアバンドみたいな台詞を言いますけど、やっぱbedはライブバンドなんで、ライブに来てもらうってことをお願いしたい…。僕のベースってライブ見んとわからないと思うんすよ。
一同:(笑)
村山:音源だけ聞いていると地味なベースやと思うんすよ。でもライブで見るとこんな感じなんや、みたいな。
山本:あ、僕ありましたわ。聞き所。『Indirect Memories』ではライブでは出来ないような友達のコーラスとか、ハーモニカが入っているので、今まで聞いてきた人にとっては聞き所かも。ハモリとかもあるし。
山口:全体的にリッチな音作りを意識しました。エンジニアの原さんが「どうせやるなら、日本のオルタナとかギターロック、インディーロックバンド達が今後の指標にしてくれるような作品にしよう」と言ってくれて。「bedの『Indirect Memories』みたいな音で録音をしたい」と言われるような作品ですね。原さんはレコーディング工程が進むごとに、「この曲のここをもうちょっと強調出来るようなハモリとかを考えてみて?」とか宿題をどんどん出してくれて、それを自分らなりにクリアしたり挑戦したりしていきました。だからトライはしているんですよね。サラッと聞いたら普通やと思うんですけど、実は今までのbedの作品と比べると結構凝っていて。歌のメロとかピッチの追い込みは特に。今日、『Still Dawn EP』をデータではなく、初めて針を落として聞いてみたんですけど…、歌とかも全然甘いし、こんな生々しかったんや、と気づいたんです。今回はステップアップしていると思います。「自転車」と「ピリオド」は、『Still Dawn EP』と比較して聞くと発見がありますよ。
村山:全部推し曲ですけどね…、「言い訳」ですかね。この曲は終盤手前までずっと1コードなんですよ。あの感じはbedならではかな、と。bedって2コードとか3コードくらいの少ないコード構成で曲をやっているんですよ。それは何でかっていうと…、やっぱりヌンチャクを聞いてきていて(微笑)。
一同:(笑)
村山:3コードでええやん! みたいな。
山本:まあヌンチャクのあれ("3コードで悪いか")は「3コードで何が悪いねん」っていう開き直りの曲やからニュアンスが違うけどな(笑)。
山口:「言い訳」でいうと、シンプルやけど4-5分聞ける曲、というか。
村山:テクニックを多用するマスロックとかではなく、そうじゃない、シンプルにする渋さに気づいたというのもあると思うんです。
山口:そもそも僕らテクニック的にマスロックは出来ないというのもあるんですけど(笑)。あとはエモ、マスロックやポストロックをあまり積極的には聞かなくなったというのもありますね。それよりもfOULやひょうたんなどの独特なアブナイバンド…。
村山:そう。あとはやっぱり歌がしっかりしてるのも大事かな。
山口:あとはブッチャーズの射守矢さんのベースとか、ああいう異物感というか、そういったものに根源的な部分でどうしようもない魅力を感じていて。僕らも『Indirect Memories』で、そういう独自性とか異物感、いびつさが少し出てきたかなと思います。それを感じてもらえたら嬉しいですね。
毎回濃いメンツが集まることで話題の、京都メトロで行われている感染ライブ。その日もLOSTAGE、skillkills、goat、oddeyesなど全国各地から錚々たるバンドが集まり、どのバンドも痛いくらいにヒリヒリとし、緊張感に満ちたパフォーマンスを見せていたのだった。そんな中、トリとして登場したbed。彼らが演奏を始めた瞬間、会場の空気が変わる。ついさっきまで不穏なビートや耳をつんざくギターが鳴り響いていたメトロに、どこかゆったりとした時間が流れる。勿論温いライブをしたわけではない。会場を包む高めの温度感や興奮はそのままに。しかし彼らは彼らのペースで、確かにあの場を完全に自分達のものにしていた。
彼らのニューアルバム『Indirect Memories』を聞いて、その時のライブを思い出した。今作では派手な展開やアレンジがあるわけではないし、シャウトも控えめ。言うなれば常に平熱で続いていくアルバムだ。しかし気付けば何度もリピートしてしまっている。あの時のライブと同じように彼らのペースに飲まれていく。そして気付けば何度も「僕ら」に胸を打たれてしまう。人は平熱の時が一番心地良いものだ。高熱にうなされていてばかりではいられない。このアルバムにはそんな心地良さが詰まっている。
それにしても彼らの作品を聞いていると、京都の風景が浮かんでくるのは何故だろう。勿論京都出身のバンドなのだから当然といえば当然なのだが、何より彼らの自然体な佇まいや演奏と京都という街に流れるゆったりとした空気が私の中でシンクロしてしまうからだろう。そういえばbloodthirsty butchersやeastern youthを聞くと白に染まった北の大地を思い浮かべてしまう。
京都に引っ越してきて、もう今年で11年になる。
最初の4年間は大学生だった。ジンを作ったり、企画をやったり、刺激に満ち溢れた毎日はもう楽しくて楽しくてしょうがなかった。パンクやハードコアの性急なリズムは、そんな日々に恐ろしいぐらいマッチしていたし、日を追う毎に増えていく友人たちとの時間は、とても濃密でかけがえのないものだったと思う。
大学を卒業して、片道1時間半のサラリーマン生活が始まった。何となく適当に生きてきたツケか、毎日毎日絶望した。自分がフロントマンを務めるバンドを始めたのはこの頃だ。たった2枚の音源しか作れなかったけれど、北は札幌、南は鳥栖まで、自分が描いていた夢を実現してくれる人にたくさん出会うことができた。その途中には、大学時代から付き合っていた彼女と結婚、なんておめでたいイベントもあったな。
それから数年後。30歳を目前にしたある晩のこと、ふと音楽番組を見ていたら、ものすごくかわいい女の子を発見した。某アイドルグループに在籍していたその子は、ちょっとお馬鹿で、でも天才的な才能で満ち溢れる、今までに見たことのない女の子だった。無性に気になった僕は、あらゆる検索手段を使って彼女に関するテキストや画像、動画を見漁った。彼女なしの人生が考えられなくなるまで、そう時間はかからなかったと思う。もちろん、横で見守る妻の視線は限りなく冷たかったけれども。
アイドルのいる暮らしは、途轍もなく楽しかった。通勤中はアイドルソングを爆音で聴きながら携帯で情報を収集。帰宅後はYouTubeでアップロード日順にソートした動画を漏れなく見ることが日課となった。最初は冷ややかだった妻も、30歳になった夫の趣味を理解しようと一緒に楽曲を聞いてくれたり、一緒にカラオケで歌を歌ってくれた。今思い返してみても、なんて優しい妻だと思う。
秋が深まったある日の晩。仕事帰りの日課をこなす携帯の画面に映ったのは、その推しメンの卒業発表だった。絶望以外の何物でもなかった。大阪モノレールの車内でも、阪急の車内でも、30歳のおっさんの涙は止まらなかった。帰宅した僕を出迎え、暗い顔で「見た…?」と問いかける妻。「見たよ」と答える僕。結局、その晩の会話はこれで終わりだった。
彼女が卒業して、もう半年以上が経つ。その間に僕は新たな推しメンを見つけ、それまで以上にDDとしてアイドルシーンを楽しんでいる。毎週毎週何かしら現場はあるし、数えきれないほどのかわいい子たちが歌い踊り続けている。もはや何がゴールなのかよく分からない。同じCDを何枚も買うことも、現場で大声でコールすることも、もはや僕には何でもないことだ。でも、ただただ毎日が楽しい。
「僕らは僕らでやってる それなりに楽しくやってる」
アイドルソングばかり聴き続けた今の僕の耳に、bedの音楽がどう聞こえるのか? 正直不安だった。当たり前だけど、このアルバムにはMIXが入る間も、ケチャをする落ちサビもない。ただ淡々と、大河が流れるように現実を踏みしめていくだけだ。ゆっくり、ゆっくりと。
ボーっとしながら聴いていた自分の耳が反応したのは、アルバムも最後の最後、「僕ら」でのこの歌詞だった。時が経てばみんな変わっていく。あれだけ大切にしていたものを失っても、もう何も思わなくなってしまう。悲しいことはいっぱいあるもんだ。でも、この歌詞はそんな自分たちを高らかに肯定してくれる。ありがとうbedのみんな。僕もそれなりに楽しくやってるよ。
この12月の寒空の下、子どもが産まれた。もし女の子だったら、ドルオタをやめるかもしれない…。そう思っていた僕の生半可な気持ちとは裏腹に、産まれたのは3,400gの男の子だった。ごめんbedのみんな。もうしばらくこっちの「現場」に行くことになりそうだよ。そっちの「現場」も、もう少ししたら行くつもりだから、それまで待っててくれるかな?
村山征希 (Bass) バンド人生に影響を与えた10の事柄
・NAHTの存在(特に『NARROW WAYS』)
・fOULの存在(特にライブ)
・bloodthirsty butchers(特に射守矢さん)
・OSWEGO(音源すべて)
・Darren Zentekのドラム
・BARBEE BOYS
・Karate(音源もライブも)
・映画「金融腐蝕列島"呪縛"」(の役所広司)
・原田眞人監督作品の社会派の映画
・山崎豊子の作品
長生治彦 (Drums) バンド人生に影響を与えた10の事柄
・Hi-STANDARD『ANGRY FIST』
・eastern youth『旅路二季節ガ燃エ落チル』
・lostage
・moools
・YES『fragile』
・THE SMITHS
・詰将棋パラダイス (月刊誌)
・将棋世界 (月刊誌)
・月下推敲 谷川浩司 (詰将棋作品集)
・将棋倶楽部24 (オンライン対局できるウェブサイト)
音楽に関しては、新しいジャンルを聴くきっかけになったバンドや、ただ単純に好きなものです。本はすべて将棋関連です。詰将棋パラダイス(詰パラ)はいつも持ち歩いてます。
山口将司 (Guitar & Vocal) バンド人生に影響を与えた10の事柄
・working class hero〜up and comingの存在…音は勿論、バンドのあり方、考え方、人柄、生き方、笑いの取り方等、枚挙に暇がないほど影響受けてます。
・Hi-STANDARD…初めてのバンドを組むことになったきっかけ。bedの皆とも多分ハイスタがいなければ繋がってなかった筈。
・bloodthirsty butchers…ここまでbedを続けてこれている大きな要素です。
・メンバーそれぞれの就職、結婚、日々の生きがいへの取組…皆が仕事や趣味含めそれぞれ自分の世界を持っていて、またその世界でもバリバリやっているというバランスはやっぱり重要。
・プロレス(主に90年代の新日本〜現在)…価値観の創造と、この歳になっても語り合える友人を作れたので。
・映画『ハイ・フィデリティ』と『ウェディングシンガー』…音楽への執着にも似た想いが投影されているから。
・AHPクルー…いつまでもしょうもないことをやり続けられる友達がいないとこんなに楽しくバンドを続けてこれない。
・カトマンさん(dotlinecircle)…前身バンドの頃から目をかけてくれたことは勿論、どんな状況でもアゲていくという姿勢と、人生へのしぶとさは見習うべき。
・かおりちゃん(iscollagecollective / summer of fan…愛すべきクソ人生でこの人も異常にしぶといし、今は日本酒狂いになってて色々最高です。
・くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン…クソ最高です。チェックしてない人は人生損してるレベル。
ジューシー山本 (Guitar & Vocal) バンド人生に影響を与えた10の事柄
Chavez『Gone Glimmering』
Storm & Stress『Storm & Stress』
Storm & Stress『Under Thunder And Fluorescent Light』
Vincent Gallo『When』
SHERBET『SHERBET』
中島らも『僕に踏まれた町と僕が踏まれた町』
中島らも『今夜、すベてのバーで』
田中小実昌『ポロポロ』
ネルソン・グッドマン『世界制作の方法』
蛭子能収 『地獄に堕ちた教師ども』
感傷的なときはもちろん、高ぶりすぎたときさえも、心地よい日常の平熱に導いてくれる、ホメオスタシス的傑作! ホメコアの祖(ホメオスタシスティック・ハードコア)として、語り継がれていく名盤だと思います。
4人の絶妙な塩梅のアンサンブルは心地よすぎます。ということで、メンバーを想起した4つの食材を使い、絶妙な塩梅のレシピを考えてみました。とりあえず想起します。
・ギターのジューシー → ジューシーだし果物 → 冬だし、みかん
・ベースのベース小僧 → やしきたかじん → 赤ワイン
・ギターの垂れ男 → レーズンのキャラ(画像参照) → レーズン
・ドラムのはるちゃん → 将棋ということで、食材はみかん、赤ワイン、レーズン、将棋を使うことにしました。
まず、レーズンペーストを作ります。
赤ワイン、カシスリキュールでレーズンを煮切り、ミル等でペーストに。
開いて塩コショウした鳥肉に細切りのパルミジャーノ、レーズンペーストをはさみ、油をひいたフライパンでジリジリ皮目から弱火で焼いていきます。
次にみかんソース。
皮をむいたみかん、レモン汁を水で煮詰め、小麦粉、バターを入れゆっくり溶かし、塩コショウで味を整えて完成。
お皿にみかんソースを敷き、焼きあがったチキンを盛り、彩りよく野菜等を飾り、最後に将棋の駒を添えれば、「チキンIndirect Memoriesソテー」の完成です! 4人を想起した食材を使っているから『Indirect Memories』に合うんです。
うなじペロ男
「テン年代のオルタナティブギターロック指針盤」と言い切って良い程に、『Indirect Memories』は素晴らしいアルバムだと聞くたびに思う。1st、2ndと枚数を重ねるごとにメロディやリフ、そしてバンドアンサンブルは研ぎ澄まされ、究極の熟成期間へ到達したのだ。熟成と腐敗は紙一重であるが、そのギリギリのラインをじっくりと歩き続けた先で、年代モノを手に入れた彼らこそプレミアム、いや、プライスレスな存在へとなっている。
熟成…その言語にひかれた私は、クリスマスが近くなると心が踊り出す。三十路超えのオッサンにはサンタクロースも来やしない。ウキウキする原因は何かと問われた場合、瞬時に「シュトーレン」と答える。
街のベーカリーはもちろん、輸入食材屋、スーパー、そしてコンビニエンスストアでも見かけるようになった「シュトーレン」。ドイツの焼菓子で、ドライフルーツやナッツがギッシリとパン生地に詰まり、粉糖に包まれているのが特徴だ。ドイツパンのお店はもちろん、ブーランジェリー(フランス系パン屋)、チェーン店などでも販売されていて、1個2,000円くらいとお値段は高め。11月中旬から12月上旬にかけて販売がスタートし、クリスマスまでに一切れずつ、大切に味わっていく。
この焼き菓子の特徴、それは「熟成」にある。保存期間は焼き立てから1ヶ月くらいで、長いと3ヶ月も保存が効く。面白いことに、焼き立てと1ヶ月後の味に変化が出る。ラム酒漬けされたドライフルーツが全体に馴染んでいくことで、「シュトーレン」は熟成し、しっとりと円やかな味わいになるのだ。発酵バターのコク、ほんのりと香るスパイス。それらも相まって、時間を掛ければ掛けるほど旨みが溢れ出し、贅沢な逸品になってゆくのだ。これはワイン、醤油やチーズなどの発酵食品と共通する。
『Indirect Memories』の発売日は12月4日と、折りしもシュトーレンを味わう時期と重なった。急激なスタイルの変化で人を惹きつけようとせず、自然体でバンドサウンドを磨き上げていく様は「熟成」と言ってよいだろう。まさに「シュトーレン・スタイル」!
125-135程度のBPMは、フランス粉や全粒粉の小麦は口の中で静かに、そして一定のリズムで溶けてゆくの心地良さに似ている。山口&山本のリフの掛け合いやコーラスをはじめとしたバンド・アンサンブルは、リキュールに浸け込まれたドライフルーツの味わいの様。友人らの参加やハーモニカを導入するなどの試みは、少しのスパイス(これがあるとないのでは大ちがい)。刺さるような歌は消え、その代わりとなる包まれるような歌の数々、これはもちろんパン生地を包み込む真っ白な粉糖。今、ここに「シュトーレン・スタイル」の確立を見た。
ゆっくりと、じっくりと。急ぎ足になりそうだけど、グッと我慢して、地に足をつけることも時には大切。そんなことを思いながら、『Indirect Memories』を聞き、シュトーレンを味わう。
・ベーカリー・ドライリバー (滋賀大津)
Up And Coming、dry river stringのVo & Gである干川弦さんのお店。ホシノ天然酵母パン種を使ったパンやバゲット、イエローカレーパン、デニッシュなど、どれも美味しい。加えてお店構えもカッコいい。シュトーレンはルヴァン種とホシノ天然酵母パン種を中種として使用。クッキーの様なサクっとした食感が特徴。干川さんは『Indirect Memories』を聞いて、山口君のメロディセンスを絶賛。
・イロハベーカリー (大阪枚方公園)
bedは京都のバンドと思われがちだが、大阪枚方のメンバーがいる。関西在住者は「ひらかたパーク」をご存知だと思うが、その近くに「イロハベーカリー」というかわいらしいお店がある。なんと店主はママスタジヲのメンバーであり、bedも録音で使用している四条烏丸スタジオシンポの小泉さんと同期である(立命館大学)。パン好きからパン職人になった程、パンに対する熱量を持ち、特に「石臼バタール」が美味しい。シュトーレンは年を追うごとに予約数が増え、あっという間に売り切れる。しっとりした味が特徴で、パッケージデザインもかわいらしい。店主は京都音博Tシャツを作業着にし、パンに磨きをかけている。
山田 慎 (sweet music / PAINLOT)
2013年12月4日 発行 初版
bb_B_00118127
bcck: http://bccks.jp/bcck/00118127/info
user: http://bccks.jp/user/124945
format:#002y
Powered by BCCKS
株式会社BCCKS
〒141-0021
東京都品川区上大崎 1-5-5 201
contact@bccks.jp
http://bccks.jp