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KCIC アニュアルレポート 03

かごしま文化情報センター (KCIC)

KCIC BOOKS



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はじめに

いまあるスタートから“できること”を広げていく

かごしま文化情報センター(KCIC)は、2013年8月、鹿児島市役所みなと大通り別館1階の、公園に面した空きスペースにオープンしました。当初は、我々スタッフが業務を遂行するためのワーキングスペースと、チラシや美術書籍をお客様が閲覧できるオープンスペースが同じ空間にあり、風通しの良い空間でありながら、展示やワークショップをするには狭く、幾分かの制限がありました。
しかし、2015年、スペースは倍増。スタッフのオフィススペースが隣接するお客様窓口のある部屋をスタジオA、そしてワークショップや展示などのイベントなどができるスペースをスタジオBとして拡張しました。これは、初年度のKCICアニュアルレポート01の冒頭でも書き記したように、市役所のなかで「できることからスタートする」というKCICにとっては大きい前進でした。

中央の本棚の奥にオフィスを、手前にインフォメーションスペースを置いたスタジオA。壁面として空間を区切る棚の大きく開口した部分が、受付としてオフィススタッフとお客様をつなぐ。
Photo.川越 亮

コンテンツも外へ飛び出す
また、2015年度はコンテンツそのものも外へ外へと広がりました。
2014年10月に立ち上がった「かごしまのうわさプロジェクト」(アーティスト 山本耕一郎)(リンク)は2015年6月にボランティアの“うわさ隊”とともにまちなかで展開。市電内の壁面や天井をうわさプロジェクトに参加した市民の笑顔で飾った「うわさのうわさ号」も運行し、繁華街の百貨店ともコラボレーションしました。また、秋には、国民文化祭かごしま2015の参加企画「文化庁 メディア芸術祭鹿児島展 境界のあいだ」に企画協力をし、九州新幹線の発着するターミナル駅の商業施設 アミュプラザ鹿児島の地下道で「スポーツタイムマシン鹿児島」(アーティスト 犬飼博士、安藤僚子)を実施。子どもから大人まで2,000人以上の参加者と20,000人に及ぶ鑑賞者がありました。
そして、オープン当初より行っているKCIC WORKSHOPでは出張ワークショップが実現。KCICから車で30分の石谷町の小学校区や、錦江湾を渡った先の桜島・赤水地区にて、「わたしたちの地域辞典を作るワークショップ」を実施。ここで参加者と収集したまちの記録は鹿児島市役所の市民アートギャラリーに一堂に展示し、市役所周辺、石谷町、桜島と地区を並列に置くことで、各々のまちの特色や魅力を訪れる方々に発信しています。

10年?15年? 先へと続く活動を。
そして、拡張したスペースではじめたのが、KCIC アートマネジメント ラボ。アートやデザインなど文化的な企画に興味のある市民を対象に、芸術祭のディレクターや、アートプロデューサー、学芸員など国内で活動する9名の識者を招いた講座(レクチャー)と実践(ワークショップ)のシリーズ企画を、10ヶ月にわたって行いました。
また、電子書籍KCICBOOKSでは2冊の出版企画を実施しました。アーティストシリーズでは、価値やメディアをテーマに多様な作品を展開するあいだだいや氏を迎え、鹿児島と青森、各々の地に暮らす人々によるネット上での会話をプロジェクトとして行い、1冊にまとめた「フリツモ」を制作。あわせて所内での展示と桜島の砂防出張所長を招いたトークイベントも行いました。
さらに地域×アートシリーズでは、国内外の民俗芸能をコンテンポラリーダンサーの目線でリサーチする手塚夏子氏を迎えて、鹿児島市で受け継がれる数々の伝統芸能をフィールドワークしながら「断片の脈動〜現代に息づく伝統・民俗芸能」を制作。本企画は2016年も続き、未来の伝統芸能へのアプローチにも繋がるような、さらなる展開を試みます。

今回、長い時間をかけてKCICの活動に寄り添ってくださったあいだ氏は「(教育普及の視点からいうと)アートを通したこのような活動は、15年は続けるもの。いま、それを体験した子どもが、大人になり、子どもを連れてくるようになるような場所を作っていく必要がある」と地域の文化活動について示しました。鹿児島市役所という開かれた場所にあるKCICで感じたことや体験したことがその人の中に根づき、時代を超えて次の世代に伝わっていくこと−−、豊かな未来の創造へ少しずつ進みたいと思っています。

かごしま文化情報センター(KCIC) チーフ
四元朝子

KCICとは

かごしま文化情報センター(KCIC)とは、鹿児島市の第五次総合計画のひとつ「“ディスカバーかごしま”文化創造プロジェクト」の取組を具体化した「文化薫る地域の魅力づくりプラン」を推進する活動の拠点として、地域住民、NPO法人、ボランティア、事業者らによる委員会での構想をもとに設置されました。
「美術」「音楽」「地域伝統芸能」の3つのジャンルに重点を置き、それぞれ「質の高いアートに触れること」「音楽活動の舞台、フィールドを確保すること」「本物の伝統芸能の価値を共有し、発展させること」を目指し、活動。鹿児島市役所のみなと大通り別館1Fにあり、ワークショップやまちなかでのイベント開催に加え、文化情報の発信や記録づくりなどを行っています。
KCICは、アーティスト、ファシリテーター、アートコーディネーター、地域の歴史・観光、及びスポーツのNPOメンバーなど様々な専門性を持つスタッフが運営に携わっています。

かごしま市役所みなと大通り別館1F、KCICの外観。
Photo,宮園めぐみ
所内でのレクチャーの様子( KCIC アートマネジメント ラボ セッション7「価値を伝えるプロジェクト記録術」橋本 誠)
所内展示風景(下道基行「あいだの島のはなし」文化庁 メディア芸術祭鹿児島展「境界のあいだ」)
KCIC WORKSHOP ゲストアーティストプログラム vol.5 「日常の風景をイラストにしよう」 講師:大寺聡(イラストレーター)

KCIC 2015年度
活動内容


Direction & Organization


KCIC主催 + 所内開催

電子書籍 KCIC BOOKS アーティストシリーズ
あいだだいや
「フリツモ」プロジェクト
Arts Crossing 06 Annual Report No.【04】

実施期間:2015年9月〜2016年3月
主催:文化薫る地域の魅力づくり実行委員会、鹿児島市
企画制作:かごしま文化情報センター(KCIC)アートディビジョン
平成27年度 文化庁 文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業

桜島でリサーチをするあいだだいや氏

PLAN:毎年1回、アーティストとKCICが電子書籍の制作に取り組む「KCIC BOOKS アーティストシリーズ」。2013年 写真家 下薗詠子氏、2014年 デザイナー 松本弦人氏につづき3冊目となる。2015年は、「価値」や「メディア / コミュニケーション」という視点から多様なメディアを使って活動を行うアーティスト あいだだいや氏を迎え、地域を新たな視点で見る試みを行う。

Photo.あいだだいや

DO:あいだ氏の初来訪が2015年9月。一時、桜島の噴火警戒レベルが4に引き上げられ、ニュースになった時期だったが、県外で報道の内容と異なり、鹿児島の人々が変わらず穏やかに暮らす様子から、「普通の人々の普通の日常」を描く試みをはじめた。よくある報道内容と遠くの地でその事柄に向かい合う人々の暮らしのズレ。ここであいだ氏は、2ちゃんねるの「◯◯なんだけどなんでもきいて?」のスタイルをとり、「火山灰」の鹿児島と「雪」の青森をテーマに、その地に住む人々とともに往復書簡をネット上(Facebook非公開ページをグループで制作)で行った。

アーティストあいだだいや「フリツモ」発刊記念トークイベント「灰と雪の生活」(ゲスト:国土交通省九州整備局大隅河川国道事務所桜島砂防出張所長 豊増真也)

DATA:Facebook フリツモ 非公開ページ 鹿児島 23人 青森 11人
     トークイベント 20人


TIME LINE:
2015年
9月 初顔合わせ、視察、ブレインストーミング
10月 Facebook上で「フリツモ」(非公開グループ)完成
    ネット上で青森の方との質疑応答が始まる
    あいだ氏 青森にてフリツモ協力者と面会、企画趣旨の説明
11月 あいだ氏 市内撮影(市役所周辺、桜島など)
    砂防ダム出張所訪問・ヒアリング、最終処理場視察・撮影
12月 あいだ氏 青森にて雪の生活を撮影

2016年
1月 あいだ氏来鹿。展示作成作業。
2月13日 電子書籍発行
   KCIC BOOKS アーティストシリーズ あいだだいや「フリツモ」発刊
   「フリツモ」発刊記念トークイベント開催
   『「触れるフリツモ展覧会〜灰 / 雪まみれの往復書簡」
   キュレーション あいだだいや』実施(〜3月12日)

「触れるフリツモ展覧会〜灰 / 雪まみれの往復書簡」]キュレーション あいだだいや 展示風景
Arts Crossing05では、鹿児島と青森各々の地の住人の会話を抜粋し、紙面に掲載。(2015年12月発行)

アーティストプロフィール

あいだだいや
学生時代より「価値」「メディア/コミュニケーション」という視点で作品発表を行なう。山口情報芸術センター就職後は教育普及担当としてコミュニティと文化をつなぐ場で活動し、オリジナルワークショップの開発なども行なう。一連のワークショップは、第6回キッズデザイン大賞を受賞。担当企画展示「コロガルパビリオン」が、第17回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品受賞。担当した「コロガル公園」シリーズは2014年度グッドデザイン賞を受賞。
2000年「信用ゲーム」展 NTT ICC(東京)
2006年「コネクティング・ワールド」展 NTT ICC(東京)
2007年「金庫室のゲルトシャイサー」展 広島アートプロジェクト
2008年「taxi/draw」展 せんだいメディアテーク
2014年「さっぽろアートステージ」展 札幌
他参加展覧会多数

「触れるフリツモ展覧会〜灰 / 雪まみれの往復書簡」]キュレーション あいだだいや 展示風景

KCIC BOOKS 地域×アート シリーズ 2015
「わたしたちのうた、わたしたちの踊りをつくる」プロジェクト2015
Arts Crossing 06 Annual Report No.【05】

実施期間:2015年7月~2016年2月
アーティスト:手塚夏子

主催:文化薫る地域の魅力づくり実行委員会、鹿児島市
企画制作:かごしま文化情報センター(KCIC) アートディビジョン
平成27年度文化庁 文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業

関連イベント:
「コンテンポラリーダンサー・手塚夏子さんと行く 花尾神社 秋の大祭」
2015年9月23日
一般の参加者を募り、手塚夏子氏と共に鹿児島市花尾町で開催される「花尾神社 秋の大祭」をバスツアー形式で鑑賞した。「花尾の太鼓踊り」、「西上の太鼓踊り」、「大平の獅子舞」等の伝統芸能を見学。それぞれ感想や意見交換等のディスカッションを行った。
参加人数:22人

PLAN:日本各地・アジア圏に根づく踊りの調査・研究・分析を続けているダンサー/振付家の手塚夏子氏を招聘して、鹿児島市内に残る多彩な伝統芸能・民俗芸能に触れる機会を作る。そこで、他との相違、関連、特色などをリサーチし、電子書籍に記録・発行する。また、手塚氏と市民と共に伝統芸能行事へ出かけ、鑑賞・ディスカッションを行う。当企画を通して、「何が唄となり、踊りとなるのか」という、表現が立ち上がる際の仕組みを考える。これらを、リサーチ&プロセス型プロジェクトとして展開する。

DO:手塚氏は、2015年7月から2016年1月にかけて、3度来鹿。「中山町下虚無僧踊り」の練習風景の見学、「花尾神社 秋の大祭」バスツアーの実施・伝統芸能見学、日髙加正山氏より鹿児島の民謡の聞き取り、「岩戸の疱瘡踊り」の関係者聞き取りを行った。中山町下虚無僧踊りでは地域の年輩者より子ども達へ指導する様子を実際に見学、お話を聞かせていただき、踊りの練習を通して地域全体で子どもに文化を継承することの意義を学んだ。
「花尾神社 秋の大祭」バスツアーでは、子ども~大人まで幅広い年代の方々と共に3つの伝統芸能を見学し、手塚さんと意見交換をした。それぞれの伝統芸能が立ち上がった際の時代背景や意味合いを参加者と共に考えた。
日髙加正山氏からの鹿児島の民謡の聞き取りでは、古くから鹿児島に伝わる民衆の地唄を教えていただき、また、三味線の伴奏で唄っていただいた。生活や暮らしから発生した唄の力強さを知ることとなった。
「岩戸の疱瘡踊り」の聞き取りでは、長年この踊りに携わって来られた地元の女性3人に直接お話を伺い、地域でにおける芸能の必要性、生活と踊り、今という時代と伝統について考察する機会となり、本リサーチ内容をまとめた電子書籍「断片の脈動〜現代に息づく伝統・民俗芸能」を出版した。

2015年9月23日「コンテンポラリーダンサー・手塚夏子さんと行く 花尾神社 秋の大祭」の様子。手塚氏の活動紹介、今回の趣旨等説明を車中で行い、参加者と交流を行った。

バスツアーで訪れた「花尾神社 秋の大祭」にて奉納された「大平の獅子舞」
「コンテンポラリーダンサー・手塚夏子さんと行く 花尾神社 秋の大祭」参加者
「岩戸の疱瘡踊り」保存会の岩戸洋子さん(中央)へのヒアリング
「岩戸の疱瘡踊り」保存会を守る岩戸タツコさん、岩戸キヌエさんも同席。

TIME LINE:
2015年
7月27日 中山町下虚無僧踊り練習風景見学
9月23日 「コンテンポラリーダンサー・手塚夏子さんと行く花尾神社 秋の大祭」実施 
9月24日 日髙加正山氏鹿児島の民謡聞き取り

2016年
1月28日 岩戸の疱瘡踊り関係者聞き取り
3月25日 電子書籍「断片の脈動〜現代に息づく伝統・民俗芸能」発刊

アーティストプロフィール
手塚夏子
ダンサー/振付家 神奈川県横浜市に生まれる。現在、福岡県糸島市在住。
1996年より、マイムからダンスへと移行しつつ、既成のテクニックではないスタイルの試行錯誤をテーマに活動を続ける。2001年より自身の体を観察する『私的解剖実験シリーズ』始動。2002年、私的な実験の小さな成果が「私的解剖実験 -2」に結晶。同作品はトヨタコレオグラフィーアワードファイナリストとして同年7月に上演。その後、ニューヨーク、シドニー、ベルリン、ポーランド、ジャカルタなど各地での交流や上演を行う。また、独自の手法でコンテンポラリーダンスに取り組むアーティストと対話をし、彼らの手法について思考し体で試行する「道場破り」や、体をテーマに建築家や鍼灸医など様々な職種の方とのトークをし、観客を巻き込んでの実験を試みる「からだカフェ」など、自主企画も多数。2010年より、パートナーの大澤寅雄氏と共に国の枠組みを疑って民俗芸能を観察する試みであるAsia Interactive Researchを始動。2011年には、関連するプログラムとして民俗芸能調査クラブを立ち上げ、STスポットと共に継続して取り組んでいる。2013年、関東から福岡県へ活動拠点を移行させる。http://natsukote-info.blogspot.jp/

KCIC アニュアルレポート 03
Arts Crossing 06 Annual Report No.【06】

主催:文化薫る地域の魅力づくり実行委員会、鹿児島市
企画制作:かごしま文化情報センター(KCIC) アートディビジョン
平成27年度文化庁 文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業


PLAN: かごしま文化情報センター(KCIC)の年間の活動を、広く一般に公開するための、電子書籍・フリーペーパー制作と展示。KCICの活動記録を、コストをかけずに興味のある方には遠方からもアクセスできるよう広く届ける電子書籍、アート活動を市民に届けるための入り口としてのフリーペーパー、そして、場を持つセンターの強みとして、これまでに制作したものを展示し、公開する。

DO:3回目となるアニュアルレポートは、関係者のインタビュー動画を撮影して電子書籍やweb媒体に収め、フリーペーパーでは、活動を重ねていくことで可視化されてきたKCICの活動分野と地域への関わり方を一覧で紹介する。

KCICアートマネジメントラボ
Arts Crossing 06 Annual Report No.【07】

主催:文化薫る地域の魅力づくり実行委員会、鹿児島市
企画制作:かごしま文化情報センター(KCIC) アートディビジョン
助成:一般財団法人 地域創造

PLAN:昨今、地方での芸術祭が数多く開催され、地域でアートを活用したイベントが地域活性化の役割(地域の情報発信、交流人口の増加など)を果たしつつある。加えて、ソーシャルネットワークサービスの普及により、小規模なイベント等も多く開催されつつある。主催者と地域の双方がメリットを得られるような文化イベントが開催されるよう、地域でアートを活かしたイベントのビジョンづくりや企画立案、資金運営など、マネジメントの必要性があると考えた。

DO: KCICの拡張したスペースを利用して、新しいアートマネジメントの形を模索する座学(レクチャー)と実践(ワークショップ)のシリーズ。ここでは、各地で独自の活動を展開するアートマネジメント、発信(告知)活動、教育普及など、いまの社会で必要なマネジメント(企画・運営)の在り方を、参加者と一緒に模索した。

本企画の詳細はKCIC BOOKSの「電子書籍 ドキュメント:KCIC マネージメント ラボ」を参照。

講師プロフィール

■ SESSION 1:6月20日(土)
「混浴トーク〜アートと社会の蜜な関わり」

山出 淳也
1970年大分生まれ。NPO法人 BEPPU PROJECT 代表理事/アーティスト。アーカスプログラムによるレジデンス(1996-1997年)、ACCによる助成を受けNY、PS1でのインターナショナルスタジオプログラム参加(2000-2001年)。ポーラ美術振興財団の助成による欧州滞在(2002年)。文化庁在外研修員としてパリに滞在(2002-2004年)。帰国後、地域や多様な団体との連携による国際展開催を目指して、2005年にBEPPU PROJECTを立ち上げ現在にいたる。

■SESSION 2:7月4日(土)
「身の丈アートプロジェクトのすすめ」

小山 冴子
とんつーレコード/art space tetra。2007年より有志による共同運営のスペースart space tetra(福岡市)を拠点に、展覧会や実験的な音楽イベント等を多数企画。同時に外部のアートプロジェクトや美術家の制作現場にも関わる。2012年よりNPO法人BEPPU PROJECTに参加。様々な業務を担当した後、2014年よりフリーランス。2015年には鹿児島県にて文化庁メディア芸術祭鹿児島展でディレクターを務め、2016年よりあいちトリエンナーレのコーディネーター。編集者・ライターとしても活動している。

原田 真紀
田川市美術館学芸員。企画展:「立石大河亞展」(1999年)、「山出淳也-記録・gradual increase」(2000年)、「描かれた<筑豊>」(2002年)他。キュレーション担当:「はじまりはここから」(九州芸文館、2013)、博多阪急ARTCUBE(2013年~)、「“直観”のジオラマ展」(福岡市美術館特B、2014年)他。執筆に岡林洋編著『川俣正 アーティストの個人的公共事業』(美術出版社)。2008年「ママとこどものアートじかんプロジェクト」を立ち上げ、現在同代表。

■SESSION 3:7月18日(土)
「地域とアートスペースの関わり方」

小田 久美子
1985年鹿児島県姶良市出身。鹿児島県霧島アートの森鹿児島市立美術館職員、NPO法人 PandAコーディネーター、及び、鹿児島市の文化薫る地域の魅力づくり実行委員会美術部会員を経て、アーツ前橋学芸員。現職では、主に教育普及や館外で行う地域アートプロジェクト事業に携わる。

■SESSION 4:8月23日(日)
「これからのパブリックリレーションズ」

兼松 佳宏
greenz.jp編集長/NPO法人グリーンズ理事 1979年生まれの勉強家 兼 お父さん。2004年よりウェブデザイナーとしてNPO支援に関わりながら、「デザインは世界を変えられる?」をテーマに世界中のデザイナーへのインタビューを連載。 CSRコンサルティング企業に転職後、2006年クリエイティブディレクターとして独立し、ウェブマガジン「greenz.jp」の立ち上げに関わる。2010年より編集長。秋田市出身、京都市在住。一児の父。2016年より京都精華大学人文学部の特任講師として「ソーシャルデザイン・プログラム(社会創造演習)」を担当予定。

■SESSION 5:9月26日(土)
「文化政策、アートマネジメントの近年の潮流」

大澤 寅雄
1970年生まれ。株式会社 ニッセイ基礎研究所芸術文化プロジェクト室准主任研究員、NPO法人アートNPOリンク事務局、NPO法人STスポット横浜監事。慶應義塾大学卒業後、劇場コンサルタントとして公共ホール・劇場の管理運営計画や開館準備業務に携わる。2003年文化庁新進芸術家海外留学制度により、アメリカ・シアトル近郊で劇場運営の研修を行う。帰国後、NPO法人STスポット横浜の理事および事務局長、東京大学文化資源学公開講座「市民社会再生」運営委員を経て現職。

■SESSION 6:10月8日(木)〜12日(月)
「教育普及ブートキャンプ」

会田 大也
1976年東京生まれ。2000年東京造形大学造形学部デザイン学科造形計画専攻卒業。2003年情報科学芸術大学院大学[IAMAS]修了。2003年開館当初より11年間、山口情報芸術センターの教育普及担当として、メディアリテラシー教育と美術教育の領域を横断する形で、オリジナルのワークショップや教育コンテンツの開発と実施を担当する。一連のワークショップは、第6回キッズデザイン大賞を受賞。担当企画展示「コロガルパビリオン」が、第17回文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品受賞。2014年より東京大学大学院ソーシャルICTグローバル・クリエイティブ・リーダー[GCL]育成プログラム特任助教。


■SESSION 7:11月21日(土)
「価値を伝えるプロジェクト記録術」

橋本 誠
1981年東京都生まれ。横浜国立大学教育人間科学部マルチメディア文化課程卒業。2005年よりフリーのアートプロデューサーとして活動をはじめる。2009〜2012年、東京文化発信プロジェクト室に所属しプログラムオフィサーとして「東京アートポイント計画」の立ち上げを担当後、一般社団法人ノマドプロダクションを設立。様々なプロジェクトのプロデュースや企画制作を手がけている。TARL(Tokyo Art Research Lab)事務局長。 主な企画に都市との対話(BankART Studio NYK/2007)、KOTOBUKIクリエイティブアクション(横浜・寿町エリア/2008~)など。

■SESSION 8:12月5日(土)
「成果報告会」

藤 浩志
1960年鹿児島生まれ。京都市立芸術大学在学中演劇活動に没頭した後、地域社会を舞台とした表現活動を志向し京都情報社を設立。京都市内中心市街地や鴨川などを使った「アートネットワーク’83」の企画以来全国のアートプロジェクトの現場で「対話と地域実験」を重ねる。同大学院修了後、青年海外協力隊員としてパプアニューギニア国立芸術学校勤務。都市計画事務所勤務を経て92年、藤浩志企画制作室を設立。各地で地域資源・適正技術・協力関係を活かしたデモンストレーションを実践。福岡県糸島市在住。NPO法人プラス・アーツ副理事長。秋田公立美術大学教授。

KCIC アートマネジメント ラボ 「身の丈アートプロジェクトのすすめ」(小山 冴子、原田 真紀)
KCICアートマネジメントラボ「教育普及(ミュージアムエデュケーション)ブートキャンプ」講師:会田 大也(ミュージアムエデュケーター)
KCIC アートマネジメント ラボ「価値を伝えるプロジェクト記録術」講師:橋本 誠(アートプロデューサー/一般社団法人ノマドプロダクション 代表理事)
KCIC アートマネジメント ラボ 成果報告会「やわらかい社会のために」 講師:藤 浩志(美術家 / 秋田公立美術大学 教授)

KCIC WORKSHOP
Arts Crossing 06 Annual Report No.【08】

制作プログラム
「みんなの古着でベンチカバーをつくるワークショップ」

期日:2015年4月2日(木)~6月30日(火) 
会場:かごしま文化情報センター(KCIC)
講師:平川 渚
主催:文化薫る地域の魅力づくり実行委員会、鹿児島市
企画制作:かごしま文化情報センター(KCIC)アートディビジョン
平成27年度 文化庁 文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業

PLAN:KCICのスペースが拡張され、来所者がアート情報や美術書籍を閲覧するためのベンチがあらたに設置された。そのベンチのカバーを、地域に住む人々の古着で制作するワークショップを長期プログラムとして開催。KCIC開所中はいつでも参加できる仕組みにし、訪れた人々が少しずつ手を加え、多くの人の手で一枚の布を制作する。

DO:2015年春、KCIC内に手作りの織り機のベースを設置。そこへ地域の方より集めた古着にハサミを入れて紐状にしたものを準備し、それらをタテ糸としてはり、そこへ訪れた人々が自由に同じく紐状の古着をヨコ糸として織り込んでいった。それぞれの可能な時間に好きなだけ制作ができるので、別の用件で来訪した人も短い時間で参加するなど、最終的に多くの人の手が加わった。約3ヶ月かけて300cm×80cmの色鮮やかなベンチカバーが完成した。

DATA:参加人数:約50人

講師プロフィール
平川 渚(KCICスタッフ/アーティスト)
様々な場所に滞在し、主に糸を使ったインスタレーション作品を制作。意味や背景を排して平面的に風景を捉える写真作品で「VOCA展2009」へ出品。個人の制作活動と並行して、美術館や駅構内、映画館、ショッピングモールなどでワークショップを行う。2013年大分県より鹿児島県へ移住。
http://www.nagisahirakawa.net/

リサーチプログラム
「わたしたちの地域辞典をつくるワークショップ」みなと大通り公園周辺編

期日:Vol.1 2015年11月14日(土)
   Vol.2 2015年12月19日(土)

会場:かごしま文化情報センター(KCIC)、みなと大通り公園周辺
講師:平川 渚
主催:文化薫る地域の魅力づくり実行委員会、鹿児島市
企画制作:かごしま文化情報センター(KCIC)アートディビジョン
平成27年度 文化庁 文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業

PLAN:前年度に引き続き、自分たちの身近な地域を普段とは違う視点で眺め、その魅力を再発見するプログラム。これまで好評だった「地図をつくる」ワークショップの発展型として実施。参加者が各自持参したデジタルカメラでKCIC周辺エリアに出かけ、その地域にある素材を写真撮影する。撮影したものに「~の~」など、形容詞を含めたタイトルをつける。そうすることで、より参加者の視点が反映されたものになる。それらを壁面などに貼りだし、この地域にどういった要素(資源)があるのか、一覧できるものを作成する。ワークショップを重ねるごとに写真と言葉を蓄積し、エリアを紹介する辞典が完成する。

DO:KCICが位置する「みなと大通り公園」の周辺(易居町、名山町、小川町、山下町)を参加者はそれぞれデジタルカメラを持って散策し、このエリアに独特だと思われるモノや光景をみつけ、撮影。その写真に各自タイトルをつけ、撮影した写真とともにプロジェクターで一人ずつ発表。それらを素材として辞典の形式にKCICで編集。タイトルの頭文字を50音順に並べ、市民アートギャラリー内に展示をした。出張ワークショップで同企画を松元地域と桜島地域で行い、鹿児島の他地域と並べて鑑賞した。

DATA:参加人数 12人

ゲストアーティストプログラム Vol.4
「街のかたちをみつけるパズルダンスワークショップ」
講師:イフクキョウコ

期日:2015年8月21日(金)
会場:かごしま文化情報センター(KCIC)、みなと大通り公園周辺

PLAN:多彩なゲスト講師を招いてオリジナルのワークショップを行う「KCIC WORKSHOP ゲストアーティストプログラム」の第4弾。山口在住のコンテンポラリーダンサーのイフクキョウコさんを迎え、街を舞台に身体を使ったワークショップを実施。
街へ出かけ、街の一部分と自分の体をパズルのピースのようにあてはめてみることで、普段気付いていない視点を発見し、新しい世界をのぞいてみる。また、そのポーズを他の参加者がデジタルカメラで撮影し、視点を交換する。その後KCICへ戻り、撮影した写真をスライドで投影し、鑑賞する。

DO:初めに、集まった参加者全員で体をほぐすストレッチを行った後、グループを二つに分け、それぞれ「ポーズをとる人」「それを写真に撮る人」に役割を分担。参加者はみなと大通り公園周辺~名山町を歩き、その風景にパズルのように体をあてはめ、その光景を写真撮影した。最後に撮影した写真をスライドで投影し、それぞれのポーズを組み合わせて再現した。参加者は、実際に自分の体を街の凹凸に沿わせてみることで、新たな視点で街のかたちを見つけることができたようで、新鮮で楽しい体験だったという声が多く聞かれた。

DATA:参加人数:6人

PRESS:
リビングかごしま 2015年8月1日
南日本新聞 2015年8月13日

講師プロフィール
イフクキョウコ(ダンサー)
幼少より日本各地を点在し、現在山口在住。 スタジオイマイチメンバー。 2005年福岡でコンテンポラリーダンスに出会い踊り始める。 現在、音楽家内橋和久氏のCD「flect」全曲に振り付けるソロプロジェクトを継続し随時発表。身体と音の関係性をテーマに、空間との在り方、音の再現方法を探っている。 また、映像作家の大脇理智氏と共に、ダンスを軸に建築や整体の手法を使った新しい形態を開発することに長期的に取組んでいる。
http://d.hatena.ne.jp/heuteskind/

ゲストアーティストプログラム Vol.5
「日常の風景をイラストにしよう」
講師:大寺 聡(イラストレーター)

期日:2016年3月5日(土)
会場:市民アートギャラリー

PLAN:数々のCMやポスターを手がける鹿児島在住のイラストレーター・大寺 聡氏をゲスト講師に迎えてワークショップを実施。絵画とイラストレーションの違いを学びながら、「視点を変える」をテーマにいつも何気なく歩いている自宅周辺の風景をイラスト化。絵やイラストレーションの経験や技術の有無は不問。家の周りの“自慢の風景”をイラストにして完成したものを市民アートギャラリーに展示する。

DO:5才~67才まで、幅広い年代が参加。「イラストと絵画のちがい」などの大寺さんのレクチャーの後、今回は「自分の街にやってきた外国人観光客を想像しながら風景を描いてみよう」というテーマが与えられた。各参加者は持参した写真を「前景」「中景」「後景」に分け、色画用紙を使ってそれらを構成、その後好きな画材で描画した。写真にある情報を整理して人に伝えることを目指し、それぞれイラストを制作。最後はそれぞれ完成したイラストを大寺氏が一人ずつ講評した。第一線で活躍するイラストレーターの実践的な方法が学べる、貴重な機会となった。

DATA:参加人数:15人

PRESS:
南日本新聞 2016年2月28日
リビングかごしま 2016年3月5日
BTVケーブルテレビ 2016年3月9日

講師プロフィール
大寺 聡(イラストレーター)
1966年生まれ
1990年・武蔵野美術大学デザイン学科卒業
以降、フリーイラストレーターとして活動
2000年・活動拠点を東京から現在の日置市吹上町に移す
「最新のデジタル技術と豊かな自然の接点」をテーマに表現活動を続ける。
2004年 文化庁メディア芸術祭 審査員推奨作品
2011・2012年 南日本広告文化賞 グランプリ
http://www.ohtematic.com/

Photo.宮園めぐみ

かごしまのうわさプロジェクト
Arts Crossing 06 Annual Report No.【09】

アーティスト:山本耕一郎
実施期間:2014年11月(うわさラボ開所)〜2015年7月5日(まちなか展開終了日)
主催:文化薫る地域の魅力づくり実行委員会、鹿児島市
企画制作:かごしま文化情報センター(KCIC)アートディビジョン
平成27年度 文化庁 文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業

PLAN:
まちなかへ活動の場を広げ、より多くの市民と触れ合う機会を創出することを目的としたイベントを計画。アートに親しみのない方々ともつながり、またKCICの活動を伝えることも目標に、よりひろくアートプロジェクトの展開を試みる。

DO:
青森を拠点に活動するアーティスト 山本耕一郎氏が国内で取り組む「うわさプロジェクト」を実施。まちなかに暮らす人の自慢話などを吹き出しの形にして可視化し、あわせてバッジやおみくじなどのメディアを使って「〜らしい」と表現したテキストを掲載し、拡散するアイテムを制作。それらを使って幅広い人々のあいだにコミュニケーションを創出し、「ひと」と「ひと」、「ひと」と「まち」をつなぐアートプロジェクトを行った。鹿児島では天文館の11通り会と百貨店 3店舗、そして、プロサッカーチーム「鹿児島ユナイテッドFC」、プロバスケチーム「レノヴァ鹿児島」とも協働。アートを媒介に、異業種とのつながりを構築。プレミアム付商品券の発売タイミングとあわせて商店街11通り会が一斉に参加し、画期的な協力体制ができあがった。また、うわさ隊というボランティア組織を結成し、KCIC所内においた「うわさラボ」を拠点に、まちなかへと活動していった。
本企画の詳細はKCIC BOOKSの電子書籍「かごしまのうわさプロジェクトドキュメント」を参照。

DATA:
うわさ隊 27人(18歳〜62歳 男女)
うわさバッジ配布数 約2,000枚、うわさおみくじ 約7,000枚

PRESS
2015年
2月1日  南日本新聞
3月8日  MBC かごしま4、NEWS NOW
5月3日  南日本新聞
5月30日  MBCラジオ かごしま街角通信
6月12日  MBC ズバッと!鹿児島
6月13日  南日本新聞
6月27日  MBCラジオ Radio Burn
7月3日  FM鹿児島 あさcafe

TIME LINE
2014年
9月 企画立案
10月 山本氏来鹿 初打ち合わせ、うわさ隊(ボランティア組織)募集
11月 うわさラボ(拠点)をかごしま文化情報センター内にオープン
   うわさバッジ配布開始
12月 百貨店、鹿児島ユナイテッドFCと交渉

2015年
2月 レノヴァ鹿児島と交渉
3月 鹿児島ユナイテッドFC開幕戦にうわさプロジェクト参加
   レノヴァ鹿児島最終戦に参加
4月 鹿児島ユナイテッドFC ヴァンラーレ八戸戦に参加
6月 まちなかにバッジ掲出
   うわさバッジをつけた市民の写真を掲出した市電「うわさのうわさ号」運行開始
   商店街24通りにうわさのぼり設置
   うわさプロジェクト本格スタート
   ・百貨店3箇所と商店街1箇所でうわさの吹き出しを掲出
   ・うわさおみくじとバッジの配布を開始)
7月 プロジェクト終了

2016年
1月「かごしまのうわさプロジェクト」ドキュメント 発行

アーティストプロフィール
山本耕一郎
1969年名古屋生まれ。青森県八戸市在住。筑波大学卒。英国ロイヤルカレッジオブアート大学院修了。「アサヒアートフェスティバル」、「トヨタ子どもとアーティストの出会い」などに参加。
まちの人たちのうわさが書かれた吹き出しを商店街に貼り出す「ニッポンのうわさ」プロジェクトや、小学生と一緒に地域に住む人たちの記念日が書かれたカレンダーを作る「まちカレ〜このまちのカレンダー〜」など、全国で地域と深く関わるアートプロジェクトを展開している。
2012年、青森県八戸市南郷に移住。地域にとってコンビニエンスとは何かを問う「おらほのコンビニ」シリーズや、まちぐるみで中心街をイメチェンする活動体「まちぐみ」の結成など、住むことで地域コミュニティに何ができるかを実験および実践中。
ホームページ http://kyworks.net
ブログ http://kasuga11.exblog.jp


Management

企画の受け入れ

スポーツタイムマシン 鹿児島
文化庁 メディア芸術祭鹿児島展「境界のあいだ」参加作品
Arts Crossing 06 Annual Report No.【10】

2015年10月24日(日)〜11月15 日(日)
場所:アミュプラザ鹿児島 / B1階きらら通り(鹿児島中央駅すぐ)
アーティスト:犬飼 博士、安藤 僚子

主催:文化庁
共催:第30回国民文化祭鹿児島県実行委員会
後援:南日本新聞社、MBC南日本放送、KTS鹿児島テレビ、KKB鹿児島放送、KYT鹿児島読売テレビ、エフエム鹿児島
企画協力:かごしま文化情報センター(KCIC)
協力:鹿児島県歴史資料センター黎明館、鹿児島県文化振興財団霧島アートの森、アミュプラザ鹿児島、鹿児島ウォーターフロント株式会社、かごしまイングレス研究会、特定非営利活動法人鹿児島サブカルチャー研究所、鹿屋市立第一鹿屋中学校科学同好会、肝付町教育委員会、グッドネイバーズ・ジャンボリー実行委員会、城山観光ホテル、一般社団法人セカンドホームタウン、第一工業大学 根本研究室、長島町、学校法人原田学園キャリアデザイン専門学校、株式会社 山形屋
運営:文化庁メディア芸術祭鹿児島展実行委員会事務局(MBC開発株式会社)

Photo.Yuka Kimura
最終日の様子。終了を惜しむ子どもが多数集まった。

PLAN:アートやマンガ、アニメーション、エンターテイメントの4つの部門からなる公募展「文化庁 メディア芸術祭」の巡回展。かごしま文化情報センター(KCIC)は、子どもを中心とした地域の方々へアート作品の普及を目的とした企画の立案・運営を担当した。そこで、鹿児島の陸の玄関口であるターミナル駅 鹿児島中央駅併設の商業施設「アミュプラザ鹿児島」にて、広く開かれたメディアアート作品の展示を企画。気軽にメディア(情報技術)を使った作品に触れる機会を創出するとともに、メイン会場の鹿児島県歴史資料センター黎明館への誘導・案内の一助としても利用できる場所として、本展の会期スタートの週末から同会場内で告知活動を行う。

DO:壁に投影される昔の記録と“かけっこ”ができる「スポーツタイムマシン」。(第17回 文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門優秀作品自分自身の記録のほか、象やヤギといった動物、また各地のプロスポーツ選手やご当地ゆるキャラの走行記録も登録することができ、それらとかけっこを楽しみながら情報技術の可能性を体感できるものであった。鹿児島では、プロサッカーチーム「鹿児島ユナイテッドFC」、プロバスケットチーム「レノヴァ鹿児島」 とチアダンスチーム「レディラック」も参加するなど、地域の人々との交流を生み、コミュニティ形成の機会を創出。会場は、近隣住人にとってはビル内のスーパーやスポーツクラブなどへと足を運ぶ生活動線となる地下道であり、また、遠方からJRを使って鹿児島市へ移動してくる方にとっては玄関口となる場所で、子どもから大人まで多くの方が参加。最終日は継続を望む子どもたちが地下道に集まり、終了時間まで賑わった。

Photo.Yuka Kimura

作家プロフィール

犬飼 博士
1970年、愛知県生まれ。eスポーツプロデューサー、ゲーム監督。つながりと笑顔を生むツールとして、ゲームとスポーツに着目。スポーツとITを融合した作品発表、大会運営等を手がける。現代的なスポーツマンシップとしてスペースマンシップを提唱。人工知能を巻き込んだ次世代の「遊び」を研究開発中。



安藤 僚子
1976年、東京都生まれ、山形育ち。インテリアデザイナー。2009年、デザインムジカ設立。ファッションや飲食のショップデザインを中心にエキシビションスペースの制作、ショップディスプレイ、ブランドCI・VIのディレクションなど手がける。ハンドメイドで遊び心のあるデザインを得意とする。http://designmusica.com/

「桜島の住宅/2つの世帯が共に暮らす家」作品展示
Arts Crossing 06 Annual Report No.【11】

鹿児島大学建築学科+第一工業大学建築デザイン学科

2015年6月15日(月)〜27日(土)
会場:かごしま文化情報センター(KCIC)
主催:文化薫る地域の魅力づくり実行委員会、鹿児島市
企画制作:かごしま文化情報センター(KCIC)アートディビジョン
平成27年度文化庁 文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業

PLAN:地域における大学の取り組みの理解促進を図るため、県内にある鹿児島大学第一工業大学の2大学の建築系学科が合同で取り組んだ住宅設計課題「2つの世帯が共に暮らす家」の成果を展示。優秀作品として選出された10名の作品を取り上げ、建築を学ぶ学生たちが考える新しい暮らしの提案を模型と図面を通して市民に向けて紹介。

DO:一人暮らしや核家族、同性愛カップルなど、住まい手としての「家族」の定義が曖昧になっている現代において、従来の「家族」の概念から解き放たれた「世帯」を想定し、2つの異なる世帯が1つの土地に共に暮らすための住宅を鹿児島の特徴的な地域・桜島に設計する課題。特殊な設計条件のなかで建築を学ぶ学生たちが敷地のコンテクストを読み解き、現代の社会情勢に即した新しい暮らしを提案した。会場には学生たちが作成した図面と模型が展示され、それぞれの提案が紹介された。

関連企画:KCIC WORKSHOP「巣をつくるワークショップ」

鹿児島大学建築学科+第一工業大学建築デザイン学科
教員プロフィール:


柴田晃宏(一級建築士 博士(工学)
1968年生まれ。1990年 大阪大学工学部建築工学科卒業。1992年 東京工業大学大学院修士課程修了。1992年〜1999年 (株)デザインシステム。1999年〜2010年 一級建築士事務所 ikmo 主宰。2000年-2012年 法政大学非常勤講師。2005年〜2013年 桑沢デザイン研究所非常勤講師。2010年 東京工業大学大学院博士後期課程修了。2010年〜2013年 小山工業高等専門学校 准教授。2013年〜 鹿児島大学 准教授

根本修平(建築家)
1975年 東京都生まれ。2004年 九州芸術工科大学大学院博士後期課程単位取得 満期退学。2004年 NKSアーキテクツ。2005年 東京電機大学理工学部助手。2005年 SN2スタジオ設立。2011年〜第一工業大学工学部 講師。2013年鹿児島大学工学部非常勤講師。地域素材の調査を通して、インスタレーションの制作や新商品の開発企画や試作に取り組んでいる。

KCIC WORKSHOP
リサーチプログラム

出張プログラム

わたしたちの地域辞典をつくるワークショップ
Arts Crossing 06 Annual Report No.【12】

松元・石谷地区編

2016年1月30日(土)
会場:松元・石谷地区
集合場所:石谷校区公民館
主催:文化薫る地域の魅力づくり実行委員会、鹿児島市
協力:NPO法人PandA
企画制作:かごしま文化情報センター(KCIC)アートディビジョン
平成27年度 文化庁 文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業

PLAN:かごしま文化情報センター(KCIC)がこれまで継続的に実施してきた<地域をあらたな目線で眺め、編集するワークショップ>を、「KCIC WORKSHOP出張プログラム わたしたちの地域辞典をつくるワークショップ 松元・石谷地区編」と題して、江戸時代の史跡が随所に残る、緑豊かな松元地域の石谷地区で小学生を対象に開催。
デジタルカメラを持って該当エリア内を歩き、参加者がそれぞれ気になったもの、この地域に独特だと思ったものをデジタルカメラで撮影。見つけたものに各自タイトルをつけ、そのタイトルの頭文字を50音順に並べ、最終的に参加者によって編集された松元・石谷地区の地域辞典を作成する。作成した地域辞典は、これまで制作された「みなと大通り公園周辺編」、「桜島・赤水地区編」とともにKCIC内で展示する。

DO:石谷小学校に通う小学生とその保護者8組22人が参加。石谷小学校周辺の通学路を3ブロックに分け、子どもたちが各自デジタルカメラやスマートフォンで見つけたものを撮影し、タイトルをつけた。保護者とKCICスタッフはそのサポートを行った。後半は、撮影した写真とタイトルをプロジェクターで投影し、一人ずつ発表をした。子どもの視点は大人のそれとは違い、小さな世界を見落とさず、愛着を持ってそれらに接していることがわかった。子ども達にとっては、普段通学する際に通っている道をよく観察し、カメラで切り取り発表することで、自分の見ているものを他者に伝えるための手段としての作品づくりを体験できたようだ。

DATA:参加人数:22人

桜島・赤水地区編

2016年2月6日(土)
会場:桜島・赤水地区
集合場所:赤水公民館(赤水港退避舎)
主催:文化薫る地域の魅力づくり実行委員会、鹿児島市
協力:NPO法人桜島ミュージアム
企画制作:かごしま文化情報センター(KCIC)アートディビジョン
平成27年度 文化庁 文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業

PLAN:
松元・石谷地区編につづき、「KCIC WORKSHOP出張プログラム わたしたちの地域辞典をつくるワークショップ 桜島・赤水地区編」と題して、海へ続く路地や石垣、びわや椿畑が印象的な桜島の赤水地区で開催。デジタルカメラを持って該当エリア内を歩き、参加者がそれぞれ気になったもの、この地域に独特だと思ったものをデジタルカメラで撮影。見つけたものに各自タイトルをつけ、そのタイトルの頭文字を50音順に並べ、最終的に参加者によって編集された桜島地区の地域辞典を作成する。作成した地域辞典は、これまで制作された「みなと大通り公園周辺編」、「松元・石谷地区編」とともにKCIC内で展示する。
また、今回は特別にワークショップの最後に、実際に歩いたエリアに対するガイド解説をNPO法人桜島ミュージアムの久木田 智美氏が行う。

DO:
溶岩が随所に見られ、小路なども多い桜島の赤水地区で実施。
参加者は全員桜島以外の居住者で、赤水地区に初めて訪れた人も多かった。それぞれマップを手に、赤水地区に独特だと思われる風景を探し、デジタルカメラで撮影し、タイトルをつけた。椿やびわ、桜島大根などの特産物をはじめ、避難壕のバス停、溶岩でできた塀、天水槽など、桜島ならではの風景も多くみつかった。各参加者が撮影した写真とタイトルを発表後、NPO法人桜島ミュージアムの久木田氏が赤水エリアの「ジオストーリー」を解説。桜島や赤水地区の地質的な成り立ちや歴史を聞くことで、各参加者も自身の視点で撮影した素材が歴史や意味合いを多層的に含むことがわかり、理解が深まったようだった。

DATA:参加人数:10人

PRESS:MBCテレビ TEGE2 てゲてゲ

講師プロフィール:

久木田 智美(NPO法人桜島ミュージアム)
桜島ビジターセンターの管理運営やガイド、椿油の企画・営業と最近は「tephra火山灰ジュエリー」の開発も行う。
http://www.sakurajima.gr.jp/

平川 渚(KCICスタッフ/アーティスト)KCIC WORKSHOP ページ参照

NPO法人 桜島ミュージアム 久木田氏による解説
Photo.宮園めぐみ

Planning & Production

企画制作+協力

KCIC WORKSHOP 連携プログラム
巣をつくるワークショップ
Arts Crossing 06 Annual Report No.【13】

2015年6月20日(土)
会場:かごしま文化情報センター(KCIC)
協力:鹿児島大学建築学科、第一工業大学建築デザイン学科
主催:文化薫る地域の魅力づくり実行委員会、鹿児島市
企画制作:かごしま文化情報センター(KCIC)アートディビジョン
平成27年度 文化庁 文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業


PLAN:2015年6月15日~27日までKCICのスタジオBで開催された鹿児島大学建築学科、第一工業大学建築デザイン学科の共同展示「桜島の住宅/2つの世帯が共に暮らす家」の関連ワークショップとして実施。
住宅は人間の棲家であり、その原型ともいえる「巣」を制作するというコンセプトで行う。
紙、竹ひご、輪ゴム、綿、毛糸、不織布、グルースティックなど、身近な素材を使用し、「いきものの巣」をテーマに各自制作を行い、完成した作品をKCIC内で展示する。

本棚の1枠をひとつずつ学生に割り当て、その中で各々の「巣」となる空間を制作

DO:鹿児島大学建築学科、第一工業大学建築デザイン学科それぞれの生徒と先生が参加し、紙、竹ひご、輪ゴム、不織布など身近な素材を使っていきものの「巣」を制作。KCICスタジオBの棚のひとつひとつの空間の中に、各参加者がインスタレーションをするように作品を設営した。また、後半は一人ずつどんないきものを想定して巣を作ったか、またそのコンセプトを作品の前で発表。講師の平川のコメントの後にそれぞれ各大学の先生が講評をした。
素材を思いもよらない方法で使用したり、「水棲人間の巣」や「浮いてる巣」など、設定も自由な想像力が発揮されたものとなり、その形態もそれぞれ興味深かった。棚の空間を含めた表現方法も、参加者にとって新鮮だったようだ。
また、自分の作品の制作意図を発表すること、作品に対して他校の先生より講評をもらうことは学生にとってもよい機会になったようだ。一つのテーマで様々な表現が生まれ、それを参加者が共有できたことは価値が高かったように思う。最終的には様々な巣による集合住宅のようになり、展示としても楽しいものとなった。

関連企画:「桜島の住宅/2つの世帯が共に暮らす家」作品展示

DATA:
参加人数:17人

講師プロフィール
平川 渚(KCICスタッフ/アーティスト)KCIC WORKSHOP ページ参照

ついdeサロン
Arts Crossing 06 Annual Report No.【14】

vol.1
柴田 昌平
(「千年の一滴」映画監督)
ゲスト: 今給黎 秀作(鰹節作り職人)
聞き手: 沢畑 亨(棚田食育士家元、愛林館 館長)
2015年4月25日(土) 場所:ガーデンズシネママルヤガーデンズ7F)
協力:一般社団法人鹿児島コミュニティシネマ

vol.2
中川 たくま
(プランニング・ディレクター / ブルームーンデザイン事務所
聞き手:原田 真紀(キュレーター / ママとこどものアートじかん
2016年2月27日(土) 場所:レトロフトMuseo
協力:レトロフトMuseo / ママとこどものアートじかん


主催:文化薫る地域の魅力づくり実行委員会、鹿児島市
企画:かごしま文化情報センター(KCIC)アートディビジョン

PLAN:
仕事やリサーチなど、他の目的で来鹿した様々な分野の有識者をゲストに行う勉強会。「ゲストが“◯◯で鹿児島に来たついで”にトークをする」といったスタンスで、ゲストも来場者も自由に気軽に参加できる企画としてスタート。より幅広いジャンルの方々とのネットワークづくりも目指し、現代の多様な表現のあり方を模索する。

DO:
vol.1は一般社団法人 鹿児島コミュニティシネマと、また、vol.2は近隣の文化商業施設レトロフト Museoの協力を得て実施。これまでKCICの事業では取り組めなかった映画監督や、デザインの枠を超えて社会問題にアプローチするディレクターともつながり、多様な層の参加者とともに、アートを軸に多様なチャンネル作りを行った。

DATA:
vol.1 32人
vol.2 35人

講師プロフィール:

vol.1
柴田 昌平
1963年東京生まれ。映像作家。初監督作品「ひめゆり」(07)は、キネマ旬報ベストテン(文化映画) 1位など8冠を受賞。ドキュメンタリー番組も数多く制作し、NHKスペシャル「クニ子おばばと不思議の森」は、焼き畑による森の循環と農家の暮らしを紡いだ異色作で、国内外で大きな反響を呼んだ。NHKスペシャル「世界里山紀行 フィンランド・森・妖精との対話」(独・ワールドメディアフェスティバル 銀賞受賞)など、海外で受賞した作品も多い。NHK、民族文化映像研究所を経て、現在は映像製作会社 プロダクション・エイシア代表。

聞き手ゲスト
沢畑 亨
1961年生まれ・熊本県西合志町(現合志市)出身。1980年久留米大学附設高校を卒業、東京大学に入学 1988年東京大学大学院林学専攻修士課程を修了。農学修士。修士論文「80年代後半のむらおこし運動の考察」。同年、西武百貨店に入社。池袋店の食品部企画課に勤務し、北海道物産展などを担当。1989年 西武百貨店を退社。今井俊博氏と「熱帯文化研究開発機構」を創設し、特に都市部の環境問題と住生活についてコンサルテーション・執筆・編集などの活動を行う。伝統的な手工芸品を日本に紹介するため、東南アジア諸国(タイ・マレーシア・シンガポール・インドネシア)を頻繁に訪れる。 1994年 愛林館の館長に全国公募で選ばれ現在に至る。

ついdeサロン vol.1 は柴田昌平監督を迎えて、ガーデンズシネマ(マルヤガーデンズ7F)で行った

vol.2
中川たくま
1978年福岡市生まれ。プランニング・ディレクター。福祉や子どもなどの分野のデザインと、社会的課題に取り組むNPOやボランティア団体のデザインのサポートなどを行う。主な仕事に「SOS子どもの村JAPAN」、「福岡市文化芸術情報館アートリエ」、陸前高田市「箱根山テラス」、「石橋美術館」、「みやま保育園」など。http://aoi-tsuki.com/

ついdeサロン vol.2 は中川たくま氏をゲストにレトロフト Museoで実施

下道 基行 ワークショップ+展示「あいだの島のはなし」
Arts Crossing 06 Annual Report No.【15】

文化庁 メディア芸術祭鹿児島展「境界のあいだ」参加作品

2015年10月31日(日)〜11月14日(土)
場所:ワークショップ 与論島 / 展示 かごしま文化情報センター(KCIC)

主催:文化庁
共催:第30回国民文化祭鹿児島県実行委員会
企画協力:かごしま文化情報センター(KCIC)
後援:南日本新聞社、MBC南日本放送、KTS鹿児島テレビ、KKB鹿児島放送、KYT鹿児島読売テレビ、エフエム鹿児島
企画協力:かごしま文化情報センター(KCIC)
協力:鹿児島県歴史資料センター黎明館、鹿児島県文化振興財団霧島アートの森、アミュプラザ鹿児島、鹿児島ウォーターフロント株式会社、かごしまイングレス研究会、特定非営利活動法人鹿児島サブカルチャー研究所、鹿屋市立第一鹿屋中学校科学同好会、肝付町教育委員会、グッドネイバーズ・ジャンボリー実行委員会、城山観光ホテル、一般社団法人セカンドホームタウン、第一工業大学 根本研究室、長島町、学校法人原田学園キャリアデザイン専門学校、株式会社 山形屋
運営:文化庁メディア芸術祭鹿児島展実行委員会事務局(MBC開発株式会社)

与論島でのワークショップの様子

PLAN:鹿児島県全域において行われる国民文化祭かごしまの参加企画「文化庁メディア芸術祭鹿児島展」。(1) 既存の概念「メディア」とはなにか、を、改めて考え直すこと、また、(2)南北600キロ、多くの島を持つ鹿児島を舞台に行うメディア芸術祭を機に、島に住む人々の暮らしを知ること、の2つの目的をもって、ワークショップを実施。人や土地のあいだに存在する見えない境界や埋もれた歴史をリサーチした作品「14歳と世界と堺」をあいちトリエンナーレで発表した下道基行氏を招聘する。

DO:鹿児島県の最南端与論島に、下道氏に1週間滞在してもらい、地域の人々に向けたワークショップを実施した。学生を終えて職を求めて島を出る人や、また島にとどまった人各々の暮らし、また日常的に船を使って島を渡り物資を仕入れる生活など、現地に住む人々の言葉から見えないが存在する境界線をあぶり出してテキスト化し、それを与論島〜薩摩半島を結ぶ船の窓で描きながら映像作品にした。

DATA:
ワークショップ参加者 30人
展示来場者 300人

TIME LINE:
2014年
12月 下道基行氏に企画立案、メディア芸術祭事務局に打診

2015年
6月 実施決定。旅程の提案と検討。(〜8月)
8月 下道氏与論島へ。地元の協力者とともに3地域でワークショップを実施。
10月 かごしま文化情報センター(KCIC)で展示(〜11月15日)

ワークショップ 現地コーディネート :出村雅代、喜村輝代

下道 基行氏(左)による与論島でのワークショップの様子。
かごしま文化情報センター(KCIC)内での展示風景
Photo.川越 亮

KCIC WORKSHOP
Arts Crossing 06 Annual Report No.【16】

「影でえがくお話」

撮影期間:2015年9月15日〜10月10日
上映日時:2015年10月17日 18:00~20:30

主催:文化薫る地域の魅力づくり実行委員会、鹿児島市
企画制作:かごしま文化情報センター(KCIC)アートディビジョン
平成27年度 文化庁 文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業

PLAN:鹿児島市の「文化薫る地域の魅力づくりプラン」に基づき開催される市民参加型のイベント「音とあかりの散歩道2015」にて上映される映像を制作する。「あかり」とともにある「影」に着目し、市民のシルエットを撮影。それらを繋いでストーリーを作り、出来上がった映像作品を「音とあかりの散歩道2015」内で上映する。

DO:KCIC内のスタジオBに白いスクリーンとカメラをセットし、訪れた人々の「影」をスクリーンに投射して写真を撮影した。それらをパラパラ漫画のように繋げて編集し、ストーリーを持った映像作品を制作した。たまたま来所した市民や撮影目的で訪れた家族等が撮影に参加。イベント当日は会場である「かごしま文化ゾーン」の西郷銅像左側の道沿いにある石蔵風の「DINIZ CAFE」の白壁で上映した。周辺の環境と石造りの壁に投影された映像が融合した場に道行く人々も足を止めて魅入っていた。撮影に参加した市民も訪れ、普段とは違う自分たちの姿を楽しんでいた。

関連企画:「音とあかりの散歩道」

DATA:
撮影参加人数 27人

PRESS:
BTVケーブルテレビ

Photo.中村一平(リアライズ)

Information

情報発信

KCICの情報発信

PLAN:
情報センターとして、紙、web、イベントスペースと様々なメディア(媒介物)を使った文化の発信を行う。あわせて、それを保存していくことで、クリエイティブを軸にした現代の記録活動としての位置付けを持つ。

DO:
かごしま文化情報センター(KCIC)内でのイベントや企画を、各々の媒体にて発信と記録を繰り返し、多数のメディアを扱いながら、より効果的に情報を発信・記録できる方法を模索している。

KCIC Arts Crossing

1. KCIC Arts Crossing
Arts Crossing 06 Annual Report No.【17】
 2015年12月 3000部発行 / 2016年3月 3000部発行
 ※【オープンKIITO2016】ONLY FREE PAPERのオールタイムベスト100「今読んでほしい50誌」に選出

2. KCIC ウェブサイト 県内外の記事数 229件
Arts Crossing 06 Annual Report No.【18】
http://www.kcic.jp/

3. KCIC BOOKS 発行数 5冊
Arts Crossing 06 Annual Report No.【19】
[1]アーティストシリーズ「フリツモ」あいだだいや 著
[2]地域×アートシリーズ「断片の脈動〜現代に息づく伝統・民俗芸能」
 手塚夏子 著
[3]かごしまのうわさプロジェクト ドキュメント
[4]KCIC アートマネジメント ラボ ドキュメント
[5]KCIC アニュアルレポート(本誌)

4. KCIC メールマガジン 発信数 2015年6月〜 月1本
Arts Crossing Annual Report No.【20】

5. KCIC LIBRARY 蔵書数 300冊(2016年3月末現在)
Arts Crossing 06 Annual Report No.【21】
 詳細はKCIC LIBRARY 蔵書一覧ページへ

6. KCIC ART NEWS  累計設置数 650件
Arts Crossing 06 Annual Report No.【22】

7. BOX-ROOM Gallery 作品数 8作家
Arts Crossing 06 Annual Report No.【23】

Collaboration work
&
Activities of Music Division & Traditional Arts Division

音楽・地域伝統芸能、及び協働企画に関する活動

音とあかりの散歩道
Arts Crossing 06 Annual Report No.【24】

2015年10月17日(土)
場所:鹿児島市立美術館前庭、かごしま近代文学館・メルヘン館中庭、照国公園(県立博物館考古資料館前)、探勝園

主催:文化薫る地域の魅力づくり実行委員会、鹿児島市
平成27年度 文化庁 文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業

PLAN & DO:
2013年より、市立美術館を中心にしたかごしま文化ゾーンを舞台に行う音楽とあかりの作品のイベント。地元の演奏家や伝統芸能保存会の約26団体による演奏と美術や建築を専門とする学生ら8団体によるあかりの作品を展示し、多くの人に鹿児島の景観・文化を体感する機会を提供した。

関連企画:KCIC WORKSHOP「影でえがくお話」

DATA:
来場者数 2,500人


出演者等

【市立美術館前庭】(17:10〜20:25)
名山小学校金管バンド
鹿児島国際大学福祉社会学部児童学科中村ゼミ(トーンチャイム)
ヒロ日高&アロハワイキキ・リリレフア(ハワイアン)
Y・Gクワイヤ(ゴスペル)、duboi(original pop)
筝曲コンモート(筝)
L’allure(木管五重奏)
Prunus(コーラス)
ユーフォニアムアンサンブル リフレクションズ
合同フィナーレ

【かごしま近代文学館・メルヘン館中庭】(18:00〜19:30)
みつば(アカペラ)
坂元めぐみ・川畑佳子(ハープ・フルート)
少年ラヂオ(アコースティック)
谷口征夫・濵田真理子(オペラ)、三好恵子(ピアノ弾き語り)

【探勝園】(18:00〜19:30)
好好二胡(二胡)
le vent(島唄)
elegant+bob(サクソフォン・キーボード)
本藏理恵・村尾智美(箏・フルート)、Crescent(アカペラ)

【照国公園】(17:10〜19:30)
ブルーバード(大正琴・ドラム・トロンボーン)
レイール・ノーツ(ゴスペル)
ビタースウィートシスターズwithハウオリーズ(ハワイアン)
前之浜チョイのチョイ踊り保存会(伝統芸能)
木下賢也&madoka(打楽器と踊り)
美女と野獣(ポップス)
じょい&Joy(ゴスペル)

※会場別、出演順

【あかり制作・作品展示】
根本修平+第一工業大学根本研究室、鹿児島大学教育学部美術専修有志、松陽高等学校美術科1年、湧水町+霧島アートの森MBC学園、城山町二の丸あいご会、鶴丸城二の丸通り会、「音とあかりの散歩道2015」出演者、かごしま文化情報センター(KCIC)アートディビジョン

根本修平+第一工業大学根本研究室生による「かぶる灯り」
Photo.中村一平(リアライズ)

~第30回国民文化祭・かごしま2015開催記念~
2015ふるさとコンサートin桜島
Arts Crossing 06 Annual Report No.【25】

2015年10月24日(土)  17:30〜20:00
会場:鹿児島市立桜峰小学校体育館
主催:文化薫る地域の魅力づくり実行委員会、鹿児島市
協力:桜峰校区公民館運営審議会、マグマレンジャー
平成27年度 文化庁 文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業

PLAN & DO:
平成25年度より地域文化の振興につなげようと行っている音楽と伝統芸能のイベント。今年は桜島にある桜峰小学校体育館で開催した。桜島地域に古くから伝わる伝統芸能「桜島・島廻り節」、「松浦鎌踊り」、「小池島廻り踊り」と、地域外の伝統芸能として「広木虚無僧踊り」の他、地元の小中学校による音楽の演奏やダンスなどが披露され、最後は桜島火の島太鼓とゲスト出演の松本圭使JAZZ QUARTETが秋の一夜を締めくくった。イベントの運営には地元の桜峰校区公民館運営審議会と同校区のボランティア団体のマグマレンジャーから全面的な協力をいただいた。またディスプレイとして地元漁師よりボートや網の提供をうけ、海に近い会場ならではの雰囲気を醸し出していた。演目の合間には出演者代表へのインタビューがあり、子どもたちの練習の様子や本番を終えての感想などを聞くことができた。練習の苦労だけでなく、微笑ましいエピソードもあり、会場は終始、温かい雰囲気に包まれていた。

桜峰小学校 下駄タップ

当日の内容:
第1ステージ 17:30~18:10
・トーンチャイム演奏(黒神小学校/黒神中学校)
・受け継ぐ先人の教え(東桜島小学校)
・金管バンド(桜洲小学校金管バンド)
・ダンスと器楽(桜峰小学校)
・吹奏楽(桜島中学校吹奏楽部)

桜島島廻り
鎌踊り
小池島廻り踊り

第2ステージ 18:10~18:45
・桜島・島廻り節(東桜島・島廻り節保存会/東桜島中学校)
・松浦鎌踊り(松浦鎌踊り保存会/桜峰小学校)
・小池島廻り踊り(小池島廻り踊り保存会)
・広木虚無僧踊り(広木虚無僧踊り保存会)

松本圭使 JAZZ QUARTET

第3ステージ 18:55~20:00
・和太鼓(桜島火の島太鼓)
・松本圭使JAZZ QUARTET(ゲスト)
 (ピアノ)松本圭使、(トランペット)古城憲
 (ベース)坂元陽太、(ドラム)香月宏文

かごしま伝統芸能
ネットワーク会議
Arts Crossing 06 Annual Report No.【26】

2015年5月30日(土) 16:00~20:00
会場:ホテル満秀
主催:文化薫る地域の魅力づくり実行委員会、鹿児島市

PLAN&DO:鹿児島市内で活動を行っている地域伝統芸能の保存団体同士のつながりをつくるため、平成25年度より開催。地域伝統芸能に関する前年度の事業報告と今年度の事業計画、また、伝統芸能伝承サマーキャンプや出演依頼予定の催し物などの説明後、意見交換を行った。今回は3回目の開催であるが、初めて各団体や個人功労者への感謝状の贈呈を行った。長年に渡る伝統芸能の保存・継承活動に対し、感謝状の贈呈を受けた参加者は今後もさらに保存継承に取り組んでいきたいと意気込みを語っていた。また、意見交換の場では、後継者の問題や使用する道具についての入手方法、作成の方法など、団体や踊りの種類を超えて共有できる事項が多々あり、ネットワーク会議の意義を大いに実感する場となった。さらに会議後の懇親会では異なる団体で世代が近い者同士が交流する姿が多く見受けられ、それぞれの励みとなったようだ。

会議参加者 各団体52名(28団体)、部会6名、事務局9名、計67名
感謝状贈呈 団体28、個人29名
懇親会参加者 各団体43名(28団体)、部会6名、事務局9名、計58名

当日の内容:
1.市民局長あいさつ
2.国文祭PR
3.各伝統芸能保存団体及び個人功労者への感謝状の贈呈
4.文化薫る地域の魅力づくり実行委員会の地域伝統芸能に関する事業について
 (1)平成26年度事業報告
 (2)平成27年度事業計画
 (3)伝統芸能伝承サマーキャンプ
 (4)本年度の出演依頼予定の催物
5.意見交換
6.その他   終了後、懇親会

参加団体一覧
東桜島島廻り節保存会
帯迫棒踊り保存会
中山町下虚無僧踊り保存会
小山田町太鼓踊り保存会
広木虚無僧踊り保存会
正調おはら節保存会
皆房地区棒踊り保存会
山田鉦踊り保存会
下花棚棒踊り保存会
田上上区棒踊り保存会
野頭銭太鼓保存会
錫山石当節保存会
谷山芸能保存会
せばる隼人舞保存会
茂頭棒踊り保存会
川上棒踊り保存会
中ノ町鉦踊り保存会
本城棒踊り保存会
城内天狗踊り保存会
吉水棒踊り保存会
小池島廻り踊り保存会
瀬々串棒踊り保存会
中名下棒踊り保存会
仮屋崎早乙女踊り保存会
前之浜チョイのチョイ踊り保存会
西上太鼓踊り保存会
大平獅子舞踊り保存会
岩戸疱瘡踊り保存会

伝統芸能伝承サマーキャンプ
Arts Crossing 06 Annual Report No.【28】

2015年8月1日(土)・2日(日) 1泊2日
会場:県立青少年研修センター、名勝仙巌園・尚古集成館
主催:文化薫る地域の魅力づくり実行委員会、鹿児島市

PLAN & DO:伝統芸能保存団体間の交流・親睦を図り、伝統芸能の伝承と演技レベルの向上につなげるため、地域伝統芸能の継承者である児童や指導者等を主な対象として、地域伝統芸能に関する研修・交流の場としてサマーキャンプを実施した。まず、オリエンテーションにて自己紹介を行い、昼食後に研修Ⅰを青少年研修センターの職員の指導のもと行った。親睦を目的とした研修Ⅰ(プラホビーづくり・レクリエーション)では緊張もだいぶ和らぎ、所属の団体にかかわらず積極的に交流を深めた。研修Ⅱではこのキャンプの最大の目的でもある伝統芸能についての座学と基本動作の研修を行った。大人も子どもも関係なく皆、真剣そのものであった。2日目は本実行委員会の地域伝統芸能部会長であり、仙巌園・尚古集成館の展示プロデュースやデザインを手がけている砂田光紀氏が同園内を案内し、郷土の歴史についても知ることのできるよい機会となった。

当日の内容:
研修Ⅰ プラホビーづくり・レクリエーション
研修Ⅱ 郷土芸能の記録映像視聴・基本動作の研修
所外研修 仙巌園・尚古集成館散策

DATA:
吉水棒踊り保存会 児童7名 指導者等3名 計10名
川上棒踊り保存会 児童5名 指導者等5名 計10名
帯迫棒踊り保存会 児童5名 指導者等7名 計12名
野頭銭太鼓保存会 児童8名 指導者等4名 計12名
地域伝統芸能部会関係者 10名 実行委員会事務局 6名
合計60名

郷土の古流剣術「ジゲン流」を体験する子どもたち

おわりに

「外に拓く、外から見る」

ゼロから立ち上げたKCICは、何をやっていくかももちろんでしたが、人も仕組みも、ルールもすべて作っていく必要があり、走りながらそれらを手探りで作ってきたことは、昨年のアニュアル本の最後にも書きました。それぞれの担当が日々のオペレーションをしながら事業もこなし、その上でそれぞれの個人ベースの特性を活かしたアイデアを出し合い、それらを事業に盛り込めるようになった2年目。そして、3年目の今年2015年度は、それらの実績をもって「外に拓いていく」年となりました。
2015年は、鹿児島が文化面において外へと大きくアピールした年で、国民文化祭、文化庁メディア芸術祭鹿児島展が開催されました。メディア芸術祭鹿児島展に関しては、主催者よりKCICに対して直接企画協力の依頼があり、市町村事業としての鹿児島市事業とは別に、その成果に大きく寄与することができました。
また、開所以来、地道に関係を築いてきた3館(アミュプラザ鹿児島・山形屋・マルヤガーデンズ)合同企画は、昨年度から約7か月にわたって企画展開してきた「うわさプロジェクト」と連携させて、天文館地区においてはWe love天文館協議会11通り会すべてを巻き込んでの未だかつてない着地をみせた事業として結実しました。

KCIC WORKSHOP 出張プログラム 「わたしたちの地域辞典をつくるワークショップ」vol.3 松元・石谷地区編より、地域を見つめる子どもたち

その他、これまでKCICを拠点として行ってきたKCICワークショップのコンテンツや実績を鹿児島市全体に広げようとする「KCIC出張ワークショップ」や、同じく今年度から新規に始まった「ついdeサロン」での外部企業や団体、個人との連携など、多くの人たちや場面で、KCICを知っていただく、関わっていただく、感じていただくことができたと思っています。
まちづくり・ひとづくりを目的とする文化薫る地域の魅力づくりプランの拠点であるKCICが、鹿児島市役所の中に存在し、これまでのパブリックにない関わり方で、ひとやまちと丁寧に関係を築いていこうとしているのは、潜在意識の中にあってそのひと自身やまちそのものが気付いていない「まちがこうだったらいいな、もっと楽しいだろうな」「こんなまちだったら大切にしたい」のための「何か」をアートを通した活動で可視化する、若しくはそのひと自身から引き出す・気づいてもらうためです。
まちはひとが作っていて、ひとの中にすべてはある。気づいたひとからちょっとずつでも変わっていくとすれば、まちは少しずつでも確実にそのひとにとって大切にしたい楽しいところになり、そんなひとが暮らすまちは、外からも魅力的なまちに見えると思っています。

かごしま文化情報センター(KCIC)
アドミニストレーション
早川由美子

地域の伝統芸能を継承するために公民館に集まる人たち。
(中山町下虚無僧踊り保存団体『地域×アート「わたしたちのうた、わたしたちの踊りをつくる」プロジェクト2015』より)

KCIC アニュアルレポート 03

2016年3月31日 発行 初版

企画編集:かごしま文化情報センター(KCIC)アートディビジョン
カバーデザイン:戸塚晶子(CO STUDIO)
発行:KCIC BOOKS

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かごしま文化情報センター(KCIC)

アートを軸に、ジャンルを超えた表現活動を発信する鹿児島市のアートセンター。

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