2009年の夏、ようやくヨーロッパへの旅が実現した。1年間の研修でブリュッセルにいる妹を訪ねて、研修の終わる3週間ほど前ぎりぎりの忙しい時期に。というのも同行したボーイフレンドのWの卒業旅行を兼ねているからだ。Wもヨーロッパは初めて。
7日間の旅の日程は前半ブリュッセルに滞在しつつ日帰りでアムステルダムとブルージュ、後半はパリ。前半は妹が色々と世話をしてくれるので楽だが問題は後半のパリだ。何はともあれ、とりあえず無事飛行機が着陸してホッとする。
妹にも無事会えて、ブリュッセルへ向かう前に一休み。飛行機は午前11時頃に着いたので迎えに来た妹は「朝早く起きたから何も食べてないんだよね〜」と2階のカフェでコーヒーとドーナッツを頼む。CDGの建築(天井)に感動。かっこいー
ちなみに2階へ昇るエスカレーターの手前でアジア人の団体(若者)が次々とスーツケースとかを乗せるカートを放置していてものすごく邪魔。日本人じゃなかったけど海外に出たらアジア人なんて皆同じに見えるのになぁ、と切なくなる。マナーが悪いのは観光客として恥ずかしい!
パリから3時間ドライブし、ブリュッセルにある妹のアパートに到着。この辺は「年寄りと日本人しか住んでない」らしい。緑が多くていい感じ。空は曇ってるものの、小雨はなんとか止みこっちもやる気が出てくる。
フリッツ!フレンチフライは、ここではフリッツと呼ばれている。以前見た旅先グルメ番組ではブリュッセルに行き、フリッツを食べるベルギー人に「で、フレンチフライの発祥地は?」と聞くと「は?フリッツでしょ。ベルギーにきまってるじゃん」という答えが返って来ていた。コーン状になった紙に太めのポテトが入って、ソースを選ぶ。ケチャップ以外にもマヨはもちろんカレーケチャップ?など色々ある。
チョコ!!ノイハウスという150年の老舗に連れて行ってもらい、かなり迷う。お土産に箱をいくつか買い、あとはその場で食べるように並んでいる中からひとつひとつ選ぶ。アメリカのチョコと違って上品な甘さ。おかげでもっと大切に少しずつ食べるつもりが、次から次へと食べてしまった。というか、もっと買えばよかった...
写真を撮ってもいいですか?とお店のお姉さん(多分年下)に英語で聞くと「もちろん!」と愛想良く答えてくれた。妹曰く、ブリュッセルは皆親切で英語も通じるし、国際都市の中でも犯罪が少なく安全らしい。EUの本部があったりかなり外国人が多いらしく、生粋のベルギー人の方が珍しいとか。
いわゆる大広場。行ってみると意外とそこまで大きくないものの、建築物は気合いが入っている。壮大な感じというよりは仕事が細かくて美しい。ヴィクトル・ユゴーも世界一美しいと讃えたらしい。写真左にちょっと写っている建物は市庁舎で、これは15世紀に建てられたもの。正面はギルドハウスたち。
グランプラスを通り抜けて少し歩くと、いた。
意外とちいさい小便小僧。
ビール。本場ベルーギー人に勧められた小便小僧の向かいにあるバー、「Poechenellekelder」へ。ビールリストが充実していてビール好きにはかなりお勧め。長い名前は「人形の館」的な意味で、こぢんまりした店内には小便小僧の数々の衣装の写真やらがあり、さらに地下におりると人形劇のステージっぽいセットまである。薄暗くて怖いような気もするが、妙に心地よくもある。
頼んだのはギロチン!ビール。種類はブロンドで気味の悪い名前とは裏腹に飲みやすかった。
翌朝ブリュッセル・ミディ駅からアムステルダム行きの特急に乗る。アムスまでは約2時間半かかる。帰りの電車のチケットも合わせて妹があらかじめ買っておいてくれた。帰りはくれぐれも乗り遅れないように、と念を押される。
ヨーロッパの電車はこれが初めて。「世界の車窓から」をイメージしつつ乗り込む。電車が途中で遅れたりなどして、11時頃アムステルダムへ着いた。
自転車と運河と古い建築物。坂のないアムステルダムは自転車人口が中国並みに多い。中国行ったことないけど。駅を降りるとさっそく右手に自転車置き場が見えた。ちょっと日本の駅っぽくもある。そして正面には運河。運河下りの観光ボートもたくさんある。ちなみに自転車もそこかしこでレンタルできるようになっている。私たちはまず歩いてみることにした。
カフェで一休みしているとしっぽの短い猫が中に入って来た。客が「ここで飼ってるの?」と聞くと「いや、この辺が縄張りらしいんだ。たまにケンカしてるよ。」と、お店の人は気にしない。
ふらっと入って来てまたふらっと出て行く。
ブリュッセルもそうだったけど、アムステルダムも落書きが多い。多いというかいちいち消されないだけなのかもしれない。
ミミズの意味はよくわからない。
これは落書きではない、と思う。爆発!
この建物何だったんだろう。
フリッツを人に手渡す神。
かわいらしい家番号。
花市場のある小さな通りへ入ってみる。ちょうどシャクヤク?牡丹?の季節。チューリップもお忘れなく。
アムステルダムには数々の美術館や博物館がある。例えばアンネ・フランクの家もそうだし、ゴッホ美術館も有名だ。その中でも全然有名じゃない猫ミュージアムに行ってみた。大体 Katten Kabinetという名前がかわいい。外観は普通の家で、看板もこれだけ。中に入ると年配の女性が迎えてくれた。入場料を払って2階へあがると壁一面に猫の絵が。世界中から集めたであろう猫の絵やポスターの数々がただただ飾られている。1階では同じポスターが売られていて欲しくなったものの、Wに止められ断念。かわりに絵はがきを2、3枚と本を買う。女性(館長?)に「もっとゆっくりしていけばいいのに」と言われた。
ちなみに本物の猫はいなかった。
アムステルダムは運河のおかげで地理的にわかりやすい。数ブロックごとに運河で区切られていて、駅を中心として扇状に広がっている。
今度行くときはボートに乗ってみるのもいいかもしれない。
とある広場では仮装した人たちが点々と立っていた。何かのパフォーマンスなのか、観光客寄せなのか。
オランダっぽさ満点。
私たちは結局自転車も借りずにアムステルダムを歩きまわった。ゴッホ美術館をじっくり見たりのんびりと運河を眺めたり、飾り窓を足早に通り過ぎたりしていたらあっという間に帰りの電車の時間が近づいてしまった。
余裕を持ってアムステルダムの駅に着き、正しいホームを見つけて正しい電車に乗り込んだ。あとは2時間半電車に揺られてブリュッセルで降りれば妹が迎えに来てくれているはず。
ブリュッセル・ミディ駅が近づく。電車が止まると同時に「この駅で別の車両が結合するのでその間は車内から降りないように」とのアナウンスが英語で流れた。周りの客も誰も立っていない。しばらく待っていると電車はゆっくりと動き出した。かと思ったら、ぐんぐんスピードをあげて走り出してしまった。
「え!?」すると妹から電話がかかってきた。「何で降りてこなかったの?」「えーー!」
慌てて車両を渡って車掌を探す。「次の駅はどこですか?」「Paris」えーーーーーー!!!
パリまで2時間ちょっと。普段はパリについてすぐにまたブリュッセルに戻るこの電車も、金曜日はこれで最終とのこと。夜の10時をすぎる頃、車窓に流れるフランスの田舎に沈む夕日を私たちは切なく眺めた。
「いやぁ、昨日は本当にごめん。」朝ご飯にベルギーワッフルを立ち食いしながら妹に言う。朝ご飯と言ってももう昼近い。あのあとパリの北駅に着いた私たちは妹の指示に従い電車で再び前日降り立ったドゴール空港まで行き、そこで車で迎えに来てくれた妹と再会した。風邪気味の妹は「いいよいいよ、無事で何より」と怒りもせずに笑っていた。泣ける。結局ブリュッセルに戻ったのは午前3時過ぎ。
起きたのは昼近くなっていたものの、本日は予定通りブルージュに行くことにした。ブルージュはブリュッセルより北にあるフランデレン地域の町。ローカル線に乗って行けるのでのんびりで大丈夫。なのでその前に腹ごしらえ。
ブリュッセルの駅でブルージュ行きの電車を待っていたらこんな落書きつきの車両が来た。
ブルージュ、もしくはブリュッへ。現在では観光地化しているけど、それでも小さな町なので駅もこぢんまりとしている。12世紀以降運河を通じて貿易が盛んになり栄えたらしいが16世紀以降衰退。19世紀後半になって小説「死都ブルージュ」という小説のおかげで観光地として再び活性化されたらしい。いまでは世界遺産に認定されている。
駅から大通りを渡って小道を通り抜けるとミネウォーター(愛の湖)。白鳥がいるらしいことはインターネットによる下調べからわかっていたけど、見当たらない。
いた!!
なんじゃこりゃ!!!
さっきからふわふわ風に舞っていたのは羽だったのね。あまりの羽の多さに驚きを隠せない。白鳥、という優雅なイメージとはかけ離れた景色。白鳥もただの鳥だった。
まぁでもこうして見るとやっぱり美しい気もする。
ブルージュもベルギーということで、ビール。ここはブルージュ唯一の醸造所、ドゥ・ハルヴ・マーン。ランチがまだなのでここのレストランで一杯飲みながら食事を取ることにした。工場見学は時間の関係上やめていおいた。
忙しそうながらも親切なおばさんが注文を取りに来た。Brugse Zot Blondeと Brugse Zot Bruinをそれぞれ頼む。
海が近いのでメニューにはシーフードが多かった。私が頼んだのは小エビのサラダ。さっぱりしておいしかった。Wはスモークサーモンのサラダを頼む。サーモンが好きなのでついつい頼んでしまうらしく、アムステルダムでの昼食に続いて二日連続のサーモン。こちらも美味。無理のない感じのメニューが感じ良かった。
昼食後ぶらぶらと観光を開始。まずは聖母教会へ。この教会の聖母子像はミケランジェロ作。このときは気づかなかったけど、防弾ガラスが前にあるらしい(サン・ピエトロのピエタが72年に攻撃されたため)。
町の中心に辿り着くと、ブルージュ名物の鐘楼が。これは行く前から上ると決めていた。階段は366段。余裕余裕、と入場券を買ってしばし待つ。入場制限があるのだ。
しばらくして塔内に入ってみると、ずいぶんと狭いらせん階段が延々と続いている。らせん状なのでらせんの中心に近づくにつれて足場がなくなる。上りも下りも同じ階段なので、下りてくる人がいると壁に体をぴったりとつけて通り過ぎるのを待つ。しかも上に行くに従ってますます狭くなる。階段の段数よりもその狭さがハードだった。
塔からの眺め。まさにヨーロッパな感じの建物たち。
のぼってよかった。
パリまで270キロ
ビール。Hoegaarden はポピュラーなビールでアメリカでも手に入りやすい。本場ベルギーでも、と頼んでみる。やっぱりうまいね!私はこれが一番好きかもしれない。
ブルージュでの一日を満喫し、のんびりとブリュッセルへ戻る。妹と待ち合わせて夕食後外へ出るとようやく暗くなっていてグランプラスのまた違った顔を見ることができた。無事に一日を過ごして帰って来れたことがありがたい。
11時過ぎに妹に誘われてパーティーへ。日本へ転勤になった同僚の送別会だそう。彼はブリュッセルの中心にほど近いロフトに住んでいてそこに30人近く集まった。妹の同僚たちはやはりみんな国際的で、世界各国から来ているようだった。「アメリカではダンスミュージックはゲイの音楽なの?」とゲイの男の子に聞かれたり、EUで働いているというなんだかそれだけで優秀な雰囲気の子と仕事の話をしたり、疲れていたにも関わらず楽しむことができた。
ブリュッセル市街の脇道を入ったところにひっそりと佇む小便少女を訪ねる。遠くを見ながら笑顔なんだけど、なんか気まずくて目を合わせづらい。
小便少女の真向かいには本日の目的であるDelirium Cafe。ここは2004年に2004種類のビールが飲めるというギネスを達成したビールの聖地。看板のピンクの象は Delirium Tremens というビールのマスコットであり、飲み過ぎると見える幻覚の一種(の表現)でもある。
Delirium Cafe はベルギー旅行が決定して真っ先に決めた行き先のひとつ。
店内の天井にはいろんなビールのお盆が。ピンクの象が見え隠れするが、まだ酔ってはいない。
日曜日の昼間だったせいか店内は空いていたけれど、時間帯によっては混んで結構騒がしい感じにもなるらしい。サイトなどで読むかぎりでは行った時の混み具合によって人々のカフェの印象がだいぶ違ってくるようなので、あまり混まなさそうな時間を狙うのがお勧め。
店に入って空いていた席(といってもほとんど空席)に座り、いざビールを頼もうとすると、そのビールは下の階に行かないとないとのこと。「地下なんかあったんだ」と驚く妹。言われた通り地下に下りるとこちらの方が多少賑わっていた。通常のメニューは全種類が載っているわけではなく、2004のメニューはカウンターで頼むとでかいバインダーが渡される。そんなに多くの中から選ぶのも気が遠くなりそうなのでお手頃メニューをじっくり眺める。
Wがまず頼んだのはベルギー人お勧めのLucifer。ベルジャンスタイル・ペール・ストロング・エール。続いてSatan Gold と、悪魔つながりのビール。これはおいしかった。
私はFlorisというフルーツ系のビールシリーズの中のハチミツ味に挑戦。ほのかにハチミツの甘さが確かにある。なんだか全体的にカルピスっぽい。
ベルギー最後の夜は妹の別の同僚の家に招待され、猫も入れてみんなでのんびり。ベルギーは本当に住みやすそうな、良いところだったなぁ。
さて、いよいよパリ。早朝、妹が予約しておいてくれた電車に乗り込んで揺られること2時間弱、パリの北駅に着いた。朝の北駅は夜中予定外に着いてしまった時に比べるとだいぶ感じが違う。通勤の人も多そうな感じで活気がある。外へ出てタクシー乗り場へ行くと雨のせいか、かなり並んでいた。パリで借りるアパルトマンの管理人との待ち合わせ時間までにまだ1時間もあるので急ぐこともなく、タクシーを待つことにした。
アパルトマンのある路地の角でおろしてもらい、そこにあったカフェにひとまず入って朝ご飯を頼んだ。私はさっそくクロックマダムを頼む。美味い。Wが「何それ」とうらやましそうにのぞきこんだ。
アパルトマンは小さいながらもかわいらしくて心地のよいスペースだった。オーナーの名前が壁にかかった絵のサインと一緒だったのでアーティストなんだろう。窓の外は中庭で緑ものぞいている。ホテルにしなかったけど大丈夫なのかな、とぎりぎりになって心配したけど、良かった。低価格の上にすぐ隣がスーパー、さらにポンピドゥーセンターが目と鼻の先。ノートルダムにも歩いて行けるという便利さ。我ながらいいチョイス。
荷物を置いて、さっそくノートルダム寺院へ。これも徒歩10分以内。小雨が降ったりやんだりの中でもさすがに大勢の観光客で賑わっていた。まずは外観をじっくり眺めてから中へ。
有名なバラ窓。画家になりたくてフランスに憧れ、結局美大ではなく仏文科に入った母はノートルダム寺院のバラ窓を象ったネックレスをいつもしていた(実際ノートルダムのおみやげらしい)。なのでこれは実物を見ておかなければ、と何となく思っていた。
ノートルダムから小雨の中をてくてく歩き、左岸へ渡る。カルチェ・ラタンを通り過ぎ、サンジェルマン辺りで早めの夕食。ラタトゥィーユと白身魚。やっぱりレストランに入るときが一番緊張する。辞書をこっそりみながら(堂々と見ればいいのに)しどろもどろ。
食後は有名なカフェを一目見ようと、途中ソルボンヌ大学の横を通りつつサンジェルマン・デ・プレへ向かう。ここにはカフェ・ドゥ・マゴとカフェ・ド・フロールが通りを挟んで並んでいる。かつて芸術家や文化人が愛用したカフェ。高いので入ることはせず。ヘミングウェイやピカソが通っていたと言われてもなんだかシュールでふーん、という感じ。
2日目は割と早朝に目覚め、ポンピドゥーセンターの隣のカフェへ。ここならポンピドゥーのフリーワイファイが使えるからだ。ところが時間が早すぎて朝食はやっておらず。コーヒーだけを頼んでしばらくゆっくりと朝の静けさを楽しんだ。
ポンピドゥー近くの建物。アールヌヴォーのドアが美しい。こういうのがさりげなくあるのに気づくと、パリに来た感じがする。
かと思えばすぐ向かいにこんなストリートアートも。雪の感じとか黒猫がなんだか詩的でいいんだけど、角に走るうんこも描き足されていて実に味わい深い。
モンマルトルの駅からサクレ・クール寺院へ歩く。「モンマルトルの丘」というからどんなものかと思ったら、坂だらけだった。しまいにはこんな急な階段まで。
2011年11月3日 発行 converted from former BCCKS
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