ベルリンのHauptbahnhofからプラハに向かう。
電車の窓がきれいではなかったので、
印刷のおかしい絵はがきみたいな写真になった。
そういえば、プラハの駅で花屋のお姉さんから聞いた
この旅の中で一番心に残った一言。
駅の中にある、古いドーム型の屋根を探して
みつからなかったのでお姉さんに聞いてみた。
どのガイドブックにも載っている場所なのに
駅で働いているその人はわからないと言う。
俺が「すごくキレイなやつですよ」と言うと、
「自分たちにとっては普通だから、何がキレイか気にしたことがない」
と言う。くそー、悔しい。
山の中で育った人は「エコロジー」なんて言う必要がない、
みたいなことだよな。

レトロな未来も、伝統も、なんでもある。
フーツリスタ、クビスタ、ハプスブルグ、コミュニズム、
モード、中世、何をテーマにしても同じ日に撮影ができそうな
不思議な街。以前、予算がない仕事はプラハで撮影というのが
流行したことがあるけど、わかる気がする。

建物の写真をたくさん撮ろうと思っていたんだけど、
人物ばかりスナップしていた。
特に夜は、街灯が少なく暗い中を店の光に照らされて
映画のように美しいライティングになる。
明るい店の前で待ちかまえて、何時間も人を撮った。
まるで自分のシャッターのタイミングに合わせてくれて
いるかのようにプラハの人がフレームの中のいい場所に写っていた。