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カフェ・シェリー 何が幸せ?

古賀弘規

ユーアンドミー書房

何が幸せ?

「今日はあと一件か…でもまだ約束まで時間があるな」
 私は汗を拭きながら、手元の手帳と腕時計を交互ににらんだ。営業の仕事についてもう何年だろう。課長という立派な管理職を拝命したはいいけれど、部下らしい部下なんていない。年齢はもう四十代後半。部長にでもなればもうちょっと左うちわの生活ができるのだろうが、それも見込まれない。なにしろうちの会社は同族企業だから。
 私は三十になるかというときに前の会社の制度に憤慨し、半ばケンカをして飛び出した。そのころに知り合った女性と意気投合し、結婚と同時に小さな雑貨屋を始めた。だがそれはタダの世間知らずが行ったこと。一年もしないうちに資金が尽き、結局お店はたたんでしまうことに。妻はパートに出て私は今の会社に再就職。そこからはパッとしない人生が続いている。
「ふぅ。もう秋だというのにまだまだ暑いな」
 ハンカチで額の汗をぬぐう。営業という立場上、ネクタイとスーツはこの暑さでも欠かせない。クールビズなんて言ってはいるが、うちみたいな小さな企業では見た目の信頼が第一だから。
「まだ時間があるか…ちょっと休んでいくか」
 そのとき、なぜか大通りの脇道にある小さな通りに目がいった。
「へぇ、こんな通りがあったんだ」
 車が一台通る程度の道幅。道の脇には歩道になるようにレンガ造りの花壇が何カ所か置いてある。そして道はアスファルトではなくカラーのブロックを敷き詰めている。その色がカラフルではあり、なんとなく心を躍らせる。私はその通りに導かれるように足を踏み入れた。おそらく通りの向こうまでは三百メートル程度だろう。両側にはブティックや雑貨屋といった店が並んでいる。どの店も派手さはなく、この通りにしっくりくるシンプルさがある。
「今まで何年もここに住んでいたのに、気づかなかったなぁ」
 おそらく何度かはこの通りを通ったこともあるはずだ。だがそのときは何も意識をすることなく、単なる通り道としてしか認識をしていなかったのだろう。だが今は違う。何かがここにある。そんな期待感を持ちながら、私は道の両側にあるお店一軒一軒に目を通しながらゆっくりと歩いている。
 店は通りに面した一階だけではなく二階にもある。イタリアンレストラン、美容院、甘味屋。私はどこか休憩できるところはないかと目を凝らした。そのとき、ある店の小さな看板が私の目に飛び込んできた。
「Cafe Shelly…カフェ・シェリーか」
 どうやら喫茶店のようだ。
 ここまで歩いてきて、飲食店はいくつか目にしたが喫茶店はどうやらこの一件だけらしい。
「どれ、入ってみるか」
 目にした看板に近づくと、矢印が斜め上を向いている。どうやら階段を上がった二階にあるようだ。
 一瞬、二階に上がるのが面倒に感じた。だがそれ以上に何かを期待させるものが私には感じられた。
 そうして吸い寄せられるように私はカフェ・シェリーの扉をゆっくりと開いた。

カラン、コロン、カラン

 ドアについていたカウベルが心地よく鳴り響く。それと同時に「いらっしゃいませ」というさわやかな女性の声。目の前には髪の長い、ジーンズを履いてエプロンをした女性が立っていた。どうやらここの店員のようだ。その店員のかわいらしい声とその容姿がピッタリ。この女性店員の姿を見ることができただけでもここに来た甲斐があったかもしれない。
 そして奥から遅れて「いらっしゃいませ」という男性の低くて渋い声が。その声も嫌みがなく、むしろ私の心にしっくりと響いた。
 店はそんなに広くはない。おそらく十名も客がいればこの店はいっぱいになるだろう。だが今は誰も客がいないようだ。私は一人で来たため、カウンター席に座ろうとした。
「よかったらこちらのお席にどうぞ」
 女性店員が薦めたのは窓際の席。この席のつくりは少し変わっている。半円に近い大きな天然木のテーブル。そこにイスが四つほど置かれている。詰めればもう二人くらいは座れるだろうか。
 この店はこの他に三人掛けの丸テーブルが一つ。そしてカウンター席が四人掛け。だが四つ目の席の目の前にはきれいな色の二色のボトルがたくさん並べてある。実質三人掛けのようなものだ。店内はとてもシンプルなつくり。茶色と白を基調とした部屋の中には、ちょっと洒落たモダンアートが掲げられている。店の入り口にはおいしそうなクッキーが並べられている。どうやらここで販売をしているようだ。
「どうぞ」
 先ほどの女性店員が水とメニューを持ってきてくれた。このときの彼女の微笑みが私の疲れを一気に癒してくれた気がした。
 メニューを開くと、ここはコーヒーにこだわった純喫茶であることがわかる。耳なじみのあるものから始めて聞くコーヒーが十数種類ならんでいる。と同時にブレンドにもこだわっているようだ。いろいろな特徴のあるブレンドが数種類メニューに並んでいる。私はメニューというより図鑑を見るような気持ちでそれを眺めていた。
「やっぱり汗かいたからアイスの方がいいかな」
 そうつぶやきながらも、私はブレンドメニューの二番目にある「シェリー・ブレンド」というのが気になっている。その説明書きにある「今よりも幸せな気持ちになりたい貴方に」という文句に惹かれた。
「じゃぁシェリー・ブレンドを一つ」
「はい、かしこまりました」
 狭い店なので、私の声はカウンターにいるマスターに直接聞こえたようだ。注文を受けすぐに作業に取りかかるマスター。私はしばらくその様子を見ていたが、徐々にまぶたが重くなってきた感じを受けた。
 気がついたのはコーヒーの香りのおかげか。だがあわてて目を覚ました時と違い、やんわりと眠りから覚めたという感想がピッタリだ。ちょうど気持ちよく目が覚めたら目の前にコーヒーが用意されていた。まさにそんな感じを受けた。どのくらい眠っていたのだろう? やけに気持ちがいい。
「あ、いかん!」
 私はこの時点であわててしまった。へたをすると三十分くらい寝ていたのではないだろうか。そのくらい熟睡をした気がした。
「大丈夫ですよ。私がコーヒーを入れている間だけですから。五分も経っていませんよ」
 マスターは私のあわてぶりを見てそう言葉をかけてくれた。
「あ、そ、そうなんですか。でもよく眠った気がしたなぁ」
「お客さん、ちょっと疲れているみたいでしたからね」
 そう言ってくれたのは女性の店員。
「あ、わかりますか?」
「えぇ、だからその席の方がいいと思って。そこが一番リラックスして眠れる席なんですよ」
 一番眠れる席? そうやって見回すと、確かにそうかもしれない。やんわりとした日差しが差し込み、体全体を包み込んでくれる。そして今まで気づかなかったが、かすかな香りがする。
「そのテーブルにはマイが毎日違ったアロマを用意してくれるんですよ。今日はこんなお客が来そうだから、といってね」
 マスターが笑いながらそう言った。
「うん。今日はなんとなく疲れている人が来るんじゃないかなって思って。だから短時間でリラックスしてもらえるように、ラベンダーの香りにしたの」
 なるほど。
「ウチのマイはこういった直感は鋭いんですよ。さぁ、冷めないウチにコーヒーを一口どうぞ」
 マスターが薦めるので、私はコーヒーを口に含んだ。このとき、得も知れぬ感覚が私を襲った。なんだろう、これは。安心感、感動、いや違う。よくはわからないけれど心地いいのは確かだ。私の様子を見て、マスターはこう声をかけた。
「お客さん、今自分があまり幸せじゃないって感じていますね?」
「ど、どうしてそれがわかるのですか?」
 言われてビックリした。
 私は今人生に疲れていた。このまま定年までこの会社に勤めても、これ以上の出世は見込まれない。今のままあと十数年いるのか。そう思うといたたまれない気持ちになっていた。
 思えば妻と始めた雑貨屋の失敗から人生の負けぐせがついている気がする。子どもには恵まれず、雑貨屋の失敗から借金をしてしまったせいで生活も苦しかった。今は借金こそなくなったが、車一台買うお金すらない。お互いの両親からも子どもが授からないことが原因で疎遠になってしまった。友達と呼べる人もほとんどいない。いるのは会社の同僚で、ただ酒を飲んで愚痴を言い合うだけの仲間だ。
 妻もパートで忙しく、あまり私の相手をしてくれない。まぁ今更相手をしようなんてほどのものは持ってはいないが。こうやってあらためて考えてみたら、私の人生の中で「幸せ」という文字はどこかに置き忘れてきたようだ。
「そもそも幸せな人生を送っている人なんて、ごく一握りの人たちなんじゃないですか?」
「そうかもしれませんね」
 私の言葉にマスターはにこやかな顔でそう答えた。
「そうかもしれませんねって…じゃぁマスターは今幸せなんですか?」
「そうですね。今はとても幸せですよ」
 マスターはまたもやにこやかな顔でそう答えた。確かにマスターの笑顔を見ていると幸せそうに見える。私はここでちょっと意地悪な質問をしたくなった。
「マスターは今幸せだって言っていたけれど、自分が不幸だって思ったことはないんですか?」
「えぇ、そんな時期もありましたよ。私も四十数年生きてきましたけれど、いろんなことがありましたからねぇ」
「ほう、どんなことがあったんですか?」
「まぁ人にお話しすることのほどじゃありませんが。若い頃は貧乏もしました。社会人になってからは仕事でも苦労しましたよ。どうしてこんなことをやっているんだろうって真剣に悩んだこともありました。離婚も経験しましたし。一時期は何をやってもうまくいきませんでした」
 私はマスターに興味を抱いた。そんな人が今幸せだって言えるようになるまで、どんな道のりを歩んできたんだろうか。そんなことを思っていると、カウンターからマスターが出てきた。そしてイスを一つあけて座り、私の方を向いてこう言った。
「お客さん、今考えていることを当ててみせましょうか?」
「私が何を考えているかって…」
「えぇ。お客さん、私がどうして今幸せなのかを知りたいでしょう。そしてもう一つ、今どうして自分がこんな目に遭っているのか。それを話してみたいのではないですか?」
 確かにそう思った。マスターのことを知りたいという欲求もあったが、実はそれ以上に自分の境遇を話してみたくなったのだ。マスターがそう言ってくれたことが安心感につながった。私はおもむろに口を開いて、自分のことを話し出した。
「あ、最初に自己紹介します。私は内村和義といいます。今は事務機器の営業の課長をやっています。会社は小さなところで、社長を始め上の連中は同族で占められています。そのおかげで私にはこれ以上出世の見込みはないんです。この会社に勤めて十五年以上経ちます。それなりに頑張ってきたつもりなのですが、その頑張りをきちんと評価してくれていないんですよ」
 私の話は自己紹介から徐々に会社への愚痴に変わっていった。
「なるほど、内村さんのことをきちんと評価してくれていないんですね」
「えぇ、まだ三十半ばで入社して間もない社長の息子が営業部長になったことでよくわかりました。まだ何の実績もない年下のヤツが私の上司ですよ!」
「そうですか。内村さん、それは悔しかったですね」
 マスターは私の言葉にしっかりとうなずいて答えてくれた。私はマスターに対して安心感を覚えたせいか、さらに言葉を加えた。
「結局会社は私という人間を見てくれていないんです。私だって必死になってがんばっているのに。そう感じたら最近仕事に対して身が入らなくなりましたよ。本当ならこんなところで時間をつぶしている場合じゃないんですけどね」
 そういってしまったと思った。
「あ、すいません。こんなところで、なんて言ってしまって」
「いえ、いいんですよ。それよりも内村さんのハラの中にはまだまだ不満が渦巻いているようですね。よかったらここできれいさっぱり吐き出してみませんか?」
「え、いいんですか? なんかご迷惑じゃないですか?」
 私はちょっととまどった。こんな不満を今まで誰かに話したことなど無かったから。同僚には酒を飲みながらグダグダとした会話をするが、会社に対しての愚痴はなるべく控えている。どこでその話が上司に伝わるかわからないからな。けれどここならば、カフェ・シェリーのマスターなら誰かに洩らすなんてことはないだろう。この際だから私はマスターの行為に甘えることにした。
「マスター、聞いてください。私のところの会社はどう考えてもおかしいんですよ。私が今まで一生懸命営業をやってきて、それなりの成果を出してきたのに。そこは評価されずに失敗したときにはガンガン責められるんです。この前も私のせいじゃないのに納品がちょっと遅れてクレームがきたんです。それをウチの社長は私のせいだといって怒り出すし。そもそも発注処理を遅らせたのは、新しく来た社長の息子の部長なのに…」
 このことを話し始めたら、なんだか急に怒りが湧いてきた。私の話をマスターはしっかりとうなずいて聞いてくれる。
「内村さん、かなりお怒りのようですね。ついでだからお仕事以外のことでもそんな感情があったらここで吐き出してしまいましょうよ」
 マスターのその言葉に誘導されたのか、私の思考はもう一つの気になっているところに移行し始めた。
「だったらもう一つ聞いてもらってもいいですか?私の妻のおばさんのことなんです。私は恥ずかしながら若い頃に一度事業に失敗をして、多額の借金をつくってしまいました。その借金はもう返済は終わっています。でもそのときのことをおばさんは未だに責めるんですよ。それだけならまだ我慢できるのですが…」
「それだけなら、というと?」
「えぇ。実は我が家は子どもができなくて。不妊治療もやったのですが、残念ながらうまくはいきませんでした。妻とは二人でがんばっていこうということで励まし合っていました。しかし、妻の親戚の集まりに出るたびにおばさんが子どものことを持ち出すんですよ。子どもがいると楽しいよ、とか。どうせなら養子でももらいなさい、なんてことを平気で言うんですから。そのたびに妻は涙していたんですよ。それが嫌で妻の実家には近づかなくなりました。また妻は私の親戚にもそういわれるのではないかと怯えて、結局私の実家にも近づかなくなったのです」
 私は下を向いて拳を握りしめていた。こういった話しを人にするのは久しぶりだ。前は知り合いや同僚にもこんな話しをしたことがあったが、そのたびにかけられる言葉が「よくわかるよ、その気持ち」といったたぐいのものだった。
 何がよくわかるよ、だ。自分がその立場になったこともないのに。私はそういう言葉をかけられると、逆に腹立たしくなった。だからこの話しはしばらくしないことにしていた。
 だがここのマスターは「そうか、そうなんですね」と言って、しっかりと私の話を受け止めてくれた。マスターの態度になぜか安心感を覚えた。そのせいもあって、私はもう一つ話したことを思い出した。
「マスター、もう一つ聴いてもらってもいいですか?」
「えぇ、かまいませんよ」
「実は私自身にも腹を立てているんです。まだ若い頃、勤めていた会社の体制がイヤで、それに反抗して飛び出しました。そして今の妻と知り合い、意気投合して小さな雑貨屋を始めました。けれど一年もしないうちに経営は悪化。多額の借金をつくってしまい、結局は私は今の会社に勤めることに。妻も働きに出ています。こんな人生を送りたくなくて会社を飛び出したのに。もう一度人生に勝負したいと思っている自分がいるけれど、現実はそう甘くないことも知りました。結局は我慢、ガマンの人生を送っています。そんなんで幸せなんて言えるわけ無いですよね。でも結局は勇気がなくて今の状態を抜け出せない。そんな自分を腹立たしく思っているんですよ。幸せなんて、ごく一部のお金持ちにしか味わえない事なんでしょうね」
 ここまで一気にしゃべって、私はすでに冷めてしまったコーヒーを一気に飲み干した。この時、またもやここでも不思議な感覚を覚えた。冷めたコーヒーは本来おいしくないものなのだが。
「ん!? マスター、なんでこのコーヒーは冷めても、いや、冷めた方が味わいがあるんですか? この方がコクとまろやかさが出ている」
 仕事で私はいろんな喫茶店のコーヒーを口にしている。コーヒー通というわけではないが、味の違いくらいはわかっているつもりだ。
「内村さんがそう感じるのであれば、それがこのコーヒーの味なんですよ」
 マスターは微笑みながらそう言ってくれた。
「これがシェリー・ブレンドなのよね。飲む人が今欲しいと思っている味を素直に与えてくれる、不思議なコーヒーなんですよ」
 さっきまで傍らで私の話を聴いていた女性店員のマイさんがそう言った。
「飲む人が今欲しいと思っている味?」
 どういうことだろう。マイさんの言っている意味がわかるような、わからないような。とまどっている私にマスターがこんな言葉をかけてくれた。
「内村さん、コーヒーを飲んでどんな気持ちになりましたか?」
「そうですね。ホットで飲んだときには安らぎというか、心地よさというか。飲んでホッとした感じがしました。今はまたそれとは違う。なんだろう。衝撃を受けたというか、今までと違う何かを見つけたというか」
 私は自分が思ったことを素直に口に出してみた。
「今思った気持ちと内村さんの今の状況や今まで語ってくれた人生を重ねてみたら、何が見えてきますか?」
「何が…。そうですね、このお店に入ってきたときにはウトウト居眠りしたくらいだから疲れがあったんでしょうね。肉体的な疲れではなく、精神的な。どこかに止まり木が欲しいって感じかな。そう、気持ちの上で落ち着けるところがなかったんですよ。会社でも、家庭でも。だから安心感が欲しかったんだ」
 私はしゃべりながら自分が何を欲しがっていたのかに気づいた。
「では冷めたコーヒーを飲んだときはいかがでしたか?」
「このときは私の不満を聴いてもらった後でしたよね。特に最後に自分自身についての腹立ちを伝えて。本当はもっと刺激のある生活を、昔やったように独立して自分の仕事というものを持ちたいと心の奥では願っていた。でも現実はそう簡単にはいかない。私が今欲しいのは、自分の人生に何か衝撃というか今までとは違った何かなんですよ。もうこんな人生は嫌だ。もっともっと自分が納得いくような、幸せな人生を送ってみたい。今そこに気づきましたよ」
 今回も言いながら自分で自分の気持ちに気がついた。マスターは私の言葉にしっかりとうなずいてくれた。自分が今何を欲しがっていたのか、何をやりたいと思っているのか。それが徐々に自分の中で明らかになってきた。
「え~、そうなんだ。でも私から見たら内村さんってすごく幸せなんだなって感じましたよ」
「え、どういうことですか? 私のどこが幸せだっていえるんですか?」
 私はマイさんの言葉にびっくりした。こんなについていない、何一ついいことが無い私のどこが幸せだというのだろうか?
「内村さん、横に座ってもいいですか?」
「えぇ、どうぞ」
 今度はマイさんが私の横に座った。それと入れ替わりにマスターはカウンターへ戻っていった。
「私ね、内村さんの話を聴いていてすごく感じたことがあったの。嫌な会社でもずっとここまで勤めたのも、嫌なおばさんの言葉から逃れようとしたのも、昔お店をやろうとしたのも、そして今勝負に出たくても出られない状況も、すべて内村さんが奥さんを大切にしているからなんだって。それだけ内村さんは奥さんのことを愛しているんだなって。それだけ愛しているって事は、内村さん自身も奥さんから愛されているんだって。私、そう感じたのよ」
 私の話を聴いてこんなふうに考えてくれる人なんか初めてだ。私の心に更なる衝撃が走った。
「こんなに奥さんに愛されているんだから、内村さんは誰よりも幸せなんじゃないかな。ただ内村さん自身がそこに気づいていないだけ。私はそう思ったの」
 気づいていないだけ、か。マイさんの言う通り、そうかもしれない。そう言われても、私はまだどうしても幸せというものを実感できない。
「でも私には何一つ無いのですよ。お金も借金を返すのが精一杯で、貯金なんて全くないに等しいし。車もなければ家も持っていない。未だに2DKの安いアパート暮らしだし。子どももいなければ友達もいない。そんな私が幸せだっていえるんでしょうか?」
 私のこの言葉に応えたのはマスターであった。マスターは何やらカウンターで作業をしていたが、その手を休めて私にこう言った。
「このお店の常連さんにね、こんな男性がいるんですよ。この人、交通事故にあって思うように体を動かすことができなくなったのです。普通の生活は問題ないのですが、スポーツはまず無理みたいです。そのため車の運転もできません。また仕事に就こうとしても、その体のせいでどこも正社員としては雇ってくれなかったんです。結局親戚のお店で店番みたいなことをやって、ギリギリの生活費を稼いでいるんですよ」
「それは大変ですね。まぁそう言われると私の方がマシな気がしますが」
 きっとマスターは私よりも不幸な人が世の中にはいるのだから、あなたはそういう人よりも幸せですよ、と言いたかったのだろう。だがその話に同情はしても、決して今の私が幸せだとは思えない。しかしマスターの話しは私の予想とは違う方向へと移っていった。
「けれどね、このお客さん、しんちゃんっていうんですけど、しんちゃんはいつもニコニコして幸せそうな顔をするんですよ」
「へぇ、どうしてですか?どう考えてもつらい人生を送っているとしか思えないのですが。あ、ひょっとして彼女がいるとか?」
「いえ、残念ながらしんちゃんには彼女はいませんよ。しかし友達はたくさんいます。いや、しんちゃんは出会った人全てを友達にしてしまう不思議な力があるんですよ」
 出会った人全てを友達に? しんちゃんとはそんなに人付き合いの上手な人なのだろうか。
「どうやったら出会った人全てを友達にできるんですか?そんな技術があったら私も営業に役立ててみたいですよ」
 半分皮肉も込めて私はそう言った。
「簡単なことですよ。しんちゃんは幸せを自覚しているからなのです」
 幸せを自覚って、どういうことだ?
「幸せを自覚って、そのしんちゃんは体が不自由で仕事もろくにできないのでしょう。なのにどうして幸せなのですか?」
「じゃぁ、しんちゃんは不幸なんでしょうかね?」
「私から見ればそう思えますが」
「ではしんちゃんは不幸だと思っているのでしょうか?」
「だからそこが聞きたいのですよ。本人は不幸だと思っていないのですか?」
「えぇ、全く。それどころか、事故のおかげで今幸せだって言っていますよ」
「だからどうして?」
 私はわけがわからなくなってきた。どう考えても私よりも不幸な立場にあるとしか思えないしんちゃんが、なぜ幸せだと言えるのか? 首をかしげる私に、マスターはこんな言葉をかけた。
「自分が不幸だって、誰が決めるんでしょうね?」
「誰がって…そりゃぁ自分自身でしょう」
「そうですよね。なのに内村さんはしんちゃんを不幸な物語の主人公にしようとしていましたよね」
 そう言われてハッと気づいた。マスターの言った通り、私はしんちゃんを不幸な人だと決めつけていたようだ。
「マスター、つまりこういうことですね。幸せか不幸かは本人が決めることであり、周りの人がとやかく言うものではない」
「それではまだ五十点ですね。もう一声欲しいな」
「もう一声って、それだけじゃダメなんですか?」
 自分ではせっかくいいことを言ったつもりだったのに。
 そう思ったとき、入り口のカウベルが軽やかな音を立てた。
「あ、しんちゃん。いらっしゃい」
 え、しんちゃん? 私は入り口に目を向けた。そこにはひょろっとやせた若者が立っていた。
「マスター、こんにちは。シェリー・ブレンド一つお願いします」
 しんちゃんはそう言ってカウンターへ歩いていった。だがその歩く姿は通常のそれとは異なり、一歩一歩がおぼつかない。
「しんちゃんね、一度は下半身不随になったんだけど必死のリハビリでようやくここまで歩けるようになったの」
 マイさんが小声で私にそう教えてくれた。しかし、しんちゃんの表情はとてもにこやかで、そのハンデを全く感じさせない何かがあった。
「しんちゃん、今日はどんないいことがあったの?」
 マスターがコーヒーを準備しながらそう声をかけた。
「うん、今日はね、空を見ていたらとんびがグルグル空を飛んでたんだ。それを見ることができて、なんだか幸せだったよ」
「そうか、さすがはしんちゃんだなぁ」
 そんなことで幸せなのか?私はしんちゃんがどうしてそんな気持ちになれるのか、不思議でならなかった。
「ねぇ、しんちゃんはどうしてそんなことで幸せって言えるんですか?」
 私は小声でマイさんにそう尋ねた。マイさんはにこっと笑って、突然立ち上がり
「しんちゃん、ここにいる内村さんがしんちゃんの幸せの不思議を聞きたいんだって。是非聞かせてあげてよ」
と大声をあげた。
「うん、いいよ。じゃぁそっちに行くね」
しんちゃんはそう言って立ち上がろうとしたが、私はあわてて
「いやいや、私がそちらに行きますから」
とあわててカウンターに駆け寄った。
 しんちゃんは私のそのあわてぶりを見てなのか、思いっきりの笑顔を見せている。その嫌みのない笑顔を見ると、私もなんだか笑いたくなってきた。
「いやぁ、なんか不思議ですね。しんちゃんとは今会ったばかりなのに、こんなに笑いがでてくるなんて」
「それがしんちゃんの魅力なんですよ」
 マスターはしんちゃんのコーヒーを差し出しながらそう言った。
「魅力だなんて、なんかうれしいなぁ。そう言われるだけでも幸せを感じちゃうよ」
 しんちゃんは顔がくしゃくしゃになるほどの笑顔でそう言ってコーヒーに手を伸ばした。だがその手も普通とは違い、とても危なっかしい。歩くだけではなくモノを持つのも不自由しているようだ。
「ボクが幸せなのはね、マスターが教えてくれたんだ」
 しんちゃんは思うように動かせない右手を器用に使い、コーヒーをすすってからそう答えた。
「え、マスターが?」
「うん。ボクも最初はこんな体になって、とても悲しくなったんだよ。病院のベッドの上で死にたいって思ったこともあったんだ。でもね、マスターがこのシェリー・ブレンドを飲ませてくれたときに教えてくれたんだよ」
 え、シェリー・ブレンドを飲んだときに? まさに今の私と同じような状況だ。しんちゃんの話しは続いた。
「このコーヒーをおいしいって感じることは幸せだよねって。それと同じように、今目の前で起こっていることや見えているものの中には幸せが必ず潜んでいるんだって。でも同じものを見ても幸せを感じることができない人もいるよね。それどころか怒り出す人がいることもある。じゃぁどっちを感じて生きる方がいいかなって、マスターが言ったんだ」
「私もそのことにはさっき気づいたんですよ。結局幸せかそうじゃないかを決めるのは、物事じゃなく本人次第なんだって。でもマスターは五十点だと言うんですよ」
「うん、ボクと同じだ。ボクもマスターの話を聞いてそう答えた五十点だって言われたよ」
「だったらあと五十点、何が足りないんですか?」
「足りなくはないんですよ。足せばいいんですよ」
 私はしんちゃんの言葉の意味が理解できずにとまどった。足りないわけではない、足せばいい。悩んでいる私の顔を見て、マスターは微笑んでいるだけ。なにも答えてくれない。
「マスター、降参です。残りの五十点を教えてくださいよ」
「内村さん、今ひょっとして百点を目指そうとしているでしょう」
「えぇ、その通りですが。それが何か?」
「だから五十点足りないと思っているのです。足りないと思うとどんな気持ちになりますか?」
「足りないと思うと…何か嫌な気持ちになりますね」
「でしょう。だから不幸だと感じてしまう。そうじゃないですか?」
 その通りだ。
「足りないと思うから、何かを持っている人を見るとうらやましく思いながら自分の立場を悲しいモノに変えてしまう…」
と、ここまでひとりごとのようにつぶやいたときにようやく気づいた。
「そうか、わかったぞ。そうだよ、足せばいいんだよ。やっと意味がわかりましたよ」
 私はそのことに気づいたときに、解けないパズルのピースがカチッとはまった感触を覚えた。
「内村さん、ようやく気づいてくれたようですね」
「はい、マスターが言いたいことがようやくわかりましたよ。
私は今まで、自分にあれがない、これがないという不足の思いばかりしていました。どうやったら百点になるか、そればかりを考えていました。しかし、なかなか百点にならない。だから何をやっても不満しか出てこなかったんですね。でも、満点って何も百点じゃなくてもいいんだ。五十点だって自分がそれでいいと思えば十分じゃないですか。そしてほんのちょっとだけでもよかったことや嬉しかったことを足していけば、どんどん点数は上がっていく」
「はい、ほとんど正解です」
 マスターはにこやかな顔をして私の出した回答を認めてくれた。
「内村さん、しんちゃんが幸せな理由はわかりましたか?」
「えぇ、しんちゃんは自分の境遇を嘆くのではなく、自分の回りにあるほんのちょっとした幸せをどんどん自分のものにしていくから幸せなんですね」
「うん、その通りだよ。そう考えたら自然と笑いたくなっちゃうんだよ」
 しんちゃんは顔をくしゃくしゃにして笑うことで私の言葉に応えてくれた。
「あ、でもマスターはさっき『ほとんど正解』って言いましたよね。ってことはあとちょっと何かがあるのですか?」
「はい。でもこれはちょっと特殊な考え方だから私からお教えしますね」
 特殊な考え方って、何だろう? 私はマスターの言葉を興味深く待つことにした。
「幸せってね、向こうからやってくるものではないんですよ。振り返ったときにどうだったのか。それを幸せだったと感じたときに幸せだと言えるんです」
「えっ、でも宝くじに当たったなんていうのは向こうからやってくる幸せじゃないですか?」
「では宝くじに当たった人が全員幸せな道を歩んでいるとお考えですか?」
「そうじゃないのですか?」
 一般的に考えたら、宝くじに当たれば幸せだと思うのだが。
「高額の宝くじに当たって人生を狂わせた人って結構いるらしいですよ」
 マイさんがそんなことを言った。
「どうしてですか?」
「お金の使い方を知らないから、突然降ってわいたお金をじゃんじゃん使い過ぎちゃって。そのクセが直らないのに手元のお金だけがなくなっていく。そうして気がついたら今度は借金をするようになることもあるんだって」
 なるほど、そんなケースもあるのか。
「宝くじが当たったときは幸せを感じたでしょう。しかしそうなってしまったら『宝くじに当たらなければ良かった』と思うかもしれませんね」
「確かに、マスターの言った通りそんな場合もありますよね。宝くじに当たったことで不幸になったって事もあり得るか」
「結局、幸せかそうでないかはいつわかるんでしょうね?」
 いつ? 私はマスターの問いかけに頭を悩ませた。
「いつわかるのか…それはその時になってみないとわからないよなぁ。いや、その時は幸せだと思っても後から考えたらそうじゃないって事もあるか。ということは、過去を振り返ったときに幸せかそうでないかがわかるってことか」
「はい、その通りです。だから振り返ったときに自分が幸せだったかどうかがわかるんですよ」
「だったらさっき言ったことと矛盾していないですか? 幸せは足せばいいって言いましたよね。でも今から足そうと思っても意味がないって事じゃないですか」
「いえ、矛盾はしていませんよ。今幸せだと思ったら、その瞬間にそれはすぐに過去のものになりますから」
「まぁ確かにそうですね。時間は流れていくから、今の瞬間はすぐに過去のものになります」
「だったら、その幸せの瞬間を重ねていくとどうなりますか?」
「それは…それは幸せの過去が積み重なっていく…そうか、だから振り返ったときに幸せかどうかが決まるのか」
「はい。幸せって、これからなろうというものではないのです。またどこからか降ってくるものでもありません。今自分が幸せだと感じているのか。それが積み重なって振り返ったときに幸せの道ができているんですよ」
「うん、だからボクはこの体になってマスターにそう教えられたときから、ずっとずっと幸せなんだ」
 しんちゃんはよろこびをいっぱいにしてそう言った。
「マスター、わかりましたよ。私もしんちゃんみたいに今を幸せで満たせるように努力します」
「あら、努力なんかいらないですよ」
「え、マイさん、どうしてですか?」
「内村さんは泣くのに努力する?」
「いえ、泣くのは悲しいと思ったから泣くんです」
「じゃあ笑うのに努力する?」
「いえ、これもおかしいから、おもしろいから笑うんです」
「じゃぁ幸せを感じるのに努力はいらないですよ。だって幸せって悲しいとかおもしろいとかと同じなんだから。素直に幸せだって感じればいいんですよ。無理矢理努力しても笑えないものは笑えないし、泣けないものは泣けないでしょ。幸せってね、笑ったり泣いたりするのと同じ感情だって私思うの」
 幸せは感情か。マイさんの言う通りに考えたら、なんだか気が楽になってきた。
「マイさん、ありがとうございます。今日はここに来てよかった。とても気持ちが楽になりましたよ。マスター、しんちゃん、ありがとう」
「うんうん。内村さん、今とっても幸せに見えますよ」
 しんちゃんにそう言われたら私もさらにその気になる。
「よっし! これからはしんちゃんみたいにいろんなところにある幸せを感じていきますよ」
「じゃぁ内村さんの新しい門出を祝って、私が一杯ごちそうしますよ」
 そう言ってマスターはコーヒーを入れる準備を始めた。
「あ、内村さんにもう一ついい情報をお伝えしましょう」
 マスターは作業を続けながらそう言ってきた。
「はい、なんでしょうか?」
「内村さんが今日のこの話をしても大丈夫な人っていますか?」
「大丈夫な人って? どういうことですか?」
「いえね、こういった心の話しについては受け入れてくれる人となかなか受け入れてくれない人がいますから。そういう意味で大丈夫な人はいますか?」
「そうですね。ウチの妻はわりとこういった話しは好きですよ。確か心理学とかの本を読んでいましたから」
「だったら帰ってすぐにこのことを奥さんに話してみてください。そうすることで内村さんにはステキなことが起きますからね」
「ステキなことって、一体何なんですか?」
「それはわたしにもわかりません。でもそれが起こるのは間違いありませんよ」
「ど、どうしてそんなことが言えるのですか?」
「いいと思ったことはね、人に伝えると喜んでもらえるでしょ。目の前の人が喜んだら、内村さん幸せだと思いません?」
 マイさんが横からそう言ってきた。
「確かにそうですけど。それといいことってどうつながるんですか?」
「内村さんが幸せな姿を見たら、奥さんはどう思います?」
「そりゃ喜んでくれるでしょう」
「それを見た内村さんは?」
「あ、なるほど。いい事ってこういったふうによろこびや幸せが循環していくことなんだ。そう考えたら悪いことが起きるなんて考えられませんね」
「そう、だから自分がいいと思ったことを人に伝えて喜んでもらえたら、自分にもいいことが起きちゃうんですよ」
「なるほどねぇ」
 私がマイさんの言葉に感心していたところにマスターがコーヒーを差し出してくれた。
「はい、どうぞ」
「ありがとうございます」
 私は早速コーヒーをいただくことにした。口に含んだ瞬間、先ほどとは違った感覚に襲われた。全身が震えるような、それでいてはずむような。私は思わずこうつぶやいた。
「あぁ、幸せだなぁ」
 気がつくとマスターもマイさんも、そしてしんちゃんも笑顔で私を見てくれていた。その笑顔を見て、私は再び幸せを感じることができた。
「マスター、今日はこのカフェ・シェリーに出会えて本当に嬉しかったですよ。こんなに心が潤ったことは今まで無かった。またここに来てもいいですか?」
「えぇ、いつでも。とびっきりのシェリー・ブレンドを用意してお待ちしていますよ」
「よし、これでなんだか気合いも入りました。さぁて、そろそろ次の約束に向かうとするか。マイさんもしんちゃんも、またお会いしましょう」
「うん、また会おうね」
 しんちゃんは顔をくしゃくしゃにして右手を差し出してくれた。私はその手に応えるために右手を差し出した。
「内村さん、今度は奥さんも連れていらしてくださいね」
「はい、そうします。そのときはマイさん、話し相手になってくださいね」
「もちろん」
「それじゃぁ、ありがとうございました」
 私はお勘定をマイさんに支払って、カフェ・シェリーを後にした。振り返るとお店全体が、いやこの通り全体が私の新しい門出を祝福しているように見えた。
「カフェ・シェリーか。不思議なお店だったな」
 そして私は商談に向かった。

 それから私がどうなったか。その後の商談は不思議なくらいトントン拍子に進んだ。さらに新しいお客様まで紹介してくれた。後から聞いた話しだが、そのときの私を見た先方の社長が「この人なら安心できる」ということで、気に入ってくれたようだ。さらに妻にカフェ・シェリーでの出来事を話したら「じゃぁ今度私も連れて行って!」とせがまれた。
 今の幸せを感じること。これが私の口ぐせとなり、日常となっていった。もう不幸だなんて思わない。どんな障害が起きても、それは幸せのためのステップなんだ。そう思うとその障害を起こしてくれた人に感謝すらしてしまう。
 気がつけば営業売上げもナンバーワンになった。その功績を会社も認めざるを得なかったようだ。今度部長の辞令が下りることに決まった。そのことをマスターに報告に行くか。そうして今、妻と一緒にカフェ・シェリーの前に立っている。

カラン、コロン、カラン

「いらっしゃいませ」
 扉を開けると、そこには幸せに包まれたマスターとマイさんの姿があった。
「マスター、シェリー・ブレンド二つ」
「かしこまりました。内村さん、今幸せですか?」
「えぇ、とっても幸せです」
 私は満面の笑みでマスターにそう答えた。

〜何が幸せ? 完〜

カフェ・シェリー 何が幸せ?

2012年2月14日 発行 初版

著  者:古賀弘規
発  行:ユーアンドミー書房

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古賀弘規

たぬきコーチの古賀弘規です。コーチング、ファシリテーション、自己啓発、人材育成、その他もろもろ、人生にお役に立つ小説や物語、ノウハウをお届けします。

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