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ミーティング秘伝のタレ 秘伝の1

古賀弘規

ユーアンドミー書房

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会議は目的を分けて

 よく会社でやる会議に「定例報告」みたいなものがありますよね。ここでよくやっちゃうのが、一つの報告事項の問題をその場で解決しようとしてしまうこと。
「…という問題が発生したんですよ」
「そうか、それじゃこれをどうしたらいいかな? みんな、何か意見はないか?」って具合にね。
 実はこれ、会議では非常に効率が悪くなっちゃうんです。なぜなら、その後に控えている報告者を後回しにしてしまうし、この問題に直接関係ない人まで巻き込んでしまう。おまけに十分な資料も用意できないまま突然対策会議になってしまい、あわてて準備に走る。結果的に予定時間より大幅に伸びちゃったりムダにあくびをしている人を増やしたりしてしまうんですね。
 ではどうするのがいいのか?
 まず、今開いている会議の「目的」をはっきりとすること。「報告会議」なのか、「対策会議」なのか、はたまた「企画会議」なのか。目的をはっきりさせると、参加者もそれなりの準備ができますよね。
 特に定例会議と言われるものは、その目的のほとんどは「報告」のはず。ですから、報告する項目を一通り終えてから、あらためて問題に関する会議を開くのがベスト。
 同じ時間で実施するのであれば、問題点だけをホワイトボードなどに記録し、報告事項が終わってから取りかかるといいですよ。そうすれば全員でその問題に取りかかる意識が高まりますからね。

延々と話を続ける参加者をどうするか

 会議とかミーティングになると、一人の人が延々と話を続けちゃう事って結構ありますよね。しかも内容は同じ事を二度も三度も… 他の参加者はイライラ。こんな時どうする?
 まず、どうしてこの人が延々と話を続けるかを考えてみましょう。それは、「自分の発言が他の参加者に認められていないのでは?」という不安感がそうさせてしまうのです。また、途中で質問や反論などをされると、これがよけいに働いて同じ事を繰り返し発言してしまうんですよ。
 じゃあ、どうしたらこれを防げるのか。
一.発言の制限時間を決めておく
  これを超えると進行役が発言の制限を促します
二.発言したことを進行役がしっかりと言葉で認める
  要所要所でまとめたことを発言者に確認をとりながら、合いの手をとるように返してあげます
 (承認、リフレインという技術になります)
三.発言したことをホワイトボードに書く
  これで自分の発言はきちんと伝わったんだという印象を与えることが出来ます
 特に重要なのが二.です。進行役にそれなりの技術が必要なのですが、まずは「あなたの言っていることはこちらにしっかり伝わっていますよ」ということをわかってもらうことなんです。会議では「言いたいことをしゃべらせる」というのも大事ですが、それを「みんなはちゃんとわかっているんですよ」ということを伝える事の方がもっと大事です。
 発言者に安心を与える、これも進行役の役目ですよ。

議題は事前に告知を

 会議というと、ほとんどの場合が次のパターンのいずれかでしょう。
一.不定期で事前に予告されているもの
二.突発的に発生するもの(問題解決会議など)
三.定期的に開かれるもの(報告会議など)

 事前に予告される一.のような会議の場合、会議通知などが作成され、そこに議題が書かれていることは多いですよね。これだと、事前に資料も頭の中も整理できるので割と進めやすいんですよ。
 二.の場合、突発的ではありますが人員を招集しますよね。この時にしっかりと「何についての会議なのか」を一緒に伝えることを怠らなければ、それなりの準備はできるもの。あまりにもあわてすぎて「何について議論するのか」を伝え忘れることもしばしばあるでしょう。会議招集者は議題も一緒にしっかりと伝えることをお忘れなく。
 問題なのは三.の場合。いつもやっていることだからといって特に何も準備せずに会議に出席することが多いでしょう。これが落とし穴なのです。そのせいでつい議論がだらだらとなってしまうことが多いんですよ。
 定例会議だからこそ、議題を持っている人は会議参加者に事前にその議題を知らせておく必要があります。そしてできるだけ事前検討をしてもらうことが大切ですね。
 事前に知らせる事ができないのであれば、開始時刻前にできるだけ集合してもらい、簡単でもいいから状況を説明しておくといいでしょう。会議は時間内にすべてをおこなうのではなく開始前の時間を有効に使いましょう。

ホワイトボードにとにかく書く!

 何かの会議をやるとき、資料が手元にたくさん。それぞれがメモ帳を取り出し各々で議事録を作成。そんなことやってませんか? これ、むちゃくちゃ危険なことなんです。
 何が危険なのか。会議で発言されたことをそれぞれの解釈でメモをしていると、その解釈の違いやメモをし忘れたことなどから「言った・言わない」の水掛け論が始まっちゃうんです。また、会議後に書記が手元にメモしたものを議事録として使用すると、その内容はあくまでも書記の判断なので、会議内容のすべてを網羅しているとは限りませんからね。会議直後に議事録を確認したときには「これでいいや」って思っていても、後日「そういやあのときにこんな発言をしたはずだけど、どこにも書かれていないぞ」なんてことが起こるのはざらなんです。
 ではどうすればいいのか?
 これは「発言内容をその場でホワイトボードに書く」ことです。一言一句すべてを書く必要はありません。
「○○が××」という二語文をベースとして手短に書いて下さい。ホワイトボードなど、参加者全員が見ることができるようにすることで、
・発言者が言ったことを全員理解してくれたかを確認できる
・発言や決議に関しての漏れがなくなる
・参加者全員が共通認識を持てるため解釈の違いがなくなる
・後日「言った・言わない」の水掛け論がなくなる

というメリットがあります。
 特に「誰が、いつまでに、何を、どのように…」といった5W1Hの決議は忘れずに書いて下さいね。

ルールを決める

 前の「秘伝のたれ」でも書きましたが、会議などではどうしても長々と話す人が後を絶ちませんね。そのおかげで有効な議論がすすまない、なんてこともしばしば。
 他にも我が物顔で意見だけ言って、あとは知らぬ存ぜぬの顔をしている人も。これでは話し合いになりませんね。
 こんな場面がある・ないに関係なく会議の前に是非取り組んで欲しいことがあります。それが「ルールを決める」ってことなんです。
 例えばこんな感じで。
・発言は一人2分以内で
・人が発言しているときには口をはさまない
・意見があるときには挙手をしてから発言
 それ以外の発言は原則として認めない

 などなど。他にもその会議ならではの必要なルールがきっとあるはずです。まずは議長やファシリテーターがそれを決めておき、会議の冒頭でこのルールを確認しましょう。
 こんなルールを決めても、なかなか守らない人がいた場合はどうすればいいのか?
 その場合は、こんなルールも事前に決めておくといいでしょうね。
・ルールを無視した人は、議長権限により退席してもらう
 これを会議前に全員にしっかりと把握してもらい、同意をとっておくんです。
 なんだか厳しくて自由に発言できないかも…いえ、それは違います。このルールはあくまでも「多くの人に自由に発言してもらう」ためものも。それは忘れないでね。

資料は配らない

 会議っていうと、いつも膨大な資料を手にしてしまいますよね。会議室にはいると、席にはすでにその日の会議の資料が山のように積まれている。
 ではその資料、会議中にどのくらい目を通していますか?
 これが不思議なことに、会議中は発言者が述べている部分とは全く関係のないところに目を通しているでしょ。おまけに発言者がいうまでもなく、資料にその結論が書かれてあるので発言者の言うことは全然耳に入っていない。
 プレゼンなんかでこれをやっちゃうと、せっかくいい説明をしても相手の担当者には耳に残らないんですよね。
 ではどうするのか? はい、タイトルの通り「資料は配らない」のがいいんです。そうすると、会議中やプレゼン中は発言者に意識を向けてくれます。しっかりと話しを聞いてくれるんですよね。その上、手元に資料がないので重要なところはしっかりとメモを取ってくれるんです。
では会議やプレゼンが終わっても資料は渡さない方がいいのか? これはパターンによって異なります。
 プレゼンのように、企画などを提案したい場合はその意向をしっかりと記載されたものを渡した方がいいでしょうね。また、報告会議の場合も報告内容、特に数値データなどが記載された資料は渡すべきでしょう。
 逆に何かを生み出したり、話し合いで決議したい場合は「議事録」だけでもOK。先につくった資料を配っちゃうと、決議と異なる場合に混乱をまねく恐れもあります。ご注意を。
 ま、資源のムダも考えて、紙で提供する資料はできるだけ簡素化して減らすことをおすすめしますよ。

議長と進行役は別に

 会議を進行する人といえば、一般的には「司会者」や「議長」を思い浮かべますよね。ほとんどの会議では、その会合で一番えらい人、部内会議であれば部長や課長、市民活動であればそのリーダーが行うことが多いと思います。また、中小企業になると社長自らが進行役となって会議を進めることもありますね。実はこれが落とし穴。
 こういったトップの方は「議長」として「決定権」を持っていることがほとんど。つまり鶴の一声で今までの議論をひっくり返すことができちゃうんです。
 また、意見を引き出す会議なのに進行役として「意見を押しつける」こともしばしば。また、質問が「誘導尋問」になっちゃうこともよくあります。これでは会議参加者の意欲は衰退していきますよね。
 そのためにも、決定権を持つ「議長」は会議の進行を行わずに、進行役としての「ファシリテーター」を別に置くことをおすすめします。
進行役がいることで、参加者からまんべんなく意見を引き出すことができるし、一方の意見に引きずられることもなくなるんです。
 では「議長」はなにをすればいいのか?
はい、参加者と一緒になって意見を出すこともOK。会議の趣旨をしっかりと参加者に伝えるというのも大きな役割。そして一番の仕事は、決議事項に対しての決済を行うこと。そう、議長は「決定権を持つ」という特権があるんです。その特権を有効に活かしながらも、会議参加者の新しい意見を引き出す。そのためにも進行役は別にもうけてみませんか。

発言はまんべんなく

 会議の参加者っていろんなタイプがいますよね。
 ここぞとばかりに発言しまくる人、かと思えばおとなしすぎて全く意見を言わない人。人の意見に批判しかしない人もいれば、逆に同調しかしない人。
 いずれにしても、会議の参加者にはできるだけ発言してもらいたいですよね。では全員の発言を促すにはどうすればいいのか?
 こういうときは遠慮なくこう言うんですよ。
「○○さんはどのようにお考えですか?」
ってね。発言してもらいたい人を指名してみて。おそらく何も出てこないってことはないですよ。 なかなか発言できない人はそのタイミングをつかむのがうまくいかない場合が多いんです。だからこちらからそのタイミングを与えてあげると、意外にも何かを発言してくれもの。
 他にもこんな方法があります。
「ではこの件については全員に意見をお聞きします。」
 これだと、全員発言をせざるを得ないですよね。そうなれば必死に考えて言葉にしてくれます。
 なかなか意見が思いつかない人でも、誰かの意見を聞くことで思わぬ発想が生まれることだってよくあります。ですから、発言者の後半になればなるほど面白い意見が出てきますよ。
 ただし、注意が一つ。会議での発言は偏りがなるべくないように、まんべんなく出してもらうこと。このバランスの取り方に注意すると、全員が納得できる結論を導き出すことができますからね。

成果をイメージする

「え、だって会議でそれを決めるのにイメージなんかできないですよ。」そうお思いのあなた、そんなに早とちりしないで。
 なにも会議の結果や結論そのものをイメージして下さいというのではないんです。会議の結果や結論をどのような形でアウトプットするか、そこを会議が始まる前にしっかりとつかんで下さい、というものなんです。
 たとえばただの報告会議。これだとこの時に議題に上がったものをまとめた議事録だけで、十分な会議の成果といえますよね。
 しかし、これが何かの問題を解決するために集まった会議だったら。議事録を関連部署に放り投げるだけで成果が出たとはいえないですよね。会議で話し合ったことをベースに各部署が決まった行動を起こす。つまりアクション管理までが成果といえるわけです。
 他にも新商品の企画会議。これなんかは成果としてはその商品を試作する。調査のための企画会議。これは調査員からのアンケート報告の集計が成果になる。
 このように、会議そのものの成果を何で測るかをしっかりと把握しておかないと、
「あ~、今日も会議で疲れたな」
で終わっちゃうんですよ。
 会議の成果をイメージできない、そんな方はその会議の目的を振り返ってみましょう。何のための会議なのか。それがはっきりしていれば、会議の成果はどのような形で出せばいいのかが把握できますよ。
 成果がイメージできれば、会議は成功したも同然ですよ。

視点を変える質問

 会議をやっていて、よく行き当たるのが「意見が出ない」という場面。例えば販売対策会議をやっていて、司会者が
「何かいい案、他にはないかね?」
 なぁんて言われても、なかなか妙案は思いつかないでしょ。
 こんな時には、視点を変える質問が有効です。といっても、視点を変えるってどうすればいいんでしょうね?
 一番簡単なのは「立場を変えてみる」というもの。
 販売関係であればこんなのが定番でしょう。
「ではお客様の立場になってみると、これはどう感じるでしょうね?」
 そうすると、今まで売り手の立場からしか考えつかなかったものが、お客様という逆の視点に立つことで見えなかったものが次第に見えてくるんですよ。
 視点を変える方法は他にもあります。未来から現在を見る。
「十年後の自分が今の自分に話しかけるとしたら、どんな事を言うでしょうね」
 また、常識の枠をはずすというのも有効です。
「お金が不自由なく、無限に使えるとしたらどんな対策を思いつきますか?」
 こうやって出た意見は、そのまま使えるというものではないのがほとんど。しかしそれが発想の引き金となって、次々と新しいことを思いつくことが多いんです。
 この「視点を変える質問」のネタを提供するためには、まずファシリテーター(会議の推進者)の発想をやわらかくすることが大事。いろんな人と出会い、いろんな刺激を受けることがこの質問をつくり出すコツですよ。

攻撃的タイプを迎え撃つには

 今までの会議で、こういったタイプをめにしたこと、ありませんか? 人の意見に対して必ず反論する、協調性がなく一人でやりたがる、プライドが高く自分の非を認めようとしない。人を支配したがる。
 こういった人たちを「攻撃的タイプ」といいます。会議の場では困ったちゃんですよね。ではこの人たちに対してどのような点に注意すればいいのか?
 一つ目は「弱みを見せない」。攻撃的なタイプは人の揚げ足をとるのが大好き。このタイプに自分の弱みを見せると、そこをすぐに突かれます。相手と同等の立場にいる、という気持ちでのぞんで下さい。
 二つ目は「辛抱強く待つ」。このタイプが発言をしているときに横やりを入れるように意見を述べると、すぐに反論されてしまう。火に油を注ぐようなもの。まずはこちらが冷静になる必要があります。そのため、このタイプが意見を述べているときには最後まで話しをさせることが重要ですね。また、意見に対して一度同調することも有効です。
 三つ目は「合意すること」。このタイプの一番の楽しみは「人の意見に反論すること」なんです。逆に、自分の意見に合意されてしまうと、牙を抜かれたようにおとなしくなっちゃう。だって、同意した人に反論するって事は、自分に対して牙をむくようなものですからね。ですから、一度その人の意見に同意した上で、それをさらによくするような上乗せの形で意見をまとめていくといいですよ。
 と、文字で書くと簡単そうに見えますが、実際に向かうとこちらも熱くなっちゃうかも。そこはご注意を!

文句ばかり言う人をどうかわす?

 こんな人、周りにいませんか? 会議の決定事項に対して「そんなこと言っても、どうせできっこないよ」とか
「何でおれがそんなことやらなくちゃいけないの」とか言っている人。こんなタイプも会議に一人や二人はいそうですね。
 この文句ばかり言うタイプが一人でもいると、周りの雰囲気がそれに引きずられちゃう。困りますよね。
 そういったタイプ、実は自己表現がうまくできないだけなんですね。言いたいことがうまく言えないので、それを「不満」という形で表現しちゃうんです。
 ですから、こういったタイプに出会った場合は、まずその人の話をしっかりと聞いてあげて下さい。相手の言うことを理解してあげることが大事です。
 しかし、その人の言うことをすべて聞いてあげるわけにはいかないですね。どうしましょうか?
 このときに相手の話を聞くコツは「理解」してあげても「同意」はしないこと。このタイプは文句を言うことで自分の味方を増やそうという意識が働いています。ここで同意しちゃうと会議の結果をひっくり返されちゃうことも。決定事項はひっくり返されるわけにはいきませんからね。
 聞いて理解はするけれど同意はしない。どうしましょう?
 はい、自分で選んでもらうんです。つまり会議の決定事項についてたくさんの選択肢を提示します。決定事項以外にも他の可能性を出してあげたり。このタイプは自己表現がうまくできない。だからそれを代弁してあげるんです。人が選んだことだから文句を言う。だったら、自分で選べば文句の言いようがないですからね。

ミーティング秘伝のタレ 秘伝の1

2012年3月7日 発行 初版

著  者:古賀弘規
発  行:ユーアンドミー書房

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古賀弘規

たぬきコーチの古賀弘規です。コーチング、ファシリテーション、自己啓発、人材育成、その他もろもろ、人生にお役に立つ小説や物語、ノウハウをお届けします。

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