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 この本は「成幸するための非常識なコーチング法則」についてじゃんじゃん紹介していきます。
 ただし、ここで紹介するのはある意味コーチとして
 
「非常識」
 
な内容ばかりです。ですから、真っ当なコーチを目指す人は読まない方がいいかもしれません。が、コーチとしてビジネスを成功させたいのであれば何かの参考になるかも。
 さて、どんな非常識な法則が飛び出すのか?

非常識なコーチング成幸法則

古賀弘規

ユーアンドミー書房




  この本はタチヨミ版です。

コーチングを売るな

 私はプロのコーチとして、企業や個人のクライアントを抱えてそこからお金をいただいて生活しています。つまり、このメルマガのタイトルのようにコーチングをビジネスとして生き残っているわけです。
 ということは、コーチングは自分の商品なのか?
 最初はそう思っていました。ですが、今は「コーチングは商品ではない」と言えます。
 プロコーチを始めた方の多くは、最初は「コーチング講座」なるものをやっているのではないでしょうか。名前は違えども、自分が講師となって
「今回はコーチングの聴き方についてお伝えします」
「今日はコーチングの質問について、オープンクエスチョンとは…」
なんていう講義を行ったことがあるでしょう。
 そういう私も、当初はそういった講義でお金をいただいていました。つまり、コーチングを売り物にしていたんですね。
 ですが断言します。今後は「コーチング」そのものは売り物にはなりません。あなたの住んでいる地域が、まだ「コーチングって何?」と言っているのであれば話は別ですが。
 多くの人は「コーチングを使って、○○をしたい」からコーチングを習いに来るのですよ。だから、売り文句はあくまでも
「○○を実現する!コーチング講座」
でなくては、受講生の心には響いてこないのです。
 また企業においても同じ事が言えます。今、企業に顧問コーチやコーチング研修を売り込みにアタックしている方。こんなセリフを言ってはいませんか?
「コーチングを導入すれば、御社の社員とのコミュニケーションも取れ業績がどんどん上がっていくことが期待できますよ」
 さて、このセリフであなたはコーチングを買うでしょうか? 私なら買いません。それはなぜか? 手段と目的が逆だからです。
 コーチングを入れたから業績がアップする。それはウソです。コーチングにはそんな大それた力はありません。
 売り込むならこういったセリフにして下さい。
「業績をアップさせるには、社員同士のコミュニケーションを図ることが最も効果的な手段ではないでしょうか? そのための手法として、コーチングというものがあります」
 ここで「言っていることは同じじゃない」と思ったあなた。そう思っているようでは、永遠にあなたのコーチングは買ってもらえません。
 企業が欲しいのは、業績アップという「結果」であり、それが「目的」です。その目的を達成させるために使うのが「コーチング」。最初の売り方は「コーチングを導入すること」が目的になっています。
 企業が求めているのは「業績をアップさせる」であり、あなたが売るのはそのための手段です。ですから、コーチングをいくら売りに出してもあなたを買ってはくれません。それならば、すでに起業している実績のあるコーチから買いますからね。
 まずはコーチであるあなたが何を売り物にするのか。そこをよく考えてビジネスプランを立ててみて下さい。
 
非常識なコーチング成功法則 その7
 あなたはコーチングを使って何を売るのか
 それが明確にならない限りあなたのコーチングはビジネスにはならない

クライアントを断れ

 コーチングをビジネスとして立ち上げた人が、のどから手が出るほど欲しいものとは?
 そう、これは「クライアント」です。だって、クライアントがいなければお金を得ることができないのですから。ですから、私もコーチングを始めた当初は、自分のコーチからこれをテーマにコーチングしてもらったものです。
 で、結果は?
 正直、これが思ったほどではなくて。最初の有料クライアントを取るまでに、結構時間がかかりましたよ。それにビジネスペースに乗せるには道のりが長くて。
 ビジネスとしてコーチングを行うときに、それなりの計画は立てていました。個人クライアントが○人で、○時から○時をセッションにあてて…そのためには○人はクライアントを確保しておかなきゃ。そんなことを思い描いていたものです。
 では現実は?
 今、個人クライアントはほとんどいません。ですが、ビジネスとしてしっかりと成り立っています。現在、ほとんどを企業相手にしているから。
 どうしたらそうなれたのか? この秘訣の一つに「クライアントを断ったから」というのがあります。
 ビジネスとしてコーチングを立ち上げたときに、徐々にコーポレートコーチングや研修といった分野に目がいくようになりました。その結果、私が最初に思い描いていたようなスケジュールを作ることができなくなってきたのです。
 でも、クライアント候補からコーチングの要望が。
「○曜日の夜からセッションをお願いしたいのですが」
「あぁ、申し訳ない。この曜日のこの時間は不在になることが多くて。朝の○時なら空いていますけれど」
「その時間はちょっと無理ですね」
 で、結局私のスケジュールに合わせられなくて、コーチングをお断りすることに。
 またスケジュールだけでなく、こんなこともありました。
「○○といったテーマでお願いしたいのですが」
(注:守秘義務に関することなので、伏せ字で書かせて頂きます)
「○○ですか…それはちょっと私としては専門外なので」
 クライアントの要望しているテーマが、私にとってはちょっと無理だと判断したのです。
 ここで、私の専門とするコーチング、得意とする分野のコーチングの説明を。結果として、クライアント候補も「それでは仕方ない」ということであきらめて頂きました。
 え、クライアントを断ったら後が続かないんじゃないの?
 いえ、それは違います。クライアントを断ることで、自分がコーチングで「何をやりたかったのか」がよりはっきりしてきます。
 自分がやりたいことがはっきりしてきたら、そこに響く人に確実にその意志が届くようになるのです。そして、気がついたら自分が望んでいるクライアントだけが集まるようになるのですよ。
 以前、自分が望まないクライアントに振り回されて苦労したことがあります。このときは「お金になるから」という思いで食らいついてみたのですが。よく考えたら、これはクライアントに対しても失礼に当たりますよね。これでは本物のコーチングは無理です。
 本物のコーチングをやりたければ、コーチも自分本位になっていいんですよ。いや、自分本位になればこそ、本当のコーチングができるのです。だから、自分に条件の合わないクライアントは断るべき。
 クライアントを断る。これはコーチもクライアントも幸せにするための、一つの方法だと私は思っています。
 
非常識なコーチング成功法則 その8
 自分の条件に合わないクライアントは、無理に追いかけるのではなく
 はっきりきっぱり断る これが双方を幸せにする

個人クライアントはとらない

 前回「自分に合わないクライアントは断れ」ということをお伝えしました。しかし、コーチ業はクライアントがいて成り立つもの。やはりクライアントをしっかりと取らないことには、ビジネスにはならない。
 というのが普通の常識でしょう。ですが、今回はあえて言います。
 「個人クライアントは無理に獲得するな」
 これはどうしてか? まずはビジネスライクな考え方から。個人クライアントのコーチング相場ってご存じですか? これ、多くの方が2〜3万円/月にしているでしょう。ではあなたがクライアントの立場だったら、毎月それだけの投資をすることができるでしょうか?
 そんな投資をしてくれるクライアントは、なかなかいないのが実状でしょう。それでもクライアントになってくれる人はいるものです。
 ではコーチの立場から考えてみましょう。あなたはコーチングの相場が3万円/月だからそう設定した。では食べて行くにはどのくらいのクライアントを確保しなければならない?
 10人で毎月30万円の収入。これではちょっと苦しいでしょう。では20人では? それだけクライアントを獲得する力、あなたにありますか?
 個人クライアントだけをねらい目にしていると、あなたはそこを獲得するのに間違いなく疲れてしまうでしょう。なかなか思うように集まらない。集まらないからあの手この手をつくしてみる。挙げ句の果ては、値段を下げてみる。それでも集まらない。
 だって、あなたからは「クライアントが欲しいよぉ〜」というオーラがびんびんに伝わってくるんですから。これではクライアントは寄ってきません。
 では、どうすれば個人クライアントが寄ってくるのか?
 簡単です。個人クライアントをとりに行かなければいいのです。
 え、でもそれじゃビジネスにならないんじゃ? いえ、考え方を変えるだけでいいんです。
 個人クライアントを取りに行くのではなく、多くの人にあなたが持っている情報を提供する。これでいいんです。
 セミナーを開いてもよし。メルマガやブログを使ってもよし。一人でも多くの人に、あなたから「与える」のです。
 受け取った方は当然喜んでくれます。そしてコーチであるあなたに信頼を寄せてくれます。
「あ、この人だったら大丈夫。まかせられるな」
 このときに、人は始めてコーチであるあなたにお金を払うのです。
 個人クライアントはとりに行ってはいけない。あちらから寄ってくるのを待つ。そのためには、あなたから多くの情報を与えていく。
 これがコーチングビジネスを健全に、そして確実に進めるためのコツです。
 
非常識なコーチング成功法則 その9
 個人クライアントは無理に獲得しにいかず、有益な情報を与えて続けること
 そうすればクライアントはあちらから寄ってくる

未熟だからこそ発信せよ

 さて、たぬきコーチといえば知る人ぞ知る情報発信魔。このメルマガを始め、子育てメルマガ、小説メルマガ二本、A4両面の情報誌を月に2回、さらにニュースレターを月1回発行。毎日更新のブログ、そしてコラムも数本。さらにこの前からあるコンテンツで毎週メルマガ形式の情報も発信し始めました。
 おそらくワープロに向かっていない日はないでしょうね。そのくらい、毎日毎日何らかの情報を発信しています。
 情報発信は何もこういった文字媒体だけではありません。セミナーや研修だって、ある意味情報発信の一つ。
 そして極めつけが、路上ライブ「安田課長とやる気仙人のコミュニケーショントーク」ですね。
 ではこれをまねしてみましょう! というワケではありません。
 おそらくここまで情報発信するコーチはめずらしいでしょうし、皆さん他のことで忙しいでしょうから。私もここまでやるのはあまりおすすめできません。ですが、何か一つだけでもいいから情報を発信してみて。
「え〜、コーチ経験もそんなに無いのに、何も情報発信なんてできないよ」
 そうつぶやいているあなたの顔が目に浮かんできます。ですがここはあえて言わせていただきます。
 自分は未熟で情報発信するモノを持っていない。そう思っているときこそ、情報発信を手がけること。これが成功の秘訣。
 なぜ未熟なウチから情報を発信しなければならないのか。これにはいくつか理由があります。
 一つめは、あなたが始めた情報発信ツールがそのままビジネスツールになるからなのです。ビジネスツールといえばパンフレットや企画書を思い出しますが、個人事業でそんなたいそうなモノはいりません。メルマガであれば、名刺の裏に「メルマガ発行中!」と大きく書けばOK。ニュースレター形式の情報誌であれば、それを相手に渡せば十分。どんな媒体でもいいから、自分の発信したモノをビジネスツールとして紹介すれば、相手もこちらのことをわかってくれるかも。この蓄積があなたの信頼へとつながっていくのですよ。
 二つめの理由、それは情報を発信することで自分も学ぶことができるから。情報を発信するということは、それなりの責任があります。いい加減な情報は発信できません。そうなると、何でも知識を吸収しようという気になれちゃう。特に自分が未熟だと感じていればいるほど、その吸収欲は激しいはず。それが自分の飛躍的な成長につながっていきます。
 三つめの理由は仲間づくり。私もコーチとして未熟なウチは、コーチ仲間がなかなかできませんでした。なにしろここは宮崎県。こんな田舎でコーチをやる人は他にいないし。だから情報を発信し始めたのです。そうすると、面白いことにこちらの情報をキャッチした方が向こうから寄って来るじゃないですか。おかげで今では全国にたくさんの仲間ができました。
 情報発信は「私はここにいるよ!」という信号でもあります。こちらが信号を出さない限り、だれもあなたを見つけることはできません。
 他にも細かな理由はたくさんありますが、今上げた三つの理由が大きなモノ。これによって、あなたのコーチングビジネスへの注目は次第に大きくなるはずですよ。あなたが誰かにとって有益な情報を与えれば与えるほど、あなたの価値は自然と上がっていきます。すると、仕事なんて向こうから勝手にやってくるようになりますから。



  タチヨミ版はここまでとなります。


非常識なコーチング成幸法則 第二章

2012年3月2日 発行 初版

著  者:古賀弘規
発  行:ユーアンドミー書房

bb_B_00104161
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発行者 BCCKS
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古賀弘規

たぬきコーチの古賀弘規です。コーチング、ファシリテーション、自己啓発、人材育成、その他もろもろ、人生にお役に立つ小説や物語、ノウハウをお届けします。

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