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この本はタチヨミ版です。
レッスン6では「聴く時の座る位置」についてお伝えしました。
ポイントは
・コミュニケーションを取る時は横並びかL型で座る
・書類などは同じものを同じ方向から見て話す
・同じ方向から同じものを見ると、会話のペースがつかみやすい
でしたね。
座る位置が決まったら、いよいよ話を聴き始めましょうか。
「え、だってまだ聴く環境の二つ目を聞いていないよ?」
あ、そうでしたね。
実は見た目の環境の準備としてはレッスン5や6でお伝えした程度なんです。
次はあなたの「頭の中」の環境を整える番です。
まずはちょっと質問。
部下の話を聴いているとき、あなたはなにを考えていますか?
「次になにを言おうか、どう言い返そうか」
「こいつ、なにを考えているんだろうか」
「え~っと、あいつの出した書類はどうなってんだ・・・」
「いい加減に終われよ、うっとうしい」
「今日の昼飯、なににしようかな?」
これと同じ質問をレッスン3でもやりましたね。
多くの場合、このように部下の話を聴いているようで、あまり関係ないことを思い浮かべていることも多いんじゃないですかね。
「え、部下の言葉に対してなにを言おうか考えるのが、関係ないことなのかよ?」
えぇ、少なくとも話し手である部下にとっては、あまり関係ないことですよね。
だって部下はあなたに「話を聴いてもらいたくて」話しているんですから。
それに、いくら関連した内容を考えているといっても、そのときは部下の話に耳を傾けていないのも確かですよね。
ひょっとしたら考えている最中に重要なことを言ったかもしれませんよ。
ここでよくあるのが「言った、言わない」の水掛け論。
「いいや、あのときに私は絶対に課長に伝えました。」
「いや、オレはそんなこと聞いていない。確かにそれに関係することは話していたのは記憶にあるが、そのことは聞いていないぞ。」
「そんなことありません、課長はあのときに『あぁ』って返事しました!」
なんて会話、経験ありませんか?
もう皆さんならおわかりですよね。
部下が重要な話をしているときに、課長はきっと頭の中で別のことを考えていたんでしょう。
こんなことが続くと、部下はどうなるでしょうね。
間違いなく
「課長にいくら報告しても、重要なところは聞いていないんだから。もう報告してもしょうがないな。言われるまではほったらかしにしておこう」
なんてことになりますよ。
そうなると企業では大事な上司への報告・連絡・相談、いわゆる「ホウ・レン・ソウ」がだんだんとされなくなり、風通しの悪い職場になっちゃうんですね。
じゃあ聴くときはどうしたらいいの?
そう「頭の中を空っぽにして、部下の話していることを全身耳にして聴く」
これが大事なんです。
とにかく聴いたことをいったん自分の中ですべて取り入れる。
相手の話にフィルターをかけたり、それについて考えたりするのはその後の作業なんです。
人間は一度に一つのことしかできない生き物です。
ですから、聴くときは「聴くこと」に集中する。決して聴いたことについて聴きながら考えない。これ、重要ですよ。
それではレッスン7のポイントです。
・聴くときは頭の中を空っぽに
・聴いているときは決して何かを考えない
・聴いたことに対してフィルターをかけたり考えたりするのは後回し
これになれてくるとおもしろいもので、言葉の奥に隠された真実がだんだんと見えてきますよ。
ではこれになれるために宿題!です
・先入観を捨てて、まずは聴くことに集中しましょう。
話しを聴いている自分を観察してみて。もう一人の自分がいるようにね。
言葉の奥に隠された真実を読むのがコーチには必要な技術なんです。
では、その言葉の奥を読むには・・・
それは次のレッスン8でご紹介しましょう!
レッスン7では「聴くときは全てを取り入れる」についてお伝えしました。
ポイントは
・聴くときは頭の中を空っぽに
・聴いているときは決して何かを考えない
・聴いたことに対してフィルターをかけたり考えたりするのは後回し
でしたね。
頭の中から余分な考えはなくなりましたか?
さて、人の話を聴くときに話し手が安心するためのあなたの行動ってどんなものがあるんでしょうね。
そこで、ちょっとこんな事を試してみて。
人の話を聴こうと思ったときに、相手の姿勢やしぐさをちょっと遅れてまねをする。
たとえば、相手がコーヒーを飲んだら、ちょっと遅れてコーヒーを飲む。
相手が足を組み直したら、ちょっと遅れてこちらも足を組み直す。
ここでのコツは「ちょっと遅れて」。
こうすることで相手に違和感を抱かれることなく、こちらも行動できます。
これを同時にまねしちゃうと、「何まねしとんじゃい、ワレ!」ってことに
なっちゃいますから、ご注意を。
さて、ものまねすると何がいいのか?
実はものまねされると、相手は「親近感」を持ちやすくなっちゃうんですよね。
「自分とおなじにおいがする」って感じを受けてくれるんですよ。
そうすると、自然と何でも話しをしてくれるんです。
このちょっと遅れてものまねをするのは「ミラーリング」と呼ばれている技術なんです。
つい先日、ちょっとお年を召した方とお話をする機会がありました。
私はここでこの「ものまね」を意識してやってみました。
その結果・・・はい、はまっちゃいましたよ。
延々ありがたい(?)話と、今からやりたいことの話しをしてくれました。
あとでその方の奥さんと話しをしたら
「普段はそんなに話しをする人じゃないんですけどね」
だって。
「ものまね」でよほど親近感がわいたんでしょうかね。
この「ものまね」、最初は難しいかもしれませんが、やり始めるとおもしろいんですよ。まったく自然にできるようになっちゃいます。
慣れてきたら相手の仕草だけでなく、呼吸のタイミングや声のトーン、スピードまでまねしてみて下さい。
そうすることで、今度は相手の「気持ち」までが自然とわかるようになってきます。
そう、聴くことって耳から聴こえてくる言葉だけじゃないんですよね。
相手の言葉以外のところ、行動や言葉づかい、会話のスピードや言葉のトーンといった、言語以外の部分からいろんなことが聴こえてきます。
ものまねはこれを察知するための第一歩ともいえるでしょうね。
それではレッスン8のポイントです
・ちょっと遅れて相手の仕草をまねる
・慣れてきたら呼吸や声のトーン、スピードなどもまねてみる
・まねることで、相手の気持ちが自然とわかるようになる
ということで、宿題!です。
・難しいけれど、ちょっと遅れて仕草をまねるというのを実践しましょう
一週間くらい意識して続ければ、自然にものまねができはじめますよ
ほら、だんだんと相手の考えていることがわかってきたでしょ。
じゃあ、具体的に言葉以外の部分からはどんなことを聴くことができるのか?
それはですね・・・
これは次のレッスン9のお楽しみです!
レッスン8では「ものまねをすることで親近感がわく」についてお伝えしました。
ポイントは
・ちょっと遅れて相手の仕草をまねる
・慣れてきたら呼吸や声のトーン、スピードなどもまねてみる
・まねることで、相手の気持ちが自然とわかるようになる
でしたね。
あなたはトライ、してみましたか?
ところで、皆さんは話しを聴いているときに体のどの部分を使って聴いていますか?
「そりゃ、耳に決まってるじゃないか」
うん、その通り。
では耳に聞こえているもの以外で、相手から何を感じますか?
「耳に聞こえているもの以外って・・・何?」
あ、ちょっと疑問がわいてきましたね。
じゃあ、ちょっと例をあげてみましょうか。
朝、会社で部下から声をかけられました。
「お・は・よ・う・ご・ざ・い・ま・す」
さて、あなたはここからどんなことが聴こえてきましたか?
「そんな、『おはようございます』だけじゃわかんねーよ!」
そうなんです。
実は耳に聞こえてくる言葉って、この「おはようございます」ってことなんです。これだけじゃ、部下がどういう状態かはわかりませんよね。
ではこれではどうですか?ちょっと思い浮かべて下さいね。
あなたの顔を見るなり、にこやかに、片手を軽く挙げて、元気よく
「おはようございます!」
ここからどんなことが聴こえてきましたか?
「そうだなぁ、元気がいいので朝からいいことがあったのか、それとも今日いいことが待っているのか」
「きっと出勤途中にかわいい子でも見つけたんじゃないかな?」
なんてことが、彼の「おはようございます」から聴こえてきませんか?
このとき、あなたはどの部分を使って聴きましたか?
耳からは「おはようございます!」って言う口調やトーン。
目からはにこやかな表情と元気のいい仕草。
さすがに鼻(嗅覚)、味(味覚)、肌(触覚)は使わなかったでしょうが、実は五感の上にある第六感、直感も使ったのではないでしょうか。
「あ、あいつなんかいいことあったな」
って思った、その感覚です。
タチヨミ版はここまでとなります。
2012年3月5日 発行 初版
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たぬきコーチの古賀弘規です。コーチング、ファシリテーション、自己啓発、人材育成、その他もろもろ、人生にお役に立つ小説や物語、ノウハウをお届けします。