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たぬき流子育てこ〜ちんぐ パート6

古賀弘規

ユーアンドミー書房

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  この本はタチヨミ版です。

責任を持たせる

 子ども達のお手伝い、皆さんはどのようなことをやらせていますか? 家の中にはいろんな家事がありますよね。そうじ、せんたく、食事の支度、子守り、などなど・・・
 たぬき家でも子ども達がやる、決まった仕事があります。
 ひとつはおふろそうじ。そしてもう一つ、洗濯物たたみです。
 このおふろ掃除、ちゃんとしたルールがあります。それは
「担当した人が責任を持っておふろの準備をする」
です。
 だから、おふろの時間になってもおふろそうじが終わっていなければ、ちゃんと子どもにやらせます。よほどのこと(病気など)でない限りは、親が替わってやってあげることはありません。だから担当がおふろを洗ってくれないと、いつまでたってもおふろに入ることはできないのです。
 このお手伝い、やり始めた最初の頃は、夕食を食べた後に
「おふろは?」
 「あっ!」
 すごすごと洗いに行くこともしばしば。しかし最近はそれが全くなくなりました。子どもの中で習慣化したというのもあるのでしょうが、
「あなたがおふろを洗わないと、みんなおふろに入ることができない」
という責任感もあるのだと思っています。
「責任感」とはいっても、
「あなたがおふろを洗わないから、みんなは入れないでしょ」
と責め立てた記憶はほとんどありません。これは自分でそのように考えているのだと思います。

 ところが逆のこともあるんです。そう、もう一つのお手伝いである「洗濯物たたみ」。 こちらはなかなか進まないんですよね。
 これも基本的には子どもの自主性を伸ばそうと思い、ある程度洗濯物が溜まるまでは何も言いません。が、あまり洗濯物が溜まりすぎると、タオルがなかったり下着がなかったりということもしばしば。さすがにこちらもガマンできなくて
「洗濯物がたまってるよ!」
と言っちゃうんですよね。
 そのときはしぶしぶたたんでくれるのですが、その後はなかなか自主的にたたもうとしてくれない。結局、
「テレビをみながらでいいから、洗濯物よろしくね」
と声をかけてからやってもらうようになりました。
 こちらも自主的な責任感を持ってもらおうと粘ったのですが、ちょっとうまくいかなかったですね。おそらく、「責任感の押しつけ」をやってしまったのが敗因かと。
「責任感の押しつけ」これは「指示された行動」なんですよね。
 この「責任感の押しつけ」が続くと、「指示されないと動かない」っていう思考回路ができあがっちゃう。この回路ができあがっちゃうと、「やりなさい」ってスイッチが入るまでやらないんですよね。
 これは子育てに限った事じゃありません。部下を動かすために、自信をつけてもらうために「責任のある仕事」を任せた時も同じですね。人によってはなかなか結果に結びつかなかったり、行動が遅かったりします。そのときに上司がイライラして
「おまえがやらないからうまくいかないんだ!責任を持て!」
なんて怒鳴ったら・・・もうアウトですね。

 どんな場合でも、相手に責任を持たせて何かをさせようと思ったら、
「その仕事はあなたに責任があるんですよ」
 というのを気づいてもらう必要があります。そう、「自分で気づく」ことが大切なんです。
 気づいてもらうためには、その仕事が終わらないとどんな結果が待っているのか、それだけを教えるといいですね。いや、むしろその仕事をやってくれることでどんな結果が待っているのかを教えた方が効率的かな。
 例えば
「あなたがおふろを洗ってくれないと、みんなおふろに入れないんだ」
よりも
「あなたがおふろを洗ってくれたおかげで、みんな気持ちよくおふろに入れるね」
のほうがいいと思いませんか? これが続くと、その仕事は任された人が責任を持って「やろう!」って気になるんですよね。
 任された仕事に対しての責任感ってのは、そんなにすぐには気づいてくれません。その仕事をやってもらうなかで
「あなたに任せてよかった」
って感じるものなんですよね。
 焦らずに、じっくりと責任感を芽生えさせてみませんか。そこで芽生えた責任感は、絶対に消えることはありませんよ。

2歳児のしかり方

 次男、とうとう「魔の2歳児」の時期に来てしまいました。この時期の子育て経験のある方ならわかりますよね。もううんざり来ちゃうことがたくさん。
 まず、言うことをききません。とにかく反抗期。
「いやっ!」の連発ですよ。
 そしてすぐすねるし、すぐ泣く。何が気に入らないのか、お茶を飲ませようとしたら
「ぎゅーにゅー」
 牛乳をだしてやれば
「やぁ~ん」
とつっぱねる。下手をすると、一度渡したコップを投げ出そうとする始末。おかげで床がびちょびちょ・・・。
 買い物に出ても、「我が道をゆく」ですぐに行方不明になろうとするし。いきなり奇声を発するし。気に入らないとゆかにべたぁ~っとねてしまう。
 もう迷惑きわまりないですわ。
 で、そんな魔の2歳児にみなさんはどんな対応をしていますか? ついカッとなって
「もうお母さん知らない。好きにしなさい!」
「ダメだって言ってるでしょ。いい加減にしなさい!」
「わがままを言うんじゃありません!」
などなど・・・もうくたくたでしょ。
 で、たぬき家では・・・?
 やはり例に漏れず、感情で起こっていた時期がありましたよ。親といえども人間です。ついカッとなることはありますよね。でも感情で怒るのは百害あって一利なし。
 
 まずは深呼吸しましょうよ。そして冷静に冷静に。
 そして、子どもがどんな原因でそうなったのか。それをつきとめてみましょう。眠いだけかも知れませんね。甘えたいだけかも。何かに不満があることも。
 まずは子どもをよく観察してみましょう。本当に子どもが訴えたいものをしっかりとつかむことが大切ですよ。
 
 で、実際にどんな言葉をかけてみるのか?
 たぬきコーチの場合、できるだけ「だっこ」から入ります。子どもの心を落ち着けてあげないと、何を言っても何をやってもムダ。泣いている子どもに大声でしかりつけるのは、火に油を注ぐようなものですからね。
 また、子どもをだっこして落ち着かせるというのは、実は親である自分自身も落ち着かせることができちゃうんですよ。こうすることで、次にかける言葉が全然変わってきちゃいます。
 
 ここまできたら、次は言葉かけ。
2歳児だからといってなめちゃ~いけませんよ。わかっていないと思っていても、実はしっかりと理解できていることも多いんです。
 何か悪いことをしたのであれば、何が悪いのかをしっかりと伝えましょう。
 わがままを通しているのであれば、それがどうしてダメなのかを伝えましょう。
 すねているのであれば、その心を受け入れたという承認の言葉をかけてみましょう。
 このときの「言葉かけ」を間違えてしまうと大変!
 この時期の子どもは親が言うことをまねしちゃいます。ここで使う言葉を間違えてしまうと、乱暴な言葉やきたない言葉をあたりまえに使っちゃうんです。子どもは親から学ぶことがほとんどですからね。
 
 魔の2歳児、扱い方を間違えると思わぬ方向へ成長しちゃう時期。しかし、扱い方を適切に行えば、どんな方向へ伸びるかわからないですよ。いろんな可能性を秘めていますからね。
 その可能性の”芽”を摘んでしまわないように、まずは親が心を落ち着けてみましょうよ。

今度は自分の番

 これは長男が4才の時のお話。 
 ある日、私の友だちが遠くから遊びに来てくれました。子ども達も大喜び。なにしろ遊んでくれる相手が来るんですからね。ウチの子はこういうときって全然人見知りせずに、すぐに友だち感覚で遊んじゃうんですよ。
 とはいっても、本来は私の友だち。夕食を一緒に取りながらいろんな話しもしたいわけですよ。 
 そんなとき長男は、自分の存在を一生懸命アピール。とにかくかまってもらいたいんですわ。
 最初はお客さんである私の友だちもそれなりに相手をしてくれたんだけど、まだまだ夕食が終わっていないので子どもの相手はちょっとお休み。そうなると私もたぬき妻も、そして友だちもだんだんと話しに夢中になってくる。
 長男、こりゃーいかんと思ったんでしょうね。ときどきたぬき妻とやっている「電話遊び」を始めました。
 壊れたお古の携帯電話で
「もしもし~、もしもし~、ママですか~?」
の連発。たぬき妻もそれにつきあって
「は~い、だれですか?」
と会話遊び。
 それが一旦終わると、大人組はまた話しを始める。そうなるとまた長男が電話でアピール。
「もしもし~、もしもし~、ママ~!」
もうこの連発ですよ。
 そして友だちが夕食を終えると、すかさずこのせりふです。
「こんどは自分の番!」
 実はおみやげに持ってきてくれたさいころキャラメルとすごろくで、あとで遊ぼうねって約束してたんですよ。どうやら長男、その順番をけなげに待っていたらしいんです。
 が、なかなかこちらを向いてくれないので、ママに電話アピール作戦、というわけ。
 もともと自己主張の多い長男、とにかく自分がアピールできるところはとことんやっちゃいます。特に今回のように、自分の存在を認めて欲しいときは意地でもアピール。
「そんなの、ガマンさせないの?」っていう人もいるかもしれませんね。
 そりゃ自分だって、楽しく話しているところをじゃまはされたくないですよ。が、これを「無視」しちゃうとどうなるか・・・。
 「無視」が続くと子どもの心には「あきらめ」が芽ばえ、それが行動力の低下、つまり「やる気がない」っていうのにつながっちゃうんです。
 だから子どもが何かをアピールしている、特に自分の存在を認めさせようとしているときって、それに反応するのはとても大事ですね。このときに行うのは、「子どものアピール、つまり子どもの存在を認める」ことだけでいいんです。なにも子どもの要求通りに動く必要はありません。
 子どもの要求がのめない場合は、その理由をしっかりと伝えた上で「納得」してもらいます。
 子どもにそんなことを言っても、わかってくれるの? そんな疑問もわくでしょう。
 子どもをあなどっちゃいけませんよ。ちゃぁんと話しは理解していますからね。
 大事なのはあくまでも「子どもの存在を認める」こと。もともと
「今度は自分の番!」
って言わせること自体がすでに「子どもの存在を忘れかけている」って事ですからね。この危険信号は見逃さないように気を付けて下さいね。

 このような危険信号、怖いのは自己主張をあまりしない子ども。
 その子どもが突然わがままを言うようになるということは、本人にとっては相当なストレスがたまっている証拠です。決して
「わがままを言うんじゃありません」
なんて突き放した言い方はしないで下さい。優しく包み込んで安心させてあげる。
 そこから豊かな心が育っていきますよ。

セロテープと牛乳の空き箱

 長男、かなりの工作好き。もうなんでもつくっちゃいます。
 この間は、朝起きたら広告が丸まったのと棒状のヤツをセロテープで合体させたモノが転がっていました。で、たぬき妻が
「これなんだと思う?」
 う~ん、なんか棍棒のような武器にも見えるし・・・何?
「これ、『マイク』だって」
 ほう、なるほど。どこでこんなモノを作ろうとひらめいたのかはわかりませんが、とにかく作ろうという意欲と、それを作り出すアイデアはすごいね。
 またある日は、つぶしていない牛乳パックの空き箱とセロテープを駆使して「ロボット」を作っておりました。これは傑作品でしたね。
 このほかにも、今まで数限りなく作品ができています。
 象やライオンといった動物シリーズ。戦隊モノのロボットや武器といったテレビシリーズ。先ほど紹介したマイクやフライパンといった日用品シリーズ。



  タチヨミ版はここまでとなります。


たぬき流子育てこ〜ちんぐ パート6

2012年3月27日 発行 初版

著  者:古賀弘規
発  行:ユーアンドミー書房

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古賀弘規

たぬきコーチの古賀弘規です。コーチング、ファシリテーション、自己啓発、人材育成、その他もろもろ、人生にお役に立つ小説や物語、ノウハウをお届けします。

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