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ミーティング秘伝のタレ 秘伝の2

古賀弘規

ユーアンドミー書房

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  この本はタチヨミ版です。

何も言わない人にはどう対処する?

 会議の中で最も困る瞬間。
「何か意見はないですか?」 → しーん・・・
 誰も意見を言ってくれない。進行しようがないじゃないかよぉ。そんな経験、あるでしょ。こういった何も言わない人たちのことを「沈黙タイプ」といいます。
 さて、どうやって対処すればいいでしょうか?
 そもそも「沈黙している」とは一体どういうことなの?
 このときって、何も考えていないわけじゃないんです。ただ単に「逃げている」だけなんですよね。自分が否定されるのが怖いんですよ。
 だったらどうするか。はい、まずはその人そのものの存在と、その意見を「認める」ことから始めて下さい。特に、何か言いたそうな顔をしているのであれば
「大丈夫です。何でもおっしゃって下さい」
と、意見を言うこと自体に安心感を持たせて上げましょう。こうやって相手に興味を持つことも大事なことなんですよ。
 また、沈黙を嫌う人っていますよね。会議の進行役だけど沈黙の嫌いな方へのアドバイスです。
 「沈黙」というのはとても重要。その間は考えているんですから。ですから「誰かいませんか!」なんてせかしちゃいけません。また、「イエスかノーかはっきりして下さい!」なんて感じのクローズドクエスチョンも×。こちらは質問したつもりでも、相手にとっては言い寄られて決断を迫らなきゃいけない「詰問」に聞こえちゃいますからね。
 ゆったりとした気持ちで、余裕を持って、相手を認める。これが沈黙タイプに対する対応のコツですよ。

目的確認は頻繁に

 会議でよく発生しちゃうのが「脱線」。
 ある人の意見に対して反論が始まり、そこから徐々に話がずれていっちゃう、何て経験はあなたにもあるでしょ。これは脱線の元になる反論が悪いわけじゃないんです。これに対してきちんと道筋を立てなかった進行役の責任ですね。
 では議論が脱線しないようにするためには、どうしたらいいんでしょうか?
 まずは「会議の目的を明確にしておく」。これは大前提ですね。今日は何について議論するのか、落としどころは何なのか、これを会議の冒頭にしっかりと参加者に伝えておく必要があります。
 そうはいっても、やはり議論が脱線しちゃうんですよ。
 はい、会議の途中で「あ、脱線しそうだな」と思ったときには、進行役のファシリテーターが「会議の目的を参加者に伝え直す」ということが有効。
「今日の会議はこの問題についての解決手法を見つけ出すことが目的ですよね。今の議論は徐々にずれているように思いますので、ここで軌道修正しましょう」とズバリ伝えることばっちりききますよ。
 そのためにも、会議の目的をホワイトボードの片隅にしっかりと書いておくというのもいいですね。常に目で確認できるようにしておくと、参加者の意識もそちらに合わせることができてくるんですよ。
 会議の目的を頻繁に確認する。なんかめんどくさそうですが、脱線してからじゃ軌道修正は遅いですからね。その予防策として目的確認を遠慮なく活用してくださいね。

スピードが命

 今回はちょっとおもしろい会議の方法をご紹介。
 会議というと、どのようなイメージを持っていますか?
 会議室という密室で、たばこをぷかぷか吹かしながら、の大人が頭を抱えて資料をにらんでいる。
 それじゃぁ、いいアイデアも出ないし報告だってだらだらとしたものになっちゃう。
 今回紹介するのは「スピード」を重視した会議の方法。どうするのか。こういったルールがあります。
○会議は全員立って行う
○発言は一人二分以内
○報告会議は報告のみ行い、余計なことはしない
○会議は終業後十分以内で終了する

 今回ご紹介したルール。どのような意図があるか。もうおわかりですよね。これをやると「スピード」を重視せざるを得ませんね。全員立って行うので、三十分も続けられない。発言はいやおうなしに二分できられちゃうので、最初から意見をまとめておく必要がある。主に報告会議で使われているのですが、他の議論になる場合は別途時間をもうけるようにしています。そして終業後に行うので、誰もが早く帰りたい。だからスピーディーに会議が進む。
 これ、ある企業が取り入れた例なのですが、これを行うことで社内の伝達事項がスムーズに運ぶようになったそうです。今までは何が問題だったのか。それは「会議」=「無駄な時間」が定着していたため、頭を使いたくなくて余計にだらだらしていたとか。会議もスピードに乗れば、人はちゃんと頭を使っていくものですね。

締めで必ず確認を

 会議で何か決議を行う。メンバー一人ひとりの行動が決定。さぁ、今から行動開始だ!
 で、誰がなにをやるんだっけ? ほらほら、皆さん会議にちゃんと参加していましたか?
 こういった決議事項や、何か重要な発言については、会議の最後に必ずまとめて、繰り返して皆さんに伝えましょう。
「では最後に、今日決まったことをお伝えします。田中くんはあさってまでにインターネットでの調査。加藤くんは依頼項目のまとめ、安田くんは…」
といった具合に、一人ひとりが何をいつまでに、どのように行動するのかをしっかりと伝える。こうすることで、参加者全員が全員の行動を把握できますよね。それに加えて、聞き漏れや聞き違いがないかをしっかりと確認することができます。これがあるのとないのとでは大違い!
 たぬきコーチも、昔会議で決まったはずのことを相手が行っていない、「言った、言わない」の議論を白熱化したことがあります。確認を怠ると、こういった勘違いが起きちゃうものなんですよ。
 それともう一つ。例えば田中くんのやるべきことが決まったすぐ後に
「では田中くんはあさってまでにインターネットで調査を行うということで。田中くん、これでいいですか?」
と対象者にその場ですぐに確認すること。こうすれば、田中くんもすぐに手帳にしっかりとメモをすることでしょう。
 確認はしつこいくらい行うこと。これが会議参加者一人ひとりの意欲を向上させるコツでもありますよ。

どのジャンルの会議なの?

 会議で一番の落とし穴パターン。
「今日の定例報告をお願いします。…え、そんな問題が発生したのか。じゃぁこの問題をどうやって解決するのか、みんなで話し合うぞ」
 え、どこが落とし穴なの? 普通じゃないの、これ。
 そう思ったあなた、すでに落とし穴にはまってますね。ほら、定例報告会議でしょ。ってことは、問題発生の報告以外にも報告者がいるってことですよね。後に続く報告者は、この問題の解決策が出るまで、資料を持って待ちぼうけになっちゃうでしょ。
 そもそもこの会議の目的は「報告」ですよね。ってことは問題解決会議ではないってこと。進行役としては、この場に関係者がそろっているので、ついでにやっつけてしまいたいのでしょうが。参加している方はたまりませんよね。だって、予定外のことで時間の無駄。場合によっては無関係なのに首をつっこまなければならないことも。
 まず、今行っている会議がどのような目的のどのようなジャンルの会議なのか。これを進行役はしっかりと把握しておく必要があります。
 報告会議であれば、報告事項をすませること。問題解決の会議であれば、関係者が資料を持って集まること。それぞれのジャンルの会議には、それぞれ適した進行方法というものがあります。それに準備だって必要。
 だからこそ、会議ジャンルを途中で変更するのは御法度です。どうしても変更したければ、時間をおいてあらためて関係者を招集。これ、鉄則ですよ!

言いたいことは言ってしまえ!

 会社勤めのあなた、会議に限らず普段から会社に対しての不平、不満って溜まっていないですか? ほら、今日も同僚と飲み屋で一杯飲みながら上司や会社に対してのグチを言っているんじゃない?
 そんなに溜まっているのなら、会議の場で一気に言ってしまいましょう!
 といっても、そんなこと言ったら大変なことになりますよね。しかし、これをうまく使うことで会議進行もうまくいくことが多いんですよ。
 例えば会社の仕組みをうまく変えたい、というテーマの会議だったとしましょう。そんなときには、「どうすればいいのか?」を話し合う前に、一人ひとりが今思っている不平、不満、グチを一気に吐きだしてもらうのです。そうすると、
「へぇ、おまえもそんなこと思っていたのか。オレもだよ」
と一体感が高まります。そして心身共にすっきり♪
 これ、「発散」の効果なんです。
 問題はその次。ただ発散させただけでは飲み屋のグチと同じ。この発散させた内容はしっかりと記録し、そこから「何が問題点なのか」を深堀していくのです。
 問題点が見えてきたら、それに対してどのように対処していけばよいのか、それをみんなで議論。さらには、具体的な行動案まで出せるといいですね。
 この「発散」のプロセスを使うという回り道、いきなり行動を考えるよりも効率よく効果的に、しかも前向きに案が出てきちゃうから不思議。言いたいことを言える、そんな雰囲気を作り上げることができるからなんですよ。ぜひお試しを。

時計とにらめっこ

「あぁ~、今日も会議が長引いちゃったよ…」
こんなグチ、あなたもこぼしたことがあるでしょう。どうして会議っていつも長引いちゃうんでしょうね?
 これ、実は進行係に問題あり。ファシリテーター(進行役)になった方は、会議のタイムマネジメントも頭に入れておく必要があるんですよ。具体的にはどうすればいいの?
 まず、会議の終了時間を明確にしておく。これが一番のポイント。「今日の会議は○時に終了を予定しています」と、参加者に終了時間を意識してもらいましょう。
 そして、ファシリテーターはここから時計とにらめっこ。会議の目的やアウトプットイメージをはっきりさせておくのはあたりまえ。問題は何時くらいまでにどの程度進んでいなければいけないのか、これをファシリテーターがしっかりとイメージしておきましょう。
 進行が思い通りに進んでいないのであれば、最終的なアウトプットのイメージを変更するか、会議の手法を変えること。
「時間がないので、どんどん発言してください」なんて感じで参加者をあおってはいけません。あおればあおるほど、参加者の中に焦りが生じ、意見が逆に出なくなっちゃいます。
 会議をイメージしてプロセスをデザインするのはファシリテーターの役目。ですが、その通りにならないからといって、強引に引っ張るのは逆効果です。
 ファシリテーターは時計を常に意識して、会議の進行を臨機応変にデザインしなおしましょう。気持ちのいい会議は、時間通りに始まり時間通りに終わるもの。気持ちのいい会議の為にも、タイムマネジメントを意識してみてね。



  タチヨミ版はここまでとなります。


ミーティング秘伝のタレ 秘伝の2

2012年3月18日 発行 初版

著  者:古賀弘規
発  行:ユーアンドミー書房

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古賀弘規

たぬきコーチの古賀弘規です。コーチング、ファシリテーション、自己啓発、人材育成、その他もろもろ、人生にお役に立つ小説や物語、ノウハウをお届けします。

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