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イマムシ

だいこんママ

だいこん出版



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過去、現在、未来を同時にもつ架空のムシ
イマムシちゃんのおはなしです。



イマムシのひみつ

イマ(現在)は、
手足があるので、自由に動けます。

カコ(過去)は、
毎日うまれるイマがつながっていて、手足がないので動けません。

ミラ(未来)は、
表情は変わりますが、手足がないので動けません。


だから、イマが動かないと
イマムシちゃんは、変われません。

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できるよ



イマムシが生まれて
ひとりだちするまで

イマムシは いろんなところに 生まれます。
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生まれたときの顔は 
カコの顔になってつながっていきます。
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イマが元気に動けば、カコもついてきます。
イマが寝ていると、カコもそのままです。
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ある日、とつぜんあらしになりました。
ザザザーッ、ザザーッ、ザーーッ。ドドドーッ、バリバリ。
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やっと、あらしはおさまりました。
「ウゥゥゥー」「うぅ〜ぅん」あちこちでケガをしたイマムシがいます。
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おかあさんは たおれたこどもがしんぱいです。
「まけないで!」いっしょうけんめい はげましています。
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おかあさんは、ほかのイマムシにもこえをかけます。「げんきをだして!」
すぐ上に、ミラがみえます。
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泣いてばかりのイマムシに、おかあさんはやさしくいいました。
「だいじょうぶよ。キミならできるよ。」
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泣いていたイマムシは、がんばろうときめて、たちあがりました。
おかあさんも、ガッツポーズでおうえんします。
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イマムシの子どもは、じぶんから おきあがりました。「おかあさ〜ん!」
おかあさんも おおよろこびです。
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ひとりぼっち



おともだちと 
うまくあそべません

げんきになったイマムシちゃんは、おともだちのところにいきました。
キイロちゃんは、おかあさんの せわをしているので、あそべませんでした。
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イマムシちゃんは、アオちゃんをさそいにきました。
アオちゃんは、ねむそうにして げんきがありません。
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オレンジちゃんのところにいきましたが、
「いま、いそがしいからあとで!」といって、あそんでくれません。
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イマムシちゃんは、しかたなく とぼとぼあるいていると、
ムラサキさんにあいましたが、だまってすれちがいました。
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気がつくと、いつか、おかあさんがいっていた
ゲートのところまできていました。
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イマムシちゃんは、おそるおそるゲートをくぐりました。
すると、ひろびろとした けしきが見えてきました。
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キャベツばたけがありました。
ちかづいて見ると、イマムシちゃんにそっくりのイモムシがいました。
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イモムシは、パクパクとキャベツをたべはじめました。
イマムシちゃんも、いっしょに、たべました。
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とおくから、シューと へんなおとがきこえてきました。
イモムシは、たべるのをやめて、「にげろ!」とさけびました。
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なにがおこったのかわからないままにげたイマムシちゃんですが、
にげおくれたイモムシは、キャベツばたけでしんでいました。
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イモムシくんに おれいをいって、かえろうとしましたが、
イモムシはそこにいて、かえろうとしません。
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いえにかえって、おかあさんに きょうのできごとをぜんぶはなすと、
イモムシのおかあさんは チョウ だということをおしえてくれました。
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ぼくが かわる



じぶんが かわることで
おともだちを つくっていきます

「オレンジちゃんおはよう!ぼくもてつだうよ」といって、石をつんであげると、
はやくできあがったので、いっしょにあそびにいきました。
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水をはこんでいるキイロちゃんにあい、
オレンジちゃんといっしょに わきみずをくんであげました。
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アオちゃんのところにきました。
きろいグミをあげ、このグミをとったゲートのはなしをしました。
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みんなでゲートにやってきました。
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キャベツばたけでは、おじいさんが、シューのみはりをして、
みんなは、おなかいっぱいキャベツをたべました。
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イマムシちゃんは、おじいさんにイモムシのことをたずねました。
すると「あれだよ」と、サナギをゆびさしました。
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イモムシが、サナギになったのは、しんじられなかったけれど、
やがて、チョウになるんだと、おしえてもらい、わかれました。
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まけないで



カコは かわらないけれど
イマは かえられる

キャベツばたけのたんけんで、みんなは なかよしになり、
おともだちもふえました。
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オレンジちゃんは、きげんがわるく、
なにか アオくんと いいあらそってます。
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「さあ。なかなおりして、あそぼう!」
みんなでかくれんぼをすることにしました。
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イマムシちゃんがおにになり、
みんなは、いろんなところに かくれました。
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みんなみつかったのに
アオちゃんだけが、いくらさがしても みつかりません。
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かえりみちにイマムシちゃんは、
ムラサキさんにあい、いっしょにアオちゃんを さがしました。
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くさかげに、だれかいました。「アオちゃん?」ときいても、
だまって すわっていました。
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アオちゃんが、カコの顔がいやになったことをいうと
ムラサキさんが、かわいそうに つらかったのね。とやさしくいいました。
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ふたりに はげまされて、アオちゃんは、がんばろうとおもいました。
すると、ミラのほほえんだ 顔がみえました。
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ぼうけん



いろんな ぼうけんが
はじまります 

きょうも、みんなでいっしょにあそんでいます。
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ふかふかの土をみつけ、
みんなで、土をほりはじめました。
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しばらくほると、きゅうに土がかたくなって、まえにすすめません。
もどるにも、あしがすべってのぼれません。
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ミミズさんに あって たすけてもらうことにしました。
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すると、ミミズさんはなかまをよんできて、
土をふかふかにしてくれました。
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ミミズさんのおかげで、やっとそとにでました。
こわかったけれど たのしいたんけんでした。
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しばらく あるくと、
あおいひかりが、きりかぶのあなからもれているのを みつけました。
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オレンジちゃんは はしって、ちいさなあなから むりにはいりこみ、
中から、「わぁ!きれいよ〜。」と さけんでいます。
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しばらくして、オレンジちゃんが、もどってきましたが、
ひっかかって、そとにでられません。
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アオちゃんがあなを ひろげようといって
さがしてきた、ツルや石で あなを こわしはじめました。
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やっと あなが すこしおおきくなり、
オレンジちゃんは、そとにでることができました。
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あなも 大きくなったので、みんなで はいりました。
中は なないろにかがやいて、からだが ふわっと うきあがりました。
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あたらしい であい



しらない あいてを
りかいして

草原を歩いていると 糸につながれたトンボがいたので、
たすけてあげることにしました。
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トンボの ひもをきったとたん バシャン!!
カゴが おちてきました。
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ナスビたちがかえってきました。
オレンジちゃんは、きのかげから、そっと見ています。
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たすけたトンボがなかまをあつめてとんできて、ナスビたちをさそいました。
そのあいだに、あなをほり にげみちをつくりましたが、
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ナスビたちがかえってきました。
はやくにげないとたいへんです。
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まにあわずに、ナスビたちにつかまりました。
キイロちゃんが「つかまえないで!」といいましたが…
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キイロちゃんは つかまり、くくられました。

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ナスビたちはキイロちゃんのいくつもある顔を 見て、たずねました。
「どうして、顔がいくつもあるの?」
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顔のひみつを おしえることを じょうけんに、
キイロちゃんはじゆうになりました。
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手と足がついてるのが イマのわたしで、うしろは、カコのわたしです。
カコはうごけませんが、こうしてイマが歩くと、くっいてきます。
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なかよし



おともだたになる

へんなかいじゅうが、ちかづいてきました。
「??」
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フキのはっぱをとると、ダイコンちゃんでした。
「さっきは ごめんね」といって、フキのめんつくりを おしえてくれました。
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こんどは、ササのはをとってきました。
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すてきなササぶねができあがりました。
みずのうえを、すーいすーい。とてもきもちよさそうです。
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タンポポが いちめんにさいています。
さっそく、花のわ をつくりはじめました。
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おおきなはハートの花わもできました。
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マツバすもうをしています。
どちらも ひっぱったり ゆるめたり しんけんです。
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オレンジちゃんの マツバが ちぎれて
イマムシちゃんのかちです。
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ふしぎな メガネ



きいろいホシと
あおいホシ

ダイコンちゃんのママが、
ホシめがねを かけて やってきました。
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へんなめがねには、いろんなホシが みえる
ふしぎな はたらきがあります。
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ダイコンちゃんもかけてみると
なかよしのきいろいホシが、きらきらかがやいて とんでいました。
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ダイコンちゃんは、ホシめがねをかけたまま
イマムシちゃんたちと あそびにでかけました。
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しらない おともだちに あいましたが、
なんだか ようすがへんです。
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ホシめがねでみると、ピンクの子のまわりには、
いじわるのあおいホシが、いっぱいとんでいました。
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オレンジちゃんが ちかずいてみると
ピンクちゃんの手足には、アザがありました。
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「いじめたらダメでしょう!」とおおきなこえで いうと、
わるいこたちは、いちもくさんに にげていきました。
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「こわかったでしょう。もう、いないよ。」といって、
やさしいきいろのホシで つつんであげました。
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イマムシちゃんたちは、
ピンクちゃんが げんきになるまで そばにいて、はげましました。
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やがて、ピンクちゃんは げんきになり、
じぶんで しょっかくの おていれをはじめました。
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ピンクちゃんは、すっかるげんきになり、
いっしょに あそぶようになりました。
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しろいふわふわのユキムシが、
なつから ふゆのおうちに、おひっこしをしています。
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イマムシちゃんたちも、ダイコンちゃんと わかれて
ふゆのじゅんびをするために、かえっていきました。
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ふゆ じたく



ゆきがふるまでに

冬のじゅんびの、そうだんをしています。
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みんなで ちえをだしあって、やくわりをきめました。
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トンネルをほることになった 、オレンジちゃんとキイロちゃんは
どこから ほるかで もめています。
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キイロちゃんはいなくなり、オレンジちゃんが ひとりで、ほりはじめましたが、
土は、かたくて うまくほれません。
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カレハをあつめている アオちゃんがやってき、
とおりすぎました。
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ガサゴソ ガサゴソとおとがして、
ネズミが、あらわれましたので、
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かくれて みていると、
おおきな キツネが ネズミにむかってとびかかりました。
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ネズミは、とっさに あなににげこみ かくれたので、
キツネは、ネズミを みうしなってしまいました。
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しばらくしてから、ネズミがあなからでてきました。
そして、なんと そのあなから キイロちゃんも、でてきました。
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アオちゃんが、びっくりして キイロちゃんにきくと、
このあなは、キイロちゃんとミミズさんが ほったあなだったのです。
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はなしをきいていた ネズミさんが、たすかったおれいに
キイロちゃんたちの トンネルつくりを、てつだってくれました。
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ネズミさんのおともだちもきて、
ちょうスピードで、トンネルができていきました。
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アオちゃんとピンクちゃんは、せっせと カレハをあつめています。
イマムシたちは、おんしつをつくるそうだんをしています。
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おんしつをつくるために なかまをあつめにいきました。
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おおきな とうめいのいたを みつけて、
みんなで はこびます。
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いしにつまずいて、あしをはさまれましたイマムシがいましたが、
みんなで もちあげて、たすかりました。
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おんしつつは、どんどん できていきます。
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土のなかから トンネルをほっていた キイロちゃんたちもきました。
おんしつの かんせいも、もうすぐです。
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あとがき

この「イマムシ」を描いたのは、2007年で、
そのきっかけは、時間性の考え方を知ったときです。

「今が大切」と分かっていても、
ついダラダラして、何もしない時間が過ぎていくことがよくあり、
そのうちに忘れて、また思い出すという繰り返し。

そんなとき、時間性の考え方を知り、
時間のながれを、カタチにするアイデアがうかびました。
人生は、今しか変えられないのだから、
イマにだけ手足つけたムシを考えました。

カコは、変わらないでくっついているけれど、
手足のあるイマが歩けば、カコも一緒に進めます。

過去、現在、未来が同時に見えることと、
今にだけ、手足をつけることで、
はっきり、今しか動けないことがビジュアル化されて、
今の大切さが伝わると思いました。

イマムシ

2012年4月7日 発行 初版

著  者:だいこんママ
発  行:だいこん出版

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だいこんママ

1994年に家族で神戸から北海道に移住し、大自然の中でイラストなどをを発信しています。

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