a girl named violet and her family
スナップ写真って本当に難しいと思うのは、
例えば、楽しい場面を、楽しい雰囲気で撮っていると、
写真にもそれが写ると思ってしまいがちだけど、
そうではないというところです。
(ある程度そういう部分もあるけれど、一定以上のものを撮るには)
写真は別物で、どんなに楽しかったり、その場の雰囲気が良くても、
その中でも、集中して、一瞬を捉えて、
シャッターを押さない限り、残りません。
純粋にそのひと時を楽しむことと、撮影することには
どうしたって矛盾が生じるので、時々葛藤が生じます。
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達やスミレちゃんがこれから年を重ねていって、年ごろになったり、
おばあちゃんになったとしても、
akiちゃんのアクセサリーはほとんど変わらないまま
残るかもしれないなと思って。
時間の流れの中で、移りゆくものと、残されていくものの
対比について思いを巡らせました。
自然のお花は、ほんのひと時咲いて、色あせ、しなび、
そしてただ枯れていくもの。
その潔さにあこがれつつも、
どうにか、お花を一番きれいな状態で、いつまでもとっておきたい、
手元に残しておきたいという気持ちは、
世界中の女の子が一度は思ったことがあるのではないかと思います。
お花じゃなければ、それを自分でも、家族でも恋人でも、
時間でもに置き換えて。
だから、akiちゃんの作る花は、夢の花なんだよなって思いました。
写真も同じ。
本当はすでに消えてしまった、もう二度と現れない一瞬なのに。
残せないものをどうにか残したいと思う、憧れと欲。
写っているものがどんなに美しかったり、幸せだったりしても、
そこに一沫の切なさと、がめつさが立ち現われるのが、
写真の性なのだと思います。
like a little girl
モデルをしてくれた友達は、
幾つになっても永遠の女の子という雰囲気なのに、
頑なさ、男性的な凛々しさも入り混じっていて
その日のバランスによって、印象がだいぶ違うのだけれど、
白いお花の櫛をおかっぱに挿した途端、
少女っぽさが抜きん出て、あまりのかわいらしさに、くらくらした。
撮影している時も、まるで小さな女の子を撮っているような印象。
自分にぴったりの花を身につけると、和らぐものと、
際立つもののバランスがとれて、
とっても素敵なことになるんだなあと思った。
sister and family with hawaiian memories
5年前、一緒に7か月間で、22か国まわる旅をした友達。
旅の最後はハワイで締めくくったのだけれど、
サプライズで友達の妹夫婦がハワイまで来てくれていた。
その時、みんなで廻った海や山、タウンの風景を思い浮かべた。
夫婦には去年女の子が産まれて、名前はまひなちゃん。
マヒナはハワイで月という意味。
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姉妹は普段とてもアクティブで、しっかりものだし、
物言いもさばさばしているけれど、
どこか、ぽわんとした夢見るような雰囲気や、
ふとした時に、きらきら輝くような瞬間がある。
akiちゃんのお花をつけることによって、
その感じや、瞳や肌の透明感を強調できたらなと思っていた。
mother blue flower daughter
モデルをお願した友人が、前に占い師だったこともあって、
魔女のような雰囲気も撮りたいと思ったけれど、
黒い魔女じゃなくて、淡い、白っぽい魔女。
ここのおうちにいる猫ちゃんも、アイボリーの体に
青い瞳なので、白い魔女のおともにぴったり。
ちょっと時空を超えて、
母娘お互いの未来や過去を想うかんじが撮れたらいいなあと思った。
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砂漠の砂のような淡い色の中青が浮かび上がる
小さな世界ができあがった。
akiちゃんはその様子を見て、想像上のモロッコのようだと言った。
そう言われてみれば、わたしも昔見たモロッコの風景を思い出す。
砂色の風景の中に突如あらわれた、コバルトブルーの湖や、
肌色の家並みの青いドア、そこから現れた、
青いベルトをしめたおばあちゃんのこと。
delivering flowers at his room
だんだん、どこまでが作り物の世界なのか見失い始め、
スナップなのか、作り物なのか分からなくなってきた、と呟くわたしに、
「スナップだよ。だって、今全然撮られてるって気がしないから」
と言ってくれました。
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わたしとakiちゃんが展示するということは、、
表現したいイメージや、作っているもの、届けたい人や想い、
すべて複雑すぎるくらい複雑で
ぐっちゃぐちゃなのだから、
DMまで分かりづらくしない方がいいと言われ、納得しました。
撮った写真を見てみたら、
思いのほかハードな印象のものが少なく、
優しさや繊細さが滲み出ているものが殆どで。
もっと硬質な部分や、ストイックさを狙ってもよかったのかもと思いつつ、
でも昨日優しかったしな・・・
そして、やっぱりお花を身にまとうということは、
そういうことなのかもしれないって思いました。
boy flower girl
海辺で、夕顔を摘んで、小さなブーケを作ってくれた彼女は、
わたしにakiちゃんを紹介してくれた人。
akiちゃんと出会うまでに、いろんな人とのつながりがあった。
今回の展示準備を通して、たとえば、川に小石を投げ込むと
波紋が広がるように
ふたりのそれぞれの友達の輪が、
さらに繋がったり、重なったり
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彼女のパートナーにもお花を持ってもらって、
男性とお花のコンビネーションはやっぱりいいなあと思う。
やわらかい雰囲気の人に花を添えると、
意外とその人の男性的な部分が強調されることもあれば、
男らしいイメージの人の繊細さが浮きでる時もあって、おもしろい。
flow summer flower
男の子と女の子が森のような場所で遊んでいる内に、
小鳥か何かの死骸を見つけ、お墓を作ってあげることにしたけれど、
だんだん飾り付けに夢中になって、何をやろうとしてたのか
忘れてしまったり、いろんなものを置き去りにしたり、
最後は川に流したりしてしまう、
子どもの純粋さと残酷さのようなもの
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数か月前まで、お互い誰も知らなかった3人が、
それぞれ、カフェなどでふらりと出会って、
一緒にひとつのものを作るという体験。
ふしぎなめぐり合わせだけれど、
この日のメンバーの組み合わせとしては、
これ以上のものはなかったように思う。
maybe she talk with plants
改めて思ったことは、自分が撮りたいと思った人に、
撮りたいシチュエーションなどを
迷惑じゃないかなとか、先走って遠慮したり、
卑屈になってためらったりせずに、
まずはまっすぐ伝えるようにしようということ。
できないことは、できないって言ってくれる人達のことを
単純に信頼すればいいだけ。
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菩提樹の葉が金色に積もった場所や、薔薇園、大きなラワン蕗の茂み・・・
どんな場所にも、すっと馴染んでしまう彼女の後姿を見て、
こんなに植物園が似合う人が他にいるだろうかと思ってしまいました。
before star festival
娘さんが、本当におかあさんが大好きな様子や、
ソファや床でごろごろ、ぐにゃぐにゃする様子が本当にかわいくて、
子どものいる風景はやっぱりいいなあと実感しながらの撮影。
子どもはじっとしてくれないし、一瞬一瞬で表情もモードも変わるから、
一瞬を切り取ることが本当に難しいけれど、
本当に魅力的で見飽きないなって思いました。
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作業部屋でも撮影させていただいて、
こつこつと丹念に作業を進めていく様子を
垣間見させていただけてうれしかったです。
あんなにお洒落な作品が、こんなに原始的な方法で、
試行錯誤しながら作られていることが、
なんだかとても嬉しく思えました。
洗練していくことも、素朴さも、極めていくと、
結局自然に近づいていくということで、同じことなのかもしれないと感じたり、
アフリカや中南米で見た動植物のアバンギャルドさ、
自然の奇抜さを思い出したり。
with living doll
人形と着ぐるみと、人とがテーブルを囲むシーン。
撮っているとそれらのさかいめが分からなくなりそうでした。
子どもの頃、人形で遊ぶことがあまりに好きで、
人の気持ちより、人形の気持ちの方がよほど分かるなと、思ってしまうことがあったり、
今から思えば、ちょっと危険なところがあったように思うけれど、
今でも、結構人形の気持ち分かっちゃうな・・・と感じてしまいました。
traveling girl from Tokyo
身支度したり、お布団の上に座り込んでメイクなどしている
モデルさんの様子がかわいくて、布団の上で撮影開始。
このシチュエーションはモデルさんを選ぶな・・・
あまり他の子にはたのまないようなシチュエーションやポーズで撮影。
自分をよく分かっていて、表現方法を心得ている人の撮影は、
シンプルだなあ。
we hope her dream come true
今回、たくさんの女性を撮影して思ったけれど、
みんな、自分のかわいさ、綺麗さをあまりに分かっていない。
勿体ない・・・
わたしもakiちゃんも、かわいいとか恰好いいと思ったり、
好きなポイントを発見すると、
相手が誰であれ、ためらわず、ぐいぐい伝えたくなるタイプなので、
時にうっとうしがられたりもするけれど、
今後も変わらないでいようと思う。
今回撮った写真たちを見て、どれだけ自分が素敵か、
被写体の方たちにどうか気付いてほしい・・・
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自分の進むべき道を自覚している人特有の
くっきりとした輪郭や、眼差しと一緒に、
まるで少女のようなピュアで無邪気なはにかんだ笑顔も写っていて、
本人はもっとぶれない感じを目指しているかもしれないけれど、
この揺れてるかんじが、今ならではの魅力で
みんなそのかわいらしさにまいっちゃうと思うなと、いとおしく感じた。
how about one more flower?
写真を撮る時に限らず、わたしは、人と話している時、
相手の中にいる子どものようなもの
(どう説明していいのかよくわからないのだけれど、
大人である相手の中に存在している小さな女の子や男の子)
を感じることがすごくあって、
それは子ども時代の相手なのかもしれないし、
相手が子どものころから抱えてる思いなのか、
その人の本質ということなのかもしれないけれど。
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やっぱりどんな状況でも、カメラはまっすぐ向けていていいんだなとも思った。
imagine old summer days
撮影の合間に、みんなでソフトクリーム食べたり、
モデルのお二人が竹馬で遊んでいるところを見ていたら、
カップルっぽさもあるけれど、幼馴染のような、そんな雰囲気にも見えてきて。
写真を見てみたら、大人のような、少年少女のような、ちょっと不思議な
でも、ほがらかでさわやかな写真が撮れていたので、安心しました。
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退職されたり、老後の生活の中でボランティアをされている方たち・・・
その方たちの溌剌とした雰囲気、こだわりのないやさしさ、純真さに
こんなふうに年をとりたい・・・などと思ってしまったくらいでした。
when mother was a girl
彼女は、10年以上前にわたしが働いていた飲食店に、
よく来てくれていて、彼女はまだ10代だったのかも。
かわいい女の子だなあと思っていましたが、
話をしたことはなかったように思います。
それが、今になってモデルさんになってもらえるなんて、
考えてみたら不思議。
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展示に向けて撮った写真について、
メルヘンチックとか、絵本の中のようとか
言っていただくことがあるけれど、
基本的には、ほとんどモデルさん達自身の日常風景です。
でもそこに、akiちゃんのアクセサリーと、ほんの少しのスパイスを加えると、
日常風景から、ちょっぴりファンタジックな風景に変化するのが、
毎回おもしろくて、楽しみでした。
いつも、どこまでが自然で、どこからが作りものの世界なのか、
境目が分からなくなります。
people living lakeside town
あわただしい滞在だったけれど、
いろんな人と出会えて、楽しくて
やっぱり来てみてよかったなって本当に思いました。
撮影は毎回プレッシャーがあるけれど、
その都度楽しいエピソードやかかわりがあって、
逆にに元気にさせてもらっていたなって思います。
写真にも、洞爺で暮らす方たちの朗らかさ、あたたかさ、ピュアさ、
飾らないきれいさが写っていて、ますます洞爺が好きになってしまいました。
みんな、洞爺の美しい風土が本当に似合っていて、素敵。
素敵な人だから素敵な場所に呼ばれるのか、
素敵な場所に住んでいるから素敵な人になっていくのか。
どちらもあるのでしょうね。
自分のライフスタイルを考えさせられた撮影でもありました。
have a nice trip !
コーヒーを飲み終わった後の、まったりした雰囲気をそのまま撮影。
カフェの雰囲気とあいまって、ファインダー内だけ、
完全にヨーロッパのどこかのようだった。
一瞬旅をした気分。
連絡先を交換したりして、
こんな偶然の出会いは、やっぱり旅の途中を思い出す。
本当は普段見逃しているだけで、日常の中に、いつでもこういう
すてきなハプニングはひそんでいるのだろうなあと思う。
akiちゃんのアクセサリーのおかげで、立ち会えた瞬間がこの夏いっぱいあった。
てんてこまいだったけれど思い出に残る夏だったなあ。
boy meets girl after the rain
タクシーで向かいながら、
空を見上げると、分厚い雨雲が風に乗って遠ざかっていく様子が見えて、
水色が広がってきているし、
きっと晴れるな、雨上がりの公園は素敵そうと楽しみになってきました。
思った通り、雨が上がり始め、窓際の席に陽光が差し込み始めてとてもきれい。
モデルさんの男女は二人ともシャイで奥ゆかしいかんじ。
お互いにも、撮られることにも、まだ慣れない感じをあえてそのままに、
ういういしく撮れたらいいなと思いました。
歩きながら、陽だまりを見つけたら、すかさずモデルさんに立ってもらって撮影。
雨上がりの空も日差しも、色の白いモデルさんのお二人も、
透き通ってきらきらしています。
その透明感や色合いを見ていると、夏ではない、秋の気配が色濃く感じられて、
夏の初めの撮影の頃を思い出して、なんだか胸がきゅんとなりました。
季節が過ぎていってるという当たり前のことに、急に気付いたような。
flower loves her
普段、アクセサリーはほとんどつけないという彼女だったけれど、
色白、ショートカット、笑顔に似合って、
とてもキュートなポートレイトになりました。
「イヤリングとかこれからちょっとしてみたい気もしてきた」
と言ってくださって、新しいお洒落のきっかけになれたなら、うれしいな。
お花のアクセサリーなので、
お花を扱うお仕事されている方につけていただける
機会があったらいいなと思っていたので、嬉しかったです。
autmn will come soon
落ち着いていて、ぶれないかんじと同時に
浮遊感やさすらい感もあるような
やわらかく強い印象をそのまま写したいと思ったので、
座る場所以外は何もお願いせずに、
ふわふわと撮影することにした。
お店は多国籍な雰囲気で、特にメキシコの雑貨が多いから、
中南米の空気感はあるけれど、
それ以外の要素とないまぜになっている。
流れている音楽の境界のないかんじとあいまって
掴み切れない、架空の国のお店というイメージ。
こういう、作りこまれていながら、いい意味で
隙間や余地がたくさん残されている空間にいると、
リラックスしつつも、いろんなイメージやひらめきが湧くので、
居心地がいい。
雨の中、自転車で家に帰りつつ、
秋がくるなあ・・・と思った。
2013/09/07 発行
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