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架空ネコ3

だいこんママ

だいこん出版



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 目 次

一章 北国の日常と空想  

   東京ガールズコレクション ほか
   くるねこ愚連隊 ほか
   秋味まつり ほか

二章 おばあさんになる  

   初孫
   スカイプ

三章 雪国の牧場ネコ  

   春になると ほか
   素泊まりネコ
   お母さん大好き! ほか
   シャカシャカ ほか
   車庫ネコ ほか
   お引越し ほか


はじめに

二〇一一年の冬に、初孫が誕生して、
気持ちは、『架空ネコ』から離れつつありました。

そして、夏になって、となりの牧場ネコが、
我家の車庫で子ネコを出産し、子育てをするというハプニングによって、
子ネコの可愛さと面白さに夢中になり、
お母さんネコの、根気づよい子育てに感心して、
観察づけの日々が続きました。

そんな訳で、『架空ネコ』の出番がなくなったので、
二〇一〇年の秋以降のモノクロの絵を、
「一章 北国の日常と空想』に載せています。






一章 北国の日常と空想

東京ガールズコレクション

『ここはどこ?』

『東京ガールズコレクションの
会場だよ。
おばさんの空想だけどね。』

『カワイイー!』

『うん。カッコいいね。』

『次は…?』

『ちょっと、ヤバイよ〜
おばさんも出てるよ。』

『やっぱり、おばさんだ!』

『見ない方がいいよ。』

『そうだね。
目を合わせないようにしようね。』

東京ジャズ

『今年も、はじまったね。』

『ピアノの
上原ひろみちゃんとかでるの?』

『今年は、出てないんじゃない』

『ボーカルするの?』

『東京まで見に行くのかしら?』

『現実はラジオで聞くだけよね。』



『おばさん、
最近、東京が気になるみたいね。』

くるねこ愚連隊

『これ何かしら。』

『じゃがパパさんが好きな
「くるねこ」だって。』

『…ネコ〜?』

『あれ!
中からも出てきたよ。』

『ネコのマトリョーシカね。』

『こうして並べると、
サッカーの
ピーケー戦みたいだね!』

『やる気でてきたよ〜』

『がんばって!』

『ストライク!』

『えっ?
いつから
ボーリングになったの?』

『それに、ボールも、
普通のボールだよね。』

エゾリス

『エゾリスが
オニグルミを拾ってるよ!』

『あんな堅い殻を、
割ってる!』

『こんどは、口にくわえて、
運んでいるよ。』

『オニグルミを埋めて、
隠しているよ。』

『埋めたところを忘れないの?』

『忘れるよ。
だから、オニグルミは、
いろんなところで
発芽できるんだよ。』

『スゴい!
オニグルミは賢いね!』

秋味まつり

『サケのつかみどり。
がんばって!』

『うぁー!
大きい!』

『いろんな店も出てるね。』

『あっ。
シジミ狩りだ!』

『やってみよう!』

ちゃんちゃん焼き

『合わせ味噌を作ります。』

『鉄板に、
三枚におろしたサケをのせ、
野菜をならべて、
合わせ味噌をのせ、
アルミホイルをかけて、
蒸し焼きにします。』

運動会

「ヨーィ、ドーン!」

『がんばって〜!』

『がんばれー』

『ヤッター!
一番大きいぞ〜』

『一番だったのに、
カリカリ一個〜』

『……』

読書

『……』

『…』

『ええっ!』

『やぁ〜。』

『えっ、
本の中に入っていいの〜?』

『ぼくたち主人公だよ!』

スケッチ

『キレイに描いてね。』

『うん。
じっとしててよ。』

『まだ〜?』

『もう少しよ。』

『わたしは?』

『ごめん。
ねずみがカワイかったから。』

特別メニュー

「今日は特別に、
好きなのを選んでいいわよ」

『えっー!』

『うれしー!』

『どれにする〜?』

『迷うね〜』

「はい、これね。」

『ありがとう。』

「さぁ〜、どうぞ。」

『いつものカリカリと
同じだね。』

『うん。』






二章 おばあさんになる

初孫

『おばさんが、
大きなカバン持って出かけるよ。』

『東京へ行くんだって。』

『おばあさんになるんだよ。』

『干したダイコンみたいに
なるのかしら?』

『いずれなるだろうけど…
急にはならないよ。』

『わたしたちも、
ついて来たね。』

『手作りのぬいぐるみだよ。』

『ベビー服をきてみたよ。』

『ベビーバスだ。
入ってみよう。』

『ちょうどいいね。』

『保険師さんが来て、
体重をはかってたね。』

二〇一一年三月一一日

『孫が生まれて、
一ヶ月もたたないうちに
東日本大震災が起き、
恐かったね。』

『その後、
余震も、ずっとあったね。』

スカイプ

『北海道に帰って、
スカイプをはじめたんだよ。』

『テレビ電話みたいだね。』

『うん。いいね〜。』

『孫が北海道に来るから、
チャイルドシートを
借りてきたんだって。』

『車に乗る時に使うんだね。』

『こんな感じかしら。』






三章 雪国の牧場ネコ

春になると

『おばさん、何してるのかな?』

『チーズ工房の
ロゴマークを頼まれたそうよ。』

『じやあ、
わたしたち暇になるね。』

『あっ、
クモがおりてきたよ。』

『春になると、
どこからともなく、
クモやムシがでてくるんよね。』

『外は、
雪融けで水たまりがあるから、
いやだね。』

『チューリップが
芽をだしたよ。』

ネコのネコ観察

『となりのネコかな?』

『生ネコだね!』

『えっ?』

『だって私たち架空ネコだから、
本物は生ネコでしょう。』

『そうかな…
観察してみよう。』

『出会っても、
逃げないネコは、
背を低くして、かまえてるね。』

『動かずに、
じっと見てるよ。』

『遠ざかるまで、
目で追ってるよ。』

となりネコ

『また、となりのネコだよ』

『最近、いろんなネコを
見かけるね。』

『あれ?フワフワの毛だ。』

『あの子、鼻に模様があるね。』

『リボンみたい。』

『こっちに来るのかな。』

『ボクたち、架空なのに、
見えるのかしら。』

素泊まりネコ

『カラスが
車庫に入ってくるから、
おかしいな?と、
おばさんが見に行きました。』

『車庫の上には、
ネコがいて、
子ネコを産んでいたのよ。』

『ネコ好きのおばさんだけど、
困ってたわ。』

『とにかく、
カラスが入らないように
車庫のドアを閉めて。』

『また、考え込んでいたよ。』

『エサはやらないほうがいいと
言う人や、
親ネコは避妊手術して、
子ネコは里親をさがすべき。
と言う人。
おばさんは、
ますます悩んでたよ。』

『本当は、
家で飼いたいんじゃない。』

『でも、まだ飼えないだって。』




※ 結局、
となりの牧場ネコだと
分かったので、
しばらく様子をみることに
なりました。

『お母さんネコは、
おっぱいをやるから、
毎日、狩りに出かけて
栄養をとっているんだね。』

「そうよ。
自由に外を歩いてる姿は、
いいよね。」

『おばさんは、
ネコの自由を
尊重してるんだね。』

『お母さんネコが
いないとき、
子ネコたちは、
ネコ団子になっています。』

『お母さんネコは、
ちゃんと
おっぱいをやりに帰ってくるね。』

『子ネコたちは
お母さんのおっぱいで、
元気に育ってるね。』

『目も
見えるようになってきたよ。』

『一人前に、
フーッ。って
威嚇するようになったよ。』

『よちよち歩くようになったから、
箱の外に出てしまったわ。』

『落ちないかしら?心配だね。』

お母さん大好き!

※ ここから架空ネコは、
出番がないので、
ナレーションをします。


『いつの間にか、
みんな下に降りました。』

『お母さんネコが、
一匹ずつくわえて
降りたようです。』

『お母さんって、すごいですね。』

『お母さんネコは、
しっかり
おっぱいをやっています。』

『お母さんが
出かけていないときは、
奥の箱に入って寝ています。』

『遊ぶときも、
奥の狭いところで
隠れて遊びます。』

『お母さんが、
帰ってきました。』

『お母さんは、
よくお留守番できたね。と、
ペロペロなめてくれます。』

『お母さんがいるだけで、
子ネコたちは、
安心して外に出て遊びます。』

『あちこち走り回るので、
お母さんも出てきて、
見守っています。』

『お母さんネコは
後ろ向いていますが、
耳を立てて、
すべて聞いています。』

狩りの練習

『夕方、家の外で、
お母さんネコが
誰かを呼んでいるように
鳴きながら、
じっと待っています。』

『いくら待っても、
誰も来ないので
歩き出しました。』

『プロパンガスの近くまで
行きました。』

『子ネコが隠れていました。
まだ恐くて
出られなかったのです。』

『お母さんネコは、
子ネコが出てくるまで、
また、しばらく
待っていました。』

少しずつ、お外へ

『お母さんネコが、
鳴きながら帰ってきたときは
子ネコたちを
呼んでいるのです。』

『子ネコたちは、
ドアの隙間から出てきます。』

『今日は暑いので、
お母さんは、
中に入らないで、
外でおっぱいをあげています。』

『おっぱいが終わると、
黙って出かけました。』

『子ネコたちは、
お母さんが呼んでないので、
すぐに車庫に入る子と
ついて行こうかしらと
迷う子がいます。』

カワイイ子ネコたち

『車庫のドアを開けると、
恐いけれど。
外が気になるので、
並んで見ています。』

『元気な子は、
少し、外に出て行きます。』

『夕方、ドアを閉めに行くと
子ネコは、
あわてて帰ってきます。』

『もう一匹も、
超スピードで走ってきます。』

『ドアが閉まっても、
下の隙間から入れるのに、
ビックリしたんでしょうね。』

シャカシャカ

『おばさんは、
車のアンテナを
壊してしまったので、
それにヒモをつけて、
シャカシャカ音がする
おもちゃにしました。』

『はじめは、
みんな隠れたままで
出てきませんが…』

『一匹だけ、
寄ってきました。』

『遠くから見ていた子ネコも、
少し近づいてきます。』

『一匹が飛びかかると、
他のネコも真剣に見ています。』

『シャカシャカの
動きにあわせて、
ジャンプもします。』

『左右に大きく振ると、
まるで、テニスの観客のように、
左右に首を振ります。』

『四匹そろって、
左を向き。』

『みんないっせいに、
右を向き。』

『いくらでも遊びます。』

ネコも気まずい顔をする

『車庫に入ると、
お父さん?らしきネコが、
あわてて逃げて出ました。』

『子ネコたちと、
一瞬、
目が合ったけれど…』

『まるで、
何も無かったように、
その場で顔をそむけました。』

『気まずそうに、
後ろを向いて
じっと座っているのです。』

『そのシラーとした雰囲気に、
おばさんは、
吹き出しそうになったのを、
ぐっと我慢したそうです。』

なわばりデビュー

『よく晴れた満月の夜、
家族そろって
いなくなりました。』

『子ネコちゃんたちも
遊びながら、
お母さんネコについて
行ったとおもわれます。』

『ネコの夜の会合のはじまり。
うちの子たちをよろしくね。
とか、あいさつを
したのかもしれません。』

『もう、帰らないとおもった
次の日、
土手のところで、
他の親子づれと
一緒にいたそうです。』

車庫ネコ

『帰らない日が続いたけれど、
ひょっこり、
二匹、帰ってきました。』


『おばさんは、
ひそかに、
今度帰ってきたらエサをやろうと
決めていたそうです。』

『さっそく、
エサを持って行ったけれど、
フーッと威嚇されて、
すぐに隠れました。』

『エサを置いても、
おばさんがいると
出てきません。』

『それならばと、
シャカシャカで誘ってみても、
隠れたまま見ています。』

『おばさんは、
しかたなく、
エサを置いて退散。』

『すると、
おばさんがいない間に
完食していました。』


かくれネコ

『また、来ない日がつづき、
帰ってこないと諦めかけたら
また、
四匹そろって寝ていました。』

『はりきって、
お皿を4つ並べたけれど、
おばさんがいると、
なかなか食べに来ません。』

『元気な子ネコが、
一番遠くのカリカリを
食べはじめました。』

『しばらくして、
ほかのネコも食べに来たのですが、
一番遠くの、お皿に集中。
せっかく、
四皿並べたのに…』

お引越し

『お母さんネコが、
ニャーニャーと呼びながら、
出でかけようとします。』

『ところが、
子ネコたちは遊んだりして、
車庫から出ようとしません。』

『お母さんネコは、
じっと座って待っています。』

『みんなが出たら、
少し前に進みます。』

『ところが、
一匹だけ残った子ネコは、
ミャーミャー大きな声で
鳴きはじめます。 』

『せっかく
お母さんネコに付いてた子ネコも、
走って
車庫に帰ってしまいました。』

『すると、
ほかの子ネコも
帰って遊びはじめます。』

『お母さんネコは、しかたなく
車庫の前で
おっぱいをあげはじめました。』

『朝から、
3、4回こんなことを繰返して、
お引っ越しが終わったのは
昼過ぎでした。』

特別ステージ

『ベランダから見える、
シラカバの木のところに、
子ネコたちが、
遊びに来るようになりました。』

『猛スピードで走り、
木に駆け登ります。』

『降りる時は、
ちょっと恐そうに、
降りるというより、
半分落ちています。』

『取っ組み合いも、
真剣ですが、
手加減しているのが分かります。』

『お母さんネコも
本気で追っかけて、
自立をうながしています。』

ビフォーアフター

『冬はとなりの牧場に帰ると
おもいながらも、
車庫に来た時は
少しでも温かく過ごせるよう、
工夫しました。』

『古い冷凍庫の
保温性をいかして、
そこに入りやすくしたのです。』

『子ネコたちは、
新しいお部屋を
利用してくれました。』

『夜は、フタを下ろすと
より温かそうです。』

独り立ちの訓練

『お母さんネコが、
じっと座っています。』

『やがて、子ネコが来ました。』

『しばらく見ない間に、
大きくなっています。』

『子ネコは喜んで、
寄っていきましたが、
お母さんネコは、
耳を咬んで怒りました。』

『子ネコは、
しかたなく離れました。 』

『子ネコは、
距離をおいたまま
じっとしています。』

『お母さんネコは、
横になり毛づくろいを
はじめました。』

『子ネコは、
お母さんを遠巻きに歩いて、
反対側に行こうとしています。』

『子ネコは、
後ろでじっとしています。』

『お母さんは、
相変わらず毛づくろいです。』

『子ネコは、
そーっと近づきます。』

『子ネコは、
ゆっくりゆっくり、
ほんとうにそーっと
歩いています。』

『そしてやっと、
お母さんにくっつきました。』

『お母さんは怒らないで、
毛づくろいをしてくれました。』

『ところが、しばらくして、
お母さんは立ち上り、
振り落とされました。』

『見ると、
ほかの子ネコも
来ていたのです。』

『しばらく見ない間に、
お母さんネコより
大きくなっていた
子もいました。』

『車庫ネコも、
冬の間は、来なくなったね。』

『ナレーター役も、
これで、おわりかな。』

『わたしたちは、
忘れられたのかしらと
おもったよね。』

『これからも、
「架空ネコ」を
描いてくれるのかしら?』

『……』

架空ネコ3

2012年10月11日 発行 初版

著  者:だいこんママ
発  行:だいこん出版

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だいこんママ

1994年、神戸から北海道に家族で移住。 大自然の中でイラストなどを描いています。

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