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お読みいただきありがとうございます。
『animation & motiongraphics VIEW 2012』は、アニメーション/モーショングラフィックス作家・批評家・研究者等の方々を対象に、「2012年に観たアニメーション/モーショングラフィックスの中から3作品挙げて下さい」というアンケートを行った企画です。





animation&motiongraphics VIEW2012

ONIONSKIN・編

読み方

「animation & motiongraphics VIEW 2012」は、
アニメーション/モーショングラフィックス作家、
批評家、研究者等の方々を対象に、


「2012年に観たアニメーション/
モーショングラフィックスの中から3作品まで挙げて下さい」

というアンケートを行いまとめたものです。
作品タイトルがオレンジ色になっているものは、
本編、予告編、公式サイトなどにリンクされています。
リンクがはずれている等問題がありましたら、
お手数ですが

[onionskingroup@gmail.com]

までご連絡下さい。

目次

青木純/アニメーション総合文化研究所/ALIMO/飯田萌/池亜佐美/稲葉まり/岩瀬夏緒里/植草航/AC部/オオクボリュウ/大島智子/オオニシカオリ/大西景太/大橋史/岡田昭憲/岡本将徳/奥下和彦/奥田昌輝/折笠良/加藤隆/川口恵里/KWGT / 川口真由/きし本こう太/キムハケン/賢者/胡ゆぇんゆぇん/最後の手段/坂本渉太/サキタニユウキ/澤隆志/ししやまざき/シミズタカハル/白石慶子/上甲トモヨシ/助川勇太/菅俊一/そんよんそん/高瀬司/TAKCOM/竹内泰人/谷口暁彦/告畑綾/ていえぬ/TYMOTE(井口,村井,山口)/寺川賢士/土居伸彰/永迫志乃/中内友紀恵/中田彩郁/虹釜太郎/ぬQ/沼田友/橋本新/秦俊子/PEAS/平山志保/古川タク/細金卓矢/細馬宏通/水江未来/水尻自子/水野勝仁/安田昂弘/山田遼志/山村浩二/若井麻奈美/若見ありさ/和田淳

青木 純

1981年沖縄県生→2000年沖縄県立球陽高校理数科卒→2007年東京藝術大学デザイン科卒→同年株式会社スペースネコカンパニー設立。
ポップでキュートをモットーに、主にTVやCM用の手描きアニメや人形アニメを作ってます。

http://www.aokijun.net/

銀河鉄道999 (The Galaxy Express 999) / りんたろう
監督のトークショーというきっかけがあって勉強のつもりで観始めたら、面白すぎてびっくりした。これは子供時代に観てたとしたら相当持ってかれてただろうな~という感じ。男の子の夢の全てが詰まってキラキラしていた。

ホリデイ / ひらのりょう
毎年多くのアニメーション作家を見ていて、数年に一人くらいの割合で「あ、天才だ。」と個人的に思う人が出て来ますが、このひらのくんは2007年頃に一瀬皓コさんを見て以来、久々の「あ、天才だ。」でした。

ニュ~東京音頭 / 上保美咲
2012年に観たアニメ3本、と言われてどうしても外せなかった怪作。先行公開していた予告編のときのほうがテンポは良かったのでそこだけ少し残念。

アニメーション総合文化研究所

アニメーションに関わる文化を相対的に調査・研究する機関です。
最近『私をミュージカル映画につれてって』という冊子を出しました。近刊に、世界のアニメーション・フェスティバルへ足しげく通えば誰でもアニメーション評論家になれる『いますぐ日本でアニメーション評論家になる方法』を刊行予定。

http://www.asobuken.com/
https://twitter.com/asobuken

布団 / 水尻自子
2012年を代表する自主制作アニメーション。

デジタル / 坂井治
多彩なアニメーションの演出を手がけている坂井治が、自身の作品づくりを攻めに切り替えたと感じた。

情景 / 加藤久仁生
『情景』に出会えたのが2012年の収穫。このような毎日、見続けられる「普通」のアニメーションがもっとみたい。

ALIMO

美術作家。医療カメラマン、インド留学を経て、2012年東京藝術大学大学院映像研究科修了。主な展覧会に、ザグレブ国際アニメーション映画祭2012、バンクーバー国際映画祭2012。第11回岡本太郎現代芸術賞特別賞受賞。現在、文化庁新進芸術家海外研修員としてエストニアに滞在。

Robert Breer / Form Phases Ⅰ, Ⅱ, Ⅲ, Ⅳ
2011年この世を去った先駆的かつ実験的アニメーション作家の作品。作品はパリのキュビズムやシュルレアリスムとアメリカのポップアートを結ぶ重要な抽象アニメーションであり運動、線、色を用いて不安定性を追求している。私はこの作品にポンピドゥーセンターの20世紀美術常設展で再会した。

William Kentridge / The Refusal of Time
ドクメンタ13において現代美術としてのアニメーションの現状は希薄なものであった。そうした中でこの作品は好評だったが、音楽は別の作家が制作し、素材も共同制作のようで、ドラマツルギーまでも作家以外が制作している。元々演劇性の強いケントリッジはもはやただの役者なのかもしれない。

Walerian Borowczyk / Les Jeux des Anges
今年私がビルケナウを訪れた際に想起した作品。冒頭から結末までまったく自然光のない世界である。いつからこの暗闇が続いていたのかさえ判断できない、そんな不気味な空気に包まれている。奇妙な工場によって処理される天使など、いつ覚めるのか分からない不安な迷宮世界に観る者を連れていく。

飯田 萌

常に興味の湧いたものをジャンル問わず作品にしています。

http://hihounoyakata.web.fc2.com/

Story from North America / Garrett Davis,Kirsten Lepore
バイブルにしたい作品です。

池 亜佐美

1987年東京出身/東京芸術大学デザイン科卒、現在同大学映像研究科アニメーション専攻在籍中/アニメーションと、ともなう音楽の制作を行っています。/マホウ使い

What Shall We Do About Little Jill? / Kine Aune
この短編は、女の子の一人っ子の気分、密かで、芳醇な楽しみで満たされている。思い出すと、幼い頃のどきどきがぶり返して苦しくなる。ていねいに、あの気分がなぞらえられているのだ。一生の中でも、ほんとうに大切な一篇。小さなジルはひとりぼっち。両親がくれ絵の中の少女が欲する馬を探しに行く。

CAS'L' / ブルース・ビックフォード
今年最も観賞体験が強烈だった。夜中の広島で満員の映画館の中観たこの作品は延々と続くロックとねんどの死生回生にもうもはやめまぐるしく巡る自然現象のような画面現象を目前にしながら後頭部には延々と冷房の風が当たり続け体温保てず誰も席を立つ事もせずもやは映画館を支配したのはビックフォード。

稲葉 まり

02年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。クリエイティブユニット生意気を経て06年より独立。ドローイングやコマ撮りを用いたアニメーション制作、ディレクション、グラフィクデザインを中心に活動を行う。

http://www.mariinaba.net/

Fehérlófia / Marcell Jankovics
繊細で大胆で突飛で強烈。色彩もまさに芸術的。神秘的な世界。ハンガリーの作品で、どうやら、古代の伝説を素に作られたようです。言葉が少なめの作品ではありますが、日本語訳が出て欲しいです。

78回転 / ジョルジュ・シュヴィツゲベル
初めて観たのは大学のアニメーションの授業ででしたが、今年、改めて観ました。スイスの作家ジョルジュ・シュヴィツゲベル氏の作品です。

岩瀬 夏緒里

1988年生まれ
2012年東京藝術大学デザイン科卒業
卒業制作「婆ちゃの金魚」が24th CGアニメコンテスト「映像賞」、
第14回 TBS DigiCon6「BS-TBS賞」を受賞
現在同大学院アニメーション専攻にて在学中

頭の中の箱庭をアニメーションで昇華することが目標。

http://kaoriiwase.com/
https://twitter.com/iwacesun

緑子 MIDORI-KO / 黒坂圭太
有無を言わせぬビジュアルインパクトのある作品。この長編アニメーションは黒坂氏が13年間ほぼ一人で制作した大作なのですが、特に素晴らしいのは強引に引きずり込まれるような力のある展開・世界観と気持ちよく置いてきぼりされる感覚、そして重厚でどこか哀愁を感じる音楽です。

La Linea / Osvaldo Cavandoli
線を扱った1969年のイタリアの子供向けアニメシリーズ。線を題材にしたアニメーション作品はいろいろあると思いますが、このアニメはキャラクターがキャッチーで感情によって画面の色が変わるのがお洒落。アイディアも今見ても新しく感じる、子供だけではなく大人も楽しめる作品です。

Machinarium / Amanita Design
パソコン用のアドベンチャーゲームなのですが、とてもアニメーション的な世界を感じる作品です。機械の人々の住む世界は絵画のような重みの中にどこか生活感があり、フラッシュアニメのようなキャラクター達の動きもとてもキャッチーです。音楽も無機質なものに感情を感じる幻想的な曲が素敵です。

植草 航

1987年1月22日 千葉県生まれ
2009年 東京工芸大学芸術学部アニメーション学科 卒業
2011年 東京藝術大学映像研究科アニメーション専攻 修了

http://bansoukou.org/
https://twitter.com/WATARU336
http://www.pixiv.net/member.php?id=5036

日本橋高架下R計画 / 細金卓矢
「今ってどんな時代なんだろう」と考えたときに真っ先に思い浮かぶのがこの作品です。象徴的なかっこ良さを全て秘めています。


解散しちゃったバンド - オーパーツソケット / ピノキオP
世界五分前仮説 - 有形ランペイジ / HDLV
こんなバンドを待ってた!まだまだ面白い事って起こるんだなと感じました。

AC部

多摩美術大学出身、
ハイテンションで濃厚なビジュアル表現を持ち味とする部活。
テレビ、web、CM、ミュージックビデオ、イラストレーションなどあらゆる形のクリエイティブに挑み、人々の暮らしに驚きを与えていくことを信条としている部活。

http://www.ac-bu.info/

電気グルーヴ - shameful / 田中秀幸
こんなふうに机積み上げてゴッシャゴシャに崩してみたいなあ、とため息つきながら眺める作品。

Liars - Brats / Ian Cheng
モーションの制御不能感が迫力と緊張とぎこちない可愛さを生み出している。

龍馬とお龍の足跡「霧島神宮編」フリップブック / 霧島商工会議所
謎の構成による味わい深い余韻と旅気分に浸ることができる。

オオクボリュウ

http://dddddragon.info

Earl Sweatshirt - Chum / 作者不詳
いい感じ。でもEarlだからかっこよく見えるのかも。。


The Beer - Kimya Dawson / Ash L Brown
いい感じ。編集的にいろいろやばいことが起きてる。


ボストーク - NRQ / videotapemusic
動きに抑揚がないっていうグルーヴ感。贅沢。

大島 智子

女の子のイラストをGIFアニメにしてTumblrにアップしている。
たまにVJやPVの制作も行う。
最近の仕事は泉まくら『balloon』PV、禁断の多数決『勝手にしやがって』PVなど。

http://tmsowacl.tumblr.com/
https://twitter.com/tmsowacl

HOUSE ハウス / 大林宣彦
アニメーションでもモーショングラフィックスでもないのですが、全編GIFアニメっぽい感じ、Tumblrで流れてきそうな感じがアニメーションっぽい。


ブルボン プチシリーズCM 「プチクマ登場」編 / 作者不詳
テレビを観ていて一番テンションがあがった。口をわあ~っと開けている顔が好き。


kindle_tmsowacl / 山本悠
誰かが私のGIFアニメをkindleで再生した動画。kindleは目が疲れない。

オオニシカオリ

2007年 渡英
2011年 UCA Farnham (BA) Animation首席卒業
2012年 現在ロンドンをベースに絵を描いたりアニメーションを作ったり。
ヨーロッパのTVCMアニメーション制作プロジェクト等に参加する他に個人でイラストや映像の制作も行っている。
UCA卒業制作作品はAnnecy,Holland,London国際アニメーションフェスティバル等ヨーロッパを中心に入選/上映

I'm Fine Thanks / Eamonn O'Neill
ありがちに感じるテーマを鮮やかにテンポよく描いた快作。この作品の良作たる点は静かに描かれがちなものを病的さを感じさせるほどカラフルに、タイトルから伺えるように軽やかに描いてある点である。可愛らしさすら醸し出す色の世界では”わたし”の発するラストのセリフがその重さを増す。

The Making of Longbird / Will Anderson
今年出会ったなかで最も愛すべきキャラクター。(架空の)ロシアの巨匠が生み出したロングバードに魅せられそれに対するオマージュ作品を作る監督と彼に対して全く以て非協力的なキャラクターとの軽妙な掛け合いが魅力。独特のロシア訛りで監督を小馬鹿にするこの妙な鳥はなぜかとても愛らしい。

Velocity / Karolina Głusiec
"描く"ことに対する途方もない愛情を感じる作品。これは記憶の断片スケッチである。描かれたイメージは彼女の頭の中に存在するもので、今現在その風景は存在しない。ライトボックスを使わずに紡がれてゆくアニメーションはその不確かな揺らぎや曖昧さで、一層”記憶”というテーマを際立たせる。

大西 景太

1980年、神奈川県生まれ。
東京藝術大学大学院修了。
音に関わる映像表現をテーマにインスタレーション作品等を制作し、「アートと音楽/新しい共感覚をもとめて」(東京都現代美術館/2012)などに出品。また、オペラ「ポッペアの戴冠」(新国立劇場/2009)の映像演出、ハイスイノナサ「地下鉄の動態」MV制作(2011)など多様な映像表現に携わる。

piece of 3.11 3.11のかけら / しりあがり寿
文化庁メディア芸術祭2012でのしりあがり寿氏受賞作「あの日からのマンガ」展示で上映されていたアニメーションでした。この展示自体に打ちのめされたので印象に残っています。

大橋 史

東京都在住のモーションデザイナー。
言葉、図形譜、ビジュアルミュージックをテーマにCGの有限性・限界線を意識したアニメーション表現の研究と創作活動している。
エモい映像を心がけてます。

http://takashiohashi.com/
https://vimeo.com/channels/365786

hello world / 勅使河原一雅
『ダイレクトペイント』はレンズを通さなくても映像を描ける画期的な手法であった。今日において、それに替わる手法は『CG』と言える。この作品には任意の視点や光源こそないが、目を閉じて網膜の内側で描かれた『見ようとしたもの』のイメージに思え、CGの本質とは何かを改めて考えさせてくれた。

まつすぐな道でさみしい / 岡本将徳
本来、映像は光の集合体(つまり物質性がない)にも関わらず、ましてや切り絵の集まりが動いてるだけなのに、、
この作品を初めて見た時、リアルにモデリングされた3DCG以上に量感や実在感を感じさせられた。この作品を通してCGが『虚像』であることを逆説的に証明させられた気分になった。

X - KXFS Canal Commission / Max Hattler
現場で実物を見た訳ではないが、勅使河原氏の作品でも触れた『CGは光を直接描ける』という本質を、ディスプレイではなく水を媒体にして憑依させたかのような強烈な印象を感じ取った。水や水蒸気などに映像を投影する事は決して新しい手法ではないが、光が物質性を得る姿はとても神々しく映る。

岡田 昭憲

愛知県出身。
サラリーマンを経て、アニメーション制作を独自に開始。
ハンドメイドのライトボックスにて撮影する影絵などを中心に制作。
現在、身近なモノを主役にしたコマ撮りアニメーション
「YAOYORO’S」や、吟遊詩人の志人氏のMVを制作中。

http://asuranima.from.tv/
https://vimeo.com/20398694

ビーズ・ゲーム / イシュ・パテル
世は弱肉強食。生命の原始より定められた絶対的な定理。
良いも悪いも、ヒドい!も残酷も可哀想もない。
絶対的なシステム。だから美しい。美しいものは正しい。
と納得する以外にない程、とても美しい作品です。

話の話 / ユーリ・ノルシュテイン
以前、あるTV番組でこの作品が紹介された際、
小栗康平監督が中原中也のサーカスを朗読されていました。

幾時代かがありまして 茶色い戦争ありました。
幾時代かがありまして 冬は疾風吹きました。

詩は時や国境を越えて共鳴するものだ、
とその時実感しました。
それ以来、何度も何度も観てしまいます。

SOLIPSIST / Andrew Thomas Huang
アニメーションと実写のハイブリット映像。海中の磯巾着や珊瑚をイメージさせるビジュアルはただただ幻想的でありつつ、生物の持つ特性を的確に表現しているようにも見える。(一対で存在し、その生命は儚く、しかし次の大きな流れに繋がってゆく)

岡本 将徳

1985年東京生まれ。
大学院でアニメーションを専攻し2012年からフリーランスとして活動。
作品歴に「パンク直し」「'Ho-Ho' This message is boiling hot.」「BONNIE」など。

http://www.youtube.com/user/peamar03

ハーヴィー・クランペット / アダム・エリオット
生きるために観たい映画。世界が理不尽でも不条理でも生きるんだ。不幸なんかじゃない。

Transfer - livetune adding 中島 愛 / fantasista utamaro,Kazuma Ikeda
実験的で見る人の心を置いてけぼりしながらも目を逸らさせない魅力。バラバラな世界が一つに紡がれるものが好きです。

ほかほかおでんのうた / ゆうゆ,細金卓也,山下清悟
思い出の増幅装置としての映像。もしくは追体験。視覚情報が他の感覚を刺激する。
実写とはまた違うアニメーションならではの力を再確認できた。

奥下 和彦

2006年より映像作家として活動を開始。ライブペインティングの大会にて、一筆書きの絵で優勝したことをきっかけに、一筆書きの映像制作を本格的に始める。
代表作は、報道ステーションのオープニング映像、TED2010上映作品等。VJとしても活動しており多くの実績を残している。

Apple - iPod - TV Ad - Bounce / TBWA,Media Arts Lab
新しいipodCM。ipod以外にモチーフが出てこないにも関わらず、動きのみで高揚感を出し見せきる技量は圧巻。

GettyImages – From love to bingo. / Marcos Kotlhar
全フレームをgetty imagesの中から抜き出したイメージによってアニメーションにしたCM。限定されたイメージの中からストーリーを紡ぎだしている。試みとしてもユニークで面白い。

おねがい なにかいって / デビッド・オライリー
ちょっと今更ですが一番好きなラブストーリーなので挙げました。抽象性と具象性のバランスが非常によくて、不条理な中に真実が見えます。

奥田 昌輝

1985年横浜生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン学科在学中にアニメーション制作を始める。東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了。「くちゃお」、「オーケストラ」が国内外の映画祭で受賞、上映多数。

オー、ウィリー / エマ・ドゥ・スワーフ,マーク・ジェイムス・ロエルズ
久しぶりに回した扇風機に積もった埃でくしゃみをしてしまう。そんな些細な生活のディテールが、ふわふわとかふさふさとかしたフェルトの柔らかい質感で描かれる。あの気持ち良い毛布のようなフェルトに包まれて眠りたい。

The Event / ジュリア・ポット
溶けるように千切れる片足、体同士がめり込む濃密な愛撫。どこかに飛んでいく魂。死んだ者はどこへ行くのだろうか。残された女の片足に男は自らの片足の裏を重ね合わせ涙を流す。そこにはもう彼女はいないのだ。

Kuhina(Swarming) / Joni Männistö
虫が肌の上を動き回ったり服の中に入り込んだ時の何とも言い難い気持ち悪さ。想像するだけで全身の産毛が逆立って痒くなる。虫に侵食され崩壊していく少年の体を気味悪がりつつもなお見続けてしまうのは、この少年が虫に対して抱いていたような無邪気で残酷な興味からかもしれない。

折笠 良

1986年生まれ
2009年茨城大学教育学部卒業
2011年東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了

白い部屋 / 石田尚志
3月にタカ・イシイギャラリーでの個展で見ました。
山村浩二さんの「マイブリッジの糸」(2011)もそうだったのですが、彫刻として現れてくるものがあって、まだ深く考えたことはないのですが、アニメーションという方法の特異点のような気がしています。

女として生きる / 江畠香希
9月にポレポレ東中野「ドキュメンタリー・ドリームショー」で見ました。セクシャルマイノリティの人々を撮った実写のドキュメンタリーですが、作中、ある人物との会話の際に(おそらく監督の倫理的配慮によって)映されたイラストに、初めて「アニメーションがあった」という心地がしました。

なんて素敵な日 / ドン・ハーツフェルト
12月にイメージフォーラムでの特集上映で見ました。
前作「あなたは私の誇り」への疑問。主人公ビルの周り(特に家族)にはなぜあんなにも沢山の風変わりな人物、エピソードが溢れているのか。なぜそれを生々しく感じるのか。途方も無い答えが返ってきた気がしました。

加藤 隆

アニメーション制作を中心に、映像作家として活動中。

http://ryukato.net

Fleet Foxes - The Shrine / An Argument / Sean Pecknold
アニメーションを見て久しぶりに衝撃を受けた。現代の文化が忘れた民話や伝承の世界、「人間と自然の命の取引」を感じさせてくれる作品。ラストパートが本当に美しい。

おおかみこどもの雨と雪 / 細田守
「大衆映画でも、こんなにチャレンジできるんだ」ということを気付かせてくれた作品。高木正勝の音楽も秀逸で、映画館全体が空間として活き活きとしている感じがした。優しい絵柄だけども、内容に厳しさがあったのも個人的に良かった。

情景 / 加藤久仁生
短編小説のような作品で、アニメーション本来の「絵が動いてる」面白さを感じさせてくれる作品。絵が簡素な分、逆に久仁生さんの凄みが伝わってくる。

川口 恵里

1989年横浜に生まれ、
多摩美術大学グラフィックデザイン学科を卒業。
東京藝術大学大学院アニメーション専攻在籍。

Body Memory / Keha mälu
紐の魔除け人形の様な女性達が収容され、ちぎれる様にほどけてゆく手足が誰にも止められず、家で害虫を掃除機で一掃する感覚を思い出し、どうしようもない気持ちになった。唯一希望を託しかけた卵を抱えた母のふんばる姿も、木にくくりつけられた鉛筆が風の力で色を残す姿も細々しくて記憶に残った。

オー、ウィリー / エマ・ドゥ・スワーフ,マーク・ジェイムス・ロエルズ
内容はよく覚えてないのですが、裸の人達が田舎のサスペンスの様で、毛の質感と光とがあたたかく、映画キングコングの様な母像が壮大で、分からないながらも帰りたい、戻りたいという気持ちと全裸で何かに包まれる心地よさにやられました。

グレートラビット / 和田淳
分からなくても知っている感覚が散りばめられていて、そこにいるだけで、動いているだけでここちいい感じの人達や全てを知っている様な動物たちは何も知らないのかもしれないけど全て見ていた、見られていたという気持ちになった。
もし神隠しにあったらここに行き着く気がしました。

KWGT / 川口 真由

アニメーションを制作しています。
第18回学生CGコンテスト優秀賞受賞。

https://vimeo.com/kwgt/

THE EXTERNAL WORLD / デビッド・オライリー
初めて見たときは言葉を理解しないまま観ましたが、それでも、ナンセンスな、ばかばかしい、目の前の出来事と、静かに演奏されるピアノの音が、ともに世界に存在していることの強烈さをぶっつけられました。

Time Out / プリート・パルン
1984年につくられた作品です。いつの時代も人は変わらないのか、また実は時代がそれほど動いていないのか、そんなことを考えながら、この小さな生き物にシンパシーを感じました。

【初音ミク】みんなみくみくにしてあげる♪【してやんよ】 / 鶴田加茂,MOSAIC.TUNE,まさたかP
インターネット、ニコニコ動画や初音ミクにみる集合知というテーマは幾度となく取り上げられてきましたが、それをアニメーションに落とし込んだらこうなるのだなあ、と思い推させていただきました。サビ部分の数百人のイラストレーターによる作画がすごいです。

きし本 こう太

岡山県生まれ
多摩美術大学油画専攻卒業
主に手描きでアニメーション制作等

https://twitter.com/matusintyou

天狗退治 / 大藤信郎
特筆すべきはなんと言ってもユルさ。どんなに残虐なことが起こっていてもそのアクションや反応はシュールに描かれている。

DinoRun / Pixeljam
最近海外でFC、SFCを模したゲームが流行っているらしく、その中で特にこの作品は面白かった。ドットの魅力を存分に引き出している。

Seraphisno / Game World
フラッシュでの3D機能をいち早く取り入れ、その未成熟な所や壮大な話がFF7を彷彿させる。会話シーンではアニメ画風の挿絵が入る等、古今東西の王道RPGのアイデアを盛り込んでいる。

キム ハケン

1982年韓国、ソウル生まれ。
東京工芸大学アニメーション学科卒業。
東京芸術大学大学院映像研究科アニメーション専攻2年次。

此処と大いなる何処か / ミシェル・レミュー

Triangle / Grace Nayoon Rhee

おなか / ジュリア・ポット

賢者

我々は賢者である。Creative unit. 武蔵美 東京藝大のエリート集団
2011年NHKデジスタ3位入賞。
2012年ブラジル映画祭FANTASPOA招待。
吉祥寺バウスシアター上映。日本橋高架下R計画.原画。
ネクスト漫画大賞受賞。
学生CGコンテストノミネート あとデブ

https://twitter.com/chim_pan
http://kenjya.tumblr.com/

Get Real! / Evert de Beijer
ゲームの世界と現実世界が曖昧になってしまった青年がリアルを取り戻す作品。全てが文句無しに格好良い。初めて購入したゲームを遊戯する時の高揚感、極めたゲーム世界での万能感。現実でそれが何の役にも立たない虚無感。好きな娘の前での童貞の無力感。視聴が困難なのが大変に残念である。

HEART (single mix) - group_inou / AC部
揺るぎない人物の輪郭、それとは逆に動く字幕。字幕は単に歌詞を追うだけでなく、アニメ内の架空の競技を題材にした群像劇との間を行き交う。それぞれ独立した物語を内包する楽曲とアニメのせめぎ合いや不思議な一体感が心地良く、なによりアニメや映像の枠を超えようとする強い意志が感じられる作品。

バリバリ伝説 / 上村修,池上誉優
しげの秀一の漫画を原作とした長編アニメーション作品。バイクに青春を捧げる熱き男達のドラマに最後まで目が離せない。臨場感抜群のレースシーン、それを盛り上げる音楽、なによりキャラクター達の熱い気持ちに我々は胸の震えを禁じ得ない。公開は87年だが、こんな時代だから削除される前に観よう。

胡ゆぇんゆぇん

1986年4月生まれ。
中国南京市出身。
2009年中国・南京藝術学院デザイン学院学部グラフィックデザイン学科卒業。
2012年東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了。
現在アニメーション作家として日本で活動中。

Death and the Mother / Ruth Lingford
『Death and the Mother』を見たとき、母親の愛情と執着と恐怖が入り交じってじわじわ伝わってくる感覚がすごいと思いました。ストーリーの展開でのシーンのつなぎ目も器用に設計されていて、感銘を受けました。

夜のとばりの物語 / ミッシェル・オスロ
『夜のとばりの物語』は劇場版のアニメーションの中で一番印象に残っています。登場人物のシルエットが鍛錬されていて、その造形センスが素晴らしかったです。それに加えて背景は鮮やかな色彩で童話という世界を見事に表現していました。「いい加減」で容赦ないストーリーは私はとても好きでした。

ドロンコロン / I.TOON
『ドロンコロン』は朝5時25分に放送されるので、最初見た時、見終わってすぐまた二度寝してしまったので、夢のように感じました。キャラクターの造形や動きはもちろん、背景や音楽、全体的にとてもおしゃれで不思議な感じで、すごく頭の中に残りました。

最後の手段

最後の手段は日本の映像作家チームです。彼らの主な仕事はミュージッククリップやショートフィルムなどの映像作りです。ミュージシャンのCDジャケットなど、グラフィックデザインをすることもあります。それと、たまに音楽を演奏したり、ごく稀に、踊ることもあります。

http://www.saigono.info/

アスパラガス / スーザン・ピット

外套 / ユーリ・ノルシュテイン

幽☆遊☆白書OP / 下田正美,榎本明広,西尾鉄也,井上敦子

坂本 渉太

日本の映像作家

http://www.shotasakamoto.com/

Disney Dreams! Disneyland Paris World Premiere - 20th Anniversary HD Full Show / 作者不詳
バカデけぇお城に、2D・3D入り乱れたハンパなきアニメーション、プロジェクションマッピング、花火、噴水、霧、煙、ありとあらゆるおもしろを一回のshowに注ぎ込み、一瞬たりとも飽きさせない世界最強のエンターテイメント。恐ろしく楽しい。

日本橋高架下R計画 / 細金卓矢
アイデアがいっぱい入ってて見ててほんま楽しいのと、監督のインタビューで、自分は絵が描けないから色んな人に声をかけてたくさんの人に絵を描いてもらった、と言っていて、それが、すっげ~~超いいな~~うらやまし~~って思った。

livetune feat. 初音ミク - Tell Your World / wakamuraP,fantasista utamaro,TAKCOM
すごい美しい”何か”、感じます。
ほんまこいつら100%伝説!!
世界の”真ン中”の”日本人(ジャパニーズ)”だから・・・。
湧いてくる『やる気元気勇気』!!!!
そして、いつか最高の自分に・・・。

サキタニ ユウキ

ディレクター、アニメーションデザイナー、コンポジッター。
マッドハウスにてアニメーションカメラマンとして活動を開始。
その後CM制作会社に入社しアニメーションデザイナーへ転向。
現在フリーランスとしてアニメーションCM、Web映像、MVなどを手がけ幅広く活動中。

Willow - Sweater / Filip Sterckx
「プロジェクションマッピング」を素材とし撮影した映像が増えてきました。その中でも使い方が幻想的でもなく現実過ぎない気持ちのいいところにいて、しかも展開がたのしめる作品です。

Josh Ritter - Love Is Making Its Way Back Home / Erez Horovitz
PCやMacがあればどんなイメージも作れるようになった現代において、紙とカッターで作ったアナログなイメージが織り成す心地よい多層感。ポスプロ作業を使わない潔さと切り絵の繊細さに現場が目に浮かんでニヤッとしてしまう。

Bottle / Kirsten Lepore
ストーリーの中盤でちょっと予想がついてしまうのでしょうが、結末へ向かっていく中、彼らの運命と存在感の儚さにやられました。私自身のパペット系アニメーションキャラクターに対する感情移入度の幅が狭いのですが、その境界線を気にするようになった作品。

澤 隆志

1971年生まれ。映像作家、キュレーター。2001年から2010年までイメージフォーラムにてプログラム・ディレクターを務める。
現在はフリーランス。国内外の映画祭、美術展に映像プログラムを提供。
イギリスに自転車フレームオーダー中!

http://www.facebook.com/takashi.sawa

オー、ウィリー / エマ・ドゥ・スワーフ,マーク・ジェイムス・ロエルズ
春にオランダの映画祭で拝見したモフモフ天国!毛羽立つフエルト生地のパペット(しかもヌーディストたち)は、動きの中に手作業のノイズが残るのが味わい深い。と同時に、表情の少ない主人公の感情を想像させて、死別というダメージを効果的に演出している。オープニングの映画的な構成も見事だった。

IF WE DON'T REMEMBER ME / Gustaf Mantel
初見は随分前だけど、久しぶりに開いてその充実ぶりに改めて驚いた。劇映画を切り出した数コマをループのgifにする。著名なワンシーン、我々が見た映画の記憶とは少し空気感が異なる故にうっとりと眺めてしまうのだ。小瀬村真美の「氏の肖像」みたいに大きなスクリーンでチラッと覗くのもいいかも。

ce qui arrive 2012での志水児王のデバイス / 志水児王
レーザーで描かれた図形を、斜めに裁断した円柱に上から投射。その円柱が回転する事により、横から見ると視差と時差による複雑な3D図形が出現するデバイス。幾何学そのもの、を当たり前にポンと目の前に出されて呆気にとられる。その当たり前の現前が清々しくて豊かだ。音との当たり前な同期も重要。

しし やまざき

東京藝術大学デザイン科在籍。
手描きアニメーション作家。
2010年 PRADA Project “Yo! Video”で“HandsomeMask”が上映。
代表作に、YA-NE-SEN a Go Go、
渋谷PARCO part3 "ParadigmParadise"などがある。

泉まくら - balloon / 大島智子
今のわかものの、かったるさと、わりと自由だけど何したらいいか分からなくて、よくわかんないし、つらいって感じがよく出ている。いつでもそんなわかものはいるが、このMVに描かれた情景は、1年前でも、3年前でもなく、まぎれもない「今」なのだ。2012年なう。

N sync - I Want You Back / Alan Calzatti
90年代後半に流行っていたものが、記憶に新しいのとは裏腹に、ものすごい早さで後退して独特の風合いが感じられるようになってきているのが手に取るように分かる今日この頃。アホのように何度も繰り返し見てしまった。(同曲で2バージョンMVがあるが、ここであげるのは最初に作られた方)

さすがの猿飛 OP / FRAFRA
ダイナミックな展開がとてもかっこいいオープニング。波や炎に揺られて大きく左右に動く主人公と、その後ろをゆっくり動く豪華な背景画。そこへものすごい寄りの手前から、一気に奥へ引いて飛んで行くヒロインのまこちゃんやジュースの缶…画面の大きな使い方をしたいと思っていた時に参考になった。

シミズタカハル

1987年長野県松本市生まれ。
武蔵野美術大学基礎デザイン学科を卒業後、
DRAWINGANDMANUALに入社。
デザイナーとして働く傍らコラージュ作家として活動中。
アニメーションミュージックビデオの監督・制作の他、
2011年には銀座で個展を開催している。

We are giant ant. / Jr.canest

Pocoyó シリーズ

Micromachines (2012) / Nicolas Ménard

上記2つは、2012年に見たものの中で動きの省略の仕方が気持ち良かったものを選びました。3つ目の作品は、自分が次の作品を作る上でとても参考になると思ったので選ばせて頂きました。

白石 慶子

アニメーション作家。85年生まれ。東京出身。
東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了。
サンライズCGアニメーター勤務後、独立。
インディペンデント・アニメーション作品『かくれん坊』『いないいないばあば』等。
商業アニメーション作品『人類は衰退しました』EDアニメーション等。

http://keikoshiraishi.com/

663114 / 平林勇
東日本大震災・福島第一原発事故後に制作されたアニメーション。
今年、私めは震災・原子力がテーマのアニメーションを2本制作し、「尚生きてゆくこと」を示唆した。一方で本作を鑑賞し、戦後・震災後も生きるために全生物レベルで変化する=「尚死ねないこと」への畏怖についても一考する。

a is for autism / Tim Webb
自閉症の子どもの表現を作品化したアニメーション。ここ数年、私めは『発達障がい児とアニメーションWS』を行い、彼らは視覚優位等の特性もあって、作品を媒介にして自閉したものを表(に)現した。本作を通して、「アニメーションは手法、目的はコミュニケーション」という1つの本質回帰をする。

おおかみこどもの雨と雪 / 細田守
母とおおかみこどもをテーマにしたアニメーション。選出理由は、私め事ですが多数の男女と激論を交わした問題作の為。最大問題は教育観・宗教観等について、主人公曰く「おとぎ話のよう」、自身にとっては「現実問題」であること。本作を経て、自他の動物的本能がむきだしになることは興味深い。

上甲 トモヨシ

2007年東京工芸大学芸術学部アニメーション学科卒業
2009年同大学大学院芸術学研究科メディアアート専攻修了
在学中古川タクに師事する
現在フリーランスのアニメーション作家として活動する傍ら
一瀬皓コとユニット「デコボーカル」としても活動中
日本アニメーション協会会員/東京工芸大学非常勤講師

http://www.tomoyoshi-joko.com/
https://twitter.com/TomoyoshiJoko

WONDER / 水江未来
まだ未完成の作品ではあるものの9月の個展で出来上がっているパートを見て感銘を受けた。まず作品のコンセプトがとても面白い、1秒24コマフル繰り返しなしで全て手描き、作画の底力を感じるとてもダイナミックで強烈な芸術作品と言える。完成すれば水江作品の最高傑作が出来上がると期待をしている。

布団 / 水尻自子
水尻作品は過去のも含め全て”生っぽい”とてもぬるぬるしているのだ、その感覚には快感すら感じなんとも官能的といえる。中でもこの「布団」は水尻監督自信のフェティシズムを極めた作品であり、見入った瞬間究極の心地よさを感じることが出来る、音楽も含め素晴らしい作品といえる。

Willow - Sweater / Filip Sterckx
近年プロジェクションマッピングを使った表現がとても盛んになってきていると感じる。中でもこのベルギーのバンド「Willow」のミュージックビデオ『Sweater』を見たときとても興奮した。ただオブジェクトの形を利用し投影して展開するだけではなく人物との連携の見せ方に、今後の表現の広がりに影響を与えとても注目と期待をしたくなる作品といえる。

助川 勇太

(株)白組にてデザイナーとして勤務。
CM、PV、映画等制作する傍らで週末自主制作に勤しんでいる。
代表作「灯花」

LE TABLEAU / Jean-François Laguionie
作品を構成するあらゆる要素がしっかりとしたコンセプトの元デザインされている。
途中間延びした感があったが、ストーリーは美しくて感動的。

Bottle / Kirsten Lepore
とてもシンプルで愛らしい作品。

MODERN No.2 / 水江未来
音と映像の一致が素晴らしく、カメラワークも立体的。
立方体の絶え間ない変化は人間社会の栄枯盛衰にもみえる。

菅 俊一

1980年東京都生まれ。
人間の知覚能力に基づいた新しい表現の在り方を研究し、
様々な分野に定着させる活動を行なっている。
主な仕事に、NHK Eテレ「2355/0655」ID映像の企画制作、
共著書に「差分」(美術出版社)など。2012年、D&AD Yellow Pencil受賞。

https://twitter.com/ssuge
http://syunichisuge.com

data.anatomy 【civic】 / Ryoji Ikeda
この映像の中では、終始、超高速かつ高精度でデータの解析が行われている。そこには、私たちが普段「物語」と呼んでいるものは全く存在しない。しかし、この映像を見ている私は、目の前に繰り広げられている圧倒的な量のデータに対して美しさを感じ、心を動かされている。

MUJI XMAS HOME 2012 / 作者不詳
アニメーションと言うと、題材やそこで語られる物語に焦点が行きがちだが、この作品には「動きによって私たちの認識の枠組みを超える」というアニメーションの根源的な喜びが満ち溢れている。意味の生まれる瞬間がとても心地よい。

ピタゴラスイッチ「こんなことできません」 / EUPHRATES
例えば「物をすり抜ける」といったような人間には絶対にできないことも、コマ撮りアニメーションなら可能になる。コマ撮りアニメーションがもたらす純粋な驚きと楽しさを、その作り方まで含めて映像作品としているこの作品には、自分も「撮ってみたい」と思わせる他のアニメーションには無い力がある。

そんよんそん

1986年韓国生まれ。
日本でデザインとアニメーションを学ぶ。
カンディンスキーやドローネなどの20世紀初期の絵画を研究し、「リズム」をテーマにしながら、その実践として初めて制作した短編アニメーションフィルムが「PART BLUE(2010)」である。
二作目の短編フィルムとなる「QQQ」を2012年に発表した。

https://twitter.com/kornpark
http://part-blue.blogspot.jp/

Animated Gifs series / Matthew DiVito
GIFデータで作られたこの作品の連作は、動画の鑑賞よりも「動いている」、絵の鑑賞に近い体験をさせられる。tumblrのタイムラインで新作が更新しながら公開されているこの作品群はweb媒体からこそその固有性が成り立つ。一つ一つ個別に見るより自分のtumblrのページにたくさん並べて鑑賞するのをお勧めする。

Hyper Trophies / ZEITGUISED
ファッションブランドFranziusとコラボレーションして展示されたというこの作品を私は直接現場では見ていないが、動きを表現したというよりリアルタイムで流れるファッションフォトグラフィーを鑑賞している印象をうける。

Puma.Peace / Bill Porter
一般的に動きをアニメーションする時には、実際の重力と関係して生まれる動きそのものを丁寧に再現することが求められる一方その事情と別として、線をと色彩を重ねて行くことで新たな抽象的印象を生み出す。その両者の間のバランスの緊張感が見事に表現されている手描きアニメーション作品。

高瀬 司

アニメ批評ZINE『アニメルカ』編集長。商業ライターとしては『ユリイカ』(青土社)『オトナアニメ』(洋泉社)『AniFav』(星海社)などに寄稿。ほか、批評家・村上裕一がプロデュースする『めるまがbonet』(梵天)のディレクションを務める。

http://animerca.blog117.fc2.com/
http://animerca.net/
https://twitter.com/ill_critique

映画けいおん! / 山田尚子
ベスト3を『けいおん!』『けいおん!!』『映画けいおん!』にしようかと迷ったけれど控えます。厳密には11年12月3日公開の作品だが、12年にも劇場に足を運び、BDを購入し、クリスマスのTV放映も観て涙しました。日常系の極北/完成形であり、アニメ史における記念碑的な一本。傑作。

氷菓 / 武本康弘
日常系ミステリーアニメ。『けいおん!』で獲得した日常系メソッドを基調に、『化物語』以降のミステリー要素を加えるという、京アニの不断前進を印象づけた野心作。なかでも第12話および第19話の小川太一コンテ・演出回は、個人的に興味をひかれた。

中二病でも恋がしたい! / 石原立也
日常系ではタブー視されていた恋愛要素を全面化し、またコンテンツホルダーとしての制作スタジオのあり方をも模索した実験作。主線に色をつけ、塗りに強いグラデーションを用いるキャラデは、クオリティ面においても『けいおん!』以降の進化を強く示した。小川太一コンテの第11話は必見。

TAKCOM

映像作家/ディレクター/デザイナー/アニメーター

HOTEL / benjamin nuel

Liars - Brats / Ian Cheng

Hyper Geography / Joe Hamilton


映像表現手段の応用方法として、
自分にとって今年まであまり目にする事の無かった
使い方をしている作品を選びました。

竹内 泰人

1984年 愛知県生
2007年 九州芸術工科大学(画像設計学科)卒業
2009年 武蔵野美術大学大学院(映像コース)修了

空間を活かしたストーリー、
日用品などを被写体にしたコマ撮りアニメを主に制作。
代表作『オオカミとブタ』
著書『作ろう!コマ撮りアニメ』BNN新社より発売中。

CAS'L / ブルース・ビックフォード
この抜粋版しか見ていませんが、人の体が顔に変わるメタモルフォーゼにビビリました。

C.L.A.Y / TNT
コマ撮りとCGとか作品と技法の関係などもやもやと悩んでいた時期にこれを見て「ああ、面白い物は理屈ぬきで面白いよな。作者がやりたいことを純粋に追い求めれば感動になる」と再確認できました。大げさかもしれませんが、僕にとって救いとなった作品でした。

Sweet GIFs / Bryan Dalton,Alex Harris
目が疲れるときもあるけど、なんか面白いサイト。ループって素敵。こういうの作りたい。

谷口 暁彦

作家。
パフォーマンス、インスタレーション、
彫刻、映像、ネットアート作品などを制作する。

http://okikata.org

Lambeaux / Nicholas Boillot
基本的には映像のコラージュなんだけど、同一平面でコラージュしてるんじゃなくて、映像を切り抜いてるマスクも、他の映像の形態からコラージュされてて、奥行きとか空間性が、わけわかんなくなってていいなあと。マスクが穴と輪郭を行き来してる感じ。

meanwhile in / dxjonson
ピントが変な感じとか連続してない連想ゲームみたいに物体が変化してって気づいたらどんどん場面変わってってる感じとかが夢を見る事に似ててクリックと観る事がこんなにも幸福に重なり合う事が出来るのかって思うし組み合わせのパターンが膨大でいつ観ても新しい風景に出会うことが出来るのか~

告畑 綾

1987年埼玉県生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科芸術コース卒業。
東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻第三期生修了。
学生時代よりパペットアニメーションの制作を始める。
作品に「今村商店」(2011)、「櫻本箒製作所」(2012)がある。

The house that my father built, ( Once Upon a Time ) / sadik kwaish alfraji
故郷を思う作家の感情が反映された作品です。思いが残る場所に長年経って訪れると、そこには人ではなく、残された"物"が佇んでいたという経験は、自分の作品を作るときの心情と共感するものがあります。

POPPING,MIXING / 山田遼志
感覚的なイメージが羅列したこの作品は、良い意味で理解しづらいところがあります。それでも移り変わるシーンから、作家の考えていることを汲み取りたくなる作品です。テンポもよく音楽も合っていて、見ていてとても気持ちがいい。顔に文字が描かれたキャラクターがとても印象的です。

「HEDWIG AND THE ANGRY INCH」劇中歌「The Origin Of Love」のアニメーション / Emily Hubley
この映画は自らの人生を歌うロックシンガーの物語です。男と女、父と母、善と悪、自分の性別、様々な相互の間で悩み苦しんだシンガー。歌の中で登場するアニメーションはその相互関係がメタモルフォーゼして、ダイレクトに鑑賞者に伝えています。

ていえぬ

自主制作クレイアニメ作家。ホラーとメタルとアニメが大好きです。

http://www016.upp.so-net.ne.jp/tnt/
http://teienu.blog.so-net.ne.jp/
https://twitter.com/teienu

戦国コレクション / 後藤圭二
今年アニメと言えば何と言っても戦コレである。毎回主人公の変わるオムニバス作品であり、30分の中でキャラクターを紹介し、ドラマを展開し、盛り上がりを作り、オチをつける、そんな作劇の真剣勝負を毎週見せてくれる、実に濃密なシリーズだった。アニメの楽しさ、自由さを改めて教えてくれた。

中二病でも恋がしたい! / 石原立也
『エンジェルウォーズ』への日本からの回答。京アニお得意の躍動感溢れるアニメーションが孤独な少女の妄想世界を支える。現在進行中のストーリーは、重い現実の前に妄想=アニメーションの力が敗北しつつあり、ここからどのような逆転が起こるのか、それとも起こらないのか、興味が尽きない。


タイタンの逆襲 / Jonathan Liebesman
今年話題の巨神兵はあくまで特撮という見立ての域を出なかったが、巨神兵が実際に存在しカメラに収められたとしたら、きっと本作の巨神クロノス登場シーンのような映像になるだろう。超遠景ショット、きめ細かい爆煙など、巨大さを演出するためのこだわりが光る。まさに今年最大のビジュアルショック。

TYMOTE(井口、村井、山口)

1980年代半ば生まれの若手クリエイターによって結成されたクリエイティブチーム。グラフィック、映像、音楽、プログラミングなど、それぞれの得意分野を活かし、多岐にわたるクリエイティブを展開している。

http://tymote.jp/
http://yang02.org/
https://twitter.com/kota_iguchi
https://twitter.com/munnrai
https://twitter.com/yn02

井口
ドライヴ / ニコラス・ウィンディング・レフン

山口
Audio Facelyzer / vokoi (ARch / 710.beppo / tripon)

村井
1 Second Everyday - Age 30 / Cesar Kuriyama
鉄拳氏の「振り子」で号泣した身としては
やはり今年は「振り子」を推すしかないのかと思っていましたが
この動画を思い出しましたのでこっちにします。(きっと多くの方が振り子を推薦しているハズです)


アニメーションかと言うと、表現自体は実写を1秒ずつ繋げているだけなのでアニメーションではないわけですが、僕はこの作品にアニメーションの根幹にある「魂」を感じました。


作り手として「アニメーション」ということを考えると1コマ1コマを繋げていって
その先に「魂」を感じるか否かみたいなとこあるじゃないですか(超主観です)。
「画の動きの芸術」という話は置いておいて。いや置いておかなくて良いかも。


昔、中沢伸一さんが「手の行き届いた、世界を完全にコントロールされたアニメーションは全体主義的で好かん」みたいな事を仰ってまして、はあなるほどなあと思ったその記憶を頭の片隅に置きつつ鑑賞していくと、


日常を同じ「1秒」という時間の幅で切り取っていく作業で
もちろんそれは直接、コマとしては繋がり等無く、勝手に動く自然や子供や友人や知らない人のその存在が
この作者の喜怒哀楽というか死生観というか、魂のように感じてしまって
あぁこれはなんて映画的で、ほどよくアニメーション的なんだろう と思ってしまいました。アニメーションは目でコマごとの動きを補間しながら鑑賞するわけですが、これは脳でコマ(1秒っていうか1日)ごとの心の動きみたいな部分を補間しながら鑑賞する感覚でした。


コントロールを失うっていうのは結構、自分の模索しているテーマと合致しているっていうのがまあ大きいんですけどね!この文章もそうです!
魂って、より現象的じゃないですか!現象なんですよ現象!!
振り子最高!!





















寺川 賢士

アニメーション総合文化研究所所長

銀河へキックオフ!!
様々なタイプの良質なアニメが放映された2012年はTVアニメの当たり年だった。なかでも次週がもっとも待ち遠しかったのがこの作品。サッカーの戦術がわかりやすく表現されていてサッカー好きにおすすめ。監督の宇田鋼之介がてがけた劇場作品『虹色ほたる』は2012年のベスト・アニメーション。

貧乏神が!
ギャグの展開や全体のキッチュな演出が、90年代の混沌としていたTVアニメを思い起こさせてくれた。ただ、いまは居候キャラまで美少女(?)の時代なのだなと感じた。ギャグマンガ原作のアニメは『じょしらく』もよかった。

ココロコネクト
キャラクターの群像劇に一番心をひかれた。『好きっていいなよ。』『TARI TARI』『となりの怪物くん』『中二病でも〜』『氷菓』『リトバス』など、2012年は学園アニメが良作ぞろい。2000年代前半までTVドラマを楽しんでいた感覚で、今のひとはTVアニメをみるようになったと思う。

土居 伸彰

アニメーション研究・評論。CALF。研究・評論・上映などさまざまなフォーマットのパッケージングを通じた日本の短編作品の海外への紹介および海外の短編作品の日本への紹介。

オー、ウィリー / エマ・ドゥ・スワーフ,マーク・ジェイムス・ロエルズ
今年は、主人公が自分の身に降り掛かる事態に対してただ朽然するばかりの作品がとても突き刺さった。その代表格の作品がこれ。ザグレブでこれを観たとき、笑いと涙が同時に溢れ出てきた。デジタル時代の人形アニメーションを代表する作品になるのだと思う。

The Event / ジュリア・ポット
『おなか』で衝撃的だった実写とのマッチングがこの作品でまた新たな次元に達した。昔、鈴木志保が『船を建てる』について「世界はもう終わっていた」と語っていたのが今でも心に残っていて、今そんなことを考えるのはあまりにナイーブすぎるかもしれないけれども、そういう想像力が致命傷を追った存在としての人間という感覚としてまだアクチュアリティを持っていることを実感した。

ベルーガ / 橋本新
手前味噌で申し訳ないのだけれども、自分が関わった作品を挙げさせてもらいます。違う世界のあり方についての想像力が何よりも問われることになっているこの時代に捧げられた作品です。シンプルで強いエモーションが気に入っています。

永迫 志乃

アニメーションを中心とした映像制作を行なっています。
主な仕事にEテレ2355オープニング、ピタゴラスイッチ「ぴきひきびきの歌」など。

Untalkative Bunny - Friendly Friend / Graham Falk
世界観がゆるぎなくてアニメートもすばらしい。

THE SIMPSONS - Bill Plympton Couch Gag from "Beware My Cheating Bart" / Bill Plympton
ソファへの見方が変わりました。

What is Dropbox? / commoncraft
取捨選択の結果のような映像でこのくらい無駄のないものを作りたいです。

中内 友紀恵

北海道出身。
様々な音楽をテーマにアニメーションを作っています。

http://nakauchiyukie.hacca.jp/

ハイスイノナサ - 地下鉄の動態 / 大西景太
音と、映像と、題材と、全てが完璧にシンクロしている。システマチックでエモーショナル。何の過不足も無く駆け抜ける様が潔く、美しい。


Airy Me / 久野遥子
心に刺さる小さな刺を丁寧に集めて集めて、作品に昇華させている。ひとつの感情を刺激するために、360°、この作品は容赦なく周囲から攻め入ってくる。


AZUMA HITOMI - きらきら / A4A
ちっちゃいものが無意識に生まれて、生きて、死んでいく。その世界を俯瞰で見つめた時、言いようのない幸福感に満たされる。

中田 彩郁

埼玉県出身。アニメーション作家、アニメーター。
東京造形大学造形学部デザイン学科アニメーション専攻卒業。
記憶された時間と空間、アニメーションならではの動きをテーマに作品を作り続けている。代表作は『ヨナルレ Moment to Moment』(2011)、『コルネリス』(2008)など。

http://ayakanakata.net
https://twitter.com/ayk_nkt

布団 / 水尻自子
2012年の短編アニメーションのキーワード「眠る女」+「スロー」。Priit Pärn、Igor Kovalyov、山村浩二を源流とする男性的な「極端な緩急の動き」が、作家を目指す学生の標準装備になった近年、その対立軸として発生し評価された。描かれた女性像は新鮮かつ、等身大。そしてこの魅力に膝まづくのも、やはり男性だろう。

LE TABLEAU / Jean-François Laguionie
まず、この映画で心奪われるのは色彩の美しさだ。この色の文化は力強く、なかなか真似できない。そして何より素晴らしいのは、脚本に対する「キャラクターデザイン」「演出」「作り込み具合」の、全てが適切だいうことだ。こんな映画を日本でも作ってほしい。

此処と大いなる何処か / ミシェル・レミュー
私が初めて感動して泣いたアニメーション映画。もの静かで美しく、強い。哲学書を読んでも、人生のあらゆる疑問は決して消えない。科学も、人智で証明できる事柄をすくい取っているにすぎない。しかしこの映画では、疑問は疑問のままに、今ここにいる私と、それを取り巻く世界への畏怖が描かれいている。

虹釜太郎

360records代表。元パリペキンレコーズ。
最新冊子に『写真亡命論』『音楽を殺す2』『Anonymous Jazz』。
2013年より『月刊フィールドレコーディング』をスタート。

ライアン・ラーキン遺作(未完成) / ライアン・ラーキン
正確には作品ではなく、ローレンス・グリーン監督によるライアン・ラーキンについてのドキュメンタリーフィルム『ライアン・ラーキンの世界』の最後に、クレジットとともに一部だけ紹介されたラーキンの”遺作”。実写のラーキンの世界をぜひ観たかった。

buffalomckeeBOXセット特典映像 / buffalomckee+bonnounomukuro
2013年1月1日にリリース予定のbuffalomckeeの9枚組CDセットに特典でつくDVDRに収録される映像。新人buffalomckeeの作品世界をbonnounomukuroが煩悩たっぷりにナヴィゲートする。定禅寺ジャーナル映像とどちらか迷ったがこっち。

RGBXYZ / デビッド・オライリー
ほんとは『遠足』をあげていたがアニメーションでないと主催側から却下。アールブリュはアニメをつくれない。アニメは健常者・・問題。オライリーのトラッシュ感はMMD自我発生に通じる。

ぬQ

「美しく、面白い」を目指し、
アニメーションやイラストレーション、漫画を並行して制作しています。

http://homepage3.nifty.com/nuQ/

ニュ~東京音頭 / ぬQ
ビギナーズラックと怨念と寂しさと能天気さが混在した作品です。自推は気が引けますが、2012年の私にとっては、この作品以上に思い出深い作品はありません。是非ご覧ください。

Story from North America / Garrett Davis,Kirsten Lepore
この作品を鑑賞した結果、自分が凡人の普通人間であることがよくよくわかりました。

Early CGI Facial Animation (1974) / University of Utah
この作品は、CGでフィルム風の傷をつけたヴィンテージ風アートっぽいぬるい映像に鉄槌を下してくれます。また、「得るということは、失っている状態が無くなる」ということを教えてくれました。

沼田 友

物語をだいじにしたショート・アニメーションを展開。
主な作品に『雨ふらば風ふかば』他。「シングル」「アルバム」と冠した作品集DVDの販売、デバイス片手に全国の路上に立つ「路上アニメーション」の活動なども行う。

http://numatake.com/6/

おおかみこどもの雨と雪 / 細田守
何年も前から、いつかこのような、淡々と人間の営みの断片を映してゆくだけで、ただそれだけで心を揺さぶるような、そんな作品が登場するのではと思っていました。アニメーションでしか成し得ないヒューマンドラマの傑作であり、新たな始まりであり、同時に死亡宣告のような終わりの作品だと思います。

きっとすべて大丈夫3部作 / ドン・ハーツフェルト
頭の中に流し込まれ続ける圧倒的な量のモノローグ、呻きと嗚咽、そして切り取られた生活の風景があまりにも切実に胸に迫る60分間でした。夢を見るように伸び上がってゆく結末も忘れ難いです。実は私達もまたビルと同じように、普段は世界を記号化して視ているだけなのかもしれない。邦題も素敵です。

「フカシギの数え方」おねえさんといっしょ! みんなで数えてみよう! / 土居誠史
もはや教材の域を越えているし、けれどもきちんと教材で、ツッコミ所は満載なのに全くギャグではないし、最後に心に沸き上がる強烈な「うわああ!」という感情に人間はまだ名前を付けていないし、とにかくアウトサイドから投げ込まれた2012年最大の爆弾だと思います。ぜひ見てみて下さい。嫉妬!

橋本 新

東京都出身。ヘタウマなキャラクターを自由自在に動かすダイナミックなアニメーション作品を制作。『葬儀屋と犬』(10)がオタワ国際アニメーション映画祭などに入選し、『ベルーガ』(11)ではザグレブ国際アニメーション映画祭で特別賞を受賞。イラストレーターとしての評価も高く、モスクワ国際グラフィックデザインビエンナーレに入選した経歴を持つ。

なんて素敵な日 / ドン・ハーツフェルト

THE EVENT / ジュリア・ポット

オー、ウィリー / エマ・ドゥ・スワーフ,マーク・ジェイムス・ロエルズ

秦 俊子

2009年東京藝術大学美術学部工芸科染織専攻卒業。
2011年東京藝術大学大学院映像研究科アニメーション専攻修了。
2011年にアニメーション作品「さまよう心臓」を制作。
2012年にNHKみんなのうたにて「ヤミヤミ」(うた:やくしまるえつこ)のアニメーションを制作 。

http://hatatoshiko.net

Tne Necktie / Jean-François Lévesque
NFBのサイトを見ていた際に見つけて、久々に面白い人形アニメーションを見たという気分になりました。途中人形と紙の人間が出てきて、その2つはそれぞれ違う立場にいるのですが内容に対して表現の方法がちゃんと意味を持っていて、かつそれが面白い表現として成立している素晴らしい作品だと思いました。

BOBBY YEAH / Robert Morgan
韓国の映画祭で見てすごく印象に残っていたストップモーション作品です。グロテスクで気持ち悪いのですが、動きがすごくなめらかでアニメートが非常に優れていました。貫かれた作風に強さを感じ、見て数日たってからも忘れられず頭に強く残っている作品です。

おおかみこどもの雨と雪 / 細田守
映画館で見ていて終止涙が出てしまったのですが、泣いた意味が自分でもあまりわからないという不思議な体験をした作品です。映像によって人を泣かせることは私は狙ってもできないことなので、どうして涙が出そうになるのかを分析したい作品です。音楽が優れていたのも理由の1つだと思います。

PEAS

2010年より活動している映像制作・上映グループ。
活動開始以来、月例上映会を企画・運営、
年1回全国各地で「Animation Factory Festival」を開催。
PEAS登録作家は2012年12月現在60名以上。
アニメーション制作も請け負うなど幅広い活動を行っております。

フランケンウィニー / ティム・バートン

黒いロングスカートの女 / 土屋萌児

KiyaKiya / 近藤聡乃

平山 志保

2007年から自主制作活動を開始し、2008制作『swimming』では第7回ユーリー・ノルシュテイン大賞で観客賞、アニメーター賞受賞、2010年制作『生活の音』では、ロッテルダム国際映画祭、ニッポンコネクションなど参加。日本アニメーション協会会員。

http://18maru.moo.jp/

おなか / ジュリア・ポット
動物と動物の合わさった生き物たちがとても印象的。人間たちの動物としての欲望を懐かしむように、海の中に、動物たちの中へねっとりとした生々しい動きはで入っていく。隠していた欲求を思い出させ、満たしてくれるよう。そこにあるのはおきまりの思春期の人間模様というのがちょっとものたりないような、でもそこがリアルなような気もしました。ビジュアルがポップでかわいい。これからが楽しみ。

オー、ウィリー / エマ・ドゥ・スワーフ,マーク・ジェイムス・ロエルズ
羊毛の毛の動きが印象的。裸の人々がいたり、ナンセンスなストーリーをやわらかい感触とライティングの美しさで表現したのがとても良かった。

古川 タク

アニメーション作家、イラストレーター

なんて素敵な日 / ドン・ハーツフェルト

火要鎮 / 大友克洋

布団 / 水尻自子

細金 卓矢

【輪るピングドラム】トリプルHでワンルーム・ディスコ【Sims2】 / びお

【MMD】ほむらが酔っ払ったっぽいようです【ハピトリ】 / 屍体愛好癖

Liars - Brats / ian cheng

細馬 宏通

滋賀県立大学人間文化学部教授。日常会話の動作分析が専門。著書に『絵はがきの時代』『浅草十二階(増補新版)』ほか。『訪問看護と介護』に「介護のことば、介護のからだ」、moderfartに「歌のしくみ」(http://modernfart.jp/)を連載中。現在、アメリカのアニメーション史に関する著作を準備中。

恐竜ガーティー / W.マッケイ
W.マッケイは最初の公開時、自身が口上を述べ、ガーティーを紹介した。スクリーンの傍らで興行師がいると考えながらこのアニメーションの構図の変化を改めて考え直すと、違った理解が得られる。

プレイン・クレイジー / ウォルト・ディズニー
サウンド・アニメーションが生まれる直前に作られたミッキーマウス作品の第一作。アブ・アイワークスが当時、アニメーションにおける奥行き感をどのように産み出そうとしていたかが凝縮されている。

Racketeer Rabbit / Friz Freleng
ワーナー・ブラザーズのカートゥーンにおけるメル・ブランクの役割について改めて考え直した。この作品では、バッグス・バニーが声を使い分けてギャングを翻弄するのだが、それはメル・ブランクの声色芸をそのまま活かしたものだ。


古いアニメイティッド・カートゥーンばかり見ていた。今年何度も見直したものを三つあげる。最近のアニメーションをあげていないのは単に本数を見ていないから。少ない経験の中で、CALFの活動には刺激を受けた。

水江 未来

1981年生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン学科・同大学院デザイン専攻でアニメーションを学ぶ。「細胞」や「幾何学図形」をモチーフにした抽象・半具象アニメーション作品を多数制作し、主に国際映画祭を舞台に活動をしている。

Ballpit / Kyle Mowat
軽やかに、スリリングに、おもちゃのような生き物たちの動きから一時も目が離せない。

Out of Play / イワン・マクシーモフ
見た目は厳ついんだけど作る作品はいつも愛らしい、ロシアの巨匠イワン・マクシーモフによる“トイ・ストーリー”。

THE ARC / Cristobal Leon,Joaquin Cociña
「LUIS/LUCIA」の監督コンビによるローテクSFメロドラマ。愛に満ちた泣ける話。

水尻 自子

1984年生まれ。女子美術大学デザイン学科卒業。手描きやコマ撮りアニメーションを中心に制作し、身体の一部をユニークな視点で捉えた独特のアニメーションを得意とする。TOKYO MX「レイナレイナ」でアニメ監督デビュー。シリプロ代表。

かよえ!チュー学 / 新海岳人
話数がとにかく多い。

君はそう決めた‬ - ‪坂本慎太郎‬ / 坂本慎太郎
坂本慎太郎さんが自らiPadのアプリで制作したMV。黒線のみの絵とその動き、楽曲とのリズムが絶妙にグッとくる。

タナカカツキさんとアドリブ / 菅原そうた
どうやって作ってるのかなんだかよくわからないけど、とにかく楽しそう。

水野 勝仁

1977年生まれ。大学・高校非常勤講師。インターネット・リアリティ研究会メンバー。ユーザ・インターフェイスにおける「マウス」の研究から、エキソニモ《断末魔ウス》を経由して、ディスプレイ上の「カーソル」やGIFアニメ、及び「ポスト・インターネット」という事象を考察するようになる。

The Gif Connoisseur / 作者不詳
GIFアニメを触れるか触れないかのすれすれの距離で見続ける「鑑定家のおじさん」をずっと見いていると、GIFアニメがもつ身体性及び物質感が際立つような気がします.

GIF 3D Gallery / 谷口暁彦
3D空間に置かれたGIFアニメに触れることはできないが、近づいていって通り抜けることができてしまう。通り抜ける瞬間にGIFがそこに存在する物体のように感じるが、すぐに通り抜けてしまうので、とても薄い平面でループしているイメージだとも思う。よくわからない感覚が残ります。

Why Jordyn Wieber Didn't Make It: A GIF Guide / Elspeth Reeve, The Atlantic Wire
GIFアニメをニュースの解説に使ったものです。いつもは静止画像が入っているところにGIFアニメがあり、勝手に再生&ループしています。GIFアニメ単体でみると特に面白いところはないのですが、GIFがテキストを説明するための画像としてあることで、いままでにない不思議さを感じました。

安田 昂弘

85年生まれ、名古屋出身。
デザイン会社に勤務する傍ら、
個人でもデザイナー、映像ディレクター、VJなどの活動を展開。
最近では快速東京、Spangle call Lilli lineなどのMV、FREEDOMMUNE、TOWER RECORDOMMUNEのIDも手がける。
身長189cm。

フクロウ

キツネ

In-Between / Team In-Between


アニメーション作品などを見て、
というお題においては的確ではないかもしれませんが、
今回のインタビューのお話を頂いて、思い返した時、
普段、あまりモーションやアニメーションは意識的に見ていない事に気がつきました。

フクロウに関しては、昔からコノハズクなどを飼いたかったのですが、
この動画のせいでフクロウへのあこがれが再燃。
全国のペットショップサイトを毎日巡回、完全に取り憑かれ、
この夏、仕事が全く手につかなくなったほどでした。
結局飼ってないです。

今年じゃないのですが動物といえばやっぱりVitalicのBirds。
http://www.youtube.com/watch?v=F52dx9Z0L5k

山田 遼志

多摩美術大学大学院グラフィックデザイン専攻在籍。
アニメーション、ドローイング、アートブックを制作しています。

http://ryojiyamadayphooooonism.blogspot.jp/
https://twitter.com/ryojiyamada

REM SLEEP - Himuro Yoshiteru / TAKCOM
初見ではAutechreのGantzGrafのPVのミニマルな世界を連想しましたが、音楽の効果もあってか、ニュートラルでアンビエントな印象を持ち、気持ちよく観ることができました。音楽を視覚化したモーショングラフィックスの作品では最も好きな作品のひとつです。

Don't Worry, We'll Be Watching You - Gotye / Rubber House
オーストラリアのシンガーソングライターであるGotyeのPVです。作品は宗教儀式のようなよくわからないもので、ロシアのアニメーション作家のイワン・マクシーモフを連想させる意味不明な内容です。圧倒的な世界観と作画力がたまりません。

Red Colored Bridge / 田名網敬一
境界としての象徴的な橋を舞台に、生と死といった相反する概念の邂逅が延々と繰り広げられる。特異なヴィジュアルの動きによるエネルギーは只々圧倒されるばかりだが、全体を通して観ると曖昧な境界にあふれた現実世界を冷静に描き出しているように思えます。

山村 浩二

‘64年生まれ。
『頭山』がアヌシー、ザグレブをはじめ世界の主要なアニメーション映画祭で6つのグランプリを受賞、第75回アカデミー賞にノミネート、また『カフカ 田舎医者』がオタワ、シュトゥットガルトなど7つのグランプリを受賞。これまで国際的な受賞は80を越える。東京藝術大学大学院教授。

http://www.yamamura-animation.jp

Mother and Son / Andrei Ushakov
見かけはシンプルでミニマム、 何も描いていないようで芳醇な自然を感じさせてくれる豊かな作品。

此処と大いなる何処か / ミシェル・レミュー
無からのイメージの創造。影としての映画。

Father / Ivan Bogdanov,Moritz Mayerhofer,Asparuh Petrov,Rositsa Raleva,Veljko Popović,Dim Yagodin
難しいテーマを扱った最近流行のドキュメンタリーアニメーション、とても強度のあるグラフィックの完成度が圧倒的。

若井 麻奈美

絵やアニメーション(すこしだけ立体)
2010年 「SANKAKU」
2012年 NHK Eテレ「シャキーン!」にて「いい物語」のアニメーション担当

http://jitojito.ninja-web.net/top.html
https://twitter.com/wakai_manami

group_inou - ORIENTATION / AC部
素晴らしいリズム感だと思います。
特に気に入っているのはクイズチーターの後ろで走っている豚です。

しらんぷり / 白組
原画展に行き、鉛筆の線がとてもきれいで巧みだったことが印象に残っています。

日本橋高架下R計画 / 細金卓矢
洗濯物のシーンあたりでどうにも毎回泣けてきます。

若見 ありさ

http://www.arisawakami.com/

Bao / Sandra Desmazieres
しみじみと沁み込む動き。にじみ出るぬくもり。

Death and the Mother / Ruth Lingford
Hans Christian Andersenの『The Story of a Mother』を原作にしたアニメーション。母親の身体に刻々と刻まれてゆく時間の経過、焦りや息遣いがモノクロームな世界から手に取ってみえるほど押し寄せ、観るものを真実という深くて辛い闇に引きずり込む。

琉球王国 MADE IN OKINAWA / 木下蓮三,木下小夜子
ドキュメンタリーアニメーションを数多く制作している木下蓮三さんの遺作。生涯をかけ「愛と平和」を訴え続けた姿勢とともに今、地震・経済・原発と不安定なことが続く日本だからこそ、お二人が制作されたドキュメンタリーアニメーションには忘れかけていた日本人の過去と現在まで至った底力を感じる。

和田 淳

1980年兵庫県生。2002年頃から独学でアニメーションを制作しはじめ、『わからないブタ』(10)『春のしくみ』(10)などの作品が国内外の映画祭で受賞、新作『グレートラビット』(12)がベルリン国際映画祭短編部門で銀熊賞を受賞する。

FLY MILL / Anu-Laura Tuttelberg
エストニアの学生作品。立体アニメーション。無表情で淡々とハエを挽く仕事をこなす男(子どもにも見える)を描く。現実にはないであろう物語や舞台設定を精緻な作り込みと編集でさもこの世界が当然あるように思わせる説得力がある。

オー、ウィリー / エマ・ドゥ・スワーフ,マーク・ジェイムス・ロエルズ
ベルギーの作品。立体アニメーション。気持ちよさそうなフェルトを使った人形と気持ちよい動き、そしてそれに見合わぬ壮大なストーリー。ラストはこれまた壮大な音楽も相俟って無駄に感動させられている感が心地よく、何度も観たくなる。

花と嫁 / 川口恵理
日本の学生作品。カットアウトアニメーション。花嫁がただただ走っているだけで、観ていて意味は分からないし分かろうとも思わないが、発想や動き、アングルの妙さが画面に緊張感を持たせ、観た後に訳の分からぬものを見せられた心地よさが残る。

編集後記

この度は『animation&motiongraphics VIEW 2012』を
お読みいただきありがとうございました。

現在インディペンデントなアニメーション/モーショングラフィックスは、
「ログ」を残してくれるメディアがあまり存在しないので、
瞬間瞬間で刺さる作品と出会っても、
消費され過ぎ去っていく傾向にあります。
時代時代の楔となる作品だけが歴史に残っていけばいい、
という考え方もあるかと思いますが、
劇場公開された長編、テレビシリーズ、短編、CM、GIF、
作品や、あるいは作品と呼べるのか分からないものまで、
一年間で様々な形でアニメーション、モーショングラフィックスが産まれ、
多様化した状況の中で、それらに関わる方々は、
それぞれどのように2012年を観てきたのか。
様々な「視点」を一つのかたちに集めてみると、
また違った「視点」が産まれるのではないかと私達は考えました。

と書きましたが、
結局のところ自分が読みたいものを作る、
そんな素朴な動機で始めたアンケートでした。
多くの回答者の方々のご協力のもと、
非常に面白いものが出来たと思います。
ありがとうございました。
そして読んでいただいた皆さまにも、
深く感謝いたします。
来年も実施予定ですので是非。
















あと、
「挨拶がないぞ」「一言言わせろ」
という方々、
アンケートのアップデートは可能ですので、
是非ご連絡下さい。
まだまだ皆さんの話が聞きたいのです。

ONIONSKIN

animation&motiongraphics VIEW2012

2012年1月15日 発行 初版

著  者:ONIONSKIN・編
発  行:ONIONSKIN

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