「みそかの町に季節風」
義里カズ
都都逸・写真。
冬に帰省したわたしは、その懐かしさと寂しさに、影を見る。
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七七七と 五のリズムから 父のメールが 消えていく
「帰省」と記し 日も時も来る 覚悟と善と悪が居残り
雪から雪へ風から風へ バッグの蓋を二度開けて
降りるボタンを押してください 次停まります 気をつけて
父が掠れて「混んでたか」問う 答える私の声が似る
家の寂れが 月夜に映えて ただいまの声 忘れてた
さみしげだったその食卓に一人加わりさみしがる
子供の頃の風呂の広さが 消えて 消えゆき 消えて 消え
空き部屋の隅 ぬいぐるみの背 電燈点くの遅れてる
あの背表紙を再び隠し写真のことを忘れ去り
夜の軋みと眠りの期待 あの子元気か また逢うか
好きか好きかと君が問うのだ 一人もいない四時の夢
雪の白さがもう懐かしい 晦日の町に季節風
朝の散歩に長い黒髪 息が止まるさ 君だから
「あの子帰って来ていたのかな」「いいから食べてしまいなさい」
閉まり続ける商店街に道路工事が十二度目
服と鞄と文房具入れ 店の並びに田が混じる
目で追う先に 人、人、人で それでも胸が埋まらない
雪で埋まった昨年冬の 年の越し方忘れてる
さん、にー、いちと親戚の声 何も変わらぬ一秒後
「ついたちの夜が初夢だから今日は関係ないんだよ」
出会えることを二度願っても結局話さないくせに
斜めの席で学ぶ君の目 集中できない五時間目
「もう会えない」と「どうして?」の波 白々しいのがかねのおと
居なくなったらあきらめきれぬ どこかに居るからあきらめる
「また会ったね」と声をかけると自分の足元沈んでく
夢がまことで、まことが嘘で、嘘が夢ならよかったな
初夢なのか? こんな願いが? 雪解け混じる雁の声
後姿をまた見かけても 違う人だと分かってる
去るべき川があまりに光る 私が消えて嬉しいと
部屋に戻って一息ついて七七七五と電気点く
2013年1月8日 発行 初版
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