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この本の成り立ち 米光一成 4
黒木貴啓 7
堀祥太朗 8
与儀明子 10
オグマナオト 13
いとうあやね 14
森佳奈子 16
齋藤純子 18
鈴木夏希 21
水井大輔 22
片桐正博 24
丸田剛司 27
松本奈穂子 28
後藤千尋 30
青柳美帆子 33
なかむらとも子 34
さかもとあや 36
中桐基善 39
松澤夏織 40
田村えま 42
小川未来 45
山崎泰央 46
講座名が長すぎる。「宣伝会議 編集・ライター養成講座 上級コース プロフェッショナル・ライティングクラス」 長いので専任講師の名をとって「米光講座」と呼ぶ。2010年からスタート。2012年の12月8日からシーズン4がスタートした。
米光講座には部活動というシステムがある。いくつかの部があり、そのなかのひとつに紙の書籍部がある。「紙の」とわざわざついてしまうは電子書籍部もあるからだ。
講座7回目、インタビューの授業。米光講座の卒業生で、プロとして活躍している7人をゲストに招いた。7チーム、およそ3人に分かれた受講生が、ゲストを40分間じっくりとインタビューした。
メンバーは、各自テープ起こしをしてインタビュー原稿を作成する。そして「紙本部」が動いた。インタビュー原稿を書籍化しよう。一部は改稿して、雑誌『編集会議』に掲載される予定なので、フォーマットはそれに従った。すべての質問事項が同じなのはそのためだ。また、原稿はチームではなくそれぞれが書いた。同じインタビューをベースに違う原稿が並んでいる。インタビュー原稿が、書き手によって大きく変わるということも楽しんでもらえるだろう。
学びながら、追い立てられるようなスケジュールで作ったものなので、原稿を書いたみんな、紙の書籍部のみんなは、「もっとこうしたかった」「もっと書き直したい」と忸怩たる思いもあるだろう。インタビューに答えてくれたフレッシュな新人のみんなも「もっとうまく答えたかった」と思ってるだろう。
だが、それでいい。それがいい。
これはプロセスの中のひとつの区切りでしかない。区切りとして、成果物を作ったことが「もっと」という気持ちを生み出すのだ。欠けたところもあるだろう、でも全力で、何かを形にした。それは、もっと手を伸ばすための、もっと自由でいるための、次のステップにつながっている。もっと! もっと書いていってください。
編集ライターを目指し第一歩を踏み出した若者を、その第一歩を踏みだそうとあがいている若者がインタビューした本です。読者のみなさんは、その初々しさも含めて楽しんでもらえると嬉しい。
米光講座シーズン4専任講師 米光一成
──この仕事を目指したきっかけは?
就職活動では出版業界を志望していたのですが、70社全敗しました。
悩んでいた大学4年の12月、漫画家さんの忘年会に参加する機会があり、そこでフリーライターの深川岳志さんに電子書籍の魅力をうかがいました。電子書籍を使えば自分の言いたいこと・書きたいものを会社に頼らなくても世に出せると知り、このとき、フリーライターという働き方に関心を持ち始めました。
──講座を受講した理由は?
自分に欠けていたのは、ものごとのおもしろさや自分の興味の対象を「伝える力」だったと思うんです。それを身につけたかったのが理由のひとつです。
あと、怠け者なので、努力する環境がほしかったこともあります。鍛えてくれる先生とライバルにもなる仲間を求めて受講を決めました。
──受講してよかったことは?
講師の米光氏はFacebookを利用して開講前から指導してくださいました。初めての課題は講座への志望動機です。
今思い返しても、そんなにやる気があったのかよ、と過去の自分に言いたいくらいなんですが、初めてのアドバイスをいただいた、その3時間後にはもう書き直しを提出していました。
悩みつつのやりとりの中で自分がたどり着いたのは、具体的なエピソードを絡めると文章が力を持つことです。「事実」は言葉の説得力を裏打ちしてくれます。
抽象的な「想い」より自分固有の「思い出」。事実のシンプルな強さに初めて気づき、この講座でならこれまで自分を悩ませてきた「伝える力」が手に入ると確信しました。
──プロを目指すのに大切なことは?
失敗を恐れずに挑戦することです。文章を否定されるとプライドが傷つきますし怖いですが、それを乗り越え素直に取り組めば、私のような「ふつうの人」でもプロになれるんです。
講座では怖いもの知らずな仲間をたくさん持つことができ、その人たちに自分が変えられた部分もありますね。
聞き手・堀祥太朗
──受講のきっかけは?
「徹底的に鍛えてくれる講座があるよ」と飲み会で出会ったフリーライターから聞いたんです。そのとき就活中で。出版関係、70社、全部落ちました。なんで思いをうまく伝えられないんだろう? とフラストレーションがたまっていました。
──受けてみてどうでしたか?
講師の米光一成さんは、講座の1ヵ月前からウェブでプレ講座をやってがっつり指導してくれました。まず志望動機を書けと。書いたら「思いを具体的なエピソードで伝えよう」と。書き直すなかで、具体に落とすと嘘がつけない、嘘がつけないから説得力がある、というシンプルな答えに、人生で初めて気がつきました。講座修了後にロックフェスのオフィシャルライターとしてリポート記事を書いたとき、演者の表情や言葉、演奏、観客の様子をうまく観察して、伝えたいことを支えるための事実を拾えた。2日間で20のライブを見て苦なく書けた。学んだことが活きてる! ぼくやってける! と実感した瞬間でした。講座では、ふだんの生活から書くネタを見つけるために、発想のトレーニングも積んだんですよ。この間ライブに行ったとき、新しいタイプのペンライトが使われていた。ぼくが書いているネットニュースサイトのねとらぼでは、音楽はあまり扱わない。でも新商品を切り口にしたらいけるって思いついて。書かせて下さいって言ったら通りました。
──ライターになるために大切なのは?
書き続けることです。ぼくは受講生のなかで一番文章が下手でした。それでも書いた。米光さんはその気にさせるのがうまいんですよ(笑)。問題点を具体的に指摘しつつ、ほめる。「講座は失敗していい場」「失敗を楽しめ」と最初に言ってくれたから、やりやすい空気があった。そういう場でのびのびと書く仲間がいた。修了後も、やった仕事をSNSで報告するたび仲間が感想をくれて。米光さんも見て「黒木君は現場で伸びるタイプだねー」って、ねとらぼにぼくを紹介してくれました。やっぱり一人じゃ変われなかったと思います。講師や仲間がいて、恥や失敗を恐れずに突き進んで、ぼくは変われたんです。
聞き手・与儀明子
──ライターを目指したきっかけは?
広告会社でディレクターとプロデューサーをやっていて、向いていない気がしたんです。広告を形にするのはコピーライターやデザイナー。ぼくらは彼らをつなぐ役目。仕事を続けるうちに、実際に作品を形にする仕事をしたくなっていきました。でもデザインもコピーもいまいちピンとこない。同じ「つくる」なら編集やライターが向いている気がして、講座に通いはじめました。
──講座を受講して役に立ったことは?
米光一成さんの授業では、「自分マトリックス」というワークがあります。興味があることを単語でどんどん書き出して、仲間と見せ合う。書いたことに質問し合ったり、見比べたりする中で人よりも風車を見に行っていたことにはじめて気がつきました。それまで風車が好きだという認識すらなかったんですけどね。そこで執筆テーマを「風車」にしました。いまはこっちの方により興味があるんだなとか、この分野の知識はひとよりあるんだなとか分かった。ワークでの発見が今でも、ライターをやっていく上での強みになっています。
──プロの編集者、ライターを目指す上で何が大切ですか?
自分の武器をもつ・チャレンジし続ける・空いている席を見つけるという3つをまずは実践していくといいですね。
武器をもつというのは、先ほどふれたように得意分野をもつことです。自分でつかめている人は強いですよ。
そして原稿を載せてほしいなら何回も送ることです。1回であきらめてしまう人が多いけれど、それはもったいない。いい編集者であれば直すべきところをちゃんと伝えてくれます。
また、誰もやっていないことをいかに発見するか。ある時ウェブサイトのイベントで、編集者が「スポーツ系のことを書ける人がいない」と嘆いていました。じゃあ書きますと立候補してレギュラーの仕事をもらったことがあります。ほかの人がやっていないことをする、まだ見つけていない切り口で書く。つねに心がけていることです。
聞き手・いとうあやね
──ライターを目指したきっかけは?
広告会社でプロデューサーをやってたんです。そこでコピーライターやデザイナーの仕事を見て、実際に作る部分をやりたくなってきたんです。
それで、ライターや編集者になってものづくりをするのがおもしろいかなと考えて、宣伝会議の編集・ライター養成講座に通い始めました。最初は編集者志望でした。授業で文章を書いているうちに、書くこともおもしろいと思い、ライターを目指すようになりました。
──講座を受講してよかったことは?
米光講座では、自分が今、本当に興味があることを発見することができました。知らず知らずのうちに人より詳しくなっていた分野が自分にもあるんだって。このことは今でも、ライターをしていく上での武器になっています。自分が何に興味を持っているかってわかっているつもりでも、掘り下げてみると意外な気づきがあるんですよ。
たとえば、私は風力発電や、風車がある風景をよく見に行っていたんです。そのことを知った米光先生に「それはおもしろいから書いてみたら」と言われて、風車についての原稿を書くようになりました。結果として、エキサイトレビューでも3本、風車の記事を寄稿することができました。でも、それまでは風車が好きだという認識すらあまりなかったんですよ。
──プロの編集者、ライターを目指す上で大切なことは?
自分の武器を持っていることが大切だと思います。自分の得意分野を掘り下げ、人より多くの知識を得て武器にするんです。そして、それについて自分にしか書けない切り口で書くといいですよ。
チャレンジし続けることも大切。エキサイトレビューに原稿を送ってくる人は、けっこういるそうなのですが、最初の原稿が不採用だとそれであきらめてしまう人が多いらしいです。何故、原稿をなおして、もう一度送らないんだろうと思います。私も送った原稿を駄目だと言われることはあります。でもなおしてまた送っていますよ。編集者が、なおした方が良い部分を指摘してくれるんだから、なおして送らないと、もったいないですよ。
聞き手・森佳奈子
──講座を受講して役に立ったことは?
広告制作会社に就職し、ディレクターやプロデューサーを担当していました。人と人を繋ぐ立場で広告制作に関わっていたのですが、次第にデザイナーやコピーライターのように「実際に創る」ほうが面白いのではと思いはじめたんですね。自分に何が向いているだろうかと考えて、ライターや編集者として「もの作り」をしようと。
在職中に「宣伝会議 編集・ライター養成講座」(以下、養成講座)を受講し、その後続けて「編集・ライター養成講座 上級コース」を受講しました。
──ライターを目指したきっかけは?
養成講座の卒業制作で「実況アナウンサー」についての原稿を書いて、それがインタビュアとしてデビューするきっかけになりました。
幻冬舎のウェブコンテンツでライター募集をしていることを知り、企画書と一緒に卒業制作をサンプル原稿として送ったところ、採用が決まったんです。
採用された原稿はフリーアナウンサーの永田実さんへのインタビューで、その後も「実況アナウンサーシリーズ」として、石原敬士さん、洗川雄司さんなどのインタビューが掲載されました。
──プロの編集者、ライターを目指す上で何が大切ですか?
たとえば試合現場での取材は限られた人しかできなかったりします。でも現場に入らなくても、選手の過去を考察したり今のスポーツ界がどうあるのかという見立てをしたり、自分ならではの独立したものができるといいなと思っているんですね。ネタ探しとして、書店に行くと必ずスポーツ関連の棚を見ています。ウェブ系のコンテンツは速報性があるほうがアクセスが伸びるので、ニュースのチェックも欠かせないですね。
どの分野においても「自分にしか書けない視点」を持つことが大切だと思います。「一家言ある人」としてイベントに呼ばれるような存在になりたいですね。
書き直しを指示されることはよくあります。そこであきらめないで書き続けることが大切だと思います。私も何度も書き直しました。自分ならではの視点を信じて、食らいついていって欲しいですね。
聞き手・齋藤純子
──この仕事を目指したきっかけは?
編集者やライターという仕事すら知らなかった。ジャニーズの嵐が大好きで、その想いをブログに書いてたんです。だんだんと読者が増えて、「いつも面白いですね」「その表現は新しいですね」なんてコメントをもらって、面白くなってきたんです。それでもっと書くことを勉強したいと思い、著名講師が多く、大きい会社が運営しているという理由で、宣伝会議の講座の受講を決めました。
──講座を受講して良かったことは?
「全ての回に出席し、与えられた課題を全てこなすのは当たり前」と考え、プラスアルファを心がけました。せっかくお金を払ってるんだから、プロにならないと意味がないと思ったんです。
その想いにさらに火がついたきっかけが、上級コース全10回の3回目で、講師に「君、名前何だっけ?」と言われたこと。「少人数クラスなのに……。自分の存在をまだ認識してもらえていないんだ」とショックを受け、まずは名前を覚えてもらうことを目標に努力しました。その後、講座では「新聞部」を作り、講座の出来事やイベントをまとめて、ライティングやデザインを一人で担当しました。サイトの「エキサイトレビュー」のライターを募集するオーディションの回では、私も含め、受講生は誰も採用されなかったんですけど、私はその後も原稿を編集者に送り続け、その結果、採用されました。
──プロのライターを目指す上で何が大切ですか?
ライターとして働き始めてから、人に言われて心に残っているのが「才能は目に見えないけど、努力は目に見える」という言葉。講座に通って、全ての課題を出したり、講師や受講生と積極的に名刺交換したり、といった努力をし続けることで、初めて自分の才能を誰かが見つけてくれるんです。オリジナリティってむりやり出すもんじゃない。自分ではわからなくてもいっぱい持ってるもんなんだって気づいたんです。講座で多くの人と出会い、評価してもらう中で、引き出されていくんです。
エキサイトレビューでは、関ジャニ∞関連の記事も書いているんですけど、私の記事がきっかけで関ジャニ∞のファンになったと言ってくれた読者の方もいました。ライターとして冥利に尽きますね。
聞き手・水井大輔
──この仕事(編集者、ライター)を目指した動機、きっかけは?
元々はデザインすることが好きで、グラフィックデザインの事務所に就職しました。本や雑誌もほとんど読んでなく、活字に触れ合う機会も少ない生活でしたので、ライターという職業にまったく興味がなかったんです。でも、講座の中での課題を「自由な発想がいい。僕が採用担当だったら、君を採用する」と、講師に褒められたことがきっかけで書くことに自信を持つようなりました。卒業制作を書きあげるときには、プロのライターになろうと意識し始めました。
──講座を受講した理由
新卒ではいったデザイン事務所を退社したことによって、時間にゆとりが出来たことですね。なんとなく何かを始めたいという漠然とした思いだけがありました。ヨガなどの習い事を始めるのと同じ感覚です。ちょうど趣味で始めたブログの反響が大きくなり、書くことに興味を持ち始めていた時期で、検索して講座の存在を知りました。何気なく始めた総合講座でしたが、修了する頃には、プロのライターになるためにもっと力をつけたい、と迷わず上級クラスを受講しました。
──講座を受講してよかった(役にたった)こと
たくさんの人との出会いが自分を見直すきっかけになりました。元大手新聞社の編集長である講師には、未経験の上に読書量も少ない私にも、自分だけの発想があることを教えていただきました。また別の講師とは、一緒に仕事をする幸運を得ましたが、その理由が20代の女性で素人であるということでした。オリジナリティーとは無理やり引っ張り出すものではなく、既に備わっているものに気がつくことだと講座のおかげで知りました。
──プロの編集者、ライターを目指す上で大切なこと
未経験ゆえに人一倍努力をしてきました。すべての講義に出席する、与えられた課題を提出するのは当たり前とし、戻ってきた課題はもう一度書きなおして再提出していました。いつも求められている以上を目指し、講義終了後には議事録を作り、講師にメールで送っていました。講師の方に喜んでいただき、名前を憶えていただけたことが仕事にもつながりました。まったく未経験の素人である私が、講座をきっかけにプロのライターになることができた。自分でも驚いています。
才能だけでは目に見えないけれど、努力は目に見える。私の場合、講座に通うことがその第一歩だったと思います。
聞き手・片桐正博
──編集者を目指した動機、きっかけは?
小学4年生から中学3年生頃まで、アメリカのニューヨークに住んでいたんです。当時日本食品店で販売されていた日本の少年ジャンプを買って、現地校の友達に見せて笑わせるのが楽しかったんです。その頃から将来日本の漫画の流通を増やしたり、実際に漫画を作っていきたいと思ったのがきっかけですね。
──講座を受講した理由は?
今の編集プロダクションに勤務し始めて3ヵ月くらいたったところで、講座を受講しました。それまで文章を書くのが得意じゃないという自覚があったので。
──講座を受講してよかった(役に立った)こと
米光先生からは「書く」というテクニックを徹底的に教えていただけました。例えば何かを書くにしても100の情報を集めてそれを10に絞って、それをさらに1にするみたいな。講座では物書きとしての基本を学べたので、今の仕事にとても役に立っていると思います。
──プロの編集者、ライターを目指す上で大切なことは?
やっぱり自分の好きな分野で仕事をするのが大切ですね。僕の場合は、日本のアニメや漫画が好きで、それをもっと色んな人へ身近なものにさせたいという思いがあります。
また僕は編集志望ですけど、実際に手がけた書籍の3分の2は僕自身が書きましたし、編集だとかライターだとか関係ないですね。企画を出せて、モノを書けて、編集もできるって人が強いと思います。ライター一本で食べてくのはちょっと厳しいのではないでしょうか? これからは企画と編集両方できる人が求められると思います。
あとはやっぱりやる気と体力。締め切り前になると家に帰れなくて、10日間パンツを替えられなかったこともあります。忙しすぎて1回倒れたこともあるんですけど、本当に体力の大事さを身にしみて感じました。
聞き手・松本奈穂子
──編集者を目指した動機、きっかけは?
もともと漫画編集をやりたかったんです。
小4から中3の5年弱くらいニューヨークに住んでいて、兄弟はすぐに英語になじめて。僕は時間がかかった。その時、集英社の「少年ジャンプ」が日本食品店に置いてあったんですよ。日本にあるものが輸入されて入ってるだけ。日本語に触れる機会が少なかったからありがたく読んでいたんですけど、現地校に持っていってみんなに読ませたら『るろうに剣心 —明治剣客浪漫譚―』って漫画がやっててみんな見てて「かっこいい!」とか興奮してるわけですね。「将来、僕も流通を増やしたり、そういう漫画を作ったりしたいな」と思ったのがきっかけですね。
──講座を受講して役に立ったことは?
文章を書くのが得意じゃなかった自覚があったので、本を作った時に米光さんに話したのかな? 物書きの鉄則、テクニックを教えていただいたので役に立っています。例えば、1のことを書くにしても100の情報を集めてそれを10に絞って1にするみたいな。
──プロのライター、編集者を目指す上で何が大切ですか?
正直、いまだに何で拾われたのかわからないです。編集プロダクションに勤められてよかったです。TOEICは僕、520点ですからね。チーフが結構厳しい方なんですけど「お前、何年この業界にいるんだ」って言われますね(笑)。細かいところをこれでいいんじゃねって済ませてしまうことがあるので、自分に厳しくっていうのをやれないと編集では致命的だと思います。チームワークは大切です。あと繊細な人はムズいんじゃないですか?
同じ時期に入った人がこの案件が終わって2人辞めました。物書けて企画もできて、編集もできるって人が強いと思います。何か一個、好きな物があって「何か書きたい、人に知らせたい」って方はライターに向いている。
聞き手・後藤千尋
──講座を受講したきっかけは?
米光先生に無料体験講座に誘っていただいたことです。自分のブログに米光先生の講座が気になると投稿したら、「体験講座は無料だから来てみたら」とコメントをいただきました。もともと『ぷよぷよ』や『魔導物語』のファンで、米光先生のブログをいつも読んでいますから、趣味と実益を兼ねて受講しました。大好きな米光先生の話も聞きたかったですし、面白い記事を書く米光先生の講座は勉強になるだろうと思いました。
──ライターを目指したきっかけは?
ビジネス書を完成させた経験からです。読書好きが高じて、小学生のころから文章を書くことにも夢中になっていました。それを知っている知人から依頼され、20人分のインタビュー記事を書き、レイアウト編集まで仕上げたんです。これが自信につながり、編集やライターとして活動できるのではないかと思いました。
──講座を受講して、役立ったことは?
「エキレビ!」ライターとしてデビューできたこと、受講生の原稿を読めたことです。「エキレビ!」編集担当のアライユキコさんと出会えて、文章の添削をしてもらえただけでも受講した価値があったと思います。私の場合、デビューまでに5回ほど原稿を添削していただきました。米光先生とアライさんが毎回丁寧に指導してくださったことに感謝しています。
ライターを目指す仲間の原稿を読むのも刺激になりますし、ファンを名乗りたいくらい尊敬できる方にも出会えました。講座で出会った仲間とは修了後も句会などを通じてつながっています。
──プロのライターを目指すうえで大切なことは何ですか。
客観的な視点を持つことです。面白さを伝えるには客観性が必要です。常識だと思っている言葉でも、読者全員が意味を知っているとは限りません。意味が分からなければ、楽しさは伝わりません。そこで推敲に加えて、信頼のおける友人に見せています。先輩ライターのインタビューの文字起こしを行うことも、客観的な姿勢についての勉強になります。
好きなものには感情の歯止めがきかないので、得意分野を強くして夢中なものが面白く伝わるよう書いていきたいです。
聞き手・なかむらとも子
──ライターを目指した動機、きっかけは?
職業として目指していたのは、国語の教師でした。読書感想文の指導が上手で、原稿が、死ぬほど笑えるぐらい面白い先生ってカッコイイじゃないですか。ライターは『なりたい』ではなく『やりたい』ことなんです。講座に通い始める前に「ビジネス書籍づくりの手伝いをしてほしい」と知り合いに頼まれました。私、いわゆるオタクで、同人誌をつくったりしていたのもあり「できそうだな」と思い引き受けたんです。独学でインデザインを使い、2冊ほどデザインを手がけました。さらにインタビューの音声データをポンと渡されて「一人が書いている風な原稿にしてください」って依頼で20人の原稿をまとめたことがあったんです。この時に“ライターできるかもしれない”と思いました。
──講座を受講した理由
上級クラスの募集には“編集・ライターの経験があればいい”と書いてありました。それならば、ビジネス書籍づくりに携わった経験を大枠に入れて“ある”ってことにしていいだろうと判断したんです。もともと講座を受けもつ米光講師のファンだったんです。ゲーム『ぷよぷよ』に出てくる米光講師の考えた文章(呪文)は擬音語が変わっていて、意味がわからないのが沢山あって面白くて。お気に入りの呪文は「ばよえ~ん」です。
──講座を受講してよかったこと
講座内でのエキサイトレビュー(エキレビ)オーディションでアライ編集長にお会いできたことです。受講中は『同人誌をつくる』をテーマにして原稿を書いていましたが、エキレビで挑戦するネタとして「ニッチすぎる」と指摘されました。別のネタで何回も何回も記事を書いて挑み、デビューするまでに5回以上は原稿を跳ねられました。エキレビライターとしてデビューした今も、原稿を見てもらいたいのはアライ編集長。「これ面白かったー」って言われるとテンションが上がります!
──プロのライターを目指す上で大切なこと
好きなイベントの記事では、つい夢中になり過ぎて原稿が独り善がりになってしまいがちなんです。話が伝わっているのか、面白いのか、違和感がないのか、日本語をちゃんと話しているのか、書いていてわからなくなります。そんな時は友達に読んでもらうと、考えもしなかったところで突っ込みが入って来たりします。第一の読者に原稿を見てもらい、意見を受けてリライトをする。そうすれば実りある結果になることが、あるのではないでしょうかね。
聞き手・さかもとあや
──ライターを目指したきっかけは?
転機となったのは3・11です。震災後一ヵ月近く実家の岡山に疎開していました。その時はサラリーマンだったんですが、やっぱり給与のすべては出なくて。一つの収入源ですべてをまかなっていくことの脆弱さと怖さを肌で感じました。これからは複数の収入先がある生き方がいいと思ったんです。その会社で自分の人生の終わりまでが、漠然と見えてしまったことも血の気が引きました。自分が夢を描けなくなっていることに気づいて、ゾッとしたんです。そんな人生を続けるのはイヤだなと。それで、大学時代に興味があったこの世界の門を叩こう思った。4月上旬に退職し、5月から宣伝会議の編集・ライター養成講座の総合コースに通いはじめました。
──講座を受講して役に立ったことは?
総合コースは毎回講師の方が変わるシステムなので、人脈つくりを積極的にしようと決めていました。僕みたいにゼロベースの人間は学ぶだけではダメだと思ったんです。この時のご縁で知り合った講座のOBの方に企画の持ち込みをしていました。そんな折「編集アシスタントに興味ある?」と声をかけていただいて、昨年から日経エンタテインメントで書かせてもらっています。総合コース後に受講した上級コースはぐっと専門的でした。自分の企画がいかにダメかというのを冷静に指摘してもらえて、考える機会を得る場所になりました。
──プロの編集者・ライターを目指す上で何が大切ですか?
石に齧りついてでもなるまでやめない。昔から面白いことが好きだったので、面白い話や世界を知ることが出来るこの仕事は刺激的で楽しいです。でも、ライターという仕事はメンタル的にきついことも多い職業です。だから楽しむことが大事。スティーブ・ジョブズの「Stay hungry, Stay foolish」という言葉のように、馬鹿になって大人の悪ノリでやっていく。楽しめば続けられますからね。
座右の銘は見城徹さんの「新しく出て行くものが無謀をやらないで、何が変わるだろうか」。僕は勝手に、「無謀」=「悪ノリ」と捉えてます(笑)。
フリーは、自分のやっていることを常にまわりに言い続けること、プライドや見栄を捨ててだれかれかまわず仕事をくださいっていう姿勢が大切です。最終的には、いかに自分の感性や本能を信じ続けられるかが重要だと思っています。
聞き手・松澤夏織
──編集者を目指したきっかけは?
大学時代から出版業に興味があって就職活動もしたのですがダメで、会社員をしていたんです。でも、30歳になって「夢が抱けない大人になってるんじゃないか」って、今の生活に疑問を感じていました。
そんな時に東日本大震災が起こり、原発危機を危惧して避難したことがきっかけになりました。当日に上司と相談し、実家の岡山に帰ろうと出発しました。吉祥寺駅がパンクしていて、名古屋まで16万円かけてタクシーで帰ろうとして翌日到着したんです。
帰省中の給料が全ては出ないこともあり、会社の収入で全てをまかなっていく脆弱さ、危険さを肌で感じて。ひとつの所から収入を得る生き方はこれからの時代に合っていないと感じ、4月上旬に会社員を辞めていました。もともと書くことに興味があったので、フリーライターになろうと思い調べて、編集・ライター養成講座に出会ったんです。5月開講の総合コースに行き、続いて上級コースにも通いました。
──講座を受講して役に立ったことは?
総合コースはまんべんなくライターの仕事が学べ、人脈を作ることができると思って受講しました。
今の「日経エンタテインメント」の仕事のつながりも、総合コースの先輩からのつながりです。飲み会がきっかけで顔見知りになり、何度か企画を送っていました。幸運にも編集アシスタントの席が空いて声をかけてもらいました。
上級コースは一人の先生からじっくり教わりたいと思って受講しました。課題の中で自分のテーマはバックパッカーをしていた経験から「定住しない生き方」を提案したんです。
発表すると先生から「いまは定住しているんでしょ?」と、ツッコミが入って。テクニックはもちろん、文章を書くうえではまりやすい思い込みを指摘してくれる視点が今も役立っています。
──プロの編集者、ライターを目指すうえで何が大切ですか?
まずは、なるまで辞めないこと。大人の悪ノリを続けるのはすごく大事だと思う。はじめは我慢して続けなければならないと思います。東日本大震災で帰省したことで確信を得たものもあります。自分の感性とか本能を信じることがいかに大事かということが学べました。凄く大きな自信につながったと思っています。フリーの仕事していると、精神的につらくなることも多い。だからこそ遊び心を忘れないで自分の内なる声を信じることが大切だと思います。
聞き手・田村えま
──この仕事を目指したきっかけは?
僕はライターよりも編集志望で、コンテンツクリエイトの手伝いやプロデュースがやりたいんです。きっかけはレコード会社のディレクターをしていた母親の存在が一番大きいですね。
母親はアーティスティックな人間じゃないんですけど、アーティストの支援を楽しそうに語るので昔から憧れはありました。あと、プロミュージシャンを目指している同級生がいて、努力してるけど勉強の幅が狭いんですね。だから色々と幅広くかじってる僕のアドバイスをすごく喜んでくれて、そこでアーティストを支援する喜びが得られたのもきっかけです。
今はセミナーやイベントのTwitter実況をすることが多いですね。会場に行って内容をリアルタイムに配信していく。あとは社会貢献系のwebマガジンでライティングをしたり、Kindle本の編集もやってます。
──講座を受講してよかったことは?
若い時分に米光さんみたいな人とコミュニケーションできたのがすごく大きかった。面白いことを追求する生き方もアリってわかったのが人生の可能性を広げるきっかけになりましたね。将来は紙媒体だけじゃなくてITとかコミュニティづくりで広義の編集をしたいです。こういった方向性を決定づけてくれたのは講座のおかげだと思っています。
あとは視点。視野とか関心って意味ですけど、視野が狭いなって。でも視野の狭さがある種の個性になるってことを学びました。講座では具体的に書くことにこだわりますよね。表現する時はオリジナリティが大事で、僕も自分だけの細かいオリジナリティを見つけられるはずなんですよ。狭いなかで。視野の狭さの自覚と、狭さを生かすってことが一番役に立ちました。
──プロを目指す上で大切なことは?
足、ですかね。自分が面白いと思ったところに足を使って行って、そこで動き回る。生にこだわるってことです。だからイベント実況は性に合ってますね。
情報って山ほどあるじゃないですか。でもエネルギーを使って情報を見て疲れて終わりじゃなくて、関心というエネルギーを得て好奇心としてぶつける。エネルギー変換をスムーズにすることが大事だと思います。
聞き手・山崎泰央
2013年5月11日 発行 初版
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