Quad Cross 開発チーム
原作…………小関章ラファエル
………………(Aquilon)
脚本…………高羽彩
原作監修……五味佐和子
………………(Aquilon)
イラストレーション……
…………tanu
プロデューサー…………
…………和田丈嗣
…………(WIT STUDIO)
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この電子データは紙製本版の部分掲載サンプルです。
表紙・目次・著者・出演者・本編4ページ(見開き2ページ)・あとがき・奥付、
等のみの掲載となっています。
紙製本版の全体内容は、本を発注される前に、
BCCKSの「プリントデータプレビュー」でご確認できます。
原作……………………… 小関章ラファエル …………(Aquilon)
脚本……………………… 高羽彩
原作監修………………… 五味佐和子 …………………(Aquilon)
イラストレーション…… tanu
プロデューサー………… 和田丈嗣 ………………(WIT STUDIO)
蒼穹ステラ ………… 何でもはきはきしゃべるお姉さんタイプ
流華リラ …………… 言葉少なくぽつぽつしゃべる芯は強いが控えめなタイプ
鏡美ティラ ………… キャアキャアとかしましく奔放なリアリスト
花音サシャ ………… 言動は天然だが一番周りを見て取り持っている
夢見がち
告文ガブリエル …… ひょうひょうとした大学院生
流華(幼少時)
流華の母
少年の声
蒼穹ステラ ……………… 矢作紗友里
流華リラ ………………… 早見沙織
鏡美ティラ ……………… 伊瀬茉莉也
花音サシャ ……………… 佐倉綾音
少年(ミルグム?) …… 代永翼
流華の母 ………………… 羽飼まり
告文ガブリエル ………… 間島淳司
流華の夢少年の歌声。ミルグムのテーマがかすかに聞こえている。
ステラ — ナレーション —
「永い、永い時間をかけて人類は、どうやら世界は完璧ではないことに気がついた。」
地響き、暴風、雷鳴などの轟音。
告文 「ご覧、ミルグムが喜んでる。」
ステラ 「でも …だとしたら私たちは、この不確かな世界の中で、
どうやって自分の存在を、立ち位置を、確認したらいいのだろう …。」
告文 「君たちの物語をお気に召したようだね。」
流華 「やめて …」
ステラ 「空をみても …ふ(寂しげに息をつき)、星が見えないから、だめね。」
轟音と歌声は続く。空中を飛んでいるような風鳴り。
ステラ 「あぁ … (眠りにつく瞬間のような曖なため息)
私の髪 … 私の腕 … 指先 … 翻るスカートも、白いソックスも、
つやつや光る黒いローファーも、すべてが私を物語るものだったはずなのに、
今となっては、どれも、なんだか白々しく感じてしまう。
私たちは、どこから来て、今どこにいて、どこへ行くのだろう、
なんて(少し茶化して)。」
流華 「ステラ!」
ステラ 「誰かが私の名前を呼んでる …。名前も私を物語る大切なもの。
でも、薄れゆく意識の中で、それすらも、もう、どうでもいいことだわ …。」
流華 「ステラっ!」
告文 「(さえぎって)しっ静かに。」
流華 「でもっ」
告文 「みてご覧、なんて美しい …。暁の光だ。」
流華 「(ぎゅっと目をつぶってかたくなに)いやです …。」
告文 「ほら、しっかりと目を開けて。」
流華 「(ふりはらって)いやぁ!」
告文 「目を開けて。これは君にとっても夜明けなんだ。」
流華 「こんなことなら私 … ずっと夜のままでいい …。」
告文 「目を覚ますんだ!」
流華 「(力なく)いやぁ …」
告文 「ほら、生まれる …。」
流華 「(ハッとして)だめっ!」
告文 「世界の暁だ …。」
流華 「だめ! ステラの身体を返して! ステラぁぁぁぁぁ!」
流華の叫びをかき消すように轟音。とともに、椅子がガタン、と倒れる音。
流華 「えっ。」
クラスメイトたちのクスクス笑う声。
老教師 「琉華リラ君?」
流華 「あの …あ …ステラは …。」
ステラ 「(ぎょっとして)え、なに?」
クラスメイトの笑い声。
流華 「すみません …寝てました …」
就業のチャイムが鳴り響く。
ステラ — ナレーション —
「私たちは自分が何者か知りたくてもがく。この不確かな世界で。
クアッド・クロス第一話。
『暁の瞼』」
この電子データは紙製本版の部分掲載サンプルです。
表紙・目次・著者・出演者・本編4ページ(見開き2ページ)・あとがき・奥付、
等のみの掲載となっています。
紙製本版の全体内容は、本を発注される前に、
BCCKSの「プリントデータプレビュー」でご確認できます。
小関 章 ラファエル
以前、『The Dark Knight』にスッカリ惚れ込んだ時に、修行も兼ねて、フィルムから台詞やタイムコード、時に絵コンテも加えたりして、脚本を抽出したことがあった。当時、それを、プロデューサーのジョージ(和田丈嗣君)に見せたりして、新しい企画を話し合っていた時期があった。その後、米国のAmazonのサイトを閲覧していたら、『The Dark Knight』の脚本がピカピカのハードカバーで売られているのを発見。直ぐに取り寄せると、オフィシャルの脚本が詳細に掲載されていた(前から『Star Wars』のスクリーンプレー〈脚本〉も読んでいたが、そこまで詳しくはなかった)。「次の版が刷られるか分からないな…」と思い、もう一冊発注して、それをジョージに贈呈した(予想通り、当時の版は直ぐに市場から消えた)。打ち合わせで手渡すと、ジョージは「今夜、早速、読みながら観ます」と言った。因みに、僕のフィルムから抽出した脚本が、かなりオフィシャルに迫ってることも確認できた。
なぜ、『Quad Cross』の脚本を出版しようと思ったかと言うと、そんなエピソードの最中に「良い作品の命は原作や脚本にある」と、当たり前の事を、再度、強く意識した経験に理由がある。今、文庫で読めるシェイクスピアも舞台の脚本だ。時を遙か遡って、プラトンの対話編も脚本と同じ構成になっている。
この「対話」が、僕らの『Quad Cross』の魂になっている。若干、マイナーなメディアのドラマCDシリーズから始まっている『Quad Cross』では、今のところ、tanuさんの描くイメージの他には、アニメやマンガと比べて視覚情報が少ない。そこで、ジョージと僕が企てたのは「声優陣の真骨頂である声による演技を対話によって存分に引きだそう」と言うことだった。本編約五〇分は小気味良いテンポの対話で占められている。あなたが、主役の四人娘の声優陣のファンであったなら、こんなに長く彼女たちの演技を聴き続けられる贅沢な機会は、なかなか無いはずだ。そして、その濃密な対話劇の脚本は、読み物としても十分に耐える構成まで、脚本の高羽さんと僕の間の幾度もの原稿のやり取りで鍛えられた。
実は、ジョージ曰く「このやり取りを見ているのが一番おもしろい」とのことだ。残念ながらこの行程の全体を共有できるのは、ジョージと原作監修の五味さん。一部、tanuさんに限られる。だから本書は「Quad Cross 開発チーム 著」となっている。このおもしろいプロセスは、いつか紹介したいが、複雑な重奏構造で作曲された音楽のようで(昔の脚本、例えば、シェイクスピアなどの変遷過程を博士研究のテーマにしている友人もいるけれど)文字による媒体に定着させるのは、なかなか困難だと思う。だから、今回の判断としては、音響監督や声優陣に配布されるのと同じ、決定稿で区切り、みなさんにお届けすることにした。是非、この出版された脚本を片手に、CD本編の再発見など、再三存分に楽しんでほしい。
なお、この決定稿に音響監督の小泉さんがサウンド・エフェクトの指示を書き入れ、収録までに、脚本はもう一段階リビジョン(細かい変更を表す改訂番号)が上がる。その段階で決定稿にある効果音などの「ト書き」が変更になっている箇所があるが、決定稿を底本として、本書では加筆・削除はしていない。しかし、台詞の細かな変更などは、できるだけ改訂してある。
Enjoy, Please.
2013年 5月 5日
この電子データは紙製本版の部分掲載サンプルです。
表紙・目次・著者・出演者・本編4ページ(見開き2ページ)・あとがき・奥付、
等のみの掲載となっています。
紙製本版の全体内容は、本を発注される前に、
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Quad Cross 公式サイト
http://quadcross.jp
2013 年6月20日 発行 第1版
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