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テレビ、ラジオ、Twitter、ニコニコ生放送、Ustream……。マスメディアからソーシャルメディアまで、新旧両メディアで縦横無尽に活動するジャーナリスト/メディア・アクティビストの津田大介が、日々の取材活動を通じて見えてきた「現実の問題点」や、激変する「メディアの現場」を多角的な視点でレポートします。津田大介が現在構想している「政策にフォーカスした新しい政治ネットメディア」の制作過程なども随時、お伝えしていく予定です。


※このメールマガジンの発行予定日は第1~第4金曜日です。
BCCKS版は1号からお買い求め頂けますが、メルマガ発行日より1週間遅れての発行となります。

津田大介の
「メディアの現場」
vol.86
2013.7.19

津田大介

BccksPublish




  この本はタチヨミ版です。

 目 次

   Don't lose your temper

 1 今週のニュースピックアップ

♣「ポリタス」は政治に何をプラスする?
  ──政治家データベースサイトオープン!

 2 メディア/イベントプレイバック《part.1》

♣医療が変われば社会が変わる?
  ──作家・海堂尊が提言する「死因不明社会との決別」

 3 メディア/イベントプレイバック《part.2》

♣政治の怠慢を訴えよ!
  ──原告代理人が語る「1票の格差」の本質

 4 今週の原発情報クリッピング

 5 津田大介のデジタル日記

 6 140字で答えるQ&A

 7 渡辺文重の「週刊有料メルマガレビュー」《第33回》

 8 岡ぱみゅの「がんばれ! 紙メディア!」《第13回》

 9 メディア・イベント出演、掲載予定

 10 プレゼントコーナー

 11 ネオローグユニオン


Don't lose your temper

みなさんこんにちは。津田大介です。バモラ! 

ようやく、構想から4年、着手から2年、実作業から1年というタイムスパンで始まった「政治メディア」のプロジェクトが1つかたちになりました。「ポリタス」http://politas.jp/ が無事オープンしたのです! 

実は、このメルマガの創刊準備号(vol.0)の巻頭言で、この政治メディアに賭ける思いが語られているんですね。まずは、改めて皆様にそれをお読みいただければ。

ここ1年ほど「津田くん、有料メルマガやればいいじゃん」って話をされることが多くなりました。ソーシャルメディアが普及したことで、90年代後半から存在した「有料メルマガ」というオールドなビジネスモデルが個人のマネタイズ手段として新たに再定義され、多くのジャーナリストがこぞって有料メルマガビジネスに参入している状況を受けてのことでしょう。

有料メルマガに興味がなかったわけではないですし、いくつかそういうお話もいただいていたのですが、ただでさえ筆の遅い僕のことですから、「まぁ普通に毎週メルマガ出すとかムリムリ」と思って放置しておりました。

最近は原稿書き以外の仕事が増え、マスメディアやニコニコ生放送などへの出演がメインの仕事になってきました。そんな中、昨年末ぐらいからぼんやりと考えていたのは、「政治──特に政策にフォーカスしたネットメディア作りたいな」ということだったんですね。

とにかく新聞やテレビの政局報道がクソつまらない。細かい政策のアジェンダや、政策を実施した際のシミュレーションなど、もっとこっちが知りたい話を報道してほしい。日本にそういうメディアがゼロとは言いませんが、少なくともネットにはなかなかないなぁと。

ポップカルチャーニュースサイトの「ナタリー」を作った時もそうだったんですけど、僕の場合「世の中にそういうメディアがないんだったら作るか!」的な発想になるんですね。なので、実際に作るコンセプトとかを昨年末くらいからちょっとずつ考え始めたんです(原稿書きから現実逃避するためにという説もありますが……)。

その時はまだ僕ものほほんとしてまして、「『Huffington Post』の日本版っぽいものプロデュースします。なんせあのメディアはAOLに200億円で買収されたんですよ!」的な適当なことを投資家に言えば、それなりに金も集まって面白いことできるかな……くらいに思ってたわけですね。

で、本格的に作る準備始めようかなと思っていた矢先、東日本大震災が起きました。大震災が起きた直後の自分の感情の揺れ動きや、情報発信のスタンス、ソーシャルメディアの可能性などについては、いろいろなメディアで書いたり語ったりしているのでそちらをチェックしていただくとして、東北地方に何度も取材に行って行政や現地の人の話を聞いている中で、「政治メディア作らなきゃな」という思いが、改めて違う形で大きくなっていきました。

そんな矢先にJ-WAVEさんから「『JAM THE WORLD』の火曜日ナビゲーターをやらないか」という話をいただき、7月からナビゲーターに就任することになりました。「ニュース番組」を毎週持つというのは自分の中でも相当貴重な経験で、毎週ヒーヒー言いながらニュースと向き合ってます。

時事ニュースと日々向き合うようになって僕が感じたのは「ネットならではの新しい方法論で、自分のコンセプトが100%生きる形のメディアを作りたい」ということでした。

だとすれば、人からお金を出資してもらってメディアを作るのは厳しいなと。「金は出すけど口は出さない」なんてスポンサーは、現実問題としてなかなかいないですから。

実はこの間、芸能事務所的なところやマネージメントオフィスから「津田くんマネージメントするよ」というお話もいただいていたんです。実際、目の前の仕事に忙殺され、日々のスケジュール管理もままならなくなっている状況でしたから。でもやっぱり自分は、自分の金で、好きなように、好きなタイミングで、好きなことをやりたいなと。結局マネージャーも自前で雇って、自分で金を稼ぎ、それを原資に新しいメディアを作るという方針……というか「覚悟」を6月くらいに固めました。

とはいえ、メディア作るとなると、人雇って記事作ってという部分に大きなコストがかかります。実際、ある程度毎月の運営費がそれなりの金額で入ってこないと、メディアとして継続するのは厳しい。毎月固定の運営費を継続的に払えるようにするには、固定の収入源を確保する必要がある。だとしたら、現時点でそれを実現する方法は有料メルマガしかないな、と。

ということで、このメルマガは基本僕が新しく作る政治メディアの原資を稼ぐための手段という位置づけになります。でも、それだけでは面白くないので、その政治メディアを作っていく過程も随時レポートしていこうと思ってます。



  タチヨミ版はここまでとなります。


津田大介の「メディアの現場」vol.86

2013年7月26日 発行 初版

著  者:津田大介
発  行:BccksPublish

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bcck: http://bccks.jp/bcck/00115917/info
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津田大介(つだ・だいすけ)

ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。1973年生まれ。東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース非常勤講師。一般社団法人インターネットユーザー協会代表理事。J-WAVE『JAM THE WORLD』火曜日ナビゲーター。IT・ネットサービスやネットカルチャー、ネットジャーナリズム、著作権問題、コンテンツビジネス論などを専門分野に執筆活動を行う。ネットニュースメディア「ナタリー」の設立・運営にも携わる。主な著書に『Twitter社会論』(洋泉社)、『未来型サバイバル音楽論』(中央公論新社)など。

PHOTO by OKOZYO

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