
dOPPO 『ハーフデッド(反復)』について
購入方法について
T.V.not january 本島 航による『ハーフデッド(反復)』全曲解説!
過去メンバー、サポートメンバー、レーベルオーナーによるコメント
・山口 将司 (bed)
・村山 征希 (bed)
・野々下 恵介 (the drippers)
・蛯名 啓太 (5B records / Discharming man)
・中川 裕二 (do little)
・五味 秀明 (THE ACT WE ACT)
・山内 幸次郎 (Climb The Mind)
作品曲目
01. ハーフデッド01
02. みえるみえない
03. お店でおいてない
04. 虫
05. ごはん
06. ハーフデッド02
07. メリヤス
08. 転がる
09. 空の色
10. ハーフデッド03
11. おわかれ
発売日:2013年8月28日
レーベル:IS COLLAGE COLLECTIVE
価格:1,890円 (税込)
JAN:4571247800204
品番:ICCL-020
演奏とアレンジ:chinese magician
録音:2010 & 2013
録音:小野寺 恭志、宮 一敬 (ハナマウイ)、chinese magician (橋本 和樹、辻本 まりこ、五味 秀明、中川 裕二)
ミックス:RyuheyXXX、橋本 和樹
マスタリング:中村 宗一郎 (PEACE MUSIC)
切り絵:橋本 和樹
刺繍:横田川 咲
デザイン:井上 貴裕 (BARIDELA)
試聴と映像
・dOPPO / 反復 (Half Dead) Trailer HD - YouTube
・メリヤス - IS COLLAGE COLLECTIVE Sound Cloud
通販:dOPPOオフィシャル通販 / disk union / Amazon
僕はただのdOPPOのファンを長い間続けている。今回、遂にdOPPOがフルアルバムを出すと聞いて嬉しくなってファン代表として文章を書かせてもらっている!
僕が初めてdOPPOを聴いたのは美輪明宏の唄が入っているデモを自分の田舎町で聴いたときだ!
それを聴いたときにありえない! かっけーと思った!
当時の楽曲はDCの匂いと日本っぽさの両方を兼ね備えていて、しかもなんだか切ない。これはたまらなかった!
その後、名曲が詰まった『Zman hoover』に今は無き、新宿ALL MANで出会った。この音源の帯にはestrella 20/20、idea of a jokeのモリカワ氏のコメントが載っていて、当時レスザンの子供達であった僕にはたまらない状況であった。即購入を決めて、家に帰って聴いた。当時は大学生でお金も無くて、どうしようもなくレコ屋でも値段の安いdemoコーナーを漁る日々。
当時は赤い疑惑、WEARE!などスリーピースで、レスザンのバンドに影響を受けたであろうバンドが多く共演していたかのように思う。赤い疑惑やWEARE!はもちろんかっこいいのだけど、dOPPOにはまた違うようなモノを感じていた。独自性というか、光るモノというか確かなモノは分からないけど、言葉では表せない良さがあった! 音で言えば、fOUL直系なのはWEARE!なのだが、怪しさが半端でなかった。Zmanの音源は歌詞カードが付いて居ない。そこが気になる! 何を唄っておるのだろう? 歌詞を教えて欲しかった。しかも、ベース、ドラム、ギター、歌、どれを取っても異臭を放っていた。全部教えて欲しかった。
"リントンピンシャントンピンポン"の意味を教えて欲しかった! そして、コロポックルなるオマケもついていて、遊び心が溢れておった!
しかも、ライブがとてもかっこよかった! ぽん。
何を隠そう、T.V.not januaryを結成する前にdOPPOのコピーを4人でパートを入れ替えてやっていたのだ!
そう思うとT.V.の曲はdOPPOに影響を受けているのかもしれない! くぅ!
そろそろ今回のアルバム『ハーフデッド(反復)』について触れていこう!
この作品は、時間軸で言うと遠雷より前に録音された曲も収録されているらしい。
詳しいことは僕はわからないのだけど、2009、2010年頃にアルバムを録音する、したとかそんな感じの話を聞いた。そのとき遂にアルバムを聴けるんだ! と興奮したのを覚えている。だけど、ボツになるかもしれないというのも聞いていた。でもそんなことは今思えば特に聞く側の僕には関係ないなぁと思った。
なぜなら、今回のアルバムはdOPPOの魅力がたっぷり詰まっているからだ!
少し暗い内容だって本人達は言うけれど、ゆったりした曲が多いだけだと思う。
全体的で言えば決してテンション高めでは無いと思うけど、M5「ごはん」でシンガロングができる!
それだけでも明るいと思う! もっと暗い内容なんて、他にいくらでもある気がする。
そして、1曲1曲の音数が増えているのが特徴的でもあると思う。
木琴やピアノやギターやコーラスの被せなんかも、今までの音源とは違って多く収録されている。
もっとも、僕がdOPPOの音源に関して特筆しておきたいのは、音質が音源ごとに違うことであろうか。
Zmanはいい感じにスカスカというか焦げ臭い音質で、毒蛇は良い音で表現されており、遠雷はモノラルだ!
ハーフデッドはその中間をいっていて、良い所取りしたような音質でとってもかっこいい!
ファンを唸らせる作品になっている!
音がめちゃくちゃにいい!!
もちろん、このハーフデッドからdOPPOを聴く人も、すぐにこの魅力に溶け込んでしまうと思う!
しかもまりこさんがボーカルをしている曲がM2「みえるみえない」、M8「転がる」と入っていて、"食欲もなくなるコラール"のファンも大喜びできる。
長尺曲のM9「空の色」もあったり、打ち込みっぽさや"いらないもち"を感じさせるM4「虫」、「おまえにはわからない~♪」のデモ時代からZmanまでのいたずら心を感じるM3「お店でおいていない」、M11「おわかれ」は、遠雷に収録されている同曲よりも違うアレンジになっていて憎い! 聴けば聴く程いろんな発見がある! 全ての曲のタイトルが的確に曲を表現していておもしろい! ぽ!
こういうところがフルアルバムの良さだと思う! しかも歌詞もしっかりとついてくる! 横田川咲さんの刺繍デザイン付きで!
dOPPOの音源のジャケットは自分たちでデザインされていて、思わず額に入れたくなる程の切り絵が目を引く!
そう思えば、dOPPOは自分達の音やデザインとか自分たちで生み出していて、センスが溢れていると思う。
今の時代希少なのか? わからないけどすごいと思う。
京都の若手のバンドに聞くところによると、最近ではdOPPOは少し恐れられているらしい。それは人柄が怖いとかじゃなくて「すごい人なんだ! この人達は」って思われておるらしい。それはdOPPOがもう中堅のバンドになったことを意味すると思う!
年齢的にも30代になっておるし! 暦も長い! でも人柄はすごいやさしいと思う! T.V.の横田川夫妻との刺繍や編み物についての話に花を咲かせておる姿はまるで、やさしいおじいさんおばあさんだ! 全然fastじゃないよ! だから若い人は、みんなで編み物やパンや映画を中心に話しかけてみよう!
今回のこのアルバムから"chinese magician"という名義で活動をしていくということをあらわにしている! ライブをするメンバーはそのときによって変わるみたいだけど、『ハーフデッド(反復)』は次の新音源をも楽しみにさせてくれる内容になっている!
ライブをしないだけで、埋もれたとか、どうしてるの? とかって、バンドはすぐに忘れられがちだけど、ライブをしまくるバンドも、あんまりしないバンドもいる。少しライブをしないだけでバンドを病人扱いしないでね! 大丈夫! やってる人は勝手きわまりなくやってますから!
ハーフデッドがたくさんの人の耳や目の中に入り、愛されますように!
今日の晩ごはんは何にしようかな。
本島 航 (T.V.not january)
2013年6月、dOPPOの橋本君から『ハーフデッド(反復)』の話を聞いた。その後、作品のレビューもしくはインタビューをやって欲しいと相談を受け、当初は僕が運営するサイト「sweet music」で掲載しようと考えていたのだが、この際、dOPPOのことを色々とまとめてみようと考え、電子書籍にしてみたい気持ちになった。アナログ感が強いと思っていたdOPPOのメンバーからすると「電子書籍はちょっと…」と言われるだろうと不安もあったが、特に反対されることもなく、こうして電子書籍でリリースする運びとなった。
dOPPOが電子書籍にまとまるというのが逆に面白いし、作ることに関しての制約もあまり考えなくてよかったため、様々なコンテンツを用意することができたと思う。今後、ページが増えるかもしれないので、目次をこまめにチェックして頂ければ幸いである。
さて、『ハーフデッド(反復)』のインタビューは2013年7月23日、京都河原町丸太町のエスプレッソの美味しいカフェ「アイタルガボン」にて行われた。気がつけばおよそ2時間、あれこれと語ってもらって、文字起こしをしたところ何と1万字インタビューになっていた。おそらく、dOPPOへのロングインタビューは本誌のみになるだろう。アルバムのこと、名古屋に移ったときのこと、バンド結成時のこと…。dOPPOをより理解するため、作品をより深く聞くための手助けになれば、と考えている。
インタビュー担当:山田 慎 (sweet music)
・本日はよろしくお願いします。最初に『ハーフデッド(反復)』リリース経緯について教えて下さい。
橋本和樹(以下、橋本):『遠雷』は2011年リリースやから、2010年の話になるかな。ベースはごーみん(以下、五味。五味秀明、THE ACT WE ACTのVo.担当。当時はdOPPOにも在籍)、ギターはDo Littleっていうバンドやってた中川君(中川裕二)とで一緒にdOPPOやれたらみたいな話をしていて。
その頃は同じようなメンバーで「chinese magician」や、まりこ(辻本まりこ、dOPPOのDrほか)とshanti shanti shantiのちかやさんが歌っていた「食欲もなくなるコラール」っていう名前で一緒にスタジオで練習したりとかもしたんやけど。色々と並行していたから、バンド名と曲と編成が複雑になってしまって。「とりあえず橋本、辻本、五味、中川で僕の曲とまりこのソロ、中川君のソロの曲を形にして出したいね」っていう話をしてね。
『ハーフデッド(反復)』の曲構成はまりこと中川君の曲が各2曲、僕が3、4曲あって。ホンマは五味の曲がもう1曲あったんやけど、それはTHE ACT WE ACTの曲でね。「フィクションは警告する」(『いってきます』収録)っていうTHE ACT WE ACTの曲をdOPPOがカヴァーという形で録音はしていたんやけど出せなかった。当時はTHE ACT WE ACTが音源を出す前やったからね。このカヴァーはどっかのタイミングでネットにアップするかも(『ハーフデッド(反復)』買ってくれた人にMP3で送ります!)。
・作品のリリース先は決めていたのかな?
橋本:明確ではないんやけど、IS COLLAGE COLLECTIVEのかおりちゃんから事前に「アルバムを出したいね」っていう話はされていて。それで録音しようという形になった。『毒ヘビはいそがない』のときと同じで、元Discharming manの小野寺さんにお願いして、僕がハードオフで買ってきたカセットのMTRで録音した。たしか徹夜で録音して、眠すぎて休憩は当時スタジオの上に住んでた奥山君(The Lionsのドラマー)の家のこたつで眠ったけど、ミックス段階で1回目のデッド(死)が来てね。それが2010年のことで。ミックスの時に皆がどうしても納得いかない形になってしまって投げ出した(笑)。
それから自分らでも録ってみようってなって、中川君の家でカセットMTRを使って録音した。断片的ではあるけど、『ハーフデッド(反復)』に3曲入っています。結局、宅録した音源も、「当時はこういう音質だけではリリースできないな」と思って、2度目の埋葬をすることになった(笑)。これも2010年のことね。アルバムの「ハーフデッド」って曲名が付いているものはこのときの音源やね。宅録っぽい音になっているでしょ。なので今回の音源はメインのボーカルトラック以外は基本ハイポジのカセットテープで録音した。
そのあとに、一番最初にバンド形式で小野寺さんとスタジオ録音したものを、マイクピストンズのRyuheyXXX君にミックスしてもらおうと渡したまま、ちょっとほったらかしの状態で『遠雷』の制作に取り掛かった。『遠雷』をリリースして、下北沢で一度だけライブもやってから、dOPPOの活動は止まってしまった。
最近になって過去に作ったものを聞いてみたら、やっぱりそれを出しておかないと前に進めへん感じがして。まりこもイタリアにいたし、五味はdOPPOをもう辞めていたし、自分一人で取り組もうと決めた。RyuheyXXX君と一緒にミックスして、切り絵やアートワークもやることになった。それから改めてかおりちゃんに「出してもいい?」って聞いたら、OKが出てようやくリリースが決まったという流れです。
一番最初のときにバンド形式で録ったものはM2「みえるみえない」、M3「お店でおいてない」、M4「虫」、M5「ごはん」、M7「メリヤス」、M8「転がる」、M9「空の色」、M11「おわかれ」。さっきも話したけど曲名に「ハーフデッド」が付くものが宅録したもので、それを僕が短く編集した。ちなみに「メリヤス」は録音のときに音合わせしていて、その場でできた曲ね。
・これは新作と捉えていいの? それとも旧作?
橋本:これをまったくの新作と捉えるのはよくないな~。新しく見つけた化石みたいな、新作やけど旧作みたいな。。。
歌は僕一人で最近録り直したけど、トラックは2010年やからなあ。ちなみに歌は西院のスタジオハナマウイで。ハナマウイの宮さん(ex.YOGURT-pooh)がジェントルな対応で嬉しかったです。まりこの歌はイタリアのフィレンツェで僕が録音しました。
辻本:フィレンツェのドゥオモ(サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂)を見ながらワインを飲んで録音したのは最高やったね。
・イタリアで録音ってのがいいですね。ちなみに『ハーフデッド(反復)』の意味とは?
橋本:ハーフデッドって、そのまま「半死半生」とかって意味と、「ぐったりした」っていう意味があって。「もうしんどい」みたいなときに「ハーフデッド」という表現を、ある映画が使っていて、なんとなくそのときの「もう、いやっ」っていうみんなの気持ちとピッタリで。この音源は、何度も死にかけたのには蘇った。何度、埋葬しても這い出てくる。キョンシーとかゾンビみたいな。「ハーフデッド」「反復」以上にぴったりなタイトルはないよね。それに僕の曲は構成が少なくて反復するし、「転がる」と「メリヤス」以外はほとんど展開がない。

・いいタイトルだね! 橋本君とのメールのやりとりでアルバムを「暗い」と書いていたのが気になったけど、過去から現在の音の変化を聞きたいなあ。
橋本:曲は以前にも増して暗い感じがあるな。『毒ヘビはいそがない』のときまでは自分が好きだった音楽、例えばeastern youth、fOUL、KIWIROLLあるいはDISCHORDとかK recordsとか、いわゆるUSインディーからの系譜の音楽を演奏しているという感覚があって。
・ああ、それ分かります。当時はDISCORDやエモーショナルなハードコア、パンクのシーンにdOPPOがいた様に思う。
橋本:自分らも意識的にも無意識的にもそこに居ようとした。実はその中で「独自性」を出そうとしていたんやけど。その独自性とはジャンルとしてのいわゆる「emoっぽく」しいひんというか。激情系とかにもあるような「emoっぽさ」ってあるやん? そういうのはやろうとしてもできないし、自分の好きな要素ではない。もう少し「うさんくさい感じ」とか「いなたい感じ」。SST Records(HUSKER DU、MINUTEMEN、BAD BRAINS、DESCENDENTS、BLACK FLAGらがリリース)とかの変なバンドにしたかったのかなあ。DISCHORDのThe Make-Upとかね。あとはやっぱり90年代のLess Than TV。『SANTA V.A. (Less Than TV / ch-20)』とか相当影響受けました。
・『毒ヘビはいそがない』をリリースした2007年7月辺りから変化したってことになるのかな?
橋本:村山君がいたときはセッションで曲を一気に作っていったんだけど、彼が脱退して五味が加入後に曲の作り方が変わっていって。僕が断片的に曲を作って、それからみんなに聞いてもらってからスタジオで作っていくような形になった。「自分の中から出てくる音楽」っていうのかな。そんなものは無いんかもしれへんけど、それまではセッションで曲を作っていたのもあってバンドサウンドありきで、アレンジも何もない感じで、感覚的に自動的に出していた音を、落ち着いて意識的に考えて出すことにした。
それは取捨選択して曲を作るという意味かなあ。メンバーにもそれを求めた。歌とメロディがあって、伴奏とアレンジはリセットして考えるようになったのも大きいかな。だから変なアレンジとかは減ってソリッドさは無くなって、曲もシンプルになっていったのかも。
そのあと『遠雷』のときには、さらに立ち返ってハイロウズとかシンプルなロックバンドをやりたくって、最もシンプルになったと思ってるよ。
・「虫」では打ち込みを使っているけどバンド色にこだわりがなくなった?
橋本:それも同様で、今までだったら「ドラムを叩いて」とか考えなって感じやったけど、別にドラムを入れなくてもいいかなと思ってきた。その曲にそのアレンジが面白い、ということであればね。
・「ごはん」の様な柔らかい歌モノはよく作るのかな? 歌い方に変化は出てきた?
橋本:「ごはん」「虫」は中川君の曲なんやけど、彼が持っているシンガー・ソングライター的な曲調が出たんやと思う。それをバンドに置き換えて、中川君のちょっとダウナーな特徴を損なわないようにした。『遠雷』もそうなんやけど、むちゃくちゃな声で歌わないように意識しています。
・歌い方もそうだけど、歌詞についても変化は出てきている?
橋本:歌詞に関しても、できるだけマイナス的な表現は減らしているつもり。思うままに出すと、全体的にマイナスな曲調になっていきかねないところがあって。ホンマは超ハッピーな曲が歌いたい気持ちがある(笑)。
辻本:西野カナみたいな?
橋本:西野カナというよりもサッカーをやってたナオト・インティライミみたいな(笑)。それは冗談としてね。陰気な感じにしないってこと。根暗やから、マイナス表現の歌詞が出てくると思っていて、それを抑制しているところはあるね。
・マイナス表現をセーブしているけど、アルバムは「暗い」んだよね(笑)。では具体的に言うと、どの辺がそう感じるの?
橋本:長い曲が多いから。アルバムを通しで聞いて暗い印象は受けなかった?
・暗いって言うより、落ち着いているっていう印象があるかなあ…。
橋本:あぁ……「空の色」が暗い(笑)。
辻本:この曲は11分もあるから。
橋本:あれはそういう曲というか。ハードコアの重たくて長い曲がアルバムに入っていたりするのがやりたくって。全然違う風になったけど…(笑)。歌に入るまで5分くらいある。
辻本:でも、ライブでやったことはある。
橋本:冒頭は割愛したけどなあ。暗い…うーん。
辻本:私は『ハーフデッド(反復)』を暗いとは思ってないなあ。
橋本:キャッチーな曲少ない。
辻本:みんなが期待しているものはない。
橋本:そうそうそう。「三度寝を許して」みたいな曲はないなあ。
・"みんな"っていうのは「こういう曲やってよ!」とか具体的なリクエストがあったわけ?
橋本:リクエストはないけど、僕らが勝手にそう思っている。昔から聞いてくれている人は、性急なビートのストレートな曲とか、バンド・サウンドも好きっていうのは僕も分かるし。それは今回はたまたま入っていないだけで、これからもやりたいっていう気持ちもある。「三度寝を許して」も遅くしてアレンジできたけど、ストレートな「ロックナンバー」にしたくってああいうアレンジにした。ライブ映えするのは「三度寝を許して」とか「ドンクライ」っていうのも分かる。
辻本:ごめんねって感じ。
・(笑)
橋本:もし僕がdOPPOのライブを見に行って、遅い曲ばっかりやられたら、速い曲もやれよって思うし。例えばfOULが「留守」(『アシスタント』収録)みたいな曲ばっかりやったら…。
辻本:疲れる。
橋本:「escape」(『foul ball for foul men』収録)とか、速い曲を聞きたいってなるよね!

・それは同意見かも。「みえるみえない」とかはライブで何回かやっているけど、他はどんな編成でやるの?
橋本:それはそのとき次第やんな?
辻本:やりま…せん。
橋本:いやいやいや(苦笑)。「みえるみえない」は今度のライブで早速やるやん。
辻本:そのときにいるメンバーによる。
橋本:うん。そしてアレンジはそのとき次第で全力を尽くす。
・ということは、ライブは一人でもできるってこと?
辻本:一人でも二人でもオーケストラとかでもできる。
橋本:チェロとか弾けるんやったら立候補してほしい。
・立候補してほしい?!
橋本:うん。「今、私くすぶってんねん! dOPPOでチェロが弾けるんやけど!!」って人がいたらぜひ立候補してほしい。
辻本:吹奏楽やっている人で「ロックやりたい」って思っている人はいっぱいいると思う。
橋本:dOPPOのライブ見に来ているけど「トロンボーンが眠ってて」みたいな人ね。ジャック・ニッチェみたいなことがやりたいんで。結局、全然ジャック・ニッチェじゃなくなるけど…(笑)。
・ライブは場所を選ばずにどこでもできるんだね!
橋本:chinese magicianはそういう感じにしたくて。dOPPOがライブをできない状態だからね。出演依頼が来ても断っていたから。
・ずっと気になっていたんだけど「chinese magician」について教えてください。
橋本:大分に昔、人が住んでいた「滝尾百穴」という穴があって、そこからメンバーが這い上がってくるというコンセプト(笑)。今回の演奏とアレンジのクレジットにもなっているんやけど、僕とまりこが自分らの曲を演奏するためのユニットみたいな感じで。まぐれ的にdOPPOの編成になる場合もある。多様性がある感じやな。
この前の感染ライブでも山口君にドラムを叩いてもらったんやけど、ベースは村山君に事前にお願いして、山口君は当日ライブ中に「叩けるやんな?」って聞いたらOKだったから一緒にやった(笑)。あとその時はodd eyesのメンバーに「her microphine」一緒に演奏してもらったり。
無責任な感じかもしれんけど、好きにできるっていう。しばらくはchinese magicianでライブをやっていって、音源はdOPPOで出し続けるという感じにしたい。でもみんなの顔色を伺ってdOPPOでライブをやるかも(笑)。

・なるほどね。それでは『遠雷』にも収録されている「おわかれ」について聞きます。この曲は3バージョンが存在するね。
辻本:その話は聞きたーい。
橋本:『遠雷』の「おわかれ」は、「おわかれ」「三度寝を許して」「遠雷」の3曲で7inchを出す予定で。『遠雷』を作る前くらいに、自分はdOPPOを辞めるって考えていて、最後のけじめの曲じゃないけど、dOPPOのバンド編成自体への「おわかれ」っていうか。実際に歌っている歌詞の意味は違うんやけどね。
ハイロウズの1stの1曲目が「グッドバイ」ていう曲で、それと同じで自分の中で『遠雷』の冒頭に、何かへの「おわかれ」っていう感じを持っている。「おわかれ」を『遠雷』の核として捉えている。
キーボードの山内さんと4人で録音したのが2011年。明確じゃないけどギターはサビの部分だけしか使っていない。ギターサウンドを意図的に省いている。『遠雷』自体、そういう方向で作った。
・確かにギターの音は少なくなったよね。次に『Z man +5』の「おわかれ」について教えてください。
橋本:デモ集『Z man +5』に入っている「おわかれ」は、『遠雷』を録音したあとにchinese magician名義で、まりことアコースティック・ギターと歌だけで宅録した。『Z man +5』に入れた理由は、全部の曲が昔の曲なんだけど、『遠雷』とセットにするには、時世があまりにもなさすぎて。だから、時世のつながりを付けたくて、ボーナストラックとして「おわかれ」のアコースティック・バージョンを入れたというわけ。最初は「デモ +1」って書いてなくて、実は「デモ -1」って書いていた(笑)。
・アコースティック・バージョンは好きだなあ。続いて『ハーフデッド(反復)』の「おわかれ」について教えてください。
橋本:『ハーフデッド(反復)』に入っている「おわかれ」は、『遠雷』を録音する前の2010年録っているもので、中川君とツインギターで録音した。今回は入れるのを迷ったんだけど、やっぱり時世をつなげたかったから。
・これら以外にも曲を録音したの?
橋本:録音はしていないけど新作はいっぱいあって。音源だけは出し続けようと思っていて。出してくれる人がいれば(笑)。
・今、『遠雷』を振りかってみて、どうでしょう?
橋本:静かな曲が多かったから、どうだろう? と思っていたけど、意外にまわりのみんなには高評価だったと思います。4人編成でもっとやっても面白かったかなと思う。「遠雷」とかは演奏していて本当に幸せやった。だけど続けるにはぼくらの精神力が(笑)。バンドとしての結束力や求心力が続かなかった。あとはさすがに「ライブをしろ」と言われる(笑)。『遠雷』を出したあとはdOPPOでは1回しかライブをしてないから…。

・ありがとう。話は変わるけど、京都を離れて名古屋に行くくらいからのことを教えてください
橋本:名古屋に行ったのは2009年かなあ。五味君が入ったのが2007年で、遠距離でやっているのが大変やったから名古屋に行こうってなった。
・名古屋に行ってからバンドの状況に変化は? 順調になった?
橋本:順調にはなってないなあ。ライブはよくやってたし、山内さん(Climb The Mind)に入ってもらったり、小鳥美術館のギターのまきお君とスタジオに入ったこともあった。音楽的には行き詰っていて試行錯誤してたから、その分充実してたかも。まりこがスタジオ来なくてケイゴ(元THE ACT WE ACTのドラム)に叩いてもらったり(笑)。
・裏7586とかあるし、名古屋の方が音楽的に近いバンドも多いような気もするけど。
橋本:うーん、そこは京都と変わらんかなあ。ただ、山内さんがキーボード弾けたりとかね、京都よりプレーヤーの幅が多かったかな。
・名古屋に行ってよかったことは?
橋本:『遠雷』ができたことかなあ。
辻本:人に会えたこと。TEASIの一平さんとかね。
橋本:かおりちゃんの所からのリリースは前々から決まっていたけど、名古屋だったし、いい出会いは多かった。
・音楽的な影響を名古屋シーンから受けた?
橋本:そこまでないかな。それよりも大人になって成長して音に変化があったのかな。
・京都に戻ったのはいつでしょう?
橋本:二人とも完全に戻ったのは2012年。向こうにいる理由がなくなったからなあ。戻り易いのが京都だったから帰ってきたって感じ。


・ありがとう!よい機会なので dOPPOの過去を探っていきたいと思います。バンドスタート時の話を教えてください。
橋本:2001年とかかな。18歳とか19歳のとき。高校卒業して、山口君(現bed)の家で遊んだりとか村山君の家に泊まって人形劇をやったりとか。
・ん、人形劇??
辻本:ふふふ…(笑)。
橋本:みんなビックリするねんけど(笑)、村山君の実家で人形に指を突っ込んで、しゃべりながらギターを弾いて。即興でね。それを録音して。ミュージカル。ラジオ劇みたいな感じやな。徹夜でやってた。
辻本:「her microphone」もそこから出た。
橋本:山口君と村山君の4人でやったな。僕がBjörkみたいな歌を歌ったりとか、悪ふざけをして録音していた。
・初ライブはいつでしょう?
辻本:山口君が高校の先生に誘われたかで、夏祭りに出演することになって。「人形劇では出られへんぞ」みたいになってバンド編成になった。ギャラ3,000円で、そのお金をすべて屋台で使うことが貢献になるぞ、って話をした。
橋本:そうそう(笑)。で、アコースティックでBjörkみたいな歌を歌ったなあ。高校生のときにバンドはやっていたけど、人前でやったのは初めてだったかな。
辻本:北大路VIVREの前とか山口君の家で録音したのはいつ?
橋本:そのころやんなあ。dOPPOの最初のデモは50枚くらい作ったかなあ。ナンバリングしてね。山口君が小さい頃にプールで泳いでいる写真があって、それはNirvanaの『Never Mind』のジャケットの構図と全く一緒で。その写真をデモのジャケットに使ってね。とりあえず小銭を稼ごうとしてAvis(京都市内のレコード店)だけで委託で売ってもらって(笑)。苦情とかイヤやったから連絡先や素性とか載せなかった(笑)。
そのころの曲で今にもつながる曲、dOPPOのシンデレラっていう曲の原形になった曲「dOPPOのdOPPO」は2004年の『Treat You Good V.A.』っていうコンピに入ってるよ。僕が主催したデモVAでそれにはSCROLL、drippers、diary tree、あと今はmy exでベースやってるツトムと、bedのはるちゃんがトーチタスってバンドをやっていて。トーチタスはDon Caballeroみたいな感じやったね。
・本格的に活動し始めたのはいつ?
橋本:fOULを京都に呼びたいってなったんだけど、僕らはまだバンドでは出られる状態じゃなかったからSCROLLに出演してもらった。次にFOE(會田茂一、小松正宏、佐藤研二)を招致した。で、せっかくだしバンド形態で出演しようということになって。bedの山口君がドラム、村山がベース、まりこはサックスとギター。インストのときは形態を変えたりして演奏した。
そのあと山口君が抜けてから、drippersのドラムをやっていた野々下君が加わったり。野々下君が抜けてから、まりこがドラムやりたいってなって3人で活動をし始めた。それからデモを作って。東京にも行ったね。そのときは赤い疑惑にデモを送りつけて「呼んでくれ」って。そうしたら絶対無いと思っていたのに呼んでくれた(笑)。
辻本:「俺ら絶対呼ばないのに、なぜか呼んだ」って言われた。そのときは気が変わったみたいで(笑)。
橋本:WEARE!も赤い疑惑に誘ってもらっていたんだけど、板垣さんがGreen Dayを観に行くからっていう理由で断られて(笑)。Diegoとかも赤い疑惑が呼んでくれた。そのときにカクバリズムの角張さんに会ったりして。WEARE!の関係でKIWIROLLやDischarming manの蛯名さんが僕らを知ってくれて、蛯名さんのレーベル5B Recordsから『毒ヘビはいそがない』を出すことになった。ざっと話すとこんな流れね。あの頃は頻繁にライブをやってたな。「バンド活動」のピークかも。

・京都の音楽シーンについてだけど活動時と今を比較したら、何か変わったことはある?
橋本:京都全体は知らないけど、最近思うのは、演奏されているサウンドはすごく変化してるってこと。10年経ってみて、当時の上の世代で共感できる音楽と思っていたのがup and comingとかOUTNAUTS。ぼくらみたいな音楽はいわゆる少数派みたいなんだった気がする。
・上への憧れみたいなものがなかったってこと?
橋本:うん、東京のバンドとかに憧れていたな。東京のスタジオライブとか西荻WATTSでやってた「TOXIC PUNK WASTE」とかハードコア・パンクのバンドとかに。
それで誤解を恐れずに言うと、今の京都の感染ライブとかの雰囲気は当時のボロフェスタとかのライブにすごく似ている気がする。客層が若いし、学生も多いし。でも鳴っている音が全然そのときの音と違っていて、どっちかいうとdOPPOに近いような感じかなあ。odd eyesにしても、my exにしても。あと京都から離れるけど名古屋のmilkとか。僕らの世代の音楽に影響を受けたバンドがたくさんいる。
何が言いたいかっていうと、今の岡村とかodd eyesの作ってきた感染ライブとかが、そういう音楽やのに当時のボロフェスタとかに通じる京都のメインストリーム感もちゃんとあるし、偉いなって思う。僕にはそれができなかったから。墓場VAとかで試みたつもりやったけど。。。
・京都の音楽シーンはどうなってほしい?
橋本:うーん、それは僕が言うことじゃないけど、あえて言うなら楽しくやってほしい。僕はライブハウスには居ないと思うので、今ライブハウスにいる人たちが、自分たちが楽しめる環境を作るのが大事かなと思う。

・今後の活動について教えてください。
橋本:新しい音源を出したい。7inchの話もあって、dOPPOのメンバーはボランティアでやってもらうつもり。『ハーフデッド(反復)』のライブはバンド編成でもやりたいけどね。
・趣味としてマイペースにやっていくってこと?
橋本:そこが難しくて、趣味だったらお金を払っている感覚やん? 例えばサッカーや映画を観に行く時ってお金を払っている。音楽は趣味でも仕事でもないかなあと思っている。音楽で食べて行こうとも全く思わないし、そんなおこがましいこと言えるような、まともなものじゃない。僕のは本当にインチキだらけ。音楽は趣味や仕事という概念でない。僕は歌う、皆はそれにお金を払って聞く。ただそれだけがいい。
だからより多くの人に聞いてもらいたいという感覚は、今はなくて、それよりかは目の前にいる人とかに対して、より面白いものが提供出来たり、その人が友達とか彼女にCD貸したりして気に入ってくれればなって思っています。これは僕の最近の人生のメインテーマの、自分が実際にできることを精一杯する、ということと繋がってくるんやけど、それはまたどこか他の機会に。
・ありがとうございました。それでは、最近の音楽以外の活動状況について教えてください。
橋本:切り絵と、冬は編み物。そしてピアノ。曲はぼちぼち作ってるよ。そして映画を観る。充実してるね。『ハーフデッド(反復)』の「メリヤス」って曲は編み物の「メリヤス編み」から来ている。編み物も反復なので、作品のテーマに合ってるね。
辻本:私は革細工。イタリアでは毎日、カバンを作っていた。日本にいるときは音楽を聞かなかったんだけど、イタリアでは作業しているときに音楽を聞いていた。
・何を聞いていたの?
辻本:今まで全然よくなかったYo La Tengoがめっちゃよかった。スネアの音とか。それと堺正章の「涙から明日へ」を山本精一がカバーしているんだけど、めっちゃよかった。それで泣いてた。あとはナイティナインと爆笑問題のポッドキャスト。
橋本:僕も2年連続毎日聞いてる。主にTBSのやつね。去年は人と話すとき、そして仕事以外のときはずっと聞いてるなあ(笑)。
・今日はありがとうございました。最後にみなさんに向けて一言お願いします!
橋本:ライブができない身勝手な状況なのに、関わってくれた小野寺さん、RyuheyXXX君、ハナマウイの宮さん、リリースをしてくれたかおりちゃん、アートワークの井上君と刺繍をしてくれた咲ちゃん(T.V.not january)、そして『ハーフデッド(反復)』を聞いてくれている人には感謝したいです。これからもよろしくお願いします。
・dOPPO - おわかれ on Vimeo
僕が確か20歳のとき、僕の家に来た橋本さんに「PVのアイデアはもうあるんですよ!」と失礼にも酔っぱらって絡んだ時がありまして。
まぁ普通に考えて頭がおかしかったんですが。
どんなものを作っているとか全然見てもらったこともなかったのに。
で、それから(多分)5年経って、「クレイアニメって出来る?」と橋本さんから突然連絡があって。
あまり触ったことのない苦手な粘土かー、と思ったんですが、何となくこのタイミングを逃すと、dOPPOのPVを作れるチャンスが無いのでは? と思ったので、やります、と。
即決しました。
それが作ったきっかけ。
まぁでもちょっとクサいことを書くと、dOPPOのPVを僕が作らないで誰が作るんだ、とは、多分思ってたと思います。
作業について。
あまりアニメーションの作業的な過酷さを書いても寒いかなと思うんですが、ちょうど運悪くというか、さぁこれから撮影だ、というタイミングで真夏に入りまして。
クーラーも無い部屋でガンガンに照明を焚いて、全身どろどろのぐちょぐちょの状態で、1日10時間くらい作業して実際5秒とか、そういう感じなんで、まぁ辛いは辛いんですが、好きでやってるんでいいんです。
きつかったのは、震災の余震がまだ結構続いていて、寝て起きたらカメラの位置変わってるとかしょっちゅうで、それは割と堪えました。
作業についてはそんな感じ。
賞を頂いたり、国外の映画祭で上映の招待があったり、色々体験させていただいてありがたく思っています。
また機会があれば作らせてください。
余談ですが、一番お金がかかっているのはターンテーブルの"つまみ"。あれは高かった。
田村 聡和 (ONIONSKIN)
『dOPPO / 独歩(NEVER MIND)』
発売日:2003年未明
レーベル:dOPPO自主盤
メンバー:辻本・橋本・村山・山口
コメント:山口宅もしくは北大路ビブレ前にて録音。村山の家などで深夜、人形劇をカセットに録音していたころの作品。(橋本)
『Treat You Good V.A. (デモ)』
発売日:2004年冬
レーベル:treat you good
メンバー:辻本・橋本・村山
コメント:今では京都で当たり前だけど、この当時はインターネットでライブ予定とかをみると「at スタジオ~ Bスタジオ」とかがあったりした。初めての実際の現場は、確か下北沢リンキーディンクスタジオに見に行ったんじゃないかな。記憶にあるのはangel O.D.が出てた(最高でした)のとNervsの人がやってたバンドとかが出ていて、何を見に行ったかちょっと忘れたけどやっぱり衝撃だった。お客さんにECD氏がいたりして、「なんだ? この空間」って。京都でもスタジオでライブできたらなあってのがあって、いろんなスタジオに交渉に行っては断られ、scroll(pre bed)のライブ中にマーシャルのアンプがショートして、スタジオ内に煙が充満したりとか。その頃の、同世代のバンドで出したコンピが『Treat You Good V.A. (デモ)』。5バンド2曲ずつ全10曲かな。リリースパーティーではお客さんはほとんどいなかった。。。(橋本)
『dOPPOとヒキヤボデス卿』
発売日:2005年春
レーベル:treat you good
メンバー:辻本・橋本・村山
コメント:村山に歌ってもらってたときの音源。彼のメインボーカルが聞けるのは、この音源のみな気がします。(橋本)
『六月 (デモ)』
発売日:2005年冬
レーベル:treat you good
メンバー:辻本・橋本・村山
コメント:これは『Zman hoover』のレコーディングをしに板垣さん(WEARE!)の家まで行ったときに、スタジオライブをしに行くような機会があって、それのための1曲入りデモシングル。スタジオスーでカセットでバンドをマイク1本で録音して、上に歌を重ねただけの音源。(橋本)
『Zman Hoover (デモ)』
発売日:2006年冬
レーベル:treat you good橋本
メンバー:辻本・橋本・村山
コメント:元WEARE!の板垣さんに録音してもらいに、深夜に京都→国立へ車で行って、朝着いてから録音という、若さが先行した音源。これも板垣さん所有のカセットMTRで録音。この頃から相変わらずカセット録音。進歩してないのか、なんなのか。いまだに僕はレコーディングスタジオで録音した事がない。まあ今のdOPPOのひな型になってる音源やと思う。(橋本)
『Fine Tuning! V.A. (未リリース)』
発売日:2007年を予定
レーベル:Fine Tuning!
メンバー:辻本・橋本・村山
収録曲:「不安定 (dOPPOのSound Cloudにて試聴可能)」
コメント:当時、WEARE!がリリースしていたFine Tuning!のオムニバスが結局リリースされなかったけど、某大学で深夜録音。飲酒、睡眠不足になると鬼と化すT村にメンバーは戦々恐々。(橋本)
『毒ヘビはいそがない』
発売日:2007年6月20日
レーベル:5B Records
メンバー:辻本・橋本・村山
コメント:5B Recordsの蝦名さんに出してもらった初の正式音源。この頃、Discharming manと一緒にライブをさせてもらうことも多くて非常に感銘を受けました。(橋本)
『hAkAbA V.A.』
発売日:2008年4月1日
レーベル:treat you good
メンバー:辻本・橋本・五味
コメント:周りのバンドもどんどん変化してきて、キトラクとかdrippersとか入ってるバンドを愛してたから出しました。「買った人が墓場に持っていくか、収録バンドが墓場へ行くか」というテーマで作ったんですが、収録バンドがほとんど墓場へ行ったので、今風に言うと「デスコンピ」ですか。。。メトロで全バンドでライブさせていただいたのも思い出深い。(橋本)
『ドンクライ (デモ)』
発売日:2008年12月
レーベル:treat you good
メンバー:辻本・橋本・五味
コメント:クリスマスに名古屋で2日連続ライブをする機会があって、そのときに持って行ったデモです。「ドンクライ」を含む3曲のシングル。その日のみ50枚くらい売りました。(橋本)
『遠雷』
発売日:2011年10月7日
レーベル:IS COLLAGE COLLECTIVE
メンバー:辻本・橋本・五味・山内(サポート)
『Zman +5』
発売日:2011年10月7日
レーベル:treat you good
コメント:『Zman Hoover (デモ)』と『dOPPOとヒキヤボデス卿』を一緒にした再発CD-R。(橋本)
『ハーフデッド (反復)』
発売日:2013年8月28日
レーベル:IS COLLAGE COLLECTIVE
メンバー:辻本・橋本・五味・中川
dOPPOとの思い出ということで、遡ること11年くらい前のことになるのだろうか、dOPPO誕生時に僕はメンバーとしてそこにいました。誕生も何も、ただただ友達同士で集まって、夜な夜な当時空き家状態だった僕の家に集まって思い思いに楽器を演奏していただけなんだけども。
団地の5階だったのでワーワー騒いで下の住人から苦情がきたり…。
やがて僕がMTRを買ったことで宅録まがいのことをやり始めて。ターンテーブルでマイケルジャクソンを45回転でかけてそこにエレクトーンを被せて、太宰を朗読したりとか、まあ若気の至りで色々やりまくって。
早朝の北大路VIVRE前で、エレキを電池駆動の小さいアンプに繋いでテレコで録音したり…。
それらをまとめて、50枚限定のデモCDRにして(ジャケは幼少時代の僕がプールに潜っている写真で、これがNIRVANAの『Never Mind』に酷似している、という理由から採用)、AVISで売ったんだったかな。
全部売り切れたはずなので世の中に50人くらいはこれを持っている人がいるはず…。
そのときに「独歩」というユニット名を付けるんだけど、それも確か我が家にあった日本純文学全集の「国木田独歩」が目に入ったからだと記憶してます。
その編成で、京都左京区のスポーツセンターの夏祭りにも出演したはず。ギターと、ダラブッカ(トルコの打楽器。先日大友良英のあまちゃんビッグバンドでも使用されてました!)とリコーダーとその他諸々…という編成で。
アイデアを出すのは橋本か村山が多くて、当時から特にちゃんまりはどの楽器も一番綺麗に音を出していた印象があります。村山のギターは異常にピッキングが強くて、その片鱗とかは今も感じて懐かしくなります。
テレコでアドリブ人形劇を録ったりもした。アドリブでストーリー進行させて、合間に演奏が入る、という。僕が参加出来なかった日に録音したテープがポストに入れられていて、聴いたら「アベのカッティング!」とか言って高速カッティングしてて爆笑した思い出もあります。
とにかく毎夜毎夜集まって、喋って、演奏と言えないような演奏をして、何か日常に退屈してた部分もあったのか、とにかく何をするにも皆一緒にいた日々でした。
今でも鮮明に覚えてるから、多分一生忘れない記憶になると思う。
dOPPOがバンドとして動き出して、僕が抜けてdiarytree→bedとして活動し始めてからも、一緒にライブしたり、時には演奏に参加したりすることもあったり、とにかく今でもそのメンバーが集まったら当時の空気のままになるのがいい感じです。
あとdOPPOとの思い出で忘れられない瞬間は、方南町TOTSで初めて聴いた「her microphone」と、ボロフェスタ。いっつもdOPPOには友達としては勿論、バンドとして、心の大切な部分を揺さぶられる何かがある気がします。
dOPPOが新譜を出すらしい。
そして、電子書籍も出るらしい。
まあ、なんじゃそれ、と思いながら、この貴重な機会にdOPPOについて書く。
最初に言っておくが、こんな感じの文章は苦手なので、最初で最後だ、と思う。
dOPPO新作のタイトルは「ハーフデッド」。
「半死に」というタイトルは思い切ったなぁと思ってましたが、違うようで。
「反複」という意味らしい。どうもすみません。
今回のこの新譜、そもそも一体何枚目なのかはもはや分からないし、そもそも今活動ストップしてるし(チャイニーズコリアンなんとかはやってるけど)、謎のタイミング(いや、事情はたくさんあるんだろうけど知らないし)でリリースするところが、dOPPOらしい。
そしてまた抱き合わせ(マイナーリーグVSレッドマンモスではない)で、おまけにCD付けたりするんだろうな。
で、そのおまけには誰かのレコードがひたすら流れてるのをただ録音しただけのものとかなんだろうな(たぶんジャスラック的にアウト)。
そんな悪口はともかく、ちょっと真面目で面白くない話をすると、僕は個人的に音楽において、オリジナリティというのは結構大事だと思っている。
まあ芸術なんて、どこもパクリで成り立っているといわれれば、そうかもしれないが、それでもやはり耳は敏感で、それらを聴いた瞬間に判断してくれる。
そして、長く聴けるものは、どこかにオリジナリティがあるものだ。
というより僕の場合、何かしらのオリジナリティがないものはすっと耳に入ってこないのだ。それは、たぶんただの好みの問題かもしれないし、ただ僕に音楽の知識が無いだけかもしれない。
あなたは、どこかで聴いたことのある良い曲か、聴いたことのないような良くない曲のどっちが耳にスっと入るだろうか?
良い曲の定義はあえて定義するなら「グッ」とくる曲だ。
僕が好きなのは聴いたことのないような良い曲である。
シンプルに言えば、人間は誰だって結局「個性」ありき。
個性が好きだと思っている。個性に魅せられ、個性に踊らされ、個性に執着する。
使い古された言葉で申し訳ないが、dOPPOはそんな個性的なバンドなのである。
そしてその中でも、10年やっても初期衝動のまま、活動をしている珍しいバンドだ。
橋本氏と話すと、いつも、なんやかんやあーだこーだ、面倒臭いことを色々言ってるけど、結局、いつ見ても初期衝動、そのまま丸裸な野郎なのだ。
中学からずっとそうだ。
そして、先日実家近くのラーメン屋で会った彼のオカンもそうだし、辻本もいつの日かそんな感じになっている。まあ、見ていてある意味気持ちいいけど。
そして最後に、世間では音源出せば、ライブをするもんだと思われているが、自由に、それなりのペースで、ライブとか色々やってくれたら、と、そう思っている。
そして、ちゃんまりが暴れてfolio新家さんのベースのヘッドを再び落としてくれるときがくることを期待している。
いつまでたってもそれが、あいつらなので。
新譜おめでとう。
How to cook this punk scene?
※パンばっか食って、栄養偏り気味間違いない小麦粉野郎、山田氏にこのような機会を頂けたことに感謝。
アルバム完成おめでとうございます。この間、「なんで今これ作ったん?」って聞いたら、「dOPPO変なバンドやからなぁ。」って返事。dOPPOはバンド。それが嬉しかったよ。あとね、最近ロックバンドのライブに全く行ってなかったけど、dOPPO聞いたら、それは間違ってなかったと思って。ありがとうdOPPO。
dOPPO橋本和樹による野々下のプロフィール!
通称「のんの」。ex. dOPPO、the drippers。bedの村山と大学で出会う。関係ないが、小岩でのdOPPOのライブ終演後、「おれ、の(ん)のの幼馴染なんよ~」と近づいてきた不審な男は、のちにT.V.not Junuaryのとしちゃんと覚醒・発覚。
僕が細々と運営している5B recordsは、主に自分がやっているDischarming manをリリースするために立ち上げたものであり、別バンドをリリースしたのはdOPPOだけ。そもそも当時WE ARE!の周平からdOPPOの音源をもらって、とても良かったからすぐ連絡したことは覚えている。そこから『毒ヘビはいそがない』をリリースするに至ったのは案外早かったように思う。
エンジニアはDischarming manでも活動を共にした小野寺くん。あとトングーくんにも手伝ってもらったな。データ入稿時はやっぱりカツヤくんにやってもらったし、いろいろな人の協力もあり、『毒ヘビはいそがない』は完成した。セールスでいうと1,000枚プレスしたのが、確か2年ちょっとで手元には無くなっていた。このCDが売れない時代にほぼノンプロモーションで売り切ったのはすごいことだし、もちろん内容も良かったんだと思う。
でもその後Discharming manの活動が活発化するに伴い、『毒ヘビはいそがない』は長らく廃盤状態が続いてしまい、dOPPOのメンバーや関係者にはとても迷惑をかけてしまった。この場を借りてお詫びします。過ぎてしまった時間は取り戻せませんが、この度『ハーフデッド(反復)』のリリースにあたり、少数ですが『毒ヘビはいそがない』を再発することにしました。これで未体験の人にも届けば良いし、まぁ単純に聴いてほしいな、ホント良い作品だから(特にバンドやってる人に)。
橋本くんに聞くと今はchinese magicianという名義で活動して、たまにdOPPOになるとのこと。どういう解釈でそういう風になるのか全く理解できないが、おそらく変態なんでしょう。そうやって5年、10年とやっていって、いろいろな形で変態な曲を僕らに届けてくれるんだと思います。その活動の一端に『毒ヘビはいそがない』の再発が担ってくれていたら本望です。
もう3年も前。
当時僕は、なぜかdOPPOに誘われて、ギターを弾くことになりました。dOPPOは僕が京都でバンド活動を始めてからの憧れの存在であり、まさかそんな人たちと一緒にやれるとは夢にも思ってなかったです。
dOPPOは3人だから良いのであって、4人はないだろうな、と思いながらも、一緒にはやってみたいという気持ちも9割ぐらいあって、3人の空気感は壊さないように、いるようでいないみたいなギリギリを狙っていました。
2本ぐらいライブにも出してもらえたけど、何か少し複雑な気持ちというか、超絶アウェーな気持ちで参加していたのを思い出します。
たしかその年の末に、新しい音源の話が出て、流れで参加することになりました。
徹夜で搾りかすみたいになって録音した音でしたが、当時はどうミックスしてもぜんぜん納得できなくて、ちょっと変な空気になって、結局、お蔵入りになりました。
その後、しばらくして『遠雷』が発売されて、あぁ、あれ(『ハーフデッド(反復)』)はもう陽の目を見ることもないんだろうな、と思っていました。
今僕は、バンドや表立った音楽活動をしていませんが、そういったところから離れてわかることは、結局自分が良ければなんでも良い、ということです。
なので、この熟成期間を経て、橋本さんのやっぱり出したくなったっていう気持ちはすごくわかります。僕もしばらく経ってからたまにプリプロとか聴いてました。
また新しく生き返らせてくれたことをとても感謝しています。
『遠雷』のレコーディングは神戸で行いました。
録音は稲田誠さん。
僕にとって稲田さんが録音した作品で初めて聴いたのがTEASIの『壁新聞』です。
自分にとって、とても衝撃的かつ大好きなアルバムを録音した方ということで、勝手に怖い人なのかなあと想像してたのですが(Suspiriaで鬼の様な形相でプレイしている姿を何度も観ていましたし)、実際にお会いすると全くそんな事はなくて、すごくリラックスして録音できました。2日間でオケは割とサクっと録れました。
アドバイスもエンジニアとしての視点というよりかは、1リスナーとしての意見を言ってくれる感じで(橋本さんのボーカルテイクを選んでいるときに「こっちの歌は何か説教くさいっていうか〜…」と言った時は笑いました)、録音もミックスも楽しかったです。
録音した場所は一般的なレコーディングスタジオではなく、「コマヤ」という喫茶店でした。使ったマイクも4本程度で超シンプルな録音。でもそれがdOPPOの空気にとても合っていたと思います。
ベースの音は、今まで自分が出したいな、と思ってた音に限りなく近い音が出せて、嬉しかったです。
『遠雷』を最後に僕はdOPPOを脱退したわけですが、これは『遠雷』をレコーディングした直後に決めました。
それまでも色々と気持ちの面で揺れていた部分もあったのですが、レコーディングしたあとに一気に気持ちが傾いてしまいました。
それまでメンバーに相談したりすることもなく、急な決断をしてしまい迷惑をかけたと思います。
自分にとって『遠雷』は、dOPPOに加入してから初めての単独正式音源です。
それまでも曲は何曲かできていたのですが、僕が離れた場所に住んでいたり、2人の生活環境の変化もあったりで、なかなかdOPPOに集中して取り組む時間も減っていました。
そんな中で録音した『遠雷』は拙い所もたくさんあるかと思いますが、自分にとって、とても大切な作品です。
メンバーや関わってくれた方々には本当に感謝しています。
dOPPOで経験したあれこれは、今の自分にとってもかなり大きかったなあと思います。
良い演奏というのがどういう演奏なのか、自分でもよく分からなかったりするんですけど、O-NestでのLess Than TV企画に出演したときの演奏は、終わったときに自分でもいい演奏ができた手応えが大きくて、今でも記憶に残っている私的ベストライブです。
まだまだお蔵入りになってしまっている曲は多分結構あると思いますが、とりあえず『ハーフデッド』無事に発売されて良かった!
進藤君に届くといいです。
これからもずっと続いていくdOPPOの歴史の、ほんのワンシーズンに参加できたこと、とても嬉しく思います。
dOPPOの2人が名古屋にいた数年前、きっと軽い気持ちで誘った橋本くんに軽い気持ちで返答した僕は、拙いピアノを弾くことになりました。最初の練習は彼らの家で、その次は名古屋の今池にあるBLスタジオで。2人のセンスは間違いないと思っているので「?」となることはなく、彼らの思うものに近づけたらと日々練習しました。ですが、予定よりも早く彼らは故郷京都に帰ってしまい、早い段階で遠距離バンドになってしまいました。
遠距離になり大変なこともありましたが、残っているのは一緒に遊んだ楽しい思い出ばかりです。ライヴで演奏したことなんて全然覚えていません。みんなでラーメンを食べたこと、お寺に行ったこと、おしゃれな服屋に行ったこと、銭湯に入ったこと、神戸へレコーディングに行ったこと、本屋に行ったこと、おいしいパン屋に連れて行ってもらったこと、車でキミドリを聴いたこと、橋本くんの実家の前で橋本くんのソロ音源をもらったこと、bed山口くんの実家を通り過ぎ、「あの大きい家がそうだよ」と教えてもらったこと、山口くんの実家のドアで五味くんが眼鏡をぶつけて壊したこと、みんなで天下一品を食べたこと。
ほんの一季節の断片に関われて、とても楽しかったです。
dOPPOの『ハーフデッド(反復)』はイタリアでも録音が行われたという。「イタリア」と言うとみなさんは何を思い浮かべるだろうか? サッカー、F1、ローマ法王、ピッツァ、チーズ、パスタ、オリーブ・オイル、プラダ、ゴッドファーザー、ネグリ、パゾリーニ、コロッセオ…。
僕が興味を抱いている「イタリアのパン」文化について触れておこうと思う。イタリアのパンと言えば、オリーブオイルを塗ったりつけて食べる平らなパン「フォカッチャ」は皆さん一度は食べたことがあるだろう。また、二次発酵無しで焼きあげる棒状の堅焼きパン「グリッシーニ」も日本でよく見かける。
僕のおすすめは「チャバッタ」。平たくのっぺりとしていて、「スリッパ」という意味を持つ。フランスパンのひとつ「パン・ド・ロデヴ」と同様、粉に対しての水分量が多いため、クラスト(皮)は薄く「パリっ」としていて、クラム(中身)は最高にもっちりとしている。また、生地の水分は石窯で焼成しているときに蒸気となり、生地を持ち上げる。チャバッタを水平に切断してみると、大きな気泡が目に付く。これが大胆で美しい。このチャバッタはサンドイッチにすると、瑞々しさの極みを演出する。食パンのソフトなサンドイッチも美味しいけど、チャバッタのサンドイッチはハードとソフトの両方を合わせ持っているので一番好きかもしれない。
さて、もう一つ。イタリアのトスカーナ地方には「塩なしパン=パーネ・トスカーノ」というものがある。パンに塩を入れないと、焼き色が付かなかったり、風味が薄くなったり、発酵力が鈍ったりとパン作りにはあまりいいことがないのだが、「塩なしパン」は存在する。12世紀、フィレンツェの港が封鎖され、塩の輸送が停止し、塩なしパンが生まれた、と言われているが本当のところは分からないらしい。ただ、トスカーナ料理は塩の味付けが濃いために、この「塩なしパン」は相性がいいのだとか。これは納得できそうな理由である。
材料において重要だと思われた物をあえて外してみると、色々と発見があって面白い。パーネ・トスカーノで言えば、風味が少ないために料理の引き立て役にまわるというわけ。つまり、これは対比効果を生み出す。トスカーナ地方ではパンと料理のマリアージュが成立している。
dOPPOの『ハーフデッド(反復)』はこれまでのバンドサウンドが薄まっている。僕はソリッドな音、そして歌詞は彼らにとって、重要な要素だなと思っていた。それが自然となくなって気付いたこと。実はとても穏やかな歌心を持っているアーティストであり、彼らの奏でるアコースティックの響きはすっと体に入ってきて、それはとても心地良いことが分かったのである。もちろん、ソリッドでfASTな曲も魅力的なのだが、距離を保った今作は、dOPPOを多角的に聞くことができると思う。
「あしたのパンはどれにしようかな」
と歌われる「ごはん」は、僕にとって忘れることのない"パンの歌(PUNK MUSIC SONG!!)"となるだろう。
ちなみにイタリアパンの影響を色濃く出しているお店を見分ける方法がある。「パン」はイタリア語で「パーネ(Pane)」と言う。そのため「〜パーネ」「パーネ〜」というパン屋さんでは「パーネ・トスカーノ」や塩なしパンを購入できるかもしれない。また、フランス系パン屋は「ブーランジェリー〜」、ドイツ系パン屋は「ベッカライ〜」と言うのも合わせて覚えておこう。
「あなたは、あしたのパンをどれにしますか?」
山田 慎 (sweet music)
2013年8月24日 発行 初版
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