───────────────────────
一〇〇号記念傑作選発刊に寄せて
『メディアの現場』創刊にあたって
オリンパス元専務が語る「オリンパスが再生に至る唯一の道」とは
TPP、放射能汚染
──日本の食を取り巻く現状はどうなっている?(前編)
TPP、放射能汚染
──日本の食を取り巻く現状はどうなっている?(後編)
特別寄稿「やまけん氏による農業インタビュー補記」
──食べ物の話は裾野が広いという大前提
──「農協は悪」ではない。とすると「善」なのか?
──他産業のプレーヤーが農業で利益を出すことは難しい
──今後の農業は誰が担うべきか
──「農業問題」は本当に存在しているの?
中部横断自動車道をめぐる国交省の不可解な動き
──住民アンケートから見えてきた日本の政策決定プロセスの実態とは
なぜ今、クラブの摘発が相次いでいるのか?
──風営法から見えてくる日本の現在(前編)
なぜ今、クラブの摘発が相次いでいるのか?
──風営法から見えてくる日本の現在(後編)
デジタル社会での自由と権利を守る
──EFFのメンタリティとその方法論
3・11から7か月
──大津波に襲われた陸前高田市の現状とは
国民投票サイト「ゼゼヒヒ」は何を変えるのか
──津田大介、エンジニア・マサヒコが語るゼゼヒヒの意図
ファッション✕ITで東北の被災地に雇用を!
──「パワクロ」は希望の萌芽となるか?
「ポリタス」は政治に何をプラスする?
──政治家データベースサイトオープン!
ネオローグユニオン
2011年9月にスタートし、今号で無事一〇〇号を迎えることができた本メルマガですが、今回はとっておきの特別企画を用意しました。独立ネットメディア界の最古参にして孤高の存在『ほぼ日刊イトイ新聞』編集長・糸井重里さん(@itoi_shigesato)と僕の対談です。2時間にわたって行われた対談では、「ほぼ日」のコンテンツ、組織運営論から、情報の価値の本質とはなにか、震災が変えた我々の意識、そして津田大介は今後どうしていけばいいのかといった話題まで糸井さんに縦横無尽に語っていただきました。自分としても大きな発見があった今回の対談──もしかしたらこの対談をきっかけに一〇〇号以降の本メルマガの方向性が大きく変わるかもしれません。最初から最後まで読み飛ばしできない濃密な糸井さんの言葉をぜひじっくり噛みしめながらお読みいただければ。
自分が「会いたいな」と思わない人とは会わない
津田:今日は急な対談申し込みにも関わらずご快諾いただきありがとうございます。
糸井:こちらこそ、よろしくお願いします。
津田:実は今回の対談、自分のメールボックスを確認してみたらこちらからの依頼メールは深夜1時14分に送信しているのですが、OKの返信が届いたのは13分後の深夜1時27分! 僕はメール送信して寝ちゃったので、翌朝糸井さんからのメールに気づいたとき、あまりの即断即決ぶりにおののきました。依頼しておいてなのですが、メルマガの対談申し込みなんていうけったいな依頼に応えていただけた理由はなんでしょうか?
糸井:時期じゃないかなあ。面白いことにこれまで僕はネットメディアの方々とあまりお会いする機会がなかったんですが、このところ立て続けにITの匂いのする人と会っていて「不思議なことだなぁ」と思っていたんです。そんなところに津田さんからタイムリーにお誘いがあったので、これはもう「流れ」だと思ってお付き合いさせていただこうと。
津田:どんな方々とお会いしてるんですか?
糸井:まずはドワンゴの川上会長ですね。津田さんと同じ時期に「ジブリの話をするインタビュアーとして行きたい」という依頼があって、僕も興味があったので二つ返事で引き受けました。昨日の昼間はcakesの加藤貞顕さん(@sadaaki)と対談しました。このあとは加藤さんが本を作っている絡みもあって、堀江貴文さん(@takapon_jp)に会いますね。
津田:確かにIT、ネットメディアづいてますね。ピンポイントで。
糸井:流行してる人と会って話すのって、どうしても読者の期待がその人の「流行している部分」にフォーカスされちゃうので、あんまり僕は好きじゃないんですね。津田さんにしてもそう。もし津田さんと震災直後──一番回転を上げているときに会って対談してたら、たぶん目立つキャッチフレーズのところでしか話が合わなかっただろうなと。そうすると接点が少なくなるからつまらないんだよね。お互い流行とか関係なく、自分の問題意識でしゃべれるタイミングってあると思うんです。さっき「流れ」という話をしましたが、津田さんと話すには良い時期だなと思ったんですね。あとは僕自身の意識の問題。仕事でずっと同じサイクルに留まっているのはイヤなので、いくつか新しいチャレンジをしようとしていて、その一環としていろいろな人に会ってるんです。
津田:cakesの加藤さんは僕と同じ1973年生まれの同学年。堀江さんは1972年生まれで1個上。最近ようやくネットメディアの人間で僕らと同世代の人間が注目されるようになってきたんですが、僕ら40近くの世代は糸井さんはどのように見てらっしゃいますか?
糸井:そもそも年齢で人を見ることはないですね。僕は同世代のことを知り過ぎちゃってるので、同世代で固まって似た話をしたり、「あのころはああだった」みたいな懐古話をすることはしません。ただ、僕より大分上の世代の人たちへの憧れはいまでもありますし、逆に若い人たちへの憧れもありますね。自分の世代は身内みたいなところがあるのかもしれないですけど、どうしても手の内が似てくるし、僕から見ると手の内がわかる分、結果残してるように見える人がいても「ああ、なるほどねぇ、よく頑張ったねぇ」みたいな感覚。やっぱり世の中天才っていないですから。
津田:世の中に天才がいない……!? 僕は雑誌のライター経験が長かったこともあって、「世の中にはこんなに天才がいるのか!」という感覚です。頭の回転が信じられないくらい速かったり、自分ではまったく思いつかないようなアイデアを即座に思いつく頭の良い人と会って話す度に「自分は一生この人には適わないよなぁ」と思って落ち込んだりするんですけど……。
糸井:頭が良いって「なんか美人だ」ってのと同じ程度のことだと思う。頭の良さがその人の全てを決めるわけじゃないし、「あの人、頭は良いんだけどねぇ」なんてバカにするやり方もあるでしょ(笑)。もちろん「すごく頭が良い」と感じる人もいます。それってある種バットと球がジャストミートしているような実感、実態を伴ったもので、学者だからどうとかそういう話じゃないんですよね。
津田:糸井さんは「ほぼ日」でいままでいろいろな人に会ってインタビューしてきていると思うんですが、糸井さんのインタビューって「間」や聞くこととかがかなり独特だなと思ってるんです。参考にしたくてもなかなか参考にできない名人芸というか。ベタな質問になってしまうんですが、糸井さんがインタビューする際に気をつけていることやコツみたいなものはあるんでしょうか?
糸井:いや、それは単純に自分が会いたいなと思わない人には、無理して会わないことですよ(笑)。テレビやラジオでレギュラー番組持っていたら、そういう人にも会わなきゃならないじゃないですか。でも、ここの社長は僕なんで。依頼が来たり、スタッフから「あの人に会ったらどうですか?」と言われても「うーん、時期じゃない」とか言って断ることができる。
津田:会いたいなと思わない人とか自分が嫌いな人と会わない……。確かに「ほぼ日」の記事を読んでいると、糸井さんのインタビューはいつも糸井さん本人がとても楽しそうなのが印象に残ります。でもそうするとひとつ疑問が湧いてきます。そもそも糸井さんにとっての「嫌い」「会いたくない」とか「好き」「会いたい」って直感なんですか?
糸井:それはずーっと考えてることで未だにわかってないんですけど、たぶんキーワードは「敬愛」かなと思ってるんです。敬愛というのは僕に対してだけじゃなくて、些細なものまで敬愛を持って接しているかどうか「見える」ことが大事。相当乱暴なことやってる人でも、そういう敬愛を持ってるなと僕が感じる人とは会いたいし。逆にダメなのは自分を変えるつもりがない人ですね。「俺は何言われても絶対変えないよ」って人としゃべっても広がらないし、生産的じゃない。
津田:政治家なんかはその典型でしょうね。「変えません」とか言いつつ、自分の思想信条と違う決定を所属する政党がしたら、党議拘束にホイホイ乗りますからね。常に矛盾を抱えながら仕事をしなきゃいけないし、そういう部分があるからこっちも「100%本音の言葉だな」と受け取ることができない。
糸井:といっても、日々暮らしていると僕が会いたくなかったり、ダメだなと思う人とも変な場所でバッタリ会ったりしちゃうんです。だから自分からわざわざ会いたくない人に会う必要は、ない。
津田:なるほど。糸井さんのインタビュースタイルの秘密がちょっとわかりました。
糸井:だから、コツ以上にズルですよね。商品としては、ズル。僕の自然な行動ではあるけど。会う時期が来ないと会わないという人もいますからね。
津田:そうか。だから僕がこうして対談できているのは本当にタイミングがピッタリ合ったんですね。うれしいです。良かった、嫌われてなくて(笑)。
糸井:いまは僕にとっていろいろな人と会うのにとってもいい季節なんですよ。
サンプル版はここまでとなります。
2013年11月22日 発行 初版
bb_B_00117776
bcck: http://bccks.jp/bcck/00117776/info
user: http://bccks.jp/user/11277
format:#002t
Powered by BCCKS
株式会社BCCKS
〒141-0021
東京都品川区上大崎 1-5-5 201
contact@bccks.jp
http://bccks.jp
ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。
1973年生まれ。東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。大阪経済大学客員教授。早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース非常勤講師。東京工業大学リベラルアーツセンター非常勤講師。J-WAVE「JAM THE WORLD」ナビゲーター。NHKラジオ第1「すっぴん!」パーソナリティー。テレ朝チャンネル2「ニュースの深層」キャスター。一般社団法人インターネットユーザー協会(MIAU)代表理事。メディア、ジャーナリズム、IT・ネットサービス、コンテンツビジネス、著作権問題などを専門分野に執筆活動を行う。ソーシャルメディアを利用した新しいジャーナリズムをさまざまな形で実践。ポップカルチャーのニュースサイト「ナタリー」の創業・運営にも携わる。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2013」選出。
主な著書に『ウェブで政治を動かす!』(朝日新書)、『動員の革命』(中公新書ラクレ)、『情報の呼吸法』(朝日出版社)、『Twitter社会論』(洋泉社新書)、『未来型サバイバル音楽論』(中公新書ラクレ)ほか。2011年9月より週刊有料メールマガジン「メディアの現場」を配信中。
PHOTO by Daisuke Miura (go relax E more)