spine
jacket

───────────────────────



偏食グルメガイド(2013-14)

長谷川踏太

偏食解放出版


───────────────────────




  この本はタチヨミ版です。

はじめに

 この本は、偏食癖を持つ著者がこれまでに食べたものから、旨いと印象に残ったものを厳選して紹介しています。
 偏食だと言うと、「XXXが食べれないなんてかわいそう」とまるで食の喜びをまったく理解できない人種の様に差別されたりしますが、偏食だからと言って、食べる事が嫌いだとは限らない、むしろ「偏」がつくほど食にこだわっているのだということを、本書を持って証明できればと思います。そして同じ偏食を持つ同志達のより良いグルメライフに役立てれば尚幸いであります。

2013年 吉日 長谷川踏太

ワタシの偏食歴

偏食といっても、一種類でなくいろいろな種類があります。まず筆者の偏食歴を紹介させて頂き、本書の食についてのおおよその趣向の方向性を把握して頂きたい。
まず、筆者にとって一番の大敵は、キュウリであります。あの独特の水臭い味、匂いが本当に苦手なのですが、嫌いになった理由は、小学生の時に飼っていたカブトムシのエサとして虫かごの中で放置された腐ったキュウリを掃除したときに嗅いだ異臭です。キュウリは、油断していると料理のいろいろな所に顔を出してきます。冷やし中華などは、キュウリが居るせいで頼んだ事がありませんし、最近では、韓国料理で頼んだJINROのポットの中に何気なく潜んでいました。店側はいい香り付けとしてやっているのでしょうが、こちらにとってはゲリラ攻撃のようなものであります。

キュウリと同じように嫌いなのがマヨネーズです。マヨネーズは、幼少時に出会ったときのあの容器の形が生理的にダメでした。なぜあの形がダメなのかもわかりませんが、とにかく嫌で、冷蔵庫のふたを開けたときにマヨネーズの容器が落ちてくる度に、ショック死しそうになっていました。
容器がきらいなので、内容物も当然きらいになるわけで、お好み焼き屋で強制的にマヨネーズをかけられて、号泣し、店員さんを困らせてしまい、親にひどく叱られたこともトラウマになっています。一時期、創作料理なるものが流行したときに、なんでもマヨネーズであえたり、マヨネーズを格子状にかけてある料理が乱発されたので、創作と書いてある時点でそのお店に足を踏み入れる事はなくなりました。最近は、健康という理由からマヨネーズが前ほど幅を利かせなくなってきたのが自分的には良い風潮だと思っています。
こんなにマヨネーズが嫌いなのに、筆者は、実はタマゴサンドは食べることができます。それはマヨネーズが材料に使われると成人するまで知らな
かったからで、これを人に話すと、じゃあマヨネーズ食べれるじゃないかと言われるのですが、自分の偏食の回路はもう出来てしまっているので、
いまだにタマゴサンド以外のマヨネーズ料理は食べる事ができません。

と、このように、一つ一つ違った理由で苦手なものが存在するのですが、今思いつくだけ羅列してみると
漬け物(梅干し、紅ショウガ以外)、カリフラワー、ブロッコリー、セロリ、茄子、人参、カブ、アサリより大きい貝、エビ、ウニ、白子、ケチャップ、ドレッシング、ワカメ、空豆、グリーンピースなどがあります。これだけあると、じゃあ貴様は何を食べているのかと思うのが普通ですが、基本的に、肉、米、粉もの、芋類がメインとなっています。なのでこれから紹介するお店もそっちの方向に偏りがあります。
又、偏食人が最も避けて通りたいのが、コース料理です。割烹、フレンチなど、コースできっちり料理が決まっていると、そのコースのなかに必ず一つか二つ天敵が紛れ込んでいること必至です。なので、本書ではほとんどコース料理の店は出てくることがありません。
以上長くなりましたが、こんな偏食人間でも、食で幸せを感じることができたお店を紹介していきます。

東京のお店

【鳥よし】 (西麻布)
焼き鳥はなんでもおいしいが、〆にキジ丼がおすすめ。突き出しで、キュウリの漬け物が出てくるので、カウンターの陰の見えないところにおいて無かった事にしておく。大根おろしにウズラの卵をのせたものがいい箸休めに。

【CURRY UP】(千駄ヶ谷)
高校生の頃の大好物だった、原宿GHEEのバターチキンが今も食べられるしあわせ。漬け物を刻んだものが一緒にでてくるが、別皿で出てくるのが偏食人的には嬉しい。福神漬けをどうカレーライスから隔離するかは、偏食人についてまわる問題だが、このお店ではそんなことを考えずにただ美味しいカレーを食べれば良い。

【YOGORO】(原宿)
こってりとしたカレーを食べたいときはここで。チーズトッピングをしがちだが、チーズの味が強くなってしまうので、まずはトッピングなしでカレー本来の味を味わうのがおすすめ。

【エミリア】(原宿)
北イタリア料理店。自家製のパスタがおいしい。ジェラートパルミジャーノ、トリュフをかけたタヤリンがおいしい。コンソメスープにトルテリーニが浮いてるだけの、トルテリーニ イン ブロードが素朴で良い。

【東坡】(原宿)
トマトと卵の炒め物、ジャガイモとセロリの炒め物がおいしい。キュウリとタコの和え物を最初におすすめされるので、毎回受け流すのがちょっと憂鬱だが、それを踏まえてでも行くべきお店。おそらく都内一痺れるであろう麻婆豆腐が有名。食事というよりは、ドラッグをやるような感覚で臨むべし。

【福蘭】(原宿)
爆発したみたいなシュウマイ。そして、あんかけ+揚げた感じの餃子。両方旨い。

【REDBOOK】(中目黒)
ひよこ豆のカレー、チキンカレーともにスパイスの利いた味がおいしい。ランチのサラダはいらないとあらかじめ言っておくと次回から覚えてくれる。ポークカレーはパクチーがたくさん入っているが、オーダー時にパクチー入ってますけど大丈夫ですか?と聞いてくれる。
【豚組 しゃぶ庵】(乃木坂)
半個室もあって、ゆっくりできる豚しゃぶ店。豚を銘柄別に選べ、食べ比べるのが楽しい。そして〆の麺が豚骨ラーメン風味付けなのが珍しい。

【石頭楼 本店】(乃木坂)
住宅街にあるマンションの中で営業されている、台湾風石鍋店。ごま油で和えた豚肉が具として鍋にはいるのが珍しい。豚、牛、魚介とつぎつぎと鍋に入れられていくが、最初の豚だけでも結構満腹気味になるので、大喰いでない筆者としては、もうすこし量のバランスがとられていると良いと思った。鍋は嫌いなものが入っていても、誰にも気づかれないように避けて、得意なものだけ食べていれば良いので偏食人的には助かるジャンルである


【華泰茶荘 渋谷店】(渋谷)
道玄坂から入ったところにある、中国茶専門店の上にひっそりとある、飲茶屋さん。静かな雰囲気で、夕方までお茶ができるので休憩に最適。お茶のゼリー、中国茶が鉄板コンビ。飲み過ぎた翌日のランチの茶粥セットも良い。

【喜楽】(渋谷)
いわゆる東京風のオーソドックスな中華店。醤油味の中華麺もいいが、筆者はここでは、雲呑を頼み、スープのおいしさをメインに楽しむ。お腹に余裕があれば、チャーハンか餃子をたのむのもいい。

【名曲喫茶ライオン】(渋谷)
クラシックが流れる今は珍しい名曲喫茶。教会のような内装の祭壇のようなスピーカーにむかって、いろいろな種類の男達がだまってコーヒーを飲んでいる。ここではミルクセーキをのみながら、アナログ音源のクラシックに聞き入る。ミルクセーキというものをここでしか飲んだ事がないので、ここのミルクセーキが美味しいかどうかはわからないが、雰囲気メインで訪れるべき場所。

【喜玖蔵】(白金)
完全予約制しかも、10席程度の、隠れ家的中華料理店。メニューはなく、鍋料理のコース1種類。前菜に、キュウリが出てくる事があるので、著者はお茶が出て来たタイミングで伝えたが、すぐに対応してくれた。メインの鍋料理は、水餃子鍋がキノコと細かく刻んだ野菜とおいしい出汁の鍋へ、そして酢を足して酸羅湯へ、そして麺とゴマを足し担々麺へと次々と変化していく味が圧巻。キノコと野菜鍋のなかに、茄子らしきものが入っていたが、細かく切ってあったので筆者は気にならなかった。

【利庵 】(白金)
ざるそばは、偏食人にとっては、最高の食べ物である。蕎麦さえ嫌いでなければ何も心配する事がなくガッツくことができる。庶民的な雰囲気な中にも品があり、つまみの種類も多い。定番のだし巻き卵とせいろうを頼んで、お酒のいける人は、チビチビ日本酒を飲みながらのどごしの良い蕎麦を甘めのつゆで、何の心配もしないで楽しむべし。かき揚げにはエビがはいっているので、エビ嫌いは注意。

【三合菴】(白金)
昼は普通のそば屋さん的営業、夜は蕎麦懐石。日本酒ソムリエ的な店員がいて、お酒をおすすめしてくれる。おまかせコースには、ウニなどが入ってくる事があるので、事前に苦手なものを伝えておけば避けてくれる。水菜のおひたしや、エビ芋素げ、などそばに行くまでの一品一品も美味しい。そばはしっかりした十割そばで、つゆは甘み抑えめ。最後に出てくるそば湯が、ドロドロ系で、ここは好き嫌いが別れるところか。

【米福 こめふく】(恵比寿)
米の銘柄を選んで、土鍋でたいたごはんを楽しむ事ができる。ここで日本酒をたのむと、京都の松田屋老舗の一休昆布があてででてくる。これがすこぶるうまい。この昆布を少しとっておいて、最後のごはんとたべることにしている。土鍋で炊いたごはんは、余ると塩むすびにしてお土産にしてくれるので、翌日の朝まで美味しい。

【うずら】(白金高輪)
鯨鍋の店。下ごしらえのしてある胡椒が効いたくじら肉を、油揚げ、水菜とともに醤油系の出汁で頂くシンプルな鍋料理。鯨のパンチの効いた味がとにかく美味しい。野菜の中では癖が無いランク上位の水菜が大量に入っているので、野菜嫌いはこういう機会にビタミンを積極的に接種できる。

【山本】(西麻布)
和風割烹。そばつゆ風の出汁で食べるイベリコ豚のしゃぶしゃぶが美味しい。しゃぶしゃぶの後は、板蕎麦を鍋にいれ、〆として暖かい蕎麦をたべることができるのが珍しい。その他にも、ほんのりカレー風味の卵焼きをトーストでサンドした、エビパンがおすすめ。筆者はエビが苦手なのだが、あまりエビを感じないのと、美味しさの方が勝っていたので、完食できた。これを機会にエビのすり身なら食べられるようになった。



  タチヨミ版はここまでとなります。


偏食グルメガイド(2013-14)

2013年12月30日 発行 初版

著  者:長谷川踏太
発  行:tota出版

bb_B_00118721
bcck: http://bccks.jp/bcck/00118721/info
user: http://bccks.jp/user/112160
format:#002t

Powered by BCCKS

株式会社BCCKS
〒141-0021
東京都品川区上大崎 1-5-5 201
contact@bccks.jp
http://bccks.jp

jacket