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サイババが帰って来るよPart1

張 世潮

ポニョ出版



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今頃、どうしてサイババなの?と、訝しがっているあなた。
あのアフロヘアのインド人グルは、とっくにあの世に召されてしまったはずだよね。
神の化身といわれ、死人を生き返らせ、病いを癒し、車椅子で来た人を立ち上がらせ、盲目の人に視力を与えたあの奇跡のグルが、自分の病気を治せずに死んじゃった。と思っているあなた。
手をくるくる回し、トリックまがいに指輪や時計などを出して、目もついでに回してあの世に行っちゃったグル、とおもっているあなた。
ところがどっこい、そのペテングルがペテンじゃないとしたら、どうしますか。
全てが、想定通り、計画通りだとしたらどうしますか。
どうもしない。って?
ところが、どうもするのです。全ての人が、あっと驚くことが、うわーと泣き叫ぶことが、もうすぐ起こるのです。
その時に、皆さんは神や仏はいないのか〜。この世は闇じゃ〜。と人々は泣いて、神を求めるでしょう。

その、人類の一大危機の時に「わしはここにおるぞ。」と言って世界中の大空にサイババさんが現れるのです。
では、人類に、地球に一体何が襲いかかるというのでしょうか。
私達は、一体どうすればいいのでしょうか。
それを、この本で説明していきたいと思っています。
異常気象、巨大地震だけではなく、経済面、政治面でもこの地球は危機に瀕しています。
嘘を伝え、人々を洗脳するマスゴミ、学識者、政府、巨大金融資本マフィアなどが暗躍し、一体何が真実で真実で無いのか。さっぱり分からない、分からせない、社会になっています。

その、神であるサイババさんが、悪の力が極大になった時に、神の力も極大になる。と言われています。
その悪の力が、今年動き始めるでしょう。もうテーパリングが始まりもした。
これが、一つのサインです。経済をやっている人は何の意味かお分かりでしょう。
この本は、警告の本です。
皆さん。人類は大変な時代を迎えようとしていますが、実はこれはとても良い事なのです。

というのも、自らが困難な時に遭遇して人は初めて神に目を向けるからです。

もう、この世俗の世でのゲームは終わりにしましょう。金、権力、出世、名声などを追い求める世界は終わりです。
私達が生きているこの世界のシステムは、根底からひっくり返るのです。
今まで、千年以上も世界を金と権力を使って、陰から牛耳って来た悪魔のような者の時代は、終焉を迎えるのです。
そして、私たちがどこから来て、どこへ行くのか、何が人生で一番大事なことなのか、人として生きるということはどう意味があるのか、そういう基本的な問いに全ての人々が向かい合って行くことになるでしょう。
この本が、少しでもその為に役に立つことを願っています。

神様との約束

世潮が生を受けた日の朝、父親である龍海は夢を見た。
とてもリアルな夢で、起きてしばらくした後も鮮明に覚えていた。
その夢というのは、龍海が地球を見下ろす成層圏の彼方に浮かんでいると、
突然、ゆっくり回っていた地球が角度を大きく変えて、回り始めたのだ。
それと同時に、世界のあらゆる大陸が、陸地が水に飲み込まれた。
喧騒は静寂となった。都市の灯りが、全て消えた。
地平線の向こう側に明かりが見えた。夜明けだ。
太陽が顔をのぞかした時、世界は平安に満ちていた。新しい時代の始まりだった。
地球は、愛と真理の光に包まれていた。男の子だった。
龍海が九人兄弟の長男で、親から男の子をお授かれよ。とプレッシャーをかけられていた。
嬉しかった。龍海の両親も、親戚や知り合いを呼んで大きなパーティを開いた。
名前は、決めていた。夢から取った。世界が水に覆われて、朝が来る。
世界の世に、水を意味するさんずいへんに朝、潮という字だ。
二つを合わせて、世潮 (ヨシオ)だ。

龍海は、子供の頃に結核菌に股関節を侵され、一方の足が成長しなくなっていた。
歩くと、身体を大く揺らしてしまう為に、いつも自転車かバイクを愛用していた。
世潮が大きくなってくると、龍海は東洋子と三人でバイクに乗り、よくあちこちと出かけた。
しかし、娘が生まれて間もなく龍海は病のため幼子二人を残して、逝ってしまった。
まだ、二十九歳の若さだった。禅寺の坊さんが、お経をあげに来た。
時には、一時間以上も我慢して座っていなければならない。
しかし、世潮にとって龍海と心の中で会話が出来る大切な時だったのだ。
新聞が読めるようになり、いろんな記事に目を通した。
しかし、誘拐だとか殺人、強盗などの記事を読むと被害者の気持ちになってしまい、頬を涙で濡らしてしまうことも、多々あった。
「どうして、世の中はこんなにも愛のない世界なんでしょうか。」
「慈悲深い神様が、おつくりになられた世界なら、もっと愛が満ちた世界でなければならないのに、なぜ……」この疑問に答えてくれそうな人は、誰もいなかった。
その頃通っていた、カトリックの学校の聖堂でマリア様にいつも尋ねた。が、返事は返って来なかった。
叔父たちが、龍海が亡くなって以来、父親がわりにいろいろ面倒見てくれた。大学の学費も立て替えて払ってくれた。
その頃、小さい頃から、頭の片隅にフラッシュのように現れては消えていく、イメージがだんだんとジグゾーパズルのように組み上がってきた。
それは、空中に浮かんでいるヴェールの反対側に神様がいて、「自分はあなたの側に行っても良いか?」と尋ねたが、拒否されたことだ。その時の、悲しかったフィーリングはとても強烈で、この世に生まれて以来経験した、どんな悲しい気持ちよりも、強かった。
神様は、嘆き悲しんでいる自分にこう言った。
「ここに来たいのであれば、もう一度生まれ変わらなければなりません。」世潮は、それはどうしても嫌だった。
神様は、続けてこう言った。
「私も、地上に降ります。私の仕事をしなさい。」
「そうすれば、こちら側に来れます。」
世潮は、「あなたも地上に行かれるのであれば、話は別です。」
「私も、喜んでお供させていただきます。」
「前世では、私は、あなたのおそばにいて、お使えさせていただきましたが、今回は、あなたから遠く離れていても、結構です。」
そう、世潮は、前世の記憶は断片的ながら、かなり思い出していた。インド人だった。
「それが、あなたのお仕事であればどのような事でも、身を粉にして働きたく思います。」
「でも、その暁には必ずあなたの側へ連れて行ってくださると、お約束ください。」
「分かった。そうなるであろう。」
「主よ。一つだけその前にお願いしたいことがございます。お聞き届けくださいますか。」
「何だ。言ってみなさい。」
「私が、地上に降りましても、あなた様を見つけるのが大変でございます。」
「それゆえ、今ここで地上に降りる前に、地上でのあなた様の御姿をお見せ下さいませんか。」
「よかろう。全部は見せられぬが…よく見なさい。」と言われて、マッチのようなものを点灯された。すると、アゴの辺りからお顔の下半分ぐらいがぼーっと暗闇に浮かんだ。
左の頬にホクロがあった。暗闇を背景にしているせいか、肌の色はダークぽい。
丸い頬と、アゴ。そして、大きな鼻が見えた。しばらくすると、点灯していた火がスーッと消えて行って、また元の暗闇になった。
世潮は、ずーっと探していた。神様を探していた。ひょっとして、遠くの昔に生まれていて、もう死にかけているかもしれないと絶望したり、いや、まだ生まれたばかりで世に出ておられないのかもしれない。と、思ったりした。
ハッキリしている事は、自分は若くてまだ住んでいる世界も小さく、もっと視野を大きくして、彼を探さなければならない。という事だった。
ある日、中国の毛沢東の写真を見た。位置は違うが大きなホクロが有った。
頬やアゴもふっくらして、同じだった。世潮は、小踊りした。 「 見っけ~。」
早速、彼が何者で、どんなことをしているのかを調べた。
竹のカーテンの向こう側の人で、情報も限られていた。十億人の指導者だ。
貧農や貧しい労働者を主人とした、新しい社会をつくり始めていた。彼が掲げるモットーは、人民に奉仕せよ。だった。とても良さそうだった。
どんな国を彼がつくっているのか、自分の目で見て確かめたい。と思って一人で中国に旅立った。
まだ、毛沢東が亡くなる四ヶ月前の事だった。

まるまる三ヶ月旅したが、汚職、暴力、殺人など日常茶飯事だった。
ちょうど、当時、文革派と走資派が権力闘争をしている時期で、せめぎ合っていたところでは機関銃の音が夜中も鳴り響いていた。
腐敗がひどく、男の子が欲しいければ、産婦人科医に金を渡せば、生まれたての赤ちゃんを僅かの金で買えた。
政府役人の、特に高級幹部の腐り具合は見ていてもヘドが出そうだった。
民主化を要求する地下運動の活動家達と、知り合った。
彼らの事を、世界に紹介しようといろんな文献をもらった。
後に、日本で翻訳して雑誌に載せた。
世界が、中国の民主化に関心を持った。
知り合いの人が、農家で麻雀をして、紅衛兵から銃殺刑にされたと聞いた。
裏口入学、裏口就職、裏口、裏口、と裏口が使えないと何も出来ない国だった。
また、ほとんど旅行者も見かけなかった。
日本から着て行った服を着たまま歩くと後ろから、多くの人が付いてきた。
彼らは、外の世界の情報に飢えていた。毛沢東の住まいである中南海の門の前に立って彼がどんな人か見ようと待っていたが、衛兵に追い立てられた。

もし、毛沢東が世潮と約束した神様であったら出て来たに違いない。
世潮は、また神さん探しは振り出しに戻った。と思った。
毎日滞在先から、滞在証明のハンコを押してもらわないと公安局から訴追されるということだった。
ある日、スパイに間違えられて、公安局へ連行され尋問された。
中国で会った全ての人の名前を書かされた。
その日、世潮は漢字のテストをすれば、小学校にも入れないほど字を間違えて書いた。
しかし農民たちはとても純真で世間ずれしていなかった。
世潮が日本から来た、と言うと同じ人間だから日本語を話しても通じるはずだ。と言って聞かなかった。田舎の家に泊まった時、トイレは家の外に掘ってある丸い穴だった。
穴から何か物音がするので覗き込むと、そこには大きな黒豚が上を見上げていた。
とても、貧しかった。洗面所なんて無かった。古い蛍光管が、タオル掛けだった。
世潮が、ちょうど天津の近くに滞在していた時、推計75万人も亡くなった唐山大地震が起きた。
その一日前、河北大学の友人たちと天津の街を散策していたが、突然40度を超える高熱に襲われて歩けなくなり、歩道に横になっていると、親切な人が車で最寄りの産婦人科病院へ運んでくれた。
古い木造の二階建ての病院で、熱を冷ますため点滴をした。
すると、夜中の三時ごろ突然窓の外が異様な光に包まれた。
不思議に思って、窓の外を注視していると龍が地を這うような地鳴りがした。
次の瞬間、今まで経験したことがないほどの揺れが襲った。
ベッドから転がり落ちて、その下に身を入れた。天井から、ありとあらゆる物が落ちてきた。
鋼鉄製のベッドは、壁に向かって激しく何度も体当たりしていた。
耳元で、鼓膜が破れるぐらいの大きな太鼓を幾つも叩いているような音がした。
やがて、揺れが収まると同時にどういうわけか熱も平熱に下がっていた。体調も戻っていた。
病院は、かろうじて元の姿を保っていたが、大きくゆがんでいた。
あちらこちらから、悲鳴や唸り声が聞こえて来た。
外に出ると、家の残骸が延々と続き、就寝時だったので家人は皆、下敷きだろうと予想できた。
そのうち、大きな余震が何度も起こり、避難している人たちは悲鳴を上げた。
小雨も降り始めたが、ダストの混じったブラックレインだった。
熱が出ていなければ、お世話になるはずだった家は全壊していた。
そこら中、死体があちらこちらから運び出されていた。

やっとの思いで空港から脱出したが、中国は権力志向主義で権威を振り回し、上には弱く、下には強い、世潮の一番嫌悪する腐敗したモラルの無い官僚たちが跋扈する国だった。
これで明らかだった。
毛沢東は、毛沢三だった。神様とは程遠い人だった。

君はどこから来たんだい

日本に戻り、結婚することにした。相手の娘は、小学生の時からの知っていて、大学生になるまでずっと大きくなるのを見守って来た娘だった。
しかし、二人とも生活出来るだけの収入が無かった。
「屋根のあるところに住めればいいよ。」と娘は言った。
昔から、活発で明るく、欲が無く、贅沢とも縁が無い、心が春の陽だまりのような暖い、いつも笑顔を絶やさない優しい娘だ。
世潮は、大学院生だし、嫁は薬剤師の勉強を始めたばかりだった。
当座の金がいるので二人で、塾講師になるための試験を受けに行った。
そこで、アメリカの街角の写真が試験場に貼ってあった。
見たこともない無人の店だった。たくさんの機械があった。コインランドリーだという。
日本では、まだ見かけなかった。誰も知らなかった。
早速、銀行に事業計画書を申請して、500万円を借り一つ目の店をオープンした。
大当たりだった。学生街や、独身が多く住む町にぴったりだった。
人手がいらない。24時間営業で、二人とも大学に通いながらビジネスが出来た。

母、東洋子と三人四脚で助け合いながら、店をどんどん増やした。
待合室に置いてある、コンピューターゲームの売り上げもバカにならなかった。
三十歳に手が届く頃、もう銀行の預金残高が数億円になっていた。
世潮は、色んなビジネスに投資したが、もうキリが無いと思った。
我、足るを知る。だった。その頃、嫁の父が亡くなった。
新居を見たいと言っていたのに、お互い忙しくてまだ実現していなかった。
御通夜のあと家で仮眠した。嫁も、隣で静かに寝息を立てていた。寝室は二階にあった。
カーテンが薄っすらと通りの外灯に照らされていた。
突然、人のシルエットがくっきりとカーテンに映し出された。
義父だとすぐ分かった。横顔だった。メガネと顔の間のギャップまで、しっかりと映し出されていた。
窓の外には、人が立てるようなベランダなど無かった。
こちらを見ていた。優しく見ていた。娘を起こさないで、と言っていた。
娘を愛おしげに見ていた。愛がシルエットから滲み出してきているようだった。
脳溢血だった。誰にもさよならを言えずに逝った。
初七日を向かえ、世潮は坊さんの読経を聞いていた。小さい時から聞き慣れた読経だった。
これを聞くと、いつものようにすぐに深い瞑想状態になれた。
昔は、父恋しさによく、亡くなった父と読経を聞きながら会話をしていた。
突然、目の前に農村の風景が見えた。日本ではない。どこだろう。
小さい男の子が、箸をわしづかみにして四角い木の机の前の椅子に座り、お母さんと食事をしていた。広くて天井の高い土間だった。
突然、シーンは変わり、青年が一人で汽車の窓際に座って外を見ていた。
次の瞬間、冬の締め切った窓の中で先程と同じ青年が勉強をしていた。
彼は一体誰なんだろうか。
中華料理店の奥から、いつものようにニコニコしながらあの見慣れた義父が迎えてくれた
そう、義父だった。結婚して以来、いやその前も一度も、お互いにゆっくりと話した事は無かった。
ましてや、日本に来るまでの台湾での生活や、それからの事など義父について何も知らなかった。
今こうして、それらを見せてくれたのだ。

その後、満月に二人の影が映っていた。大声で何か言って笑っていた。
楽しそうだった。「仕方ないですなー。」とかなんとか言っていた。
義父と父の龍海だった。それからしばらくして、長男が生まれた。
「君は、どこから来たんだい。」と赤ん坊に尋ねた。
いつも、母親に似てよく笑う、頭の大きい子だった。家内が初産でこんな頭の大きい子を産んで大変だった。
子供が出来て、生命ってなんだろう。生きるって何だろう。それらの事を真剣に考えるようになった。
新聞に、ガン細胞を増殖してシャーレーに入れて、色々テストしているという記事があった。
でも、そのガン細胞の元の主は、とっくに亡くなっていた。
ガン細胞も生命。それは生きている。でもその主である身体の生命は死んでいる。
生命って何だ。死ぬって何だ。生きるって何だ。さっぱり分からなくなった。
自分は、生命について何も知らないということが今、よく分かった。
今まで深く考えもしなかった。生命や生きる事についての本を読みまくった。
仕事の方は、マネージャーを雇い自分のやっていた仕事を全部任した。
朝か夜か分からない日が続いた。一番印象に残った本は、エリザベスキュープラロス博士の本だった。臨死体験についての考察をたくさん記していた。
ある一例をあげると、心臓麻痺の患者が救急車で運ばれてきた。医師と、看護婦は蘇生のためにあらゆる手段を講じていた。
その甲斐あって、息を吹き返した。そして、自分が、死んでいた間、身体から抜け出した自分が、天井から蘇生のため医師たちが奮闘しているのを見ていた。
そして、それらを息を吹き返してから、医師たちにそっくりそのまま伝えた。
その時、医師がどんな色や柄のネクタイまでしていたかや、看護婦の履いていた靴の色までも覚えていて皆を驚かせた。
というのも、その患者は生まれながらの盲目だったからである。

世潮は、大学院にその頃まだ籍を置いていたが、こんなに集中してたくさんの本を読んだことはなかった。瞬く間に、新しい本棚は一杯になった。
それと同時に、世潮は、霊というものが存在し、それらが住む霊界があり、そしてこの世界と深く繋がっていると確信をもった。
というのも、自分が父の死などで、体験していることだったから、理解するのに抵抗はなかった。
死ぬということは、その霊が肉体を離れることであり、生まれ、生きるという事は、その霊が肉体を取り、過去生でのカルマを支払うことだと確信した。
昔から、よく自分でも幽体離脱を体験していた。
ひょっとして、精神病かもしれないと真剣に悩んだ時期があった。
それは、突然起こった。歩いている時、一人の時、車を運転している時、時間や、場所は関係なかった。
それが、歩いている時に起こると、突然、現実感が消え失せて自分の身体を見ている本当の自分がいた。
そして、自分自身を歩いている自分の中に戻そうとしても、どうしても歩いている自分がいる世界が、本物の世界に思えなくて抵抗があった。
そういう事が、何度も続いて起きたので、自分ではこの世界は仮の世界という確信のようなものが出来ていた。
どんな出来事があっても、少しそれと距離を置き、冗談で受け流せるような精神状態に自分を置くことが出来た。
車を運転している時にそれが起こると、肉体はきちんと車を運転しているんだけれど、自分にはその現実感は無かった。
赤信号で止まり、青信号で走らせてはいたが、目的地に着いてしばらくして元に戻っても、どこを走ったかは記憶に無かった。
二時間運転していても、自分の感じではほんの五分だけだった。その間の、景色は何も思い出せなかった。
逆に、手を動かし表情を変え、突然誰かと話をしているように大きな声を出すので同乗者は気味悪がった。ある時など、運転中、突然立ち上がろうとしたこともある。
道を、間違えたことがなかった。車から見える景色の上側に、自分のまぶたの裏側に映っている地図が見えた。

神様、みっけた

時間が取れると、世潮はよく山へ行った。
早朝に出発し、夜に帰って来る。自然の中に一日中浸っていると、とても本来の自分を取り戻せそうで幸せな気分になった。
そして、小川にかかる木の板を渡した橋を見つけると、必ずその上に横になるのだった。
昔からそうだった。木の板を見ると、その上にどうしても寝たい。という欲望を抑えることが出来ない。
工事現場の足場もそうだった。祖父母の家の改築工事現場を見に行くと、そこに木の板を足場にして大工が働いていた。
大工が、仕事を終わる頃を見計らって工事現場に戻り、足場にしていた木の板の上に心ゆくまで横になるのだった。
また、腰までの高さの柵を見た時に、どういう訳か、目を離せなかった。
初めて行ったモデルハウスにそれが玄関にあり、他の何も見ずにそれがあるから、その家を購入することにした。
柵、木の板、そして小さい時から自分は、小学校の先生になると決めていた。
二人目の息子が生まれた時、名前を迷わずシャームにした。クリシュナ神の別名だった。
小さい頃から、土れんがの壁で出来た学校で、子供達と一緒に過ごしたヴィジョンを見た。自分は学校の先生のようだった。前世の記憶と呼んでいいだろう。
壁を挟んで、聖者がいた。土れんがが一つ抜けた穴から、隣の様子を覗き見出来た。
その聖者は、一人になっても誰かと話しており、大声で笑ったり、叫んだりしていた。
自分は、その聖者は気狂いだと思っていた。そして、いつも木の板を天井近くに吊り、その上で夜になると寝ていた。
また昼間は、低い柵の横に座って持たれながら、いつも火を燃やしていた。
そんなに高いところに板を吊って、どのようにしてそこに乗れるのか分からなかった。
夜になり、いつもどうするのかを観察していたがフトよそ見すると、もう木の板の上にいた。
自分は、いつも一人で、ときおり母が隣にいる聖者の分と一緒に、食事を持ってきてくれた。貧しい、インドの田舎の村での話だ。
そういう様な、前世のヴィジョンを昔から断片的に見ていた。
サイの帰依者になって、しばらくしてからサイババさんの一番新しい講話が載っている雑誌が送ってくるようになった。
辞書を片手に、読み始めると自分の事をサイババさんが言っておられるのに気がついた。
小さい時からのメモリーと同じだった。
木の板、柵、学校の先生、そして、その先生の名前はシャームという名前だった。

小さい時から、山の方に引っ越す事を考えていた。岡山の山奥に家を買い求めた。そこに、色々と食料などを備蓄し始めた。
でも、自分の中で、ここではない。といつも異議を唱える自分がいた。
しかし、ある日、家の三階にあるベランダから羊雲で覆われた空の一辺を見ていると、矢のような形をした雲がオーストラリアの形をした羊雲の左下を突き抜いた。
急いで嫁や、母を呼んだがもう形はとどめていなかった。その後、すぐに矢で刺さったところを地図で調べると、パースという街だったのですぐにそこへ出掛けた。
一歩、空港の外に出るや否や、ここだ。と感じた。ここが自分が来るべきところだった。とすぐ分かった。
日本に帰った次の日、移民のパンフレットをもらいに領事館へ行くと、今、ビジネス移民という移民制度が始まったばかりなので、利用して下さいと言われた。
反射的にすぐイエスと言ってしまった。手続き書類をもらい、これらを提出してもらえばすぐにでも永住権ヴィザを発行してあげます。との事だった。
家に帰り、嫁や母にオーストラリアの永住権を取れると言うと、とても驚いていた。
すぐに、家や会社を売りに出した。バブル経済の前だったが、二ヶ月で全てが売れた。
オーストラリアに移住すると早速、神探しを始めた。同時に、海岸から離れた場所に土地を探し求めた。取り敢えず子供達を、シュタイナースクールに入れた。
神智協会、スウェーデンボルグの新教会、様々な教会、イスラム教のモスク、霊媒師のいる心霊教会、バハイ教など色んなところに顔を出した。
自分の中で、どれが本物かを決める試金石を持っていた。それは、その組織が愛で持って、自己犠牲を伴った奉仕をやっているかどうかだった。
日本で稼いだ金は全部神様の為に使ってしまうつもりだった。オーストラリアでビジネスをやるつもりはなかった。
ある日、心霊教会に顔を出した。すると、霊媒師が世潮に緑色の自転車に乗った足の悪い男が、あなたをずっと導いています。
あなたは、長い間霊的教師を追い求めて来ました。
彼はすぐそこまで来ています。あなたは、彼を見つけることが出来るでしょう。
神はあなたに沢山のお金を預けました。というのも、あなたは稼いだお金を、神に捧げ、それを困った人たちのために使うということを知っておられるからです。と言った。
家に帰り、母に聞くと父のバイクは緑色だったと言った。母は感激して、泣いていた。

その頃、マレーシア人の居候がいた。天道教の信者だった。世潮は神のような人の話を聞いた事はないかを尋ねると、彼はそう言えば隣家の人がいつも若い生き神様にお祈りをしていたと言った。
年は幾つぐらいかと聞くと、まだ二十歳ぐらいに見えた。インド人で確かサイババと言っていた。自分はそれぐらいしか知らない。と言った。
ちょうどその頃、近くの図書館の入り口に張り紙があり、サイババ降誕祭が二階で次の週にあると云う。
ちょうどサイババを探していたところなので、行って見ることにした。会場に入ると、二百人ぐらいの人がいて、大きな長い紙にサイババのメッセージが二枚壁に貼ってあった。
すべてを愛し、すべてに奉仕をしなさい。このメッセージは正しい。彼は本物だ。と思った。奉仕の写真がたくさん展示してあった。そして、サイババの写真を初めて見た。
左の頬にホクロがあった。あの顎と頬、肌の色、同じだった。でも、髪の毛…アフロには驚いた。
だからあの時、顔の上の方は見せてくれなかったのか。後で驚かすためだったのだ。神様は子供と変わらないと思って、一人で笑っていた。
家に帰り、今まで読んで来た本を全て処分した。
何も要らなかった。自分は見付けたのだから、彼を見つけたのだから。あとは、彼がどんな教えを説いておられるのかを知るのだ。
これで、神とのかくれんぼのゲームは終わりだと思った。あとは、彼の仕事を約束通りどんな事でもやると決めていた。
生まれ変わる前の約束、彼との約束を守るために…。そうすれば、彼も自分との約束を果たしてくれる。そう、彼の元に行けるのだ。

興奮して寝付けられなかった。嬉しかった。早速、最近買ったばかりの都心にある商業ビルの店舗を、寄付することにした。サイババを紹介する場所を作ろうと思っていた。
ちょうどその頃、インドでオーストラリアのグループがインタビューに呼ばれていて、サイババさんが、私が場所を提供するのでサイのブックショップを始めなさい。と言われた。
そして、目の前に座っていたリーダーの男の急所を足で踏みながら、「オーストラリアで、他人の妻を横取りしようとしている輩がいる。」と言われた。
そのリーダーは、欲望をコントロールする為に、禁欲の業をしていて夫としての義務を果たしていない為、夫がインドにいる間に、妻が他の男と一緒になって家を出て行ったのだ。
また、サイババさんは「私の、名を使って他の信者から金を取ろうとしている輩もいると言われた。」
ある者が、金策に困り、金持ちで新しく帰依者になったばかりの者に言葉巧みに近づき、何千万円もの金を投資させ、返済しないので裁判沙汰になったという事件が、この後すぐ起こった。
興味深いことに、他人の妻を横取りした者と、金を借り倒した者は友人同志だった。
人の思いは、付き合う友人の影響を受けます。それが、「あなたの友人を教えてください。私は、あなたがどのような人間であるかを言い当ててみせましょう」と言われる由縁です。9/10/02
世潮は、是非サイババさんに会いに行こう。と思っていた。すると、サイババさんは夢に来られて五月から八月まではとても暑いので、九月以降に来なさいと言われた。
その頃、世潮は父の龍海が華僑で中国のパスポートしか持っていなかった為、旅行社はインドと中国は戦争をしているので、中国籍の人のヴィザ取得は難しい。本国紹介になるので、ツーリストヴィザでも一年かかると言われた。
しかし、八月末にヴィザは下りた。母と6歳になる長男を連れて行くつもりだった。
飛行機を予約しに旅行社に行くと、ブリティシュエアーから電話がかかって来た。インド直行特別便が九月だけ限定で就航するとの事だった。
それを予約し、国内線乗り継ぎもついでに予約した。席を立とうとすると、予約の確認が取れたと連絡が入った。普通だと丸一日かかるのに、記録的な早さだと旅行社が驚いていた。
嫁のパスポートに、息子が写っている写真があったのでその母親のパスポートをだけを持って空港に行った。出国審査官は、息子のパスポートが無ければ出国できないと言った。
世潮は、「神に会いに行くので出国させてくれ。」と言った。出国審査官は、世潮の顔をじっと見つめた。「今回だけだよ。俺が首になるよ。」と言って、嫁のパスポートにスタンプを押した。
飛行機に搭乗すると、ファーストクラスに案内された。エコノミーのチケットだと言っても、こちらですと言って席に案内された。
インドの入国審査官も、息子がパスポート無しにやって来たのに気がついた。苦虫を潰したような顔をして、彼は「この子は母親が一緒でなければ入国出来ません。どうやって出国できたのか。」と言った。
世潮は、「彼の本当の母親はこの国にいる。プタパルティというところにいるサイババという名前だ。」と言った。審査官は、「ジェイ サイラム。」と言って、スタンプを押してくれた。

空港から出た時には、時計の針は夜中の二時を回っていた。仮眠だけなのでタクシーに安いホテルに行くように言った。
ホテルのレセプショナーは、初めて中国パスポートを見た。すぐに政府機関に問い合わせた。チェックインが終わったのが朝の六時だった。
ゴキブリが這い回っていた。トイレには紙がなく、部屋が大きな通りに面していて、騒音がひどかった。おまけにクーラーもなく窓を開けっ放しにしないと、暑くて寝れなかった。
ちょうどその日は、木曜日でサイババさんの日だった。一睡も出来なくてクラクラしたが、三人で通りに出てリクショーに乗り、最寄りのサイババセンターに行くように告げた。
大きな、サイババセンターだった。百メートル以上も人が列をなして、お供え物を持ちながら、たくさんの信者が辛抱強く炎天下で並んでいた。
仕方なしに、列に並んだ。デリーの熱帯の蒸し暑い日差しが、容赦無く三人に照りつけた。
息子や母はそろそろ限界だった。ヨシオは、事務所に行き明日プタパルティに行って、生身のサイババさんに会うので、少しだけ祭壇にお参りさせて欲しいと頼むと、少し怪訝な顔をしながら三人を祭壇の前に連れて行ってくれた。
大きな白い大理石の像だった。三人で御足に触れてお祈りし、お顔を見上げるとあの見慣れたサイババではなかった。
「誰やねん。この聖者は。何でサイババがもう一人おるねん。」と思った。
唖然としてそのまま、人ゴミに押されるままに床に座った。皆は神への賛歌を、静かに歌っていた。母は、泣いていた。
「なんや知らんけれど、涙が出てくるねん。この人見たことあるような気がするねん。」と言っていた。そう言われれば、自分もそんな気がしてきた。
そのあと、頭の中が真っ白になって来て、どれくらい長く、そこに座っていたか覚えていなかった。
このアヴァターは、シルディサイ、サッチャサイ、プレマサイと三つに分けました。
このことはこれまでのユガでは見る事はできず、カリユガにだけで見ることが出来ます。
サイアヴァターは初期のカリユガでも将来のカリユガにでも現れることはありません。
シルディババであったころ私は食事の準備をしていました。
人々は、シルディババはよく怒るといいますが、もし子供たちが食事の邪魔をすれば怒らざるを得ないでしょう?
プレマサイアヴァターでは、すべての人が、神が用意した食事に楽しくありつくことが出来ます。
p67Ananddai

自分だけの聖域が無くなった

プタパルティへ走るの車の中から見ると、石でできた墓標のような車止めが、ずっと続いていた。
世潮は母親に、「見てご覧ん。これらは、自分たちの墓石や。こんだけ沢山生まれ変わってやっと神さんのところへ行けるねん。」と言うと、東洋子は「本当や。」と言って泣きはじめた。
ようやく、アシュラムに着いた。世潮は、タクシーから飛び降りると荷物も放り投げて、サイババさんがいるマンディールに向かって走って行った。

ゲートでセヴァダル(ボランティア)に制止された。
世潮は出来るだけサイババさんの近くまで行き、サイババさんのお住まいが見えるところで、五体投地をしてサイババさんに挨拶をした。
「色々と回り道をしてしまいましたが、この 世潮 、あなたの御足の元にやっとたどり着くことが出来ました。」
「あなたとの、今世での約束を果たす為に来ました。」
「どうぞ、よろしく、この不肖の息子を使ってやってください。」
「遅くなり、すみません。スワミ。」と言って大声で泣いた。スワミとは、先生の意味でグル(先生)であるサイババさんのことを指す。
案内された宿泊施設は倉庫だった。母と息子と三人で薄い綿のマットレスの上に蚊帳を吊るして、横になった。
世潮は、サイババさんがすぐそこにおられると思うと、興奮して寝ることは出来なかった。
夢がかなった。あとは、全てをサイババさんに委ねるだけの人生で良いのだ。と思った。
重い荷物を下ろして、軽くなった気分だった。
夢を見た。ダルシャンの夢だった。サイババさんが、女性の席の方から時計と反対周りにダルシャンを与えておられた。
緑色のサリーを着たインド人の女性が必死になって、サイババさんに手紙を渡そうと手を伸ばしていた。
自分は、……!!!なんと、サイババさんの目の中にいた。
まつ毛が、目の前で大きく揺れていた。そしてあの、緑のサリーの婦人から手紙を取った。
目の中にいる自分は、それらのシーンをマジンガーZであるサイババさんを目の中でコントロールしているような気持ちで見ていた。
ほとんど寝ていなかったのに、とても爽快な気分だった。
三人でダルシャンに出かけて、息子と男側のグループに並んだ。
一番前の人がクジを引き、一番のクジを引いた列から順番にダルシャングランドに入って行けるのだ。
世潮は、マンディールのサイババがおられる部屋の方を注視していた。
サイババさんしか興味無かった。
すると、サイババさんがいるマンディールの戸が開いて年を召したインド人が出て来た。
ゆっくりとした足取りで、何千人もいる群衆をかき分けるようにしてヨシオの方へ真っ直ぐ歩を進めてきた。そして、世潮の前に立ち止まった。
世潮が、この人は誰だろうか。どうして、サイババさんの部屋から出て来て、自分の前に立っているんだろう。と訝しく思ってその老人を見上げていた。
すると、老人は「お前は何と、幸運な奴なんだろう。」と言った。
そして、世潮の肩をポンポンと叩きながら、「ラッキーな奴じゃ。ラッキーな奴じゃ。」と言いながら、列の前の方に歩いて行った。
世潮は、インドでサイババさん以外の知り合いはいないはずなんだけれど、一体誰だろう。と思った。その老人は、世潮の並んでいる列を指差し、ボランティアの人と話していた。
すると、突然ボランティアの人が世潮の並んでいる列の人だけダルシャングランドに入りなさい。という指示を出した。
世潮は、老人のことなどすっかり忘れて、大急ぎで入って行った。

もちろん、息子と最前列に陣取った。
やがて、生身のサイババさんが出て来られた。思ったより、とても小柄だった。
「あの写真で見た御顔や、嬉しい。こんなに真近くでみれる。なんと幸運な。」と感動していた。
しかし、そのあとサイババさんが、出て来られるや否や、真っ直ぐヨシオに向かって歩いて来られるのを見て、世潮はパニックになってしまった。
それも、じっと世潮の目を見据えながら、直線的にヨシオに向かって歩いて来られた。
そして、世潮の目の前で立ち止まられた。もうこの時、ヨシオの意識は興奮の最高潮に達していた。
周りの人達は、サイババさんがこのボーっとしている男の前に立たれているのを見て、世潮に早く御足を触れなさいと、背中を押した。
世潮にとっては初めてのダルシャンで、御足を触れることなど何も知らなかった。でも、言われるままに御足に触れた。
サイババさんは、世潮が人から託された50通ほどの手紙の束を、手を差し出して掴み取られ、ゆっくりと歩き去られた。
ダルシャンの後、魂が抜けたような不思議な感じがしばらく消えなかった。
ただ、サイババさんの存在感に圧倒されて、何も出来なかったし、ご挨拶も出来なかった。
二回目のダルシャンは、少し余裕が出来た。サイババさんが近くに来られた時、きちんと挨拶が出来た。
「スワミ、遅くなりましたが、あなたの召使がやって来ました。どうか仕事を与えてやってください。」と、サイババさんの顔を見て言った。
サイババさんは、満面に笑みを浮かべながらヨシオの顔を見た。すごいパワーだった。
世潮は、その笑顔をまともに見れないぐらいのパワーを感じて、涙が溢れ出て、サイババさんの顔がゆがんで見えた。その後も、毎日のようにサイババさんとコミュニケーションが取れた。
例えば、サイババさんのお顔をよく見れるようにメガネをして行くと、サイババさんは指で目の前にサークルを作りメガネのようにして、「メガネをするなんて知らなかった。しなくてもよい。」とジェスチャーをされた。それ以来メガネをかけるのを止めた。
また、白いズボンはすぐ汚れるので、黒っぽいのをはいてダルシャンに出ると、ズボンを指差して「だめだめ。」と指で合図された。それ以来、二度とはかなかった。
サイババさんは、講話で「真の信者の印は、私がいちいち口で言わなくても、指で合図するだけで指示に従う。」と言われた。

その日は、ケララ州のお祭りであるオーナム祭の日だった。
多くの信者たちが、ケララ州からバスに乗って来ていた。どこを見ても人の海だった。
プーナチャンドラホールで、ケララ州の出し物があったが、ヨシオはホールに入る気がしなかった。何万人もの人がすし詰めに座っていた。人息れと蒸し暑さで、息が詰まりそうだった。
それで、ホールを支えている柱によじ登って、外から見ることにした。
そこからだと、人混みより高い位置からよく見ることが出来た。舞台までほんの二十メートルぐらいだし、座っておられるサイババさんの後ろ姿も良く見えた。
ステージでの催し物には何の興味もなかった。サイババさんだけを見ていた。
しかしそれも、苦しくなって来た。柱にしがみついているのがもう限界だった。手がしびれて来た。もう、宿舎に戻ろうと思った。
しかし、その日はサイババさんの後ろ姿しか見てなかったので、一度だけでいいからお顔を拝見したいと思い、サイババさんにお願いした。
「スワミ。お願いがあります。もうここにしがみついているのが、限界です。もう、宿舎に戻ろうと思っています。」
「あなたは神様なので、もう私がお願いしたいことを知っておられると思いますが、私がここから出て行く前に、ぜひ一度だけで良いので、お顔を拝見させてくれませんでしょうか?」と頼んだ。
すると、その瞬間サイババさんは大きく回転椅子を回して、後ろを向き、自分の目を見てから五秒ほどして、また、前を向かれた。
世潮はとても驚いたが、サイババさんは後ろを振り返り、自分の目を見て下さったんだけれども、自分の願いが届いたからそうされたのでは無く、ただの偶然だと思った。
というのも、何万人もの人がいるのに自分の願いだけを聞き遂げるために、わざわざ後ろを振り返られる訳は無い。と思った。
でも、ひょっとしてまさか、自分の願いが届いたのかもしれない。そんな事は考えられないが、もしそうなら…と思ってもう一度試して見ることにした。
ステージ上では、ケララ州の若者たちによるダンスの出し物が、演じられていた。

「スワミ。今のは偶然だったのでしょうか。もしそうでないとしたら、御手数をお掛けして申し訳ありませんが、もう一度私の方を見てもらえませんでしょうか?」
世潮は、こんなむちゃな願いが叶うわけは無いとたかをくくっていた。だが、次の瞬間、サイババさんは再び回転椅子を回して後ろを振り返り、世潮の目を怒った顔をしながら鋭く見つめた。
今回は、五秒程度では無かった。世潮は、とても驚いて「ごめんなさい。もう充分です。あなたを試して悪かったです。すみませんでした。」
「せっかく、出し物を見ておられるのに邪魔をしてごめんなさい。」
「もう充分ですから、どうぞ前を見て下さい。」とお願いしたが、サイババさんはずっと世潮の目を見据えていた。
世潮の手から力が抜けて、柱から自分が滑り落ちて行くのが分かった。それでもまだ、サイババさんは下にずり落ちて行く自分を見つめていた。
無性に泣けてきた。ショックで肩を落とし、夢遊病者のように、ブツブツ独り言を言いながら宿舎に戻った。
母親は、「疲れたやろ。人が多いから、今日はここでゆっくりしいや。と言ったのに、言う事を聞けへんからや。」と、咎めた。
世潮は、何も返事をせず。ただ、母に自分の人生に大変なことが起きている。と伝えた。
母が理由を聞くと、世潮は「自分の、心の中を完ぺきに読めるねん。あのサイババさんは。もう下手な事も、心の中でさえ思うことが出来なくなった。」
「良い事しか、思ったらあかん様になったんや。今日、この日から。それが、分かったんや。今しがた。」
「自分の人生が、自分だけのもんや無い。神さんも一緒やというのがよう分かった。」
「神さんと一緒に生きやなあかんようになってしもたんや。」
「心の中だけは誰にも邪魔されない自分だけの聖域や、と思っていたけれど、そうやなかったんや。」
「自分が、今までの自分と違うようになる。自分が、変わってしまう。大きな事件や。自分にとっては。」
「頭では分かっていたつもりやったけれど、今日の今、本当に腹の底から分かった。」
「サイババさんは、ほんまもんの神さんや。凄い神さんや。サイババさんの言うておられる事、一字一句全部、召使のように受け入れて、自分のものにせんとあかんのや。」
「でも、こんなすごい神さんが、自分の神さんやと思っただけで、嬉しくなる。」と言った。

知らない方が良い事もある

ケララのオーナム祭も終わり、徐々に人も少なくなり、以前のような静かなアシュラムに戻っていった。
そんなある日、東洋子はダルシャンから興奮して戻って来た。
「世潮。サイババさんがあんたをインタビュールームに呼んだ時、ほっぺたをパチンするつもりやで。」と言った。
東洋子が、ダルシャンラインに座っていると、サイババさんが東洋子の前で止まられて小さい子を手招きして呼ばれた。
そして、その子に「お前はやんちゃな子だ。」と言われてほっぺたを軽くパチンと叩かれた。
そして、そのあと私の方に来て、「あなたの息子もやんちゃだったからこのように一発叩いておいくよ。」と言われたんや。
それから、私の方を向いてウインクされたんやで。
世潮は、オーストラリアに帰りたくなって来た。
ちょうど、その頃世潮達は、知り合いのオーストラリア人からグループをつくるので参加しないかと誘われた。全部で二十人近くいた。一日一回皆で集まり、交流しバジャンを歌った。
ある人が、どこかの国のインタビューで、最近サイババさんが将来の世界地図を出された話をしていた。その地図によると、地軸が傾くことによって半分近くの大陸や陸地が大津波で消えていたらしい。
日本を乗り越えた大津波が中国の西安付近まで達するという。こんな人から見たら大災害でも神の恩寵で、モンゴルをはじめ、まだたくさん陸地を残す、という話しだった。
神の目から見ると、小さな災害らしい。でも、何も心配しなくても神が全ての信者の面倒を見てくれるとの事だった。
このような噂話が、人々の間で持ちきりだった。世潮も、もしその話が本当なら自分もその地図を見て見たいものだと思った。というのも、自分もその事を信じているからだ。
もしそれが本当の話なら、大本教の出口王仁三郎はその時期を知らなかっただけで、やろうとしたことは正しかった。と思った。
というのも、彼は大峠(天変地異)の後、モンゴルが将来、霊的な中心地になると信じてそこに行き、理想郷をつくろうとしたのだ。日本人もたくさんそこへ移ると予言していた。
また、スリランカのグループがインタビューに呼ばれ、皆んな泣きながら出てきたのでどうしたのかと聞くと、グループの中にいた一人の青年の前世での名前は、ナレンと言い別名ヴィヴェカナンダという聖者だったと言う。
そして、今生では今のサイババさんが亡くなった後、次の三人目のサイババさんであるプレマババが二十歳になるまでの間、世界の指導者となる。と宣言されたのだ。
そして、サイババさんが、自分の髪の毛をわしづかみにされて抜き、この青年にお守りとしてあげられたのだった。
普通の青年だと思っていたのが、そんなに大事な仕事を約束されて、グループの人達は感激してインタビュールームから出て来たのだった。

このサッチャサイの身体は96才まで生き、その後一年間の空白期間を経てプレマサイが人の身体を取り、75年間君臨します。Anandadai p,65
プレマサイは3人のババの中でも、大変他と違って見えるであろう。
そしてプレマサイ降臨の時までに、世界は今より良好な状態になっており、プレマサイは最初の20年間、誰にも名を明かさず、あごひげをつけた状態で動き回るだろう。P57神の化身SS Baba

また、アメリカから来たグループの中の一人の青年が、サイババさんを見る度に罵っていて、皆のひんしゅくを買っていたのに、インタビューに呼ばれて以来、借りてきた猫のように静かになったのでどうしてか尋ねたところ、
この青年の、母親がガンと宣告されたが、サイババさんの帰依者だったのでインドに来てサイババに会って病気の事を言ったところ、サイババさんは、卵の形をしたリンガムを物質化させ、その夫人にこれを寝る前に水に浸し、あくる日の朝にその水を飲めば良い、と言われた。
家族が反対する中、全ての治療を拒否してその水だけを飲み続けた。
しかしその甲斐もなく、亡くなってしまったのだった。
母親思いの息子は、「母親が亡くなったのはサイババさんのせいだ。」と言って怒りをぶつけにわざわざアメリカから来たのだった。
インタビュールームで、サイババさんはその若者を奥のカーテンで仕切ったプライベートインタビュールームに招き入れると、そこに亡くなったはずの母親が立っていた。
そして息子に、「私のことを思ってくれるのは有難いのだけれど、サイババさんから頂いたリンガム水のおかげで、痛みもなく身体を離れることができ、こうしてサイババさんのお側で過ごさせて貰っています。」
「息子よ。どうか、私のこの平安の邪魔をしないで欲しい。」と言ったという。
いつも賑やかなイタリアから来たグループは、インタビュールームから大笑いしながら出て来た。
彼らの内の、一人の婦人がサイババさんにチャレンジをして、「あなたが、本当に神様なんだったら、どうして指輪やネックレスのようなものばかり出して、生き物を出さないのですか。」
「生き物は神の創造物だから、あなたには簡単なはずでしょう。」と言った。
サイババさんは両手を合わせてから、ゆっくりと離していくと両手の真ん中から猿が現れた。
そして、小さなインタビュールームの中を飛び回った。
その婦人は、キャーキャーと猿のように跳ねて叫びまくった。
サイババさんは、その夫人に「生き物を出すぐらい私にとっては簡単なことですが、こういう様に収拾がつかなくなるので、出さない様にしているのです。」
「ちょうどあなたは、三本バナナを持っているのでそれをエサにして猿を捕まえましょう。」
その婦人は、「私は、バナナなんて持っていません。」と言うと。サイババさんは、
「じゃあ、あなたのバッグに入っているフルーツは何ですか?」と聞かれた。
「婦人は、そんなもの知りません。」と言って、バッグを開けると三本のバナナが出て来た。
サイババさんはそれをエサにして、猿を片手で捕まえ、もう一方の手で上から猿を押さえるようにすると、猿は消えてしまった。
アシュラムの売店は忙しい。マンゴーアイスクリームがとても人気があるし、フレッシュジュースもとても美味しい。
また、イタリア人のボランティアが作っているピザは、本場の味だった。
それら全てが、ヴェジタリアンでしかも、考えられないぐらい安い値段で買えた。
ある日、息子と二人でいつものように、売店でフレッシュジュースを注文し、コップを口につけようとした時、ポチャンという音がした。
どこからそんな音がしたのかと思って周りを見回すと、猿が木の上から真下にいるヨシオを見下ろしていた。
そっと、コップの中を覗くと、猿の糞が浮かんでいた。
百発百中だった。
アシュラムの中は、とにかく野良犬が多くていつも残飯をあさりにウロウロしていた。
犬猿の仲、と言われる通り猿とも時々もめていた。
どうしてこんなに、野良犬が多いのか、サイババさんに聞いた人がいた。
「それは、彼らの前世はナチスのように人として生きる道を誤った者達です。」
「私は、彼らをここで面倒見ているのです。」
と言われた。

シンガポールから来た信者は、次のような興味ある話しを紹介してくれた。
友人が、インドにいる聖者に会いに行くので仕方なく一緒について来た人が、友人と共にインタビューに呼ばれた。
サイババは、聖者と聞いていたので、自分の前世について多分知っているだろうと思い、尋ねたところサイババは知らない方が良い。と言った。
それでも、しつこく聞くと、サイババは「明日、お前は前世での息子と嫁に会えるでしょう。」
「そして、前世でお前を毒殺した嫁の愛人にも会えるでしょう。その者は、今世では、ラジャという名前で呼ばれています。」と言われた。
インタビューにも呼んでもらったし、あくる日にバンガロールへ行った。シンガポールに帰るまでに少しお土産でも買おうと、オートリキショウに乗って買い物に出かけた。
交通事故に巻き込まれて、リキショウは横転した。
幸い大きなけがではなかったが、近所の婦人が家で傷口を洗い介抱してくれた。
見ると、部屋の隅に大きな男が、子供のように何かに耽って遊んでいた。
明らかに精神に異常をきたしているようだった。
婦人は、訝しげにその男を見ている自分に気がついて、「そうなんです。子供の頃、毒をもられた杯の残りを飲み干して、廃人になってしまったのです。」と言った。
もう、これ以上聞かなくても十分だった。
自分の前世の息子と嫁だった。
事故のショックよりも前世の嫁と息子に会えた、しかも自分の息子がこんな、悲劇的な状態になっているのが分かり、それが辛くてとぼとぼと肩を落として裏道を歩いていた。
確かに、サイババさんの言う通り自分の前世なんて聞かなかった方が良かった。と後悔した。
すると、前の方から子供達の一団が泣きながら走って来た。
子供達は、口々に飼い主はいないが自分達のペットだった犬が車にはねられて死んだ。と犬の亡骸を抱えて走りながら泣いていた。「ラジャ、ラジャ、」と言って泣いていた。
人が動物に生まれ変わる可能性はあります。
しかしまれにしかそういうことが起こらないのです。
徳の欠如による人の生まれ変わりの下降現象は、普通レベルの低い人間となって生まれ変わります。
しかし、実はどの生まれ変わりの生においても、あなたはアートマンとして存在しているのです。

My Baba &Ip188

少し気持ちに余裕が出来たので、母、東洋子と息子を連れてアシュラムの周辺を散策に出かけた。少し歩くと大きな広場に出た。

ヒルビュースタジアムというところだった。
ここなら、何十万人もの人を収容出来るね。と東洋子と話していた。

ふと丘の上を見ると丘の頂上に素晴らしい寺院のような建物があった。

世潮はその建物に見とれていた。世潮はこの辺りの丘を通る霊気は普通じゃない。
凄い霊力がこの辺りの建物に向かって集中していると感じた。

そして、この辺りに建てられる建物が、将来本当のサイババさんのお住まいになると思うよ、と東洋子に言って丘を三人で登り始めた。

少し急な坂だったがとても見晴らしのいいところだった。爽やかな風がうっすらと汗をかいた頬を吹き抜けて行った。丘の頂上にある建物に辿り着き、それを見上げた。思ったより大きな建物だった。世潮は、その建物の荘厳さに圧倒されて言葉が出て来なかった。
入り口の戸は開いていた。誰もいなかった。三人で中に入って行った。
まるでモスクのような建物だった。あちこちの部屋を覗いたり廊下を行ったり来たりして十分に探索した頃、年老いたインド人がやって来て、世潮にこの建物は新しく出来たばかりで大学の本部になると教えられた。
世潮はそれを微笑みながら黙って聞いていた。
三人で建物から出て岩の上に腰を下ろし、アシュラムや、その向こうにあるプッタパルティの村や丘を見ていた。世潮は時が来ればここは世界の聖地の中心地になると思った。そしてこの辺りの建物は聖地の中の聖地になるだろう。なんという幸運な事だろう。その時、誰もこの建物に近づくことさえ出来ないだろう、と思った。パースのサイセンターから頼まれて五百枚ほどサイババさんの写真をバジャンの本の裏表紙に使うので、買ってきて欲しいと言われたので店に置いてあった全ての写真を買った。しかし、結構な量と重さになったので郵送することにした。
アシュラムの外に郵便局があるというので行き、写真を持って係りの人に説明すると、近くの洋装屋さんに行って布で包んで縫ってもらわなくてはならないと言われた。
その係りの人は親切に洋装屋さんまで案内してくれて、郵送するのを手伝ってくれた。
そして、その係りの人に礼を言って郵便局から出ようとすると、あの〜私はサイババさんの実の弟なんです。良ければ、私の家に来ませんか?と言って家に招待された。
そう言えば、背丈はサイババさんより少し低いけれど、顔や声質、笑った顔などは本当にそっくりだった。

世潮達も、少し奥まったところにあるが、トイレシャワー付きのユニットに移る事が出来た。
一階だが、ダルシャンに行くにはとても便利だった。何と言っても、人通りが少なく静かなのが有り難かった。
掃除をしに、おばさんが来てくれた。「明日の朝、インタビューに呼ばれるね。あんた達。とてもラッキーだね。準備をしておきなさい。」と言って出て行った。
母と顔を合わせて、「今のおばちゃんは何や?サイババさんか。でも本当だといいね。」と言った。
あくる朝、世潮が目を覚ますと、息子と母が心配そうに顔を覗き込んでいた。
「大丈夫かい?」と母が尋ねた。
世潮は、「朝の挨拶は、大丈夫かい?ではなく、おはようだろ?」と言った。
「いや、昨夜あんたが大きな声で、寝ながらオームを何度も唱えたかと思うと、突然調子外れのガヤトリマントラを唱え始めたので、びっくりしたよ。とても大きい声だったよ。」
そう言えば、昨夜見た夢を思い出した。「インド人の足のない霊達が、ざっと見ただけで二十人ぐらい一列に並んで、自分の方に音もなくそーっと近づいて来るんだ。とても不気味だったよ。」
「先頭にいたのは、メガネをかけていたな。長年スワミに使えておられたカスツーリ博士にそっくりだった。」
「思わずガヤトリを唱えようとしたけれど、オームを唱えた後の言葉が出て来ないので、少し焦って何度かトライしたらようやく、唱えることが出来た。」
「そのあと、とても平安な気持ちになれたんだ。何だったんだろうあれは?不思議な体験だった。」と言った。
その朝、ダルシャンでサイババさんは、オーストラリアグループにいた世潮に、「お前たちはどの国から来たの?全部で何人いるの?」と質問された。
世潮が「オーストラリアからです。全員で十八人います。」と答えると、「インタビュールームに行きなさい。」と言われた。

異次元を通って帰ればすぐだ

オーストラリアのグループが前回インタビューに呼ばれた時、一人のニューカッスルから来た帰依者の妻が、オーストラリアで急病になったのでその者は、急きょ帰国する準備をしていたところだった。
サイババさんは、その男に「オーストラリアのどの都市に住んでいるか。」と尋ねた。
彼は、「ニューカッスルです。」と答えた。
サイババさんは、自分の座っておられる椅子の横の壁を拳で軽く叩かれた。
すると、ニューカッスルの地図が壁全体に現れた。
そして、「どの地区に住んでいるか。」と尋ねられた。男が答えると。
サイババさんは、もう一度壁を叩かれた。
その地区の、一つひとつの家の屋根まで描かれたくわしい地図が現れた。
最後に、サイババさんは「どの家だね。」
と尋ねられた。
男は、「この家です。スワミ。」と答えた。
サイババさんが、壁を叩くと男の家の玄関の扉の原寸大の絵が現れた。
サイババさんは、「お前の妻の身体の調子は良くないが、私が面倒見ておいたので峠は越えている。でも、すぐに帰って世話をしてあげなさい。」
と言われて、壁に描かれた扉を指差された。
男は、戸惑いながらも壁の絵に近づくと、そのまま壁に吸い込まれるように消えてしまった。
サイババさんはグループのリーダーに、「彼の持ち物はあなたがオーストラリアに送って上げなさい。」と言われた。
グループのリーダーは、「パスポートは、どうすればいいでしょうか?出国のハンコが押してありませんが。」と尋ねると、
「私が、一回毎、壁を叩く度にハンコを押していたので問題ない。」と答えられた。
後ほど、パスポートを調べると確かにオーストラリアの再入国のハンコまで押してあった。
世潮は今日、その伝説の壁も今から見れるのだ。と思った。

また、マンディールのベランダで待っている時、これからサイババさんが先日母に言ったように、自分のほっぺたを叩くのだ思うと、興奮して少し震えが来た。
サイババさんが、ダルシャンを終え戻って来られた。そして、インタビュールームの扉を開けて、「入りなさい。」と言われた。
こういう事を毎日続けて休みなしに、信者のために何年やっておられるのだろう。別に、何の自分の利益にもならないし、金儲けでもない。
現に、自分たちの宿泊している部屋は一日百円しか払ってないし、食事もとても美味しいベジタリアン料理がこれまた一食百円もあれば食べ放題なのだ。
サイババさんは、部屋に入ろうとする世潮に、「君はオーストラリアから来たと言ったけれど、まだオーストラリア人じゃないね。」と独り言のように言われた。
世潮は、「あなたは、神さんだから全部ご存知ですね。」と心の中で答えた。また、部屋に入ろうとしていた母にも、「How are you?」と、とても心がこもった言い方で挨拶された。
東洋子は、びっくりしたようで口をもごもごさせながら、「I'm fine.Thank you Swami.」と言った。
サイババさんは、世潮の息子を自分の前に立たせ、「この子はまだ六歳の子供だ。あと三十年経つと一人前の男になる。」

「六十年も経てば、人は彼を老人と呼ぶだろう。」
「このように、彼の身体は変化して、人は彼を年と共に違うように呼ぶが、彼の中にあるアートマは変わらない。ということは、彼自身は、変化するこの肉体では無いという事だ。」

そして、世潮の方を向いて空中で手をクルクル回して指輪を出された。
世潮は、サイババさんの隣に座っていた。そして、その指輪をヨシオの目の前に持って来た。
世潮は、指輪なんて全く興味が無かった。じっと、サイババさんの目を見ていた。
それは、九個の宝石を煌めかせた指輪で、世潮が長い間探していた物だった。
というのも、スリランカ人の友人がこれと同じ指輪をしていて、一つ一つの宝石の持つパワーが、九つの惑星から出ているネガティブの力と、中和するので指輪の持ち主に影響を与えないと言っていた。
同じ指輪をするなら、霊的に御利益があるのがいいのに決まっている。と思って宝石店巡りをしたが、見つけられなかったのだ。

でも今、こうしてサイババさんと一緒にいるだけでハッピーだった。他に何も興味が無かった。
サイババさんは、「この指輪の貰い手がいない。」と言われて指輪にフット息をかけると、それは宙に消え去った。
「何か質問はあるかい?」と聞かれたが、何も思い浮かべられなかった。何か、彼に聞かなければいけないことなどあろうか。
彼が、愛の化身が、神御自身が、目の前にいて、自分に話しかけて下さっている。これ以上、何を求めることなどあろうか。
世潮は、この時が永遠に続いて欲しいと思った。
インタビューも終わりの頃、みんなが席を立とうとして腰を上げているどさくさに、サイババさんは世潮のほっぺたを軽く弾くように叩かれた。
世潮はそれを期待はしていたが、少し驚いてサイババさんの顔を見た。
ニコニコされているだけで何も言わなれかったが、世潮の目を覗き込んでいるサイババの目は、「お前はやんちゃだったな。」と言っている目だった。母は、それを見て微笑んでいた。
まだサイの教えに触れる前、やんちゃな事、無茶な事を沢山して母親を困らしたり、心配させたりした事が、走馬灯のように頭を横切った。「親不孝をいっぱいしちゃったな。」と思った。
サイババさんに、「カルマを取っていただいて有難うございます。」と言った。
夢のような時が過ぎて行き、三人とも部屋に戻った。満足だった。「来て良かった。」と母がポツリと言った。「最高やったな。」と世潮が答えた。
あくる日の朝、世潮は、「もう帰ろか。」と母に言った。「でも、ちょっとサイババさんに、帰っていいか聞いてくる。」と言って歩き出した。
一人でふらりと、朝のダルシャンが終わって誰もいないグランドに面したサイババさんのお住まいを、ゲートにもたれて見つめていた。
最初ここに来た時、この場所でサイババさんに五体投地して挨拶したっけ。まだ二週間も経っていないのに随分前のように感じた。
「サイババさん、ありがとうございます。こんなにも目をかけて頂いて、愛を一杯もらって、感謝しています。そろそろ帰ろうと思いますが……」と心で呟いていた。
突然、サイババさんの車を入れてある車庫の扉が、大きな音と共に開いた。あの見慣れた、サイババさんの車がゆっくり近づいてきた。

そして、中におられるサイババさんが、左手を世潮に向け、空中で円を書くようにされた。「行っていいよ。」という意味だとすぐに分かった。
すぐに、荷物をまとめてスーツケースを部屋の前の通りに並べ、タクシーを待っていた。部屋のある宿泊棟は、奥まった場所にあり、あまり人も来なかったのでタクシーが来てもすぐに自分たちを見つけるだろうと思った。。
サイババさんとも、先ほどお別れ出来たし何も名残りは無かった。
遠くに車の影が見えた。息子を呼び、母と三人で通りに並んだ。手を振ってタクシーに合図した。
しかしなんとその車は、サイババさんの車だった。三人が並んでいる真横に来られて、手を振られた。「サヨウナラ。よく来たね。」と言われているようだった。
神様が自ら、自分たち三人にさよならの挨拶をされる為に、こんな奥まったところまで来られた。
言葉には出来ないぐらい感激した。


信者が自分を神の信者だと思い込むのは信者の勝手。
それで、信者の一丁あがり。
愚か者、たわけ者、無知にどっぷり浸かった者よ
そんな事ではいつまで経っても信者は信者のままになる
信者が、自分は信者だと主張して、神を求めてもがいても
海の底深く沈んで行くだけ本当は、神が認めたものだけが信者となれる
神が信者を探していて、決してその逆ではない
神が信者と認めないと、決して信者と呼べないのだ
神が認める信者とは、自分を神と為せるため、どんな事でもする者なり
神が認める信者とは、自分を信者から解き放つものなり
神が認める信者とは、自らを神のレベルに高めるものなり
神が認める信者とは、神と信者との違いを認めぬものなり

そんなに無理に焦って信者にならなくてもいいんだよ
この世は、実は神の戯れの遊園地なんだから
愚か者、たわけ者、無知にどっぷり浸かった者のままでいいんだよ
そのままの方が、神を求めて泣けるんだ
神の甘露を味わえるんだよ
そっちの方がいいんだよ
良い子ぶらなくてもいいんだよ

もう迷える子羊じゃない

拡がりゆく至高の平安を意味するプラシャンティから再び、世俗の喧騒の中に戻って来た
しかし、ヨシオの心はまだあの、アシュラムの中にいた。
サイババさんの決して言葉にできないほどの、愛のパワーを経験し、それを思い起こせば、いつでもどんな時でも、そのモードに自分を切り替えることが出来た。
あのサイとの神秘的体験が、それからもずっと心の中に残っている。これが、スワミがダルシャンを与える秘密なのだ。と思った。
「神を観、神と話し、神に触れる。」というこの三つの神聖体験をするために、ヨガ行者や聖者たちは何十年、時には何回も生まれ変わって、苦しい行を山に籠って行わねばならなかったのだ。
それを、エアコン付きの車に三時間乗って、アシュラムのバストイレ付きのユニットに宿泊し、美味しいベジタリアンの料理を食べながら待っていると、神御自身がお呼びくださってそれらの三つの体験が出来る。
自分達は、何という幸運な星に生まれたのだろうと、感謝せざるを得ない気持ちになった。
ヨシオ達は、その日バンガロールのホテルに投宿した。明後日の夜には例の直行便でパースに着いている頃だろう。
その夜、サイババさんが夢に来られて、こう言った。「お前がここに来る前、私はお前にコンタクトしようとしたが、針のような小さい穴を通じてするようで、とても難しいかった。」
「しかし今は違う。お前と私は、…」
と言われるや否や、その針の穴がとても大きくなり、ヨシオはその穴に入って行き、穴の向こうにおられたサイババさんの鼻の穴の中に吸い込まれてサイババ自身になってしまったのだ。
これが、神との生まれる前での遠い昔に交わした約束事だった。ヨシオはこれをずっと待ち望んでいたのだ。それを、サイババさんは、夢の中で実現して下さった。
これからの人生は、彼に、百パーセント従い、彼の道具となって生きて行けばいいのだ。と思った。

私はもう、迷える子羊ではない。
自分には、グルが出来た。
自分には、導き手がいる。自分を守って下さっている方がいる。
自分には、世界中の誰よりも自分を愛して下さっている神がいる。
そして、その神は、神と自分は一つだと、説いておられる。
愛の神様。私の本当の親。そして私の中の本当の私。
実は、この世界には、もともと私しかいなかったのだ。

出た〜。未来の地図だ。

汽車の中で会った謎の聖者に導かれ、サイババさんのアシュラムに来たのは良いけれど、星やんはどうしてもベナーレスに行き、ガンジス川で沐浴だけはしたいと願っていた。
夜半すぎから降り出した雨は勢いを増していた。
夜中に、何か異様な悪臭と生ぬるい嫌な感じで目を覚ますと、周り一面、部屋中水浸しで、しかも一階の土間に寝ていたために、トイレから逆流した汚物を含んだ汚水の中に、自分が寝ていたのに気がついたのだ。
その後のことは、想像にお任せすることにして、やっとの思いで朝のダルシャンに出ることが出来た。
サイババさんは、星やんをインタビューに呼び、こう言った。「ガンジス川での沐浴はどうだったかね?」

そして、おもむろに一方の手の平から、もう一つの手を使って紙の筒のようなものを二つ取り出した。
それらを、一つずつ丁寧に広げ左右の手で一つ一つ持ちながら、星やんに尋ねた。
「どちらを選択するんだ?」
星やんは、一体、何事が起こったのか状況判断が出来ぬまま、二つの紙のような物体を目を凝らして見つめた。
どうやら、表面にシワが沢山あるので鹿革のようなものに、何か描いてあった。
一つは、人の顔のようだ。そうだ。何処かで見たことがあるぞ。プレマサイの顔だ。でもあごひげが無い。多分、剃ったところなんだろうか?
もう一つの、絵は何だろう?一筆書きで描いた世界地図のようだ。でも、こんな地図は見たことがないな。
ここは、アメリカのようだ。とすると?なんだこの地図は!たくさんの国が描かれていないじゃないか!全くわけが分からない絵だな。

「スワミ。こちらの絵は、わけが分からない地図の絵だし、もう一つの絵はハンサムなプレマサイの絵でしょう?僕はプレマサイの絵を選択します。」と言った。
サイババさんは、二つの絵を筒状にして丸め、それらを手のひらの中に、無造作に押し込んだ。絵は、また亜空間に消えていった。
「プレマサイを選択したね。じゃあ、お前はプレマサイの時代に、マイソールでまた生まれ変わってもらおう。」
星やんは、目の前で繰り広げられた神の遊戯にただただ圧倒されていた。
日本に戻り、その時インタビュールームにいた、他の二人の仲間と星やんは、冬の鳥取の大山(だいせん)のホテルに来ていた。
「私は、あの地図の中に細くなった日本があったのを見たわ。」
「いや、僕は目の前で見たから,しっかり見たけれど、君が見たのはロシアのウラル山脈だよ。」
「いずれにしても、何か地球に大変動があるはずだよね。でないと,サイババさんがあんな地図を出すわけないよね。」
「多くの国々が地図から消えていたから、多分大洪水だな。地図によると太平洋から何らかの理由で大津波が押し寄せて来るんだろう。」
「とすると、僕たちは間違っていないよ。ここ大山だと日本海側だし、多分大丈夫だから、ここをベースにしてバスでも確保して、山の方に皆んなをピストン輸送すればいいよね。……」
もう、時計は軽く夜中の2時を回っていた。突然、ドアをノックする音が聞こえてきた。
誰だろう?こんな遅くに?恐る恐るドアを開けると、そこには、なんとサイババさんが立っていた。

「邪魔したかい?入ってもいいかい?」と尋ねられた。みんな声が出なかった。
「も、も、もちろんですとも。スワミ。どうぞどうぞ。」と言うのがやっとだった。
サイババさんは、手から白っぽいビブティを出し、「これを食べなさい。お前たちが話していることは無駄な事で、私が意図した事と違う方向へ行きそうなので、こうしてやって来たんだよ。」
星やんらは、サイババさんをたった三人だけで占領出来て、天国にも登るような気持ちだった。
「スワミ、足を触れさせて下さい。」と頼むや否や、スワミの返事も待たず、三人ともサイババさんの足元にひれ伏していた。

「何か聞きたい事があるかね?」
「あります。どうしてサイババさんが出された世界地図のような事が、起こるのですか?人々が地球の環境を破壊しているからですか?」
「それもあるが、一番の理由は人々がダルマに反する行為をやっとるからじゃ。人の地球での活動は、母なる地球の力と比べると、大したことはない。」
「母なる地球は、地球にある全ての創造物を、一から再び創り上げることだって簡単にできる。それに比べると、人が地球上でやっとる事なんぞ、微々たるもんじゃ。」
「しかしの、母なる地球は、人々のダルマに反する行為には、目をつぶって、見て見ぬ振りをするわけにはいかんのじゃ。」
「特に大きな都市では、お前たちも知っている通り、嘘、暴力、不道徳、妬み、高慢などのダルマに反する行為をする者で満ち溢れておる。それゆえ、母なる地球は、それらの大都市を破壊する事にしたのじゃ。」
「スワミ。僕はインタビュールームでプレマサイの絵を選択して、もう一度マイソールでプレマサイの時代に生まれ変わらなければならない。と言われましたが、もし、仮に地図を選択していたらどうなっていたのでしょうか?」
「もし、お前が地図を選択したのなら、この生でたくさんの奉仕の仕事をしなくてはならない。たとえば、オーストラリアでも、たくさんの奉仕の仕事がある。さあ、これぐらいで充分だろう。」
その瞬間、部屋の灯りが全て消え、また、灯りがついた時にはサイババさんの姿は消えていた……。

四人の花嫁候補

世潮は第一回サイババ全国大会で星やんと会いいつも行動を一緒にしていた。
どこへ行く時も、星やんは小さなかばんを持ち歩いているので、ある日一体何を入れてるのか聞いたことがある。
すると、おもむろにカバンを開けると、大事そうに箱に入った小さい10cmぐらいのガラス付きのサイババさんの写真が入っている額を取り出した。
ババの顔はビブティに覆われていて半分ぐらいしか見えない。
そして、その箱もビブティだらけだった。
「ほっとくと、一杯になるんです。」と星やんは言った。
「バジャンの時にこれを祭壇に置くのに持ち歩いているんです。」
そして、バジャン会場に着き、お祈りが始まると、先ほどきれいに拭いたはずのビブティが写真から噴き出し始めた。
それも、今回はサイババさんの写真とガラスの間に出てきているようだった。
バジャンが佳境に近づいた頃、突然パチンという音がしてガラスが割れた。
大量のビブティが行き場を失いガラスを割ったのだ……。

いつでも、どこでもスタやんはバジャンを口ずさんでいた。
そして、少し間が空いたかなと思って顔を見ると、サイババさんへの思いに感極まって涙を流していたのだ。
星やんは、世潮にインドで体験した興味深い話しをしてくれた。それはコダイカナルでの事だった。
ボランティア達が一列になって竹で編んだザルに土を載せ、ビルの建築現場に運んでいた。
星やんも列の中央付近にいたが、とても辛くなって罪の意識にかられながら列を離れ、誰からも見えないビルの反対側の木陰で腰を下ろしていた。
すると、いつの間にかサイババさんが目の前に立っておられた。
星やんは、サイババさんが、自分が隠れて休んでいるのを咎めに来られたと思い、
「すみません。すぐに列に戻るので許して下さい。」と言った。
するとサイババさんは、「いいんだよ。ゆっくりそこで休んでおきなさい。ところでお前は毎日、日記をつけている手帳を持っているだろう。ちょっとそれを出してごらん。」
そして、サイババさんは手帳をめくり、ペンで空いているページに何やら書き始められた。
そして、手帳をポンと返しながら、「ここにこれからのお前が、どのように生きて行ったら良いか、人生の指針を記しておいた。それらをよく読んでおきなさい。そして、将来のお前の花嫁候補の名前を書いておいた。四人の名前が書いてあるが、どの娘もとても良い娘だ。お前が一番気に入った娘を選ぶが良い。」と言って立ち去られた。
星やんは、その手帳をヨシオに見せながら
「このうちの三人にはもう出会ったんやけれど、あと一人はまだなんです。」と言った。
世潮が「ところで、その三人の娘さん達はええ娘やったか?」と聞くと
「はい。とても。でも四人目の娘と会ってから決めようと思ってます。でも、僕、本当は結婚なんかしたくないんです。神さんの事だけ思って生きて行きたいんです。」と寂しそうに答えた。
そして、星やんはそれを貫き通した。彼は、一生結婚しなかったのだ。
また、このような話もあった。
サイババさんがムンバイへ旅立つことになり、星やんも一緒について行くことにした。
今回、星やんはS夫妻と同行した。
やがて、ムンバイのダルシャン会場に着いたが、信じられないぐらいたくさんの人が集まっていた。すると、S夫人に突然、セヴァダル(ボランティア)が来て、
「あなたにバジャンをサイババさんが歌って欲しいと言っておられますので、最前列まで急いで来てください。」
と言って彼女を連れて人混みの中へ消えて行った。
星やんは唖然として、S氏に「こんなこともあるんや。」と言った。
S氏は「あいつの夢やったんやで、サイババさんの前でマーナサバジャレの歌を唄うのん。」
と言う声が泣き声になっていた。
その間、S夫人は他のインド人のバジャンシンガー達から怪訝な顔で、ジロジロ見られながら最前列に席を取った。
少し緊張したのでチューンがハイピッチになったが、自分でとても満足だった。
何と言っても、目の前に憧れのサイババさんがいて自分の上手でもない歌を聞いていてくれて、これ以上の幸福な事はない。と思った。
バジャンセッションも終わり、信者達がぞろぞろ帰り始めた時、またセヴァダルが来てサイババさんがお呼びだと伝えに来た。
急いで、サイババさんのお部屋へ行くと、サイババさんは部屋の横にあるトイレにちょうど入られるところだった。
こんなとこ見られちゃったなと、少しバツの悪い顔をしてトイレに入られた。
ほんの数人だけしか部屋にいなかったけれど、それを見て皆で顔を見合って微笑んだ。
そのうち、お小水の音が聞こえてきたが、その直後にその音を聞かせないようにする為にか、サイババさんが大きな声でトイレをしながらバジャンを歌い始めた。
皆は、もうたまらず笑いこけてしまった。
ニコニコしてトイレから出てこられると、サイババさんは床に直接座られた。
そして、とてもリラックスした様子で幾つか、冗談を言って皆を笑わしたあと、横になって目を閉じられた。
皆はそっと、円状にサイババさんの身体を囲むように、座り直した。
そのうちの一人が、目配せをしてS夫人にも、横に来て座るように合図をした。
やがて、目配せをした信者が小さい声でバジャンを歌い始めた。
他の信者達もそれに合わせて、小さい声で歌い始めた。
横になって休んでおられるサイババさんを起こさないように、優しいチューンのバジャンだけを選んで一人ひとり順番に歌った。
サイババさんは、静かに寝息を立てておられた。
オレンジ色の見慣れたローブが、静かにそしてゆっくりと、寝息を立てる毎に上下に動いていた。
だんだんとS夫人は、自分がいるところが、地上か天国かサッパリと分からなくなって来てしまった。
だんだんと自分の生きている世界に戻りたくなくなってきた気分だった。
世俗の事には、一切関わりたく無くなって、全く関心も無くなってしまった。
このままずっと、時間が止まればいいのに、と願った。
このままずっと、サイババさんと一緒に....... ずっと 一緒に.....ずっと ずっと ずっと 一緒に.........
星やんは、S夫人が戻って来て以来、無口になっているのに気がついた。
「僕も、その気持ちがよく分かる。もう神さんしか欲しくなくなるんや。」
「やれ結婚だの、財産だの、人間関係のゴタゴタだの、金だの、政治や世界の事なんかどうでも良くなってしまうねん。」
「神さんしか欲しく無くなるねん。神さんしか要らんようになるねん。神さんだけやねん。」
「でも、そうしてたら、やがていつか、神さんでさえも、いらんようになる日が来るらしい。」
「だって、自分自身が実はその、自分があんだけ追い求めていた神さんやったて分かる時が来る.....」
「その時まで、その時が来るまで....神さん〜。神さんよ〜。神様〜。神様よ〜!と泣いて叫ばなあかんねん。」
「あんたの奥さんの気持ちはよく分かるで。ほんまによく分かる。」とS氏に言った。
私たちが、より強い愛で神に向けば向く程、この世界は小さく感じられて行き最後にはほとんど認知出来ないくらい小さくなってしまいます。実際のところこの世界はハート以外何も無いのです。
サイババとの会話p99

最高の日本人帰依者

その後、しばらくして星やんは、この世を去った。
次の生は、マイソールにプレマサイの信者として生まれるという事を、サイババさんに約束されながら……。
とても、繊細で傷つきやすかった星やん。
いつも、「他の人のエゴと向き合うのが、この世で一番辛い事や。」
「この世に、生きることって、まるで、拷問のようや。」
「なんで、こんなに他の人を平気で傷つけることが出来る人間が、愛の神様が創ったこの世に、ウジャウジャいるかがわからん。」「あいつら、人間やない。」
「姿かたちは、人でも、魂が人と違う、まだ獣のレベル、子供のレベルの奴らが、いっぱいこの世にはびこっている。」「ああ、嫌や、嫌や。」
「僕は、神様だけと向き合って生きていきたいのに、ただそれだけが僕の願いやのに、なんで、毎日、こんな辛い思いせなあかんのか分かれへん。」といつも、泣いていた星やん。
行きつけのインド料理レストランで、「他のお客さんの邪魔のなるから小さい声で歌って下さい。」
と、注意されるまで大きい声で、料理が出されるまでバジャンを歌ったよな。
アシュラムでサイババさんに無視されている時、とても落ち込んでいたよな。
でも、「これ以上僕は耐えられません。」と、言ってダルシャンを与えているスワミの御足に抱きついて、「スワミ、お許しください。お許しください。お願いします。僕はこれ以上耐えられません。」
「僕がどんな罪を、知らず知らずに犯したかサッパリ分からないのです。思い出せないのです。」
「ですから、これからは気を付けて、二度と間違いを犯さないようにしますので、以前のように僕に微笑みかけて下さい。以前のように僕の瞳を見て下さい。僕に話しかけて下さい。」
「お願いします。お願いします。でないと、でないと.....僕は、お許しいただくまで、このあなたの御足を絶対離しません。」と言って泣きじゃくってサイババさんを困らしていましたね。
また、おいらのつくったバジャンを、とても気に入ってくれて、涙を流しながら歌ってくれたよな。ありがとう。星やん。
ほんの、一部の古い帰依者しか、あんたとサイババさんの、驚くべき、信者と神の愛の話は知られていないので、ブログで紹介したぜ。
少しでも、後に続くバクタ達が、あんたの汚れ無き、全きの神への帰依の心から、何かを学び取ってもらえることを、願っているぜ。
世に自分のことが紹介されて、少し照れ臭いかもしれないけれど、あんたも、きっとそう願っている、とおいらは信じているよ。
あんたは、おいらたちに神に愛される信者のお手本を示してくれたよな。
いつも、おいらに「神に愛されるには、いい子になってたらあかんねん。」
「神さんを求めて泣かなあかんねん。」
「そうして、初めて神さんはこっちを向いてくれはるねん。」
「幼い子供みたいに、小さく、自分のエゴを小さく、そう、小さいガキになって、初めてサイババさんの手の中で抱かれる資格が出来るんや。」と、言ってくれたね。
もし、もう一度皆さん全員が子どもになることができれば私はとても幸せです。
子どもは怒り、情欲、嫉妬、うぬ ぼれ、そしてエゴという悪い性質をもつことは決してありません。
イエス キリストはいつも子どもたちの無垢な性質を喜んでいました。
ある時、イエスは群集の中にいた一人の母親のひざから小さなこどもを抱き上げて言いました。
「私はこの小さな子どもが大好きです。彼女は神のすべての資質をもっています。」
「純粋でエゴもなく、完全な至福の中にいます」
子どもは本質的に神です。
大きくなるにつれ、子どもは過度の欲望、執着、怒り、嫉妬などといった悪い性質を育ててしまいます。
年令を重ねるとともに、悲しみと困難もまた増します。
単純で純粋無垢な子どもは、神への道です。
私はあなた方に、少なくとも一日に一分間、子どもになってほしいと思います。
皆さんは子どもの特徴である気高い性質を見習うべきです。

28/8/04
そうそう、あんたのあんなに大事にしていた、サイババさんの直筆の入った写真、おいらの家宝にするぜ。そして例のババが物質化された柿も食べさせてくれたよな。大事に冷蔵庫に保存してババの事をこれを食べたら思い出すんです。とか言ってほんの少しずつしか食べていなかったのに、おいらに手渡すや否や、半分以上残っていた柿をおいらは一口で食べてしまったよな。とても甘くて美味しいな。と言うと口を開けたまま泣き出しそうな顔をしていたのを思い出すぜ。
自分の生が、あまり残されていないのを知っていたからこそ、おいらみたいな与太者に、あんたの大事なお宝を譲ってくれたんだろ。知らずに全部食べてしまって悪かったな。
あんたとおいらは、そんなに数多く会った訳じゃ無いけれど、おいらは今でも、あんたが一番の心の友だと思っているんだぜ。
悪いけど、勝手に思わせてくれよな。
おいらが、今まで出会った中で、最高の日本人帰依者、これがあんたと神さんとの話の記事のタイトルや。
将来、ゴールデンエイジがやって来た暁には、あんたとスワミのストーリーは、きっと神話になるぜ。それは、間違いない。
おいらは、こんなに神さんから祝福された奴を今まで見たことねえよ。
サイババさんからもらった指輪だけでも、十本の指じゃ足りないぐらいあるんだろ。
十一個目をもらった時、「どの指にはめたらええんやろか?」と悩んでいたよな。
おいら、そんな話、聞いた事がねえよ。
あんたには、この殺伐とした世界よりプレマサイの世の方が、合っているぜ。
おいらは、本当にそう思っているんだ。
それまで、ババのもとでゆっくり精気を養っておくんだな。
また、生まれ変わった時には、今世でやり残した、サイババさんの奉仕のお仕事が、たくさん待っているんだろうよ。
あんたは、とてもラッキーな野郎だぜ。
あんたの爪の垢でも煎じて飲みてえぐらいだよ。
心から、そう思っているよ。
じゃーまた、縁があったら会おうぜ。
星野、じゃなかった。
このブログでは、星やん、

またなー。

良心の囁きが、聞こえますか〜

御仏の心の痛み分かりますか〜

物質文明花ざかり

カリユガの悪のその中で

真理の叡智に触れるため

私は、御仏求めます

ナミアミダブツ唱えます

(Sainatha Bhagavan Sainatha Bhagavan )

地球規模の大掃除がやって来る

オーストラリアに戻り、世潮は時間が取れる限り地方の街や村に出かけた。
時には、往復三日もかけて行く当てもなく彷徨った。
一日の走行距離は、軽く六百キロメートルを超えた。
そして何をしたかというと、カメラでその土地の景色や風景を撮って帰るだけだった。
それらを、サイババさんの祭壇に捧げてどの場所に行けば良いか尋ねていた。
人は、世潮に様々なアドバイスをした。
インドのアシュラムで本当か嘘か分からない噂を聞いただけで、大津波が来ると思い込み、高台の土地を探している信者がいる。
そういう輩は、全く神への信仰心を持っていない証拠だ。
サイの教えによると、自分たちは肉体ではないと言っておられるのに、なぜ君は自分の身体を守るためにそんな田舎に逃げようとしているのか。
そんな事が、もし本当に起こるのであればサイババさんは、皆を救ってくれるはずだ。
その為に、自分達は彼に帰依しているのだ。
また、もしそういうことが本当だったら、サイババさんに聞けば良いではないか?
彼は、インタビューを与えて多分教えてくれるはずだ。
もし、教えてくれないのであれば、そんな準備をやるべきではなく、あなたは時間と金をを無駄にしているだけだ。
サイババさんは、そんな地球規模の大きな大災害は起こらないとDr.ヒスロップに言われたではないか。人々を、惑わすような行動を慎みたまえ。
丁度その頃、Dr.ヒスロップがパースにやって来た。
世潮は、彼と昼食を共にしていた。
世潮は、例の大災害に関するサイババさんのコメントを聞いた。
Dr.ヒスロップは、「もしあなたがそういうことが起こると信じていて、その準備をしようとしているのであれば、是非それをやり続けて下さい。」
「誰が反対しようと、それはあなたとスワミの問題なので、他の人の意見には耳を貸さなくても良いでしょう。」と言われた。

自分は、これからやろうとしている事を、全てサイババさんに捧げるつもりなのだ。
これから買い求めようとしている物や、しようとする事は自分の為では無い。
ましてや、自分の命を守るためでもない。
自分は、とっくの昔にこの世は幻想だと悟っているのだ。
自分が、やらなくてはいけないことは、全てを知っておられるサイババさんに、何でも聞くのではなく、まず自分が出来ることからやり始める事なのだ。
食事をする時、いちいち神に許しを得てから箸を口に持っていく者などいないように、自分の良心が、OKといえばそれに従うのだ。
でないと、サイババさんがこの世を離れられた後、誰に聞けば良いのか。
だから、自分は自分の良心に従ってやれる事から先ずやっているのだ。
自分が何をやっているのか、サイババさんは重々ご承知だ。
時期が来れば、必ずサインを下さるはずだ。
それまで、人に変人だとか、サイの信者ではないとか、何を言われようが構わない。
堅忍不抜の精神で、やり抜くのみ。
ある日、イタリアからサイババさんの地図を見て、パースに移り住みたいという十五家族ほどのグループのリーダーが、世潮に連絡して来た。
彼は、地図のコピーを持っているという。そして世潮はそれを見せてもらった。
噂に聞いた、地図のコピーだった。
それを、母 東洋子と、嫁に見せた。そしてどうしてこのようなことになるかを説明した。
「古いみかんの皮が、中身から離れてゴワゴワする様に、地殻という硬い岩で出来た層が、その下にあるマグマという半液体状のドロドロの溶岩の上を、つるりと滑ることによって地軸が傾くのや。」
「でも実際には、地軸は元のままで表面の地殻だけ滑るんだけれど、地軸が傾くように見えるんや。」
「その、理由はサイババさんによると赤道付近に点在している石油資源を無制限に採油した結果、赤道付近の地殻が空洞になり、両極の氷とのバランスが崩れて重い両極が遠心力の働きで、赤道付近に移動し、逆に軽くなった赤道周辺の地殻が両極へと移動するんや。」
「でも、もし人がオイルを採った後に水でも入れれば、バランスは崩れないのにそうはしない。自然の微妙なバランスを人は崩している。」
「それは、一瞬のうちに起こる。」
「大洋の水が、大陸に押し寄せてくるように見えるが、実は大陸が大洋の方へ突っ込んで行くんや。」
「その為に、大洋の水はあらゆる大陸に押し寄せて都市を飲み込んで行くのや。」
「でも事前にその兆候はあるんや。」
「地殻とマントルをくっつけて、滑らないように地磁気が働いているんやけれど、太陽風が来たりして、地磁気に影響を与えると滑りやすくなるんや。低緯度で、オーロラが見えた時が危ないな。」
「でも、一番のサインは人の世が、悪で満ちた時や。」
「この世には、悪意で持って世界を破壊しようとしている奴らが陰で暗躍してるよって、そいつらが世界経済を意図的に崩壊させる。」
「そして、そのあと世界中を巻き込む程の混乱を引き起こした後に、地軸が傾くというお掃除が始まるんやろうな。」
「でも、何も心配せんでもええのや。自分らは、肉体やない。」
「たとえ、この肉体が滅んでも魂は永遠や。」
「でも、万が一、肉体が生き残ったら、その時は人様に役に立つ用にいろいろ用意しようと思っている。」
「でも、この後に千年至福の時代が来るんや。いわゆる、ゴールデンエイジっちゅう奴や。」
「早よ言うたら、その為の地球規模でのお掃除ってとこかな。」
「神さんが、すべてをコントロールしておられるよってに、そのお掃除で身体を離れる運命の者や、生き残って、新しい時代を創り始める者などいろいろや。」
「いずれにしても、身体を離れた者は次の人生は、バラ色の千年至福の時代に生まれ変われるので、万々歳や。何も心配することあれへん。」
「自分は、未来の地球を垣間見せてもらったので、その為に準備せなあかんというお仕事がある。」
「これも全て自分の為では無い。人様の為や。どうや、一つみんなで、神様の仕事をやろうや。」
東洋子は、「今、私思い出したわ。あんたの亡くなった父親もそっくり同じ事を言ってはったわ。」
「私、その時、あんた産んだばっかりで、まだお腹は痛いし、吐き気もするし、眠たいし、そんな難しい話やめてって言うたんやけれど、あの人言い出したら必死になる方やから、我慢して聞いててん。」「それを、今思い出したわ。」
「何やそれって?」
「あんたの名前の意味や。」
「ヨシオか?世の中の世に、潮流の潮で、ヨシオ。「世界の潮流」という意味やろ。」
「変な硬い新聞の見出しみたいな意味やな、とずっと思うて来たのやけれど、そうとは違うんか。」
「違う。世界の世は、おおとる。でも潮は、さんずいへん、つまり水と朝や。」
「それがどうした。誰でも知ってるで。」
「違う。あんたのお父さんは、あんたが生まれる日の朝、夢を見たんや。」
「地球、世界が、傾いて水で覆われ、そのあと平和な素晴らしい世界が来るって。」
「光り輝く平安に満ちた朝日が、傾いて水に覆われた地球の地平線から昇って来たんやて。」
「それが、あんたの名前の本当の意味や。」

私はオーストラリアの写真を捜している

ある日、シドニーとブリスベンから訪問者があり、一人はサイオーガニゼーションの統括世話人でアーサーヒルコットという人で、もう一人は全オーストラリアサイオーガニゼーションの会長だった。
なるほど、アーサーヒルコットはサイババさんから白いライオンというあだ名をつけられているだけあって、ヘソまで届きそうな白いあごひげを生やしてていた。

彼らは、クリスマス休暇に沢山の信者を、オーストラリアとニュージーランドから引き連れてサイババさんのアシュラムを訪問していたが、ある日、サイババさんがアーサーヒルコットに「私は、オーストラリアの写真を見たい。」とおっしゃったのだ。

そこで、百人近くいるオーストラリアのグループの一人ひとりに写真の事を聞いても、誰も持っていない、ということが分かった。
しかし、ある信者が、世潮のことを知っており、アーサーヒルコットに世潮の話をした。
翌日、ベランダに出て来られたサイババさんに、アーサーヒルコットが
「実は、うちのグループの誰もオーストラリアの写真を持っていませんでしたが、パースにいるある一人の信者がどういうわけか、あちこち旅して写真を撮っているという話を聞きましたが、あなたの探しておられる写真というのは、その者の写真の事でしょうか?」と尋ねた。
サイババさんは、「そうだ。その日本人の写真の事だ。イタリア人も一緒におる。」と答えられた。
アーサーヒルコットは、「彼は、一体写真を集めて何をしているんでしょうか?それは、奉仕なのですか?」
と尋ねると、サイババさんは、「お前が、直接その者と会い、その者がやっておることが、奉仕であるかどうか、自ら判断するが良い。」と言われた。
その頃、世潮は、自分もサイババさんの地図を見た。というイタリア人の帰依者と一緒に、車で旅をしていたのだ。

イタリア人によると、1980年にドイツ人のグループにも、サイババさんは地図を出していたようだ。
アーサーヒルコットは、世潮にインドにそれらの写真を持って行くように勧めた。そして、アシュラムの責任者であるスリニヴァサン宛に手紙も書いてくれた。
世潮は、サイババさんはいつも自分の心中にいるので、わざわざインドまで行く必要は無いと思っていたが、例のイタリア人の強い押しに負けて行くことにした。
サイババさんは、「I'm very very happy.」と言って、世潮の写真を右手でポンと叩いて祝福したが、沢山ある写真の中から一枚選んではくれなかった。
イタリア人はとても不満だったが、世潮は「これで十分だよ。そのうち、教えてくれるさ。要はタイミングだね。忍耐、忍耐。」と言って満足そうに帰って行った。
イタリア人は、「俺はそんなに待てない。もうやめた。」と言ってイタリアに帰って行った。

メインのイタリア人のグループは帰って行ったが、一人は残っていた。暫らくすると、サイババさんは、彼をインタビューに呼ばれた。
彼は、「どうかプレマサイシティープロジェクトについて御教示下さい。」と言うと
「どこにプレマサイがいるのだ。プレマサイは、あなたのハートの中にいるのだ。」
「外に、プレマサイを求めてはいけない。」
と言われた。
それで、プレマサイシティープロジェクトは、終わった。
は、そのニュースを聞いて喜んだ。というのも、彼らはまるでカルトグループのようだったからである。
自分たちでプレマサイシティープロジェクトという名を付け、限られた家族だけが入れる大きなシェルターを作って自分達だけが助かろう。と画策していたからだ。
それに世潮自身は何も隠し事はないので胸襟を開けて話すが、彼らはたくさんの秘密を持っていたからだった。
これで彼らとの結び目がほどけた。でも、彼らは世潮が一度は見たいと思っていた、サイババさんの地図をプレゼントしてくれた。
しかも、彼らの中には建築家や設計士などがいて、サイババが物質化された地図を、現存する世界地図に当てはめて、正確にどこが大津波で襲われるかがよく分かる地図をくれたのだ。
もちろんサイババさんが、彼らを通じて世潮に与えたのだった。
神は、確かにパーフェクトなアクターだった。

キャンディは甘いか痛いか

ある年、子供達にもサイババさんを見せたいと思い、嫁や子供たちも連れて行った。
その頃、サイババさんは、キャンディが山盛りに積まれたお盆からそれらをわしづかみにされて、帰依者達にばらまかれるという事をよくやられていた。
大人も子供のようになって、神の化身が触れたキャンディは縁起が良いと、それらを取り合うのだ。
世潮には、その頃三歳になったばかりの次男がいた。周りの人達から、キャンディボーイとあだ名をもらっていた。
というのも、サイババさんはいつもこの子をめがけて、毎日キャンディを投げられるので、この子の近くに座れば、おこぼれをもらえるのでそんなあだ名がついたのだった。
その日も、何時ものようにキャンディを次男をめがけて投げられたが、少し後ろの方に席を取ったので届かず、周りの大人達に全部キャンディを取られてしまったのだ。
サイババさんは、そのまま行き過ぎてしまわれたが、次男は楽しみにしていたキャンディをその日はもらえないので、少し悲しい顔をした。それを見て、世潮は思わず、
宇宙を創造されるほどの、

お力を持たれた神様が、

キャンディを投げる力が足りなくて、

子供に届かず、べそかかす。

そういう摩訶不思議な事もあるもんだと、われ思うにいと、おかし。


と、口ではなく、心を滑らしてしまった。
すると、十メートル程も先の方へ歩いて行っておられたサイババさんの歩みが止まった。
世潮は、いつも自分の心とサイババさんが繋がっているのを知っているので、自分の心の中での独り言に気を付けるようにしていた。
「しまった!」と思った。でも、もう手遅れだった。
サイババさんは、立ち止まったまま、首だけを大きく回して後ろを振り返られた。
世潮は、背中に寒気が走った。
サイババさんは、世潮を暫くの間見つめられてから、再び何も無かった様に歩み始められた。
世潮にとっての次のダルシャンは恐怖だった。サイババさんは、何かを自分にするか、それとも何か言われるということを、今までの経験によって容易に想像できた。
それで、わざと会場に遅れて行き、後方の席、しかも普通だったらサイババさんがそこまで絶対来ないし、誰もそんな所に座らない会場へ続く階段に次男と座った。
そこからは、一番後ろに座っている信者まで十メートルは離れていた。まさかここまでは来られないだろうと思って安心していた。サイババさんが現れた。

そして、差し出されたお盆に山積みになっているキャンディをわしづかみしたまま、世潮が座っている階段にまで一直線に歩いて来られた。
世潮は、そこから逃げ出したい気分だったが、そうはいかなかった。
周りを見回しても、どこにも逃げ場はなかった。
気が付くと、目の前にサイババさんが立っておられた。

世潮は、目の前に立っておられるサイババさんを正視出来なかった。これから、何が起こるのか知っていた。そんなに後ろにまで今まで行かれたことはないので、会場にいた全ての人々の目が、これから起こるであろう神聖な神の劇の行方に注目していた。そして、それはすぐに起こった。

サイババさんが大きく手を振って目の前で、幼い子供と一緒に座って怯えている信者に向かって、思いっきり至近距離から手にいっぱいのキャンディを投げつけたのだった。

世潮の髪の毛の中や、シャツのポケットの中、とにかく身体中キャンディだらけになった。

皆は、神の創造した悲劇を見て笑い転げていた。世潮は、心の中で「もしもし、サイババさん。少し痛かったですよ。」
「あなたの教えを自分自身で破ってはいけないでしょう。」
「非暴力の教えを、御自身で実践しましょうね。」
「復讐もしてはいけないとおっしゃったではないですか。」
「これを日本では十倍返しと言うんですが、サイババさん。もしもし聞こえてますか?」
と思ったがすぐに打ち消した。というのも、またその思いも読まれ、後で痛い目に合うかもしれなかったからだった。

外に神を探しに行く道は、決して神には届かない
どんなに、巡礼を重ねてもその道はいつも行き止まり
真の神への道は、己が神だと悟る道
真の信者は、外を探さず、内探す

実は、信者と神はずっとずっと一つだったのだ
神はお前で、お前が神だったのだ
二つは一つで、一つが二つに見えるだけ

そんなトリックに引っかかり、人が困っているのを見て
陰で喜んでいるのは、だーれだ

手から像がニョキニョキ

妹夫婦家族も、サイババさんに会いに行こうとしていた。
インドは初めてなので、ついて行こうと思ったが嫁が、臨月だった。
しかし、「お母さんもいるので私は大丈夫。一緒に行ってあげて。」というので急遽、後ろ髪を引かれながらも出かけることにした。
インドまでの、飛行機の座席予約はいっぱいだった。とりあえず、シンガポールまでは辿り着いたが、チェンナイまではキャンセル待ちだった。
十人以上の人が、世潮の前に待っていた。
出発二分前に、一人分だけキャンセルが出た。世潮の前の人たちは、2人以上か家族連れだったので、世潮に席が回って来た。
係員と、走って機内に乗り込んだ。
言われたまま席に着くと、妹の隣だった。
サイババさんは、ホワイトフィールドにおられた。
安宿、に投宿した。狭い部屋に不似合いな、長い蛍光灯が天井に付いているだけの部屋だった。
寝るために、スイッチを消したが、しばらくすると蛍光灯が点灯した。そして、消え、また点灯した。その繰り返しだった。寝たかどうか分からない状態になった。
すると、声が聞こえた。あの、サイババさんの声だった。
「明日、インタビューに呼ぶので準備をしておきなさい。」
「ありがとうございます。スワミ。少しお願いしてもいいでしょうか。」
「言ってみなさい。」
「今回は、妹夫婦家族のために来たので、ダルシャンラインで妹にインタビュールームに行くように声をかけて頂けませんでしょうか。」
「分かった。そうしよう。しかし、以前のようにお前に、どこから来た。と聞くと今回は、どのように答えるのか言ってみなさい。」
「はいスワミ、もし私がこの、自分がまとっている肉体と自分を同一視しているのであれば、私はこの肉体が住んでいるところから来ました。と答えるでしょう。」
「そうではなく、もし私が、自分を自分の霊体と同一視しているのであれば、私は心の中で祀っているスワミの元から来ました。と答えるでしょう。」
「そして、自分をアートマだと悟っておれば、私は、どこからも来ておらず、どこへも行っていない。私は充満しており、そして至福に満ちている。と答えるでしょう。」と答えた。
サイババさんは、「満足した。お前からそのような答えを期待しておったのだ。」と言われた。

そのような、不二一元論に基づく哲学的なやり取りを暫らくしていた。

最後に、こう聞かれた。「明日、私は、シンガポールから来た三人のオーガニゼーションの役員もインタビューに呼び頭に触れて祝福するつもりだ。」

「お前も、一緒に祝福して欲しいかね。」


「御手数でなければ、お願い致します。スワミ。」と答えた。そして自然に深い眠りについていた。

あくる日、綺麗に身支度をしていたら、甥っ子が「どうしてそんなに綺麗な身支度をするのか。」と尋ねた。

世潮は、「もうすぐすれば分かることだ。」と答えた。

ダルシャンでサイババさんは、妹に声をかけられた。そして、皆で意気揚々とインタビュールームに入って行った。
世潮は、いつもそうするようにサイババさんの真横に座った。

世潮は、何も質問はないのだが、電報で嫁が無事に子供を産んだということをインタビュー直前に知ったのでそのことを聞いてみようと思った。

「スワミ、私の新しいマーヤー(迷妄)について何か仰ってください。」

サイババさんが、サイババとして使命を始められた時に、両親が来た。それを見て、「私のマーヤーが来た。」と言われたのを思い出したからだ。

サイババさんは、「なんて言った?」といわれてから宙をじっと見つめたのち世潮に「私は、彼を祝福してあげる。」と言われた。そして、ずっと前に世潮の頬を手で弾くように叩かれたが、今回は同じ頬を優しく撫でられた。

世潮は、さすがに神様だ。そんなに前の事まで覚えておられる。と感激していた。

そして、「スワミ。あなたがこの私の身体を使って、西オーストラリアで、あるプロジェクトをしておられているんでしょう。」と聞いた。

スワミは、何を今更という感じで、「そうだよ。」と言われた。

横に三人のシンガポール人が座っていた。

サイババさんは、一人ひとりの頭をポンポンポンと手のひらで三回叩いて祝福され、隣にいた世潮の頭もついでにポンという感じで祝福された。

早朝見たヴィジョンと同じだった。

世潮は、サイババさんは、絶対意味のないことや、無駄なことをされないのを知っていたので、彼ら三人と将来どこかで接点があると思っていた。

七年後、その三人のシンガポール人は、ナロジンの世潮の家の応接間に客として座っていた。世潮の話を聞きにシンガポールからナロジンまで出向いて来たのだった。
サイババさんは他の日本人にも何か言われたが、英語で喋られたので世潮は通訳を買って出た。
そのあと、手の平を上に向けてじっとしておられた。
手の平の真ん中に、何か光るものが現れた。
銀でできたシルディババの頭だった。
それが、タケノコが生えて来るように全身二十センチメートルぐらいの像になった。
妹は、「奇跡を見たよ。」と言って泣いていた。まだ像は、体温の温もりを持っていた。

鏡の中の自分が消えていく

スワミは、妹夫婦家族とも話し、皆はとても満足してインタビュールームを出た。
世潮は、出産したばかりの嫁と新しく増えた家族の一員に会うために、その日オーストラリアに帰るつもりだった。
一般人へのダルシャンの後、ゲートの向こうにサイババさんのダルシャンを待っている、サイ大学の学生達が長い列をつくって並んでいた。
世潮は、サイババさんにお礼とお別れの挨拶をしようと、ゲートの手前で手を合わせ、「サイババさん。今回も、色々と妹夫婦家族始め、祝福を与えてくださってありがとうございます。今回は、これで失礼します。」と心の中で言った。
その瞬間、それまで学生たちの間を歩いておられたサイババさんの足が止まり、こちらを見られた。世潮は、「しまった。またやっちまった。」と思った。
心の中の独り言でも、全てお見通しだったのだ。
サイババさんは自分のお仕事を中断されても、世潮の為に時間をさかれる。
申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
また、邪魔をしてしまった。
まだ自分の心をコントロール出来ていない。
心の中でサイババさんと話す習慣が出来てしまっている。
そういうことまで、コントロールするのは無理だ。と思った
前回、空港からアシュラムに着いた時も、丁度昼過ぎで全ての店は閉まっていた。
食堂も、閉まっていたので昼食抜きになってしまった。
「少し腹が減ったな。」と思ったらボランティアの人が、
「サイババさんが少し口を付けられただけで、すぐにこれを持って行きなさいと言われたので、召し上がって下さい。」と言ってお下がりのカレーを持ってきて下さった。
御自分の、昼食を私のために…。
とても辛くて、口から火が出そうだったが、感激の涙で火を消しながら頂いた。
また、ちょうどご講話されている時に、舞台の横にある小さい扉を少し開けて見ていて、嬉しくなり「スワミ。」と思わず心の中で声を掛けてしまった。
サイババさんは、講話を止めてこちらを見て挨拶をされた。ということもあった。
今回、サイババさんにさようならと言った時は、サイババさんは、もう五十メートルほど先の方まで歩いて進まれていたのだが、ヨシオが心の中で声を掛けると同時に、学生たちの列の中から抜け出て、こちらに向かって歩いて来られた。
世潮のいるゲートにまで出て来られた。
世潮は、さよならを言いに来られた。と分かり、左手を振った。
サイババさんは、それを見て右手を振られた。
まるで鏡の中の自分を見ているみたいだった。
嬉しくなって、両手を振った。
サイババさんも、両手を振られた。
思いっきり手を伸ばして振った。
サイババさんも、手を伸ばして振られた。
あとは夢中で何をしていたか自分でも覚えていない。
分かっていたことは、もう一人の自分が少し離れたところで自分に向かって手を振っている。という事だった。
強烈なフィーリングだった。不二一元の愛のパワーだった。
自分が、周りの全てに融合して行く感じだった。
鏡に映っている自分が消えて行った。
自分が溶けてなくなって行く…自分よさようなら…涙が止まらなかった。
もう、これ以上もう一人の自分の仕事の邪魔をしたくないと思った。

サイババさんは、サイババさんの身体を使ってやられるたくさんの仕事がある。
自分の為に、これ以上彼の時間をとって欲しくなかった。
これで、インドへの旅は最後にしよう。と心に決めた。サイババさんに迷惑がかかるから…。
帰りの、飛行機の中も、エアポートの中でも、サングラスを外せなかった。
ずっと涙が止まらなかった。気を入れ替えても、無駄だった。
あの、全ては一つである、という教え、不二一元の愛のパワーを凌ぐものは、この世に何も存在しないと実感した。

家に帰っても、次の三ヶ月間サイババの写真は見れなかったのはもちろんの事、サイババという名前も耳から入るや否や涙が出てきて、普通の生活に戻れなかった。
もう、約束してもらっている。神との合一。至福そのものになる。それだけで十分だった。
それ以上何を望むことがあるのか。
地軸が傾くだの、大津波だの、何の興味もなかった。
神が全部しておられている。神のゲームだ。
それに、自分の思いを乗せるから、喜怒哀楽が生じるのだ。
全てを、水の上に字を書くように…。
何の思いもその上に残さず...,、行為は幻の如く消え去って行く…。
それが、サイババさんから頂いた仕事だからやらしてもらっているだけで、でなければもちろんしない。
生まれる前の、神との約束。それがヨシオにとってすべてだった。

プタパルティの神様、私は来ました。
桜咲く国から、
サイラム唱えて、御姿浮かべて、
ダルシャンの列の中であなたを待ちます
愛の神様 サイラム唱えて、御姿浮かべて

(Rama Rahimkoのメロディで)

アーナシャクティ ヨガ

全てのイタリア人が去った後、サイババさんが世潮の夢に来られた。
世潮と、サイババさんが並んで空に浮かびながら、農場を見下ろしていた。
その農場は、三角形の形をしており、一辺は雑木林で他の二辺は馬が放たれている、牧場だった。
そして、三角形の中央には小さい池のようなダムがあった。
サイババさんは、「ここはナロジンだ。将来、一大霊的センターになる。いろんな国から、様々な人達がやって来るであろう。」と言われた。
世潮は、もう一年近く、あちらこちらに行って土地を探し続けていたので、土地勘も出来、標高の一番高いところに位置する町に決めるんだったら、世潮の心の中ではナロジンが第一候補だった。
それに、サイババさんの物質化された地図を拡大して分析していていたので、どの辺りが大津波の影響を受けないかも知っていたのだ。

この三角の土地も、ちょうど売りに出されたばかりで、ナロジンの中でも一番標高の高いところに立地していたので、「ここなら最高だ。」と世潮は思って、実はもう購入していて、後は、サイババさんのサイン待ちだったのだ。

その翌日直ぐに、世潮はナロジンに車を走らせて大きな倉庫も購入し、そこに人々が将来、何らかの原因で避難されて来た時のために、毛布やらテントなどのサバイバル品を買い求めてストアすることにしたのだった。

ただ、世潮は、その当時、オーストラリア英語が全く聞き取れず、値段の交渉なんて出来なかったので、サイババさんに、誰か私を助けてくれそうな人をよこして下さいと、お願いしていた。

ある日、若いインド人の青年が、「私は歯科医です。サイババさんにインタビューに呼ばれ、歯科医としてではないけれど、オーストラリアで奉仕の仕事があるのでお前のために良いから行きなさい、と直接言われたので来ました。」

「奉仕の仕事をしに来ましたので、給料は、一切要りません。私に宿泊場所や食事も含めて一切便宜を計らないでください。」

「たとえ、そうされてもお断りします。私は、何でもやりますから、おっしゃって下さい。」
「休日も休暇も要りません。もし必要なら、夜中でも働きますし、どんな重労働でもする覚悟です。」
「決して、勘違いしないで欲しいのは、私はスワミに、オーストラリアでの奉仕は、私自身の為に良いと言われたので来たのであって、決してあなたを助ける為にでは無いのです。」

「私自身の為に、来ているのです。私は、自分自身の人生をすべてスワミ捧げていますから。是非、遠慮しないで私のやるべき事をおっしゃって下さい。」

「そして、もし必要なら、何年でも期間限定無しで仕事をします。」と言いました。

世潮は驚いて彼に、「どのようにして私を見つけたのですか?」と聞くと、

「私の両親があなたと一緒に以前働いていた、イタリア人のことを知っていたので、サイババさんがオーストラリアとおっしゃった時、他に誰も知り合いはいないし、すぐにあなたの事だと分かったのです。」

その後、彼は無償で三年間も、このサイのプロジェクトの為に身を捧げたのです。

まず、毛布を何万枚も注文し、続いてビニールシートやテント、簡易宿泊施設用の材料、野菜の種や、機織り機に糸紡ぎ機、オイルランプに風力発電装置、太陽光発電装置に雨水を貯めるタンク、自転車に無線装置、ロープに合羽、粉ひき機に粉塵マスクとありとあらゆるサバイバル品を購入した。

最後に、一番大事なサイババさんの書籍を大量に注文した。

スリサチャサイBOOKトラストの責任者は、今までこんなに大量の本の注文を受けたことがなかったので大変驚き、直接サイババさんに

「スワミ、私どもでこんなに大量の本の梱包は、とても出来ません。ご存知の通り、スタッフはすべて第一線からリタイヤした年寄りばかりですし、膨大な数の梱包した箱は相当な重さになります。」

「それに、こんなに、大量だと個別の箱では送りきれません。梱包する場所もありません。その上、コンテナでないと送りきれません。」

「そのような事を今まで一度もしたことがないので、この注文をどのようにすれば良いものでしょうか?」

サイババさんは、「オーストラリアから受けたXXXXX冊の注文ですね。」

「あなたは受けた注文をすべて、オーストラリアへ送らねばなりません。」

「私の大学の学生達を動員しなさい。そして、パッキングする場所ですが、9番シェッドを使ってよろしい。

「コンテナ輸送と通関業務は、セントラルカウンセルのメンバーで、チェンナイから来ているXXX氏が専門です。彼に任しておけば、大丈夫です。」


と、受けた注文の本の数まで、言っていないのにもかかわらず、一冊も間違えずに責任者に指示を与えられた。
インド人の歯科医とたった2人で、ひと抱え30Kgもある毛布の束を、人力で数万個もコンテナから降ろし、それをまた人力で倉庫に積み上げて行く作業は、とても気が遠くなるような骨の折れる仕事だった。

毛布を満載したコンテナを積んだトラックが、次から次へとパースからナロジンまで、片道200kmの行程をとんぼ返りし、みるみる倉庫に毛布の巨大な山が積み上がった。

世潮は、お互い力尽きた時、何度も歯科医の青年と、「ハヌマーン!俺たちに力を与えてくれ!」」と声を掛け合った。

でも、スワミがいつも一緒にいてくれている、という信仰心が2人に力を与え続け、ようやく最後の毛布の束を積み上げた。
丸三年も、二人とスワミの三人で、休みも取らずに色んなものを購入し、倉庫に積み上げた。

しかし、これで終わったわけではなかった。次に待っていたのは、税関による麻薬密輸摘発の為の抜き打ち検査だった。
毛布に麻薬を染み込ませ、密輸した輩が以前摘発されていて、世潮もその手のたぐいと疑われたのだ。
麻薬犬や、他の大勢の麻薬摘発官が、せっかく積んだ毛布の山を鋭いナイフでえぐり、中を麻薬犬に調べさすという作業が永遠と続いた。
もちろん何も、出て来るわけは無かった。
しかし後に、残ったのは散らかったままの、何千枚もの毛布の残骸だった。
それを、また整理して並べるのは、また大変な作業だった。
そして、かかった検査の経費は、法令により支払わねばならなかった。

でも、何があっても、自分たち二人にいつもスワミが付いている。
二人とスワミがいつも一緒に仕事をしている。という強い信念が二人を支えた。
こんな辛い作業をしても、誰からか給料をもらうわけでも、褒めてもらえるわけでもなく、逆に、人からバカなことに金を使っている。と批判され、
将来ではなく今を生きろ、と説教され、サイババさんから直接指示がないということは、君たちのエゴでやっていることだ。
などと、サイの信者からも散々批判された。
でも、世潮は自分を信じていた。自分の中におられるサイババさんが、全てやっておられることを。自分は、全てを神に捧げているだけだ。
これらの毛布が、将来人様の役に立つかどうかは、サイババさんが決められる事であって、自分ではない。これらの、毛布は自分が使うのか?
いや違う。自分の為に、購入したものなど何もない。自分は、そういうことに全く関心は無い。
ただ、家内と、母と三人で日本で、汗水垂らして働いて貯めたお金を、スワミに捧げようとしているだけなのだ。
日本で、三人で支え合って、コインランドリーチェーンなどのビジネスをやって来て、何億というお金を稼いだ。
毎日、百円硬貨を数え、銀行に持って行く。洗濯機や乾燥機の清掃と修理、そういう、地道な仕事だった。
ビジネスをするまでは、学費さえ親戚に借りなければ払えない、という生活だった。
でも、いつもお天道様をまっすぐ見上げて、三人で支え合って歩んで来た。
金ができても、贅沢はしないで人様のために使ってきた。
でも今こうして、神様が人の姿を取って私達のために地上に来られてる。
そして、その神さんが将来の地図を出して、人々に警告を与えておられる。
自分も、そういうことが起こるという事を、ずっと信じてきた。
たくさんの人達が、着の身着のままで避難して来るだろう。
自分たちが、稼いだ金がそういう人達の為のに少しでもお役に立てればいいな、と思い、こうして、人様から見たらバカなことをしている。
でも、自分は真剣だ。全てを、神に捧げ、何も得ることを期待しない。
全ての、持っている金をそれに使うつもりだ。
この世から永遠の至福が得れるなんていう、何の幻想も持っていない。
ただ、自分のこのような、行いによってサイババさんが喜んでくれるのが、自分の望み。
他に何もいらない。金を使い果たして、野たれ死にしようと、何の後悔もない。
ありがたいことに、家内も、また、最近老け込んできた母も、私と同じ思いを持っている。
子供は、五人もいるが、ナロジンに引っ越すと、今までせっかく続けてきたシュタイナー教育が受けられなくなる。
でも、神のお仕事が第一、社会、他人、そして家族に自分という優先順位から行くと、教育のためにナロジンに引っ越せないというのは、サイの教えにそぐわない。
全ての主である神様が、人の世界に来て私達の為に仕事をされている。
そして、私達もその仕事の一部に関与出来る。
そして神様から見れば、本来は、彼のものであるが、私達の取るに取らない金を受け取って下さっておられる。金だけではなく、奉仕の機会も与えて下さっている。
サイババさんは、素晴らしいあなたの帰依者である青年やサイの本を送ってくれた。
とても幸運なことだ。サイババさんと一緒に仕事をしている。神の仕事をしている。
それだけで、充分だ。他に何が、自分の人生でいるんだろうか。何もいらない。
神様からの祝福があれば、私たちの人生は勝利を勝ち得たのも同然だ。
人に何と言われて非難されようが、一切気にしない。
私は、実はアーナシャクティ ヨガを実践しているのだ。

完全に利己心が無く、行為の結果を全く考えず、集中して有能な仕事をし、しかも執着や欲望を待たず、全ての行為を神にささげる、それがアーナシャクテイーヨガの実践です。

アーナシャクテイーヨガはブッデイヨガよりはるかに優れ、中々凡人に出来ることではありません。

しかし私達は、アーナシャクテイーヨガの境地に達する努力を放棄してはなりません。

全力を挙げて努力し神の御加護があれば、一見不可能なことに見えることも成し遂げられます。
6/86

いつになれば、籠から飛び立つんだい?

ある日、世潮はシドニーからの手紙を受け取った。
以前、アーサーヒルコットと一緒にパースまでやって来た、全オーストラリアのサイの組織の会長からだった。
「Bro、ヨシオ。
スワミが、私にあなたのやっている事が、奉仕活動かどうか、自分で行って確かめなさい。と言われましたので、同僚のBro、アーサーヒルコットと一緒にあなたと会いましたね。」

「私自身の意見は、あなたのやっている事は、スワミのお教えから見て、程遠いものであると思います。」

「あなたが、少しでもスワミの御教えをもう少し努力して理解し、それを実践される日が来る事を祈っております。」

世潮は、一度も、彼にここでやっていることが、スワミのみ教えにに合致したものであるかどうか、尋ねたことはないし、知りたいと思ったこともなかった。
ここで、やっていることは全く、サイと自分の間だけのことであって、第三者が口を挟むものではないと信じていたからだ。
しかも、このプロジェクトを口実に、他の人から金を乞うたこともない。
自分が稼いだ金を何に使おうが、他の人からあれこれ指図される言われはないのだ。
その同じ頃、インドではサイババさんがインドラシャー氏に、「私は、オーストラリアの会長を更迭するつもりだ。」とおっしゃった。
そして、そうなった。
その会長は今では、残念ながら反サイババキャンペーンに一役買っているという。
またその頃、全西オーストラリア州サイセンターの会長が、世潮に会いに来て、あれこれと70項目にも及ぶ質問を準備し、罪人を尋問するようにして帰って行った。
そして、新任の全オーストラリアの議長に、「Bro,ヨシオはラジニーシのようなフリーセックスアシュラムをナロジンでつくろうとしている。」というでっち上げの80ページにも及ぶ報告書を提出した。
同じ頃、その新任議長のもとに、バジャングループを設立したい、というナロジンのサイグループ設立要望書が送られてきた。
新任の議長は、二つの手紙を見てどのようにして対応して良いか分からず、スワミに直接、会って尋ねることにした。
「スワミ、私は最近、ある地方の町のサイグループに関して、相反する手紙を受け取りましたが、どうしていいか分からないのです。どうか、あなたの指示を仰がせて下さい。」

サイババさんは「ナロジンで、サイセンターをスタートさせなさい。」

「ナロジンサイグループの者たちに、EHVを実践するように伝えなさい。」

「そして、全オーストラリアEHV(人間の価値についての教育)会議をナロジンで開催しなさい。」
と指示を出された。

スワミの直接のご指示により、西オーストラリアの片田舎の町で、全オーストラリアEHV会議が開催された。
オーストラリア中から、何百人もの信者が参加した。

サイはインドにいて、私はナロジンにいる。
でも、繋がっている。
深い、深いところで繋がっている。
私と、サイは誰よりも深いところで繋がっている。
信者と神を、深い、深いところで繋ぐのが、アーナシャクティーヨガの力なり。
この、信者と神の関係を、誰であれ邪魔することは誰も出来ない。
サイと私は深いところで繋がっている。
深い、深いところで繋がっている。
サイの意思は、私の意思。
もともと、私の意志なんて無かったのだ。
と気づいた時、真のバクタは神から自由を与えられる。
神の力を共有するものとなる。
それを、気づかすのがアーナシャクティーヨガの力なり。
このヨガの力により、人は肉体を持つ神となる。
褒めよ、讃えよ、アーナシャクティヨガを実践する者を。
汝は、サマディを得るのに、肉体を脱ぎ去る日を待つ必要はないのだ。

いよいよ、歯科医の青年がオーストラリアを立つ日がやって来た。
丸三年に渡って、倉庫の中の重労働で、埃だらけになり、また、色んな雑多な物を、できる限り安く購入したり、フォークリフトの運転、トラックの手配、通関の手続きなど歯科医とは全く関係のない沢山の仕事をしてきた。
「私の人生で、こんなに沢山買い物をしたことは、後にも先にもこれが最初で最後でしょう。」と言った。
「スワミのお金を出来るだけ無駄なく使ったつもりです。」
「インドに戻れば、スワミにこれからどうすれば良いのか、インタビューがもらえるまでアシュラムに滞在するつもりです。」
世潮は、それを聞いて「君は、とても神を愛している。」
「誰にも負けない程の、深い信仰心だ。神への奉仕も熱心だ。」
だのに、どうして、肉体を持った神からだけ、指示を仰ぐ事を考えるのか?」
「私の見たところ、君は自らの良心、つまり心の中の神のささやきを聞いて、人生における色んな判断が出来るはずだ。」
「私は君に色んなものを購入するように、指示を出した。」
「しかし、それらの購入リストをつくるにあたり、私はインドにおられるサイババさんにお伺いを立てるのを見たかね。手紙を書いたかね。電話をしたかね。」
「全て、心の中のスワミはお見通しなのだ。」
「何をやるにしても、自分というものを計算に入れなかったら、神様が全てをして下さるのだ。」
「それ自体が、神の仕事になるのだよ。」
「このように、自分を何処かに捨て来て、自分を抜きにして全てを神に委ねると、君が何をしようと、すべては神への捧げ物となるのだ。」
「それが、霊的自信というものなのだ。」
「世の中に、自己中の人間が掃いて捨てるほどいるが、彼らは決して今、君が立っているこのレベルに登ってくることはできないのだ。」
「また、自分の毎日の生活で、ここまでは神に捧げる時間で、ここからは自分のための時間。などと言ってアダルトサイトなどを見て喜んでいる連中も、決してこんな高い霊的境地に達する事は出来ないだろう。」
「また、これは神への捧げ物で、これは自分の物、という思いを持っている者も、ここにたどり着くことは出来ないあろう。」
「君も、うすうすここに来て、気付いていると思うが、君は自分自身を自分で閉じ込めている檻から解放して、自由に羽ばたかすために、サイババさんは、君を私のところへ寄こしたのだよ。」

「ヨシオ、実はサイババさんが夢に来られて、あなたと同じ事を言いました。」
「いつになったら、お前は世潮のように世界を自由に飛び回るのか。私はいつでもその自由をお前にやるつもりなのに…と。」「また、インタビュールームで、スワミは私の事を『お前はとてもラッキーだ。』と3回も言われました。」
「今回のご奉仕を振り返ってみると、その時は、大変辛かったですが、今は、とてもラッキーだ。と思えるようになって来ました。ありがとうございました。」

クリシュナはアルジュナに必要とされる忠告をすべて与え、アルジュナの捨てたエゴを受け取ったあと、自らの意思のままに行為する自由を与えました。
アルジュナの意思は完全にクリシュナのものとなったからです。
このようなレベルに達した弟子には自由を与えなければなりません。
VIDYA VAHINI

彼がインドに旅立って暫らくして、スワミの指示で、大勢の学生達が動員されて、大量の本が積み込まれた例のコンテナが、ようやくナロジンに到着した。今回、世潮は、サイババさんと二人だけで、「ハヌマーン!」と叫びながらこれらの本を一箱ごと肩で担いで、倉庫に入れることにした。

世に出たナロジン

インド人の青年が帰った後、サイババさんが世潮の夢に来られて、こう言われた。
「1997年12月11日木曜日にこのナロジン プロジェクトの事が、世に知れ渡る。」と。
その日に一体何が起こるのか、朝早く起きて、待っていたところ、
有名なオーストラリアのテレビ番組である"60分"のスタッフが、パースから飛行機をチャーターして、朝七時に突然やって来た。
そして、是非、世潮のやっている事をテレビで放映したい。と言ってきたけれど、
マスコミは、嘘つきでマスゴミだ。と呼んで信用していない世潮は、彼らを門前払いにした。それから、すぐその後に、次は"カレントフェアー"という番組が同じくやって来た。

そして、新聞、テレビ、ラジオ、雑誌、と一日中ひっきりなしにやって来た。
世潮は、今日という日は、狂ってる。と思った。
そしてその全てのメディアを、追い返した。
このプロジェクトは、神さんと私の間の個人的な事だ。
どうして、世間様に嬉しがりのように、知ってもらわなくてはならないのか。
しかし待てよ。
スワミが、このプロジェクトが今日この日に世に知れると言われたが、ひょっとしてマスゴミを通じてだったかもしれん。
それに、全てのメディアが同じ日に来るなんて、不思議だ。
同じ時に来た二つのテレビ局でさえ、互いにどうしてこのことを知ったのかと、探り合っていたではないか。
これは、多分スワミのご計画の一部かもしれない。それ以外の可能性って、考える事が出来ないではないか。
と、フト気がついて、追い返した全てのメディアを呼び戻してこう言った。
「私は、別に逃げ隠れしている訳ではありません。」
「私の知っていることを、全てあなた方に明らかにします。」
「どんなご質問にでも、お答えします。」
「もし、倉庫の中の物を見たいのであれば、全て公開します。」
「写真や、ビデオは私の許可なしに、家族のメンバーを除いて、何処を撮っていただいても結構です。」
「しかし、一つだけ条件があります。」
「それは、私は、真実だけを話しますので、あなた方も私から聞いた真実だけを、人々に伝えてください。」
「決して、話を歪曲したり、へし折ったりしないようにして下さい。」
「この条件が、呑めるのであればいつでも、インタビューに応じます。」
「では、最初に一番先に来られた。60分さんからどうぞ。」

こうして、世潮の一番嫌いな、マスゴミからのインタビューが10日間以上、連日にわたって続いたのだった。

真の信者は、けなされようが、褒められようが、無名のままであろうが、有名になろうがそういう事に、頓着しないのです。彼は、この世俗の物事に捉われないのです。

しかしこの事は、ホンの序曲に過ぎなかった。

この後、次の三年間、毎日のようにアポなしの突然の訪問者が、オーストラリアだけではなく、海外からも絶え間無く押し寄せ、その数三千人以上にも達した。
大学の講座にも取り上げられ、学生達が大きな観光バスで教授と共に、押し寄せて来た時もあった。その三年間は、子供達も含めてプライバシーが無く、いろんな人から写真を撮られ、ビデオを撮られ、いつも家には知らない人達がウロウロしているという、異常な状態が続いたのであった。
しかし、この期間、スワミがヨシオの夢に、頻繁に来られて色々なアドバイスをされた。
例えば、

「明日、シンガポールから、グループが来ますが、彼らを、あなたの家族とみなして接待しなさい。もちろん夕食もすべて出すのです。」
「宿泊先も確保しておきなさい。」

「明日、メルボルンから来る四人の女性たちは、物見遊山です。適当に相手をして、帰ってもらいなさい。」


のように。まるでサイババさんと、チームを組んで接待をしているようだった。
また、ある国の大使とその随行員達がキャンベラからやって来て、
「自分たちも世界中が大津波に襲われることを知っている。」

「そのための準備も自国でしている。」
「あなたの、持っている情報を教えて下さい。」
「サイババさんの地図のよれば、あなたの国は多分、大部分が洪水の影響を受けないでしょう。」
「しかし、大きな地震などに対する備えは必要でしょう。」
「近隣の諸国から、多くの難民が押し寄せて来ることが予想されます。」
「自国の事だけではなく、そういう避難民への対策もしておいた方が良いと思います。」
とアドバイスすると喜んで帰って行った。

また、別の国の情報員もやってきて、同じような事を探りにきた。
こうしている内に、多くのサイの信者達がナロジンに移ってきた。

1999年12月31日から2000年にかけてのバジャン会には、ちょうど108人の信者が新しく建てたばかりのバジャンホールに集った。
でも、人口五千人の小さい街で、仕事を見つけるのが大変で、暫くするとまた、何処かに越して行った家族もたくさんいた。

サイスクールも設立しようという動きもあった。
オーストラリアだけではなく、国外からも視察にやって来た。
シンガポールからは、団体でツアーを組んで何度もやって来た。
その中の数家族は、ここに今もまだ住み着いている。
また、南アフリカの家族は、当初ニュージーランドへ移住するつもりだったが、いつ移住申請書を提出しても却下されるので、有名な霊媒師であるローズメリーにあって理由を聞きにいった。
すると、こう言った。
アフロヘアーの男があなたの申請書を、破り捨てている。
しかし、今回はそうしない。
その為には、あなた達は次の条件をのまなければならない。
それは、ニュージーランドの市民権を取ったら、オーストラリアに移り住まねばならない。
それも、東ではなく西の都市に。
だが、その都市に落ち着いてはいけない。
そこで、世潮という人が別のドアを開けてあなたを、迎えてくれるだろう。
あなた方は、そのドアを見つけないといけない。
そしてその翌年、彼らは、ニュージーランド行きのビザを取れた。
その年、ニュージーランドへ行く途中、家族でサイババさんに会いに行った。

インタビュールームで、サイババさんはローズマリーと同じことをその家族に言った。
2001年も過ぎ、ようやく人の波がおさまって一息ついた頃、世潮は、自分の母親の異常に気がついた。

彼女は、アルツハイマー病と診断されたのだった。

地球のへそ岩にガヤトリを捧げよう

東洋子の病気は、ゆっくりと虫が床を這うように脳細胞を侵して行った。しばらくぶりに東洋子に出会った人でも、東洋子が認知症になっているのを見抜くのは難しかった。東洋子も人と会う時には、自分の持っている能力を最大限に使って、出来るだけ、自分が正常であると演出して見せた。でも、それは東洋子にとって大変な疲れを伴うことだった。
ヨシオは、まだ東洋子の病気がひどくならないうちに、東洋子と良い思い出を残したいと思い、あちらこちらと小旅行に出かけた。最初は、ウルルとオルガの巨大な岩を家族で見に行った。費用を節約するために、家族で小さいユニットをキャラバンパークで借りて、全員そこで寝泊まりした。オルガの風の谷を訪れた時は感激した。大きな岩の壁の間を歩岩を登り終えると、そこは眺めの素晴らしい峠のような岩の上に出てきたのだった。東洋子も、毎日孫に囲まれ手を繋いで歩き、子供に戻ったようにはしゃいでいた。
当初、ヨシオはアボリジニの聖地であるウルルには登るつもりはなかったのだが、ウルルに旅する前日、アボリジニの夢を見た。それは、アボリジニたちがヨシオを歓迎するダンスをしている夢だった。
その夢は、ウルルに登っても良いというサインだと分かった。あくる日、思ったより急勾配な岩肌に取り付けてある鎖を持ちながら、岩の頂上を目指して登り始めた。岩をほぼ登り切ったところを導かれるようにして少し道を外れると、人が十人程座れる小さな岩で囲まれた、平らな広場のようなところに出た。その一角に小さな洞窟があり、洞窟の中を覗くと思ったより深くて、人がやっと一人這って入って行けそうだった。その洞窟の入り口を離れたところから見ると、人の目のように見えた。
ヨシオは、その洞窟の前の平らな場所で、お祈りをしなければならないと強く感じた。そこはアボリジニの神聖な礼拝所だったのだろうと推測できた。そうか、俺がこのウルルに来たのはこの為だったのだ。と分かり、目を静かに閉じた。そして、ガヤトリマントラを唱え始めた。
すると、ヨシオが座っていたウルルの岩が軽くなり、空洞化し始めたように感じた。
この地球上で一番大きい一枚岩の一つだと言われている岩が、実は岩では無く、神聖なエネルギーの塊のように思えた。
アボリジニたちがこの岩を神様だと信じて、何万年も礼拝して来た聖なる想念の波動が、岩全体を覆って物質を超え、岩そのものが霊的なエネルギーをたくさん取り入れていたのだ。

想念の波動は、人々の喜びと悲しみ、健康と病、幸福と苦悩、生と死の原因です。
人の人生は、想念の波動の力を完全に理解することにより意味あるものとなります。
全世界が精神的な波動により覆われています。
実際のところ、すべての世界は波動によって創られたのです。
それ故私たちの想念も、高貴な道へと向かわせなければならないのです。
人々の心は高貴な思いや好ましい感情で満たされるならば純粋で煌びやかに輝くでしょう。
この様に、純粋な心を培うことによってのみ、純粋な行動をとることが出来るのです。
そして純粋な行動をとってのみ、純粋な結果を得ることができるのです。SSIB1993p,3
人は他の人を傷つけようと、沢山の悪い思いを心に抱きます。
しかしこれらの、他の人を傷つける想念は10倍にもなってその人に返っていくのです。
この真理を人々は気づいていません。
~逆に我々の想念でもって他の人々の病を癒やすことも出来るのです。8/93p,211~3

そうだったのか。だから、アボリジニたちはこの神聖な岩自体を、神だと信じて礼拝していたのだと分かった。だから、アボリジニたちは観光客に、この聖なる岩に登って欲しくないのだ。ただの物見遊山の人々がたくさんやって来て、アボリジニたちの聖地である岩に染み込んでいる聖なる想念の波動を汚しているだけではなく、この岩を護っている聖霊たちをも侮辱しているように思えるのだろう。アボリジニにとってウルルは、寺院に安置してある神像と同じなのだ。
ヨシオは、深く息を吸って、ゆっくりとガヤトリを何度も唱えた。ウルルがガヤトリの聖なるマントラのパワーと一体になり、岩全体の波動が細かくなってどんどん浄化され、それと同時に岩の周囲の波動が変化して来ているように感じた。
聖なる岩が喜んでいる。グレートスピリッツが喜んでいる。ガヤトリで聖浄化されて喜んでいると、ヨシオは独り言を言った。
ガヤトリはやっぱりすごい。すごいパワーだと思った。この、大陸の中心にあり、世界のへそと言われているウルル。何万年も神として拝まれ、アボリジニの人々が畏敬の念を持って礼拝して来た岩、ウルル。この大陸に住む全ての人や生き物を守り、育んで来た世界最大で最古の聖なる岩が、今、宇宙で最強のマントラと出会って結び付き、二つの波動が一体となったのだった。
ウルルは、リンガムなのかもしれないとヨシオは思った。最新の調査によると、ウルルの地上に出ている部分はほんの一部分で、地面の下に隠れている岩の大きさは、大きすぎて果たしてどれぐらいなのか分からないとのことだった。
実は、この私たちが住んでいる宇宙自体がリンガムの形をしていて、創造主ブラフマンが創造した世界を形成する物質はホワイトホールから噴出し、やがて気が遠くなるような時を経て、また全てがブラックホールに吸い込まれて、元のブラフマンに帰する。
地球自体もリンガムで、地球のコアから出て来た磁力線が、北極から出て南極に向かって走り、また地球の内部に帰って行くいる。そして、ウルル。この巨大な一枚岩は、全体の姿を見せることなく、且つ全体の形を容易に想像出来る姿をしている。その岩が発するポジティブな波動は、何万年もの間、この大陸に住むものを霊的に導いて来た。その壁面の様々な岩のくびれや洞窟、岩の表面を水が流れて出来た紋様の一つひとつに、アボリジニたちのドリーミングタイムのストーリーがぎっしりと詰まっているのだ。大昔からアボリジニたちは、自分の子供達に、その一つひとつの紋様などを指差しながら、その英知溢れるストーリーを話して聞かせ、自然を神として敬い、尊敬し、そこから学ぶことを教えて来たのだ。
霊的なレベルに関して言えば、実は人間より自然の方が一段上の方に位置しているのだ。それゆえ、もし自然を尊敬せず、今人間がしているように、母なる自然から収奪しまくり、汚し、辱め、その警告を無視し続けていると、いつか大きなしっぺ返しが帰って来るのだ。
その時には地球の何処に人が隠れようと、全ての人類が自らの母なる地球を辱めているカルマを返すために、苦しまねばならないのだ。これは人類全体の連帯責任なのだ。そして、そのカルマを支払う時期が、もうすぐそこまで迫って来ているのだ。

ヨシオが、ガヤトリマントラを唱え終わると、大きな満月が地平線から登って来た。グルが、聖者たちが、そして、この偉大な霊的な岩を守って来たデーヴァ達が自分たちを見守って下さっていると感じた。周囲が暗くなる前に岩から下り、しばらく離れたところから岩を眺めた。
夕陽に照らされて岩肌の色が白っぽい色から、真っ赤に焼ける色に変化していくスペクタクルショーを固唾を飲んで見ていた。すると突然、ヨシオの脳裏にウルルが青い水の上に浮かんでいるビジョンが見えた。その巨大な岩全体を水に映し出しながら、波一つない鏡のような真っ青な水の上に浮かんでいるのだ。
その青い水に逆さまに映し出されている岩の映像と、岩がくっ付いて、それは横向きに置かれている巨大な丸いリンガムのように見えた。
ウルルはやはりリンガムだったんだ。とヨシオは思った。やがて、周りの空の色がだんだんと暗くなって来て、星々が空一面に現れ始めた。
ババが物質化された未来の地図によると、この辺り一帯は浅い内海になるのだ。

ヨシオたち家族が、ウルルで礼拝を捧げる旅に行っている間、ヨシオを訪ねて、台湾から天道教の道士が十人ほどの弟子達を連れてやって来た。ヨシオたちが留守なので、近くの天道教の信者の家に投宿して、ヨシオたちの帰りを待っていた。その時、道士は、ヨシオたちは今オーストラリアにある神聖な場所で、大事な使命を帯びて行っているところだと弟子達に述べていた。

一日二回ガヤトリを唱えるならば、その日のうちに無意識に犯した罪や、払い終えてないカルマを燃やし尽くすことが出来る。
~毎日これを行えば、他のどんなマントラを唱える必要もない。
あなたは自分の人生を神聖化することができる。
ガヤトリは万能で、あなたを災害から守るだけではなく、あなたを賢くし、学ばせ、成功に導くのだ。P,177 ANDI
決してガーヤトリー マントラをやめてはなりません。
他のマントラは、やめても、無視してもかまいませんが、ガーヤトリー マントラは少なくとも一日数回唱えるべきです。
ガーヤトリー マントラは、あなたがどこにいても、旅行しているときも、家で働いているときも、あなたを危害から守ってくれます。
西洋人はガーヤトリー マントラによって生み出されるバイブレーションを調査して、ガーヤトリー マントラがヴェーダで規定されている通りの正しいアクセントで唱えられると周囲が目に見えて光に満ちあふれてくることを発見しました。

ガーヤトリーマントラは、あらゆる力と能力を授けてもらうための神への祈りなのです。〜ガーヤトリーマントラが唱えられると、さまざまな力がその人の内側から浮上してきます。ですから、ガーヤトリーマントラを不用意に扱うべきではありません。23/8/95

史上サイ大、サイ高の神聖劇の準備中です

家に戻り、東洋子を知っている多くの人たちと、東洋子が記憶を失う前に、さようならという挨拶をすれば良いかもしれないと思い、東洋子が日本に住んでいた頃の電話帳を探し出してきた。そして毎日、一人ずつ電話をした。最初に、ヨシオはどうして突然電話でお邪魔しなければいけないのかを説明して詫び、そして東洋子に電話を替わった。
昔の友人や知り合いの人たちは、東洋子の久しぶりの声を聞いてとても喜んでくれた。東洋子も健常者と変わらないほど流暢に話していた。時々、同じ事を何度も繰り返して話すと、ヨシオは電話を切る前に相手の人にお詫びの言葉をかけたが、相手の方は全然気付いていないようだった。
東洋子はまだその時、相槌を打ったり、笑ったり、そして哀れみの言葉をかけたりすることが出来たのだった。でも、それもほんのしばらくの間だけだった。
サヨナラ電話の後、東洋子は急激に病状が悪化して行った。毎日の散歩もままならなかった。身体がくの字に曲がり、真っ直ぐに歩けなくなってしまったからだ。
ヨシオの生活は、完全に介護一色になってしまっていた。しかし、嫁と二人三脚で頑張った。
そんな介護で慌ただしい毎日を過ごしているうちに、いつの間にか十年の月日が流れた。ヨシオも還暦を迎えた。あれ以来、飛行機に乗る時間も余裕もなかった。時折エンジンの調子を見るために格納庫へ行くぐらいだった。そんな時も,ヨシオは東洋子を連れて行かなければならなかった。
毎年、冬が近づいて来ると、ヨシオは母を連れて子供達がいるパースに住むようになっていた。農場のあるところは内陸で東洋子には寒すぎたのだ。
そんな時、インドから送られてくる月刊誌サナザナサラチを読んでいると、サイババさんも病院に入院することになったという記事が載っていた。
ヨシオは、ババは96才までこの世で肉体をとって使命を果たされると聞いていたので、そのうちに回復されて退院されるだろうと思っていたが、ある日ニュースでババが逝去されたことを報じているのを知った。すぐさまインドのニュースチャンネルを見ると、サイババ崩御のニュース一色だった。ヨシオはすぐさま、これはスワミ一流のリーラ(神の神聖遊戯)だと思った。
一度死なれて生き返り、世界をあっと驚かせ、神の化身の神聖な力を近い将来、見せようとされていると思った。というのも、肉体を持っておられる間に、人類に対して約束された事が、まだ成就していないからだ。だから、ヨシオはババは必ずもう一度サッチャサイババの御姿で復活されると分かったのだ、でも、問題はいつそれが起こるかだ。いろんな情報が飛びかった。ある本には、またババが生き返るという記事がある、と聞いたので読んでみると、どこを探してもそんな記事はなかった。いろんな人が、いろんな事を言っていた。
一番驚いたのが、サイの組織の公式見解だった。ババは96才で亡くなると言っておられたが、太陰暦では今年は96才なので、ババの予言は成就した。というものだった。
ヨシオはお腹を抱えて笑った。そして、帰依者の人たちの気持ちは分かるが、これはこじつけだと思った。知り合いのサイの組織のリーダーたちに、その見解は間違っていると手紙を送ったが返事は無かった。
ババのテストだ。一人ひとりに問われている。これでババから離れていく人は、帰依者ではないってことだろう。籾殻が風に吹き飛ばされるように、彼らは、「あゝ、今まで神さんだと思って信奉して来たのに、大きな誤りだった。ただのアフログルだった。」なんて言うんだろう。と思った。
また、肉体のババがこの世を去られましたが、私はババから生前いろんなメッセージをもらっています。これからは、私の言うことがババのメッセージです。とか、ババが瞑想中にこういうメッセージを、私を通じて皆さんに下さいました。とか、私が瞑想時に得たババからのメッセージによるとババは85才で肉体を脱ぎすてられましたが、元のコスミックフォームに戻って96才まで仕事を続けられると言っておられます。等と言う人が、案の定雨後の竹の子のように出て来た。
ヨシオはそういう話を聞く度に笑い飛ばしていて、ババの葬儀を見ても涙が出なかったけれど、ある日ホームバジャンで「プッタパルティの神様、私は来ました。」というヨシオが昔作ったバジャンを歌っている時に、ババの愛、無私の愛、無条件に全てを愛しておられるババの愛、自分にこれだけ愛を注いでくださっておられるババの愛を思い出し、声をあげて泣いてしまった。皆はヨシオが大きな声で泣くのを初めて見たので、驚いて全員もらい泣きしていた。
ヨシオは、ババが帰依者のために、自分の命さえも投げ出して奉仕されていることを、実感したのだった。
ヨシオは、ババからの別離が寂しくて悲しいわけではなかった。もしそうなら、毎年ババに会いに行っているはずだ。
一度、心の中のババを見つけたら、インドにおられるババに会いに行くために、遠い距離を旅しなくてもいいのだ。胸の内、ほんの数センチのところにババはいつもおられるのだ。
実は、ババが肉体を離れられた大きな理由があるのだ。それは、これからババが自らの予言通り、人類史上最大の奇跡を執り行われるから、その準備をされているのだ。過去にこういうババについての不思議なエピソードがある。
それはまだババが二十五才の頃、重い病にかかられてバンガロールの帰依者の家で一年間近く静養されていたことがある。
その年の十一月二十三日には新しいマンディールが完成し、その後たくさんの帰依者が訪れることになっていた。そのたくさんやって来るであろう帰依者のために使う霊力を、その当時のババの肉体の中に取り込めるように、静養しながら調整されていたのだった。
あまり帰依者がいなかった頃は、例えば憑依された人が来ると、ババは全身に汗をかきながら、憑依された人の髪の毛を掴んで振り回したり、怒鳴ったり、殴ったりして、憑依霊を追い出されたが、帰依者が増えるに連れてババの霊力が増し、アシュラムにその人が近づいただけで、憑依した霊は肉体から逃げ出すのだった。静養している間に、それくらいババの霊力が増して行ったのだ。それと同じことが、今、起ころうとしているのだ。ババがこれから人類のためにされる奇跡は、肉体を取られたババの霊体では持ちこたえられない程の巨大な霊力がいるのだ。それで肉体を脱ぎ捨て、霊力の制限のない霊体となって、山脈を持ち上げたり、何千もの身体を同時に世界中で出現させたり、大空を歩いて渡られる奇跡を世界中で同時に行われたりされると宣言されている。それはとても人智では理解出来ないくらいの大きな奇跡なのだ。
だからそういう意味で、ババは霊体となって、あるいは宇宙的な姿で仕事をされるという指摘は正しい。でも、その事とババが肉体を再びまとう事とは関係ないのだ。
霊体の波動は物質である肉体よりも細かい。だから、霊体の波動を少し荒くしただけで、物質化が出来る。それが、人間たちが奇跡と呼んでいる神の御技なのだ。ババは、物質化は私にとって自然なもので、特別でも何でもありません。と言っておられるが、それは波動が一番細かい、いや波動以前の、波動をもたらしている神聖な光そのものである神様にとっては当たり前なのだ。
ババが、霊体を調整するために帰依者の家で静養されている時に、本当はもう死にたいと言われたことがある。また、肉体をとって生きて仕事をする事は、とても面倒くさい事だ。と言われたこともある。
神様であるババは、如何にこの肉体が神の御技を執り行う上で制限になっているか、邪魔になっているかよくご存知なのだ。
だから、面倒くさいと言われたのだ。
人の体には、肉体の他に、微細体、原因体 がある。
それぞれの各自の肉体の中に、限られた霊力を持っている微細体と呼ばれる霊体がある。人は限られた霊力しか持っていないのに、それ以上の霊力を使うと、肉体は生気を失って病いに倒れるのだ。
ババは神様で無限の霊力を持っておられるが、一度人間の体に入った以上、肉体が持つ制限を自分に課すと言われたことがある。
ババは今、肉体の制限から解き放たれ、自由に無限の霊力を自在に使って今までと同じように、仕事を続けられている。だからと言って、96才までしか微細体を使って仕事をして、その後はしない。と言ってはおられない。96才以降も、とっくの昔に肉体を脱ぎ捨てたラーマ、クリシュナ、イエスや仏陀、シルディババが信者の求めに応じて姿を顕しておられるように、帰依者の前に現れられるだろう。
それとも、サッチャサイババは、プレマサイが来られたらもう、役割が終わりで、霊体でも仕事をされないとでも言うのであろうか。絶対そんな事はない。千年経っても、サッチャサイババのダルシャンを得たいと泣いてる帰依者の前にババは現れるのだ。
来るべき、史上最大の神の奇跡を行われる前に、ババはその使える霊力に制限がある肉体を脱ぎ捨て、人類のための一大神聖劇の公演を、今、舞台裏で準備をされているのだ。
今、自分たちがしなければならないことは、これまで通りババの御教え通り生き、その日を辛抱強く待つことだ。
今の世界を見回しても。誰が神を求めて泣いているだろうか?神を求めて泣くような、そういう事が起こらない限りは、人々は神の方に顔を向けないのだ。神様どうか助けて下さいと心から願わないといけないのだ。自分に災害や不幸が襲ってきて初めて人は頭を打って目覚めるのだ。
ヨシオはそう信じていた。だから、ババが出て来られるまでに、必ずゴタゴタがある。世界中が暗闇に包まれる時が来るのだ。そう信じて、ヨシオは毛布やテントなどを買って用意しているのだ。
その時に、人々が味わう苦しみを少しでも軽減したいという一心で、全財産を投げ打ってこのような仕事をしているのだ。人々から気違いと呼ばれ、金の無駄遣いとか、ババの教えを分かっていないとか、過去二十五年間も様々な人々から批判され続けて来ているのだ。
それが、もうすぐ終わろうとしている。長いようで短かかった二十五年間だった。
もうすぐ、全世界はババの色で一色になるだろう。世界中がババを呼び求める声で満たされるだろう。歓喜の涙が、全ての人の頬を流れ落ちるだろう。
ヴェーダが世界中で唱えられ、人々がお互いに兄弟と呼び合う時代がやってくるだろう。全ての人が神を愛し、求め、その教えを学び、それに従って生きて行けばゴールデンエイジがやって来るのだ。
その産みの苦しみを、人類全体で共有しなければならないだろう。そして、すでに英知を持った一部の神に近い人々によって、ババの教え通り、世界中の人々が神の方へ導かれて行くのだ。
ヨシオはこう信じて、今まで生きてきたのだ。そして、ゴールデンエイジが実現した暁には、ヨシオは生まれる前の神との約束を果たしてもらいに、ババの元へ旅立つのだ。
ただ、彼の元に帰りたい、彼の御足にたどり着きたい…。それだけが、その事だけが、ヨシオがこの世にやって来た、ただ一つの目的だった。

時は早く過ぎ去り、人の寿命は氷の塊が溶ける様に、刻々と無くなっていっていることに気付くべきである。
人は自らの人生に幕を下ろすときでさえも、未だ自分がやらねばならなかった基本的なことでさえ見つけられていません。
何が義務なのでしょうか?
それは、人生の目標を見いだすことです。
人は、富、快適さ、地位、幸せ、を探し求めています。
それらは、結局のところ何だというのでしょうか?
人がそれらの世俗的な幸せのみを求めることによって、神からの祝福を得られなくなっているのです。それらの、一時的なはかない物質的な喜びが、いったい何だというのでしょうか?SS8/95p199
皆さんの頭の中は、世間のどうでも良いような話題でいっぱいになっています。
まずそれを空にして下さい。
そうしてはじめて、神聖な気持ち、神聖な思いで満たされるようになります。
沢山の人が目的の無い道を歩み、無意味な人生を歩んでいます。
泣きながら生まれてきて、泣きながら死んでいくのです。
その間どうでも良いようなことで泣いたりわめいたりしています。
皆さんはダルマの衰えを目にして涙を流すでしょうか。
ダルマが衰えた時こそが、泣くに値するときです。
力の限りを尽くしてダルマの衰えを改め、ダルマの衰えによって傷ついた部分を癒やしてあげなさい。SGc13
すべての人が、またすべての生き物が、平安と幸福を得ようと努めます。
誰もが人生の目的を知ろうとしています。
しかし、人々はその努力に成功することができないでいます。
強い決意をもって、目標に到達するまであきらめない人は、百万人に一人です。
限りある命をもつ普通の人は、それが自分の手に届かないものだと考えて、全くこの方面の努力をしません。
彼らは、物質的なその場限りの快楽を追及することに一生を費やします。
彼らは、衣・食・住こそが人生の三大目的であると勘違いしています。
その人生は、妻子を中心としたものになっています。
彼らは、人生にはこれよりも高い目的があるということに気がつきません。23/11/02
今日、人間は人生の目標を探求しません。
人生の目標を知ろうと努める代わりに、人間は自分の世俗的生命を心配しています。
動物や昆虫でさえ、自分たちの世俗的生存に関心をもっています。
生命の秘密を知ることは大事なことではありません。
人は、人生の目的を知らなければなりません。
それはとても大事なことです。
私たちの人生の目標は、アートマの原理に象徴された真理に他なりません。
人生の目標を探求する代わりに、人間は生命の秘密を知ろうとしています。
それは不毛な努力です。
これを知るためには、何度生まれ変わっても十分ではありません。
あなたの心を人生の目標に定めなさい。
生命については心配する必要はありません。1/3/03A
人は、はかない物事の追求に深く捕らわれて人生を過ごします。
人は、人生の各成長段階に特有の無益な思考に心を奪われます。
そして人生の最後に、自分は貴重な人としての生を、実にくだらないことを追い求めることで浪費してしまったと気づくのです。
これが人間の本性なのでしょうか?
人間が人生で学ぶべきことはこれなのでしょうか?
これらの活動は、水の泡のような束の間のものです。
それが人に永続する幸せをもたらすことはできません。
そうした取るに足りないことを追い求めることで自らの時間を費やすことは、愚行にほかなりません。7/10/05

神様の人類に対する約束

ポニョ:『サイ あなたの御国がやって来ますように」という電子書籍が無料で出版されているのを以前紹介したことがある。

http://www.saikingdom.com/

ヨシオ:俺もざっと目を通したけど、俺たちと同じ事を主張してはるなこの人。

ポニョ:アメリカに住んでるインド人やけど、これだけ神に強い信仰心を持っているってすごいよな。

ヨシオ:それに、論理的に自分の論点を隙間なく組みた立ているところなんか、弁護士の話を聞いているみたいな気になるな。

ポニョ:星やんが弁護士になった見たいやね。

ヨシオ:それって、イメージが全然湧いて来んけどな。だって、あの子いつも、直感で自分のフィーリングで行動してたからな。「それは、論理的では無い。」の世界に住んでないもんな。

ポニョ:あっ!それはスポックのセリフや。星やんの頭の中にあることはサイババさんの事だけやった。

ヨシオ:俺に僕は神さんになりたくないねん。神さん自身になるより、神さんの愛を味わいたいねん。といつも言ってたな。

ポニョ:蜜蜂が蜜の味を味わって喜ぶ方が、蜜自身になるよりええってことやな。
それより、この本を書かれたアメリカのインドの人であるナーラーヤンも言ってたけど、サイババさんが帰って来られるのがすぐ間近らしいな。

ヨシオ:世界でいろんな人がメッセージをもらってるようや。
あるアメリカの人も、私を再びこの世に見えるようにし、その時私は、再び両手に一杯贈り物を持ってやって来るでしょう。というメッセージをもらったようや。

ポニョ:なんで、今年に帰って来るのかは、ナーラーヤンさんの本に詳しく説明してあったな。

ヨシオ:実は、サイババさんが人類の将来について、少し俺に未来を垣間見してくれてるんや。

ポニョ:サイババさんに帰依したら何でも教えてくれるんやな。
どんなことか教えてくれるか。

ヨシオ:サイババが帰って来るよ。Part1でも紹介してくれてたけど、俺、小さい時からなんでこの世界はこんなにも酷いんや。と思って悲しかったんや。
小学校に入って新聞を読み始めてその頃起こった事件、例えば吉展ちゃん誘拐事件とかを見て子供心に傷ついいてたんや。
少し大きくなってからもベトナム戦争とかソンミ村の大虐殺とか目を覆いたくなるような事件に出会ってとても辛い思いをしてたんや。
それで、その頃通ってたカトリックスクールの礼拝堂でマリア様にお祈りをしてたんや。
こんなひどい世界を治して下さいって。
俺は、こんなひどい世界やったら生まれ変わりたくなかったのにと思っていたんや。
その思いはずっと持っていてサイババさんにもお願いしてたんや。
すると、サイババさんが俺の夢に来てこんなメッセージをくれた。

私は、この世界を新しくするために来たのだよ。お前たちが思っているような新しい世界ではないのだ。社会の一部を良くするとか、政治を良くするとか、一部の国を良くするとかではないんだよ。私が新しくする世界とは、お前たちの想像を超えた素晴らしい世界なのだ。
そこでは、全てのものが愛に包まれ幸せに暮らせる世界なのだ。そのために私は、今お前たちが住んでいる世界を根底からひっくり返すつもりなのだ。
その後、全てが新しくなるであろう。見るもの聞くもの全てが新しいものになるであろう。そういう世界が来ることを約束するよ。と言われたんや。それから、真っ白いものに包まれてとても幸せな気分になったんや。
これは、神さんの人類への約束やな。あんたが生まれる前に神様の元へ行けるということを約束してもらったみたいに、神様は人類に対しても幸せな世界が来ることをあんたを通じて約束して下さったんや。ありがたい話やな。

それで、ナーラーヤンさんの本やけど、いろんなソースからサイババさんが戻って来られることを証明してるんや。例えば
ババは、2020年を過ぎるまで人間の姿をして留まることを私たちに確約して下さいました。
The Life of Bhagavan Sri Sathya Sai Baba カストゥーリ1971年
私の言葉は決して間違いません。必ず私が意思したことが起こるのです。
SSS1-31というような御言葉をたくさん集めているんや。

それで、彼の分析によるとサイババさんは今年中に帰って来ると言ってるんや。
そして、第9章「サティヤ サイの黄金時代の幕開け」に載っているサイババさんの次のような将来の予言を提示して、サイババさんが帰って来ると言ってるんや。
@プレマサイが生まれる時は、世界は既に平和になっている。
@スワミはゴールデンエイジを導きますが、それは予期するより早くやってくるでしょう。その、ゴールデンエイジの美しさは、誰も想像することが出来ません。それは、あらゆる夢より遥かに素晴らしいものとなるでしょう。
@変化は普遍的なもので、あらゆる場所で起こるでしょう。
@サイの国が創られるでしょう。その地上の天国を体験出来る人々は本当に恵まれています。
@全ての争いが、間も無く地球から一掃されてしまうでしょう。誰もが神聖な気持ちを持つことになるでしょう。全ての人が、神の至福を楽しめるようになるのです。間も無く、国中が平和と幸福を享受出来るでしょう。いかなる困難や苦しみも消え去ってしまうでしょう。
@全ての国の人々が、一致団結する事でしょう。
@スワミの名と姿が、あらゆる場所で受け入れられるようになるでしょう。それは世界のどんなに小さな街角でも、くまなく占める事になるのです。
@サイの集会に行けば立錐の余地さえ無くなってしまう事でしょう。
@サイの組織の会員は将来大きな利点を得るでしょう。サイの集会はたくさんの人が集まり過ぎて一般の人々は、入れなくなるかもしれません。サイの会員だけが出席出来るようになるでしょう。
@全世界がサイの組織に変わって行くことでしょう。そして、このサイが全ての人々の心の中に祀られるようになるでしょう。
@全ての国々がインドに敬意を表するようになるでしょう。インドは、文化的、政治的、社会的、経済的に、あらゆる面で世界のリーダーとなるでしょう。
@将来全世界がプラシャンティニラヤムに来ざるを得なくなるでしょう。
@私たちは皆、プッタパルティがクリシュナの生誕の地のような聖地となるのを見るでしょう。世界のどの国が発行する世界地図にも、プッタパルティを重要な場所として表記するようになるでしょう。
また、事態は改善され多くの人々の人生は、幸せで喜びに満ちたものとなるでしょう。
多くの人々は、世界の事態が改善されゴールデンエイジがやって来ることに疑問を持っているかもしれませんが、このダルマの化身の肉体は、ただの小さな仕事のためにやって来たのでは無いと断言します。この化身は人類を襲う危機を回避する事に成功するでしょう。SAPp31
人々が目覚める日はすぐそこに来ています。その時が来れば、神の本当の力を目にすることでしょう。というのも世界中で神が現れるからです。
SSSAFH by Satya Pal Ruhela

サイババさんの言われた言葉だけではなく、ノストラダムスの言葉も載せてるんや。
三つの水が合う場所が一人の人を生む
彼は木曜日を彼の聖日に選ぶ
彼の言葉、支配 、力は、東の嵐のただ中を、陸と海を越えて広がるだろう
予言四行詩1巻:第 50

全ての人々が、木曜日に礼拝にやって来る時
大地と空は大量の水を凍らすだろう
世界の隅々から彼を礼拝するためにやって来る
そして且つて無かった美しい光景を見るだろう予言四行詩10-71

三つの海とはサイババさんが生まれ育った南インドがインド洋、ベンガル湾、アラビア海の三つの海に挟まれていることや。
そして、もちろんサイババさんの日は毎週木曜日や。そして、人々は見たこともないような美しい光景を見るんや。

因みに、今年の9月18日は木曜日やったな。12月25日もや。

また、聖書からも引用している。
その時、人の子のしるしが天に現れるであろう。またその時、地の全ての民族は嘆き、そして力と大いなる栄光とを持って、人の子が天の雲に乗って来るのを見るであろう。また、彼は大いなるラッパの音と共に御使いたちを遣わして、天の果てから果てに到るまで、四方からその選民を呼び集められるであろう。マタイ24/30~31
すなわち、主が自身が天使のかしらの声と神のラッパの鳴り響くうちに、合図の声で、天から下って来られる。テサロニケ第一の手紙4-16
見よ、彼は、雲に乗って来られる。全ての人の目、ことに、彼を刺し通した者たちは、彼を仰ぎ見るであろう。また、地上の諸族は皆、彼ゆえに胸を打って嘆くであろう。然り、アーメン。ヨハネの黙示録1-7
だから目を覚ましていなさい。いつの日にあなた方の主が来られるのか、あなた方には分からないからである。マタイ24-44
その日その時は、誰も知らない。天にいる御使いたちも、また子も知らない。ただ父だけが知っている。マルコ13-32
ちょうど稲妻が東から西に閃き渡るように、人の子も現れるであろう。マタイ24-27
その時、大いなる力と栄光とをもって、人の子が雲に乗って来るのを、人々は見るであろう。マルコ13-26

ここで言う人の子とは、人の形をした者の事や。サイババさんも、空に現れると言ってられる。
ヨハネの黙示録にも次のようにサイババさんの事を表現してる。
また私が見ていると、天が開かれ。見よ、そこに白い馬がいた。それに乗っておられるお方は、「忠実で真実な者」と呼ばれ、義によってさばき、また、戦う方である。その目は燃え盛る炎のようで、頭には多くの王冠があった。また彼以外には誰も知らない名がその身に記されてあった。彼は、血染めの服をまとい、その名は「神の言」と呼ばれた。そして、天の軍勢が、純白で、汚れのない麻布の衣を着て、白い馬に乗り、彼に従った。その口からは、諸国民を打つために、鋭い剣が出ていた。彼は鉄の杖を持って諸国民を治め、また、全能者なる神の激しい怒りの酒ぶねを踏む。その書物にも、「王の王、主の王」という名が記されていた。ヨハネの黙示録19-11-16

サイババさんは別名カルキアヴァターと言い、白い馬になって現れるんや。だから、アシュラムの降誕祭では、いつも白い馬に山車を引かしてるんや。
そして、サイババさんはこの世界を千年に渡って金と権力、不正と虚偽で支配して来た者共を次のようにされるんや。
また私が見ていると、一人の御使いが、底知れぬところの鍵と大きな鎖とを手に持って、天から降りてきた。彼は、悪魔でありサタンである龍、すなわち、かの年を経た蛇を捕まえて千年の間つなぎおき、そして、そこ知れぬところに投げ込み、入り口を閉じてその上に封印し千年の期間が終わるまで、諸国民を惑わすことがないようにしておいた。ヨハネの黙示録20-1-3

イエス御自身もこのようにサイババさんの事を言っておられるんや。


私には、あなた方に言うべきことがまだ多くあるが、あなた方は今はそれには耐えられない。けれども真理の御霊が来る時には、あなた方をあらゆる真理に導いてくれるであろう。ヨハネ16-12-13

サイババさんの本当の名前は、サッチャサイババ。つまり真理を意味するんや。

また、一時期ブームになったアガスティアの葉の予言にも、 スワミの再臨について述べた以下のような記述がある。
主は、現在の姿かたちで、自身をビジョンとしてお見せになるだろう。それは彼の現実の身体の本物のビジョンだろう。それは多くの者に目撃され、見たものは驚異の念に満たされるであろう。(中略)シヴァ神は言われる。ビジョンはインドだけではなく、全世界で目撃されると。それは同じ形で、色々な場所で目撃される。多くの人は驚きに満たされて、あそこで、ここで彼を見たと言うだろう。事実彼は、同じ時間に多くの場所で多くの人達に目撃されるだろう。
主の到来は、雷を伴った大きな嵐を前触れにして起きるだろう。それは非常に恐ろしく見えるが、風は突然止み、主の御姿が現れるだろう。この日以降、偉大な出来事が増して行くだろう。
“Sacred Nadi Readings” シュリ ヴァサンタ サイ著

そして、以前紹介したように2007年10月4日に、サイババさんは、大空に私の宇宙での姿を見せようと、宣言されたんや。
アシュラムのサイ空港に多くの人が集まったんやけど、サイババさんの車が人混みで立ち往生してしまい延期する事になったんや。
サイババさんは絶対無駄なことや、意味のないことをされないので、この件は将来こういう事が起こるという事を知らせてくれたんや。と多くの人が理解したんや。
もうじきや。サイババさんがやって来て皆がサイババさんが大元の神って気付くのは。

間もなく、私に名前と姿が至る所で見られるようになるでしょう。地上の全ての場所をそれらが覆いつくされることでしょう。“God Descends of Earth” p. 37
あなたは、将来スワミの栄光を目撃する事でしょう。スワミは全世界を引きつけます。会場は、立錐の余地さえ無くなるでしょう。16/3/03
サイババを、単なる身長1m60cmの人と見てはなりません。ババの存在が全世界に存在することを感じれるでしょう。待っているのです。間も無く世界中がやって来るでしょう。19章28巻
アメリカは言うまでもなく、日本、ドイツ、イタリア、フランスなど、主要な先進国において、プッタパルティは無視出来ない場所とみなされるでしょう。どこに行ってもプッタパルティは世界地図に重要な場所として示されるでしょう。19/11/1999
ゴールデンエイジが始まる印は何でしょうか、という質問にはサイの栄光が世界の隅々にまで広がります。それは今の千倍にもなる事でしょう。サナザナサラチ12/1993
間もなくすれば、皆さんにも分かるでしょう。神の栄光が日を追って高まり皆さんに喜びと至福を与えるでしょう。あらゆる騒乱は地上から一掃されるでしょう。16/3/2003
アヴァターから恩恵を受けようとして何百万人もの人々が集まってくる日が急速に近づいています。私は皆さんに、あらゆる恩寵とあらゆる至福を出来るうちに手に入れておくようにと助言します。SSSvol11chap41

また、サイの組織についても
サイオーガニゼーションは、今は規模が限られているかもしれませんが、時が経つに連れて、多くの人を引き付けるようになり、一般の人々を会合に収容しきれないようになるでしょう。利用できる空間は、全てサイオーガニゼーションの会員に割り当てられるようになるでしょう。ですから、サイオーガニゼーションのメンバーでれば機会が手に入ります。MBAI
全世界がサイオーガニゼーションへと変わって、サティアサイは全ての人のハートの中に祀られることになるでしょう。SS1/1999

また、六千年近く前に記された有名なインドの叙事詩マハーラータの一節にサイババさんの事が予言してあります。
悪がこの地上にはびこる時、私は徳の高い人物の家庭に生まれ、人間の身体をまとい、全ての悪を根絶して平穏を回復させるであろう。正しさと道徳を保護するために、行動する時節が到来すれば、私は人には想像できない人間の姿を取る。罪の時代であるカリユガにおいて、私は肌の色の濃いアヴァターの姿を取って、南インドの家庭に生まれるであろう。このアヴァターは、大いなるエネルギーと、素晴らしい知性と、偉大な力を備えているだろう。このアヴァターは、使命遂行に必要なものは、彼が思うとたちまち、意のままに手にするであろう。彼は美徳の力によって勝利を収めるであろう。彼は世界に秩序と平和を取り戻す。このアヴァターは真実の時代の新しい扉を開け、スピリチュアルな人々に取り囲まれる事になるだろう。
彼はスピリチュアルな人々から賛美を受けながら、地球の上を歩き回るだろう。

ヨシオ:誰もアフロヘアで来られと思ってないもんな。俺も、生まれる前に顔の下半分しか見せてもらえなかったから、びっくりや。

ポニョ:誰でも神さんがこんなお姿で来られるとは、思っても見ないもんな。

ヨシオ:神さんがこの世に正義の世を取り戻すために来られた。そしてそれが、もうすぐ始まる。神さんが全ての面倒を見ておられるんや。何にも心配なんかいらんのや。

忍耐強くしていなさい。時が来ればあらゆるものがあなたに与えられる事でしょう。
幸せでいなさい。何も心配する必要はありません。
皆さん全てが聖なる魂なのです。そして、来るべき新たなゴールデンエイジの幕が上がる時、皆さんはそれぞれの役割を演じることになるでしょう。SS10/1996

ポニョ:自分たちがしなければいけないことは、神の御名を唱えること。これだけや。

ヨシオ:来るべき大嵐に吹き飛ばされないようにな。神の御名は、マントラやから、パワーいっぱいあるで。

この世界には、神の御名ほど強力な守護の力は存在しないことを覚えておきなさい。世界を救うのは武器や爆弾ではありません。神の恩寵のみで世界を守るようにするべきです。
神の恩寵を求めて祈ることこそは、人としての第一の義務です。祈りはこの上なく重要です。SSS24
純粋な祈りを通じて、山のような悪も粉砕され取り除かれます。SSS13chap26

何も心配する必要はありません。何を体験しても、何が起きても、このアヴァターがそのように意志したのです。このアヴァターがやって来た使命を、一瞬たりとも遅らせることができる力は、この地球上に存在しません。SS10/1996

今、ちょうどサイババさんの子供時代の記事を連載していますが、その当時サイババさんに食事や自分の家を提供し、多くの仕事をする機会を得たスッバンマは、サイババさんに一つのお願いをしていました。
サイババさんはそれを必ずやるとスッバンマに約束しました。
その願いとは、死水を取ることでした。でも、スッバンマが亡くなった時にはサイババさんは来られなかったのです。
丸一日経ってから、来たのはいいけど手遅れでした。火葬の木も積み上げられていて、蟻が身体中を這っていました。
サイババさんが到着した時、スッバンマの家族はサイババさんの顔を睨みました。
スッバンマはあなたの事だけに人生を捧げて来たんです。亡くなる直前まであなたの事を思い、あなたの名を呼んでいました。
あなたがスッバンマに約束した事は果たせません。もう手遅れです。と泣きながら言いました。

でも、神さんが言葉として発しられた音は必ず実現するのです。
言霊なのです。空に現れる事も、何千もの姿をとって世界中に現れる事も、至福の千年をもたらすことも、世界中の人に食されている罪なき生き物が苦しみから逃れられることも、全ての人が神を愛し、人類愛に満ち、愛に生きていく時代がやって来るのです。
そのようになると神さんが私たちに約束されたのです。
そうです。私たちは救われたのです。
神さんがスッバンマとの約束を守られたように…。
スワミ、あなたのスッバンマが、昨夜亡くなりました、と言いながら人々が駆け寄って来ました。
すぐに私は車の向きを変えて真っ直ぐブッカパトナムに駆けつけました。彼女の遺体はベランダに安置されて、布がかけられていました。
家全体が悲しみに沈んでいました。スワミは一旦約束をしたら、どんな事があってもそれを守ります。私は遺体を覆ってある布を取りました。彼女は昨晩亡くなっていたので、全身を蟻が這っていました。
私が、「スッバンマ」と呼ぶと、彼女は眼を開けました。このニュースは、たちまち野火のように広まりました。
ブッカパトナムの人々が、スッバンマが生き返ったと言いながら、その場に詰めかけ始めました。
スッバンマの母親は、当時100才でした。私は彼女に、コップに水を入れて、その中に一枚のトゥルシの葉を浸して持って来るように言いました。
私は、トゥルシの葉をスッバンマの口の中に入れて、水を少し飲ませました。私は「スッバンマ、私は約束を守ったよ。さあ、安らかに眠るがいい」と言いました。彼女は、「スワミ、これ以上何が必要でしょうか?私は至福に満ちてあちらへ参ります。」と言いました。
そして、歓喜の涙を流しながら、私の両手を取って、息を引き取ったのです。
私はこのように、いかなる状況の許でも必ず約束を守ります。このように、私は決して約束を破りません。20/10/2002


今はスワミの真実を認識出来ない人々も、日が経つに連れて、後悔の涙を浮かべて戻って来てスワミを体験しなければならないでしょう。
間もなく、これは世界的なものとなります。スワミは今、こうした事を起こるのを抑えています。
しかし、一旦それが起こることを許されれば、全世界がプラシャンティニラヤムに変わるでしょう。SSS15-55

未来の世界地図は陸地が少ない


ポニョ:サイババさんが物質化された未来の世界地図やけど、星やんがインタビュールームでサイババさんにプレマサイババの描かれた絵と二つを物質化されてどちらを選択するって聞かれたんやろ。

スワミは、最近40年以上先に起こる地球の変化の状況だ。と言われて将来の世界地図を物質化されました。(1973年)プッタパルティp19

ヨシオ:そんなんいきなり聞かれたら誰でもビックリするよな。大体、地図自体が初めて見たら意味がわからん地図やし、何かに落書きしてあるような一筆書きのようなもんやし、さっぱり分からんもんな。

ポニョ:それに、普通プレマサイの絵も、あごひげがあるハンサムな絵しか出回ってないやろ。だからあごひげのないプレマサイの絵を見ても、パッと見たら誰かが分からんで。

ヨシオ:それらをいきなり物質化されたんや。普通目の前で物質化されたんを見ただけでも驚くのに、それを何にも言われないでいきなりやもんな。

ポニョ:サイババさんらしいわ。彼にとったら物質化何て普通に、生まれた時から出来てたから日常のことやろうけど、おいら達凡人には、あっと驚く為五郎やもんな。

ヨシオ:今のんハナ肇のギャグと違うのんか。ポニョ博物館から持ち出してくるなよ。

ポニョ:このギャグ知っている人の半分はもう棺桶に足突っ込んでるわ。

ヨシオ:それで星やんもいきなりやったから思わずプレマサイの絵を選択したんや。
そうしたら、もう一度インドのマイソールに生まれ変われ。やて。事前に何の説明もあれへん。
ほんまにサイババさんは子供みたいなイタズラ好きやからな。

ポニョ:星やん君。今から私は君に人生最大の選択をしてもらおうと思っています。
その選択によって君はもう一度生まれ変わるかどうか決まります。

そして生まれ変わるという選択をしたと場合は、自動的に君は私の用意した身体をとってインドのマイソールという町に生まれ変わってもらいます。

そしてそこには私の次の生であるプレマサイも生まれ変わっていますので、彼の仕事をしてもらいます。
それではいいですか。あなたの人生がそして次の生がこれで決まってしまうのです。
はい。それではこれら二つの絵のうちから一つを選んでくださいね。

こんな感じいやったら、ちょっとは心の準備が出来るもんな。サイババさんのやり方は全然違う。
ヨシオ:だってもう本当は、星やんはマイソールにプレマサイと共に生まれ変わるって決まってるんや。本当は選択の余地なんてないんや。でも自分で選択したように仕向けてはるだけの、神さんのお遊戯やな。

ポニョ:その星やんが見た地図とあんたがイタリア人からもらった地図と一緒やってんやろ。

アバターは最近、将来の世界地図を物質化した。そして地球表面にいくつか環境調整変動が起こるだろう。そしてそれに伴い人口が減少するだろう。と言われた。P259EOL

ヨシオ:そうや。星やんが見た地図にも細い島のような国があって誰が見ても日本に見えるんや。だから、一緒にインタビューに呼ばれた人が日本が地図にあったと思ったんや。

でも、俺がもらった地図では、それはロシアにあるウラル山脈やったんや。
ノルウェーの山脈がしっかりとノルウェーと分かるぐらい残っていて、その右下に位置していたからあれはウラル山脈やねん。星やんもインタビュールームで間近で見たけどそれはウラル山脈やと言ってたな。

ポニョ:ということは、ロシア全部が水に浸かるってことやろ。シベリアはどうやねん。

ヨシオ:全部っていうわけではない。太平洋側の山脈はアラスカからずっと南のほうまであったし、それがモンゴルや北朝鮮の山脈と繋がってたな。面白いのは白鵬の故郷であるモンゴルが残ってた。モンゴルの北西にあるバイカル湖もそのままあった。だからあの細い島みたいになったやつはバイカル湖の西にあったから日本ではないんや。

ポニョ:ヨーロッパはどうやった。

ヨシオ:スイスとイタリアの一部の山脈、それとスペインとフランスにある山脈も残っていたな。
スロバキアの山岳地帯もあった。もちろんノルウェーは海岸沿い以外は全てあった。ヨーロッパで一番残ってるとこと違うか。

ポニョ:それは面白いな。だってその山脈の中で奴らはめちゃでかい秘密の地下基地を造ってるんや。山の中がトンネルだらけやねん。もちろんノルウェーの政府も知ってる。そこで働いていた人が内部告発したのがYouTubeで写真付きで見れるけど、びっくりするぐらい長くて大きい基地やねん。

ヨシオ:それってなんか嘘っぽいな。にわかに信じ難いわ。

ポニョ:何でやのん。もうずっと前から計画しとるんやで。

ヨシオ:だって人は自分らの欲望とかエゴでいろんな活動をこの世界でやるけれど、それらの活動を自分がやってる。と思ってるんや。でも、さっきの星やんの例のように本当は神さんがもう計画して結果も分かってることやねん。星やんに自分の将来を星やんが自分で決めたように見せかけておられるんや。人は、エゴや各種の欲望を持ってやってることは、すべて実はその後ろに控えている愛そのものである神さんがコントロールしてはる事なんや。その神さんがすぐそこにゴールデンエイジが来るよ。あと十三年以内だよ。と言っておられるんや。

ポニョ:その地図でアメリカはどうなんや。

ヨシオ:ロッキー山脈はアラスカまでずっと繋がってる。それらは全部あった。東の方はアパラチア山脈はあったけどあとは無くなってたな。

面白いのんは、ハワイ島があったんや。あの太平洋の真ん中の。それでよく考えたら、今一番水の量が多いのは太平洋やろ。しかも遠心力の影響で赤道付近に一番たくさんの量の水がある。地軸が傾くことによってそれらの水が世界のあちこちに散らばるからハワイ島付近の水がどっかに行って無くなるんやろうな。

ポニョ:面白いな。

ヨシオ:アフリカで面白かったんは、キリマンジャロとかがある大地溝帯と呼ばれる地域一帯が消えているんや。その代わり西の方はたくさん残っていたな。

ポニョ:大きな地殻変動が起こるってことやろな。

ヨシオ:その俺がもらった地図はオリジナルではなく、ある人がサイババさんからもらった奴をコピーしたやつやねん。それで、星やんも言ってたけどサイババさんが物質化された地図は鹿革のようなペラペラの薄いやつやったんや。だからコピーしたらシワやらブツブツがいっぱいあってとても見にくくなってるから、少し見れるようにしてるねんけどまだ見にくいやろ。

ポニョ:そうやな。なんかこれだけ見てたら、子供が落書きしてるみたいなグチャグチャの絵やもんな。

ヨシオ:それでオリジナルの地図を持っている人は、南アメリカに移り住みはったらしい。

俺も、導かれてオーストラリアに来たけど最初はもっと高度が高いところに行こうと思っていて、ニュージーランドのマウントクックの周辺か、ネルソン湖国立公園の周辺はどうかなと思っていたんやけどサイババさんの地図では二つとも残ってたわ。でも、俺は思うけどサイババさんが出された地図はどこまで津波の水が到達するかという警告の地図やと思うな。だから、たくさん陸地が消えているように見えるけど、水が引くとまた陸地が現れてくるところがたくさんあるんと違うか?

ポニョ:でも、結局あんたは導かれてオーストラリアに落ち着いた。

ヨシオ:そうやな。ここで一体何が出来るか分からんけど、自分の考えつく限りの準備はして来たんや。いろんな物も買ったで。ポニョが紹介してくれてたよな。でも分からないのがタイミングや。
これだけは、ずっとサイババさんは教えてくれなかったんや。以前、教えてもらったのが12月11日。その日は木曜日、その日にナロジンは世界に出る。と言われたんや。
それでカレンダーを調べたら1997年と2003年2008年2014年の12月11日が木曜日なんや。
その日になんかあるんかな。と思っていっぱい用意してたのに結局俺の一番嫌いなマスゴミが掃いて捨てるほど来よったんや。なんのこっちゃ。と思ったぜ。

それ以来、新聞、テレビにラジオ、雑誌ひいては大学の夏季講座の受講生がバスを借り切って来よったんや。その後、3年以上もひっきりなしに突然の訪問者の津波や。

三千人以上も来たで。極み付きはサイババさんが、ナロジンで全オーストラリアEHV会議をしろって言われたので、何百人もこんな小さい町にオーストラリア中からサイの帰依者がやって来たんや。ホンマにサイババさんの仕事っていろいろあって大変やで。

役にも立たないことをして時間を無駄にしてはなりません。
社会的に役立つことをしなさい。これは識別心の基本です。
しかしながら、今このような広い心を持つ者はいません。
あなたがどのようにすれば霊的に進歩するか考えなさい。
すべての仕事を神の仕事と見なしてやりなさい。
そうしないとそれは不完全なものとなります。
その仕事が神の仕事と見なせば失敗をすることはありません。
それゆえ、強い信仰心を持ってすべては神の仕事だと思って成し遂げなさい。
21/4/96

ダルマさんは転んでもハッピーだよ

ポニョ:昨日は星やんの話を久々にしたんで懐かしかったな。ほんまにええ奴やったな。

ヨシオ:今頃、こうしてあいつの事を思ったら、俺たちの想念に引き寄せられてここにおるんやろうな。

ポニョ:サイババさんが大山に現れた時、星やんにオーストラリアで奉仕の機会があるって言われたけど、どうして星やんにそういうことを言われたのかな。

ヨシオ:ああいうふうに、ババが霊体になって自由にあちこちに行かれ、そこで霊体の波動を荒くさせて霊体を物体化させて肉体となってどこにでも現れられるんやけど、そういうふうにして現れられた時のメッセージや、その人が瞑想中に得たメッセージ、またはある人の夢の中にサイババさんが来て言われたメッセージって、その人のためだけのメッセージが多いんや。だから、Sai's Messages for the Golden Age の本にそのようなメッセージを載せてないんや。たとえそのメッセージが、この私のメッセージを全ての人に伝えなさいという内容であっても、その人がそうすればいいだけの話で、他の人がどうこうする話では無いんや。
でもそれ以外の、例えば御講話で話された場合は、全ての人へのメッセージになるけど。
だから、どうして星やんにそういう事を言われたのか、それは星やんとサイババさんの問題で彼らしか分からん事なんや。
周りの人がそれを聞いて慌てて荷物をまとめてオーストラリアに行く必要はないと思う。その人一人ひとりにバ神さんはおられるから、自分の中の神さんにどうしたらええのか聞いてら言ってくれると思うで。

ポニョ:そういや、ババが物質化した未来の地図に日本が無かったけど、あんたのいてる西オーストラリア州はかなり残っていたな。そういうことも関係あるのかなと思ったんやけど。

ヨシオ:俺たちがこういう、ババがこんな地図を出されたという情報を、今こうして流しているのは人々に心の準備をしてもらうためなんや。この世界がずっとこのまま続きませんよ。もうすぐしたら、いろいろ大変な時が来るんで心の準備をしておきましょう。そして、そういう大変な時が来ても、すぐに明るい世界がやって来るから心配しなくてもいいですよ。今、世界を牛耳って悪さをしているガキもいるけど、燃え尽きる前の線香花火のようなもので、すぐに燃え尽きるよ。
まあ、これらの事は何れにしても、肉体のレベルでの話やから、地軸が傾いて大津波が来て生き残ったとしても、それがその人にとって幸せなのかどうかは別の問題や。

ポニョ:そらそうやな、だってまだこの世にたくさんの執着心や欲望がある人が、地球の大掃除の後、簡素な生活になるけどそれに耐えていけないもんな。生まれ変わった方が楽かもしれん。

ヨシオ:ババは、御講話の中で俺たちにクイズを出されたことがあるんや。こんなクイズやった。私がこの世界にラーマ神として降臨した時は、ダルマが先で、後にハッピーが来た。
私がクリシュナ神として降臨した時は、最初にハッピーがあってダルマが来た。それではこのサイアヴァターの場合はどうなんでしょうか。というクイズや。ポニョはどう思う?

ポニョ:うーん。ハッピーって幸せの事やろ。なんで幸せがダルマの前や後ろに来るんやろうか。だるまさんは、どっちに転んでも起き上がるから、前でも後ろでも関係ないしな。

ヨシオ:ここでいうところのハッピーのヒントは黒澤の映画「夢」や。

ポニョ:ああ前にあったよな。水車村のおじいちゃんが、葬式は悲しいもんと違う。死ぬって本当は喜ばないかん事や。と言ったシーンがあって、おいらが死ぬって肉体の束縛から離れてサナギから抜け出て蝶々になることや、なんて言ったよな。
ということは、死ぬってハッピーな事という事は、ダルマの前後に死ぬってことか。何やねんそれって。

ヨシオ:ババがダルシャンを与えておられる時に、一人息子を事故で亡くされて悲しんでいるお母さんが泣きながら、「息子が亡くなりました。スワミ。」と言ってババの足に抱きつかれたんやけど、ババは「ハッピーだよ。私はハッピーですよ。」と言って去って行かれたんで、そのお母さんは、ぽけ〜としておられた。

“何人もの女性が重い心で私のもとにやって来て言います。
「スワミ! 夫の死により、私は深い悲しみと苦悩にさいなまれています。
どのようにしてこの苦難に耐えればよいのでしょう?」
そこで私は「あなたの夫が亡くなったのですか? 私はとても幸せです」と言います。
彼女たちは私の態度をとても悲しく思い「どういうことですか、スワミ? 私の夫が亡くなったとお聞きになって、そんなにスワミは幸せなのですか?」と言います。
しかし、私は何と言ったらよいのでしょう? 私は常に幸せなのです。
私は悲しみとは何かを知りません。”

だから、ラーマ神の時で言うとその当時、ダルマが全てに渡って支配していて特に、ラーマが生まれた王国はダルマによって支配されており、早死にして親を悲します子供もいなければ、旱魃や大雨で農夫を悩ます事もなかったんや。でも、ラヴァナがシータを誘拐し、大戦争になって多くの人が死んで肉体から離れた。だから、最初にダルマがあって後にハッピーが来たって言われたんや。

ポニョ:そういうことか。それやったら、クリシュナの時は、こういうことやな。つまり、最初にクルクケーショタラの戦いがあって、それで平和になりダルマがやって来たって事や。

ヨシオ:その戦いは、ポニョも知っているように国土を二分する程の大きな戦いで、何百万人もの人が亡くなったんや。少し本題から外れるけど、この戦いにも伏線があって、実はナラカという地球にもう一つ月があって、長い楕円形の軌道で地球の周りを回っているんやけど、それがある年地球に衝突しかけたんや。
毎晩、そのナラカが地球に近づいて来て、大きく大きくなって来たので、人々は、特に星々の動きを研究してる占星術士や聖者が神に大きな天変地異をふせいでくださいと祈ってたんや。
その時に、この世界を維持管理するヴィシュヌ神がクリシュナとなってこのナラカを破壊されたんや。

ポニョ:フーンそんな事があったんか。新聞に載ってなかったけどな。でもそれって、地球が持っている地球自身のカルマやろ。それを取られたんや。

ヨシオ:載るわけないやろ。もし、そのナラカが衝突してたら何百万人が命を落としていたと考えられるんやけど、それって犬死やろ。だから、ヴィシュヌ神はマハバラータの話を作ってダルマとは何か、ということを後世に残されたんや。

ポニョ:つまり、そのマハバラータの戦いで亡くなった何百万人の人は、本当はナラカの衝突で亡くなるべき人やったって訳か。面白い。

ヨシオ:だから、何もこの世界に偶然って無いんや。全てはなるべくしてなる。だからさっきの続きやけど、今回のサイババとしての神の化身の場合は、ハッピーが来てダルマが後に来るんや。

ポニョ:つまり、天変地異で多くの人が亡くなるって事がハッピーということやもんな。そして、ゴールデンエイジがやって来るんや。

ヨシオ:その天変地異で亡くなる人たちは、次に生まれ変わる時代がゴールデンエイジになっているので、とても幸せが生活が待っているんや。

ポニョ:逆に、生き残った人は大きな災害の後の復興事業で大変な仕事が待っているんやろうな。東北の大津波だけでも大変やったのに、今回は世界中やもんな。

ヨシオ:まあ、生き残った方が大変やろな。俺も、ババの仕事でここオーストラリアにいるけど、たまたま日本に戻っている間に、そういう天変地異があるかもしれんし、逆に今、大阪にいてるポニョがインドにいてる間にそういう事があるかもしれんし、その時に生き残るかどうかは、神様にお預けして毎日、自分が出来ること、つまり、自分の持ってる悪い性格や短所を直し、周りの人々に愛を広めて、神さんへの愛を養って行けば人生に何があっても恐れるものなんてない。全知全能全在の神さん、愛そのものである神さんがあなたの事を、導いて見守ってくれるでしょう。という事で、サイババさんの話に移ります。

サイババさんと過ごした神聖な日々 ラダクリシュナ セティさん
サイババさんは、よく私たちと一緒に丘の上にあるタマリンドの木まで行きました。
そこに着くと、サイババさんはその木の葉っぱを取ってきて、それを手で握るように言われました。
そして、サイババさんは「よし、そうしたか。それでは、今から君たちが欲しいものを願うんだ。どんなものでもいいよ。いいかい。」と言われたので、私が欲しいものを願いました。
そして、手を広げると私が願っていたものが、手のひらの中に出現しているのでした。
時々、そこにいた人の中にはサイババさんの事を神の化身だと信じていない人もいました。
それで、そういう人が来た時は、サイババさんは、その人が願った物を手のひらを開けて見る前に、その人が何を願ったかを言われてから、その人が手のひらを開けるのを許されるのでした。
もちろん、サイババさんが言われた物がいつもその人たちの手の中に入っていました。

サイババさんと過ごした神聖な日々 スシーランマさん
サイババさんは八人から十人の帰依者たちと一緒に、チットラヴァティ川の近くにある丘の麓にいました。だんだん周りは暗くなってきている時にそれが起こったのでした。
サイババさんは、私たちに丘の頂上に集中するように言われました。
その時、サイババさんは私たちから、ほんの二歩ほどしか離れていないところに立っておられました。
そのあとすぐ、サイババさんが両手を叩く音が丘の頂上から聞こえて来たのです。
私たちは、その時何か光がフラッシュしたように感じました。
それで、その光の為に、数秒間、目が眩みました。中にはその場で気絶した人もいました。
次に、視力が戻り目を開けるとサイババさんが目の前におられたのです。
私たちは、ババがどのようにしてこのような現象をされたのか、さっぱり分かりませんでした。
サイババさんは私たちにこのような、丘の頂上から光のヴィジョンをその夜二回ほど見せてくれました。
一回目は、ババの頭の周りにオーラのような光が浮かび上がりましたがそれほど眩しくはありませんでした。
二回目は、とても眩しくて、今さっき私が述べたような現象だったのです。
そうしているうちに、夜は更けて行き、周りは真っ暗になりました。

「幸せは、幸せからは得られない」―幸せは、苦しみを経へて初めて得ることができるものです。1/1/04”

“今日の人間は悪魔のごとき生活を送っています。人間は頭のてっぺんからつま先まで、悪魔のようになっています。
それでどのようにして幸せを得ることができるでしょうか?
心を清め、その中に至福を体験し、あなたの幸せをあなたのまわりの人と分かち合いなさい。
時として、怒り、貪欲、嫉妬というような悪い性質があなたを打ち負かそうとするかもしれません。
それらは過ぎていく雲のようなものです。
それらに流されてはいけません。
あなたのハートから生じる純粋なる永遠の意識をしっかりとつかんでいなさい。16/3/03”

“女性を敬い守るという誓いを立てなさい。
そうして初めて女性たちは守られるでしょう。
女性が安全であって初めて世界全体が幸せになるのです。
ですから、もし、世界のダルマを守りたいと望むのであれば、皆さんはまず女性に対するダルマを守らなければなりません。”

“決して女性を軽んじたり、単なる慰みものとして扱ってはなりません。
私は、男性の皆さん全員が、少なくとも将来、女性の尊厳と名誉を守ることを始め、それによって自らの尊厳と名誉を守ることを望んでいます。
自分の妻をひどく扱う者は決して幸せになることも、繁栄することもできません。”

“あなたはあなた以外の人々が幸せでないときに、あなただけ幸せを感じることはできません。
あなたは人類共同体の一構成部分なのです。
あなたの持っている富を他のものと分かち合いなさい。
そうすることにより他の者の苦痛を軽減してあげるのです。SSP34vol8”

“世の中のすべての人の幸せを人生の目標にするつもりで無かったら、それは真の人間性とは言えません。SGc21”

ゴールデン英二君はすぐそこに

ポニョ:最近アガスティアの事を記事にしたけど、サイババさんの事をアガスティアで調べるのをやめなさい。と言われると余計に知りたくなるよな。

ヨシオ:このブログで以前紹介したサイババさんに関するアガスティアの葉のリーディングの一部とは、次のようなものや。
「主は、現在の姿かたちで、自身をビジョンとしてお見せになるだろう。
それは 彼の現実の身体の、本物のビジョンだろう。
それは多くの者に目撃され、見た者は驚異の念に満たされるであろう。
〜シヴァ神は言われる。
ビジョンはインドだけで はなく、全世界で目撃されると。
それは同じ形で、色々な場所で目撃される。
多くの 人は驚きに満たされ、あそこで、ここで、彼を見たと言うだろう。
事実彼は、同じ時間に多くの場所で多くの人たちに目撃されるだろう。
主の到来は、雷をともなった大きな嵐を前触れにして起きるだろう。
それは非常に恐ろしく見えるが、嵐は突然止み、主のお姿が現れるだろう。
この日以降、偉大な出来事が増していくだろう。」
“Sacred Nadi Readings” シュリ ヴァサンタ サイ著

ポニョ:おいら達が言ってきてることが、しっかり予言してあるよな。

ヨシオ:これらのことは、サイババさんがあまり世間に知られたくないことやねん。というのも、以前も言ったように今はローラーコースターを底まで落とす時期なんや。
ドンと落とすことによって、その後、高いところまで駆け上ることが出来るから。

ポニョ:ということは、サイババさんが亡くなってみんなが、なんやサイババ、サイババて言うてたけど、自分の病気も治せずに行っちゃったやないか。
どこが奇跡をする神の化身やねん。とんでもアフロのイカサマ手品師やっただけや。騙された奴は間抜けな奴や。手をクルクル回して、物を出すこと自体が大体怪しかったんや。
それだけやない。ネットからの情報によれば、若い男の子を弄んでいたって話やないの。
トンデモない酷いグルがいてたもんや。
と普通の人は、そういうふうに思ってる人が多いやろな。

ヨシオ:でもこれらは、全てええ事なんや。今までこのブログでも紹介して来たけど、サイババさんて、とてもいたずら好きでいつも遊んでおられるやろ。
ちょっと世の中から身を隠されて、後で出て来てみんなをびっくりさそうとしてはるんや。
それを楽しみにしてられるんや。

ポニョ:子供みたいやな。だから、あとでびっくりさそうと考えていることがバレるのが嫌で、アガスティアに書いてあることを見に行かないでね。と言ってられるんやな。

ヨシオ:その通りや。ここで紹介してあるアガスティアの予言は、ほんの触りだけやけどとても重要なことが書いてあるやろ。

ポニョ:そうやな。まず人々が恐れるような大嵐が来て雷が鳴り響き、それが止んだと思ったら、空にサティアサイババさんが現れる。プレマサイババではないというとこが味噌やな。
しかも、世界中で現れる。全ての人がそれを同時に見る。という予言やな。
これって、まるっきし、おいら達が言って来てるのんと同じやんか。

ヨシオ:そうやな。だからその時が来たら、もう全ての人がババの方を向いて生きて行くようになるんや。だから、その時に今まで悪口とかを言ってきた人とかは、慌てて神の方へ戻ってくるんや。
また、今世界中でイルちゃんたちが悪さをしてるけど、彼らの長期計画もオジャンになるのは目に見えている。
これからは、太陽を利用したフリーエネルギーも開発されるって、ババは言われてるし,既得権益で潤っているもの達も化けの皮が剥がされるやろね。
本当の意味での人類の歴史が始まるんや。つまり、人々が真理と愛にもとずいて生き、正義と非暴力を掲げた平安な世の中がやって来るんや。
サイババさんが大元の神さんやったと、世界が認識し始めれば全ての問題は解決して行く。
でも今のところ、ほとんどの人は、サイババってアフログルっていうのは知ってるんやけど、どんな事を説いておられるのか知らん人がほとんどや。

ポニョ:だから、このブログを立ち上げたんやったな。

ヨシオ:その為に、十年もかけてあのSai's Messages for The Gaolden Ageを作ったんや。

ポニョ:長期計画やな。でも実際このプロジェクトを始めたんは、もっと前やろ。

ヨシオ:そうやな。かれこれサイババさんが直接関与されてからやったら、もう25年になるかな。
ポニョ:直接関与って、サイの組織の偉いさんがあんたを訪ねて来た時のことか。

ヨシオ:そうやな。俺のいるオーストラリアが入ってる世界統括地区の世話人とオーストラリアの会長が訪ねてきて、俺が持っているオーストラリアの写真を、サイババさんが探しているからインドに持って行きなさい。と言いに来た時や。
俺は、その時に驚いたけど、さすがババやな。って感心したわ。

ポニョ:それまで、オーストラリアのどこに行ったらいいのか分からなかったから、取り敢えずあちこち行って、行くたびにそこの場所の写真を撮って祭壇に捧げてたんやったな。

ヨシオ:そうや。詳しいことは、サイババが帰って来るよPart1に紹介してあるよな。

ポニョ:まあ、これから楽しいゴールデン英二君の時代が始まるから楽しみやね。
サイババさんが亡くなられた歳は太陰暦で数えたら96歳やから、予定より早く死んだのではない。これら全ては、想定内のことや。
あとは、サイババさんがプレマサイババとして帰って来るのを待ちましょう。サッチャサイババの使命はもう終わりました。
山脈を持ち上げるとか、空に現れるとか、何千もの身体をとって同時に世界中に出現するとか言われていたんですが計画変更です。
それらの事はプレマサイババに引き継がれることになりました。と言ってる人は、そういうふうに言いたいって気持ちは分かるけどね。でも、ちょっと違うと思う。

ヨシオ:大体、サイババさんの身体のすぐ近くにいつもいてると、ババが肉体やと思ってしまうよな。だから、ちょっと離れていた方が、ババのことが分かり易いのかもしれんね。

ポニョ:今は、一人ひとりに、テストが行われている時やろね。それに合格するかどうか裏でニコニコしながら見守っておられるんや。

まもなく、全ての国々が一つになるでしょう。全世界は一つになるでしょう。カーストや宗教や国籍という狭い考えは消え失せ、全ての人が一つになって神聖さを体験するでしょう。全ての人が愛の思いを深め、お互いを兄弟姉妹と考えるようになるでしょう。
私自分自身が空を飛び、大空を駆け抜けるだろう。すべての人はそのことを同時に見るだろう。
あなた達は、壮大で卓越した仕事を成就する為に生まれてきたことを、知らねばなりません。あなた達は神の子であり、英雄的な行為をなすためのカリの時代の戦士なのです。溢れんばかりの慈悲と神の愛の具現者であり、世界中に神を知らしめることを決意した魂たちなのです。
未来についてはあなた方にはよく分からないかもしれませんが、私には私の意図した計画が実現するのがはっきりと見えています. 私の神聖さを無視している連中も私の元にひれ伏すようになるでしょう。
間もなく、私の神聖さはすべてに知れ渡るようになるのです。私は意図的に私の神聖さが世界に広まるのを遅らせています。しかし、一度、私が私の真の姿を顕現すれば、すべての世界がプラシャンティニラヤムになることでしょう。
あなた方は、これからすぐ間もなく、スワミが今まで明らかにしてこなかった栄光を見ることになるであろう。そうなれば多くの人々がやってきて立錐の余地もないぐらいになるであろう。
神は人類に地球を破壊する事を許しています。人類は、完全な挫折を体験しないと神の方には向かないのです。
今、世界の抱える諸問題はより奇怪な姿をとり、より大規模になってきました。それはもはや個人的な問題でも無く、限られた地域の問題でもありません。規模は世界的であり、すべての人類に影響を及ぼします。人間は且つてないほど悪くなりました。彼らは、過去の歴史において用いた以上の知性と技術を、残虐な行為に使っています。その者たちは他の人々に苦痛を与えるのを喜んでいるのです。
今日どうして人口が爆発的に増大しているかと言えば、それは人々の誤った行為のせいである。動物や魚が殺され食されると、それらの魂は、人となって生まれ変わってくるのである。
邪悪と信愛という二つの要因は、どのアヴァターの降臨にもなくてはならないものなのです。このように、神の計画には霊妙な秘密が隠されているのです。
悪魔的人間は人間の守るべき道徳律を無視し、恥ずべき感覚の悦楽を追い、エゴと慢心に満ちて利己的な目的の為に他の人を傷つけることをなんとも思いません。彼は傍若無人に罪深い行動をし続けます。自己中心が彼の息吹であり執着は彼の背骨です。このような利己的な人を称して悪魔と言います。
今日の世界は争いばかりです。人間と悪魔を区別することが出来ません。動物から進化した人間は、神性に向かって歩まなければならないのに、また動物に逆戻りしています。
全世界のすべての国々がバラタ(インド)を尊敬するようになる日が来るのを、あなた方は見届ける日が来るでしょう。この身体があなた方の前に存在している間に、サッチャサイの名を崇拝する声が全世界に響き渡るのを聞くことでしょう。
サイババは最近、将来の世界地図を物質化した。そして地球表面にいくつか環境調整変動が起こるだろう。そしてそれに伴い人口が減少するだろう。と言われた。

宇宙大の双六をしましょうか?

ポニョ:聖者が「私は神の召使いだ」とマントラのように言い続けていると「召使いだ」を神様が取っていかれたので、「私は神だ」という部分しか残らなかったという話しが面白かったな。

ヨシオ:俺が、ババの帰依者になった頃、自分はババの召使いだと言い聞かせていて、どんな事をやっていても、それはババの召使いとしてババのためにやっているんだと、自分に言い聞かせていたんや。ある時、知り合いの人がたくさんの荷物を運ばなければならない事があったんやけど、それらは自分のものではないし、自分が運ばなくても良かったんやけど、その知り合いの人を神さんと思い、自分は召使いとみなして、その人の荷物を担いで何回か車に運んだんや。その時に、自分がこれだけ謙虚になれて、誰かに何かをしてあげたという気持ちも湧かず、自然に人を神様として見て、自分の身体を使って奉仕が出来るようになっている自分に驚いたな。

ポニョ:ババの奇跡の中で一番大きな奇跡は、人を変えるということやから、あんたが変わっていったて事もババの奇跡やったんやろな。あんたは元々めちゃガラが悪いし、顔も長くて口も悪く、態度もでかい人間が、なんでこんな霊的な道におるのんか誰も理解できないやろな。

ヨシオ:もしもし、俺の聞き間違いかもしれないけれど、なんか余計な言葉が途中に入っていませんでしたか?

ポニョ:いや、自然に心から出てきた言葉やから余計な言葉なんて無いと思うけど。

ヨシオ:今回は俺の耳が悪くなったことにしておいたげるわ。それで、その荷物を両手に持って運んでいる時に突然、なんていうかすごい至福感のようなものが、胸の奥底から湧いてきてめちゃ幸せな気分になったんや。涙が出てきたんやけど、両手は荷物を抱えているから、涙を拭けないし、そのまま涙で頬が濡れたまま歩いていたんや。そんな小さい奉仕、誰かの荷物を運ぶのを手伝う事だけなんやけど、それを通じて至福感を味わえた事にびっくりしたことがある。

ポニョ:神様の召使いになれば、至福感を味わえれるか。そう言われれば、いろんな奉仕活動をしている時に、自分が小さくなっていく様な気になるよな。エゴやプライドが無くなって行くような気がするぜよ。そういうふうにして、神様の方に人が向いて行くと、その人の人格も良くなって行くって訳なんやな。

人格は、霊性修行によって決定されます。
人の運命は幸運であれ不運であれ、人格によって決定されます。
よい行いを常に実践することによって、人格は磨き上げられます。
一方、行為の基盤となるものはその人の想念と意図です。
想念が心に浮かんだときそれが良い想念かどうか、社会に対し善であるか害であるかを調べなくてはなりません。
充分に吟味した上で行為しなさい。
自分の不運を他の人のせいにするべきではありません。
清らかな想念を持ちあらゆる行為を神への信仰を持って行う時、その人に神の恩恵が注がれます。
世間の肩書きや名声、財産や家族は、いずれもはかないものです。
生きている内に無くなってしまうかもしれません。
災難や不運な目に遭えば、肩書きも名声も財産も家族も無くなります。
もっと大事なことは、皆さんが死んでしまったら、そのすべての関わりは消えて無くなってしまうのです。
しかし良い人格、良い行い、アートマの知識、すぐれた徳性は皆さんを助けてくれます。
生きている間だけでは無く、この人生が終わった後も強い味方であり続け、皆さんが神に達し、一つになるのを助けてくれるのです。SGc9
人生の流れの中で、もし前に進みたいのであれば、悲しみと罪という押し寄せる波をかき分けなくてはならないのです。
子どもから大人まですべての人が、神の愛を獲得するために努力しなければなりません。
この神の愛のための苦闘は人間の人格を形作ります。
人格とは何を意味しているのでしょう?
それは背丈や体重、強靭な体を意味するのでしょうか?
いいえ、そう考えるのは間違っています。
悲しみと困難に妨げられることなく、人は勇気をもって前進し、神の愛を獲得するために困難に挑まなくてはなりません。
それが人格の本当の意味です。
事実、神はすべての人にこのような人格をすでに与えているのです。
不幸にも私たちはこの真実に気づかずにいます。28/8/04


ヨシオ:人は自分が肉体が体やと思っている限り、エゴ意識が付きまとうし、悲しみや苦しみも次から次にやって来る。でも、そのエゴ意識が小さくなって行くに連れて神様の神聖意識が入って来て、だんだん幸せな気持ちになって行くんや。


ハヌマーンは「私はラーマ様の僕だ」という一途な気持ちによって大きな悦びを味わっていました。
ただその気持ちはいつまで続くでしょう。
それは神の恵みを受け、神の近くにいるときだけです。
神と別れてしまったら大変苦しむことになるはずです。
「私は神」の段階になれば苦しみの問題は全く起こりません。
高度な段階になれば、いつも神と一つなのですから、神と別れたり苦しんだりすることはありません。
「神の僕」の段階では、神と僕が別れてしまう事もあるが「私は神」の段階では悦びが途切れることはありません。
二つに分かれることは決して無いからです。SGc9

ポニョ:以前椅子取りゲームの話をしたよな。心の中には一つしか椅子がなくて、その椅子に神様が座るか、それとも肉体が自分と思っているいうエゴが座るかっていう話やった。

ヨシオ:最初は、「私は神様の召使いです」から始まり、次にそこから「召使い」という言葉が抜けて「私は神様です」になり、最後に「神様」という語も抜けて「私」しか残らなくなるんや。

ポニョ:ということは、「私は私です」。つまり自分は本当の自分であるアートマ、創造主になるんやな。

ヨシオ:人は、今、いろんな物質的な、世俗的なことに巻き込まれていて、どっか違うところを向いてウロウロしているけれど、どんな人でも全て、今言ったプロセスを通って神へと続く道の方に歩み出すんや。


考えている内容と、ものの考え方によって心のあり方が決まります。考えている内容が物質的な世界や物に向いていると、富、財産の方に偏りがちになります。富や財産はこの物質世界を支えているからなのです。SGc9
私たちがそこにいて世の中を見る時のみ、世界は存在します。
我々が盲目であったり、気を失っていたりすれば私たちにとっては世界は存在しません。
私たちにとっては、世界は見えるとおりのものです。
世界は私たちが抱く観点のままの姿を取るのです。
例えば、私たちがすべては神だ、と思えば見えるものすべてが神となるのです。CWSSBJp111
物質的な世界では、すべてのものは儚いのです。
形あるものはみないつも変わっていきます。
そんなは儚いもので、神の姿を捕らえるなど出来るはずはありません。
神の移ろうことの無い清らかな姿を捕らえようと思うなら、清らかな心の内に捕らえるほか無いのです。
~五つの元素はいつも変化しています。
永遠の境地に達するためには、五つの元素をその変わりゆく姿を超えなければなりません。SGc22


ポニョ:「自分は実は自分だった」という道か。面白いよな神さんが作られた創造主による双六ゲームは。しかも、そのゲームを高いところからいつも俯瞰して、人がマーヤーに惑わされているのを見て、笑われているんやろ。人が悪いよな神様って。

ヨシオ:人が悪いってあんた、神さんは人じゃないで。それより、俯瞰(ふかん)なんて難しい言葉を使わんとってくれるか。それに、俯瞰って高いところから見るっていう意味やろ。それやったら高いところから俯瞰するって言ったら二重に同じことを言ってることになるやんか。

ポニョ:使い慣れん言葉を使うとこうなるぜよ。痴能程度がばれたぜよ。

ヨシオ:痴能の字が違ってるで。ああそれで合ってるんか?昔、シルディババが一人で、焚き火をしながら古い使われていないモスクの一室にいる時、独り言を言ったり、大きな声を出して怒鳴ったり、楽しそうに一人で笑われたりして、気狂いのように振舞われていたんや。人がどうしてそのように振舞われるんですかと聞くと、人が、自分を神だということを忘れてしまって愚かな行為をするので、面白くて笑ってしまうんだ。と言われたことがある。

ポニョ:でもそういう状況をおつくりになられたのは神さんやもんな。本当に神さんってゲームをして、いつもハッピーで毎日の一瞬一瞬を楽しんでおられるんやろな。

ヨシオ:この世界は神さんのプレイグランドなんや。今回も、わざとサマディになってこの世からいなくなられているけれど、それも大きなマスタープランの一つで、一時的にお隠れになっておられるだけで、人がババさんを忘れ去った頃にまた再び、「バアー!」と言って現れて人を驚かせるつもりなんや。ババが今までやって来られたことを振り返って見てみたら、そういうことをやられるってすぐに分かる。見え見えや。

ポニョ:いたずら好きのババやもんな。子供と一緒やな神様って。ほんまに。

ヨシオ:でも、いつ戻られるかは絶対に誰にも教えらないやろな。だって、そうしたらみんなはババが戻ってきても驚かないやろ。まあ俺たちは推測は出来るけど、定かじゃない。

ポニョ:ババが物陰に隠れて人をいつか人を驚かせようとしているけど、それをいつやられるかを人が分かってしまえば、驚かなくなるもんな。

ヨシオ:まあ俺たちは、ババが創造された宇宙規模の大きなゲームに踊らされている駒みたいなもんやから、その時々でババがやられるいろんな事を、幸せな気持ちで楽しんでいたらええんや。
ポニョ:だから、ババはいつも幸せでいなさいって言われているんやな。だって、どんな事がこの世界に起こっても、それは神さんが計画して作られたゲームの一場面やから。

ヨシオ:だから、この世で何も真剣になり、シリアスになってやる事なんて何にもないんや。何かに失敗したり、人に傷つけられて落ち込んだり、逆に欲しいものが手に入ったり、望みがかなったりしても有頂天になる必要も無いんや。世俗的な欲望を諦め、何が起こっても全てを受け入れる態度。何事も淡々と粛々と、神様に捧げるつもりで自分に課せられた義務をやり抜き、結果を期待しない。そういう態度を堅持して人生を歩んで行けば、決して悲しみに捉えられたり、落ち込んだりせず、幸せな人生を歩めるんや。

ポニョ:でも神さんは、全ての人々がそういう人生を歩んで行くことを望んでおられるんやろか。だって、世の中にそういう悟ったような人ばかりが住んでいたら、神様が化身としてこの世界に来られる理由が無くなるし、人の喜怒哀楽をゲームのように見て喜んでいる神さんの楽しみも無くなってしまうやろ。

ヨシオ:でも、そういう風にはならないように神さんはゲームをつくっておられるんや。この世界はピラミッドのように、だんだん進化して行くように出来ているやろ。だから、この人の世には早くから人に生まれ変わり、いろんな良いカルマを積んですでに神に近い魂を持って生活をしている人もいれば、たった今、動物から人に生まれ変わったばかりの動物や獣の性質をたくさん持っている人も、一緒に混在して住んでいるんや。だから、いつでも神さんが楽しめるような材料がこの世にたくさんあるようにわざと作ってあるんや。

ポニョ:その中にいて、一喜一憂しているのがおいら達なんやな。神さんから見たら、おいら達が一番面白くない駒やろな。神さんのゲームの手の内を知っているっていう意味で。もう神さんはおいら達を上がりにさせてゲーム盤からつまみ上げたいやろな。

ヨシオ:この双六ゲームのクライマックスである、ババの再降臨を、ネットでバラしてしまっているしな。俺たちがやっていることは神さんの創られた神聖劇の物語のネタバレや。

ポニョ:そういうことなんやろな。おいら達は神さんから見たら、ちょっと目触りな人間なんやろな。

ヨシオ:何遍も何遍も生まれ変わり過ぎて、神さんがもう君たちの顔は見飽きたぜ。って思われているんやろな。でも、最後に少しだけゴールデンエイジに向けて神様の栄光を広め、ポニョのように、頭を使って世の中に光を届ける仕事をしてから親父のところに帰ろか。

ポニョ:さっきの仕返しですか?巳年は執念深いって言うけれど本当やぜよ。おまけにあんたは蠍座やしな。ああ怖い。

人類の再建は、実に、世界の再建です。
人間がより良くなって、初めて社会は幸福になり得るのです。
政治的、経済的、社会的領域といった外的な進歩だけでは十分ではありません。
人の心が改心させられなければなりません。
これは食べ物を通してだけでは達成できません。
人類の問題は衣食住を確保することで解決できると論じる唯物論者たちは、原子爆弾が爆発したときに自らの運命に直面することとなりました。
人間は、物質と知性と霊性の進歩という三つの道筋のすべてを熱意をもって追求するときにのみ、完全性へと到ることができます。19/11/80
ゴールデンエイジになれば、世界中が調和で満たされどこかしこも愛であふれるでしょう。
今日、どこを見ても混乱、争い、騙しあい、悪徳,などのネガティブな状況が優位を占めているので、あなた達はそのようなすばらしい世界を想像出来ないでしょう。
しかし、最終的に変化はやってくるのです。
今日、種はまだ土の中にあり、それがゆっくりと芽を出すように、神の教えは世界中の人々の心に浸透し広まりつつあります。
間もなくこれらの種は成長をはじめ、たくさんの人々にその絶対真理の美が届き始め、明るく輝き始めることでしょう。
時間は少しかかるかもしれませんが、新しいゴールデンエイジはゆっくりとやってきているのです。
あなた達の中にある神聖さを輝かせ、ビーコンのひとつとなって世界に明かりを灯し、ゴールデンエイジを少しでも早くこの世界にもたらそうではありませんか。
今日、幾人かのすでに啓発された、神を悟ったステージに達している魂たちが、来たるべき新しい時代を導いていくことでしょう。P41 Sai Vandana
アヴァターの使命は人類の心に変容をもたらすことです。
皆さんは一つの事実に気づくことができなければなりません。
人類の世界規模の変容はすでに始まっています。
短期間のうちに、すべての人間社会が一体となり、次のヴェーダの祈りの中で尊ばれている理想に沿って、平安と一体性のうちに生きていることに気づくことでしょう。
共に生きよう、共に成長しよう。共に知性を育もう。互いに仲良く暮らそう。
私は、黄金時代はとても近いと断言します。
バーラタ(インド)、そして、全世界で、個人の対立、不和、同胞への憎しみは、過去の遺物となるでしょう。10/10/05

番外編 1
認知症も癒すヴェーダの力

福山加代子は、五島列島の富江出身で、その昔、隠れキリスタンの島で有名な同じ五島の中通島から迫害を受け、逃げて来た家族で育った。
縁があって、高橋興蔵という仙台出身の、当時、日本の植民地だった青島で大きな会社を経営しているビジネスマンと一緒になり、東洋子という娘を生んだ。
母娘共々、瞳の色が薄茶だが、その周りが薄青色だったので少し西洋人の血が混じってるのかもしれない。
興蔵は戦後間もなくして亡くなり、東洋子は、母一人娘一人の家庭で育った。
加代子は、夜中になると起き出して一晩中、墨と筆で壁一面に何やら書いていた。
そして、朝起きても、その事を全く覚えておらず、逆に自分と全く違う書体と文体、しかも内容も自分が全く預かり知らぬ、霊の世界の事なので誰かが夜中に入ってきてイタズラでもしていると思っていた。
東洋子は、その母の奇妙な振る舞いに恐れおののき、人からそれはお筆書きといって、誰かの霊が乗り移っていると教えられたので、何度もお百度参りをするうちに加代子の奇行は見れなくなった。
加代子が亡くなった後、東洋子は結婚して二人の子を授かったが、そのあとすぐに、今度は夫が病で世を去った。東洋子は、若干二十三歳だった。
その後、ふたりの幼い子を女手一つで育て上げ、結婚させ、孫ができた頃にサイの帰依者となった。サイババさんに、初めて会いに行った時エコノミーチケットを買ったのに、行きも帰りもファーストクラスの席に案内された。
アシュラムで他の信者から、スワミが東洋子の事を、前世でシルディのババに食事を世話した事がある、と言われた、ということを聞いた。
スワミは、東洋子をインタビューに呼んだ時、満面の笑顔で「How are you?」と言って話しかけられた。

インタビュールームでスワミが目の前で話しておられるのを聞いていると、自分の今日までの苦労してきた人生のいろんな場面が、走馬灯のように、クルクルと目の前に現れては消えた。
そしてその自分では苦労の連続だと思っていた人生の後ろには、実はいつもサイババさんが見守っておられたんだ。という事を知った。
インドから戻り、毎日瞑想を始めると、人のオーラが見えるようになった。
昔から直感力が強くて、息子や嫁とコインランドリーのチェーンを経営していたが、ある日、一人の客を見ると直ぐに、その人が凶悪人だと分かり警察に通報したことがある。
警察も、大変驚いていた。指名手配にされたばかりで、ポスターも出来ていなかった。
多分その頃から、少しオーラが見えていたのかもしれない。
その色によって、良い人か、悪人か、嘘をついているか、本当のこと言っているのかも分かる。
勿論、その人の性質などは、手に取るように分かる。
「ほとんどの人は、赤やね。欲望が強すぎる。」と言っていた。
自分のこの能力は、家人にも話さないようにしていた。
しかし、朝に挨拶に来た息子や孫に、その日に起こるであろう出来事や、将来のことをアドバイスすることもあった。67歳で、認知症アルツハイマー病と診断された。
最初は、徐々に進行していたが、だんだん進行が早くなって行った。
もう、人の顔を見分けることもできなくなり、身の回りの事も自分で出来なくなっていった。
トイレの場所も分からなくなり、家中、張り紙だらけになった。
また、キッチンでは、ガスや電気の付けっ放し、水道の出しっ放しなど、日常生活にも大きな影響が出て来た。そんな頃、サイババさんが東洋子の部屋に現れ始めた。
私達には、見えないが東洋子には見えるらしい。
部屋で大きな声で、サイババさんと思われる人とよく話すようになった。
大声で笑っていた。楽しそうだった。また、夜中に一人で廊下を独り言を言いながら歩いているので、何を言っているのかと、聞き耳を立てていると、ナント、私たちには見えないが、サイババさんに手を引かれてトイレに連れて行ってもらっているところだった。

しかし、時々、突然不機嫌になって理由もなく、孫の顔をぶったり、悪態をついて嫁を泣かせたりしていた。
夜中に、こそーっと忍び足で家を抜け出し、捜索願を出して警察にお世話になったのもこの頃であった。しかし、頭がしっかりしている時、東洋子は、息子を枕元へ呼び、
「私は少し気狂いになっているんだ、と自分で思っています。」
「もしあなたと、嫁さんが私の世話をしきれない時が来れば、躊躇せず老人ホームに入れてください。」と言った。確かに、もう限界だった。
夜中に、テスト勉強中の孫の部屋に入って悪態をついたり、食べ物や汚物を投げまくったりして、孫たちは、家中を走って逃げまくる時もあった。
もう、どうしても家では介護し切れないので、近くにある、まるでリゾートホテルのような、人口の滝まである、素晴らしい老人ホームがあるので、そこに入ってもらうことになった。

いよいよ入居の日、世潮は良心の呵責に苦しんでいた。
毎月の費用は、年金でまかなえるという。
保証金も退出時9割返還だという。好い事だらけのように思えた。
マネージャーはニコニコして、「これであなたは介護の束縛から、自由になれますね。ご苦労さんでした。」と言った。
東洋子の以前通っていた陶芸教室の日本人の先生も、ここで働いているので言葉の心配はなさそうだ。でも朝は、シャワーだという。東洋子は、お風呂で無いとダメだ。
それに、乱暴になるとすぐに薬を処方するらしい。
「徘徊を始めても、廊下が口状になっているので、くるくると回れるだけで、どこにも行けないのです。」とマネージャーは誇らしげに言った。
「あなたのお母さんぐらい症状が進んでいると、すぐに寝たきりになっておとなしくなり、手がかからなくなりますよ。」施設は立派だが、入居者の人格を尊重していないように思えた。
その朝、サイババさんが夢に出て来られた。
「東洋子の幸せだけを考えなさい。自分の事は、一番最後に。そうすれば答えは、自ずから出ます。」そうだ。東洋子にとって家族と一緒に、孫たちと一緒に生活するのが一番なのだ。
家族に大きな迷惑をかけているが、みんなを説得してみよう。
それに、母の面倒を見るのは自分のダルマだ。それを捨てる訳にはいかない。
と考え、老人ホームへ向かっていた車をUターンさせた。
そして、家族にみんなに迷惑をかけているけれど、何とかして、一緒に生活してあげて欲しい。
もしそれが叶わないのだったら、ここのすぐ近くに別居して、私一人で介護するから、いつでもおばあちゃんに、会いに来て欲しいと告げた。
みんなは、家族全員でやっぱり、おばあちゃんを見ると言ってくれた。
家族会議の翌日、サイババさんの御講話が載っている雑誌がインドから届いた。
サイババさんはご講話で、自分の母親を老人ホームに入れずに面倒みなさい。と書いてあった。
その後、地獄のような日々が続いたが、孫二人が大学生だったのにも関わらず、介護士の資格を取ってくれていた。
「今まで、お父さん、お母さんだけに頼っていたおばあちゃんの介護を、僕たちプロがするから問題ないよ。」と言ってくれた。優しい子達だ。
車椅子生活になったのは76歳の時で、自分の事は、何一つ出来なくなっていた。
廃人の一歩手前だった。
身体も、くの字型に曲がり、食欲もなく、二十八kgまで体重も落ち、一日中寝てばかりで、お迎えはもう時間の問題だった。もう発病して、九年目を迎えようとしていた。
ちょうどその頃、サイババさんが「ルッドラムを唱えなさい。」
と、ご講話でおっしゃったので、毎日、朝夕二回唱え始めた。
世潮は、うたた寝している時に、嫁が一人でルッドラムを詠唱しているのを聞いたことがある。
自分の身体の細胞の中の原子が突然激しく振動を始めた。
これが、シヴァダンスと表現されているパワーだと知った。
その結果、細胞一つひとつが活発化し始めて来て、血が沸騰しているようだった。
その後、そのパワーは、家全体を揺すり始め、遂に天井を突き破って天空を舞い上がり、世界中に拡散して行った。
凄いパワーだと思った。嫁が、ただ一人で詠唱しただけで、こんなにもすごい。
それ以来、家族全員で、詠唱することにした。東洋子は、おとなしく横に座って聞いていた。
時には調子に合わせて、手拍子もすることもあった。
東洋子の体重が目に見えて増え始めたのは、この頃だった。
そして、ほとんど話せなかったのに、少しずつ言葉が口から出てきた。
そうするうちに、歩き始め、食事も自分で出来るようになった。
もう、明らかだった。ヴェーダのお陰だ。と、家族の誰もが感じていた。

ヴェーダの詠唱を聞くだけでも、心を清めることが出来るのです。18/10/93
マントラから発する宇宙エネルギーは供儀の火壇の火から立ち上る炎と共に上昇し、全世界に広がり大気を清めます。19/10/92

体の細胞ひとつ一つが、リフレッシュするような、パワーのあるヴェーダ詠唱だった。
世潮は、うたた寝している時に、嫁が一人でルッドラムを詠唱しているのを聞いたことがある。
自分の身体の細胞の中の原子が突然激しく振動を始めた。
これが、シヴァダンスと表現されているパワーだと知った。
その結果、細胞一つひとつが活発化し始めて来て、血が沸騰しているようだった。
その後、そのパワーは、家全体を揺すり始め、遂に天井を突き破って天空を舞い上がり、世界中に拡散して行った。凄いパワーだと思った。
嫁が、ただ一人で詠唱しただけで、こんなにもすごい。
それ以来、家族全員で、詠唱することにした。東洋子は、おとなしく横に座って聞いていた。
時には調子に合わせて、手拍子もすることもあった。
東洋子の体重が目に見えて増え始めたのは、この頃だった。
そして、ほとんど話せなかったのに、少しずつ言葉が口から出てきた。
そうするうちに、歩き始め、食事も自分でできるようになった。
もう、明らかだった。ヴェーダのお陰だ。と、家族の誰もが感じていた。
ヴェーダの詠唱を聞くだけでも、心を清めることが出来るのです。18/10/93
マントラから発する宇宙エネルギーは供儀の火壇の火から立ち上る炎と共に上昇し、全世界に広がり大気を清めます。19/10/92

ヴェーダは神の息吹

ヴェーダの癒しが、東洋子にとても効果があると分かったので、
ルッドラムのナマカムだけでは無く、チャマカムも始めた。
そう、ルッドラムにはナマカムとチャマカムの二つがあり、
チャマカムの方が、もっと世俗的なお願い事をするのに向いていた。
特に、チャマカムの第一章と第十章は、特に東洋子にとって大事な章だった。
そこには、身体の機能が正しく作用しますように、という身体の為のお祈りの言葉が入っているからだ。
ヴェーダは、天啓経典とも言われていて、その作者は無く、神そのものであると言われている。
その、ヴェーダの一語一句は、言霊そのもので真理である為、強力な霊的パワーを秘めているのだ。
少し、霊感が強い人なら、その強烈なバイブレーションに圧倒される事だろう。
インドでは、数字ひとつ一つに意味を持たすニューメオロジーという学問が盛んで、ヴェーダの一語一句に数字を当てはめて行き、霊眼でそれを読み取ると小数点以下、何十桁もの円周率が読み取れるという。
まさしく、人知では決して解明できない、神の世界の御業なのだ。
ルッドラム チャマカムの第十一章も、ほとんどが神から数字を使う許可を得るお祈りで占められている。
古代の社会では数字でさえ特別な神聖な意味を持っていて、聖者たちがそれらを使って、いろんな儀式、ホロスコープ、供儀などに役立てていたのだろう。
現代でも、一部の数学者は、9という数字や、黄金分割線がスペシャルなことに気付き始めている。

神の息吹そのものである天啓経典ヴェーダの中でも、最も強力なのが世潮たちが毎日唱えているルッドラムなのだ。
ルッドラとは、ヒンドゥーの神様であるシヴァ神のことで、新しい世界を創造ためにこの汚れた世を破壊するための神様なのだ。
そして、ルッドラムというお祈りの意味の概略は、その世界の破壊から少しでも人々をお救いください。お怒りをお鎮めください。というものなのだ。
このヴェーダをサイババさんが御降臨されて、八十余年後の今の時代になって初めて信者たちにプロモートされるというのは、大きな意味があるのだ。
どうして、今になってルッドラムなのか。しかも期限を切られて、その年の私の誕生祭までに学生達に唱えさせなさいと、要求されたのか。
しかも、ルッドラムを教えている教師に、教えるのが遅すぎる。もっとスピードアップしなさいと鞭を入れられた。
それの本当の理由を、サイババさんは明らかにされない。しかし、ヒントは与えられている。
サイババさんの、ほんの小さな御指示や、一見意味のなさそうな冗談でも決して軽く受け取ってはいけないと、このブログで何度も指摘してきた。
ヒントは、ルッドラム ナマカム第五章にあるのだ。
サイババさんは、ヴェーダは人類全てに対する神様からの贈り物だと言われている。
それゆえ、インド人だけではなく世界中の人が、あの難しい世界最古の言語サンスクリット語で書かれたお祈りから、御利益を得ることが出来るのである。
ルッドラムを修得するように、という命が出てしばらくしてから、サイババさんはある一人の外国から来て、サイババスクールに寄宿している男の子を呼び、こんな小さい外国人の子供でさえもうルッドラムを唱えることが出来る。インド人である君たちも見習って、早く習得するようにと言われてから、その外国人の子にルッドラムナマカム第五章を唱えるように指示しされたのだ。
その第五章には、どうか津波から私達をお守り下さい。というお祈りの言葉が入っている。
そして、サイババさんの物質化された地図によると、その子の故国の半分以上は津波で流されることになっているのだ。
ルッドラムの詠唱は、家族の欠かせない日課になっていた。
毎日二回、時によっては三回、東洋子の前で大きな声で唱えた。
最初は、学業や仕事で毎日忙しくしている子供達も、祭壇の前に座ってルッドラムのナマカムとチャマカムを含めた四つのヴェーダを唱えたあと、
グルマントラ、ガヤトリマントラ、シャンティマントラなど一時間近く、一日二回唱えるのは彼らにとっては苦痛だった様だが、それも少しずつ慣れてきたようだった。
何と言っても、それによっておばあちゃんの病状が改善されて来たことに気付いているし、自分達も心が平安になるようで、特に夜勤の多い次男はヴェーダの詠唱が始まるや否や、寝息を立てるのが常だった。
他の兄弟たちは、インドのサイババの学生に負けないようにとルッドラムを暗唱し始めた
ヴェーダを唱えた後、自分の体の細胞がリセットされるのが分かる。
色んな世俗の汚れ、特に、人の悪い想念の力による魂の汚濁が浄化されるのだ。
東洋子は、だんだんと普通の会話が出来るようになっていた。
人の言葉を聞き取るのは問題ではなくなった。
ただ、水槽の魚を見て、「綺麗な蝶々だね。」と言ったりして、単語と形が一致しないだけで、こちらがそれに慣れてくれば、何を言いたいのか分かるようになった。
体重も十五kgも増えた。
さすがに、いざという時のためにオムツは取れなかったが、ほとんど汚す前に自分でトイレに行きたい。と言えるようになっていた。
使い捨てオムツが使い捨てられなくなった。
昔から百貨店の中を見て歩くのが好きだったので、連れて行った。半日ウロウロして家に帰った。
「今日は、久しぶりに百貨店へ行ってよかったね。」と言うと
「でも、あんたは何も買わへんかったやんか。」と不満そうに言った。
あの大好きだった、インド洋に面したビーチに連れて行くと、
「今日は、ありがとう御座いました。また機会があれば、連れて来て下さい。」と頼んでいた。

ある日、いつものように朝の挨拶に行くと、ニコニコして「今日の朝方、サイババさんが夢に来られたよ。」といった。
驚いて、「どんな夢だったの。」と聞くと、

「『お前はこの世にまだ囚われられている。』
と言われたよ。」

「そして、サイババさんが、両手でとても可愛い女の赤ちゃんを抱えていて、私に『どう?この子が好きか?』と聞かれたよ。」
「私が、こんなに可愛い子だったら、この子に生まれ変わってもいい。」
「というと、『そのようになる。』と言われたの。」
「あんなに可愛い赤ちゃんになって、生まれ変われるなんて嬉しい。」と、無邪気に喜んでいた。

いつも散歩で立ち寄る芝生が一面に広がる公園に行くと、白いオウムの一群が空を舞っていた。
東洋子が「ツエンティエイト」と言った。
世潮は、「いやあれはカカトゥーというオウムや。」
と言うと、また東洋子は「ツエンティエイト」と言った。
ツエンティエイトとは、オーストラリアではセキセイインコのことを指す。
世潮は、何も答えず、無意識のうちに芝生でエサをあさっている、カカトゥーの数を数えていた。
二十八羽いた。
東洋子は、突然健常者のように「ここの芝生を見ていると昔、主人とよくデートに連れて行ってもらった六甲山のカントリーハウスの芝生を思い出すわ。」
と、今まで聞いたことのないような話をし始めることもあった。
散歩の帰りに、「ちょっと待って、」と言って少し寄り道し、白い野生の花が咲いているところへと行って一輪詰みながら、
「私、いつもあんたの嫁さんに世話になっているから、これお土産やねん。あの子にあげるねん。」と大事そうに持って帰った。
嫁さんは、「主人のダルマ(義務)を支えるのが私のダルマ。」と言って誠心誠意、義母に尽くしていた。
誰かが、「あんたには、そうしなければならないカルマがあるから。」
と嫁に言った言葉も、気にしなかった。
その夜、サイババさんが嫁の夢に来られて、「人に好きなように言わしておきなさい。あなたは、正しい事をしているのだから。」と言って御足を触れさせてくれた。
風呂上がりに服を着せていると、
「ありがとうございます。この御恩は決して忘れません。一生あなた方にありがとうと言い続けて生きて行きます。」と言った。
ある日、東洋子の部屋に入ると、「静かにしなさい。今お祈りしているところだから。」と言って、壁にかけてあるサイババさんのお写真に向かって、ガヤトリマントラを唱えていたのには、家族一同、ひっくり返るぐらい驚いた。
そして孫たちにも。「私と一緒にここに来てお祈りしなさい。」と言った。
また、毎週一回ファミリーバジャンをするが、大きな声でグルマントラも家族と一緒に唱え始めていた。
ある日、久しぶりに知り合いの人が訪れた。その日の夜は暑くて、寝ている間に自分でシャツを脱いでしまい、朝方冷えたので、少し体調を壊していた。
知り合いの人は、以前の東洋子に話しかけるように「東洋ママは、何にも分からんから仕方ないやんな。」と慰めるつまりで言った。
世潮は、「しまった。」と思ったが手遅れだった。
東洋子は、以前の東洋子ではないのだ。
言ったことが全部分かるのだ。
東洋子の頬に涙がそっと流れた。
アルツハイマーと診断されて十二年が過ぎていた。
もう四年以上も何の投薬もしていなかった。
サプリメントも山芋の粉末以外、何も摂っていなかった。
人と違う、特別なことと言えば、家族中でベジタリアンで、(ただし、豆腐も含め大豆製品は摂らない。)
お酒もタバコもやらない。白砂糖も摂らないというぐらいだ。
東洋子は、だんだん元の東洋子に戻って行きつつあった。
ヴェーダの力は、驚異的だった。
このままどこまで、東洋子が元の東洋子に戻って行くのか、想像もつかなかった。

ヴェーダを規則的に学びヴェーダの指示を実践するなら、人間はあらゆる種類の富を授かります。
人の生活と運命を支配する基本的な原理がヴェーダには含まれています。
ヴェーダは全人類の幸福のための神からの贈りものです。
ヴェーダは宗教や身分や国籍をもとに区別 をするようなことはありません。
ヴェーダのマントラはすべての人が唱えることができます。
ヴェーダがすべての国に広がり、宗教や身分や国籍などによらず、すべての人がヴェーダを学び唱えることがスワミの望みです。

9/8/06

もう介護の兄ちゃんじゃないよ

ある日、いつものように、風呂上がりに服を召してもらっていると、突然、
「少しお伺いしたいのですが、私は、いつもこんな風に、あなた方のお世話になっているのでしょうか。」
「もしそうだとすれば、私の人生は、一体どうなってしまってたのでしょうか。」
「このまま、あなた方にお世話になりっぱなしというのは、少しどうかと思います。」
「このような生活を続けて行けば良いのかどうかを、今、それを真剣に考え直さなくてはいけない時に来ているんだと思います。」
とても難しい立派な日本語だった。
東洋子は、昔から周りの状況を自分が受け入れられない時、関西弁が影を潜めて父親の言葉である標準語で話すのが常だった。
その夜、東洋子はそれ以上の事は話さなかった。
何を言っても、頷くだけで無言だった。
でも、目はしっかり何かを見据えていた。

世潮は自分の母は、ほとんど元の母に戻ったと感じていた。
以前、母が何かを決意した時、いつもそんな目をしていたものだった。
そして、その目が今、ここにあった。
あくる朝、いつものように朝の挨拶に行った。
昨夜のあの目が、まだそこにあった。
「おはようございます。東洋子お母さん。あなたの息子の世潮です。」
といつものように挨拶すると、「あんたが、息子だって事ぐらい分かっているよ。」と言いたいような軽蔑した顔で見た。
そして、いつものように嫁と手早く、しもの世話をして部屋を出て行こうとすると、
「これが、あんたの仕事かい?情けないね。男の仕事じゃないよ。ほんとに。」と言った。
アルツハイマーになって、記憶を失い日常生活もままならなくて、自分が気がつかないうちに色々と、人の世話になる。
そしてある日突然、記憶が蘇ってもとに戻り、自分の置かれている状況に唖然とする。
しもの事まで、息子の世話になっている自分が情けない。
全く知らなかった。こんな風に自分がなっているなんて。
息子や嫁に、申し訳ない。
でも、自分でどうしていいのか分からない。
そんなやり切れなさでいっぱいだった。
ただ、唯一の救いだったのは、家族の皆が幸せそうに、私に接してくれている事。
私の世話をすることが、まったく負担になっていないように見えることだった。
東洋子は、世潮の還暦祝いのパーティーの写真を手に持っていた。
孫たちも、そして自分も一緒にその写真に収まっていた。
自分がいつも行く、大好きなインド洋の海岸だった。

東洋子は、その写真に写っている世潮を見ていた。
少し年を取ったようだ。白髪も増えて、顔にも深いシワが刻まれている。
もう、還暦を迎えたのか。あの子が…
主人を若くして亡くして以来、必死で二人の子を育て上げて来た。
世潮が還暦を迎えるのを見れるまで、自分がまだ生を受けていることに感謝した。
幸せを感じた。そして自分の目の前で、その世潮がいる。
日常生活の細々した事さえ自分で出来ないということが分かって、落ち込んだが、今はそれを受け入れようとしていた。
今まで、何か自分が現実から離れたところにいて、テレビのスクリーンを見ているような感じで、見るもの聞くもの全てに現実感が感じられなかったが、今は違う。
突然、この世界での自分の存在感を確かめたくなって、目の前にいる息子に声を掛けようと思った。
「世潮、何をしているのや。忙しそうやな。あんたが今、手に持っている道具は何の為に使うねん。」と言った。
きちんと顔を見て名前呼び、しかも他人の仕事に興味を持って話しかけるなんて、ここしばらく記憶にないぐらい前のことだったので、世潮は飛び上がる程驚いた。

東洋子は、いつも、世潮の事を介護人だと思っていて、自分の二人の子供の自慢話をヨシオにするのが常だった。
何百回、同じ話を聞いただろうか。
東洋子にとって世潮はいつも、介護の兄ちゃんだった。

「僕のこと今、世潮と呼んだの?」と聞いた。

「そうや。あんたは、世潮やんか。」

「………。世潮って誰や。」と尋ねた。

「世潮ってあんたやないの。私の息子やないの。あんた自分の事忘れたんか。」と言った。
世潮は、返事をせず黙って東洋子に近づき横に座りながら手を握った。


「お帰りなさい。」

「僕はもう、介護の兄ちゃんと違うんや。」

「戻って来てくれてありがとう。」そして、顔を背けて泣いた。
「ひどい、病気やったなー。アルツハイマーは。」
「サイババさん、ありがとう。」「ヴェーダの贈り物をありがとう。」と言った。
そして、神への感謝の心でいっぱいになり、
「ハレラーマ、ハレラーマ、.」とバジャン(神への賛歌)を歌い始めた。
東洋子は、ハッピーそうに手拍子を始めた。
[em]母と息子の二人だけのバジャン。

ハートに残るバジャンと手拍子。

息子の歌で母は手拍子、

そのリズムに乗せて神は、歓喜のシヴァダンスを踊る。

清き心の母とそれを慕う孝行息子。

神々も喜ぶ 狂喜のダンス

クリシュナ神もラーマ神もイエスも仏陀もアッラーも

一同に集って、さあ、この母と息子を祝福しよう。[/em]
これが東洋子の今世での最後のバジャンになった。

インド洋の真ん中で愛を叫ぶ

その後、東洋子は孫などの顔を見ながら名前を正しく呼んで、一人一人抱き合って喜んでいた。
「世潮や、嫁さんや、こうして、素晴らしい孫たちに囲まれて私は幸せや。みんなに会えて嬉しい。」と久しぶりに会ったように言った。
その後、興奮して疲れたのか熟睡したまま夕方まで起きてこなかった。
夕方、いつもの散歩に行くために起こすと、
「散歩に行こか。」
「行くよ。」
「いつまでも寝てたら身体に悪いもんな。」
「そうやな。」

という健常者と変わらない普通の会話をして、家を出た。
いつものように二人で手をつなぎながら、時には腕を組んで歩いた。
東洋子は、とても楽しげだった。

「この道良く来たな。」と、世潮は言った。

「うん。よく来た。」

「私は、あなたから遅れないようにずっと、一生懸命後ろから着いてきたよ。」
「こんな高い霊的なレベルまで連れてきてくれてありがとう。」と、東洋子は言った。
世潮は「いや、着いてきてくれてありがとう。」と言った。
「私は、良いお母さんやったやろ。こんなお母さん、世界中探してもおれへんで。」
と言った。
「そうやな、最高のお母さんや。ありがとう。」と答えた。
そして東洋子は、宙を見上げるようにしてポツリと言った。
「もうすぐやな。サイババさんが帰って来はるの。」

その後、座り慣れた芝生の見える公園のベンチに腰を下ろした。
いつもだと、空を飛んでいるペリカンやオウムを見て喜んだり、クッカバラの鳴き声を聞いて楽しんだり、走りまわっている子供や犬を見たりするのだけれど、この日は、世潮の顔だけを、目をいっぱいに大きく開けて、何も話さず、満面の笑みで見つめていた。

そして、世潮の頭をなでたり、手を握ったりしていた。
世潮もほほ笑み返した。
東洋子は、世潮の目をそらさずにずっと見つめていた。
世潮は、「俺が生まれた時から、この人からこんなにも、愛してもらっている。」

「ずっと愛してもらっている。なのに俺は、自分がすべき介護を放棄して、この人を一瞬でも老人ホームへ入れようとした。」

「なんて罪作りな息子なんだろう。」

「俺は、あなたが死ぬまでどんなことがあっても、愛を最大限捧げて、あなたを最後まで自分で面倒見ます。」
「あなたが、経てきた苦労とは比べられないけれど、世潮の持っている素晴らしいお父さんのイメージを壊したくない、と言って再婚もせず、私たち兄妹のために人生を犠牲にして育て上げてくれたことに対する、少しだけの御返しです。」
「母、東洋子は世界で一番幸せなアルツハイマー病の患者だった。と」

「世界中の人に誇りを持って宣言出来るぐらい最後まで介護をします。」
と心で誓った。すると、世潮を見つめていた東洋子の顔が、突然サイババさんの顔に変わった。
そして世潮を見て微笑んだ。あの見慣れたスワミの慈悲溢れる目で…。
世潮は、ベンチから落ちそうになるぐらい驚いた。
「スワミ、スワミだ。」と言おうとしたが声が出なかった。
涙を必死でこらえた。
身体全体が燃え尽きるぐらいの愛のパワーだった。
インタビュールームでサイババさんのすぐ横に座り、目を至近距離で見入られたときと同じ感覚だった。
こんなところで、サイババさんを至近距離で見れるとは、予想だにしていなかった。
しばらく口もきけずに、唖然としてただ見つめていた。
やがて東洋子の顔は、元に戻っていた。
先ほどの興奮がまだ体全体を火照らせていた。
そして、少し気を落ち着かそうと、ベンチを立ち、10メートルほど歩くと、
突然、後ろから「世潮!どこに行くんや。どこにも行かないでー!」
「私のそばに戻って来て〜!」
「ここに来て〜!」と、
のどの底から、魂を振り絞ったような大きな声で、叫んだ。
世潮は、「どこにも行かないよー!いつもそばにいるよー!」

と言って走って横に座り、手を握ると東洋子は、幸せそうに世潮の手をギュッと握り返した。
それが、東洋子の最後の言葉だった。
家に戻り、いつものように大好きなお風呂に浸かってしばらくすると、眠るように息を引き取った。
安らかな死に顔だった。
あくる日、世潮は、気が抜けたように妻と二人で、東洋子が愛していたインド洋のビーチをフラフラと歩いていた。
どこに行っても、東洋子との思い出の場所から逃げることは出来なかった。
何を見ても、母親との事が思い出された。
十二年の介護の歳月は、すぐに拭い去ることは出来なかった。
風がとても強く荒れた日だった。波も結構あった。
世潮は、妻に何も言わず、海に入る合図をした。
いつもの合図だった。
しばらく沖に向かって泳いだ。
波が高く、周りは波の壁しか見えなかった。
強風が、波と波の間を、水しぶきを撒き散らしながら駆け抜けて行った。
世潮は東洋子に連れられて、カトリックの小学校に入れられた。
毎日、マリア様にお祈りをする習慣をつけられた。
寝る前に、マリア様にお祈りしていたお願い事というのは、母、東洋子の事だった。
父をあんなに愛していたのに、一人になってしまった母が不憫だった。
父と母と三人で大きなバイクに乗り、夜になるとドライブに行った。
ラーメンを食べに、よく夜中に、通りの屋台へ行き三人で顔をつき合わして食べた。
冗談の大好きな、とても明るい父だった。母もよく笑っていた。
自分も、二人が笑うと、理由もなく一緒に笑った。
それを見て、父母もさらに笑った。
父が亡くなったのは世潮が四歳の時だった。
世潮は、それ以来笑わなくなった。
母の嗚咽する声が、毎晩母の寝室から聞こえて来たから。
可哀想な母が幸せになりますようにと、毎日マリア様にお祈りをしていた。
自分が、できる限り母を幸せにしてあげようと決意していた。

波に身体を浮かべながら世潮は東洋子に許しを乞うた。

お母さん。あの時、オムツが濡れていたのを知っていたのに、面倒臭くて替えませんでした。ごめんなさい。どうか、許して下さい。

お母さん。あの時、お風呂の湯が熱すぎて、のぼせさせてしまったことを。ごめんなさい。どうか、許して下さい。

お母さん。散歩が面倒な時があって、近道して帰ったことがありました。あなたの、唯一の楽しみだったのに。ごめんなさい。どうか許して下さい。

お母さん。朝寝坊して、朝の挨拶が遅れ、お腹をすかしたまま長い間ほおっておいてごめんなさい。どうか、許して下さい。

お母さん。介護を始めてた頃とても辛くてあなたが早く逝けば楽になるのに、と思ったことが何度もありました。ごめんなさい。どうか、許して下さい。

お母さん。あなたのしものお世話をさせてもらっている時、汚物が手などに付いて取り乱し、あなたを傷つけてしまいました。

ごめんなさい。どうか、許して下さい。

お母さん……

母に、十二年間の介護生活で自分が思いつく限りの不手際の許しを、乞うた。
そして、心にいつも思っていたけれど口に出して始めて叫んで言った。

愛してたよ〜!今までいっぱい、愛をくれてありがとう〜!

そして、世潮は、東洋子が亡くなってから、初めて大声で泣いた。
周りは、波の壁しか見えなかった。
波のしぶきが、時折り喉の奥に突き刺さって痛かった。
泣き声が、その度に壊れた蓄音機のような音になった。
しばらくすると、声が聞こえた。東洋子の声だ。

「世潮…世潮…私は…幸せでした。とても幸せでした。ありがとう…本当にありがとう……」

そのあと、東洋子の声がサイババの声に変わった。

「お前はいつになったら、気づくのかい。」

「私が、東洋子だって事を。」

「私は、パーフェクトなアクターなのだ。」

「お前にそのヒントを与えるために、東洋子を通じて私は私自身を顕して、お前を見つめたのだ。」

「実は、お前は、ずっと私の介護をしていたのだよ。」

「お前は、今まで何度もそれに気付いていたはずだ。」

「もう泣くのはおやめ。」

「私まで苦しくなるから…」

「幸せになりなさい。」

「満足しておるよ。」

「息子よ……よくやった。」



神の恩寵は、真の信者の上に限りなく降り注ぐ。

信者と神の関係は、目とそれを守るまぶたのようなもの。

いかなるカルマを背負っていても、神は信者を見捨てることは絶対ない。

たとえ、不治の病でも、癒せない病はない。

信者がいて神がいる。神がいて信者もいる。

愚か者よ。

お前が信者と思っている限り、お前は信者なのだ。

本当の本当は、信者と神はひとつなり。

二つは一つで、一つが二つに見えるだけ。

それだからこそ、信者が汚れなき心で神を呼べば、

この世の中で、癒せない難病など何ひとつもない。

アルツハイマー病でも、癌でも

それらは唯の、信者と神を結びつける為の創造主のおもちゃなり。

母に捧げるチンコンカン

ポニョ:早いもんで、今日は、もうあんたのお袋さんの一周忌やぜよ。

ヨシオ:ババの降誕祭の一日前やもんな。その日、ババがお袋になって目の前に現れた時は驚いたな。いつも言っているけど人って何も言葉を話さなくても、愛で持って見つめるだけであんなに凄いパワーを他の人に伝えることができるんや。俺は座っていたベンチから落ちそうになった。
ポニョ:愛のパワーは世界で一番強いぜよ。

“この世には、愛以上に素晴らしい美徳は存在しません。
愛は真理であり、愛は正義であり、愛は富であります。
この世は愛から生まれ、愛によって維持され、最後には愛に融合します。
すべての原子が愛から生まれました。
この世には、原子力、磁力等々、無数の力が存在していますが、愛の力はすべての力に勝っています。
信仰と愛のない人生は無意味であり、無益です。
この世に生きる人間にとって、愛こそが人生であり、愛がすべてです。
五元素は愛から生まれました。
すべての人の中にまぶしく輝いているものは、愛に他なりません。
しかし人間は、愛の意義を理解できずに、愛が肉体的関係によって生じるものと考えています。”

ヨシオ:その俺を見つめていた目を見ることは難しかったな。口で上手く言えないけれど、何て言うかマーヤーのベイルの向こうにある真理の強烈な光が、その目から直接差していて燃えそうやった。ちょっとの間やったら見てれるけど、長い時間見続けると体が燃え尽きてしまう、マーヤーで出来ている自分の身体が消え失せてしまうそんな感じやったや。

ポニョ:人間て神さんがキャンパスに描かれた絵と一緒やって話してたもんな。それが絵かきである神さんによって消されてしまうんやろな。

ヨシオ:ポニョはダルシャンでババに見つめられたことがあるやろ。どんな感じやった?

ポニョ:そうやな。ババに直接見つめられると、自分の肉体の覆いを通り越して、ババの中の本当の自分と、自分の中の本当の自分が見つめ合っているって感覚になったぜよ。自分を肉体と思っている自分が消えてなくなる様な感じかな?

ヨシオ:凄いことを突然言うな。ポニョは。でも、そんな時の感覚って口に出して言えないよな。俺も、ババにチラッではなくじっくりと見られた事があって、その時涙がほとばしって出て来て、すぐに周りが涙で何も見えなくなったな。愛のパワーってこんなに凄いんやって心底思ったな。愛、愛、愛の世界や。強烈な愛だけの世界ってすごいパワーやって感じたな。それと、同じパワーをババがお袋を通じて俺にくれたんや。その目はじっと長い間、俺を慈愛の眼差しで見つめ続けていたんや。その後、私は良いお母さんやったか?と聞いたんで、俺は、もちろんや。素晴らしいお母さんや。と言うと、お袋は突然ババのように、このような母は世界中どこを探しても見つからない。世界一の母や。と言ったんで驚いて顔を見ると、また一言こう言ったんや。もうすぐしたらサイババさんが帰って来はるな、って。そしてそれがお袋のこの世での最後の言葉やった。その言葉を聞いて俺はとても驚いたな。何度もお袋の顔を見返したんや。

ポニョ:そら驚いたやろ。確かその後、お風呂に入られたんやったな。

ヨシオ:家にゆっくりと歩いて帰り、そのままお風呂場に連れて行ったんや。俺は知っていたんや。もうお袋はそろそろ逝くって。だってそんなに急にババになったり、以前のお袋みたいに頭が正気に戻ったり、余計な事を何も話さず聖者のように、言葉を選んでゆっくりと霊的な事を話し、いつも穏やかな表情をして、もう神様みたいになっていたんや。それに、亡くなる三日前から起きている時間はとても少なくなっていたんや。

ポニョ:毎日、介護をしていたら変化が良く分かるもんな。

ヨシオ:お袋がお風呂に入り、しばらくして俺は水槽の金魚に餌をやっていたんや。ちょうどその時に嫁さんがお袋の様子を見に、お風呂場へ行くと様子がおかしいので悲鳴をあげたんや。みんな急いでお風呂場に飛んで行ったんや。でも俺はその時、まだ金魚に餌をやっている途中やったので、そのまま手の中の餌が無くなるまでやり続けたんや。自分では一体何が起こったか分かっていたんや。其の間たった二三秒やったけど、心の中でお袋に、逝ったんか。突然やったな。良かったな。長い間苦しかったやろ。ご苦労さんやったな。変な病気やったな認知症って。俺の母親になってくれてありがとうさんやった。嬉しかった。たくさん愛をありがとうと言ってお別れの挨拶をしたんや。そしてお風呂場に走って行くと、もう息が途切れていて看護師や、救急隊員である子供たちが、いろいろ蘇生を試みていたんや。

ポニョ:自分の子供が看護師やら救急隊員やったら便利やな。歯医者や弁護士、薬剤師までおるんやろ。

ヨシオ:家がクリニックみたいなもんやな。でも肝心の医者はいないけどな。それで、お袋を見るとまだ生きているみたいに暖く、血の気も失っていないから、死んだふりをしてるだけと違うかと思うぐらい生きてるみたいな身体やったんや。ほんの二十分ほど前に、一緒に歩き話していたお袋やったのに魂が身体から抜け出てしまった。突然やった。その後、お袋が好きで大事にしていた妹からもらった服を着せて、床に横たわっているお袋の手を握って話しかけたんや。其の間、顔からだんだん血の気が失せて行き、身体も冷たくなって行ったんや。身体にいてる間大変やったな。ご苦労さんやったな。と言うと、お袋は、突然逝ってごめんなさい。驚いたでしょう。と言って何度も謝っていたな。俺は謝らなくてもええやんか。今はババのことだけ考えて旅立ったらええよ。ご苦労さんやったな。と何度も言って見送ったんや。

ポニョ:お袋さんの数奇な人生を、あんたの娘さんが本にしたやつを読ましてもらったけど、とても面白かったな。その年のノンフィクション大賞を取ったんやろ。

ヨシオ:ああ幾つか大きな賞をもらってたな。お袋の七五三の時の写真が表紙になっている本を、お袋を連れて本屋に見に行ったことがある。お袋はその自分の本を手に取って、それがすぐに自分の写真やと分かったんや。そして俺に、誰か私の許可なしに私の写真をこんなところに勝手に使っているなって言ったんで俺は笑いながら、あんたの孫娘があんたの人生を本にしたんやで。と言うと恥ずかしそうに、人に知らせたくないことも書いたんやろかと言って心配していたな。そしてありがたいことや。嬉しいって言っていたな。出版記念パーティーに連れて行った時も、孫娘にありがとうって言ってた。そしてたくさんの人がお袋の写真を撮り来たので、ニコニコしてとても幸せそうな顔をしていた。

ポニョ:とても、幸せな人生やったな。最後の日まで孫に囲まれて面倒見てもらえたんやから。

ヨシオ:お袋に、俺が子供の時から病弱で世話になっているから、世界で一番幸せなアルツハイマーの患者になってもらおうと努力したんや。親父は俺が三歳で病気で死んだから、お袋の苦労を見て来てるしな。

ポニョ:おいらも何度も生前お袋さんにお会いしたけど、とてもピュアな感じの正義感の強い人やったな。

ヨシオ:曲がったことが大嫌いやったな。根性もあってチンピラとも平気で喧嘩してたな。負けてなかったで。怒っている時はお袋のお父さんの江戸っ子の言葉を話すんや。めちゃ迫力があって横にいてもこれがあのお袋か?と思うぐらいやったな。

ポニョ:この親にしてこの子ありやな。同じやないか。

ヨシオ:俺は東京弁なんか喋れへんで。河内弁や。アシュラムにいた頃は、毎朝花を使って、キャンティーンのババの祭壇の飾り付けをしていたな。日本人の典型みたいな人やったから、とても丁寧に几帳面に、長い時間をかけて綺麗に飾り付けていたな。みんなから綺麗やって感心されていたな。

ポニョ:何才の時に未亡人になられたんや。

ヨシオ:二十二歳の誕生日の二週間後や。妹が生後四ヶ月で丸々してたな。

ポニョ:再婚されなかったんやろ。

ヨシオ:亡くなるまで、親父のことを思っていたな。アルツハイマーで俺の事を介護の兄ちゃんと思っていたのに、親父の写真を見ながら、この人は私の一番大事な人です。この世で私を一番愛して下さった方です。と言って写真にキスをするんや。お袋はとても美人やったから、再婚の話は何度もあったんやけど、自分の夫以上の素晴らしい人なんてこの世に二人とはいません。と言って話を断り続けていたな。俺は、ババの写真も親父の写真の横に飾ってあったから、お袋に、それじゃこの方は二番目に好きなんですか?と聞くと、この方はいつも私をじっと見ておられるだけの、おっさんの神さんです。と言ったんで俺はお腹の皮がよじれるぐらい笑ってしまったな。

ポニョ:じっと見ているだけのおっさんの神さんか…。それって当たってるやないの!

ヨシオ:そこで何を感心してるんやポニョは。

ポニョ:一度の人生、一人の男か。純潔な貞操観念の強い人やったんやな。死ぬまで旦那さんのことを思い続けるって、女の鏡やな。今時いないでそんな女の人。結婚してたった四年間ぐらいやろ一緒に生活してたんは。今やったら一度の人生、十人の男や。

“貞操は婦人を最高に美しく見せます。SSSvol3p70”

ヨシオ:こんなジョークがある。イエスキリストは絶対にオーストラリアでは生まれることは出来なかった。それは一人も聖母マリヤのような処女を見つけられなかったからだ。

ポニョ:イルちゃんの国やから、若者をセックス、スポーツ、スクリーンのスリーSと酒、ドラッグ、ギャンブルに溺れさして、若者をコントロールし易くさせてるからな。純潔なんてみんなバカにしてるやろ。

ヨシオ:そうやな。離婚が当たり前やし。家族制度が崩壊してるな。教育制度もガタガタやしな。モラルもとっくの昔に無くなっているし、子供は大人を尊敬しないし、孫を叱ってお尻を叩いたお爺ちゃんが孫に訴えられて、牢屋に入れられた話も聞いたな。めちゃくちゃや。周りは悪ガキだらけや。学校でドラッグの売り買いしてるもんな。俺が来た時より、ますます悪くなって来ているな。

ポニョ:日本を始め、世界中どこでも一緒やで。世の中狂っているんやぜよ。一度、リセットせなあかん時が来てるぜよ。

ヨシオ:そういう事なんやろな。その為に大元の神さんがわざわざ来られているんや。大きいリセットがやって来るんやろな。いっぱい人が頭打つで。

ポニョ:そうしないと、いつまで経っても神の方を向かないやろ、人って。この世に囚われている人ばっかりやしな。その点おいら達は神様がこの世に降臨され、その神様に人生を委ねて導いてもらっている。本当に幸せな人生を送っているよな。

不浄の傾向は、低い欲望をかきたてるもの、例えば映画などを見たがったり、魚や肉などを食べたいと思ったり、人格を台無しにするアルコール類を飲みたいと思ったり、怒り、迷い、貪欲、自惚れ、欺瞞、憎悪、嫉妬などの念を生じさせます。
そのような不浄の傾向には、栄光、権力、個人的な栄耀栄華を手に入れようとする世俗に関する前世からの欲望傾向、世に名の聞こえた学者となり、同じ分野の競争相手を負かそうとする学問に関する前世からの傾向、美しい肉体、筋骨たくましく、なめらかな肌を愛し、それらが皺や筋肉の歪みで衰えるのを好まない身体に関する前世からの傾向の三つがあり、それらは、あなたを生々流転の浮世の車輪に縛り付けます。
そして、ハートに侵入して次々に悩みを作り出します。
それは、過去の経験を思い起こさせ、快楽を思い出させるので、人はまたそれを味わいたいとの欲望を持ち始めるのです。
心は執着という傾向を持つゆえに、物資と外界に引きつけられ物質のことを絶えず考えるようになり、物資の属性に囚われます。
すべてそれは、心に前世からの傾向があるからなのです。
心に前世からの傾向が無い人は、外界の事物によって影響を受けません。DVJp80~3

ヨシオ:お袋のこの世での最後の日、俺にこんなに高い霊的境地まで私を連れて来てくれてありがとう。私はあなたから遅れないように、離れないように必死でついて来たんです。と言って礼を言ったんや。俺は、いやしっかりついて来てくれてありがとう。って言ったんや。でも、今から振り返って考えたら、俺がお袋の中にいてるババの愛をもらってここまで来れたんやと思う。そのババの愛が無かったら、これだけ人を愛する事なんて出来なかったし、愛するという事自体も理解出来ていなかったと思う。今になってみれば、これだけお袋から愛してもらって世話になっているのに、晩年のお袋を少し介護したぐらいで恩を返したつもりになっている自分をとても恥ずかしく思う。お袋は命をかけて俺を愛してくれたんやって、今になって気付いたんや。まさしく、神の愛やった。

ポニョ:今日はお袋さんの一周忌で追悼の記事やったな。レクイエムや。お袋さんに捧げる鎮魂歌や。

ヨシオ:お袋へのチンコンカンか?ええなそれって。お袋がよく見てた、犬HKのど自慢の鐘や。

ポニョ:のど自慢の鐘のどこが鎮魂歌やねん?

子どもは、母親が善良であるときにだけ善良になるのです。
嫁が善良であれば、嫁ぎ先の家族全員が善良になります。
私たちは皆、善良な性質を育てるよう努めなければなりません。
皆さんが得ている教育は、お金を稼ぐためのものでも、仕事に就くためのものでもありません。
徳を身に付けるためのものです。8-1977
母親に対する名誉と尊厳を守って初めて、真の息子と呼ばれる資格を与えられます。
母親の愛を獲得できなかった人の人生は浪費にすぎません。
ですから、私たちはまず第一に、母の愛を得るに値するようにならなければなりません。
母の愛を言葉で説明しつくせる人などいません。
母親の意志の強さがあってこそ、息子は人生で成功を収めます。
ですから、人は自分の母親を敬い、愛するべきなのです。
母親には最高の地位を与えなけれなければなりません。
それができる人だけが、真に国をリードしていくことができます。
神々は崇めても崇めなくてもかまいませんが、母は必ず神として崇めなければなりません。
決して自分の母親の愛を忘れてはなりません。
母の愛は最高です。子どもの中にある神聖な思いは、唯一、母の愛によって発達します。
気高い性質を備えた母親のいるところには、必ず平和と繁栄がもたらされるでしょう。
自分の母親の愛を無視して人々の愛を切望するのは愚かなことです。
それゆえ、人は母を崇め、尊ぶべきです。
経験によって母の愛を知ろうと努めるべきです。
母親を尊敬し、母親の愛を獲得して初めて、人は真の意味で人間と呼ばれることができます。
この世には母親より偉大な神はいません。
残念なことに、今、人々はこの真理を忘れ、さまざまな場所に神を探しに行っています。
目に見えない神を切望する代わりに、自分の目の前にいる生きた神に、礼拝し、奉仕すべきです。
これをしないで、神の聖なるダルシャンを得ようと、苦行や聖地巡礼、礼拝や儀式といったさまざまな行いを始める人がいますが、それは無駄です。
まず自分の母親の愛を勝ち取らずして神の恩寵を勝ち取ることはできません。
 母の愛は底流としてすべての人の内に流れています。
偉大な人物の歴史を調べてみれば、母の愛という助けがあったからこそ人生で高い地位 に達することができたことは明らかです。
母親の気高い考えに従って人生を送るとき、あらゆる苦しみは取り除かれるでしょう。
他の人のことは尊敬してもしなくてもかまいませんが、自分の母親のことは必ず尊敬しなければなりません。
人は自分の母親の愛を勝ち取るために一生を捧げるべきです。
母の愛にはつねに私心がありません。
私たちはそのような愛を育めるようにならなければなりません。
どこに行こうとも、何を見ようとも、母の愛という祝福があってこそ繁栄を得ることができます。
母の愛を勝ち取れないまま神の恩寵を勝ち取ることを望むことなどできますか?
そんなことは出来ません。
ですから、まず第一に、自分の母親の愛を勝ち取れるよう努力しなければなりません。
母親の気持ちを傷つけるような仕事を引き受けるべきではありません。
母の心は非常に傷つきやすいものです。
ですから、母親の気持ちを傷つけないようにしなければなりません。6/5/05

彼が帰って来るよ!

目を醒ませ!目を醒まして!目を醒ますんだ!
彼が、戻って来るよ!帰って来るよ!
なのに君は、何時まで世俗にまみれた、このような生活を続けるんだい?
エエッ!誰が戻って来るって?
彼だよ!彼!サチャ サイババだよ!
彼がまた、サチャサイババの身体を身に付けて戻って来るんだ!
そして、彼は大空を駈け抜け、彼の真の姿を顕して人びとにダルシャンを与えるんだ!
なのに君は、一体何時になれば目を醒まして、真理への道を歩み始めるんだい?

起きろ!起きて!起きるんだ!
彼が、戻って来るよ!帰って来るよ!
なのに君は、何時まで世俗にまみれた、このような生活を続けるんだい?
エエッ!どうしてまた戻って来るの?
僕たちへの約束を果たす為に!
この世界を支配しようとする悪を滅びし、ダルマの王国を打ち立てる為に!
なのに君は、一体何時になれば目を醒まして、真理への道を歩み始めるんだい?

警告!警告が!警告が出てるんだ!
彼が、戻って来るよ!帰って来るよ!
なのに君は、何時まで世俗にまみれた、このような生活を続けるんだい?
アアー!それでは僕はどうすればいいんだ!
彼は大津波から町や村を救うために、山脈を持ち上げるだろう!
そして、何千万人もの人びとが彼の下に救いを求めてやって来るだろう!
なのに君は、一体何時になれば目を醒まして、真理への道を歩み始めるんだい?

祈れ!祈って!祈るんだ!
彼が、戻って来るよ!帰って来るよ!
なのに君は、何時まで世俗にまみれた、このような生活を続けるんだい?
アアー!僕は救われるんだろうか?
サイの栄光を讃えよ!サイの御名をとなえよ!
古代預言者の言葉、”彼のこの世での最後の10年は世界の王として君臨するであろう。”が成就するだろう。
そして僕たちは偉大な神の御業を目撃するんだ!
なのに君は、一体何時になれば目を醒まして、真理への道を歩み始めるんだい?

サイババさんの人類へ向けてのメッセージ

@まもなく、全ての国々が一つになるでしょう。全世界は一つになるでしょう。カーストや宗教や国籍という狭い考えは消え失せ、全ての人が一つになって神聖さを体験するでしょう。全ての人が愛の思いを深め、お互いを兄弟姉妹と考えるようになるでしょう。

@あなた方は、これからすぐ間もなく、スワミが今まで明らかにしてこなかった栄光を見ることになるであろう。そうなれば多くの人々がやってきて立錐の余地もないぐらいになるであろう。

@私自分自身が空を飛び、大空を駆け抜けるだろう。すべての人はそのことを同時に見るだろう。

@あなた達は、壮大で卓越した仕事を成就する為に生まれてきたことを、知らねばなりません。あなた達は神の子であり、英雄的な行為をなすためのカリの時代の戦士なのです。溢れんばかりの慈悲と神の愛の具現者であり、世界中に神を知らしめることを決意した魂たちなのです。

@未来についてはあなた方にはよく分からないかもしれませんが、私には私の意図した計画が実現するのがはっきりと見えています. 私の神聖さを無視している連中も私の元にひれ伏すようになるでしょう。

@ 間もなく、私の神聖さはすべてに知れ渡るようになるのです。私は意図的に私の神聖さが世界に広まるのを遅らせています。しかし、一度、私が私の真の姿を顕現すれば、すべての世界がプラシャンティニラヤムになることでしょう。

@神は人類に地球を破壊する事を許しています。人類は、完全な挫折を体験しないと神の方には向かないのです。

@今、世界の抱える諸問題はより奇怪な姿をとり、より大規模になってきました。それはもはや個人的な問題でも無く、限られた地域の問題でもありません。規模は世界的であり、すべての人類に影響を及ぼします。人間は且つてないほど悪くなりました。彼らは、過去の歴史において用いた以上の知性と技術を、残虐な行為に使っています。その者たちは他の人々に苦痛を与えるのを喜んでいるのです。

@今日どうして人口が爆発的に増大しているかと言えば、それは人々の誤った行為のせいである。動物や魚が殺され食されると、それらの魂は、人となって生まれ変わってくるのである。

@邪悪と信愛という二つの要因は、どのアヴァターの降臨にもなくてはならないものなのです。このように、神の計画には霊妙な秘密が隠されているのです。

@悪魔的人間は人間の守るべき道徳律を無視し、恥ずべき感覚の悦楽を追い、エゴと慢心に満ちて利己的な目的の為に他の人を傷つけることをなんとも思いません。彼は傍若無人に罪深い行動をし続けます。自己中心が彼の息吹であり執着は彼の背骨です。このような利己的な人を称して悪魔と言います。

@今日の世界は争いばかりです。人間と悪魔を区別することが出来ません。動物から進化した人間は、神性に向かって歩まなければならないのに、また動物に逆戻りしています。

@全世界のすべての国々がバラタ(インド)を尊敬するようになる日が来るのを、あなた方は見届ける日が来るでしょう。この身体があなた方の前に存在している間に、サッチャサイの名を崇拝する声が全世界に響き渡るのを聞くことでしょう。

@サイババは最近、将来の世界地図を物質化した。そして地球表面にいくつか環境調整変動が起こるだろう。そしてそれに伴い人口が減少するだろう。と言われた。

サイババが帰って来るよPart1

2014年2月1日 発行 初版

著  者:張 世潮
発  行:ポニョ出版

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ポニョ

アクアポニックスという魚を使った自然農法をやりながら、千年至福の時代を待ちわびております。

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