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書肆しょし_0号

書肆しょし

物書商工会議所



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「書肆しょし」は本を売るとは限らない

小便をするために、精神を統一する。統一しなければ小便は出ない。ここは秋田県。木造船に乗って亡命する船が着いたり、突然クマが現れたり、人口減少が進む田舎町。「書肆しょし」はそういうところに在る。いや、まだ無い。在るようで無い。これから少しずつカタチになってゆく本屋だ。

十一月下旬、雪が降ったり降らなかったりする日が続き、寒さも身に沁みて、なるべく口を開かないような日が多くなる。口を開くと冷たい空気が体内に入り込み、死ぬ可能性もある。同時に、小便の際、便器から湯気が生まれるが、それは躱して呼吸を止める必要がある。その湯気を吸い続けると、死ぬ可能性もある。東北は生きてゆくうえで知恵や技を使わなければ生き残れないのだ。

編集作業。集めたり、編んだりする行為。これは地味で、過酷で、いわゆる精神を統一しなければ、カタチにすらならない。小便をするために、心を無にする状態に近い。縦の糸は私で横の糸はあなた、では無いけれども、執筆と編集が重なってやっと面が生まれる。その面が重なって、やっと本のようなものが生まれるのだ。

この紙面づくりは、東北のここ秋田で紡いでゆく。創作の環境は、まさにシンクロしている。日本海側の暗澹たる灰色の空、冷たい風の憤りが絶え間なく襲ってくる。車のタイヤを冬タイヤにしなければ、どこにも行けない季節は、執筆や創作もしくは妄想と仲がいい。0号と名打った、それはカタチにすらなっていない本屋に相応しい。

[註]書肆しょしは、来ていただけるとわかるんですが、本のようなものが並んでいます。値段はまだついていません。ある程度、インターネットで値付がされていますので参考にして店主と決めましょう。または、お金という価値に執着しませんので、同等の何かに変換しても結構です。現在は夜の都合の良い日しか営業していません。太陽が出ている時に、誰でも気楽に訪れることができる本屋になるよう努力してゆきます。

書肆しょし_0号

2017年11月27日 発行 初版

著  者:書肆しょし
発  行:物書商工会議所

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書肆しょし

秋田県にある本屋「書肆しょし」の店主のボヤキを編集しました。
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