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 目  次


5月2日

5月3日

5月4日

Tirumalai Nayak Palace      ティルマライ ナーヤカ宮殿

Sri Meenakshi Temple        ミーナークシー寺院

5月5日





嵐が引けて、洪水後のまちへ出る。

5月6日

5月7日

5月8日

神々が、おしよせてくる。

5月9日

5月2日

マイソール発20:00。ローカルの夜行バス。小さいバス。建付けが歪んでいるのか窓が閉められず、ひどく寒い。しばらくして再トライすると、急に閉められるようになったり、また閉まらなくなったり。

*

深夜1時、2時に電飾つきの神輿を担ぐ人々の姿。赤、青、緑、黄色…。暗闇の中に光が点滅する。


*


でこぼこして、すれ違うにも苦労する狭い峠道を走る。対向車が来ると、道路(といっても、ただ土の、細長く、くねくねした山道)の端、ギリギリに寄って何とかすれ違う。暗くてはっきりとは見えないが、バスの直ぐ横は、落っこちそうな断崖絶壁。バスは迷い無くすっ飛ばす。


*



途中、休憩は2箇所。インドでも休憩所では深夜だろうがなんだろうが人がいて、乗客に食事やお茶を提供する。お茶係のひとにチャイをオーダーすると先にチケットを買うように言われる。チケットを買って戻ると、もうチャイが淹れてあった。


*


月夜。真夜中だというのに牛の親子が休憩所の敷地でうろうろしている。ゴミ箱に鼻先をつっこんだだけでお茶係に叱責されている。そんなに怒らなくても良いのに。子牛はお母さん牛のおっぱいを飲んでいた。
物凄い2Rpトイレ。

5月3日


朝6時マドゥライ着。とりあえずスタンドでチャイを飲んで、中央駅へバスで向かう。始発なので座れてらくちん。マドゥライのバスターミナルは髪に飾るジャスミン売りがいっぱい。

*


ごちゃごちゃした通りを歩いていると、すぐに宿の客引きが寄ってくる。宿はもう決めていると断ってもなかなか諦めない。突然、履いていたビーチサンダルの鼻緒が抜ける。Jは客引きとの会話に夢中で、どんどん先へ行ってしまう。呼んでも気づかない。…。立ち止まって鼻緒を直す。何とかまだ使えそうだ。突き当たりの曲がり角でJと客引氏が待っていた。

*




目当てのhotelはfull。festivalの期間中で、見物やら参詣に来た人たち、商売人たちで混雑している。2時間以上粘るが空かない。仕方なく近くの別なhotelへ。窓は付いてはいるものの外向きではないし(廊下に面して付いている)、暗くて汚いので一日だけのつもりで宿をとる。とりあえず宿を確保して、休憩するJとは別行動で、散歩に出た。

ひとりでミーナークシ寺院の方へぶらぶら歩いて行くと、インド人の男の人が近づいてきて「16:00まで寺はcloseだから、freeで寺が外からよく見える場所へ案内する」と言う。深く考えず付いていくと3階建て位の土産物店の前に連れていかれた。なるほどそういうことか。「何も買わないから行かない」と断ると、「freeだから」と中に入るように強くすすめる。何となく、まあ拒絶するほどのことも無い気がして、入ってみることにする。案内して来た男の人は店内には入らず店の人が接客する。店内の灯りは初めは消されていて、客が入っていくと点灯される。まずは約束どおり屋上にあがりミーナークシ寺院の全景を見る。東西南北にあるゴープラム(塔門)や寺院の建造物が、くっきりした青空の下、緑の木々の間に浮かぶように並んでいる。素晴らしい眺めだ。が、何しろ暑過ぎた。時刻は一日で最も酷暑の時間、屋上には日陰がない。何枚か写真を撮り、店員さんにシャッターを押して貰ったりして早々に退散。屋上には白いテーブルとイスが置いてあって、普段はここで客を休憩させてセールストークを繰り広げるのかも知れないが、この暑さでは店員さんも長居はしたくない様子。


屋上から戻る途中、当然売り上げのための活動が行われた。店内には他の客は一人もいない。薄暗い各フロアに入ると初めて照明が灯され、フロア毎に民芸品や工芸品、家具やアクセサリー、色々な装飾品が大量に並べられている。アクセサリーコーナーに案内される。どの商品もうっすらほこりをかぶっていて、何(十)年もその場所に置かれたままのように見えた。そしてそれらの値札に書かれた価格は随分高い。自分は不思議と落ち着いていて、商品を普通にざっとみまわし、簡単な質問をしたり、勧められるままに幾つかブレスレットを腕に巻いたりして寛いだ。そしてにっこりお礼を言って何も買わずに出てきた。店員の彼は「上等のパシュミナだよ」とか、何か買ってほしそうに粘っていたけれど、しつこくする隙も与えなかったのであきらめたようだ。店の前には初めに声をかけてきた男の人が仲間達と談笑していて、悪びれた風も無い。目で挨拶を交わしてその場を立ち去った。店に入ってから出るまで15分か長くても20分程度の出来事だった。



注:後になって「ロンリー・プラネット」を見たら、ミーナークシ付近でのこの手の観光客のひっかけは定番らしく、注意するようにと書いてあった。人によっては何も買わないと店内に入ってから何時間も解放されないこともあるらしい。

5月4日

朝。Jが次の宿をみつけてくる。泊るつもりだったhotelは今日も一杯なので、高い(450Rp)が道路側の窓付きの部屋に入れるというので、そこに宿を決める。窓付き部屋が空くまで、窓なし(あるにはあるが窓が廊下側に付いているので開けておけない)の部屋に仮でチェックイン。



地元のインド人しか来ない(インド人でも観光に来るような人たちは来ない)ディープな食堂でイドゥリ、ワダを食べる。珍しい外国人が突然やって来て店の奥さんは少々うろたえ気味。ワダの生地には荒く刻んだ野菜が練り込んであって、結構美味しい。美味しいよ、と頭をふにふにすると、奥さんは安心したように笑顔を見せ、ふにふにで返してくれた。バナナの葉っぱを皿にして食べる。食べ終わったら、葉っぱは丸めて自分で捨てるシステム。食後にコーヒーを飲む。家族経営の店で主に奥さんが調理と給仕、おじいさんがお茶(チャイとコーヒー)係、娘が精算担当のよう。奥さんは凄く痩せていて、娘さんはぽっちゃり。お爺さんはいつも元気にお茶をいれている。


*   *   *


注:「頭をふにふにする」
インドの人はコミュニケーションをとる時、顔は正面を向いたままで頭を左右に傾けて小刻みに振る動作をする。最初は頭を振るので否定の意味かと思ったが、NOの意味では無い。いちいち言葉にするのも野暮な、あるいは言葉にするまでもない言外の微妙なニュアンスをこの動作があらわしている。たとえば「おいしいよ」の意味で私が頭を振ると、おばさんは頷くような感じで頭を振って返す。他にも肯定の意味を表したり、「しかたないなあ」とか「好きにすれば」みたいな感じでも使われる。「頭を振る」といってもこの動き自体が微妙で、なかなか真似できない。言葉で表すと「ふにふに」と言う感じで、さらに人々の表情が動きのニュアンスを補足する。インドの人は子供から大人まで必ずと言ってよいほどみんなこの動作を頻繁に行う。無意識に自然に出てくる動きのようだ。

午後。Jがどこかに出かけてしまったので、ティルマライ・ナーヤカ宮殿に行ってみることにする。お腹具合が少し変だったので落ち着くのを待ってパレスへ。リキシャで2キロ程の距離で60Rp。何だか高い気がする。パレスの入場料は50Rp、カメラ持込は別料金で30Rp…。



大きな柱廊。広い広い。皆思い思いの場所に腰掛けてのんびりしたり、おしゃべりしたり。ここに座ってはだめだとか触ってはだめだとかぜんぜん禁忌がない。子供は走り回って遊んでいる。宮殿内でバドミントンをしている人までいた。鳩がいっぱい。中国風の鮮やかな色彩と装飾が施された天井が美しい。建物の奥に併設された博物館で、鳩の糞で汚れた古い牛やら神様やらの石像などを眺めていると、観光に来ているインド人の子供たちの「Korean!」とか「China!」とかいう囁き声が聞こえた。

Tirumalai Nayak Palace

ティルマライ ナーヤカ宮殿

パレスをのんびり散策して、宿の辺りまで戻ることにする。リキシャに料金を聞くと70Rpと言われる。「それなら乗らない」と言って立ち去ろうとすると「幾らなら乗るんだ?」。「50Rp」と答えると「60Rpでどうだ!」。それ以上の交渉も面倒になってそのリキシャに乗る。乗っている間にドライバーが何か話しかけてきたが聞き取れない。



リキシャを降りてまっすぐチャイ屋へ。熱いチャイをごくごく飲んで、とりあえず一息つく。


部屋には戻らず、そのまま近くにある州営の土産物屋を見に行く。上等のジャスミンオイルが欲しかったのだが、香水が少し置いてあるだけ。あまり上等そうではないが瓶も綺麗なのでギフト用にジャスミンと白檀と何だか分からないが渋い香りの香水を買う。
その後ネット屋へ行くが、なぜか日本語入力が普通にタイプできないので(店のお兄ちゃんに聞いても埒があかない。)メールチェック程度で早々に退散。


*   *   *



夕方、待望のミーナークシ寺院へ二人でゆく。履物を預け、裸足で西の塔門(ゴープラム)から入る。警察官が待機していて簡単なセキュリティチェック。

Sri Meenakshi Temple

ミーナークシー寺院

ゴープラムの凄い迫力に圧倒される。驚嘆する。
この旅でこれまでに観た建造物の中で最高かも知れない。
寺院の内部は、festivalの最中なのであちこち電飾(普通の電球を色セロファンで捲いている。)が飾り付けられ、ピカピカ輝いている。



「黄金の蓮のタンク」の周囲にJと私は少し離れて座って、夕景をみた。オレンジ、ピンク、紫、ブルー。光の強さのうつろいに沿って、空の色や濃淡、グラデーションは数え切れないバリエーションで一瞬毎に変化してゆく。視線をはずしたら、その瞬間を見逃してしまう。凄い夕焼け。輝きと色彩。見とれているうちに、“にわかに空が掻き曇り”、突然雨が降り出した。雨は急速に激しさを増し、すぐにどしゃ降りになった。タンクの周囲に集まっていた人々はタンクを取り囲む回廊に避難する。近くにいたサリーを着た女性が、回廊から降りしきる雨に手を差し出し、雨水をその掌にうけると、空やゴープラムに向けて手を掲げ、祈りを奉げていた。自然な信仰の姿に、美しいと感じる。


雨が降り出す少し前から、私の方をちらちら見て話しかけようか迷っている様子の女の子がいた。ようやく決心したらしく、こちらへ近づこうとしたところで急に雨がザーザー降り出した。しばらくして雨があがってきた頃、彼女はあきらめずに弟らしき男の子と一緒に小走りに近づいてきて、にっこり微笑んで小さな白いジャスミンの花一輪を私に差し出した。びっくりしながらもお礼を言ってジャスミンを受け取ると、彼女は恥ずかしそうにはにかんで直ぐに元居た場所へ戻ってしまった。彼女は近くに植えられているジャスミンの木から花一輪を摘み取って私にくれたのだ。なんてsweetな行動!黄色いパンジャビドレスの似合う、綺麗な女の子。


後、家族と参詣に来ていた彼女と簡単なおしゃべり。「写真を撮らせて」というと、はにかみながら弟と一緒に写ってくれた。彼女を撮ると、彼女のファミリーも「写真撮って」と言ってきたので家族写真もパシャリ。彼女より少し年上くらいの姉かと思われる女性が居た。元気でかわいらしい印象の妹とは対照的に、しっとりしていて、でも完全に大人の女性になりきらない少女の雰囲気も残っている、可愛いと言うより美しいひと。お姉さんにも「写真に写らない?」と声をかけたが、彼女は「私はいいわ。」と言って写らなかった。そのたしなみも彼女にふさわしく思えた。

写真を撮っていると、周囲の人が寄ってきて「写真撮ってくれ」ラッシュとなり、しばし撮影大会。どこかに写真を送ってくれというわけでもなく、撮った後カメラのディスプレイを見せるだけで満足する。写真に写ることだけで満足している。


宿へもどり、バナナとビスケットで簡単に食事。午後8時30分過ぎ、ようやく窓あり部屋へ移動する。


注:タンクは本来は沐浴するための貯水池だが、「黄金の蓮のタンク」には現在は水は溜められていなかった。

5月5日

窓あり部屋は快適。窓の外には大きな菩提樹の木があって、樹上を駆け回るリスの姿を間近に見られる。小さなシマリス。2匹は常駐して、始終追いかけっこをしている。ちーちー鳴いたり、木の実をカリカリ齧ったり、枝に身体を引っ掛けて休んだり、昼寝をしたり。ときどき枝から落っこちそうになる。可愛いし、ユーモラス。観察していると飽きない。

昼。いつものインド人食堂でイドゥリ、ワダ、コーヒー。何回も通うと店の人も慣れてくる。
フレッシュフルーツをその場で搾ってくれるジューススタンドで美味しいマンゴージュース、25Rp。



部屋でゆっくりして、夕方寺へ行こう、と思っていたが。

午後は、もの凄い嵐が来た。


辺りがたちまち暗くなって風が吹き、雨がバラバラふりだす。
雷が鳴って、あっちこっちに落ちる。
ビルに掲げた看板が強風に吹き飛ばされるのが窓から見えた。
雨が横殴りに降って、外が真っ白になる。
視界が失われる。


窓の外ばかり見ていたら、いつの間にか部屋の中も浸水していた。どこから水が入ったのかよく分からない。掃除係の女性に道具を借りて、Jが部屋に溜まった水を掻き出す。浸水した部屋がほかにもあるようだったが、一般的なインド人男性は掃除係の女性を手伝う、というかこのケースだと自分で水を掻き出すという発想は無いので、インド人の男性客は「早く水を掻き出せ、あそこだ、ここだ」と命令するばかりで全く手伝わない。掃除係の女性はひとりしか居ないし、日本人みたいにテキパキ動くわけでもないし、手に負えない様子。
自分で率先して道具を借りててきぱき片付けるJはインド女性の評価が高い。(Jはインド女性に人気がある…。)

嵐が引けて、洪水後のまちへ出る。


道はあちこち冠水して、じゃぶじゃぶ水の中を通ってミーナークシへ行く。寺の敷地も、低いところは深い水溜りが出来ている。

足が虫食いだらけなので、破傷風やらばい菌を心配しつつも、どうしようもないので濁った水の中をチョッパルを引っ掛けた足でじゃぶじゃぶ行く。


昨日も行ったタンクの辺りに行く。今日は電飾は外されていて、電球だけ。
売店を覗いていたら、ワダを買ったおじさんが一つくれた。ワダには黒い、ひじきみたいな外見のものが練り込んである。Jと半分こして食べる。なんだかもそもそしている。
次にバナナの葉で包んだライスを売店で買ってみる。インド人はこれをタンクを取り巻く回廊のそこらに座ってむしゃむしゃ食べている。1つ10Rp。これも半分こ。かなりスパイシーなタマリンドライス。
味が濃いけど美味しい。我々も回廊に適当に座って食べる。
夕陽の見える位置に移動して、夕景のミーナークシを見ていると、若いインド人グループが近くに来て簡単なおしゃべりをする。揚げもちみたいなもやもやした甘さのお菓子を2つ頂く。素朴ななつかしい味のお菓子だった。二人してお腹いっぱいになる。


寺院に居る象に、鼻で頭をコツン(実際の音はパサッとかファサッ、みたいな感じ。)とやって貰う。象の鼻の穴に2Rp硬貨を載せると、象は鼻を振り上げて、撫でるように、頭の上に軽く鼻を触れさせる。「Good Luck!」の意味。近くに象使いがいるが、硬貨を載せたら鼻を振り上げるように覚えさせているので、ちゃんと象だけで「Good Luck!」をやってくれる。数人分まとめてお札で払う場合は、象はそこまでは対応できないみたいで、象使いが象の鼻を掴んで強制的に頭の上にとんとんとんと載せていく(これではあまりご利益がなさそうだけれど…)。


暗くなるまでミーナークシで遊んで、寺院をぐるりと一周して帰る。寺で色々食べてお腹一杯なので夜ご飯は省略。

夜。水を買いに外へ出たついでにミーナークシの前までひとりでぶらつく。タバコ屋で瓶入りリムカ12Rp。タバコ屋の中の椅子に座ってごくごく飲む。よく冷えていて美味しい。

昼間通りかかって気になっていたミラースカートを見に行く。正面のデザインは良いのだが、後ろ側が、価格を下げるためなのかミラーが少ししか付いていない。巻きスカートみたいに紐で縛るようで何だか着難そう。そして重い。定価は950Rpで値切れるだろうがやめておく。

寺の前からひきかえす途中、目をつけていたバナナ売りの屋台でバナナ2本買って帰る。8Rp。指定しなくてもグリーンバナナを渡してくれた。部屋に帰ってすぐに食べたら美味。また買いに行こう。

夜中、シャワー浴びて出たら、窓の外にもの凄い月。夢中で写真を撮る。メモリーカードが一杯になって新しいカードに換える。

5月6日

朝。いつもの食堂へイドゥリ、ワダ目当てで行くが閉まっている。今日は日曜で、さらにfestivalの中でも特に大きな祭事のある日らしく、タバコ屋、チャイ屋まで休みの店が多い。いつも行く食堂の2軒先くらいにあるもう少し大きな食堂は幸い営業中だったのでそこへ入る。
やはりインド人向けの食堂でミネラルウォーターも置いていない。mealsがあったので久しぶりに頼む。
バナナの葉っぱが置かれて、給食みたいに上にいろいろ乗っけていく。ジャガイモのサブジ。素朴な味。お腹も空いていたのでほとんどペロリ。途中、何回もお代わりをくれる。サブジ+サンバルのシンプルライスは一番美味しい。満足してお腹が一杯になって部屋へ戻る。


*


夕方まで本読んだり日記書いたりして、ネット屋へ行く。軽くメールチェックするだけ。日本語入力が出来ないので返事はせず。ネット屋の店内は蚊の大群凄まじく、早々に退散。


帰り、教会の前を通る。
子供のようにキレイな顔をした天使(羽根つき)。槍で真っ黒なdevilを串刺しにしている。心ここにあらず、という表情で。
「あ、シモンさん。」と思う。
写真撮りたかったが、カメラを持っていなかったので撮れず。後で撮らなくては。


*


ミーナークシへ行くはずだったがjもあまり乗り気ではなさそうなので、今日は部屋から夕景を見ることにする。夜になる迄写真を撮って遊ぶ。


*   *   *


夜。インド人でいつも混み合っているレストラン(と言うか食堂)へ行ってみるが、いくらなんでも混み過ぎ。美味しいお店らしいが諦めて昼に行った食堂へ…が、既に店じまい。仕方なくミーナークシの方まで行って観光客向っぽい食堂へ。メニュー表があって、いつでも何でも揃っているらしい。Jはイドゥリ、私はパロタを食べる。パロタは形も崩れていて、作ってから時間が経っている感じ。あんまり美味しくない。ここではコーヒーも飲まずに引き上げる。


*


遅くまでやってるチャイ屋でコーヒー飲む。昼間コーヒーを頼んだのにチャイが出てきたが、今度はちゃんとコーヒーが出てきた。釣銭くれず催促する。

*


帰りはいつものタバコ屋が開いていないのでジューススタンドまで行って水を買って帰る。


*


洗濯に励む。

5月7日


毎日暑い。昼間は強すぎる日差し。体調はいまいち。疲れてる。

*


朝。バナナ、その後イドゥリ・ワダを食べに行く。今日は注文したイドゥリ1個、ワダ2個の他に何故かdosaも出てくる。断るわけにもゆかずdosaは二人で分けて食べる。私のは3分の1くらい、残り3分の2をJが食べ、ワダ1個残す羽目となる。66Rp。数字の「2[do]」が「dosa」に聞こえたのかも、とJ。

*


食堂の帰りに教会へ写真を撮りに行くつもりでカメラを持っていくが、お腹がくちすぎて部屋へ戻って昼寝。


*


夕方まで日記書いたり、「ねむれ巴里」読んだり、うとうとしたり。
夕方、チャイ飲みに出て、昨日から気になっていた教会で天使が悪魔を串刺しにしているお人形の写真を撮った。ガラスのケースの中に収められているので、ガラスに光が反射してしまう。

*


部屋に戻る。雲行きが怪しくなって、また雨が降った。雨が上がるまで待ったり、うだうだしているうちに外はすっかり夕焼け。
大分遅くなってミーナークシへ行ったので着いた頃には夕方も終わりかけ、すぐに暗くなってしまう。写真は暗すぎてあまり撮れない。


*


いつものタンクの辺りに座っていると、大家族で寺に来ていて、私達の目の前に座っていた一団のおばさんがバナナをくれる。その後ポン菓子みたいなしょっぱいお菓子(お米のあられ、軽い食感)も頂く。お菓子をくれたおばさんの家族とおぼしき女のひとがこちらを向いてしきりに何かを話しかけているが、タミール語なのか、何を言っているのか全然分からない。彼女も同じようにポン菓子を食べてニコニコしている。その後、写真を撮って欲しいと言っていることがようやく分かり、一枚撮る。

*


ご馳走さまをおばさんに言って、早めに立ち去る。売店でこの前食べたバナナの葉で包んだライスを買おうとするが一つしかない。別の売店も覗いてみたが売り切れ。なので、例のいつもインド人で大混雑しているレストランに行ってカードライスをパーセルミールス(=take out)に。屋台のおばさんからmangoとバナナを買う。(mangoだけのつもりだったがバナナまで買うことに…。)
カードライスを買う前から目をつけていた野菜の屋台(野菜を簡単に調理したものを売っている。)を追いかけてキュウリにマサラのかかったもの、2個で10Rp。野菜の屋台で売っているのはどれも美味しそうでいろいろ食べてみたい。最後に水を買って部屋に戻る。


*

Jの腰巻を敷物にして、買ってきた食べ物を広げる。ピクニックみたい。
カードライスはご飯がふわっとしていて、味も絶妙。Mamalla Bhavanで食べたものよりさらに美味しい。香ばしく炒った塩辛い豆とライムアチャール(凄くしょっぱ辛い漬物みたいなもの)が付けあわせで付いていて、柔らかい味のカードライスにぴったり合う。キュウリもみずみずしくて美味。完食。これでお腹がいっぱいになってしまったのでmangoは翌日に回す。


*


夜。お茶を飲みに外へ出る。昼間教会に天使の写真を撮りに行ったとき、お人形のケースの中には電球が付いていたので、夜には天使の像がライトアップされるものと思いこんで写真を撮りに行く。が、ケース内のコイル状の電球は点灯していなかった。辺りは暗くて、残念ながら写真は撮れず。大人しくチャイ屋でお茶を飲んで帰る。

5月8日


時が過ぎるのは早い。マドゥライに居るのもあと2日。


朝、遅く起きる。Jは遅くまでパソコンを叩いていたせいかなかなか起き出さないのでひとりでチャイ屋に行き、後水を買って帰る。昨日屋台で買ったバナナ食べる。入れ違いでJがチャイ屋へ行き私はリュックに荷物詰めてる。



正午近く、イドゥリ・ワダの食堂へ行くがイドゥリもワダも無かったので、昨日パーセルミールスを買った店へ行ってみる。今日は座れたので店で食べていくことにする。
Jは再びカードライス、私はトマトライス。夕べ食べたカードライスが美味しかったので期待したのだが…トマトライスは全然美味しくない。期待が大きかっただけにがっかり。Mamalla Bhavanで食べて失敗したベジタブルライスに似た味。つけあわせのカレーは美味しかったのがなぐさめ。外のチャイ屋でコーヒー飲んでhotel戻る。



午後はいつものようにベッドにごろり。うとうとしたり、日記書いたり、「ねむれ巴里」の続き。


*   *   *


夕方、昨日買った念願のmangoを食べる。敷くものが無いのでテーブルをとりあえず拭いてテーブルの上をベタベタにして食べる。皮を剥く。最初は少しずつしか剥けないが、やがてべろりと剥けるようになる。皮にくっついた実にもしゃぶりつく。どこか薬品にも似たような香り。皮をあらかた剥くと、本体に取り掛かる。むしゃぶり喰らう。オレンジ色が強いところと黄色の強いところ。果汁が滴る。

はっきりした味ではないが美味しい。南の国で何度もmangoを食べているJに言わせると時期が早すぎて60点の味だそうだが、私にしたらかなり美味しい。


mangoの後お茶飲みに出る。Jはお腹が空いたと言ってチャイ屋で売っていたワダを、私は屋台の人に聞いて“SWEETS”と言われたものを食べてみる。三角にカットしてありペタンコで、シロップでしっとりしている。シナモンの味がしてどこかアップルパイを思い出させる。(尤もリンゴは入っていないけれど。)何か木の実かナッツ類、赤いチェリーの甘酸っぱい砂糖漬けなど。これは美味しくて気に入る。また食べたい。チャイも飲んで二人分全部で22Rp。食べ物は5Rpずつなら随分安い。



私は自分のお茶は飲んでしまって、TABAC買っているJのお茶を持ってふと気づくと空に彩雲が出ている。たくさん、はっきり出ているので丁度持っていたカメラで写真を撮りまくる。電気屋さんの前の階段に腰掛けてしばらく写真撮ったり、眺めたり。色がどんどん変わる。インド人は通りかかっても全然空を見上げない。私が写真を撮っているその姿の方を珍しがっている。電気屋の人やチャイ屋に来ていたお爺さんは私達が写真を撮っているので彩雲に気づくが別に驚いている風もない。インドではごくありふれたものなのか?見たことも無いほど大きく、鮮やかに変化する彩雲。吉兆と信じよう。

ミーナークシへ行く。今日は寺で写真を撮るつもりで早めに部屋を出たのだが、彩雲を撮るので時間をとった。まだ光はまずまずあったので、撮る。

履物を預けて寺の中へ。今日の身体チェックは簡単。昨日は財布からキティライトまでチェックされたのに。
(キティライトは、旅に出る前にプレゼントして貰ったHELLO KITTYの顔の形をした小型のソーラーライト。旅の間何かと重宝した。前日、妙に細かいバッグの中身全部の荷物検査があって(チェック係の好奇心によるものとしか思えないのだが)、ポシェットの中に入っていたキティライトを取り出し「これは何?」と聞かれた。「ソーラーライトですよ。」と答えて得意げに点灯して見せようとしたが、生憎の充電切れだった。)



写真を撮りながらいつものタンクの廻りのいつもの席へ。雲が多い。彩雲はもう出ていない。


暗くなって、売店で例のバナナの葉で包んだスパイシーな味付けご飯を買って帰ろうとするが、また売り切れ。別の売店で見つけてライス、ワダ,SWEETS(ココナッツを団子状に丸めた黄色の菓子)を買う。全部で60Rp。寺の売店は高い。


*   *   *


さて、帰ろうとするが雲行きが怪しく、雷も鳴っているのでしばらく様子をみるためタンクへ戻る。と、雷がもの凄い激しさになってきた。強烈なフラッシュ。


雷を眺めながら買ったものを食べることにした。が、雷が今にも落っこちそうで落ち着かない。座る場所を移動してみたが、落雷しまくる様にご飯途中でJが「怖いから移動する」と言いだし、寺の内部に入る。

雨と雷から逃れた人たちで寺の中は一杯。みんな適当に座り込んで何か食べたり話に夢中になったりしている。私達も柱に寄りかかってご飯の続き。お菓子まで食べる。お茶が飲みたいが、寺院の中では水気のあるものは売っていない。「DRINKING WATER」の蛇口があちこちに備え付けられていて、インド人は空のペットボトルにその水を入れて飲んでいるが私達は用心して水は我慢。

そろそろ雷も静まってきたかとタンクに戻ってみるが、まだびかびかで寺の内に逆戻り。落雷で寺の内部も一度停電で真っ暗となってJにしがみつく。

さらに時間を置いて再びタンクまで戻る。びかびかしてはいるが雷が離れていきつつあるのが感じられたので、今度は落ち着いて「びかびかショー」を見つめ、カメラのmovieに収めたりする。自分では全く気づかなかったのだが、movie撮ってる私の背後に人だかりができていたらしい。本当に全然気づかなかった。



びかびかを堪能し雨も止んだので、ようやく帰る。街中に、また大きな水溜りが出来ている。履物係から履物を受け取り、お茶が飲みたくて西塔前のチャイ屋に行くがもう閉店時間。で、初めて入るチャイ屋でコーヒー飲んで水を買って部屋に戻る。……と、部屋が前回の嵐の時以上にまた水浸し。幸いリュックはギリギリセーフで濡れるのを免れた。J、水を掻き出す。やれやれ。


*   *   *


しばらくは撮った画像を見たり、日記を書いたり。Jはパソコン。



夜、お茶飲みに行く。出かけようをしたら宿全体が停電になり、久しぶりにキティライトをたよりにホテルの階段を下りる。私はチャイ、Jはコーヒー。お茶飲んで、後、まっすぐ部屋へ戻る。

hikari2
hikari3
hik4
hik5


神々が、おしよせてくる。

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マドゥライ、聞こえる音。


お寺のうた、太鼓。
ヒンドゥーの朗唱とアザーンと賛美歌が
入れ替わりに聞こえてくる。

リス、猿、「クーイッ」と鳴くバンコクと同じ鳥。

窓の下に見える小さな祠を、
御参りする人が打ち鳴らす鐘の音。

人々のざわめき。車の音。クラクション。バイク。
口ゲンカする声。カラス。ファンの回転する音。
スピーカーから聞こえるインド音楽。

洗濯する音。何かトンカン打ち付ける音、工事中の音。
自転車のベル。教会の鐘の音。

5月9日

深夜、10日未明から具合が悪くなる。Jが先に調子が悪くなって、私は何ともなかったのだが夜中になってj以上に症状が出る。何だか気持ちが悪い…と思ってからどんどん悪化していく。吐き気がするのに吐けない状態がしばらく続いて、その後ひどい嘔吐。自分でコントロールが出来ない。あまりの凄まじさに、自分で自分を観察してしまう。

これ、本気?冗談じゃなくて?


映画「スタンド・バイ・ミー」における、ブルーベリーパイの早食い競争のシーンを現実に体現する自分が信じられなかった。


明らかに食中毒。気休めに正露丸を飲んでみるが今更効く筈もない。熱が40度近くまで上がる。寝ていても良くならない。落ち着け、冷静になれ、と自分に言いきかせる。

効果があるかどうか分からなかったが、とりあえず持って来ていた抗生物質をこの日から3日間飲む。最後の頼みの綱で、残り少ないこの薬が効かなければこれ以外に自分で打てる手は無かった。(肝炎やら他のもっと危険な病気のリスクを考えると診療所に行く気にはなれなかったし、謎の薬も飲みたくなかった。)



5月10日、11日の2日間は完全にダウン。部屋から出ず、食事もせず。

13日、夕方。幸い抗生物質は効いてくれたようで何とか動けるようになる。ふらふらしながらネット屋とマーケットに行って、食事用にとりあえずプリングルスを買ってくる。

原因は後の祭りだが疑わしいのは通っていたディープな食堂。jの話ではイドゥリやワダと一緒に食べたカレーの味が前回はおかしかったとのこと。私は全然気づかずに全部食べてしまった。怖いので、以降その食堂には行かなかった。


これまでほとんど抵抗無く、何でも美味しくばくばく食べて来たが、ここに来て食べもの全般に対する恐怖心が生まれてしまった。食堂やチャイ屋で出す食べ物も飲みも全部怖くて口にできなくなってしまう。ビスケットとバナナ、お菓子が食事。jがまるごとの皮付きなら食べられるかとキュウリやトマト、mangoなどを買ってきてくれた。キュウリやトマトに塩をかけて食べる。せっかくのmangoは食欲が出ずあまり食べられなかった。



14日には熱は下がり、平熱にもどる。体調はまだ戻らないが寝たきりで湿ったベッドにこれ以上居続けるのは嫌なので無理をしてでも出る。

コダイカナルへ向かう。

Madurai,Madurai

2015年2月1日 発行 初版

著  者:Neko
発  行:MANGO BOOKS

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