今日の私は今日だけの
今日のあなたは今日だけの
今日だけの日を今日迎え
ついにあなたと出会いましょう
今日もあなたと出会いましょう
『今日だけ』 ~花咲風太郎
ハナサキミドリ(写真)
秋山ひなた
生まれながらの貧乏気質
毎日毎日こつこつと出来る
難しくない宿題がほしい
大人になったいまだから
良くできましたの
はなまるがほしい
ずっとずっとほしかった
良くできましたの
はなまるのために
難しくない宿題がほしい
そうでした
山積みでした
机の上にわたしの
宿題
生きることが何よりの
課題
宿題
どんなもんだい
ひとつやってのけたなら
どんなもんだい
胸を張れるわたしでいたい
ひみつのなかみは
わたしです
どこをさがしても
わたしです
わたしはのろまな
女の子
大好きなものは
とっておくたちで
給食の揚げパンも
殆どは
同級生にとられた
わたしです
ひみつのなかみは
てんでばらばらの
こどくです
こどくのなかに
揚げパン調理法を
かくしています
ひみつのなかみは
あなたです
ひみつのなかみは
わたしです
ひみつのなかみは
情熱です
川瀬杏香
僕らの肩越しに
夏の空を仰ぎみる向日葵がそっと囁く
もうすぐ太陽は死んじまうんだって
燃えゆく空を傍観する肩に忍び寄る影
僕らはそれを
払いのけるようにして烏を追いかけた
決して振り返らずに
わたしの眼は輪切りにした檸檬でできている。
心臓は、真っ赤な薔薇の花弁でできている。
血管には沢山の棘があり、感情が流れている。
わたしの脳は実験用の豆電球でできている。
わたしの詩は、わたし自身の生け贄でできて
いる。
外灯もまばらな暗い夜道を
ぽつりぽつりと独り言のように歩いてゆく
その足の隣に使い古された鉄道のレールが
何も言わずに横たわる
寝言のように列車が近づく音がして
ぴょんと跳ねた先に痩せたひとの影
そのひとは赤い瞳で
列車が過ぎてゆくのをじっとみていた
たぶん次の駅は秋である
山に太陽遮る黒い大きな影
天見上げれば足の裏がある
私は背伸びをして
ぺんぺん草で
やれ、どうだ
くすぐったいかと
足の裏を追い払うちいさな
ありんこである
やわらかな風
ゆれる草の上
いつ
発狂するとも
わからない
わたしの横で
うたた寝する
あなたがいる
春
いつ
発狂するとも
わからない
わたしの横で
鼻歌うたう
あなたがいる
ゆれる草の上
やわらかな
春のにおい
花咲風太郎
ちいさな声で伝えよう
大事なことを伝えよう
大きな声では伝わらない
ほんとのことを伝えよう
あなたの傍でささやこう
あなたひとりにささやこう
他の誰にも聞こえない
ちいさな声でささやこう
吐息のように透明な
君しか知らない僕の声
約束の地
探していたら
道に迷った
今日の夕暮れ
歩き続けて
その角曲り
何処に向かうの
今日も夕暮れ
約束の地
僕の約束
近づけぬまま
明日も暮れゆく
空はいつも
過去も
未来も
いつのときも
空はここに
傍に
遠くに
あたまの上に
変わりゆくのは
君であって
僕であって
僕ら出会って
まじり合って
薄桃色の空の果て
遠いどこかへ溶けていって
僕らはどこから駆けてきたっけ
哀しい歌を唄う鳥
哀しい歌に揺れる木々
哀しい歌が響く森
哀しい歌をはこぶ風
哀しみ 空に溶け出して
音色は街に とんでゆけ
美しさだけ とんでゆけ
見上げれば空があり
空に雲があるように
空の下に僕はあり
僕の胸に詩があって
詩を吐き出すことで僕は
穏やかな風のように平静を保っている
この空の下
この詩が
いつかあなたに届くとき
あなたの胸のすき間を抜ける
やさしい風になれたなら
あなたの胸のすき間にたまる
ため息さらってゆけたなら
愉しい歌も
哀しい歌も
どこかで
希望の灯りとして届くことを願って
あしたはどこからくるだろう
ぼくにだまってくるだろう
ねているすきにくるだろう
いたずらこぞうのかおをして
きょうもこっそりくるだろう
『あした』 ~花咲風太郎
序文に代えて 【詩篇 今日だけ】 花咲風太郎 ・・・未発表
情景詩篇(写真) ハナサキミドリ
秋に ・・・未発表
ちいさな世界 ・・・未発表
夜 ・・・未発表
詩篇 秋山ひなた
宿題 ・・・二〇一四年六月十一日 ブログ『ちいさなひなた』(現代詩フォーラム削除)
宿題(改) ・・・二〇一四年六月十一日 ブログ『ちいさなひなた』
ひみつ ・・・二〇一四年八月一日 ブログ『ちいさなひなた』
詩篇 川瀬杏香
夏の終わり ・・・二〇一四年五月二日 (E☆エブリスタ削除)
解剖 ・・・二〇一一年一月十三日 携帯小説☆フォレストノベル
コオロギの夜 ・・・二〇一一年九月九日 携帯小説☆フォレストノベル
ぺんぺん草 ・・・二〇一一年三月二十八日 携帯小説☆フォレストノベル
春 ・・・二〇一〇年三月十二日 携帯小説☆フォレストノベル
詩篇 花咲風太郎
ちいさな声で ・・・二〇一四年九月二十五日 ブログ『空と雲と詩と』
約束の地 ・・・未発表
空 ・・・二〇一四年十月八日 現代詩フォーラム
哀しいうた ・・・未発表
空と雲と詩と ・・・二〇一四年八月二十一日 ブログ『空と雲と詩と』
跋文 【詩篇 あした】 花咲風太郎 ・・・未発表
-----------------------------------------
川瀬杏香
詩集『In The Dark 詩の駅』 BCCKS
詩を愛するひと、絶望と希望の間にあるひと、今を生きるすべてのひとへ。
-----------------------------------------
『詩誌街灯 創刊準備0号』 街灯詩舎同人誌 BCCKS
或る日、ある時、闇夜に迷う時、傍に在り、灯した明かりは孤独な人のいっときの支えとなり、ひとときの安堵をもたらす光りになれるでしょうか。その時、その心の震えは冷たい空気を伝わり、街灯の明かりを灯し続ける力となります。(跋文より)
-----------------------------------------
ありがとうございました。
2014年11月25日 発行 初版
bb_B_00128951
bcck: http://bccks.jp/bcck/00128951/info
user: http://bccks.jp/user/125352
format:#002t
Powered by BCCKS
株式会社BCCKS
〒141-0021
東京都品川区上大崎 1-5-5 201
contact@bccks.jp
http://bccks.jp
【詩篇】
秋山ひなた/川瀬杏香
街灯詩舎同人
創作詩・自己啓発ブログ:『ちいさなひなた』
ツイッタ―@chiisanahinata
川瀬杏香 過去詩 simplog:
詩集『In The Dark 詩の駅』 BCCKS
【詩篇/表紙デザイン/キャラクターデザイン】
花咲風太郎
詩人
街灯詩舎同人
blog:『空と雲と詩と』
【写真】
ハナサキミドリ
街灯詩舎同人