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十六団子(5)~『これが村八分のムラのお葬式なのだ!』

夏目椰子

kotohima Novels



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  この本はタチヨミ版です。

 目 次

1『緊張感みなぎる葬儀会場』

2『村八分事件』

3『笑わいる』

4『村の閉鎖性』

5『亜種』

6『若者』

7『カマジー』

8『己の敵』

9『マンモス発掘調査隊』

10『まっすぐな視線』

11『死支度』

12『サイタ、サイタ』

13『処理速度』

14『緊張感』

15『苦戦! FBI捜査官』

16『ガイコツ和尚』

17『スタンバイ』

18『坊主虐待』

19『カラカサ小僧』

20『都会の花屋さん』

21『二所谷上等兵』

22『怒り玉』

23『ボラの大ボラ』

24『なんかいい感じ』

25『本領発揮』




1『緊張感みなぎる葬儀会場』

 座敷では本格的に葬儀の準備が行われていた。  
 今日の二所谷は水やお茶を何杯も飲んでは、ひっきりなしにトイレに立った。彼は相当緊張しているようだった。  
 二所谷は、表紙に『しかいしんこう』とミミズの這ったような字で書かれた大学ノートを少しだけ広げて、隠し読みするようにして何度も目を通していた。
「すみません、昨日サインペン折れちゃって、替えありますか?」  
 その二所谷に周平が声を掛けた。不意をつかれた二所谷はビクッとしてノートを閉じた。
「サインペンですか?」
「ええ」
「ちょっと待って下さい」  
 二所谷はそう言って、段ボールの中にあった茶封筒の中からサインペンを探し出すと周平に渡した。
(あっ! 手震えてる)  
 二所谷にペンをもらいながら周平はそう思った。  
 持ち場に戻った周平は、二所谷が用意してきた受付の机を、2尺ほどある玄関の上がりかまちに設置すると、その上に白い布を掛け『受付』と書かれた紙を画鋲で留めた。それから、新しい芳名帳を2冊その上に広げサインペンを2本置いた。次に会葬御礼の準備に取り掛かった。干し椎茸の入った箱に、今日届いた会葬礼状を挟み込み、それを持ち手の付いた白い紙袋に1つずつ入れていく作業だった。  
 相変わらず二所谷は、大学ノートを手に、あっちに行ったりこっちに来たりソワソワと落ち着きがなかった。
「ただいま、ただいまから、コ、コ、故宮下かなめ様の葬儀を執り行いますので、ご着席願いますっと・・・。うんうん。なお、ケータイ電話の電源は・・・」  
 ブツブツと二所谷は、周平の後ろで司会進行のリハーサルをしている。
「ケータイ電話の電源は、お切りくださるように・・・」
(大丈夫だ、ここは坊主のケータイ以外はつながらないから)  
 周平は会葬御礼セットを作りながら思った。
「お切り下さるように、謹んでお願い、じゃない、ご協力をお願いだな。ご協力をお願い申し上げ、じゃない、お願いしますでいいのか。なるほど。もう一回やってみよう」
(この方、この道のプロじゃないのか? 本当に大丈夫だろうか?)  
 周平は小学校の時の学芸会当日、まだ台本の下読みをしていたサル役のボンチンを思い出した。
(あん時のボンチン最悪だったんだよな。鬼退治をして、宝物を持って帰ってきた場面で、桃太郎役の俺が「おじいさん、おばあさん、この宝物は・・・」と言ったところで、いきなり「これは、おらがやっつけだがら、おらがもらう」ってアドリブ言って、勝手に宝物を全部持って舞台から消えてしまって・・・)
「お切り下さるよう、謹んでご協力をお願い・・・」  
 二所谷の声がフェイドアウトしていった。周平が振り向くと、彼はちゃぶ台に置かれたお茶をガブガブ飲んでいた。  
 一方、貴志の元には一三が到着していた。一三は、
「昨日もやっぱり徹夜ですた」  
 と、腫らした目で貴志にあいさつをすると、
「まずは、弔電の整理をすなければなりません」  
 と言って、続々と届く弔電の読み上げ順を貴志と一緒になって検討していた。そこへ長谷川がやってきた。
「あっ、一三先生、こちら今日弔電を読み上げてくれる長谷川さんです」  
 貴志が弔電アンドロイド長谷川を紹介した。
「大変お疲れのところ、ご苦労様でございます」  
 弔電アンドロイド長谷川は極めて折り目正しくあいさつをし、一三に名刺を差し出した。
「あっ、どうも。私、宮下一三と申すます。喪主の本家に当たります。あっ、名刺がなくて失礼すます。今日はどうぞよろすくお願いすます」  
 一三は大変恐縮して頭を下げた。  
 弔電アンドロイド長谷川は、
「こちらこそ、どうぞよろしくお願い致します」  
 と言って例の45度斜きお辞儀をした。  
 一三は、自分のお辞儀が低いと感じて、さらにもう一段低くお辞儀をした。  
 それに対して、弔電アンドロイド長谷川は、さらにもう一段ギアをシフトさせて65度に体を傾けた。  
 一三は、さすがにそれ以上の斜体は無理だった。彼はあきらめて体を起こした。
「いやあ、あの長谷川さん。なかなか素晴らすい方ですね。日本語も正確ですし立ち居振る舞いも非常に良くできております。しかも感情の起伏がなく『平常心』を身に付けておられます。こんな日本人を見たのは、本当に久すぶりです」  
 弔電アンドロイド長谷川が去った後で、一三はしみじみと貴志にそう語った。
(先生、あの方、実は日本人じゃないんですよ。もっと言えば人間でも・・・)  
 貴志はそう教えたい気持ちを抑えた。  
 弔電アンドロイド長谷川は、祭壇の前の自分の立ち位置を確認していた。そこへ洋がやってきた。洋は弔電アンドロイド長谷川を興味深く見上げて、
「ボット、ボット!」  
 と言った。  
 さらに洋は甘えるように長谷川の足に絡まり付いた。
(取リ乱シテハイケナイ)  
 長谷川は洋を無視して完璧な葬儀屋の態度で弔問客を見やった。洋が執拗に絡まり付いたが長谷川は決して動じなかった。  
 一方、長谷川の出現で気を良くした一三は、貴志を前に座敷のテーブルに座っていた。
「このシンセイ電子部品株式会社、常務取締役の山崎倫太郎さんと、同じく常務取締役の牛越晴彦さんはどちらが上位になりますか?」  
 一三は弔電の束を広げながら貴志に聞いた。
「ああ、上位ですかあ。まあ、年齢的には牛越常務のほうが上ですけどね」
「なるほど、では、牛越晴彦さんを上位にしていいですね」
「ええ、まあ、どちらも今日は来ませんので」
「そうではありません!」  
 一三は貴志の安易な発言に反応してこう言った。
「ご本人が来る、来ないの問題ではありません。それを誰か会社の人が聞いているから怖いのです。もしその方が順位を気にする人だったり、貴志君の腹を探るような意図を持って聞いていたとすたら、会社で大変なごどになってすまいます」
「ああ、なるほど。そうですね」  
 うなずきながら貴志は別のことを考えていた。
(そうは言っても、俺が会社の中でそんな重要人物とも思えないがな)
「ですから、殊に会社関係は気を付けなければなりません!」
「はい、分かりました」
「では、常務取締役の牛越晴彦さんの次に、常務取締役の山崎倫太郎さんということでよろすいですね」
「はい」  
 今日の一三は実に頼もしかった。彼はそれから書道具箱から白いさらしとはさみを取り出して、サトウの切り餅ぐらいの大きさの布切れを何枚も作った。それから葬儀日程が書いて貼ってある梁の所へ行き、紙の曲がりを5度直した。  
 それだけではなかった。一三は新たに弔電や弔花が届くと、それを細かくチェックして変更点を筆で書いたり、弔花の設置位置をあれこれ調整したりと葬祭プロデューサーさながらのめまぐるしい働きをしていた。  
 自分の司会進行のことで頭がいっぱいの本家葬儀屋とは全く対照的だった。  
 源蔵は源蔵で、仮駐車場になった貫太郎の家の前に看板を取り付けたり、玄関周りの掃除をしたりとこちらも多忙を極めている。  
 周平もモンタージュ顔のまなじりをキッとつり上げて、シシとして梱包作業に当たっている。
(葬儀屋に任せておけばと思っていた自分が恥ずかしい!)  
 貴志はそんな彼らを見ていてつくづく思うのだった。  




2『村八分事件』

 一方、スミたちがいなくなった台所では、かつらと彩が少し時間を持て余していた。
「彩さん、朝早かったんですから疲れたでしょう。私ここにいますから、少し外の空気でも吸っていらっしゃいな」  
 かつらがそう言って彩にほほ笑んだ。
(確かにちょっと疲れたな)  
 彩は思った。
「すみません、じゃあ、ちょっとだけ」  
 彩はそう言って勝手口から表に出た。  
 庭木のカエデからセミ時雨が降ってきた。今日も暑くなりそうだった。  
 外では作之進がダミ若勢を前に何か話していた。
「貫太郎、ご苦労じゃの」  
 作之進が言った。
「ナモナモ、キョダバワギャモイピャイデイ」  
 地べたに座って休んでいた貫太郎が、頭の汗を手拭いで拭きながらいつもの超早口で言った。
「んだな。こんなに若いもんがそろったダミ行列は久しぐながったものな」  
 作之進は貫太郎の5分の1の速度でゆっくりとそう言うと、目を細めて若勢たちを見回した。
「こういう機会でもないと、ながながしゃべられねえがらの」  
 作之進はそう言って近くにあった切り株に腰掛けた。
「まあ、みんなも座れや」  
 作之進に促されて、タワス、メモチョー、チョロQ、ナマス、ゴルゴが地べたに腰を下ろした。やや遅れてボンチンと邦彦が座ると、それを見て若い鉄平と和彦も芝生の上に尻を付いた。
「わしは来月で95じゃ」  
 作之進はそう言って、一番若い槙原鉄平に笑顔を向けると、
「おめえどなんぼ違う?」  
 と聞いた。  
 槙原鉄平はちょっとドギマギしながら、
「ぼくは23だから、ええと、72違いますね」  
 と言った。
「おう! そんたに違うが!」  
 ボンチンが驚いて叫んだ。ボンチンは、年の差に驚いたというよりも、本当は鉄平が瞬時にその引き算ができたことに驚いたのだった。
「ぼくの4倍以上年上ですね」  
 鉄平が言った。
「おう! おめ、なして分がった!」  
 またボンチンが驚いた。今度は割り算に驚いたのだった。
「そうが、4倍も違うかの。わしは4倍も長く生ぎできたというわげじゃの」  
 作之進はしみじみそう言って鉄平を見た。鉄平は黙って大きくうなずいた。
「この村は好きかの?」  
 作之進の問いに鉄平はまた大きくうなずいた。  
 作之進は、隣に座っている蛭川和彦の顔を見た。和彦も「うん」とうなずいた。
「そうか、それは大変ありがだいごどだども」  
 作之進はそう言って目を遠くへ向けた。  
 アブラゼミの声が、青々と抜けるように広がった空に吸い込まれていった。貫太郎が手拭いを広げて長い頭の上に載せた。
「村八分という言葉は知ってるかの?」  
 作之進が聞いた。  
 2人の若者は互いの顔を見合わせてから、小さく「うん」とうなずいた。
「ムラハヅブっつえば、ハツケにすっこどだ、ハツケ」  
 ボンチンが先輩風を吹かせた。
「この村ではの、悲しい村八分の歴史があるんじゃが、貫太郎は分がるべ?」
「チチャジギハナシキダゴアル」  
 振られた貫太郎が、小さい頃に話は聞いたことがあると答えた。
「わしもまだ30そごそごじゃった。おめえはまだ生まれだ頃だな」
「ン、コマケゴダワニャ」  
 貫太郎は、細かいことまでは知らないようだった。
「あれは、60年以上も前のごどになるが、この村で実際に村八分事件という、悲しい事件が起ぎでしまったんじゃよ」  
 作之進はそう言ってまた遠くを見詰めた。作之進の瞳の中に不吉な光りが灯った。
「もともと愛宕村は大きな村でな。地主が6人もおったんじゃ。それが、今の本家と言われている家の祖先なんじゃが、当時、それぞれの本家には小作人がたくさんおって、彼らは本家の農作業はもぢろん、屋敷周りの世話などもやりながら本家を支えておったわげじゃの。本家は本家で、彼らに生活の扶持を与え、彼らの慶弔ごとの世話をし、そうすてお互い助け合って生ぎてきたわけじゃ。村にいる限りは、どごがの本家に属していなげれば生ぎていげながったというごどじゃな」  
 ゆっくりと、かんで含めるように作之進が言った。
「作じい、社会の勉強だばいいがら、早ぐ村八分の話してけねが」  
 劣等生のボンチンが急かした。
「まあまあ、話はしっかり聞ぐもんだ」  
 作之進は、ボンチンを手で制してからまた話を続けた。
「そういう時代は、本家も別家もお互い不満もなぐ、本家同士もちゃんとそれぞれの管轄の中で秩序を守って暮らしておったわげじゃな。それが、終戦後の昭和22年に、GHQの主導で『農地解放』が行われる。地主の土地はただ同然の値段で政府に買われ小作人に分げられたんじゃ」  
 ここで作之進は一旦辺りをゆっくり見回すと、ボンチンに向かって、
「小作人が土地を持づっちゅうごどはどういうごどかの、昭一」  
 突然振られたボンチンは、ドギマギしながらこう答えた。
「そ、そいだば、いいごどだべ」  
 作之進は目尻のしわに力を込めて笑った。
「んだな、お前の言う通りじゃ。それはいいごどだったんじゃ」  
 作之進に褒められたボンチンは頭をポリポリかいている。
「ネゴの額ほどの土地もなぐ生まれだ人間も、大地主の家に生まれだ人間も人間には変わりねえものな。みんな平等に土地があったほうがいいに決まっておるんじゃ。それはいい。それは良がった。じゃが・・・」
「じゃが、なした」  
 ボンチンは社会科の授業に興味を持ったようだった。
「おがしな関係が残ってしまった」
「何だ? おがしな関係って」  
 身を乗り出してボンチンが聞いた。
「ひと言で言えばメンツだべな」
「メンツって何だ? メンツカヅが?」  
 全員が爆笑した。
「ボンチン、おめえ鳥っこ屋だものツキンカヅだべ」  
 タワスが茶々を入れた。みんなが吹き出した。
「メンツってあれだべ。言ってみれば『いいふりこぎ』だべ。こばがくせえプライドだがっつう」  
 メモチョーがちょっと学のあるところを見せた。  
 作之進は白い歯を出して笑って、
「んだな、世間体だな。そもそも、そういうごどが村八分の根っこさあったんだべな」  
 と言った。  
 作之進はそれからナマスのほうを見て、
「益男、村の山あるべ?」  
 と言った。
「ああ、共有林が?」  
 山師のナマスが答えた。
「どのぐらいあるが分がるが?」
「結構あるべ」
「ん、今でも相当あるんじゃが、昔は今の5倍はあったんじゃ」  
 へえー、という顔でナマスが目を丸くした。
「村の共有林というのは昔から村の長が管理しておってな。その村の長は、代々本家の持ち回りになっておった。今から70年以上も前じゃ。その頃、村長をやっていだのが秋塚厳兵衛という男でな。今は秋塚という名字の家はないが、当時は村に十数軒の別家を抱える本家の中でも大きなほうの部類じゃった。秋塚厳兵衛は決して野心家だったわけではないが、さっき十次郎が言ったように『いいふりこぎ』だったんじゃな。とにかぐ自分の別家衆に格好付けたいという気持ちや、他の本家に対する虚栄心が人一倍強かった男でな。自分の別家ばかりに融通を利かすところがあった。秋塚厳兵衛は家にある書画骨董を惜しげもなく別家衆にくれてやったし、慶弔行事でも他の本家がやらないような大枚な香典やご祝儀を包んだものじゃった」
「おらも、秋塚の別家だばいがったなや」  
 ボンチンが言った。
「ばがっこの!」  
 ボンチンの頭をタワスがひっぱたいた。
「ただ、それだけならば良かったんじゃが、秋塚は不正を行ったんじゃ」
「何だ? 不正って」  
 目を輝かせてボンチンが言った。ほかのみんなも興味津々のまなざしで作之進を見詰めている。
「村の山じゃ。秋塚厳兵衛は村の共有林の不動産登記を勝手に変えて、自分や自分の別家衆の名義にしてしまったんじゃな」
「えーっ!」  
 驚きの声が上がった。
「そいで、そいで、そいで」  
 ボンチンがキャッチャーをやった時のように身を乗り出した。
「だども、そんたらごどやったらすぐバレっぺよ」  
 ナマスが言った。
「そう思うべ。とごろが10年以上もそれは発覚しながったんじゃよ。秋塚厳兵衛が村長を辞めてその後村長が3人替わったんじゃが、誰もその不正に気付かなかった」
「なしてなして」  
 ボンチンが聞いた。
「まあ、これは村長やってみでわしも分がったごどじゃが、いぢいぢ登記簿に目を通すようなごどはまあせんもんじゃ。そもそも、そんな不正があるなどとは誰も思ってないがらの」
「んだって、いづがはバレるごどだべ」  
 メモチョーが言った。
「まあ、厳兵衛としたら、仮に発覚するにしてもそれは何代も後になってからじゃろう。その時は時代も変わり人も変わっているがら、昔のごどは誰も分がらなぐなって既成事実だげが残るどでも思ったんじゃろうの」
「頭いいな、ゲンベイ」  
 ボンチンが妙なところで感心した。
「なんも頭いぐねべ。バガだべ、その野郎!」  
 ナマスが言った。
「ダイダ、ダイミチケダ」  
 現自治会長の貫太郎が、誰が不正を見つけたのかと聞いた。
「わしのおやじの肥五右衛門が村長をしていだ時じゃった」
「ナシェ、ナシェワガタ」  
 貫太郎がなぜ分かったのか、と不正摘発の真相に迫った。
「たまたまじゃな。国がら村の山に助成金が出るごどになって、調べでみだら分がったんじゃ」
「して、何となった、何となった」  
 ボンチンが聞いた。
「村の山の大半が秋塚らの個人名義に書き換えられておったわけじゃから、当然村に助成金は下りないということになって大変な問題になったんじゃ」
「当っだりめだべよ。どごにそんたらごどあるもんだ!」  
 ナマスがエキサイトして言った。
「怒ったが? 役員」  
 バリトンボイスのチョロQが初めて口を挟んだ。
「ワダスは体育部長だがら分がるども、それだばカンカンなって怒りますね」  
 タワスがちょっと気取って言った。
「ああ、怒った。怒ったのは役員ばかりではながったな。他の本家やその別家衆もカンカンになって怒って、共有林を村に返せと秋塚に迫った。しかし、秋塚は頑として首を縦に振らなかった。そして、最後には村を挙げての訴訟になったんじゃ」
「ソショー?」  
 ボンチンは首をひねった。
「ああ、裁判になって5年も争うごどになった」



  タチヨミ版はここまでとなります。


十六団子(5)~『これが村八分のムラのお葬式なのだ!』

2015年2月12日 発行 初版

著  者:夏目椰子
発  行:kotohima Novels

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夏目椰子

「ひとり」を笑わせ、「ひとり」を泣かせ、「ひとり」を咲かせる物語を、かけがえのない「ひとり」のために書き上げること。それが、一生懸けても叶えたいボクの夢です。B型いて座。「ツイッター」はこちら。 https://twitter.com/yashinatume 「フェイスブック」はこちら。 https://www.facebook.com/natumeyashi

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