── 僕らはみんなギソウしている。
「技術創造クラブ」、略して「ギソウクラブ」という怪しい名前のサークルに所属する高校生の青春群像劇です。ギソウクラブなだけに、みんながちょっとずつ何かを偽装しています。
第一話の主人公は、ギソウクラブ副会長の山桜りるは。
容姿に恵まれているが故に、さまざまなコンプレックスを抱えざるをえなかったりるは。そんな彼女を救ったのが、のちにギソウクラブ会長となる向ヶ丘恭一。
第一話は、そんな二人の出会いと今のお話です。最後の一行で「え?」となっていただけたら嬉しいです。
今作では、一話ごとに語り手、視点が変わります。一つの出来事が複数目線で語られることで違った側面が見えてくる、かもしれません。
また、今回は『月刊群雛』2014年09月号で表紙を描かれた合川幸希(あいかわ・こうき)さんが表紙を描いてくださいました。合川さんのイラストもご注目ください!
──俺が守ってあげようか?
なんて聞きようによっては臭くて噴いてしまいそうなそんな台詞でも、そのときの私にはものすごく沁みたんだ。カラカラに乾いて今にも割れそうだった陶器に水を注いで、じんわりと潤っていくように。そのときの私は、こぼしたくもないのに勝手に溢れては流れる涙でこれ以上もなく湿っぽくなっていたっていうのに。あぁ、でもそうか。水分が出ていったせいで、やっぱり私は乾いていたのかもしれない。
顔を上げても、すぐに声の主は探せなかった。こっちこっち、という低くも明るい声が頭上から降ってきて、目元をハンカチで拭いつつさらに顔を上げた。
柔らかそうな茶髪をなびかせ、西校舎二階の廊下の窓から男子生徒が上半身を乗り出していた。
縁なしの眼鏡、肌は白い。外国人みたいに彫りの深い顔で、その笑んだ薄い唇の間からは白い歯が覗いていた。歯磨き粉のCMとか出られそう。見たことがある顔ではあった。けど、名前は知らない。同じクラスになったことはなかったし、私はそもそも男子生徒の情報にうとかった。
──俺なら守れるよ。
男子生徒は今度は提案ではなく、はっきりとそう宣言した。
※サンプルはここまでです。続いてインタビューをご覧ください。
晴海まどか(はるみ・まどか)です。多分十五年くらい前に千葉県で高校生をやっていました。高校時代に味わえなかった青春の一ページを疑似体験すべく小説を書いています。
好きなものはムーミンと椎名林檎(しいな・りんご)、趣味は音楽活動です。
二〇一四年三月に、『明日が雨でも晴れでも』(http://suny-or-rainy.tumblr.com/)という作品で、ライブドアブログ×impress QuickBooks主催の『ライトなラノベコンテスト』にて特別賞をいただきました。
また、同じくimpress QuickBooksから、ヤング・アダルト小説『髪の毛探偵 石神くん』シリーズが発売中です。1巻(http://ishigami1.tumblr.com/)は国内主要電子書籍ストアにて無料配信しているのでお気軽にぽちってください!
◆公式サイト:『白兎ワークス』
http://whiterabbitworks.wordpress.com/
◆ブログ:『原点回帰―Running possible―』
http://mfineocean.blog98.fc2.com/
◆Twitter(@harumima)
https://twitter.com/harumima
さて寝ようとベッドに横になった瞬間、「僕らはみんなギソウしている」というフレーズが降ってきたのがきっかけです。その晩は、結局一時間くらい布団の中で携帯電話のメモ帳に思いついたことをポチポチとメモしてました。
ちなみに、最初は「ギソウ生徒会」にしようかと思ったんですが、こねくり回しているうちに「ギソウクラブ」になりました。
音楽のジャンルになりますが、昨年六月にメジャーデビューしたバンド『空想委員会』です。一年半くらい前、インディーズ時代からハマっています。
何がいいって、歌詞が学生(しかも草食系男子)目線の青春ものなんですね。「学校じゃ目立たないメタルフレームのあの子が」/『美女眼鏡』、「三組のあの子の魅力まだ誰も気付かない」/『ラブトレーダー』などなど。甘酸っぱい学園青春ものの作業BGMにするとすごくノリます。
昔高校生だった人、甘酸っぱい青春を送りたかった人、あとは千葉の地理に明るい人に。
この作品ではちょいちょい千葉の地名が出てきます。舞台となっている「稲浜西高校」は架空の高校ですが、それ以外の地名は基本的に実在の地名・駅名です。主に千葉市の総武線沿線です。その辺りの地理に明るい人なら、舞台はあの辺か! と思っていただけるかと思います。
構想と執筆は三週間ずつ、推敲はゆっくり二カ月半+今回の連載に向けて加筆修正をちまちま一カ月ほどやりました。
前から連載枠で参加したいとは思ってたんですが、連載枠なら連載にふさわしい形の作品でやりたかったんですね。というわけで、月刊での連載をかなり意識した造りにしたつもりです。
ブログ、公式サイト、Twitter、Facebook、Google+、でんでんランディングページなどなど使えるものはひととおり使っている感じです。
あと、人に会ったときにQRコード付きのチラシや名刺を渡したりもしています。QRコードむちゃくちゃ便利です。会話ついでに、スマホでピロンと読み取ってもらえるのはすごくいいです。ちなみにQRコードを読み取るとでんでんランディーグページが開くようになっています。
方言が使えないことです。
今作でも大阪弁をしゃべるキャラが出てくるのですが、大阪弁辞典などを見つつ見よう見まねで書いているのできっと校正で大量の赤が……(すみません)。
ちなみに千葉弁もあるので調べてみましたが、自分はほとんど使っていませんでした。唯一使ってるなーと思ったのが「青なじみ」だったんですが、千葉・茨城の方言だとか。「青あざ」のことです。
三月になったら、私が主催・編集をやっているアンソロジー短編集『わーくしょっぷ』シリーズの第四巻を個人出版で発売する予定です。三月なので、テーマは「卒業」です。
最新情報はブログや公式サイト、Twitterでアップしています。よかったら覗いてみてください。
連載は全部で五回になります。ギソウクラブの面々が何に悩み何を偽装しているのか、が一話ずつ明るみになっていきます。大きな事件が起こるお話ではありませんが、高校、サークルという狭い世界の中だからこそ起こりえるようなお話になっているかと思います。
ぜひ最後までお読みいただけましたら嬉しいです。
日本独立作家同盟は、インディーズ出版分野で活動する会員相互の協力により、伝統的手法では出版困難な作品の企画・編集・制作支援などを通じて品質向上を図り、著者の育成と知名度向上・作品の頒布を促進し、読者と著者のコミュニケーションを活性化することで、多種多様な出版文化の振興に貢献します。
http://www.allianceindependentauthors.jp/
2015年2月20日 発行 初版
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