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「親愛なる」

東京TDC賞2015
RGB賞 受賞記念
メイルインタビュー

type.center



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Subject: 「親愛なる」メイルインタビュー依頼
Date: Wed, 4 Mar 2015 18:02:52 +0900 (JST)

From: type.center より 塚田哲也


いとうせいこう様、伊藤ガビン様、いすたえこ様、ucnv様、BCCKS御中

こんにちは。大日本タイポ組合の塚田といいます。
3月とはいえまだ寒空の東京からメイルを送ります。
この度は「親愛なる」東京TDCのRGB賞を受賞したとのこと、おめでとうございます。

僕ら大日本タイポ組合はちょうど今回のTDC審査員をやったのですが、RGB部門の審査は別だったので、最終段階で「親愛なる」が出てきたときには、あー! と叫んでしまいました。あぁ、そうだよなー。紙の本だけどRGB部門かー、正直やられたなぁという悔しさと、ふしぎな納得感とが相俟った声でした。

さて、当方、type.centerという文字に関したサイトを去年の10月から開始していまして、当然TDCについても記事を掲載していきたいと思っているのですが、そのひとつとして、「親愛なる」のスタッフの皆さんにもお話をきけたらと思うのです。

だけど、ふつうのインタビューは、おそらく他のデザイン誌とかでひっぱりだこでしょう? 
ふつうのインタビューというがどういうものか、という話はありますが。
それで、type.centerからのインタビューは、このメイルを使って行うのはどうだろう、と。
「親愛なる」はメイルの誤配(?)をきっかけにそのやりとりから物語が展開し、それが一篇にまとまって今回BCCKS上に置かれました。
今回のこのインタビューも、そんなふうにメイルによってやりとりし、それをまとめてBCCKS上に置いてはどうだろうか、と思ったのですね。
再度書きおこす必要もないから、楽かもしれない、というのは今気付きました。

とはいえこれがはたしてうまくいくかどうか、さっぱり分かりません。
単に受賞のことばだけもらうだけでもじゅうぶんかもしれないし、裏話がきけるかもしれないし、あるいは全然別の物語がはじまるかもしれないし、そもそも返事をもらえないかもしれない。それでも送ってみています。

親愛なるいとうせいこう様、伊藤ガビン様、いすたえこ様、ucnv様、BCCKS御中
このメイルの送信先に書かれている貴方がたのアドレスは合ってますか?




塚田哲也拝
 Sincerely yours, Tetsuya Tsukada

Subject: Re:「親愛なる」メイルインタビュー依頼
Date: Thu, 5 Mar 2015 16:44:25 +0900 (JST)

From: いとうせいこう


 ええと、作者のいとうです。
 問題は僕がRGB賞とはいったい何かを知らないことで、なんか紙の本なのに横文字三つの賞を獲るなんて面白い!とだけ思っております。
 きっと冴えた感じのことなのでは、と。

 作品はいつもリリースされると、まさに「リリース」されて解き放たれて他人の物になっていくのですが『親愛なる』は特にどの感覚が強く、ぼんやりと時と場所を越えていってくれている気がしてます。宇宙船を打ち上げてあとは知らないよ的な。そのかわり今日も新しい『親愛なる』が生まれているという確信もあります。

 以上でした。

seiko ito
   sincerely yours

Subject: Re:「親愛なる」メイルインタビュー依頼
Date: Fri, 6 Mar 2015 11:03:01 +0900 (JST)

From: 塚田哲也


親愛なるいとうさん
お返事ありがとうございます!

東京TDC(こちらも横文字三つですね)のカテゴリー規定によると
「RGB部門(ディスプレイ/モニターに表示することを前提に制作された作品。)」
となっていますが、モニターでは名前と住所を入力する程度で、あとは紙の本になるのを待って読み、と思えばふとしたタイミングでメイルが来たりしてモニターを眺める、みたいな、紙の本だけどRGBなのかこれ、というような気持ちだったのです。

そもそもRGB部門に応募しよう! と思いたって、実際に応募した方からのお話なんかももらえると、うれしいのですが。もうひとりの伊藤さんですかね。いすさんですかね。


塚田哲也拝
 Sincerely yours, Tetsuya Tsukada

Subject: Re:「親愛なる」メイルインタビュー依頼
Date: Tue, 24 Mar 2015 20:41:27 +0900 (JST)

From: 塚田哲也


親愛なる、みなさま

さて、「親愛なる」メイルインタビューですが、最終的にこういう風にして公開したいな、と思っていました。
↓こちらをご覧ください。

http://bccks.jp/bcck/133133/info


今は、ここまでのメイルのやりとりを掲載しています。
みなさんからのメイルでさらに充実したインタビュー集! となるといいな、と目論んでおったのですが。
はたしてどうでしょうね……。



塚田哲也拝
 Sincerely yours, Tetsuya Tsukada

Subject: Re:「親愛なる」メイルインタビュー依頼
Date: Sat, 28 Mar 2015 17:00:17 +0900 (JST)

From: 伊藤ガビン


塚田さん、こんにちは。

すいません自宅のUSロボティックスのモデム(通称ノンスメル)が調子悪くてお返事が遅れました。
NTTのMN-128SOHOに買い替えましたので、今後は専用線感覚でいつでもお返事できるかと思います。
という時代考証してない言い訳をもってお詫びに変えさせていただきたいと思います。

さて塚田さんより質問のありました
>そもそもRGB部門に応募しよう! と思いたって、
の件について、お答えさせていただきたいと思います。

そのまえに少し時間をいただいて洋服を着てもよいでしょうか。
春とはいえ夕方になるとまだまだ肌寒く、裸のままメイルを書き続けるのは正直厳しいです。
塚田さんがどうしてもというなら、このまま書き続けますが、どうでしょう?

Subject: Re:「親愛なる」メイルインタビュー依頼
Date: Sat, 28 Mar 2015 17:05:18 +0900 (JST)

From: 伊藤ガビン


お返事を待っている間に、寒さに耐えられず服を着てしまいましたことをお詫びいたします。

どうしてRGB部門に応募したか。
今日、お昼ごはんを食べたかどうかも思い出せないのに、そんなことを覚えているはずはありまして、はっきりと覚えていますので
そのことについて書きますね。

というかその前に、少しお酒をいただいてよろしいでしょうか。
どうも緊張してうまく話せそうもなくて……酔っ払わない程度にしますので。

Subject: Re:「親愛なる」メイルインタビュー依頼
Date: Sat, 28 Mar 2015 17:16:41 +0900 (JST)

From: 伊藤ガビン


お返事を待っている間にお酒を嗜んでしまったことを切腹をもってお詫びいたします。

さて、お腹から吹き出る血をみて思い出したので、RGBのRの部分からお話させていただきますね。

塚田さんもご存知のイベントに「インターネット闇市」というものがございますね。
インターネット上に100年続く秘密結社IDPWが主催?しているあのマーケットです。
あれって、なんかよくわからないけれど、インターネットっていいながら、オフラインじゃないですか。
蚤の市っていうか、フリーマーケットっていうか。
仕組みとしては、むかしながらの、ものすごく古臭いフォーマットですよね。

でもなんだかインターネットと言い張っていて、
そして確かに足を運んでみると、おお、これはインターネットだ、とか思うっていう。
屁理屈のようで、屁理屈じゃない。
なぜなら、インターネットを経由してからでないと生まれなかったようなものがあそこで売買されている。
その売買そのものも、なんかむかしながらのフリマとちょっとちがう。
基本的にブツを受け渡ししているにもかかわらず、体験としては「ダウンロード権」を買っているような。

なにいってるかご理解いただけますかね。

「親愛なる」をRGB部門に応募するっていうのも、これRGB的なもの(インターネットとか情報技術)を経なければ出てこなかった表現てことで、
そういう出来心で応募したような気がします。

でも、ここまで書いておいてなんですけど、RGB部門に応募するって僕が決めたんでしたっけね(笑)
決意した記憶をいま書いてみましたが、どうもそれ、今はじめて知ったような気もするんですよ。

ucnvさんが決めたような気もするし。
どうですかね、ucnv さん。

Subject: Re:「親愛なる」メイルインタビュー依頼
Date: Sat, 28 Mar 2015 17:25:11 +0900 (JST)

From: いとうせいこう


 あ、僕もはさまっていいですか?
 マックのOSがまだ10.6.8のままで、ファクス買い替えたら困ったことになってます。
 10.7をストアで買ってそこから上げようとしているのですがなかなか届かず。
 こういう場合はどうしたらいいのでしょう?
 RGBの皆様ならご存知かと。

Subject: Re:「親愛なる」メイルインタビュー依頼
Date: Sat, 28 Mar 2015 22:22:02 +0900 (JST)

From: 伊藤ガビン


なかなか届かずってコンテンツコードがですか?

Subject: Re:「親愛なる」メイルインタビュー依頼
Date: Mon, 30 Mar 2015 18:00:56 +0900 (JST)

From: 塚田哲也


お返事ありがとうございます!

いま出先ですので長文打てず。
勝手に盛り上がっていただけると助かります!

iPhoneから送信

Subject: Re:「親愛なる」メイルインタビュー依頼
Date: Mon, 30 Mar 2015 18:04:08 +0900 (JST)

From: 伊藤ガビン


では、時間もないことかと思いますので、
勝手に僕が聞きたいことを書きますと、
BCCKSのdotimpactさんは、そもそもこういう方面に明るいと思うのですが、
これ、たとえばドリーム小説とかと比べて、どうなんでしょう。

それと、今回はやろうと思えば、もっといろんな改変を加えることもできたわけじゃないですか。
そのへんについてなにか思ったことありますか。

#勝手に司会

Subject: Re:「親愛なる」メイルインタビュー依頼
Date: Mon, 30 Mar 2015 18:32:24 +0900 (JST)

From: 塚田哲也


dotimpactさんのお話、ぜひ聞きたいですねー

1997年のいとうせいこうさんの「黒やぎさんたら」での
パーソナル小説加減との比較とか、そんなところとか。

Mac miniより送信

Subject: Re:「親愛なる」メイルインタビュー依頼
Date: Mon, 30 Mar 2015 21:40:02 +0900 (JST)

From: 田中孝太郎


一応説明すると、「ドリーム小説(夢小説)」は物語の登場人物の名前を好きな(自分とか自分の好きなアイドルとかの)名前に変更して楽しめる小説を作るサービスですね。ゲームで言うといわゆる恋愛シミュレーションなんかには「実名プレイ」とか呼ばれるプレイスタイルがあって、そうすることでより感情移入できるのだという考えかたで行われているものです。

たしかにガビンさんに構想を聞いたときに上記のようなものはイメージしてたんですが、実際に(とくに紙の本が)出来上がってみると、ドリーム小説のようなものとはかなり違うものになったんじゃないかと思いました。つまり、現実から離れてより物語に没入するための仕掛けとしてドリーム小説や「実名プレイ」があるとすると、「親愛なる」は自分のパーソナルな情報を通じて物語が現実に侵食してくるようなものになったんだなと。

それは97年のせいこうさんの小説ですでに仕込まれたことでもあったのでしょうけども、「ある日自分の名前が印刷された1冊の本が届く」という出来事そのものの物語性もあったかもしれません。

とりあえず思いつくままに書いてみました。
改変の塩梅についてはまた思いついたら追記したいですが、ucnvさんにも聞いてみたいです。

Subject: Re:「親愛なる」メイルインタビュー依頼
Date: Wed, 1 Apr 2015 09:04:03 +0900 (JST)

From: ucnv


ucnvです。
パーソナライズのパラメータ的には、1997年の『黒やぎさんたら』より少なくなっています。
最初、せいこうさんから『黒やぎさんたら』のリメイクという提案をもらったときは、当然TwitterなどのSNSをからませたウェブ版やメール版、といったインターネット上で完結するアイデアがまずありました。
ただ、それでは、パーソナライズ小説と言われて想像したものと同程度の体験しか作り出せないのではないか、とけっこう悩んだわけです。
そこで、われわれは「紙の」パーソナライズ小説というよくわからない体験をつくることに決めました。
そうしたとき、狙いの質が変わり、パラメータの多さはもはや重要ではなくなった。
むしろ、注文段階で好きな食べ物とかを聞いたとして、それが本文のどこかに挿入されることはすぐバレるわけで、そういう予測をなるべくされたくないという意図もありました。
なので、聞くのは最低限の個人情報、そして注文フォームの内容だけ、ということになったわけです。

ちなみに、ぼくはウェブ上で完結するようなシステムを構築する役割でこのチームに入ったのですが、結局、形式は出版となり諸々のシステムは
dotimpactさんをはじめとしたBCCKSチームにお任せしてしまったので、ぼくは実は何もしておりません。
RGB部門に応募するのを決めたのもぼくじゃなくて、いすさんだった気が

Subject: Re:「親愛なる」メイルインタビュー依頼
Date: Wed, 1 Apr 2015 17:55:31 +0900 (JST)

From: いすたえこ


いすです

そうなんです。
締切の2日前に急に「親愛なる」をTDCに応募しよう!と思い立って
いろいろと関係者のみなさんに連絡を取って
ギリギリまにあったというかんじでした。

RGB部門は2012年に
□□□(クチロロ)の7thアルバム「CD」のジャケット、特設ウェブサイトなど一連のアートワーク
で賞をいただいて
そのときにデザインそのものだけではなく
そのときに起こった現象を評価していただいたイメージが強く

今回もまさにいろいろな現象があちこちにおこったことが面白かったので
ここをみていただけるのはRGB部門しかない!とおもって
応募いたしました。

余談ですが
「親愛なる」をつくっている途中段階で
せいこうさんが「出版革命です!」
とtwitterでつぶやいてくれたのですが
それをみたガビンさんが
まだ革命できてない。。。と悩んでしまい
半年以上企画を寝かせることに。。。


しかし!
いろいろなタイミングで
結果すごくいい時期に発表できたとおもいます!!!

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NNNNY
いすたえこ

Subject: Re:「親愛なる」メイルインタビュー依頼
Date: Wed, 1 Apr 2015 19:13:20 +0900 (JST)

From: 塚田哲也


> 締切の2日前に急に「親愛なる」をTDCに応募しよう!と思い立って

すごい! あいかわらずのギリギリ進行w

出版革命、待ちましたよ。。。


ところで装幀に関してなんですが、この本は表紙が宛名じゃないですか。
本の中身に個人情報が反映されているだけならともかく、
それが表紙にまで及んでいて、
実際に届いた本をみて衝撃ではあるんだけど、twitterとかfacebookに
あまりにも個人情報すぎる表紙を載せることができないっていう事態がおきました。
こうなるだろうなって、予想はしていましたか?
装幀のアイデアについても、なにかあったら教えてください。

つかだ

Quadra800から送信

Subject: Re:「親愛なる」メイルインタビュー依頼
Date: Wed, 1 Apr 2015 19:21:59 +0900 (JST)

From: 伊藤ガビン


装丁内です #グッドデザイソ

Subject: Re:「親愛なる」メイルインタビュー依頼
Date: Wed, 1 Apr 2015 19:29:09 +0900 (JST)

From: 伊藤ガビン


装幀に関してですが、
このへんも記憶があいまいなのですが、
まあ、とにかく、表紙ははがきの宛名みたいなヤツでしょう! ってなったんですよ。
誰が最初にいったっけね。。

アイデアとしては、
「ある日突然、この本が裸のままポストに入っている」
だったんですよね。

デザインは、プロトをいすさんと作って
松本さんにさらにリファインしてもらってみたいなプロセスでした。

裸、とは言わないまでも、宛名書きが宛名書きとして機能する方法は
いろいろと試行錯誤してもらって、
試作しましたよね。
あれって写真あったりしますかね。
僕も探してみますが。

Subject: Re:「親愛なる」メイルインタビュー依頼
Date: Thu, 02 Apr 2015 20:26:55 +0900 (JST)

From: Midori Arai@BCCKS


試作の写真ありました!
添付します。

書籍を段ボールで囲んで、その上からビニールで包んであります。

BCCKS 新井

Subject: Re:「親愛なる」メイルインタビュー依頼
Date: Mon, 6 Apr 2015 15:59:47 +0900 (JST)

From: 伊藤ガビン


これドッパックさんがまとめてくれたやつ。
おもしろかったス。

http://text-perforation.doppac.cc/2015/04/03/201504/shinai-naru-tokyotdc-rgb-prize/

いまごろいろいろ思い出してきたですよ。

あとですね、印刷とか、プリント関係のこと
僕よくわからないので、そのへんこの誰か教えてほしいなーと思いました。

Subject: Re:「親愛なる」メイルインタビュー依頼
Date: Mon, 6 Apr 2015 16:41:23 +0900 (JST)

From: いとうせいこう


めちゃくちゃ。

Subject: Re:「親愛なる」メイルインタビュー依頼
Date: Tue, 7 Apr 2015 17:16:37 +0900 (JST)

From: 塚田哲也


先日のTDC DAY、おつかれさまでした!
あのトークのためにも、このメイルインタビュー役立ったんじゃないかと思うんですけども。
トークでは語りきれないところとかあれば、バシバシ送っていただければ随時載せますんで。
いったん現状のところまで、公開しますね。告知とか明日かなー

http://bccks.jp/bcck/133133/info

と・い・う・か。
『親愛なる』TDCバージョンの告知とか、ここでしたほうがよくないすか。
僕が言うのもなんなんですがw







おそらく続きます。
おたのしみに!

「親愛なる」東京TDC賞2015 RGB賞受賞記念メイルインタビュー

2015年3月24日 発行 初版

著  者:type.center
発  行:type.center出版

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