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── スウィート&ビターな恋愛連作、第二弾!

フーチー・クーチー・マン
(サンプル版)

ヘリベマルヲ

日本独立作家同盟

作品概要

 もしおれが教師で、女子生徒に強姦されたら吐くと思う。逆に加害者だと思われるから。あとおれの爺さんはかっこよかった。なんでおれはかっこよくないんだろう。二百字ってむずかしいね。こんなんでいいすか。本文読んだほう早いよ。

悪魔とドライヴ フーチー・クーチー・マン

 獄門島ちありのことなら周世将太は何でもわかると思っていた。まるで兄妹のようにずっと一緒に育ったのだ。ある晴れた午後、獄門島家の若奥様に、公園のジャングルジムで遊んでいるところを捕まえられ、うちの娘をよろしくねと頼まれたのを鮮やかに記憶している。見込まれた理由はわからない。市内を見下ろす金持ち住宅街と、丘のふもとの安アパートに接点があろうはずもないし、貧しい母子家庭の子として、それ以上にやんちゃを自認するいち男子として、金持ちの女子の家に気安く出入りするのは自尊心が許さぬはずだった。いくらお菓子や玩具を餌に釣られようともだ。まさか互いの家で夕食をとり風呂に入り、テレビを見たりゲームをしたりするような生活が日常となるとは、そのときの彼には思いもよらなかった。いま思えばあの午後の若奥様は、娘を残していなくなることをすでに考えていたのかもしれない。
 若奥様はかつてモデルだったとも舞台女優だったとも噂されていた。何かの事情で東京を離れ、夜の店で働いているところを、先妻を病気で亡くした獄門島家当主に見初められたという。ジャングルジムから降りて見上げると逆光で後光が射したように映った。子ども心にも美しかった。連れ子のちありは顔立ちこそ整っていたが、母親のような魅力的な輝きはないように思えた。どうして若奥様みたいにハキハキ喋らないんだろう、どうしてそんなに引っ込み思案で、何をやらせても愚図なんだろうと苛立たしかった。
 無口で陰気で感情の表出に乏しく、いつもひとり遊びをしているちありは、幼稚園でも小学校でもいつも苛められていた。本人は気にしていないらしく、どれだけ傷つけられようが無頓着に見えた。現実にうんざりしながら別の世界を見ているかのようだった。それが将太には癇に障った。若奥様に気に入られたい気持を別にすれば、あるいはその苛立ちが動機となったのかもしれない。ちありが髪をひっぱられたり突き飛ばされたり陰口を利かれたりするたび、将太はむきになって彼女を庇った。暴力をふるう男子は三倍にして返り討ちにした。女子の陰口にも腕力でやり返し、学校に母親を呼び出されてしこたま説教されたりもした。仕事を休んで頭を下げる母親は自分を責めた。そんなときも将太は一切謝罪も弁解もしなかった。いいわけをするのは女々しいと思っていた。
 殴り合いの喧嘩はむしろ男子の友情を深めもしたが、女子の陰湿さには手を焼いた。制裁を加えれば自分の見ていないところで苛めが熾烈になるだけだった。どうにもならなかった。しかし小学校高学年になると女子は将太に逆らわなくなった。ちありへの攻撃も沈静化した。将太は自分の前でだけは女たちがやけにしおらしくなるのに気づいた。大股ひらいて口汚く悪態をつきながらゲラゲラ笑っていたかと思うと、スイッチを切り替えたかのように内股で小声で上目遣いとなる。接する相手によってまるで呼吸するように態度を変えるのが女なのだと知った。だれに対しても無愛想なちありは、やはり変わっているのだろうと将太は思った。


※サンプルはここまでです。続いてインタビューをご覧ください。

ヘリベマルヲさんへのインタビュー

── まず簡単に自己紹介をお願いします

 インディーズ作家。NPO法人日本独立作家同盟正会員申込者第一号。最新作『ガラスの泡』。キャッチコピーは作品読んでないやつが適当につけるべき派。39歳独身。

◆サイト:『人格OverDrive』
http://heribe-maruo.com/
(「インディーズ小説」で検索!)

── この作品を制作したきっかけを教えてください

 つづきを書いたら載せてもらえると思った。

── この作品の制作にあたって影響を受けた作家や作品を教えてください

 ヘリベマルヲ『ビッチェズ・ブリュー』(『月刊群雛』2014年12月号掲載)

── この作品のターゲットはどんな人ですか

 あなた。

── この作品の制作にはどれくらい時間がかかりましたか

 忘れた。

── 作品の宣伝はどのような手段を用いていますか

 『月刊群雛』に載せてもらう。

── 作品を制作する上で困っていることは何ですか

 書くために自分をOKだと思いたい。その逆をするやつばかりだ。あと最低限のリアリティを確保するための協力者がほしい。

── 注目している作家またはお気に入り作品を教えてください

 ヘリベマルヲ『悪魔とドライヴ』。

── 今後の活動予定や目標を教えてください

 もうちょっと社会性を身につけたい。なるべくだれとも関わりたくない。

── 最後に、読者へ向けて一言お願いします

 おれの本は全部無料ただだよ(一部ストア除く)。

日本独立作家同盟

 日本独立作家同盟は、インディーズ出版分野で活動する会員相互の協力により、伝統的手法では出版困難な作品の企画・編集・制作支援などを通じて品質向上を図り、著者の育成と知名度向上・作品の頒布を促進し、読者と著者のコミュニケーションを活性化することで、多種多様な出版文化の振興に貢献します。
http://www.allianceindependentauthors.jp/

フーチー・クーチー・マン(サンプル版)

2015年3月25日 発行 初版

著  者:ヘリベマルヲ
発  行:日本独立作家同盟

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