── 自転車マラソンに挑戦した乙女の奇跡
〈読み切り小説〉
ブルベという自転車ロングライド競技に初心者の女の子が参加することに。しかし、そもそもの動機がちょっぴり邪。はたしてそんな彼女が過酷な競技を完走することができるのか? はたまた、邪な野望は達成することができるのでしょうか?
「はぁ、はぁ。はぁ、はぁ……。」
薄闇の中、二人の熱い息遣いがひびく。
あぁ、もうだめ、耐えらんない。
「お尻痛ぁーい!」
思わず叫ぶ私に
「早苗っ、ちゃん! 女の子、なんだから、言葉、もう少し、気をつけなさい、ね!」後ろから、やはり荒い息の亜里沙お姉さまが答える。
「ちゃんと、『お』を、つけました、よぉーぅ」
「そういう、問題じゃない、でしょう!」
「もー、お姉さまったら厳しいー。それより、後ろばっかズルイです、たまには前のほう、お願いします」
「そ、そうね、じゃ、前に回るわね、よっこらしょっと」
「姉さま、こそ、お年寄り、みたいですよ」
「うるさい、わね! もうっ! 前来たわよ、これでどう?」
「ああ、いい感じです。しあわせー」
もちろん、これは自転車のお話である。
札幌近郊、桂沢湖への坂道を自転車で登る一人の自称美少女がいた(主人公、大塚早苗。歳は秘密)。
山に入るまでは前に別の車影が見えていたのだが、ゆるい登りになったとたん引き離され、気づけば完全に孤立してしまっていた。
「みんな速すぎ! これ、レースじゃなくてサイクリングイベントじゃなかったの?」
最近覚えた高等テクニック、〝走りながら水を飲む〟を実践しながら、ぎりぎりと重くなるペダルを踏み下ろし、歩くような速度でカーブを抜ける。その先の直線で今度こそ誰かが見えると思ったが誰もいない。
「もう、やめて帰っちゃおっかな……」
何度目かのつぶやきをもらし、ふと前方を見ると、荒れた路肩に紫の布が落ちていた。
休憩の口実に自転車をとめ、手に取ると女性用アームカバーだった。ジオラインと書いてある。モンベルというアウトドアブランドの製品らしい。
そういえばスタート時に全身モンベルで固めた奥様(紫の服の女、早苗命名)がいたのを思い出す。ご夫婦で参加の風情。
きっとあの優しそうな旦那さんとデートしながらがいちゃいちゃ選んで買ってくれたんだ。ふとわいたジェラシーが早苗の心をかき乱す。
このまま捨てていこうかとも思いつつ、拾っちゃったからしかたないとジャージの後ろポケットにしまい込む。
自転車用ジャージのポケットは背中側にあるのだ。
ともあれ、他の参加者には置いて行かれてしまったが、少なくとも道は間違っていないらしい。
早苗は手がかりを見つけた探偵のような気分になりながら、あらためてゆるい登坂に挑む。
※サンプルはここまでです。続いてインタビューをご覧ください。
名前:神楽坂らせん / (ふりがな)かぐらざか・らせん
https://plus.google.com/105106999084079383977/
Google+の『本が好き』コミュニティの管理人をしています。同コミュニティの紹介文を集めてKindleストアで販売しているほか、『月刊群雛』生まれの『ファンタジー世界構築のための質問リスト〈完全版〉』も好評発売中!
ようやく完成したアマチュア作家さん向けの創作ガイド『らせん式ドラマロジー入門』や、同書からのスピンアウトでyWriterという小説向けのエディタソフトのガイドブックもBCCKSで電子書籍として販売しております。ご興味ありましたら立ち読みでもどうぞ♪
自画像は仲良しのGoogle+ユーザ、樫津りんご(かしづ・りんご)さんに描いてもらいました。
昨年からあたためていた内容で、実は中編になる予定でした。今回、『月刊群雛』の募集に別のコラボ作品で応募するつもりだったのですが、直前に枠が締め切られてしまったため、急遽中編を削りに削って短編に仕立て直しました。
米津一成(よねず・かずなり)先生の『追い風ライダー』です。
自転車好きなら是非読んでみてください。ブルベのことも書かれてますよー。
自転車が好きな人、女の子どうしのキャッキャウフフが読みたい方。
全体の執筆は3カ月ぐらいですが、短編へのまとめ直しには4日ぐらいです。
主にGoogle+で告知しています。
今回困ったのは『月刊群雛』の短編枠が4枠になってしまったことですね。初参加者への枠を設けることは良いことですし、早い者勝ちなのも勿論しかたがないのですけど、4枠は短編書きにはなかなかに狭き門!(今回は募集開始後30分程度で埋まってしまった!)さらに文章と絵のコラボだとまとめて2枠を占有することになってしまうので、次回以降もコラボだと掲載は難しいかしらと、新作の公開方法について少し悩んでいます。
晴海まどか(はるみ・まどか)先生
M☆A☆S☆H(まっしゅ)先生
小林不詳(こばやし・ふしょう)先生
本作は妹視点なのですが、まとめている間に姉視点のお話もできそうな気がしてきました。原稿アップ後のハイテンションでこのまま別視点版も書いてしまうかもしれません(汗)
ブルベという競技は本当にありますが、もちろん本作に登場する人名・店名・地域名・商標・ブランド名・イベント名等はすべて架空のものです。なんとなく似たものがあっても現実とはいっさい関係ありませんのでご了承ください。
さてさて、ずっと書きたいと思っていたキャッキャウフフ話です(笑)。
書いていてとても楽しかったので、読者の皆様にも楽しんでいただければ幸いです。
日本独立作家同盟は、インディーズ出版分野で活動する会員相互の協力により、伝統的手法では出版困難な作品の企画・編集・制作支援などを通じて品質向上を図り、著者の育成と知名度向上・作品の頒布を促進し、読者と著者のコミュニケーションを活性化することで、多種多様な出版文化の振興に貢献します。
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2015年4月25日 発行 初版
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