── いつも二人で一緒にギソウ☆
〈連載小説・第3回〉
「技術創造クラブ」、略して「ギソウクラブ」という怪しい名前のサークルに所属する高校生の青春群像劇です。ギソウクラブなだけに、みんながちょっとずつ何かを偽装しています。
一話ずつ語り手が変わる『ギソウクラブ』、第三話の主人公はギソウクラブ二年生、双子のトゴシーズ(戸越姉妹)の片割れ、戸越歌奈です。
いつでもどこでも一緒にいる双子の歌奈と紗奈。まったく区別がつかないことをむしろよしとしてきた歌奈だったのに、ある日、下駄箱に入れられていたお菓子のせいで波紋が生じて……というお話です。
『ギソウクラブ』は、毎話毎話、語り手のキャラに合わせて文体を変えています。第二話の関西弁もがんばりましたが、この第三話もなかなかがんばっているので、その辺りを同じ標準語の女子の語りである第一話などと比べてみていただけるとより嬉しいです。
◆第一話 理想の ……山桜りるは (『月刊群雛』2015年03月号 掲載)
技術創造クラブことギソウクラブの会長、向ヶ丘と山桜りるはは学校でも有名なカップルだったが、その実態は付き合っているフリをしているだけのギソウカップルである。
◆第二話 本音の ……崎守美羽 (『月刊群雛』2015年05月号 掲載)
そんなギソウカップルに苛立ちを隠せないのが、ギソウクラブ一年生の崎守美羽。美羽は二人の動向が気になって仕方がない。そしてとうとう、りるはのことが好きなんだとカミングアウトする。
「あたしが好きなんはなぁ、りるは先輩や」
美羽ちんの爆弾発言に、さすがのギソウクラブ面々も凍りつく──
わけがない。
「何それ、お前、俺に全然興味ないってこと?」
ギソウクラブ会長、恭ちんは真っ先にそれを言うんかいって突っ込みを入れ、
「えぇぇぇ!」
かわいい後輩、なぎちゃんはただただ目を丸くしていて、
「「きゃー、びっくりー」」
と私と紗奈は声を揃えた。
衝撃の告白をした美羽ちんはいつもどおりヒョーヒョーとしていて、「残念でしたなぁ」と恭ちんをじと目で睨んだりしている。
美羽ちんはなかなかに頭がいい。「あたし、空気読めへんキャラなんで」とかよく言ってるけど、多分、読む気がないだけだろーな。今にしたって、私たちのこーゆー反応を予想してたに違いない。
隣の紗奈と顔を見合わせた。見慣れた私と同じ顔。いつもいたずらを考えていそうって誰かに言われたこともある、紗奈の猫目はにんまりしてる。ってことはつまり、私も今、同じカオをしてるってわけだ。
「いーないーなー」
※サンプルはここまでです。続いてインタビューをご覧ください。
晴海まどか(はるみ・まどか)です。
自分の高校時代を振り返って若干後悔していることといえば、ルーズソックスを履かなかったことです。あの頃はあえて流行に乗らない自分、みたいなものを固持していたんですが、高校時代にしか履けないものは素直に履いときゃよかったなぁ、などと今さら思うのでした。
好きなものはムーミンと椎名林檎(しいな・りんご)、趣味は音楽活動です。
二〇一四年三月に、『明日が雨でも晴れでも』という作品で、ライブドアブログ×impress QuickBooks主催の『ライトなラノベコンテスト』にて特別賞をいただきました。
◆『明日が雨でも晴れでも』:http://suny-or-rainy.tumblr.com/
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◆『髪の毛探偵 石神くん』1巻:http://ishigami1.tumblr.com/
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◆ブログ:『原点回帰―Running possible―』
http://mfineocean.blog98.fc2.com/
◆Twitter(@harumima)
https://twitter.com/harumima
双子のお話といえば! ちょっと古い少女漫画ですが、秋元奈美(あきもと・なみ)さんの『ミラクル☆ガールズ』ですね。タイプ違うのにツーカーだし仲良しだしいいなぁ、なんて思いつつ読んでました(二十年くらい前に)。今作ではタイプが同じだけど仲が良い双子の話になっています。
昔女子高生だった人、高校時代とかの学生時代のキャッキャした感じを追体験したい人に。
高校時代がどんどん遠ざかっているここ最近ですが、あの時代特有の感覚とか世界の狭さとか、そういうものを思い起こしてしまうようなものを書きたいなぁと思っています。
作品全体としては三カ月程度ですが、かかった時間は章によってバラツキがあります。関西弁に書き直した第二話も時間かかってるんですが、同じかそれ以上に時間がかかっているのがこの第三話です。
第三話は書いては輪郭を丸くして~みたいな感じで推敲を繰り返して、どんどん言葉を柔らかくしていきました。小難しいことを考えないキャラが語り手なので、ひらがなの割合も多いし、何より難しめの表現は使わないように意識しました。
今作にはあんまり関係ないんですが、最近困ったのが、運動部のことがよくわからないことです。基本的に文化部な学生時代を送ってきたので、運動部の大会の仕組みとかがよくわかりません。インターハイって何? レベルでピンときてなくて、運動部が舞台のお話を書こうと思ったときにそこから頓挫してしまって宙に浮いてます。
最近、イギリスのダークファンタジー児童文学『ダレン・シャン』シリーズを読み始めました。全十二巻で先が長いですが面白いです。
すでに全作読んでいる『ハリー・ポッター』シリーズも共通して言えるのですが、どちらも主要登場人物が呆気なく死んだり、主人公も過酷な運命にさらされたりと、登場人物に対して容赦がありません。そういう容赦のなさみたいなものも取り込めるようになりたいです。
日々小説を書きたいです。とりあえず、友人たちと作っているアンソロジー短編集の第五弾を夏に出すつもりです。このほかに個人出版で出したい作品もあるんですが、そっちはちまちま進めているので多分冬近くでしょうか。
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早いもので連載は残り二回です。第四話は第一話からずっと読んでいただけていると「え?」っとなる部分があるんじゃないかなーと思っているので、ぜひ引き続きよろしくお願いします。
あと、次の第四話の主な舞台は、JR総武線の駅でもある津田沼駅周辺です。千葉市界隈の方にあの辺か! と思ってもらえたら嬉しいなぁと思います。
日本独立作家同盟は、インディーズ出版分野で活動する会員相互の協力により、伝統的手法では出版困難な作品の企画・編集・制作支援などを通じて品質向上を図り、著者の育成と知名度向上・作品の頒布を促進し、読者と著者のコミュニケーションを活性化することで、多種多様な出版文化の振興に貢献します。
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2015年5月24日 発行 初版
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