── トースター? いや、ポースター。
〈読切小説〉
壊れたモノの〝モノ語り〟
壊れたモノからどんな物語が生まれるのか。
そんなテーマで書いたショートショートを集めた電子書籍『ポンコツ×ショート』を先日発行致しました。本作はその『ポンコツ×ショート』未収録の新作になります。
今回に登場する〝モノ〟は、トースター。いや、ポースター。
駅前でタダで配られているというトースター。いや、ポースターの秘密とは?
ちょっぴり未来で、ちょっぴりノスタルジックなショートショートとなっております。
「ああ、トースターなら駅前に行ったらタダで配ってるぜ」
家のトースターが不調なので安くトースターを手に入れられないかと友人に言ったら、こんな答えが返ってきた。普段テレビをあまり見ないので知らなかったが、ちょっと話題になっていると言う。しかしポケットティッシュじゃあるまいし、タダで配って何の効果があるというのか。
「もらったら分かるさ」
友人には詳しく教えてもらえなかった。中途半端な情報を元に、おれは駅前にやってきた。
ユニフォームを着た若い女性が、トースターを抱えて声を張り上げていた。
「ポースター。無料でーす。ご自由にお持ち帰りくださーい」
「トースターください」
「はいどうぞー。ポースターでーす。取扱説明書をよく読んでご使用くださーい」
この時は全然気づいていなかった。思えば彼女はちゃんと「ポースター」と言っていた。
家に持ち帰り箱を開ける。中から出てきたのは、昔懐かしいトースター。焼きあがると「チン」と食パンが跳ね上がるやつだ。スロットは二つ。名前はたしかポップアップトースター。それを略してポースターなのか。
おれは古いトースターを撤去し、ポースターを備え付けた。
一度試しにと食パンを一枚焼こうとするが、どうにもこうにも動かない。
トースターごときで取説を読むのもしゃくだがしょうがない。箱から取り出して開いてみた。
そこにはこうあった。
《 STEP1 インターネットにつなぎましょう 》
はて。
トースターをインターネットに?
一度首をかしげた後、書かれた順に従ってポースターをネットに接続した。側面に緑色のLEDが点灯している。
食パンを入れてレバーを下げる。
今度は正常に動き出した。
数分後、「チン」と音が鳴り、食パンは奇妙な姿で現れた。
【 ポースターへようこそ 】
焼き目で綺麗に文字が書かれていた。
頭から疑問符も飛び出たが、おれは香ばしい匂いに我慢できず、そのまま腹へと収めた。
意味が分かったのは次の日からだ。
※サンプルはここまでです。続いてインタビューをご覧ください。
くにさきたすくです。電子ショートショート作家と名乗っています。
ネットにショートショートを上げたり、ショートショートの電子書籍を発行したり、掌編公募に応募して最優秀をとったり、佳作だったり、落選したりしてます。
『ショートショート研究会』に所属しております。
電子書籍は二冊発行しております。どちらもショートショート集です。
『空論オンパレード』
http://kuron-onparade.tumblr.com/
『ポンコツ×ショート』
http://ponkotsu-short.tumblr.com/
◆ブログ:『ショートショート+』
http://taskuni.hatenablog.com/
◆Twitter:
https://twitter.com/taskuni/
『月刊群雛』参加者募集のお知らせを頂き、掌編枠があることを知り、勢いで参加&執筆しました。
この作品が良い広告として働いてくれればいいなと思います。
ショートショートが好きな方。
ちょっと未来をのぞきながら、ちょっとノスタルジックを感じたい方に。
主にツイッターとブログです。
ツイッターでは『#何の日広告』というのをやってます。毎朝7時1ツイートの広告です。
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とにかくショートショート(掌編)にこだわって書いていきます。今年中にもう一冊電子書籍を発行できればいいなと思っています。
また、『ショートショート研究会』では、チャットやグループウェア(サイボウズLive)を使って毎日情報交換を行っています。メンバーがアイデアを出し合って、ショートショートを使って面白い企画ができないかを模索中です。
ショートショートの楽しさが少しでも伝わったらいいなと思います。
NPO法人日本独立作家同盟は、文筆や漫画などの作品を、自らの力で電子書籍などのパッケージにして世に送り出している、インディーズ作家の活動を応援する団体です。伝統的な出版手法である、出版社から取次を経て書店に書籍を並べる商業出版「以外」の手段、すなわち、セルフパブリッシング(自己出版)によって自らの作品を世に送り出す・送り出そうとしている方々をサポート対象としています。
当法人の活動目的は、誰もが情報発信者になれる時代における、作家や作品の知名度向上(Promotion)、作品の品質向上(Quality)、作家と読者のコミュニケーション活性化(Communication)などを促進することにより、多種多様な出版文化の振興に貢献することです。情報交換や交流などを目的としたコミュニティの運営、インディーズ作家を応援するマガジン『月刊群雛』の発行、ウェブメディア『群雛ポータル』によるセルフパブリッシング関連の情報発信、勉強会やセミナーの運営などの事業を行っています。詳細は、公式サイトの[法人概要]をご覧ください。
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2015年6月26日 発行 初版
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