この本はタチヨミ版です。
── 第一話からずっとギソウしてました。〈連載小説+扉絵・第4回〉
── 遭難した宇宙船。商人たちに救助は来ない。〈連載小説・第1回〉
── Wordから5分で電子出版
〈ゲストコラム〉
鎌田純子(株式会社ボイジャー 代表取締役社長)
独立作家から商業作家に転身した藤井太洋さんは、二〇一五年五月に行われたNPO法人日本独立作家同盟主催の講演の中でこう話しています。
独立作家にはゼロ号読者である編集者がいませんので、自分自身で読む必要があります。そのときに少しでも書いた記憶を追い出すために、別のフォーマットに変えてしまうのは効果的です。
私は横書きのエディターで書いて、縦書で印刷して、紙の上で赤ペンを持ってやることにしています。
『電子出版、独立作家の執筆・出版手法―日本独立作家同盟 第一回セミナー〈藤井太洋 講演録〉』(二〇一五)藤井太洋・仲俣暁生・鷹野凌 ボイジャー
その通りだと思いました。手書きの原稿がワープロの出力となっただけで格段に推敲しやすくなった経験は誰にでもあります。同時に私は次の言葉にドキッとしました。
独立作家の場合は、電子書籍が主な媒体になります。《略》
iPhoneは見開きの四分の一も見えない。細いスリットから本を覗く感じです。専用ビューアであるKindleのペーパーホワイトは、片方のページ程度だと思っている人が多いかもしれませんが、実は半ページ程度です。iPadだとやっと、三分の二から五分の三くらいです。こういうリーダーの中で文章を見せなければならないのです。
藤井さんが説くように、独立作家が主に触れる媒体はおそらく電子でしょう。そして電子本を読むハードウェアの差は実際複雑です。どうにかしてこの差を把握し原稿に反映させねば作品が完成しません。売られている電子本を見ればわかるかというと、実はそうでもないのです。二〇一二年の電子出版元年以来、電子本のファイル形式がEPUB 3に統一されたことで大手出版社も紙本の発売と同時に電子出版を行うようになりました。電子本の出版点数も伸びてきました。しかしこの種の電子本は紙の書籍をそのまま電子化したもので、欧米ではプリント・アンダー・グラス(印刷本をわざわざガラス越しに見ている)と呼ばれるほどです。新しい媒体をふまえて作られたものではありませんので、反面教師的な存在に近いといえます。
読者は電子本をスマートフォンやタブレットで見るのですから、推敲の過程でも読者と同じように見る方がいいのです。数年前はこれを実現することは、電子出版関係の技術者でも一筋縄ではいかず難しいことでした。今はiPhoneでもAndroidでも標準的なビューアが揃っていますから大丈夫です。画面サイズの違う端末で自ら読み直すことができます。
違うフォームで推敲するのは良い原稿への近道です。ここでは推敲にも役立つサービスの一例として株式会社ボイジャーが開発した「ロマンサー」を紹介させてください。ロマンサー以外にもEPUBファイル制作サービスは複数ありますので、いざ原稿が完成して出版というときに慌てないよういろいろ試しておくといいと思います。
タチヨミ版はここまでとなります。
2015年6月30日 発行 初版
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NPO法人日本独立作家同盟は、文筆や漫画などの作品を、自らの力で電子書籍などのパッケージにして世に送り出している、インディーズ作家の活動を応援する団体です。伝統的な出版手法である、出版社から取次を経て書店に書籍を並べる商業出版「以外」の手段、すなわち、セルフパブリッシング(自己出版)によって自らの作品を世に送り出す・送り出そうとしている方々をサポート対象としています。
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