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── イークロンとその仲間たちの戦闘の記録。

オルガニゼイション(サンプル版)

波野發作

NPO法人日本独立作家同盟

〈連載小説・第2回〉

作品概要

 イークロン・プレビア、アクィナス・ハサト、ソロン・ワッフル、ミドル・アースらは惑星攻略部隊を編成し、惑星ノーブルバードを侵攻していた。作戦通りに、第1都市シーアネイル、第2都市プラディア、第4都市ヘル・メルス、第5都市カイタムリアを順に攻略。いよいよ最後の第3都市リヴィティオンを取り囲むべく、部隊の集結を図っていた。そこに降ってきたのが、黒い〈鋼鉄の羊スチール・ウール〉=〈UNDO〉だった。爆沈する母艦パープルヘイズ。迎え撃つ〈ペイルフレイム〉、〈ブライトバーン〉、〈ブラックアウト〉各機。無慈悲な戦闘の結末はいかに。君は生き延びることができるか? スラップスティック系SFコメディ連載第2回!

鋼鉄の羊

  戦争を面白がるのは、未経験者だけだ。
       by ピンダロス(古代ギリシャの詩人)

『射出から10秒経過。プラネットダイバー・ゼロワン、姿勢安定しました』
 惑星ノーブルバードの低周回軌道を航行中の惑星強襲艦〈パープルヘイズ〉のブリッジでは、艦長のソロン・ワッフルがオペレーターの声にうなずいて、次の指示を出した。
「ゼロツー、ゼロスリー、射出準備をしておけ。タイミングは追って指示する」
 デッキから短く了解を伝える返答が届いた。彼の視界に広がる巨大スクリーンには、戦闘に関するあらゆる情報が所狭しと表示されており、目まぐるしく変化してリアルタイムに戦況を知らせてくる。この軍のリーダーを乗せた大気圏強襲突入用装甲ポッド・プラネットダイバーは地表を目指して高速で降下中であり、この艦との位置関係を示す模式図と、光学カメラの映像が並べて映し出されていた。光学映像に映るゼロワンのプラズマが薄くなってきたのが見てとれた。もうすぐ地平線の向こう側に落ちてしまうので、光学カメラでは捉えられなくなる。
『ゼロワン、通信回復します』
 オペレーターが最新の状況を伝えるや否や、ノイズまみれの怒号が飛び込んできた。
『ソロン! おいコラ! 聞こえるか!』
「あーはい、聞こえていますよ陛下」
『射出速くないか? あと方向ズレてないか?』
 プラネットダイバーに格納された〈青焰騎士ペイルフレイム〉のコクピットから、イークロン・プレビアが文句を言ってきたのだ。ソロンはやれやれといった表情で、
「大丈夫です。作戦通りです。またブリーフィング聞いてなかったんですか?」
『聞いていたけど、こんなに急降下とは思わなくて……』
 狭いコクピットで、イークロンは軍団長らしからぬ扱いを受けてボヤいた。ソロンはスクリーンに表示されているカウントを見ながら、続けて宣告した。
「あ、陛下、あと20秒で、降りてください」
『は?』
「ペイルフレイムだけそこから降ります」
『空中でかよ。殺す気か』
「大丈夫です。陛下なら」ソロンは笑いながら、オペレーターにハンドサインで指示を出した。オペレーターの抑揚のない声が響く『ゼロワン1番ハッチ開放5秒前、4、3、2……開放』
『バッキャR……』「計画通り!」
 途切れるイークロンの罵声を聞きながら、ソロンはガッツポーズを決めて、さらに指揮を続けた。


※サンプルはここまでです。続いてインタビューをご覧ください。

波野發作さんインタビュー

── まず簡単に自己紹介をお願いします

 毎度あり。お初の方には、姓は波野。名は發作、前後合わせて「ナミノハッサク」といいます。ハツの字は旧字体です。新字体だと「発作ほっさ」と同じなので旧字体にしています。ペンネームです。兼業作家です。ライターとか編集とか本名の方では長年いろいろやってます。昨年インディーズ作家デビューしましたが、今後も波野名義でちょいSF寄りのミステリーもどきを主に書いていきますです。いよいよ物語も本編に突入です、キャラも増えて大変ですが最後までがんばります。他の活動については公式サイトをご覧ください。

◆公式サイト:『NAMINO_WORKS』
http://naminow.com/

── この作品を制作したきっかけを教えてください

 『月刊群雛』2015年02月号掲載『ヴェニスンの商店』、04月号掲載『ガッデンの箱娘』が自分の中で好評だったので、思い切って連載での掲載を挙手して、これで2号目です。物語としては4話目になります。連載タイトルは『オルガニゼイション』です。ややこしくてごめんなさい。連載ではありますが、基本的に1話完結方式です。キャラや設定の説明は、毎度はしていません。〈UNDO〉に乗っているアントがどんなキャラなのかは、過去作をご覧ください(宣伝)。もう連載2回目なのであと4回になりますが、最後までお付き合いのほどよろしくお願いいたします。

── この作品の制作にあたって影響を受けた作家や作品を教えてください

 今回のお話は、我が国の誇るロボットもの全般に影響を受けて、ということになりますか。設定上は永野護(ながの・まもる)著『ファイブスター物語』を連想する点は結構あるかなと思いますが、僕の脳内ビジュアルはあまりそういう感じでもなかったりします。もう少し小型の機動兵器をイメージしています。ボトムズよりは大きいかな。ダンバインぐらいのサイズ感でちょうどいいかも。〈UNDO〉はもっとデカいです。エヴァぐらいのサイズ感か、もっと大きいぐらい。ですです。

── スコープドッグが3・8メートル、ダンバインが6・9メートル、エヴァ初号機は40~200メートルらしいのですが

 マジですか(笑)。伸び縮みするんですかアレ(笑)。40メートルぐらいならイメージ通りなんですが、200メートルはないわー。あーでも、〈UNDO〉も伸び縮みさせちゃっても別にいいんですけどね(笑)。

── この作品のターゲットはどんな人ですか

 ロボットもの全般が好きな人。『月刊群雛』を毎号読んでいる人。少なくとも2015年02月号と04月号と07月号は読んでいる人。いつもありがとうございます!

── この作品の制作にはどれくらい時間がかかりましたか

 タイトルと基本設定の構想はかれこれ20年ぐらい熟成させたものです。ネタ帳から引っ張り出して『オルガニゼイション』に使っちゃいました。今回のストーリーはプロットを2日で考えて、1日で一気に書きました。勢いあるのみ!

── 作品の宣伝はどのような手段を用いていますか

 毎度のように自前のWebサイト、アプリで紹介、SNSでモゴモゴ言うなどですね。というか『月刊群雛』の宣伝をするのが早道だ。きっと。

── Webサイトに「百問百答」がありますが、Q28までしかないような……?

 見ちゃったんですね。やりかけたものの、質疑応答が独立性を保てなかったので、改変しにくい構造になってしまった関係でペンディングとさせていただいております。関係各位の皆様には大変ご迷惑をおかけしております。早急に対応の上、改善を図りたく存じます。というかここで言っちゃったら、しばらく直せないじゃん!

── 作品を制作する上で困っていることは何ですか

 場所。場所がねー。書斎が無いのよ、書斎が。ノマドも試したけど、なかなか落ち着いては書けないしねえ。カンヅメされたい。

── 注目している作家またはお気に入り作品を教えてください

 今は『エウロペアナ』(パトリク・オウジェドニーク著)を読んでます。面白いっす。特に影響とかは受けてないっす。カバーは東京・千駄木、往来堂のものです。良い書店です。

── 今後の活動予定や目標を教えてください

 一緒に組んでくれる絵師さんを探す旅に出る計画を立てます。

── 最後に、読者へ向けて一言お願いします

 次回は猫です。

NPO法人日本独立作家同盟とは

 NPO法人日本独立作家同盟は、文筆や漫画などの作品を、自らの力で電子書籍などのパッケージにして世に送り出している、インディーズ作家の活動を応援する団体です。伝統的な出版手法である、出版社から取次を経て書店に書籍を並べる商業出版「以外」の手段、すなわち、セルフパブリッシング(自己出版)によって自らの作品を世に送り出す・送り出そうとしている方々をサポート対象としています。

 当法人の活動目的は、誰もが情報発信者になれる時代における、作家や作品の知名度向上(Promotion)、作品の品質向上(Quality)、作家と読者のコミュニケーション活性化(Communication)などを促進することにより、多種多様な出版文化の振興に貢献することです。情報交換や交流などを目的としたコミュニティの運営、インディーズ作家を応援するマガジン『月刊群雛』の発行、ウェブメディア『群雛ポータル』によるセルフパブリッシング関連の情報発信、勉強会やセミナーの運営などの事業を行っています。詳細は、公式サイトの[法人概要]をご覧ください。

◆NPO法人日本独立作家同盟公式サイト:
http://www.allianceindependentauthors.jp/

オルガニゼイション(サンプル版)

2015年7月24日 発行 初版

著  者:波野發作
発  行:NPO法人日本独立作家同盟

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