── 魔王だって、人間なんだ。#違う
〈読切小説〉
とある几帳面な魔王が、勇者との最終決戦に臨むにあたって跡継ぎにしたためた手紙です。魔王としての心構えや使命、秘密、世界の仕組み、そして自分亡きあとの具体的な指針についてつらつらと述べていくうちに、なんだか妙な感じになっていきます。同情してください。
この手紙を読んでいるということは、すでに私は滅ぼされているということだろう。
今、君の胸にあるのは怒りか、嘆きか、あるいは滾りか。
そのいずれも、私が知る君の姿からは想像もつかない。
しかし、立場は人間を変えるという。
人ならぬ我々も同じことだ。意外に思うかもしれないが、かつての私も君と同じく、お世辞にもこの立場に積極的とは言えなかったものだ。
もし復讐を期しているとしたら──非常に嬉しいが──どうか思いとどまってほしい。
理由は本文で述べる。ただし、我が眷属の生き残り達に説明を要したとしても、この手紙の存在を明らかにしてはならない。
この手紙は、私と君、そして願わくば君を継ぐ者だけが共有すべき私信であり、遺言であり、引継書なのだ。
若き君よ。
新たな魔王よ。
健闘を祈る。
だが、お世辞にも祝福は贈れない。
魔王の使命とは何か。
知ってのとおり、人間を絶望させることだ。
では、なぜ人間を絶望させるのか。
これも知ってのとおり、人間の絶望は、すなわち我々の喜びだから──と言いたいところだが、違う。不正解ではないが、正解ではない。
我々には秘密がある。魔王は、つまりこれからの君は、この秘密に全てを捧げることになる。教えよう。
『我々は、人間の絶望によって、存在を維持している』
つまり、人間の絶望が絶えた時、我々は絶える。
必要と悦楽を兼ねる点で、人間と食の関係とほぼ同じだ。しかし自覚の点で大いに異なる。人間はもちろん我が眷族にも、この事実を知る者はほとんどいない。もし多くいるようなら、我々はとうに破綻している。
我々は、我々自身の糧について知るべきではない。
なぜなら、我々は平均的に人間より──豊かな個体差を持つ証左として──馬鹿だからだ。
※サンプルはここまでです。続いてインタビューをご覧ください。
小林不詳(こばやし・ふしょう)と申します。
好きな持病は特にありません。
嫌いな持病は腰痛です。
いつか魔王と勇者のテーマで書かなくてはと思っていたらすっかり旬は遠くなりにけり。ということで長編ネタを約二〇分の一に圧縮しました。
『ドラゴンクエストⅢ』です。
ゾー○様は絶望をすすり、憎しみを食らい、悲しみの涙で喉を潤す本物のワルなので別人、いや別魔王です。
魔王と勇者とかお腹いっぱいだよ、とお思いのあなた、最後に軽いやつで〆ませんか。
1週間です。
ツイッターです。
腰痛です。
違います。違いますが、すごい速度で近づいてきている気はします。ギックリ腰のくせに。
アプリゲーの「駅メモ」に割とハマっています。
東京全駅制覇。まずはそれからです。
暑中お見舞い申し上げます。
電子書籍にてお楽しみの際は、端末の水没や熱暴走にご注意ください。
NPO法人日本独立作家同盟は、文筆や漫画などの作品を、自らの力で電子書籍などのパッケージにして世に送り出している、インディーズ作家の活動を応援する団体です。伝統的な出版手法である、出版社から取次を経て書店に書籍を並べる商業出版「以外」の手段、すなわち、セルフパブリッシング(自己出版)によって自らの作品を世に送り出す・送り出そうとしている方々をサポート対象としています。
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2015年7月24日 発行 初版
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