── 絆があればいい
〈読切小説〉
真夏の狭い事務所で向かい合って座る二人の男。したたる汗……。
一人は若い警察官、右手に拳銃を持っている。そして、その警察官を睨みつける男。
空調が切られたこの不快な狭き空間で、二人は対峙する。
警察官の銃口は男の額に向いている。
銃を持つその右手は、小刻みに震える。
沈黙が続くそのとき、均衡が崩れる……突然、電話が鳴った!
その電話の主は……。
***
愛する息子のために男がとった行動とは……。
父親と幼い息子の『絆』が起こした奇跡。
ブラインドを閉じていても、真夏の日中のこの暑さは人の神経を麻痺させる。狭い事務所、空調は切られ、外界との接触を遮断されてしまい、不快指数は常人が耐えられる度を超えているはずだ。おまけにガソリン・スタンド特有のオイル臭が不快感を増幅させている。しかし、集中力を途切れさせるわけにはいかない。ギリギリという擬態語はこの瞬間のためにあるのではないかとさえ思える。
暑さのせいの汗なのか、それとも緊張のための冷や汗なのか、二人とも体中がじっとりと汗ばんでいる。こめかみを流れる汗が気になるが、それを拭うことも躊躇される。ほんの些細な行動で均衡が崩れそうだからだ。
流れる汗が床に落ちる音でさえ聞こえるような静寂が広がる。時が止まったかのような、この静寂の中、荒い息遣いだけが響く。
ガラス天板のロー・テーブルを挟んで二人の男が向かい合ってチェアに腰掛けている。
一人は若い警察官である。制服を着て、右手に拳銃を構えている。その銃口は、ガラス窓の側に座っている目の前の男の額に向いている。しかし、構える手は力弱く、微かに震えている。口は真一文字に結ばれ、緊張で目が見開かれている。
対する向かいの男は、その若い警察官とは対照的に無表情で、チェアに深く、ゆったりと腰掛けている。圧倒的に不利な立場にいるはずのその男は、強い眼でその警察官を睨みつけている。そして、銃口の奥深くを覗く余裕さえあるようである。
しかし、均衡が崩れた。静寂を破りおもむろに、男の方が口火を切った。
「息子がね……」
突然のその言葉に若い警官は、ハッとした。もしかしたら、無意識に声を出してしまったかも知れない。さらに、息が荒くなった。
逆に男の方は、先ほどとは、うって変わって穏やかな優しい目付きになり、落ち着いた口調で、言葉を続けた。
「五歳の息子がね……、言ったんですよ。『人間って、神様と同じ力を持っているんだよ。』って。」
男は微かに笑っている。
そのとき、電話が……鳴った?
警官は心臓が飛び出すかと思った。そして、事務所内を見回したが、電話がどこで鳴っているのか分からない。
「どうかしたかい?」
「で、電話が……」
「ここの電話は鳴ってないよ。」
「しかし……」
そうだ、電話は鳴っていない。警官の頭の中で電話のベルのような音が響いているのだ。
「俺の息子だよ。息子の悠からの電話だよ。出てあげて。」
「は?」
この男は何を言ってるんだ? 暑さで気が狂ったのか? こんな犯罪を行うこと自体が気が狂っている証拠だが……。しかし、脳内で電話の音がする。自分も狂ったのか……彼は恐ろしくなった。
※サンプルはここまでです。続いてインタビューをご覧ください。
竹島八百富(たけしま・やおとみ)と申します。
この四月から、ヨガとストレッチ教室に通っています。肩こりがすっかり消えてビックリ。首の痛みもなくなり、生まれて初めて健康体になった気がします。
そして、何よりも頭の中がスッキリするのです。ストレス解消には本当におススメです。
◆代表作:
・『Amazing Short Stories』
・キンドルホラー『厭モノ・怖モノ』
(いずれもKindleストアで配信中)
・『奇談屋の本』
(BCCKSで配信中)
・『波長』
(Kindleストア、BCCKS、BOOK☆WALKER など十カ所のストアで配信中)
◆メールアドレス:
yaotomi.t@gmail.com
◆公式サイト:
http://yaotomit.wix.com/kidan/
◆ブログ:『小説のネタありませんかね?』
http://ameblo.jp/yaotomi-t/
◆Twitter:@yaotomi_san
https://twitter.com/yaotomi_san/
◆note:
https://note.mu/yaotomi_t/
先日、待ちに待った人型ロボット・ペッパー君の発売日。ルンルン気分でPCでポチッ。
な、なんと! 開始1分で千台完売って?
思わず、「くそ!」、「畜生!」、「〇×△◆!」……あらゆる汚言葉で罵りました。
しかし、冷静になれ! なぜペッパー君が欲しいんだ? 所詮は伝達機器じゃないか!
そうだ! 人間には、ハイテク機器を凌駕する素晴らしい力があるさ! 愛と絆があれば気持ちは伝わるさ! よし、次のネタは『絆』だ!
ということがきっかけです。
ペッパー君を買おうとして買えなかった人。
ペッパー君の予約に失敗し、ショックのあまり二日ほど途方に暮れていました。
そのあと、悔しさをバネに、頭の中にはペッパー君の姿が焼き付いたまま、三日間ほど掛けて書き上げました。
まずペッパー君を購入したいです。そしたら、ペッパー君に電子書籍を朗読してもらいたいです。
あの声のままで怪談とか聞いて、手を叩きながら爆笑したい。
あとは、今回の作品はギュッと詰め過ぎた感があるので、改めて長めに書き直してみたいです。
ペッパー君を買えなかった後悔が生み出した作品ですが、お楽しみいただけたでしょうか?
ご意見・ご感想待ってます。
「ペッパーく~ん!」
ペッパー君、買えることができた人……裏山。
NPO法人日本独立作家同盟は、文筆や漫画などの作品を、自らの力で電子書籍などのパッケージにして世に送り出している、インディーズ作家の活動を応援する団体です。伝統的な出版手法である、出版社から取次を経て書店に書籍を並べる商業出版「以外」の手段、すなわち、セルフパブリッシング(自己出版)によって自らの作品を世に送り出す・送り出そうとしている方々をサポート対象としています。
当法人の活動目的は、誰もが情報発信者になれる時代における、作家や作品の知名度向上(Promotion)、作品の品質向上(Quality)、作家と読者のコミュニケーション活性化(Communication)などを促進することにより、多種多様な出版文化の振興に貢献することです。情報交換や交流などを目的としたコミュニティの運営、インディーズ作家を応援するマガジン『月刊群雛』の発行、ウェブメディア『群雛ポータル』によるセルフパブリッシング関連の情報発信、勉強会やセミナーの運営などの事業を行っています。詳細は、公式サイトの[法人概要]をご覧ください。
◆NPO法人日本独立作家同盟公式サイト:
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2015年7月24日 発行 初版
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