── 最後のギソウはギソウじゃない。
〈連載小説・最終回〉
「技術創造クラブ」、略して「ギソウクラブ」という怪しい名前のサークルに所属する高校生の青春群像劇です。ギソウクラブなだけに、みんながちょっとずつ何かを偽装しています。
一話ずつ語り手が変わる『ギソウクラブ』、最終回である第五話の主人公はギソウクラブ会長、向ヶ丘恭一です。
第二話から第四話は、ほかの部員たちのあんな話やこんな話になっていましたが、第一話のりるはとのお話に戻ってくる感じです。ギソウカップルの行方を見届けていただけたらと思います。
◆第一話 理想の ……山桜りるは (『月刊群雛』2015年03月号 掲載)
技術創造クラブことギソウクラブの会長、向ヶ丘恭一と山桜りるはは学校でも有名なカップルだったが、その実態は付き合っているフリをしているだけのギソウカップルである。
◆第二話 本音の ……崎守美羽 (『月刊群雛』2015年05月号 掲載)
そんなギソウカップルに苛立ちを隠せないのが、ギソウクラブ一年生の崎守美羽。美羽は二人の動向が気になって仕方がない。そしてとうとう、りるはのことが好きなんだとカミングアウトする。
◆第三話 一緒の ……戸越歌奈 (『月刊群雛』2015年06月号 掲載)
ギソウカップルに美羽の告白、ギソウクラブは今日もおもしろおかしく過ぎていく。家でもギソウクラブでもいつも一緒なのは、双子の歌奈と紗奈。
二人で一人だと思ってきたのに、そんな歌奈を同じクラスの波野がかき乱す。波野のせいで、歌奈は紗奈と自分が別個の人間なんだと自覚させられるのだった。
◆第四話 仲間の ……芝渚 (『月刊群雛』2015年07月号 掲載)
中学時代のイジメがきっかけで、男子の制服が着られない渚。そんな渚をも、平然と受け入れるギソウクラブの面々。渚は美羽に密かに想いを寄せ、想いが届くようがんばろうと心に決めるのだった。
そんな中、りるはと恭一がギソウカップルであるとネット上に書かれてしまった。
『向ヶ丘恭一と山桜りるはは、付き合っているフリをしてるだけ』
なんて書き込みを見つけたのは、月曜日の朝、今まさに学校に到着しようというところだった。
──悪趣味。
その一言に尽きる。こんなこと書いて喜ぶやつが……どれくらいいるのか、ちょっと検討つかなくて笑える。りるはがフリーだって知ったら嬉々としそうなやつを俺は何人も知っているし、でもって考えるまでもなく何かと俺は敵が多い。
書き込みに心当たりがないわけじゃなかった。
先週末の放課後だった。ギソウクラブの部室がある部室棟の一階。そこにある女子トイレで嘔吐したあと、りるはは唾液でてかった唇の端を上げて笑った。
──ギソウなのにそこまでする必要ないでしょ?
それに俺が答えられずにいると、胃に残っていたものをまた吐き出した。
あれを誰かに聞かれていたのか。
※サンプルはここまでです。続いてインタビューをご覧ください。
晴海まどか(はるみ・まどか)です。
最近、少女漫画を読みあさってます。壁ドンとか床ドンとか顎クイとか非常に興味深いです。近頃学校の夢をよく見るんですが、夢の中だと自分も制服着てるので(学生に戻ってる)、朝起きたときに「よっしゃー」って気分になります。合い言葉は「イケメンは二次元に限る」です。
好きなものはムーミンと椎名林檎(しいな・りんご)、趣味は音楽活動です。
二〇一四年三月に『明日が雨でも晴れでも』という作品で、ライブドアブログ×impress QuickBooks主催の『ライトなラノベコンテスト』にて特別賞をいただきました。
◆『明日が雨でも晴れでも』:
http://suny-or-rainy.tumblr.com/
また、同じくimpress QuickBooksから、ヤング・アダルト小説『髪の毛探偵 石神くん』シリーズが発売中です。1巻は国内主要電子書籍ストアにて無料配信しているのでお気軽にぽちってください!
◆『髪の毛探偵 石神くん』1巻:
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◆ブログ:『原点回帰―Running possible―』
http://mfineocean.blog98.fc2.com/
◆Twitter(@harumima)
https://twitter.com/harumima/
今回で最終回なので明かすと、そもそものコンセプトは、ラノベっぽいガジェットをラノベっぽくない文体で書いてみよう、ということでした。ギソウカップル、百合、双子、男の娘、というわけです。あと千葉。書いている本人としては楽しかったです。これがどう受け取られたかは読者にゆだねるところですが……。
学生の青春もの、ヤング・アダルト小説が好きな人。どちらかというと女性向きのお話かもしれません。
あと今回のお話でいえば、『月刊群雛』2015年03月号掲載の第一話を読んでくださった方にはぜひ。第一話を踏まえた上で読んでいただけたら嬉しいです。
作品全体としては三カ月程度です。実はこの第五話&エピローグは、一度書き上げてから後半をまるっと書き換えたという経緯があります。プロットどおりに書いたもののいまいち納得できなかったので、初稿ができて一カ月くらいしてから思い切って半分捨てました。
こういうことにならないように、最近はプロット段階でもっと練るようになりました。
最近、女子の胸キュンを研究するために少女漫画を読みあさっています。アニメ化した作品だと、椎名軽穂(しいな・かるほ)さんの『君に届け』、咲坂伊緒(さきさか・いお)さんの『アオハライド』、ろびこさんの『となりの怪物くん』、八田鮎子(はった・あゆこ)さんの『オオカミ少女と黒王子』は読破しました。天乃忍(あまの・しのぶ)さんの『ラストゲーム』もオススメの一つです。結論としては、壁ドンもろもろ二次(以下略)。
八月中旬には、友人たちと作っているアンソロジー短編集の第五弾を個人出版でリリースする予定です。あと、この『ギソウクラブ』もまとめ直して、電子書籍にしてリリースしたいと思ってます。
最新情報はブログや公式サイト、Twitterでアップしています。よかったら覗いてみてください。
全五回の連載、最後までお付き合いいただきまして、誠にありがとうございました。
連載らしい連載にしようと思って色々工夫してきましたが、どうでしたでしょうか。お気軽に感想いただけましたら嬉しいです。でもって、数カ月以内には電子書籍の単行本にしてリリースしますので、その際にはチェックいただけますとこれまた嬉しい限りです。
そういうわけで、今後ともどうぞよろしくお願いします!
NPO法人日本独立作家同盟は、文筆や漫画などの作品を、自らの力で電子書籍などのパッケージにして世に送り出している、インディーズ作家の活動を応援する団体です。伝統的な出版手法である、出版社から取次を経て書店に書籍を並べる商業出版「以外」の手段、すなわち、セルフパブリッシング(自己出版)によって自らの作品を世に送り出す・送り出そうとしている方々をサポート対象としています。
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2015年7月24日 発行 初版
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