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ネカマのボクの女体化活劇

犬神教授

犬神ラボ



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  この本はタチヨミ版です。

 目 次

プロローグ

第一章 黒山森林

第二章 ガレア北伐砦

第三章 アジト

第四章 リアル

エピローグ

プロローグ

「うわっ、こんなにレアアイテムばかり、本当にいいんですか?」
「いいよいいよ。エゼルミアちゃんには、いつも助けてもらってるから」
 軽薄そうなヒューマンの剣士は、愛想よく白金のエルフ・エゼルミアに微笑んだ。
「わーい、ありがとうございます。どうか、これからも、どうかよろしくお願いします♪」
「うん、よろしくねー」
「じゃあ、今日はもう落ちますね」
 省吾はMMORPG『ヒュージ・パイク』からログオフし、頭部に装着したヘッドセットを外した。
 顔からは、にやけた笑みが止まらない。
「……バッカじゃねえのっ!」
 ついに省吾は、自室のベッドの上で、腹を抱えて笑い出した。
 確かに、自分の使用するエルフの白魔道士・エゼルミアは可愛すぎるくらいに可愛い。ロングのシルバーブロンドに、クールな碧眼、すっと通った鼻筋に、薄い唇と、大抵の男子ならイチコロだろう。
 体型は、どんなグラビアモデルでも維持不可能な巨乳に巨尻、ウェストはコルセットで締め上げ、要所をクロム仕上げの防具で彩っている。
 まさに、理想的なヒロインキャラなのだが――、
「別に、中身が女とは、一言も言ってねーのにな」
 確かに、そこは省吾の言う通りだった。彼は自ら「はい、リアルも女です」などと自己申告したことなど、一度もない。ましてや、女ことばを使ったことさえない。
 省吾はただ「丁寧語」を心がけているだけだった。
 だが、それだけで周囲は女性プレイヤーだと錯覚する。「まだゲームに慣れていない、初心者女性プレイヤー」と、思い込んでしまうようだった。
 ちょっと贔屓目に回復魔法をかけるだけで、今回のようにレアアイテムをもらえることもある。ときどき現れる妙に馴れ馴れしいプレイヤーには辟易させられるが、それでもネカマを演じるメリットは充分にあった。
 省吾は、スマホから自分の倉庫を確認する。
「おっし、やっと骨喰の盾の材料がそろったな。腕のいいドワーフのクラフターに頼まなきゃだけど、まあ、すぐに見つかるだろ」
 省吾は改めて、自身のつけていたヘッドセットを見た。
 正式な商品名を『エンター』という、画期的なデバイスだった。

 脳波は常に頭部から発信されており、それを受信する機械は、家庭用のものでもずいぶん古くから存在した。
 だが、この『エンター』という製品の画期的なところは、機械から発信される電磁波を脳へと「入力」できる点にあった。さらには、人間の「五感」全ての情報を、脳内で統合させることで、さながら現実世界にいるような錯覚を起こさせることができるのだった。
 人間が感知する情報の多くは、眼と耳に集中しているが、ならば、その他の「触覚」「味覚」「嗅覚」は、脳波の入力で補えるのでは?
 そのような好奇心から生まれた新製品は、期待以上の効果を発揮し、コンピューターを「もう一つの現実」にすることに成功した。
 特に医療分野での発展が目覚ましいが、もちろんゲームなどにも応用は可能で、多くのプレイヤーが仮想空間でのゲームプレイを、自室にこもって楽しんでいる。
 あまりの没入感に「法規制」の動きもあるが、日々発達する技術に、いまだ立法が追いついていないのが現状だった。今しばらくは、この混沌とした仮想現実を楽しめるだろう。
 この、あまりによく出来過ぎたシステムが、翌日以降の省吾を、とんでもない事態に合わせるのだが、もちろん本人は、まだ知る由もない。

第一章 黒山森林

「ん……?」
 翌日のこと――。省吾が異変に気がついたのは、ログイン直後だった。
「フレンドが誰もオンしてない?」
 巻物型のデバイスには、省吾のフレンドが百五十人ほど登録されているが、その中の誰もがゲーム内にログインしていなかった。
「いや、それは無いよな……」
 何しろ、全員が気合の入ったオタクどもだ。いくらなんでもログインがゼロはありえない。
(なら、運営のミスかな……?)
 省吾は運営側のお知らせを確認するため、水晶石をとりだした。
 しかし、その水晶にも何の反応もない。
「はあ?」
 その後、省吾はあらゆる通信手段を試したが、どれもまったく無反応だった。
「もしかして、これって……、こっち側の故障か?」
 省吾は、自陣がかぶるヘッドセット『エンター』を疑った。
 だが、それもおかしい。
 何しろ、一応はサーバーにログインし、ゲーム自体はプレイできているのだ。それなのに、誰とも連絡がとれないというのは、とてもハード側の問題とは思えない。
 ならば、ソフト側の問題ということになるのだが、そんなことってありえるだろうか?
「ふん。まあ、いいさ……」
 致し方ない。今日はログオフして出直そう。このままでは、まともなプレイになりそうもない。省吾は水晶球を操作し、ログオフを選択した。
 ――ところが、これもまったくの無反応だった。
「……って、なんで? うそだろ、おい!」
 だが、どれだけ喚いても、ボタンの類にはリアクションがない。
 それなら、ハード側でどうにかしたいところだが、省吾は『エンター』の没入度を上げるため、生理反射以外の反応を、全てオフにしていた。
 つまり、リアルの肉体は、指一つ動かせない状態にあった――。
 もちろん『エンター』には安全装置も存在し、一定時間ごとにシステムが落ちる機能も存在するのだが、多くのプレイヤーがそんなものは切ってある。いざここからというクライマックスで、突然ゲームを中断されてはたまらない。それは、省吾も同様だった。
「でも……、これってどういうことになるんだよ?」
 少なくとも、自力でこの仮想現実を脱出する手段はなさそうだ。
 そう思うと、背筋が寒くなり、思わず省吾は肩をすくめた。
「うそ、だろ……?」
 何しろ今の省吾は、白銀のエルフ、しかも白魔道士だった。自力で戦闘をこなす能力は、無いに等しい。
 しかも場所は黒山森林の奥深くだった。素材集めにここまで連れてきてもらい、そのままログオフしたのだが、その時は仲間を呼べばよいだけと思っていたので、まさか、こんな事態に陥るなど、考えもしなかった。
「ど、どうする……? どうすればいい?」
 とにかく、今は誰か他人を頼るしかない。そこで運営に連絡をとってもらい、ログオフをする。
 だが、こんなところで人を待っていて、いつか誰かがくるものだろうか? 正直言って、それは少々考えづらい。
「じゃあ、人のいるところまで、自力でいかなきゃいけないわけだけど……」
 マップを確認することだけは、一応可能だった。場所は黒山森林……。しかも、滅多に人が来ることのないほどの最奥だった。
 出現モンスターは、凶悪な黒オークの群れで、レベルはおおよそ五十前後らしい。
 省吾のキャラクター、白魔道士のエルフ・エゼルミアもレベルは五十余なのだが、ヒーラーゆえに、仲間がいなければ戦うことなどほぼ出来ない。
「それでも、まあ、いくしかないか……」
 白銀のエルフは、覚悟を決めて歩き出した。
 この暗い森を脱出するため、遥か北を目指したのだった。

 省吾が焦るのには、理由がある。
 別に、仮想空間で死んだところで、現実の肉体が死ぬことはない。再びセーブした場所からやり直しになるだけのことだった。
 だが、何しろ省吾は『エンター』に特別なチューンナップを施してしまっている。――はっきり言えば「エロゲー仕様」にしてしまっているのだった。
「こいつは、まずい……。確実に、まずいぞ……」
 仮想空間のため、特に暑くもないのだが、エルフの頬を冷や汗が伝う。
 プレイするゲームが普通のエロゲーなら、特に何の問題もない。好感度を上げたキャラに対して、相応のご褒美タイムがあるだけだ。
 だが、女性キャラでプレイしている今、誰かに無理やりされるようなことがあったら……?
「おいおい、勘弁してくれよ……」
 想像するだにおそろしい。自身が性の対象にされるプレッシャーに、少年は今、はじめて晒されていた。


◆     ◇     ◆

 五分後――。
 懸念していた事態が、いきなり省吾を襲った。
「ぎゃああああああっ!」
 充分に注意を払いながら森を歩いていたつもりだったが、あっさりと一匹のオークに見つかり、仲間を呼ばれたのだった。
 省吾は慌てて逃げ出したものの、たちまちのうちにロックされ、大勢の群れを引き連れる結果となってしまった。
「やだあっ! やだやだやだあああっ!」
 幸い、このゲームにはスタミナという概念がないため、いくらでも最高速度で走ることはできたが、さすがに設定以上のことはできない。オークたちとの差は、ジリジリと詰められていく。
「だ、だめじゃん、無理ゲーじゃん……っ!」
 せめて人のいる場所にまで行きたかったが、仕方がない。白銀のエルフは覚悟を決めて振り返り、手に持つプラチナメイスを大きく振るった。
「やあっ!」
 一撃目は、先頭を走っていた小柄なオークの頭にヒットした。二撃目で、背後のオークの棍棒を跳ね除け、三撃目で自分に来る攻撃を防いだ。
 しかし、群れとなって走りこんできたオークは、一息で省吾を押しつぶし、白銀のエルフは、あっという間に戦闘不能となったのだった。
「って、何もできてないじゃん……っ!」
 回復魔法を重視して、知性にパラメーターを極振りしたツケが回ってきたらしい。エゼルミアは強引に手足を押さえつけられ、反撃の手段を全て失ってしまった。
「ほ、ホントにあるのか? こういうこと……!」
 この『ヒュージ・パイク』は海外製のゲームだが、とにかくアダルト仕様の逸品だった。簡単にいえば「セックスが可能」なのだ。もちろん、本人が拒否すれば回避もできるのだが、サーバーへのアクセス手段がない省吾の場合……、
「やだやだやだ! やっぱ、レイプ拒否できないじゃん! くっ、殺せ! ……とか言ってる場合じゃなくて、マジでヤバい!」
 先ほど、水晶球でアクセスしようとした時に無反応だったため、こうなるのではないかと恐れてはいたのだが、本当に危機的状況に陥り、省吾はパニックを引き起こした。
「ちょっと待て! ウソだろ? ホントはボク、男だし……っ! 男が女の身体で犯された場合、いったいどうなっちゃうんだよおっ?」
 もはや手足を動かすこともできない。省吾はとにかく身を捩り続けたが、事態はまったく好転しなかった。

 オークは哀れなエルフの太ももをさらに開くと、そのゴツい指先で局部の位置をさぐりはじめる。
「や、やめ……っ、やめてえっ!」
 悲鳴による抗議はあっさり無視され、そそり勃った肉幹の先端が、エゼルミアの股間へと押し当てられた。
「ひっ……!」
 オークは、ねちゃついた粘膜の感触を楽しみながら、エルフの腰に手をまわしてきた。
 さらに、自身の肉槍を押し進めながら、強引に体重をかけてくる。
(う、嘘だろ……っ? ホントに、ホントに犯される……っ!)
 あからさまな集団レイプにも関わらず、エゼルミアの狭い女淫はいじらしく口を開き、オークの硬茎を受け入れようとしていた。『ヒュージ・パイク』は、完全にアダルトモードに突入しているということだった。
「や、やめ、やめ……っ、ひっ、い、痛っ!」


 めりっと音が鳴った。エゼルミアの未開発な膣囗を押しひしぎ、太い昂った熱魁が入っていく。
「ほ、ホントに痛いよっ! ……や、ヤダ! こんなの、ヤダあああっ!」
 省吾は悲鳴をあげて抵抗したが、ガッチリと固められた腰はまったく動かない。
「グフッ、グフグフグフッ」
 ついに、大きく上反った肉幹の傘の部分が、肉洞に入った。
「きひいっ!」
 省吾の脳は、確かに処女喪失の実感を味わった。
 もっとも、レイプはここからが本番だった。オークは小刻みに腰を動かしながら、極太ペニスを奥へ奥へと侵入させる。
「うあっ、ひ、ひいっ、ひああああ……っ!」
 身体を引き裂かれるような痛みに、省吾は反射的に背を反らし、足先をつっぱらす。
「フゴオオオオッ!」
 オークはさらに興奮の度合いを増しながら、収縮した熱い秘肉を押し広げてくる。
「ぎ、うぐう……っ!」
 省吾は絶え間ない激痛に対し、唇を噛んで耐え忍んだ。
 だが、どんなに我慢しても、溢れる涙は止めようがない。
 オークは両腕でしっかりとエルフの身体を抱きかかえながら、ゴツゴツと肉槍を前後させてくる。一方、窮屈な処女の膣粘膜は、極太の熱勃起の先端を押し返そうと、必死の収縮運動を繰り返す。
「痛いっ! 痛い、痛いよお……」
 もっとも、オークの方は、そんな膣の抵抗がたまらないらしい。さらに思いきって深く体を沈め、屹立した肉幹でエルフの身体を割り裂いていく。



  タチヨミ版はここまでとなります。


ネカマのボクの女体化活劇

2015年8月15日 発行 初版

著  者:犬神教授
発  行:犬神ラボ

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犬神教授

国文学者。エロラノベ専攻。 毎週1冊、エロラノベを自己出版している、ちょっとHな男の娘です♡  皆さん、よろしくお願いしまーす♪ 絵も文章もレイアウトも、全部一人でやってるよ☆

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