── 消した過去の再来と、行く先の迷走
〈連載小説・第2回〉
旧友猿梨深雪と、2人故郷を離れ、東京で再会した草壁高矢は、忘れていた彼女への思いを蘇らせる。付き合いを再開する中、彼女のつてで伊ヶ谷泰介に引き合わされた。彼はかつて深雪が世話になった地元新聞社時代の知人だった。また、少年時代に憧れたと言う千草の遺体目撃以来、陰惨なトラウマを今日まで引きずりながら、事件を一人追って記者になった男でもあった。
その後一人になった草壁高矢には、さっきの猿梨深雪との思い出話の中で、少し引っかかっていた事があった。
今、自分が投資しているKプランホームの業種の事だった。
業種の選択には、全く先入観は無かったつもりでいたが、気がつけばかつて父が生業としていた建設業を選んでいたからだった。
当時の事は一切振り切って、冷静に考えたつもりだったハズだが、しかも個人住宅という点も一致しているのは、偶然だろうか?
神経質な高矢には、後味の悪い記憶となりそうだったが、その時は深く考えずに、Kプランホームの社長兼野へポケベルで、明日の打ち合わせの打診をした。その後、タクシーを呼び止める為に大通りに出る間に、何か自分に言い訳するかのように、ブツブツと声を小さく漏らしていた。
◆
僕の現実主義の信念は揺らがない。当時の自分とは違うのだという気負いと自信が、今の僕を支えていたからだ。
運を天に任せる?
神頼み?
そんなものとは、無縁の人生だった。
運の良し悪しという概念は信じていないが、楽な人生では無かった。
しかしそれを正面から受け止めても結果が出ないのは、自分の努力が人より足りないからだと自らを鼓舞し、乗り切ってきた。
東京で教師という堅実な道を進んで、投資の道を見いだし、自分なりの研究熱心さでノウハウを積んでから、文字通り磐石の体制で投資を始めた。
当初の判断は正しかった。最初の投資先が見事に当たる。後はとんとん拍子だ。
いよいよ華やかな自分の人生が始まるかと思うと、埃っぽい都会の風景が鮮やかに見えたのは、当然だろう。
◇
その時、ポケベルがけたたましく鳴って、高矢は我に還る。
兼野義郎からOKの返信だった。
間も無く春になろうとする季節に、英国仕立てのコートの襟を正して、都内の自宅マンションに帰るべく、近付くタクシーに手を振り上げた。
※サンプルはここまでです。続いてインタビューをご覧ください。
名前:くろま
略歴:
はてなブログを毎日3件公開しながら、執筆の機会を拡張中です。
今は、何かをしながらの執筆に慣れてきて、その境遇の中で質を高めるように心がけています。
公開作、運営中ブログ(3点)
◆小説ブログ:『ゆれる想いと、ゆらぐ心の物語』
http://yureyura-novel.blogspot.jp/
概要:少年少女のゆれる想いを、また人間達のゆらぐ心を軸にした小説。今年公開を開始した短編7話と、連載1作品全話公開中。
◆小説ブログ:『stories of Samurai Zone...』
http://samurai-zone.blogspot.jp/
概要:海外の人にも楽しんでもらえる小説を目指す。昨年から公開開始、現在短編1作、連載2作公開中。
◆個人ブログ:『くろま流×NAGOYA式ブログ』
http://kuromaryu.hatenablog.jp/
概要:名古屋市を中心とした地方・全国の関連情報、雑記。自主ノルマのお陰で毎日3回更新中。
本作の主人公、草壁高矢の境遇は、具体的な所は全てフィクションですが、自分の経験と共通しているところが何カ所かあって、自身の負の投影実験でもあります。
1 サスペンスドラマの金字塔、火曜サスペンス劇場です。
2 あくまで私見ですが、『Xファイル(原題:The X-Files)』ほど胡散臭く怪しい良作はありません。
前回と一貫して、30代から40代の世代には読んでほしいです。
一方で内心、若い人達にも昭和のドロドロの時代を知って欲しいと思っています。
完結させるのに、ほぼ半年かかっています。
構想は前からあって、その後の書き出しから苦労したり一時放置したりしました。同時に、初めて産みの苦しみを味わった作品でもありました。
記事ブログと連携できればと期待しています。
最初の発想が余りに感覚的・抽象的すぎて、後でそれを現実的なものに落とし込むのが大変です。
前回に続いてやっぱり小説ではありませんが、ニュース共有アプリ「NEWSPICS」です。
プロ・アマ問わずレベルの高い、自由なコメントが刺激になります。
どうしても小説家というよりライターみたいな毎日で、二足のわらじで良いものか? 悩む日々の中でも、小説公開のベース作りを進めています。
プロとしての心得を再確認させてくれる『群雛』と、本誌で小説の可能性を期待して下さる方々に感謝いたします。
NPO法人日本独立作家同盟は、文筆や漫画などの作品を、自らの力で電子書籍などのパッケージにして世に送り出している、インディーズ作家の活動を応援する団体です。伝統的な出版手法である、出版社から取次を経て書店に書籍を並べる商業出版「以外」の手段、すなわち、セルフパブリッシング(自己出版)によって自らの作品を世に送り出す・送り出そうとしている方々をサポート対象としています。
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◆NPO法人日本独立作家同盟公式サイト:
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2015年8月21日 発行 初版
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