── 迷走から呪縛へ、生き永らえる執念との闘い
〈連載小説・第3回〉
草壁高矢は、閉鎖的な故郷から上京後に成功者となったが、過去の忌まわしい影はそう簡単に彼を逃さない。初恋の相手深雪との再会、招かざる記者伊ヶ谷の介入で過去の記憶が舞い戻る。
何者かに殺されそうになるも、辛うじて難を逃れた伊ヶ谷が、漸く高矢と実姉殺しの事件取材を実現し、それを弾みに堰を切ったように真相の究明を進める。一方、伊ヶ谷への猜疑心からか深雪への恋慕にのめり込む中で、高矢の心に意外な変化が起きていく。
そして舞台はその変化に呼応し、まるで何かに導かれるように、故郷の様々な記憶の集まる権現神社へと向かう。
「遅かったですね」
伊ヶ谷が待ち合わせした公園入り口に辿り着いて早々に、高矢が待ち兼ねたように言った。
伊ヶ谷は一瞬、さっき自分を突き落としたのは彼ではないか? と疑ったが、高矢は睨む伊ヶ谷にキョトンと首を傾げている。しかし、すぐその空気を汲み取って、
「何かあったんですか!」
足を押さえる伊ヶ谷に反射的に駆け寄って心配した。
それを見て伊ヶ谷は思い過ごしと割り切った。
「いや、チョッとしたトラブルで」
「足、痛そうですね。病院行きましょうか?」
「大丈夫だ、ありがとう」
少し落ち着いてから、高矢がタクシーを呼んで、二人は乗った。
高矢が運転手に赤坂ダイヤホテル、と行き先を指定して車は動き出した。
◇
ホテルのラウンジで落ち着いた二人は、好き好きの酒を注文して乾杯する。
ゆっくりくつろいで、暫く雑談をしていたが、伊ヶ谷のさっきの話を聞いて、
「えっ、突き落とされそうになった?」
目を見開いて高矢が身を乗り出した。
「さっき公園に向かう途中で」
伊ヶ谷はバーボンのダブルを一口舐めて、ばつが悪そうに答えた。
「僕があんな物騒な場所選んだから」
「それは関係ナイ、君も目立つ立場上、お忍びにしたいのは解る」
伊ヶ谷は、この後の取材で気持ち良く答えてほしいが為に、気を遣っていた。
そのまま彼の業績など成功した話で持ち上げておいて、頃合いを見計らって切り出した。
「ところで、お姉さんの事だけどイイ?」
高矢はひょうきんに笑って肩をすくめた。
「その為に来たんでしょ? 心の準備は出来てますよ」
「ありがとう」
「でも、今更どうして調べるんです?」
伊ヶ谷は、記事にしたい事を誠意を持って説明した。
「あの人に憧れる者として、やっぱり放っておけないんだよ」
「そこまで姉の事が?」
※サンプルはここまでです。続いてインタビューをご覧ください。
名前:くろま
略歴:
今年始めた、はてなブログを毎日更新しながら文章力の鍛錬中ですが、そのブログを3件/日をこなす効果はありました。小説にどう活かせるかは未知数ですが、形を変えて継続する予定です。
群雛で発表するまでは、非公開で小説を書いてきましたが、認知を広げる準備も進めています。
運営中ブログ(3点)現状維持ですが小説ブログはリフォーム中です。
◆小説ブログ:『ゆれる想いと、ゆらぐ心の物語』
http://yureyura-novel.blogspot.jp/
概要:少年少女のゆれる想いを、また人間達のゆらぐ心を軸にした小説。今年公開を開始した短編7話と、連載1作品全話公開中。
◆小説ブログ:『stories of Samurai Zone...』
http://samurai-zone.blogspot.jp/
概要:海外の人にも楽しんでもらえる小説を目指す。昨年から公開開始、現在短編1作、連載2作公開中。
◆個人ブログ:『くろま流×NAGOYA式ブログ』
http://kuromaryu.hatenablog.jp/
概要:名古屋市を中心とした地方・全国の関連情報、雑記。自主ノルマのお陰で毎日3回更新中。
元々サスペンスドラマ好きがこうじて書いたものの、初ものだったので、欲をかいて要素を詰め込み過ぎました。
次回はもう少しシンプルな構成にしたいと思います。
スティーヴン・キングと『火曜サスペンス劇場』です。
2話に頂いた書評では『火曜サスペンス劇場』の雰囲気を感じ取ってもらえたそうで、嬉しかったです。
人とのしがらみドラマが敬遠されがちですが、年齢問わずこういうジャンルに興味を持ってくれれば幸いです。
初めて書くジャンルでしたから、書き分けの必要ない分スタートはスムーズでしたが、後半の構成に迷って完成に半年ほど必要でした。
記事ブログとの連携を真剣に考えている最中です。
ブログ記事の制作に時間をとられる一方で、小説を書く時間が……。
群雛8月号の表紙を描かれたあへあへっどさんは注目してます、ガンバってください。
前回から引き続き小説作家さんはありません、ごめんなさい。
当面は、ブログを軌道に乗せながら、小説をリンクする方法を考えることになります。
今回の連載第3話はいよいよ「転」のパートに入ります、このパートが最も悩み迷ったところだけに、評価の分かれるところだと思いますが、ぜひお楽しみください。
NPO法人日本独立作家同盟は、文筆や漫画などの作品を、自らの力で電子書籍などのパッケージにして世に送り出している、インディーズ作家の活動を応援する団体です。伝統的な出版手法である、出版社から取次を経て書店に書籍を並べる商業出版「以外」の手段、すなわち、セルフパブリッシング(自己出版)によって自らの作品を世に送り出す・送り出そうとしている方々をサポート対象としています。
当法人の活動目的は、誰もが情報発信者になれる時代における、作家や作品の知名度向上(Promotion)、作品の品質向上(Quality)、作家と読者のコミュニケーション活性化(Communication)などを促進することにより、多種多様な出版文化の振興に貢献することです。情報交換や交流などを目的としたコミュニティの運営、インディーズ作家を応援するマガジン『月刊群雛』の発行、ウェブメディア『群雛ポータル』によるセルフパブリッシング関連の情報発信、勉強会やセミナーの運営などの事業を行っています。詳細は、公式サイトの[法人概要]をご覧ください。
◆NPO法人日本独立作家同盟公式サイト:
http://www.allianceindependentauthors.jp/
2015年9月24日 発行 初版
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