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「インカのめざめ」や「キタアカリ」「はるか」「ノーザンルビー」というジャガイモを知っていますか? この品種は北海道農業研究センター(本所・札幌市豊平区羊ケ丘)が生み出した品種です。
同センターの芽室研究拠点(芽室町新生)では、バレイショ、小麦、テンサイ、ソバなどの新品種育成・栽培技術などを日々研究しています。
同拠点から生まれた品種の一つ「インカのめざめ」は、1988年(昭和63年)研究に着手しました。同センターのバレイショ育種(品種の改良)は、元々恵庭市にあり、97年(平成9年)に芽室に移った後も試験が続けられて2001年に品種登録されました。JA幕別町がいち早く栽培を始め、オエノングループ・合同酒精が醸造する〈本格焼酎 インカの目覚め〉の原料にもなっています。
新品種の開発には早くとも11年かかります。ジャガイモの育種は、母となる品種のめしべに父となる品種の花粉を受粉させて、種を取ることから始まります。種をまいて、できたイモの中から、収量や病気への抵抗性を見て選抜して行きます。「インカのめざめ」は、交配した母方がジャガイモ起源の地、南米アンデス地域で独特の味と風味があり、高値で取引されている小粒種です。「インカのめざめ」は、生食用として広く普及している品種の「男爵薯」や「メークイン」と比べ小さめです。品種名もジャガイモの起源の地にちなんで付けられました。
「インカのめざめ」は、イモの肉色は濃い黄色で、肉質はきめが細かく、ナッツや栗のような風味があり、低温貯蔵すると普及している他の品種と比べて甘味が強いのが特長です。風味や甘さが強いことから菓子の材料にも向いているそうです。
肉じゃが、ポテトサラダ、フライドポテト…。食べると思わず笑顔になってしまう料理に重宝されるジャガイモは十勝を代表する農作物。十勝の大地ですくすく育ったジャガイモに注目します。
※主に生食でいただけるジャガイモの中から10種類を紹介
取材協力/とかちむら産直市場(帯広市西13条南8丁目1帯広競馬場敷地内 TEL0155・66・6830)
名の由来は中世イギリスの春の村祭り(メーデー)で村娘から選ばれる女王(May Queen)にちなんだとされます。甘みがあり肉質なめらか。煮崩れしにくいので、カレーやシチューなど煮込み料理に最適。
表面の皮は淡い赤色で芽の周囲が黄色っぽくまだらな模様が特徴。ほんのり甘みがあって栗やサツマイモのような風味と食感は食べてびっくり。シチュー、カレー、肉じゃがなどの煮物や揚げ物などにも。
大粒でなめらかな食感があり、果肉は淡い黄色。でんぷん質が豊富で粘りがあり、煮崩れしにくいのが特徴。煮物、カレー、シチュー、おでん、ポトフ、ジャーマンポテトなど。
大粒で肉質の白色が特徴。道内の「新ジャガ」はワセシロからスタートします。色白美人な通称「伯爵」。イモそのものの味はあっさり。素揚げして塩を振るだけでおいしいのでポテトチップスやフライドポテトなどに。
皮と果肉はピンク色。ピンク色の正体は抗酸化作用のあるアントシアニン! 軟らかい肉質とフルーティーな甘味も特徴。加熱してもピンク色なので、ポテトチップス、ポタージュ、ポテトサラダなどで。
紫色の果肉が個性的。でんぷん質が多くホクホク。煮崩れしにくく、どんな料理でもOKの万能イモ。紫色の正体のアントシアニンを含み栄養価の高さで注目。色を生かしたカラフルポテトサラダやポタージュ、ポテトチップなどに。
濃い黄色の肉色で、サツマイモや栗を感じさせる甘味。南米アンデス原産の品種をもとに日本で作られました。そのままレンジでチンしてもホクホクの甘さ。ジャーマンポテト、スープ、スイートポテトなどの菓子にもOK。
果肉は男爵よりも甘く、肉質は粉質でホクホクした食感。名の由来は産地をセンチュウ被害から守るという希望が込められています。ビタミンCが豊富。煮崩れしやすいので、コロッケやポテトサラダなどに。
小粒で皮は赤紫色。中は鮮やかな黄色なのが特徴。栗のような独特の甘味があります。レンジでチンも良し、サラダの付け合わせにも! 煮崩れも少ない。
ジャガイモの王様として根強い人気。1908年ごろ亀田郡七飯の農場主・川田男爵が輸入したことから「男爵」と呼ばれます。煮崩れしにくい定番品。ほくほく感が魅力で、粉ふきいもに最適。
遺跡からジャガイモをかたどった遺物があったことなどから、一般的に少なくとも7,000年前からアンデスの山中で、ジャガイモは栽培されていました。15世紀に最盛期を迎えたインカ帝国では重要な作物になっていました。
15世紀の終わりにスペイン人に征服され、このときスペインにジャガイモを持ち帰られ、ヨーロッパに広がったそうです。ヨーロッパでは、さまざまな作物が凶作となってもジャガイモは収穫できて、多くの人の命を救い、さらに栽培が普及していきました。
そしてアジアへと伝わり、日本には17世紀にインドネシアのジャカルタからオランダ人が持ち込みました。ジャカルタのイモという意味の「ジャガタライモ」がなまって「ジャガイモ」になったと言われています。日本で江戸時代に何度もあった凶作でも、ジャガイモで飢えをしのいできたそうです。栄養価が高いことからフランスでは「大地のリンゴ」とも言われています。
1706年(宝永3年)に瀬棚村(現在のせたな町)の漁場で栽培されていたという記録が残っています。明治になって開拓使が奨励し、全道各地で栽培されるようになりました。十勝では1877年(明治10年)に約1.3haで栽培されていて、95年(明治28年)ごろから次第に増えていき、1900年(明治33年)に1,000ha、14年(大正3年)に2,000ha、36年(昭和11年)5,000ha、戦争が激しくなりはじめた42年(昭和17年)には1万haと作付け面積が急増しました。
2013年産は全国の収穫量が240万8,000t。このうち北海道では78%に当たる187万6,000t、かつ十勝は道内の43%、79万7,400tを生産しました。道内のジャガイモ生産量トップは12万1,400tの帯広市、芽室町が4位で10万2,700t、続いて8位に幕別町8万7,200t、9位士幌町8万900t、10位更別村7万7,200tと道内トップテンに十勝の5市町村がランクインしています。(北海道農林統計協会発行 北海道179ミニなんばんBOOK vol.20)
国内のジャガイモ消費(2013年度)で最も多いのはなんでしょう? なんと、でん粉の原料用で、国内生産量の34.2%が使われています。次が家庭やレストランで調理などに使う生食用が28.6%、ポテトチップやマッシュポテトなどの加工食品用が20.9%などとなっています。加工食品用で一番多く使われているのがポテトチップ(加工食品用ジャガイモの約70%)、冷凍品用(同13.7%)、サラダ(同11.1%)、マッシュポテト(同5.1%)となっています。
生食用としての消費量は、1955年(昭和30年)に生産量の53.7%だったのが、85年(昭和60年)に31.6%と減少傾向が続いています。逆に加工食品用は65年(昭和40年)に0.8%だったのが、80年(昭和55年)に10.6%、2011年(平成23年)には21.2%と増加しています。
国内生産量は1955年に約290万tだったのが、65年に400万tを超えましたが、85年に372万t、2013年には約240万tと減ってきています。(農林水産省 平成26年度いも・でん粉に関する資料)
ジャガイモはナス科です。ナス科にはほかにナス、トマト、ピーマン、シシトウなどがあります。サツマイモは「イモ」と付いていますが、ヒルガオ科でアサガオと同じ仲間です。ちなみにサツマイモは根の先が大きくなったものですが、ジャガイモは地中の中で伸びた茎の先が大きくなったものです。ジャガイモの芽や茎は食べられません。保存している間に芽が出たときは必ず取り除いてから食べましょう。
ジャガイモは、ビタミンBやビタミンCを豊富に含んでいます。ミカンと同じぐらいのビタミンCが含まれています。特にビタミンCはでんぷんに守られ、加熱調理しても壊れにくいそうです。カリウム、マグネシウム、鉄、食物繊維もご飯と比べて多く含まれていますが、カロリーは同じ量のご飯の半分ほどです。
この本の内容はフリーマガジンChai2015年10月号掲載時の情報です。営業時間や価格、消費税等は変更になっている場合があります。
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2015年10月27日 発行 初版
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