こんにちは。はじめましてのかたが多いかと思います。
わたしは、京都で「詩+絵+額縁の外=かめれおん芸術」と題して、
衣服や日常雑貨をキャンパスに、詩やことばの断片を用いた絵を描くという
芸術表現をしている、かめれおん芸術家の渡邉帆南美(わたなべ・ほなみ)と申します。
本書はみなさまにご覧いただく、はじめてのことば作品集です。
2014年に制作公開したものを中心とし、2015年2月までに制作公開したことば作品に、新作書き下ろしのことば作品を4作品、そして2015年に制作したデジタルアートイラスト作品を追加した、全42作品を構成、編集いたしました。
内容といたしましては、独特で、少々どろどろとした暗い作風に受け取られがちではありますが、ことば遊びを用いて謎のある作品が多いので、ご自由な発想で想像しながらお楽しみください。
ではでは、べろりんちょ!
2015年10月12日 渡邉帆南美
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この本はタチヨミ版です。
壁に貼られたのは
描き殴ったクロッキーたち
壁に貼られたのは
描き殴った関西弁たち
窓の外コオロギが鳴いている
案の外きみの声も鳴いている
肩の力を抜いてまえ
どこへいってもおまえはおまえ
肩の力を抜いてまえ
どこへいってもおまえはおまえ
壁に貼られたのは
描き殴ったクロッキーたち
壁に貼られたのは
描き殴った関西弁たち
窓の外コオロギが鳴きやんだ
案の外きみの声も鳴きやんだ
上手くなんて話せなくても
明日になったよ眠ってしまおう
明日になったよ目覚めてしまおう
立ち止まり
考えてまた
立ち止まる
進まぬ道を笑われながら
ただ歩くよりいいと知る人
同情を
されているから
叱られぬ
それを知らない間は不幸か
叱られたひとは同等なのさ
近所にお住まいの彼、もしくは彼女をお見かけましたから、失礼ながら、散歩に同伴させていただきました。彼、もしくは彼女は、近くの木々に咲いた赤い花と戯れたあと静かに芝生を越えて、道路脇のコンクリートの角に佇んでいました。
赤い車越しにいらっしゃいます、彼もしくは彼女は、
「あなた、どなたですか。よくも知らないのにまあ、いつからついていらしたんですか。」
とおっしゃいましたので、わたくしは必死で瞬きいたしますと、彼もしくは彼女は、何て言う人だというように呆れてそっぽを向かれました。
わたくしはなんだか大変申し訳ないことをした気がいたしましたので、遠くに腰掛けてみることにいたしました。
風と時折通る車の音以外はとくに何も聞こえません。
「今夜は静かですね」
とわたくしが申し上げますと、
丸い目をした彼もしくは彼女が、こちらを見つめていました。
彼もしくは、彼女は、何も言わずに、そこに丸くなっていらっしゃいました。
いいえ、何かおっしゃったのかもしれません。
しかし、まだ、わたくしにはそのお声をお聞きすることは許されていないのです。
ふと、彼、もしくは彼女は、芝生の方へ目をお向けになられました。
どなたかいらっしゃたのかしらと思い、わたくしもそちらを窺いました。
すると、そこには、一輪の黄色い野花と、風にそよぐ青い雑草たちがいました。
更に目を凝らしますと、賑やかに昆虫が踊っています。
わたしはしばらくの間、その光景に、とても心を奪われておりました。
そして、彼もしくは彼女のほうを振り返りますと、
彼もしくは彼女がゆっくりと瞬きをされたのです。
「あなたもあれがわかるのですね。先ほどの勘違い、大変失礼をいたしました。それではご機嫌よう。」
わたくしが微笑み返すと、彼もしくは彼女はそのことばを残して、近くの明かりの中に消えてゆきました。
あたりはいつの間にか青い絵の具が滲み始め、白く輝くお月様やお星様までもが微笑みかけてくださるような、あたたかい夕刻のお話です。
きみはわたしを騙そうと
しているのかは知らないけれど
きみがわたしを騙そうと
していることをわたしは知ってる
わたしはきみに騙されようと
しているのか知らないけれど
きみはわたしが騙されようと
していると知っているかもしれない
いつになっても 馬鹿なものかしら
埒があきません 埒はあかないのです
わたしがきみを騙そうと
しているならわたしはね
わたしはわたしを殺してしまい
ここに埋めようと思います
素直も今日でおしまいです
さようなら さようなら
きみはわたしを呪う歌を
歌いながら帰路について
どうかぬくもりある布団で
今晩も幸せに眠れますように
谷底を
這いつくばって
山頂へ
旗をたてずに花を植え
息を求めて下山する
変わらない
どうせ燃えない
終わりだよ
終わりだな確かにそうだお前の場合
未練たらたら見つめるマッチの芯腐る
いったい
この人生はだれのものだろう
ことばにすりゃするだけ
他人のもののように
なっていくような
作り上げた思い込み
表さなければ
死人と同じだろう
起きてるうちに
話す事だけが正義だと
ただことば信じて
こだわってみたが
口から出たのは長い夢物語
起きたまま
眠っているのを
いつか見透かされるのではと
震えて縮こまる
情けない人間さ
ーー理由のために
眠りこけてばかりいるね
いったい
この人生はだれのものだろう
ことばにすりゃするだけ
他人のもののように
なっていくような
作り上げた思い込み
表さなければ
死人と同じだろう
起きているうちに
話すことだけが正義だと
ただことば信じて
こだわってみたが
口から出たのは長い夢物語
起きたまま
眠っているのだから
記憶も体験もありゃしないよ
口から出るのはすべてね
長い夢物語
タチヨミ版はここまでとなります。
2015年10月12日 発行 初版
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京都のかめれおん芸術家。詩+絵+額縁の外=かめれおん芸術と題して、《履ける芸術、着れる芸術、運べる芸術、身につける芸術》など、 生活雑貨や衣服などに、詩と絵画表現を融合した独自の作風「かめれおん芸術」を展開している。
公式website http://goo.gl/LZQL19