── 呪縛から解放へ、故郷の絆からの脱出と結末
〈連載小説・最終回〉
深雪と草壁高矢は、遂に戻らぬ筈だった生まれ故郷に辿り着いた。20年以上前に姉の千草の遺体が発見された権現神社へ向かう中で、高矢は胸の内を深雪に告白し、彼女は高矢自身を信頼していると応える。
その直後、高矢に大きな変化がおこって当惑する深雪。そのまま二人はうらさびしい権現神社に辿り着いた。
物語はいよいよラストステージ。衝撃の展開と驚愕の真実。現実と怪奇が交差する! 駆け付けた伊ヶ谷が目にしたものは……?
東邦市から電車を乗り換えて、二人は遂に坂向に着いた。
駅のホームから出て、最初に声を出したのは深雪で、ここに来て妙なプレッシャーと闘っていた。それを振り払うように先に喋りたかったのだ。
「十何年ぶりかな、この駅来るの」
彼女も高校卒業後に家族と共に東邦市に移転して以来、ここに来ていなかった。
「高矢くんはもっと前だよね?」
彼は答えずに、とっととある方向に歩き出したので、少し遅れて彼女もつられるように後を追った。
歩きながら高矢は、決意を込めた口調で言った。
「深雪、これから君を驚かせるかもしれない。今のうちに言っておく……」
「何があるの?」
「何が何でも最後まで見届けて欲しいんだ」
「わかった、でも危ない事はしないでね」
深雪はこの時点で、彼が何かをするだろうとは覚悟していたし、町の誰かに復讐するのでは? と最悪の事も考えた。
その時は、身を呈して止める覚悟もした。今更見ぬふりは出来ないし、そうならわざわざここまで来なかったろう。
彼を犯罪者にしたく無いし、守れるのは自分しか居ないのだから。
「今までの君には感謝してるよ」
「何弱気なの? 私はあなたの味方よ、これからもね」
何かが起ころうとしている予感に、心が押し潰されそうな中で、努めて彼に笑顔を向けたし、高矢もそれに応えようとはしていた。
ところが、高矢は胸を押さえて、表情も苦しそうに歪める事が多くなってきた。
「大丈夫? 病院行こうか」
献身的な彼女に、彼も心を許したか?
「今なら言える、僕は深雪が好きだった」
「そんなコト知ってるよ」
「イヤ、」
そう言って深雪の正面に回って、
「アイシテル、んだ」
場違いな言葉だったかもしれない、でも高矢は本音を伝えたかった。
「それも知ってる」
思わぬ返事に高矢が驚いた。
その時今までの思い出が一瞬で彼の頭の中を駆け巡った。
「解ってるから、ここまで一緒に来たんじゃない?」
※サンプルはここまでです。続いてインタビューをご覧ください。
名前:くろま
略歴:
個人ブログ(NAGOYA式)の更新頻度を落として、新たな小説サイトの立ち上げ準備をしています。
その小説サイトも、より独自性のある内容にじわじわ変更中。今後は小説とどう連携していくかが課題ですが、限られた時間で小説を書く機会を、増やせるよう工夫していきます。
◆小説サイト:『くろま流 × NEJIMAKI式 のべる』
http://kuroman.hatenablog.com/
概要:自作小説の公開の場・書籍販売の窓口
◆個人ブログ:『くろま流×NAGOYA式ブログ』
http://kuromaryu.hatenablog.jp/
概要:名古屋市を中心とした地方・全国の関連情報、雑記。
サスペンスと胡散臭い話が大好きで、人間ドラマ(現実)+怪しい世界(非現実)をミックスさせたものを書きたくて考え出したのが、この作品です。
今回最終話ですが、こう来るか! という展開よりもうーんと考えさせる最後を書きたかったのですが、いかがでしょうか?
スティーヴン・キングと『火曜サスペンス劇場』です。
都会では、人との絆や関係が疎遠になりやすいと言われていますが、都市に住む人ほど人との触れ合いに飢えているともいえると思うので、孤独だと感じる人たちにもぜひ読んでいただきたい。
後半悩んで結局半年ほどかかったのは前回のインタビューでも触れましたが、実は群雛用にラストの展開を変えてあります。
まずは、Kindleストアなどで本を出版してからですが、ブログやTwitterで宣伝をしていく予定です。
アイデアは時間がなくても作れますが、執筆時間が圧倒的に足らない事です。
発売された翌日に購入した、村上春樹(むらかみ・はるき)氏の『職業としての小説家』です。
村上氏の本は生まれて初めて買いました。読むのも初めてですが、この本は実用書と考えれば、彼のノウハウがギュッと詰まったとてもよく出来た本だと思います。
それにこの本だけ読んで村上氏をどうこう言うのはファンの方に怒られそうですが、とても発想の柔軟な作家なんだろうな、というのが良くわかりました。
10月に公開した小説サイトの運営に始終すると思います。
とうとう連載も今回の「結」で全ての決着を見ます。果たしてサスペンスドラマ(風)の結末は? 主人公高矢は自らの人生にどう決着をつけるのか? 深雪は? 伊ヶ谷は追い続けた事件の結末に何を見るのか? 3者の人生の決着をぜひお楽しみください。
NPO法人日本独立作家同盟は、文筆や漫画などの作品を、自らの力で電子書籍などのパッケージにして世に送り出している、インディーズ作家の活動を応援する団体です。伝統的な出版手法である、出版社から取次を経て書店に書籍を並べる商業出版「以外」の手段、すなわち、セルフパブリッシング(自己出版)によって自らの作品を世に送り出す・送り出そうとしている方々をサポート対象としています。
当法人の活動目的は、誰もが情報発信者になれる時代における、作家や作品の知名度向上(Promotion)、作品の品質向上(Quality)、作家と読者のコミュニケーション活性化(Communication)などを促進することにより、多種多様な出版文化の振興に貢献することです。情報交換や交流などを目的としたコミュニティの運営、インディーズ作家を応援するマガジン『月刊群雛』の発行、ウェブメディア『群雛ポータル』によるセルフパブリッシング関連の情報発信、勉強会やセミナーの運営などの事業を行っています。詳細は、公式サイトの[法人概要]をご覧ください。
◆NPO法人日本独立作家同盟公式サイト:
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2015年10月23日 発行 初版
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