───────────────────────
───────────────────────
立冬の朝、そんな猫を見た。っていう句である。
小春日和の午後。床にさす影を見て、そんなことを思った。
っていう句である。
歩いていたら椿の並木。歩道に落ちた赤い花がずっと並んでいた。
っていう句である。
アロエの花を見た。放っておかれたものらしく、
育ちすぎた根が鉢も割ってしまったようだった。
アロエは強健。寒さにも暑さにも乾燥にも強い。
って句である。
元旦の朝。家の窓から、そんな眺めを見た。
って句である。
お正月あけ、パンケーキを焼いた。
紅白の祝い箸がいっぱい残っていたので、それを使った。
っていう句である。
寒い日に飲む生姜湯はうまい。
手もぽかぽかして、なんか嬉しい。
という句である。
海の近く。松林と接した場所に閉店したお店があって、
見ると「売家」と書かれた看板が少し傾いでいた。
潮風も吹くだろうけど。海のそばに住むのもいいよな、って思った。
という句である。
おやつにしようと思って。お茶をいれ、焼き芋をふたつに割った。
ふと時計を見たら、ちょうど三時を指してました。
って句である。
めっちゃ寒い朝、手にとった朝刊にそう書いてあった。
という句である。
なんでこの部屋、こんなに寒いのだろう。
と思って詠んだ句である。
寒いので、部屋の中でも毛糸の帽子を被って過ごした。
っていう句である。
夜中トイレに立って。廊下で月を見上げたら、
鼻水が溢れそうになった。
って句である。
この句を詠んだあとに
「手はなかむ音さへ梅の匂ひかな」って芭蕉の句を教えてもらった。
凍える夜道を歩いていた。ひとつの家の明かりがついていて。
三角屋根の上に、丸い月がかかってました。
っていう句である。
そんな猫を見ました。って句である。
家に帰ったら、炬燵の上に蜜柑が置いてあって、
その下には簡単な手紙が置かれていた。
っていう句である。
冷たい風がやんで、凍ったような夜道を歩くのも苦でなくった。
春が近づいているが感じした。
って句である。
冬の句をまとめよう、と思って日記をひっくり返してみた。なぜか冬の句は少なかった。春の句は多かった。寒いのが嫌いで、縮こまっていたからかもしれない。
それもあるだろうけど。立冬がくるまで、ぼくは冬の句を詠んでなかった。律儀にそうしてるようだった。じゃ立春がきてから春の句を読みだすか、っていうと。これはそうでもなくて。……初春って言葉が示すように?……春の気配は思い切り先取りしてもいいのだ、とぼくは思ってるようなのだった。二月がくれば速攻、春の句ばっかりってことになってた。年寄りは春が好きだ。
年寄りはまた来ん春を数え、お若い方は夏を数える。そんな傾向があるような気がした。
2015年11月13日 発行 初版
bb_B_00140148
bcck: http://bccks.jp/bcck/00140148/info
user: http://bccks.jp/user/20616
format:#002t
Powered by BCCKS
株式会社BCCKS
〒141-0021
東京都品川区上大崎 1-5-5 201
contact@bccks.jp
http://bccks.jp