── 興味がないにもワケがある!
〈連載小説・最終回〉
呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン! って、古いとか言わないでよ。うちのお母さんが好きでこれ年中言うからたまにやっちゃうんだよ。そんなこんなで、一小路真実、花の女子高生です♪
ってテンション上げてみたけど、ぶっちゃけ今、全然そんな気分じゃない。
「一小路さんって、俺のこと好きなの?」
なぁんて、クラスメイト・間宮優樹のわけわかんないひと言から始まった、ラブレターの送り主探し。生物の村山先生と、当時は教え子だった現・奥さんが、十八年前に密かにやり取りしていたものが、偶然にも間宮の手に渡ったって結論で一件落着かと思ったのに。
間宮、あんた私に嘘ついてたでしょ?
これにて連載最終話! ラブレターの真相、そして「一小路真実は興味がない」理由とは?
「あの手紙、間宮が自分でこの本に挟んだんでしょ?」
間宮は黙って私を見ていた。動揺してるようには見えない。ただただじっと、こっちの次の行動を待つように黙ってる。
そもそも、不自然な話だったんだ。本に挟まれた手紙が、十八年間も誰の手にも渡らないで、偶然にも先生と同じ名前の間宮のもとに届くなんてさ。
帰宅部の生徒たちの下校のピークも過ぎ、部活動はまだまだ練習時間を残してて。放課後の昇降口は予想外に静かで人通りがなかった。扉は開け放たれてて、解放感だけはあるのに。気まずい。図書室とはまた違う種類の静寂に、逃げ出したくなってくる。
私は開いていた本を閉じた。
「何か、言うことないの?」
自分自身の言葉に気がつく。
私はどうやら怒っているらしい。
認めざるをえない。腹立たしくて、図書室を飛び出したんだから。
間宮が何をしようがどうでもよかったし、放っておいたってよかった。でも。私の平穏でゆるやかな図書室での時間を、こいつが意図的に壊しに来たのなら。やっぱり、その理由には興味があった。
睨みつけてたのかもしれない。間宮は組んでいた腕を降ろして、肩を落とすように大きく嘆息した。やがてその顔に、ゆっくりと微笑が広がっていく。
「あの手紙さ。本棚の隙間に落ちてたの、たまたま見つけたんだ。俺と同じ名前が書いてあるしさ。誰が誰に書いたものか、調べてみたら、面白いかなって思った」
「それを、どうしてわざわざ私に見せたの?」
唐突に、間宮はとある学習塾の名前を口にした。最近何かと忘れがちな私でも、さすがに憶えてる。去年一年間、受験生である中学三年生のときに通っていた、家の近所の塾だ。
でも、なんで急にそんなこと。
「あの塾にさ、俺も通ってたんだよね。憶えてない?」
実は中学の学区、マミちゃんの隣なんだよね。なんて言われても、やっぱり私は憶えてなかった。受験生の頃は必死だった。なんとしてでも、ハマ南に合格したかった。周りを見てる余裕なんてなかった。
だって──だって私は。
マミちゃんってさ、という、いつもの軽い口調に顔を上げた。でもそこにあった間宮の笑みは、らしくなさすぎるんだよってツッコミ入れたいくらい寂し気なものに変わってた。
「ホント、俺に興味ないよね」
※この作品のサンプルはここまでです。続いてインタビューをご覧ください。
連載最終話、ここまでどうもありがとうございます。
『一小路真実は興味がない』というタイトルだったんですが、「興味がない」というキーワードをどこまで散りばめられるか考えて書いてました。最終話でそれがこうなってああなるわけですが、いかがでしたでしょうか?
ここでちょっと宣伝をしておきますと、一月頭に群雛文庫から『一小路真実は興味がない~白雪姫のための毒リンゴ(ジュース)事件~』が発売になりました! 今作と同じシリーズですが、『月刊群雛』2014年09月号掲載だった『体育館倉庫chattering』と、『白雪姫のための毒リンゴ(ジュース)事件』という二作を収録しています。
◆ランディングページ
http://www.gunsu.jp/2015/12/GunSu-pocket-edition-Mami-Ichikoji-is-not-interested.html
群雛文庫版『一小路真実は興味がない』は七月、九月のお話で、今作が五月のお話に当たります。というわけで、今作の最たる目的は、七月時点で成立していたバカップルの出会い編を書くことでした。もともと今作は群雛文庫掲載作よりも前に執筆していたものを大幅に加筆修正したものなので、今回最終話まで掲載できてよかったです。
なお、群雛文庫の表紙は、ちょうど今号の『月刊群雛』の表紙担当でもある神谷依緒(かみや・いお)さんに描いていただきました。「少女マンガ的なイケメンを描いてほしい」と要望していたんですが、おかげさまで間宮くんがまじイケメンです。今作もこのキャライメージで読んでいただけるとよいかと思います。
さて、群雛文庫版のあとがきの方にも書いたのですが、本シリーズはこんなコンセプトのもと書いております。
①メインターゲットは少女マンガ展開が好きな層。
②日常系ライトミステリー。人は死なない、殺さない。些末な事件を書く。
③いつのどの話から読んでも話がわかる構成にする。
④少女マンガ的イケメン×ツンデレ女子のバカップルを書く。
やたらと「少女マンガ」を強調していますが、実のところもともとそこまで意識していたわけではありません。が、作風が少女マンガ的/女性向き、と言われることが多々あったので、本シリーズでは意図的に思いっきりそっちに寄せることにしました。最終話は特にその傾向が強めです。よく「少女マンガに出てくるようなイケメンなど存在しない」と声高に主張されている方を見かけますが、それを言うなら「男性向けラノベに出てくるヒロインだっているわけねーだろ」と私などは思うわけです。そういう感じの最終話でした!
なお、前述のとおり、今作は「出会い編」です。というわけで、バカップル成立まではまだいくつかエピソードが控えております。折を見てそちらも出していければなぁと思ってます。今後ともよろしくお願いします!
『月刊群雛』では編集として毎号参加、今号は連載作品でも参加。最近は校正の仕事をしながら小説を書いたりと、文字に溺れ気味の日々を送っています。
一般書と児童書の間くらいに位置する、中高生が活躍する青春小説などを指すヤング・アダルト(YA)と呼ばれるジャンルの小説が好きで、日常的に書いたり読んだりしています。児童書と一般文芸の間くらいに位置するジャンルです。今作もその辺に位置するかなーと思ってます。
2016年にもなりましたし、今まで以上に色んなことにチャレンジできればいいなと思って色々動いています。外へ外へ向かっていけるように、また一年がんばりたいと思います。
直近の話でいうと、二月中くらいには短編集を個人出版しようかなーと思っています。最新情報はブログや公式サイト、Twitterでアップしています。よかったら覗いてみてください。
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個人出版でもたくさん本を出していますが、以下、電子書籍レーベルから作品を発売しています。三十以上の国内電子書籍ストアで配信中!
・impress QuickBooks
◆『明日が雨でも晴れでも』(『ライトなラノベコンテスト』特別賞、青春もの):
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◆『ギソウクラブ』(『月刊群雛』連載作、千葉が舞台の青春群像劇)
http://gisoclub.tumblr.com/
■URL
◆公式サイト:『白兎ワークス』
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◆ブログ:『原点回帰―Running possible―』
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2016年02月号のゲストコラムは、セルフパブリッシングからプロデビューし専業作家となり、日本SF大賞を受賞した藤井太洋のエッセー『専業とプロのあいだ』──作家が持つべき資産は、次の本を買ってくれる読者です──。
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『月刊群雛』は毎号掲載作品を公募するスタイルの、インディーズ系電子雑誌です。小説、漫画、詩、コラムなど、さまざまなジャンルの作品が掲載されます。著者と制作チームが互いに協力して作品をブラッシュアップし、自信をもって読者にお届けできるようにします。
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2016年2月6日 発行 初版
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