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── 少し不思議な物語

こんにちは赤ちゃん
(サンプル版)

かわせひろし

NPO法人日本独立作家同盟

〈小説〉

作品概要

 育児アンドロイドのマリコは、まあくんに全身全霊の愛を注ぎ、慈しんで育ててきた。しかしやがて、別れの時はやってくる。

こんにちは赤ちゃん リトル・ビット・ワンダー


「ふやああああ」
 どこか気の抜けた声でその子は泣いた。
「あー、よしよし、まあくんどしたのかなー、ウンチかなー、おなかすいたのかなー」
 マリコは声をかけながら、赤ん坊を優しく抱き上げ、慣れた手つきで確認する。
 うん、おなかがすいているみたいだ。ミルクの時間だ。
 こちらも手早く用意すると、哺乳瓶をそっとまあくんの口元に差し出す。まあくんはすぐさま吸い口をくわえ、もにゅもにゅと吸い出した。温度は完璧な人肌だ。一度たりとも外さない。
 それもそのはず。育児アンドロイドのマリコは、内蔵されたセンサーを総動員して、0コンマ一度以内でミルクの温度をコントロールしているのだから。
 触覚センサーに加え、視覚センサーで赤外線を捉え、温度測定もできる。まあくんの体温測定もリアルタイム。体調管理もぬかりない。
 まあくんはやがておなかも満ちたようで、満足気に哺乳瓶を離した。抱え上げて、背中をぽんぽんと叩く。けぷーと可愛いげっぷをもらす。ぷにぷにの肌が触り心地がよくて、つい頬ずりしてしまう。
 甘いミルクの匂い。本当に愛おしい。
 アンドロイドの自分が「愛おしい」などと、と思われるかもしれない。だが、この内側から湧き上がってくるものは、そうとしか定義しようがない。人の感情だって神経細胞の間の電位のやり取りであり、化学変化の産物ではないか。それが半導体の中で起きているだけで、何が違うというのか。
 とにかく自分はまあくんを愛しているのだ。こんなにも大切な存在を感じたことは、今までなかった。自分のすべてがまあくんのためにあり、命を投げだすこともいとわない。
 そんな深い深い全身全霊の愛をマリコはまあくんに注いだ。

 まあくんは大きな病気もなく、すくすくと育った。はいはいし、立ち上がり、やがて言葉を覚えた。マリコのことが大好きで、まとわりつくように、いつもべったりとそばにいた。
「ねえねえ、マリコ」
「なあに、まあくん?」


※この作品のサンプルはここまでです。続いて作品情報&著者情報をご覧ください。

作品情報&著者情報

かわせひろし

── まず簡単に自己紹介をお願いします

 かわせひろしです。漫画家として活動し、『ケッタ・ゴール!』(ポプラ社刊)連載後、小説家に転進。第十一回ジュニア冒険小説大賞を取って、『宇宙犬ハッチー 銀河から来た友だち』(岩崎書店刊)でデビューしました。
 セルフ・パブリッシングも同時に進めていて、E★エブリスタさんで『君の守護者』を連載しています。

◆ブログ:かってに応援団
http://ouendan.cocolog-nifty.com/blog/

◆Twitter:
https://twitter.com/kawasehiroshi/

── この作品を制作したきっかけを教えてください

 漫画ではSFショートショートの作品を描いていました。今回『別冊群雛』のコンテストに参加しようとアイディアを出していたところ、いくつか思いついたので、『月刊群雛』にも載せたいとそのまま続けて書きました。

── この作品の制作にあたって影響を受けた作家や作品を教えてください

 サブタイトルは漫画で描いた時から使っているSFショートショートのシリーズ名で、藤子・F・不二雄先生のお言葉からつけました。藤子・F先生のSF短編の切れ味はすごいです。

── この作品のターゲットはどんな人ですか

 SF好きな、センス・オブ・ワンダーと聞くと心ときめく方へ。

── この作品の制作にはどれくらい時間がかかりましたか

 通勤電車の行き帰りで三日ぐらい。その後ちょっと推敲に時間を使いました。

── 作品の宣伝はどのような手段を用いていますか

 主にツイッター、ブログです。日本独立作家同盟のコミュニティでも宣伝させていただいています。

── 作品を制作する上で困っていることは何ですか

 もっと書く時間がほしいです。totoが当たる、ボストンバッグに入った一億円を拾う、光合成できるようになって食費が要らなくなるなど、働かなくてもいいようになりたいと願っているのですが、実現していません。

── 注目している作家またはお気に入り作品を教えてください

 『魔法科高校の劣等生』の師族会議編をまとめ読みしようと、下巻を待っています。

── 今後の活動予定や目標を教えてください

 とにかくたくさん書くことです。

── 最後に、読者へ向けて一言お願いします

 今年は群雛にたくさん載せたいと思っているので、また掲載されましたら、よろしくお願いします。

『月刊群雛』2016年02月号

 おかげさまで2周年! 電子雑誌『月刊群雛』は、今号から作家と制作チームの相互協力でさらなる高みを目指す雑誌に生まれ変わりました! 読者の皆様により楽しんでいただける「インディーズ作家と読者を繋げるマガジン」をお届けします。

 2016年02月号のゲストコラムは、セルフパブリッシングからプロデビューし専業作家となり、日本SF大賞を受賞した藤井太洋のエッセー『専業とプロのあいだ』──作家が持つべき資産は、次の本を買ってくれる読者です──。

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NPO法人日本独立作家同盟とは

 NPO法人日本独立作家同盟は、文筆や漫画などの作品を、自らの力で電子書籍などのパッケージにして世に送り出している、インディーズ作家の活動を応援する団体です。伝統的な出版手法である、出版社から取次を経て書店に書籍を並べる商業出版「以外」の手段、すなわち、セルフパブリッシング(自己出版)によって自らの作品を世に送り出す・送り出そうとしている方々をサポート対象としています。

 当法人の活動目的は、誰もが情報発信者になれる時代における、作家や作品の知名度向上(Promotion)、作品の品質向上(Quality)、作家と読者のコミュニケーション活性化(Communication)などを促進することにより、多種多様な出版文化の振興に貢献することです。情報交換や交流などを目的としたコミュニティの運営、インディーズ作家を応援するマガジン『月刊群雛』の発行、ウェブメディア『群雛ポータル』によるセルフパブリッシング関連の情報発信、勉強会やセミナーの運営などの事業を行っています。詳細は、公式サイトの[法人概要]をご覧ください。

◆NPO法人日本独立作家同盟公式サイト:
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 『月刊群雛』は毎号掲載作品を公募するスタイルの、インディーズ系電子雑誌です。小説、漫画、詩、コラムなど、さまざまなジャンルの作品が掲載されます。著者と制作チームが互いに協力して作品をブラッシュアップし、自信をもって読者にお届けできるようにします。
 『月刊群雛』の目的は、以下の3点を以て、多種多様な出版文化の振興に貢献することです。

・著者と制作チームが協力し、よりよい作品を読者に届ける
・著者と読者のコミュニケーションを活性化する
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 互いに助け合って切磋琢磨し、素敵な作品を生み出せるような土壌を一緒に育てていきましょう!
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http://www.gunsu.jp/p/regulation.html

こんにちは赤ちゃん(サンプル版)

2016年2月7日 発行 初版

著  者:かわせひろし
発  行:NPO法人日本独立作家同盟

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