この本はタチヨミ版です。
セルフパブリッシングに校正は不要?
たんなるまちがい探しでなく
見落とさないための二〇の知恵
付録──校正のチェックポイント
一人読み合わせ校正
読み換えていくほど漢字はわかる
文字の見た目を変えてみよう
電子書籍の組版を校正する
日本で初めてラジオから流れたCMは?
図書館のレファレンスから学ぶ
意図がなければゆるされる?
ゲラの側に立つ
校正者になってみる
《何よりもまず、正確に書くことに集中しなさい。どんな仕事をするにしても、その結果が完全なものと評価されるように行なうことが大切だ。……私としては、間違いだらけの本を一冊持つよりは、たとえその一部分だけでも正確に書き写された本を持っていたいのだ。》
これは、一一世紀ヨーロッパの神学者アンセルムスの言葉です。当時はグーテンベルクが活版印刷術を確立する前で、本は人が手で書き写す写本がふつうでした。スコラ哲学の礎を築いた偉大なアンセルムスは、修道院で写本にいそしむ修道士に、先のような助言をあたえたのでした(『本の歴史』一九九八年 ブリュノ・ブラセル 創元社)。
それから一〇〇〇年がたち、私たちはいま、筆写も印刷も必要とせずに本を書き出版できる時代に生きています。アンセルムスの助言は、もう無効になったでしょうか? いいえ。むしろ電子化したいまのほうが、まちがいは増えているのではないか。それも写本のころよりもはるかに複雑かつ巧妙に。日々、校正の仕事に従事している私の実感です。
みなさん、こんにちは。校正者の大西と申します。これから三回にわたり、セルフパブリッシングで必要な校正の技術をお話ししたいと思います。せっかく丹誠を込め、苦心して産み出した作品に、つまらない誤字脱字やまちがいがあっては悲しいですよね。みなさんが校正というスキルをより深く理解し身につけられるよう願っています。
「リリースした作品に、誤字やまちがいが後から見つかって恥ずかしい」という思いを経験された方は、たくさんいらっしゃると思います。「いや、おれの書いたものに誤字などひとつもない」と豪語される方の作品にも、ただ気づかれていないだけで、どこかに〝あれ!?〟というところがきっと潜んでいるはずです。
その一方で、「セルフパブリッシングに校正は不要」という意見も、ときおり耳にします。著者がみずから出版するのだから、編集者や出版社を通さない〝中抜き〟があたりまえだし、理想の形だとする道です。
ほんとうのところは、どうなのでしょうか。それを知るために、まず、校正とは何か、何をする仕事なのか? ということを順に見ていきましょう。
校正の仕事を、その作業の形で分けるなら、「引き合わせ」と「素読み」の二つにわかれます。
タチヨミ版はここまでとなります。
2016年5月22日 発行 初版
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