── 扇風機とホラーって同じなのか!?
〈小説〉
今月号のテーマ「怖」。
えっ?
ホラー、避けて通ってました。
ええ、やりましょう。
「ホラー」という概念と、遊んだるわー!
゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ
脳髄から伝わる電気信号が、焼き切れそうな細長い神経を通りきれずに漏れ出したかのような、窮屈そうな音がした。
べたりと畳に広がった扁平な足には、長方形の角が全て削り取られた、楕円に近い大きな疣が、どつ、どつ、どつ、どつ、と横に4つ並んでいる。
全ての疣を、笑みが貼りついたような悪童が、押すと押さぬのその間、中途半端に弄んでいる。
゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ
窮屈そうな音は、疣から滲み出る膿のように、延々と続く。
膿出しに飽きた悪童は、貼りついた笑みをひっぺがす。笑みの内側から、やや目を見開いた能面が現れた。
左から2番目、その下に「微風」と黒く書かれた疣が、能面の悪童により否応なくギュムリと押し込まれ、意地でも動き出さねばならぬとの脅迫的な命令が、疣から脳髄へと飛ばされる。
脳髄は、足の中の狭い空間にギュウと詰め込まれ、脅迫的な命令を、足から頭へと、天地に逆らって伝搬する。
天の後頭部に押し込まれていたのは、脳髄ではなく、モーターだった。
脅迫的な命令を受けたモーターは、根元深くまでザックリと差し込まれた黒い金属棒をくわえこみ、棒を、ぐるりぐるりと水平軸に沿って回す。回った棒の反対側では、刃物のように刻まれた螺旋の溝が、うねうねと蠢いていた。
固定キャップは、人為的に製造された合成樹脂だ。
粉や粒へとバラバラにされた石油由来の原料。どろどろに溶かされた煮えたぎるソレは、金属の型へと注入され、元の姿とは似ても似つかぬ、異形の姿へと変貌させられる。
丸い頭蓋の先端を額から鋸でギチギチと引き切った、骨の椀の如き形状へと変貌させられた固定キャップに、黒い金属棒の先端の螺旋が、ギッ、ギギッ、ギギギギギッと、これ以上挿入しきれないぐらいに捻じ込まれる。あとひと捻り、ふた捻りもすれば、固定キャップの内側が裂け、もはや噛み合うことすら適わぬ、阿鼻叫喚の惨状を示すであろう。
固定キャップとモーターの間には、薄汚れたハネが5枚、ぐりりと捻られ、黒い金属棒を中心に放射状に広がっている。
ぐるりと回る黒い棒により、強制的に、ハネもぐるりと回される。
※この作品のサンプルはここまでです。続いて作品情報&著者情報をご覧ください。
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頂いた感想さん達です。
自分が一番楽しいものを見つけることができました。
それが、後述の「概念遊(がいねんゆう)」です。
きっかけとなる感想を下さった皆様、ありがとうございます。
造語です。
音を楽しむで、音楽。
音で遊ぶで、音遊。(ラーメンズさん)
数を学ぶで、数学。
ならば、概念と遊ぶのが、概念遊。
今回は「ホラー」という概念と遊びました。
通常は全く怖くない「扇風機」を怖そうに表現できるか? という遊びです。
これからも、いろんな概念と遊びます。
昨年12月に書き始めて以来、拝読させて頂いた作品群。また拙作への感想を頂けた皆様。
おかげ様で、やりたいことがハッキリしました!
言葉遊びが好きな方です。
2~3時間、あるいはそれ以上。あちこちで詰まって手が止まりました。
「扇風機の怖さの表現方法」なんて誰も教えてくれないので、全て手探り。
ブログ、ホームページ、Twitter、献本など。
ハッキリした、やりたいことを実行するための「基礎と時間」です。
・小川仁志(おがわ・ひとし)『世界一わかりやすい哲学の授業』
哲学用語(将来、その概念で遊ぶ為)を収集中だからです。
文章の発表先が増えました。時間が許す限り、書いて出しすることです。
お読みくださり、毎度ありがとうございます!
真夏の暑い夜に怖い話でゾッとしよう! 今月号のテーマ「怖」作品は表紙イラストを含め四点、自由テーマ作品が四点。「インディーズ作家と読者を繋げるマガジン」2016年08月号も、磨きあげた珠玉の作品をお届け!
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2016年8月11日 発行 初版
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