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くまのまえ575 (2016)

Hikokuma

Hikokuma出版



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水たまり蹴って車の波の音





水たまりをきるように走っていく車の音が
打ち寄せる波のよう
ドップラー効果ですな
って思った
という句である

通り雨とおりすぎて蝉の声





激しい雨が降り、あたりは雨の音に包まれた
ちょっと静か
と思ったら、すぐに雨はあがり
眩しさと共に喧騒がかえってきた
という句である

俺じゃなく奴を刺せよの藪蚊かな





なぜか自分ばかり蚊に刺され
不公平だ
と思った
という句である

窓あけて今日二本目のラムネかな





昼間。ラムネを飲んだ。店先で冷やしてあるのを、その場でプシューと開けて。ガラス瓶だけど飲み口のところはプラスティック製でいろいろ考えているのだなあ、と思った。150円だった。
夜。近所のスーパーに行くと同じラムネが80円で売っていて。うむぅ、って唸った。また買って飲んだ。という句である。

嵐すぎ普通ごみの日黒い猫





台風一過の朝
ごみを出しに外に出た
強い風が吹いてスッキリした道を
猫が横切っていきました
という句である

円卓の熟議を尽くし姫バナナ








とある脳内会議の様子を詠んだ句である
バナナは夏の季語

秋さがし終了告げる風が吹く





暦に従うなら立秋とともに、秋探しの旅ははじまると思う。熱中症に気をつけましょう、というニュースが流れる頃なので、難問である。……「立秋」を夏の季語に分類した歳時記もある……そうだ。そんなことを思いながら、詠んだ句である。

見上げるは飛行機雲に秋の雲







夕暮れどき
地平線の近くは紅に染まっていたけど
上空はまだ青空で
飛行機雲が白く光って見えました
……って句である

ジャージ着て青空仰ぐ案山子かな 








傾しいだ案山子が
ジャージを着てました
って句である

……考えちゅう……







「無月」は秋の季語。

名月に棒をつけたらロリポップ








「月に柄をさしたらばよき団扇かな」
をディスペクトして
詠んだ句である

黄昏の星を透かして秋の雲  







日暮れどき、空を見上げたら
薄い雲ごしに星が見えた
っていう句である

手にとれど遠くに香る金木犀







花を手にとり、くんくんしたが
やっぱり芳香は遠くから
漂ってくるようであった
という句である

椿の実そっと弾けし皿の上







皿の上に置いていた椿の実が
いつの間にか弾けていた
ぜんぜん気づかなかったよ
という句である

村時雨明かり灯した台所







大雨が降り出して急に暗くなったので、明かりをつけました。という句である。

「村時雨」は、ひとしきり降り通り過ぎて行く雨のことで冬の季語、と辞書には書いてあった。でも村単位で降るような局地的な雨って印象もあるし。気にしないでおこう、と決めたのだった。

くまのまえ575 (2016)

2016年10月1日 発行 初版

著  者:Hikokuma
発  行:Hikokuma出版

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